• 検索結果がありません。

神奈川県域の感染性胃腸炎患者からのパレコウイルスの検出

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "神奈川県域の感染性胃腸炎患者からのパレコウイルスの検出"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

神奈川県域の感染性胃腸炎患者からのパレコウイルスの検出

―平成 20 年度から平成 22 年度の病原体定点医療機関からの 検体について―

神奈川県衛生研究所微生物部

鈴木理恵子 片山 丘 古屋由美子

(平成 23 年 8 月 18 日受付)

(平成 24 年 3 月 19 日受理)

Key words : infections gastroenteritis, human parechovirus

神奈川県域(川崎市,横浜市,横須賀市,相模原市および藤沢市を除く)において,感染性胃腸炎の原因 を解明するために,小児科の病原体定点医療機関からの患者便からウイルスの検索を行った.ロタウイルス,

アデノウイルス,ノロウイルス,サポウイルスおよびアストロウイルスの検索を行ったが,毎年半数程度原 因ウイルスが検出されない症例が存在している.そこで,平成 20 年度から平成 22 年度の胃腸炎患者検体で ウイルスが検出されなかった 374 検体について,パレコウイルス(HPeV)の検索を行った.その結果,平 成 20 年度は 7 検体,平成 21 年度は 5 検体,平成 22 年度は 3 検体の計 15 検体から HPeV 遺伝子が検出さ れた.これらのうち平成 21 年度および 22 年度の 8 検体全てから HPeV が分離された.これら 8 株および 平成 20 年度の 7 検体について HPeV VP1 遺伝子の約 800 塩基について Polymerase chain reaction(PCR)

産物のダイレクトシークエンスによる遺伝子塩基配列を決定したところ,平成 20 年 9 月の 1 検体は HPeV4 に分類され,残りの 14 検体は全て HPeV1 であった.

〔感染症誌 86:393〜399,2012〕

HPeV は,ピコルナウイルス科パレコウイルス属に 分類されたウイルスで,エコーウイルスから独立した ヒトパレコウイルス 1 型(HPeV1:エコーウイルス 22 型),ヒトパレコウイルス 2 型(HPeV2:エコーウイ ルス 23 型)をはじめ現在では 14 種類の血清型!遺伝 子型(HPeV1 から HPeV14)が報告されている.こ のウイルスは,低年齢の小児を中心に夏から冬にかけ て主に胃腸炎や呼吸器症状を起こすウイルスで,下痢 や上気道炎などが主な症状である.近年伊藤ら1)2),渡 邉ら3)および山本ら4)によって感染性胃腸炎患者の便か ら多く検出されることが報告されている.神奈川県域 では現在まで感染性胃腸炎患者について HPeV の検 索は行っておらず,その動向は不明な点が多かった.

そこで,神奈川県域においても病原体定点医療機関か らの感染性胃腸炎患者の便より,HPeV の検索を行っ

たので報告する.

材料と方法 1.被検検体

平成 20 年度から平成 22 年度の神奈川県域病原体定 点医療機関からの感染性胃腸炎患者便 799 検体のう ち,ロタウイルス,アデノウイルス,ノロウイルス,

サポウイルス,アストロウイルスなどのウイルスが検 出されなかった 374 検体(年齢は 0 歳 0 カ月から 88 歳)を用いた(Table 1).HPeV の検出された感染性 胃腸患者については,臨床背景および臨床症状につい ても記載した.

2.HPeV 遺伝子検出

HPeV の遺伝子検出は,厚生労働省「ノロウイルス の検出法」5)に従った方法で cDNA を作製し,PCR に 使用した.

1)RNA 抽出

QIAamp Viral RNA Mini Kit(キアゲン)を用い てキットに添付の説明書に準じて行ったが,以下の点

別刷請求先:(〒253―0087)神奈川県茅ヶ崎市下町屋1―3―1 神奈川県衛生研究所微生物部 鈴木理恵子

(2)

Table 1 Detection  of  parechoviruses  from  infectious  gastroenteritis  patients  from  selected  regions in Kanagawa Prefecture regions

Month

Apr.2008 to Mar.2009 Apr.2009 to Mar.2010 Apr.2010 to Mar.2011

Total No. of 

fecal  specimens

No. of  positive  for HPeV

No. of  fecal  specimens

No. of  positive  for HPeV

No. of  fecal  specimens

No. of  positive  for HPeV

Apr.   3 0   18 0     7 0   0

May   2 0     6 0     6 0   0

June   9 0   13 0   11 0   0

July   4 0   13 0   14 1   1

Aug.   9 0   15 2   26 2   4

Sept. 13 3     8 2   23 0   5

Oct. 16 2   10 1   12 0   3

Nov. 12 0   10 0   12 0   0

Dec.   8 1     6 0   16 0   1

Jan.   5 0     6 0   15 0   0

Feb.   8 1   10 0   11 0   1

Mar.   5 0     6 0     6 0   0

Total 94 7 121 5 159 3 15

については変更した.

