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色−語ストループ干渉における反応競合説の検討

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

色−語ストループ干渉における反応競合説の検討

著者 藤田 正

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 49

号 1

ページ 167‑172

発行年 2000‑11‑10

その他のタイトル The Examination of Response Competition

Hypothesis in Color‑Word Stroop Interference Task Using Transformed Word Conditions

URL http://hdl.handle.net/10105/1422

(2)

奈良教育大学寵要 第49巻 第1JJ (人文・社会)平成12年

Bull. NaraUniv. Educ.,Vol.49, No. 1 (Cult. &Soc.), 2000

色一語ストループ干渉における反応競合説の検討

藤 田   正 (奈良教育大学心理学教室) (平成12年4H28日受理)

キーワード: 色一語ストループ十渉、反応競合説、単語変形条件

問   題

言葉の意U末とは異なる色のついた色Yl単語の色を命名 する場合(例えば、赤色のfンクで書かれた「青」とい う文字に対してアカと命名する)には、単なる赤色の色

・トJチをアカと色命名するよりも反応が遅くなるr‑ この ような現象は、ストルーフI二渉(Stroopinterイerence.

Stroop,1935)と呼ばれ、インクの色と色名単語とが葛藤 するスト)L‑プ干渉課題(eollflict task)を‖いて検討が 行われてきている‑ この現象が′卜じるのは、 rアカ」と 色の命名をする際に、インクの色とは一致しない色名jii 語(あお)が色命名の処埋過程になんらかのhh害効果を

及ぼしているためだと考えられているE‑,

このような干渉課題を蛸いてなぜ干渉が起こるのか、

どの段階で十渉が起こっているのかなど、干渉のメカニ ズムについての研究がirわれてきた(嶋田,1985上

日歩が生じる位置(locus)について説明する主なもの は、次の3つである‑.第1は、 「渉が'/>栃の初期の段階 で起こるとする"知堤符引ヒ説(Hock&Eどeth.1970) である。,この説によると、色命名課題において色f,単語 は特に.‖/二って注意を引きつけ、それによってインクの 色に必要な注意が減少し、反応が遅くなるというもので

ある̲,

第2は、十渉が反応を41))する段階で起こるとする つi応競合説(Morion、1969)である,この説では、入 力された情報がいくつかの処理過程を通って出力される 隙に、反応のために聞達情報を利用したり、反応準備の ために情報を整理するための一一時的な情報保存のための バ、ソファーを板宣している、このバッファーには容量の 限界があるr̲,ストループ11二渉課題において反応を出力す

るまでに、色名単語は処理され別間できる状態なるため に′日ファーはその情報で占められる,,インクの色の情 報についても、この点は同様である,さらに、ストルー プ干渉課題において単語の命名は色の命名よりも処理が

167

速いので、色名単語とインクの色の情報が反応の出力さ れるバ、ソファーに入ろうとするとき、単語と色は並列的 に処理されるが、単語の音韻反応が単一チャンネ)Lであ るバソファーに先に入ってしまう,‑,そして、インクの色 の反応をするとき、加二ある色名単語の反応を打ち消し、

それから反応するので遅くなるというものである一, 第3は、色情報が知覚的に拝号化された後、意味記憶 と接する相帯、つまり、入力と/li力の中開段階で干渉が 起こると主張する"意味符引ヒ説つsc)′‖1州一,1973)で ある これによると、色廿けされた色名語が呈示された ときに、色に関する処理と色名語に関する処理は並列的 に進むが、そのときの色名語の処理は、それに注意が向 けられていない以上、自動的なものとするL 色に関して それが何色かを同定する意日和勺な処理は,色名語につい て意味的な処理を行うよりも時間を必要とするので、色 名語についての意味的な活性化が先に進行する.,そして、

どの反応を行うか決定し、音韻的に符号化して出力バッ ファーに送る際に、それが嫡害的に働くことにより色命 名が遅れるというものである,

これらの諸説のうち、ストルーブI二渉が反応をm力す る段階で起こるとする説のひとつである反応競合説 (Mortoil,1969)をより詳細に検討したものに、 Dunbこlr&

M北Ieod (1984)の実験がある,‑,彼らは、色命名課題に おいて反応競合説のいう、単語についての青苗反応が色 命名の反応よりも速く処哩されることで、バ.LJファーに 先に入り干渉を生じると仮定されているならば、その音 韻反応を色命名の反応よりも遅くすれば、単語読み反応 よりも先にバ、ソフ7‑に蓄えられた音韻反応をクリア‑

してから色についての反応をする必要がなくなるので干 渉は生じないと考えた‑,

そこで、実験材料には英単語を上下反対の位置

(backwards)にして指示する単語条件(実験1)と、そ

れを更に転倒させた位置(upside dowt‑ and backwards)

で提示する単語条件(実験2)を設定し、これらの通常

(3)

KvS 藤 田

の単語を変形させた位置で提示する単語(transformed ird)を使うことで、単語の読みの速さを遅らせようと した。つ例えば、連帯単語条件が「r e d」の場合、反対 にした単語条件は「d e r」であり、転倒させ反姉二し た単語条件は「・I d P」であったニ.