各手順の遠心の回転数は,8,100rpm を 10,000rpm で,14,000rpm を 15,000rpm で行った.

抽出 RNA の再浮遊には AVE を 60μL で行った.

2)DNase 処理

反応溶液は,全量 30μL で行い,予め準備し分注し た DNase 処理用試薬 6μL(DW2 : 1.0μL,5X Buffer : 3.0μL,DNase I(1U!μL):2.0μL)の入ったチュー ブ に 抽 出 RNA24μL を 加 え,37℃ で 30 分 間 DNase 処理を行った後,75℃ で 5 分間酵素を失活させ,4℃

で保冷しこれを DNase 処理 RNA として逆転写反応 に用いた.

3)逆転写反応

反応溶液の全量は 30μL で行い,予め準備し分注し た逆転写試薬 15μL(DW2 : 3.25μL,5X Buffer : 4.5μL,

10mM dNTPmix : 1.5μL,Randamprimer : 0.75μL,100 mM DTT : 1.5μL,HPRI(RNase inhibitor):2.0μL,

Superscript II RT : 1.5μL)の入ったチユーブに DNase 処理 RNA15μL を加え,ボルテックスで混和後軽く遠 心し,42℃ で 60 分逆転写反応を行った後,99℃ で 5 分間酵素を失活させ,4℃ に保冷しこれを cDNA と して PCR に用いた.

4)PCR

伊藤ら1)2)6)の設計した,5ʼuntranslated region と VP0 の領域のプライマー E23P1 および HPVN1 と VP1 領 域 の プ ラ イ マ ー HPeV-VP1-S,HPeV-VP1-AS2 お よ び HPeV-VP1-AS を用いた.

3.ウイルス分離

Vero 細胞を用いて HPeV の分離を行った.12.5cm2 のフラスコ(日本ベクトン・ディッキンソン)で培養 しておいた Vero 細胞に 0.22μm Filter Unit(日本ミ

リポア)で濾過した 10% 便乳剤を 0.5mL 接種し,細 胞変性(Cytopathic effect : CPE)により,ウイルス 増殖の有無を確認した.2 週間経過しても CPE が見 られない場合は,継代を行った.CPE の見られた検 体については PCR による HPeV 遺伝子の増幅および 遺伝子解析による同定を行った.

4.電子顕微鏡観察 1)ウイルスの濃縮精製

ウ イ ル ス の 濃 縮 に は OptimaMAX-E,ロ ー タ ー TLA-55(ベックマン・コールター)を用い,容量 1.2 mL(検体:1mL,30% ショ糖溶液:0.2mL)を基準 とした.超遠心の条件は 50,000rpm,4℃,2 時間と し,遠心分離後,PBS(−)で軽く洗い,PBS(−)50 μL で再浮遊した.

2)ウイルスの観察

濃縮精製した検体 10μL をカーボン補強済 STEM 100Cu グリッド(応研商事)に滴下し,1% グルタル アルデヒド液で 10 分間固定後,4% 酢酸ウラニル 10 μL で染色したものを電子顕微鏡観察に用いた.

ウイルスの観察は,透過型電子顕微鏡 H7600(日立 ハイテクノロジーズ)により加速電圧 80kV で 40,000 倍にて観察した.観察されたウイルスは CCD カメラ

(8x)にて撮影し,パーソナルコンピュータに保存し た.

5.ウイルス遺伝子解析

検体または分離株より検出された HPeV の PCR 産 物を用いて,ダイレクトシークエンスによりウイルス 遺伝子の塩基配列を決定した.MEGA5 の Neighbor- Joining 法 を 用 い て,GenBank に 登 録 さ れ て い る HPeV1 から HPeV14 のそれぞれの株と比較し,血清 型!遺伝子型の決定を行った.

(3)

Table 2 Clinical specimens information and clinical conditions of patients in whom HPeV was detected in Kanaga- wa Prefecture

Case

Clinical specimens information Clinical conditions

Living  area

Date of  onset

Day after  onset

Age

Sex

Fever  (Highest  temperature)

Gastroenteritis

Year Month Diarrhea Bloody 

feces Vomit

KA2008-150 Southern 2008/9/12   8 0   5 F

KA2008-156 Southern 2008/9/20   8 0   5 M

KA2008-154 Central 2008/9/29   2 0   8 M

KA2008-164 Central 2008/10/10   6 9 11 F

KA2008-174 Western 2008/10/20 13 0   5 M

KA2008-221 Western 2008/12/10   3 1   0 M

KA2008-270 Central unknown 1   0 F

KA2009-104 Central 2009/8/15   3 1 11 F + (38.1)

KA2009-114 Central 2009/8/30   4 2   0 F

KA2009-118 Southern 2009/9/19   6 0 10 M

KA2009-123 Central 2009/9/20 16 1   4 F

KA2009-128 Western 2009/10/16   5 0   7 M

KA2010- 69 Central 2010/7/30   4 1   6 F

KA2010- 97 Western 2010/8/28   4 0   7 M

KA2010-106 Western 2010/8/31 11 1   3 F

Total 1 15 1 1

1.感染性胃腸炎患者便からの HPeV 遺伝子の検出 平成 20 年度から平成 22 年度の HPeV 月別検出状 況を Table 1に示した.平成 20 年度は,感染性胃腸 炎患者便 247 検体のうちウイルスが検出されなかった 94 検体について HPeV 遺伝子の検出を行ったところ,

9 月発症の 13 検体中 3 検体,10 月発症の 16 検体中 2 検体,12 月発症の 8 検体中 1 検体および 2 月発症の 8 検体中 1 検体の計 7 検体から VP0 および VP1 領域を コードする遺伝子の増幅が確認された.平成 21 年度 は,感染性胃腸炎患者便 259 検体のうちの 121 検体に ついて HPeV 遺伝子の検出を行ったところ,8 月発症 の 15 検体中 2 検体,9 月発症の 8 検体中 2 検体およ び 10 月発症の 10 検体中 1 検体の計 5 検体から遺伝子 の増幅が確認された.平成 22 年度は,感染性胃腸炎 患者便 293 検体のうちの 159 検体について HPeV 遺 伝子の検出を行ったところ,7 月発症の 14 検体中 1 検体および 8 月発症の 26 検体中 2 検体の計 3 検体か ら遺伝子の増幅が確認された.

HPeV 遺伝子の検出された月をそれぞれの年で見る と,平成 20 年度は 9 月から翌年の 2 月までであった が,平成 21 年度は 8 月から 10 月,平成 22 年度では 7 月と 8 月となり,平成 20 年度から平成 22 年度と毎 年 1 カ月ずつ早く,そして期間も短くなっていた.3 年間の月別検出数では,7 月が 1 検体,8 月が 4 検体,

9 月が 5 検体,10 月が 3 検体,12 月が 1 検体および 2 月が 1 検体であり,8 月から 10 月にピークがあった.

HPeV 遺伝子の検出された検体について検体情報と

調書に記載された臨床症状をまとめ Table 2に示し た.平成 22 年度を除き県域の 3 つの定点医療機関か ら HPeV が検出された.患者は,9 歳 11 カ月の 1 症 例(KA2008-164)を除き,14 症例が 2 歳以下の乳幼 児であった.また検体が採取された病日を見ると,最 長 16 病日と 1 週間以上の症例が 5 症例であった.臨 床症状は下痢のみの症例が 12 症例(80%)で,発熱,

血便および嘔吐など他の症状も見られた症例は 3 症例 であった.

2.HPeV の分離同定

平成 20 年度の検体は抽出 RNA のみであったため こ の 7 検 体 を 除 い た 8 検 体 に つ い て,10% 便 乳 剤

(PBS(−))から Vero 細胞による HPeV の分離を試 みた.平成 21 年度の 5 検体では,検体番号 KA2009- 123 を除き検体接種後翌日〜5 日間で CPE が見られた

(Fig. 1).検体番 号 KA2009-123 は,2 代 目 に 継 代 を 行ったところ,継代翌日に CPE が見られた.平成 22 年度の 3 検体は,いずれの検体も検体接種後 12 日間 経過で CPE らしい像が見られ,14 日後に細胞が剥が れたので継代を行ったところ,継代翌日に全ての検体 で CPE が見られた.