第l'Z一騎の結果は、スト)L‑プ干渉を検討する色命呂 課題では、通常単語条件よりも反対単語条件の反応潜時 の方が有意に矩くなり、十渉が減少したL̲ また、単語読 み課題では、全ての条件で反対単語条件の方が通常単語 集件よりも反応潜時が有意に長くなったJつまn、単語 の読みが遅くなったことにより、単語のインクの色の命 名時に′l:‑じる単語そのもの命名による妨害を低卜したの である二,これらの結皐は、反応競合説からのT,悪を支持 するものであった=.

しかし、第2実験の結果は、色命名課題では、どの条 件でも通常単語条件と、それを転倒させ反対にした単語 条件との反応潜時に有意差がみられなかった,読み課題 では、全ての条件で転倒させ反細二した単語条件の方が 通常単語条件よりも反応潜時が有意に長くなった̲,これ らの結果は、実験1と異なり、反応競合脱からの予想を 必ずしも支持するものではなかった̲,

以トのように、第1実験と第2実験の結栗で、単語条 件によってストループT二渉に及ぼす効果に違いがみられ たが、単語の変形がストループ干渉に影響する=]L能性を なお否定することはできない

このような単語の変形条件を用いて反応競合説を検討 したものは、筆者の知る限り、 Dunbar&Madeod (1984) の研究以外には見当たらなIV 彼らは、単語の変形条件 の効果を別々のノ実験によって検討しているが、これが結 果の違いを′上じさせたとも考えられるので、 lつの′患験 の中に単語の変形条作を含めて検討することが必要と思 われる,

そこで本研究では、ストループ日歩が反応を出力する 持階で起こるとする反応競合説(Morton,1969)を検討

したDunbar& Maclcod (1984)の実験を参考に、日本語 のかな色名単語を用いて作成した変形単語条件が、スト ル‑プ十渉課題で色命名と単語の読みの反応瀞1封二及ぼ す単語条件の効果の比較を行い反応競合説を検討するこ とをH的としたp,

なお、変形単語条件とは英単語の場合と同様に表音文 字であるH本語のかな色名単語を使って、通常単語条件 を基準にして、指示の位置形態を変化させた3種類(回 転単語条件、倒立単語条件、錠映単語条件)の条件であ

る.̲.

反応競合説に基づけば、本実験では、色命名では連帯 単語条件に比べて変形単語条件では干渉量の減少がみら れる‑.また、単語の読みにおいては通常単語条件に比べ 変形単語条件の読みが遅くなることが予想される̲

方   法

実験計画 2×2×4の要因計画がut亘)れた̲ 第1 の要因は課題条件であり、色命名課題と単語読み課題の 2条件であった̲ 第2の要因はインクの色と色名単語と の‑受立度条件であり、 ‑受丈、不一致の2条件であった, 第3の要因は単語条件であり、通常単語、回転単語、倒 立単語、鏡映単語の4条件であった,こ, 3つの要因はすべ て被験者両要因であった,

被験者 被験者は、大学生17名(男子7名、女子10名) であり、平均年齢は21才6カ目(年齢範囲:18辛10カ月

〜23才0カ月)であったr̲,これらの被験者は、この極の 実指針二は未経験であった,I

材料及び装置 実験雫施川ソフトには、 Cedru沌二製の SuperLabVersioil 1.4をfut lた,:刺激の呈示、及び反応潜 時の記録には、 ′、I‑ソナルコンビュ‑タ(ア、・ノプルコン

ピュータ社製Macintosh Performと5320)が用いられたし 刺激は、 15インチ高解像度カラーディスフ レイ 日二、 1 文字綿1川1横1cm (24ポイント)の大きさで画面中東 に呈示された̲『輔敏が呈示される画面の背景は白色であ った,また、内蔵マイクをボイスキーとして用い、反応 潜時(1000分の1秒まで)を測定した

使用された色名単語と色は、 「あか」 「あお」 「きいろ」

「みどり」の4つであった,‑ 呈′雨り激の単語条件には、

通常単語、回転単語、倒立単語、静映単語の4種類が設 けられた‑,伸転単語とは、通常単語でかかれた色名単語 (例えば、 "義/j>")を180つ口1転させ.上下が逆になった 状態で呈示される単語(=専管")である‑ 倒立単語と は、通常単語をHllに裏返して見た場合の単語(山甲や>") であり、鏡映単語とは、通常単語を左I̲召二乗返して見た JU合c‑O'ji.語(、‥・氏ふっ である

また、それぞれの単語条件において、インクの色と色 名単語が 受丈する色でかかれた う女条件、及び ‑致しな い色でかかれた不 う王立条件の2種類が設けられた

以Lをもとに各課題条件について、それぞれ48試行か らなる刺激リストを用いた,,

手続き 実験は心理学の実験宜で、コンピューターの 画面に皇示される刺激に対して反応することによ古日月つ れた̲ 被験者は、ディスプレイから約50C【1通性オー、 Llの 高さと同じになるようにイスに座らせた.こ,被験者には2 つの課題が与えられ、実験が開始されたEl 1つは色命名 課題で呈示される単語の色をできるだけ速く答えること が求められた,ー もう1つは単語読み課題で呈示される単 語を読むことが求められた、実験では練習試行を木試行 の前にそれぞれ10試行行い、本試行は単語読み課題48試 行、色命名課題48試行の順に行われたこ.

読み課題では、次のような教示が与えられ、実験が聞

略されたニ「これから画面に、アンダーラインの接にあ

(4)

也‑語ストJL‑ 7つ確に抽T;ユ反応読含説(/;fi/r討

か,あお、きいろ、みどりのいずれかの単語が次ヤとあ らわれます‑,それについて、何という単語かをできるだ け速く声に出して答えてください̲,アンダーラインはよ

く,Fiておくようにしてください」

また、色命Fl課題では、次のような教′Kが与えられた,

「これから画耐二、アンダーラインのあとにあか、あお、

きいろ、みどり、のいずれかの文字が次々とあらわれま す,その単語の色が何色かをできるだけ速く声に出して 答えて′ください,̲」

各試fllでは、 4輔敏が呈示されてから被験者の言語反応 によりボイスキ‑を作動させるまでをそf)試行の反応潜 時とした,まず、警告刺激として両面の中J)日二アンダー ラインが2000ms 示され、その後1000msのブランク、

そして各刺激が2000msl,1;示されたL‑

各試行の呈′刷射ようンダマイズされ,本試行の課題の 問に休憩を3分間とった,I

美験は大学内の心理学'j班絹壬で実施された.できるだ け講義中などの人の声や物音がしない時間帯を選んで実 験を行ったが、髄音による内蔵マイクの誤作動が生じた 試行がみられた,

そこで、機械の誤作動による記録と反応の異常値(そ れv̲おLJ)、lつ'J'l、ら3S Iけ‖L.離れとlJ申、及び冊沃‑し主'")111.1:

kik,山r'i‑記鉦恒蝣AWtLと =こ頼二よ(主 信KffvxうA 行LLr2昭/',比‖・.の試行が記録から除外された秤廉者につい ては十'JH二信頼性のあるデータは得られなかったものと l朋庁し、分析からは除外された その結果、 23人のうち 17人分のデータか/JH斤の対象とされた

結   果

結果は各被験者について、各条件の平均反応潜時を用 いて分析した,色命名課題と単語読み課題について2 (一致度条件:一致、不‑一致) ×4 (iji語条件)の2要 因とも繰り返しの分散/'}柿を行ったこ,

S L U ) 皆 部 叫 世 増 野 牡

¥w

色命名課題

図1は色命Jf.課題における各条件の平均反応潜時を図

′i<したものである̲

それぞれの条件の反応潜時の平均について、 2X Llの 2要図とも繰り返しの分散分析を行った̲ その結果、 ‑一 致度条件の主効果[F(l,112)=35.82,/>く01]と単語条件 のi凋果[F(3.112)=3.45./x.05]が行意であり、 I‑致 度条件×単語条件の交互作目に百 意な傾向がみられた