これら CPE の見られた 8 検体の培養上清を 140μL 用いて,RNA 抽出を行い,HPeV VP0 および VP1 領 域の PCR を行った.8 検体全ての検体で HPeV VP0 および VP1 領域の約 800bp の増幅バンドが見られ分 離されたウイルスは HPeV であると確認された.こ のことから,平成 21,22 年度の便検体で PCR により HPeV 遺伝子の検出された検体は全てウイルスが分離

(4)

Fig. 1 Isolation of parechovirus using Vero cells

Fig. 2 Electronography of parechovirus

され,それらのウイルスは HPeV であった.

ま た 培 養 上 清 3mL か ら 小 型 超 遠 心 機 を 用 い て HPeV を濃縮精製し,電子顕微鏡にてウイルスを観察 した(Fig. 2).およそ 30nm の小型球形のウイルス像 が観察された(Fig. 2-1).また別の視野ではウイルス の殻と思われる円形の構造物の固まりも観察された

(Fig. 2-2).

3.HPeV 遺伝子の解析

HPeV 遺伝子の解析には,平成 20 年度は検査後の PCR 産物を使用し,平成 21,22 年度は分離ウイルス 株の同定に使用した PCR 産物を使用して,HPeV VP1 領域をコードする約 800bp の塩基配列をダイレクト シークエンスにより決定し,HPeV1 から HPeV14 の シークエンスと比較したところ,検出遺伝子 KA2008- 150,KA2008-164,KA2008-174 および分離株 KA2009- 104,KA2009-118 は JP-8276(FJ648744)7)に類似した HPeV1 で あ っ た.検 出 遺 伝 子 KA2008-156 は Fuk 2005-123(AB433629)8)と類似した HPeV4 であった.

検出遺伝子 KA2008-154 は BNI-R15!03(EU024633)9)

と類似した HPeV1 であった.検出遺伝子 KA2008-221 お よ び 分 離 株 KA2010-69,KA2010-106 は JP-8275

(HQ163882)10)と類似した HPeV1 であった.検出遺伝 子 KA2008-270 は A151-05(AB300965)1)と 類 似 し た HPeV1 であった.分離株 KA2009-114 は A244-04(AB 300955)1)と 類 似 し た HPeV1 で あ っ た.分 離 株 KA 2009-123 は A10987-00(AB112487)6)と 類 似 し た HPeV1 であった.分離株 KA2009-128 は Pham, N.T.K.

et alにより登録された JP-8312(FJ648751)と類似し

た HPeV1 であった.分離株 KA2010-97 は PicoBank!

HPeV1!a(FM242866)11)と類似した HPeV1 であった

(Fig. 3).

今回我々は,平成 20 年 4 月から平成 22 年 3 月まで の神奈川県域の感染性胃腸炎患者便より直接抽出した RNA を処理した cDNA を用いて,PCR による HPeV の遺伝子検索を行ったところ,平成 20 年度は 7 検体,

平 成 21 年 度 は 5 検 体,平 成 22 年 度 は 3 検 体 か ら HPeV が検出された(Table 1).また,便が残ってい

(5)

Fig. 3 Phylogenetic  tree  based  on  nucleotide  sequence  of  the  VP1  reagion  showing  the  relationship  between  detected  HPeV  and  HPeV  reference  strains.  (GeneBank  accession  numbers  are  in  pa- rentheses.)

た平成 21 年度以降の 8 検体からは細胞培養により HPeV が分離され,検体から直接抽出した RNA によ る遺伝子検索とウイルス分離との成績は全て一致して いた.これらは伊藤らの報告2)と同様に,検体から直 接抽出した RNA を用いて,HPeV 遺伝子を特異的に 検出することが可能であることを示している.