[ F(3.112)‑l.蝿17く.10

単語条件の主効果について、単語条件間の羊をみるた めに誤差項(MSと‑2858.42)を用いて2群間の五意圭検 定を行った,その結梨、適用単語条件と回転単語条件の 問「t(112)=2.9且Jフ:.Ol]、および連帯ty語条件と鏡映単 語条件の問[自112)=2.52,/x.05]にそれぞれ有意差が みられた,,また、通常単語条件と倒立単語条件の問lf

(112)=1.帆/フ:.10]には有意な傾向がみられた

また、交互作目に有意な傾向がみられたので、単純効 果の検定を行った 最初に、合成した誤差項 {MSi (/W)=3368.8釦 を用いて,敬虔条件ごとに各単語条 件間の圭をみるために有意差検定を行った‑ そLr)結果、

不 一致条件では、回転単語条件[t(112)‑3.蝕1‑く,Ol]、

倒立単語条件 f(112)=2.83.∫ :.Ol]、鏡映単語条件lt 112)=2.98.pく.01]の3条件が、それぞ頼酎請単語条件 よりも存意に反応潜時が矩かった,

次に、各単語条件ごとに、 ‑tt度粂作間の羊をみるた めに,合成した誤差項 {MSピrI抑<>i)=?>?>(i.89)を用いて 有意差検定を行った̲ その結果、通常単語条件 白 (112)=5.00./フく.01]、 FHl転単語条件「f(112)=2.帆/,く.05]、

長峡vv語条件 t(112)‑2.59./‑ :.05]において不一致条 件の方がI一致条件よりも存意に反応潜時が長く、倒立単 語条作においては不一致条件の方が・致度条件よりも反 応潜時が長Llという傾向がみられた[f<112)=1.72.P

く10]

:、

不一致 図1色命名課題における平均反応潜時

□通常

田回転

田倒立

田鏡映

(5)

IKC

n U   0   n V   n U I O   1 0   n ) L O i n

( S

U I

) 皆

無 世

増 野

1 ‑ ..

不一致 図2 単語読み課題における平均反応潜時

単語読み課題

図2は単語読み課題における各条件の平均反応潜時を 図示したものである.‑.

それぞれの条件の反応潜時の平均について、 2×4の 2要田とも繰り返しの分散分析を行った。その結果、単 語条件の主効果のみ[F(3,112)=13.16./x.Ol]が有意で あり、その他の主効果、交互作用は有意でなかった。.そ こで、単語条件の主効果について、誤差項(MSe

=1276.65)を用いて単語条件間の有意差検定を行ったと ころ、通常単語条件は、回転単語条件白(112)=4.29,1'

<.Ol]、倒立単語条件[t(112)=5.69.フく.01]、脚央単語 条件[r(112)=4.97,/フ:.Ol]よりも反応潜時が有意に梧

かった̲.

≡ム己Ifq

本岬J究の目的は、ストループ干渉が反応を,'h力する段 階で起こると仮定する反応競合説(Morton.1969)を検 討したDunbar& Macleod (1984)の実験を参考に、日本 語のかな色名語を用いて作成した通常の単語条件とその 形態を変化させた変形単語条件を用いて、スト)L,‑プ干 渉課題での色命名の場合と単語読みの場合の反応潜時に 及ぼす効果を比較し、日本語のかな色各単語について反 応競合説を検討することであったニ,

本実験で得られた主な結果は次の通りであったJ 一致 条件を基準として不一致条件との差をもってストJL‑プ

「渉が生起しているととらえた結果、すべての単語条件 で干渉が勺:̲じていた.

色命名課題において不一一致条件では通常単語条件の反 応潜時は、 3つの変形単語条件(rt」転、倒立、鏡映)の 反応潜時に比べて長かったLl しかし、 3つの変形単語条 件の間には有意差は認められなかった,‑.この結果は、通 常単語条件での干渉に比べて変形単語条件での干渉が小

さいことを示している′1,

□通常 田回転 鴎倒立 団鍍映

単語読み課題では、一致条件と不I‑一致条件の単語条件 に有意若が認められなかったEl単語の読みの反応潜時は、

適骨単語条件の方が3つの変形単語条件よりも短かっ た̲.しかし、3つの変形単語条件間の反応潜時には有意 差は認められなかったJこの結果は、単語の形態を変形 したことにより、読みが困難になったことを示すもので あった,

1、月..色合Vu酷趣と単語読み課題の結wま、kl最亮'蝣Vii'.i IIu'L

(Morton,1969)からの予想と一致するものであった.ニつ亘 応競合説では、色命名よりも色名単語の読みが先行して しまうために干渉が/I:̲起すると説明している,J木実験で は通常単語条件よりも単語の読みが遅くなると予想され る3つの変形単語条件(通常、倒立、鏡映)を開いて検 討した′‑その結果、単語読み課題では、変形単語条件は 通常単語条件よりも読みの反応潜時が長くなっているこ とから単語が読みにくいことがわかった.。また、ストル ープ干渉を調べる色命名課題では、変形単語条件は通常 単語条件よりも干渉量が小さいことがH月らかになった:.