平 成 20 年 度 は 9 月 か ら 翌 年 2 月 ま で の 長 期 間 HPeV が検出され,9 月の県南部および県央地域,10 月の県央および県西部地域,12 月の県西部地域,翌 年 2 月の県央地域(Table 2)と各地域で検出された ことから,神奈川県域において HPeV の長期間,広 範囲における活動があったと考えられた.平成 21 年 度は 8 月の県央地域,9 月の県南部および県央地域,10 月の県西部地域(Table 2)と検出された期間は短かっ たが各地域で検出されていることから,平成 21 年度 も HPeV は夏から秋にかけて活動があったと考えら れた.平成 22 年度は 7 月の県央地域,8 月の県西部 地域(Table 2)と検出された期間は短く,地域も限

られたことから,HPeV の活動は見られたものの広範 囲に渡る活動は見られなかった.また神奈川県域にお いて HPeV の検出された患者の年齢は平成 20 年度の 9 歳 11 カ月の 1 例を除き,2 歳以下の乳幼児であり

(Table 2),愛知県2),新潟県3)および広島市4)と同様の 状況であることがわかった.今回 HPeV が検出され た患者の症状は,下痢のみの患者がほとんどであり,

他の症状を併発している症例は少なかった.HPeV は 感染性胃腸炎をはじめ呼吸器疾患,不明熱,発疹症,

手足口病,無菌性髄膜炎およびヘルパンギーナ等様々 な疾患から検出されている1)〜4)が,県域の感染性胃腸 炎患者では,上気道炎(症例無し)や発熱(1 症例)

を併発している症例が少なかった.これは現在までの 検索数が 374 検体で検出数 15 症例と少ないことに由 来していることや胃腸炎患者のみの検体を集めたため と考えられ,今後も継続した検索を行い,症例数を増 やしていくことによりより多くの情報が得られるよう になってくると思われる.

(6)

神奈川県域の感染性胃腸炎患者から検出 さ れ た HPeV は,HPeV1 が 14 例 で HPeV4 が 1 症 例 で あ っ た.これに対し,愛知県では平成 11 年から平成 19 年 の患者からは,HPeV1 の 35 症例の次に HPeV3 が 12 症例と多く,HPeV4 は 2 症例との報告1)であり,新潟 県においても平成 3 年から平成 17 年の患者からは HPeV1 の 10 症 例 の 次 に HPeV6 が 4 症 例 で HPeV3 が 2 症例との報告3)であった.神奈川県域において HPeV3 および HPeV6 が検出されなかったことは,こ の期間にこれら遺伝子型のウイルスが活動していな かった可能性が示唆された.HPeV4 の症例は,県南 部地域で平成 20 年 9 月 20 日に発症した患者であっ た.この検出された HPeV4 について HPeV VP1 遺伝 子の塩基配列を決定し比較したところ,平成 17 年に 福岡県の急性胃腸炎患者便より分離された Fuk2005- 123 株8)に類似のウイルスであることが示唆された

(Fig. 3,Table 2).さらに HPeV4 は,愛知県,新潟 県,広島市においても検出数の少ない遺伝子型のウイ ルスであった1)〜4)8)

神奈川県域における HPeV の動向をより詳細に把 握するために,今後も引き続き HPeV の検索を行う と共に平成 20 年以前の検体についても検索を行う必 要があると考えられた.

謝辞:最後になりましたが,検体および患者情報の収集 にご協力いただきました小児科定点医療機関の先生方に深 謝いたします.

文 献

1)Ito M, Yamashita T, Tsuzuki H, Kabashima Y, Hasegawa A, Nagaya S,et al.:Detection of Hu- man Parechoviruses from Clinical Stool Samples in Aichi, Japan. J Clin Microbiol 2010;48:

2683―8.

2)伊藤 雅,山下照夫,都筑秀明,椛島由佳,藤

浦 明,長谷川晶子,他:Human parechovirus の検出ならびに同定方法の検討.愛知衛所報 2008;58:1―8.

3)Watanabe K, Oie M, Higuchi M, Nishikawa M, Fujii M:Isolation and characterization of novel human parechovirus from clinical samples.

Emerg Infect Dis 2007;13:889―95.

4)山本美和子,阿部勝彦,国寄勝也,島本琢士,国 井悦子,伊藤文明,他:広島市におけるヒトパ レコウイルスの発生動向(2004―2007 年).広島 市衛研年報 2008;27:69―71.

5)西尾 治:ノロウイルスの RT-PCR 法.国立感 染症研究所ウイルス第二部衛生微生物技術協議 会レファレンス委員会編,ウイルス性下痢症診 断マニュアル(第 3 版).東京,2003;p. 44―9.