これらの結果を併せて考察すると、単語の読みを遅らせ ることで干渉量が減少したことが明らかになったといえ る‑したがって本実験は、Dunbar&Maclcod(1984)の 実験1の結果と‑致しており、H本譜のかな色名単語に よる色一語ストループ干渉においても反応競合説を文持 することができた.

ところで、通常単語条件に比べ、すべての変形単語条 件で「渉昌が減少したが.変形単語条件間に差が見られ なかったことについてDunbar&Macleod(1984)の結果 との違いについて若干考察する。,本実験では、単語読み 課題と色命名課題にそれぞれ適営単語条件と3つの変形 単語条件(回転、倒立、鏡映)を設定した,3つの変形 単語条件は、被験者内の要因として構成した。IJ一方、

Dunbarらの実験では、形態を変化させた単語として用い

た反対単語と転倒反対単語を別々の実験で刺激として皇

示している‑,したがって、Dunbarらの実験では刺激とし

(6)

也‑語ストルー7L十渉における反応競合説の検討

て呈示された単語条件は2種類と少なく、単語の判断が つきやすくなり、変形単語条件での読みの遅れが生じに くかったのかもしれない。‑ 第1実験では本実験のように 通常単語条件と変形単語条件の間に十渉量の変化がみら れたが、第2実験では通常単語条件と変形単語条件の間

に有意差はみとめられなかったのは、このような実験条 什の違いによるものと考えられる

なお、 3つの変形単語条件間においてT・渉量の差があ らわれなかった,‑ この点については次ぎの2つの点が考 えられる,= 第1に考えられる点は、材料に用いた変形単 語条件は、通常単語条件をもとに形態を変化させたが、

それぞれの変形単語条件の間の圭については、最初から 明確な違いを検討して設定したものではなかったという 点である。,さらに、変化の基準は色名単語(2文字また は3文Ji・つ の綴りをひとまとまりとして、可能な限り変 化させたものではあったが、織りの順序まで崩さなかっ た点がある

第2に考えられる点は、手続きにも示したように木実 験では、全員に単語読み課題の後で色命名課題を行うと いう手順で実験を行った点である、被験者は、単語誼み 課題を色命名課題よりも先に行ったので、すべての単語 条件で声に出して読んでいる.その結果、変形した単語 条件問での読みにくさの差を小さくしたJ能性が考えら れる.̲,

以上のように、色一語ストJL,‑プ干渉課題の場合、単 語の読みがストループT渉を引き起こすことに深く関っ ていることが示唆された ・5‑後は、課題の呈′J刊憤序やか な色名語の形態の変形のさせ方、あるいは色名を表す浬 字を刺激材料として用いた場合について実験的な検討が

必要であろう,̲,

最後に、本葉廉の分析に用いなかった統制条件につい て触れておく[= 色命名課 について、実験結果の:JH庁に は、各条件の色名語の1ンクで書いた統制条件(××) を要図に加えなかった̲.その理由は、 Dunbar &Mとicleod (1984)の実験結果との比較のため、色名単語のI‑受丈と 不一致の差でもって干渉をとらえることにしたからであ るL

また、単語読み課題の結果の分析には、各条件の色名 語を黒いインクで書いた統制条件を要因に加えなかっ た,,その理由は、次の通りである:L もし、単語読み課題 でインクの色がI‑致するか、しないかで反応潜時に差が ないなら、単語条件にあらわれる反応潜時はインクの色 からの影響に関係ないので単語の誼みにかかる時間とい える,二 それにより、単語条件間にあらわれた反応I,酎寺の 差は単語の読みの速さの違いであると解釈することがで きるからである,̲、なお、本実験結果から、単語の読みの 際インクの色は影響しないことがわかったJ

171

要   約

本研究の目的は、色‑語ストループ干渉課題において、

呈示する単語条件に、日本語のかな色名単語の形態を変 化させた変形単語条件を新たに設定し、単語条件がスト ループ「渉に及ぼす効果から反応競合説(Morton.1969) を検討することであるし

実験計画は、 2 (課題条件:色命名、単語読み) x2 (一致度条件: ‑一致、不‑・致) ×4 (単語条件:通常、

I̲叫転、倒立、鏡映)ですべて被験者両要因,̲ 被験者は大 学生17呂であった,

実験に用いた材料は、インクの色と色名語が一致する 条件喜‑一致条件、 ・致しない条件を不一致条件とした̲, 色名単語「あか」 「あお」 「きいろ」 「みどり」を通常単 語条件とした.̲ 変形単語条件は通常単語条件をもとに形 態を変化させた4つの単語条件(通常、 rl車転、倒立、鏡 哩)であった,‑,

実験は個別に実施された‑,色命名課題では呈示される 単語のインクの色を言わせ、単語読み課題は早示される 色名単語を読むように教示した̲,終課題の本試行(48試 行)の前に練習試行 00試行)を行い、単語読み課題、

色命名課題の順に本試行を実施した,‑ 刺激の呈示と反応 潜時の記録は、バ‑ソナルコンピュータ Apple Mとicintosh5320)により制御された

各条件のJH元応潜時の平均値を分析に用いたEJ各課題 について一致度条什仁一致、不一受k) ×単語条件(通常、

IIll転、倒立、鏡映)の分析を行ったrJその結果、色命名 課題では不 一致条件において、連帯単語条件は3つの変 形単語条件よりも反応潜時が長かった′‑ しかし、それぞ れの変形単語条件の間には存意差は認められなかったニ, また、 受k条件を基準として不一致条件との差をもって

十渉の(上起をとらえた結果、すべての単語条件で干渉が tじていた,一 次に、単語読み課題では‑一致条件とイく 一致 条件の単語条(牛には有意差が認められなかった ¥M条件 とも通常単語条件の方が3つの変形単語条件よりも反応 潜時が短かった,:しかし、 3つの変形単語条件の間には 五慈善は認められなかった。‑、

J{L心r‑tiiu'Uでは、色.TlH′1よL')も色'蝣/語の読みがIJL行し てしまうためにT・渉が生起すると説明している,一 本実験 では、通常単語条件よりも単語の読みが遅くなると予想 される変形単語条件を設けて検討した̲.その結果、変形 単語条件は適営単語条件よりも読みが遅くなること、色 命名課題では変形単語条件は通常単語条件よりも干渉量 が小さいことが明らかになった,,単語の読みを遅らせる

ことで干渉墨が減少したという本研究の結果は、日本語 のかな色名単語を用いた色‑語ストJL‑プ干渉において

も反応競合説を支持するものであった,‑

(7)

172 藤 田

引用文献

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[付記:宰牌の実施と蒼料の統Hi的処理に際しては、中壇明夫 氏の協JJを得た 記して厚くこ感謝の意を表しますJ]

The Examination of Response Competition Hypothesis in Color‑Word Stroop Inter五rence Task Using Transformed Word Conditions

Tadashi FUJITA

{ Department of Psychology. Nara University of Education, Nara 630‑8528, Japan ) (Received April 28, 2000)

This experiment was conducted to examine the response competition hypothesis of Sti‑oop interference using color‑

word Stroop interference task with transformed word conditions.

Subjects were 17 college students. The experiment was conducted individually and presentaion of stimulus, all time tac‑

tors, records of responses were all controlled by Macintosh Performa 5320 computer with programed by Super‑Mind Lab.

Version 1.4 program. The stimulus were four color words td, yellow, green, and blue). They were given color‑word Stroop task with four transformed word conditions (normal orientation, backward and upside‑down orientation, upside‑

down orientation, reverse orientation). First they did word reading task and then they did color naming task (the Stroop‑

interference task) in succession. In the word reading task, they were asked to read the words in each transformed wor一d

conditions. In color naming task, they were asked to name the color of ink printed word.

The main results were as follows: In color naming (the Slroop‑inteiでference) task, the time to name the color of ink printed word was considerably slower under normal word condition than transformed wor〔1 conditions. But there were no differences among three transformed con〔litions. Iil WOl・d reading task, the time to l・ead the word was considerably slower under transformed word conditions than normal word condition.

These results were compatible with the hypothesis of response competition in color‑word Stroop interference. We transformed the orientation of the word, and as a result the time to name the color of ink of printed word was delayed.

These results showed that the response competition was disappeared an〔1 then Stroop interference was decreased.

Moreover it was suggested that we must investigate Stroop‑inteference effect under the transformed word conclitions using Japanese KANJI character.

Ke*, Words: color‑word Stroop interference, response competition, transformed words

参照

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