6)Ito M, Yamashita T, Tsuzuki H, Takeda N, Sakae K:Isolation and identification of a novel human parechovirus. J Gen Virol 2004;85:

391―8.

7)Ngan TKP, Quang DT, Pattara K, Niwat M, Hideaki S, Shoko O,et al.:Diversity of human parechoviruses isolated from stool samples col- lected from Thai children with acute gastroen- teritis. J Clin Microbiol 2010;48:115―9.

8)Wakatsuki K, Kawamoto D, Hiwaki H, Wata- nabe K, Yoshida H:Identification and charac- terization of two strain of human parechovirus 4 isolated from two clinical cases in Fukuoka city, Japan. J Clin Microbiol 2008;46:3144―6.

9)Luciano K de SL, Sigrid B, Klaus G, Marcus P, Jan FD, Christian D:Identification of a contem- porary human parechovirus type 1 by VIDISCA and characterisation of its full genome. Virol. J. 2008;5:26.

10)Ngan TKP, Sayaka T, Dinh NT, Quang DT, Chandra A, Asiri A,et al.:Human parechovirus infection in children hospitalized with acute gas- troenteritis in Sri Lanka. J Clin Microbiol 2011;

49:364―6.

11)Cigdem HW, Maria P, Gareth DG, Curtis IP, Sami O, Heikki H,et al.:Evolution and conser- vation in human parechovirus genomes. J Gen Virol 2009;90:1702―12.

(7)

Detection of Parechovirus in Infectious Gastroenteritis Patients from Kanagawa Prefecture Region.

―Fecal Specimens Sent from the Pediatric Sentinel Clinics from April 2008 to March 2011―

Rieko SUZUKI, Takashi KATAYAMA & Yumiko FURUYA Biology Division, Kanagawa Prefectural Institute of Public Health

To clarify the causative viruses of infectious gastroenteritis, fecal specimens were sent from the pediat- ric sentinel clinic in Kanagawa Prefecture except for Kawasaki City, Yokohama City, Yokosuka City, Sa- gamihara City, and Fujisawa City. About 50% of fecal specimens were not negative for causative viruses. A total of 374 fecal specimens which were known to be negative for rotavirus, adenovirus, norovirus, sapovi- rus, and astrovirus were tested for human parechovirus (HPeV). HPeVs VP1 genes were detected in 15 samples from 374 fecal specimens which were tested from April 2008 to March 2011.

Sequencing analysis of a 800-nt portion of the HPeV VP1 gene of these 8 strains and 7 specimens from April 2008 to March 2011 showed that one specimen in Septenber 2008 was classified as HPeV4 and 14 of the others were classified as HPeV1.

Table 1 Detection  of  parechoviruses  from  infectious  gastroenteritis  patients  from  selected  regions in Kanagawa Prefecture regions
Table 2 Clinical specimens information and clinical conditions of patients in whom HPeV was detected in Kanaga- Table 2 Clinical specimens information and clinical conditions of patients in whom HPeV was detected in Kanaga-wa Prefecture Case Clinical speci
Fig. 1 Isolation of parechovirus using Vero cells Fig. 2 Electronography of parechovirus され,それらのウイルスは HPeV であった. ま た 培 養 上 清 3mL か ら 小 型 超 遠 心 機 を 用 い て HPeV を濃縮精製し,電子顕微鏡にてウイルスを観察 した(Fig
Fig. 3 Phylogenetic  tree  based  on  nucleotide  sequence  of  the  VP1  reagion  showing  the  relationship  between  detected  HPeV  and  HPeV  reference  strains.  (GeneBank  accession  numbers  are  in   pa-rentheses.) た平成 21 年度以降の 8 検体からは細胞培養により HPeV

参照

関連したドキュメント

Chondrite-normalized rare earth element patterns and primitive-mantle-normal- ized trace element patterns of the biotite-phenocryst-rich volcanic rocks from Kat- suyama

It is suggested by our method that most of the quadratic algebras for all St¨ ackel equivalence classes of 3D second order quantum superintegrable systems on conformally flat

Keywords: continuous time random walk, Brownian motion, collision time, skew Young tableaux, tandem queue.. AMS 2000 Subject Classification: Primary:

The main problem upon which most of the geometric topology is based is that of classifying and comparing the various supplementary structures that can be imposed on a

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.

 1999年にアルコール依存から立ち直るための施設として中国四国地方

[r]