• 検索結果がありません。

リサイクル促進のためのアルミニウム空缶の圧縮方法

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "リサイクル促進のためのアルミニウム空缶の圧縮方法"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

リサイクル促進のためのアルミニウム空缶の圧縮方

著者 堀端 眞彦

雑誌名 教育実践研究指導センター研究紀要

巻 6

ページ 15‑22

発行年 1997‑03‑31

その他のタイトル Compression procedures of Aluminum cans to promote recycling

URL http://hdl.handle.net/10105/4335

(2)

堀 端 鼻 彦 (奈良教育大学教育学部技術科)

Compression procedures of Aluminum cans to promote recycling

Masahiko HORIHATA

(Metal Working Laboratory, Department of Technological Education, Nara University of Education)

要旨:環境教育の実践のひとっであるアルミニウム空缶の回収・リサイクル活動促進の一助とし て中学校技術・家庭科での金属加工製作教材があるが、より教育効果の高い新たな圧縮装置を検 討するためにアルミニウム空缶の圧縮に要する荷重の計測を行った。小学生男子の踏みつぶし方 を参考にして、アルミニウム缶の容量および圧縮方法の違いによる圧縮荷重の測定を行い、その 特徴を明らかにした。

キーワード:アルミニウム缶、リサイクル

Synopsis: Loads for compression of aluminum cans are measured to plan a new teaching material in technological education of junior high school. That material may be used to promote collection for recycling of aluminum cans, as the action for environmental educa‑

tion. Referring how to compress aluminum cans by schoolchildren, effects of size and com‑

pression procedures on loads are measured, and features are made clear.

Keywords: Alminum cans, Recycling

1.はじめに

アルミニウム空缶の回収・リサイクル活動が学校、自治会を中心として各地で行われている。

また、環境教育の実践として中学校技術・家庭科でもアルミニウム空缶の回収・リサイクルの重 要性が取り上げられ、金属加工教材としてカンクラッシャが数種類販売されていて、それらを採 用している中学校も見られる。しかし、それらは構造が簡単すぎるため、製作の楽しみが少なく、

圧縮に要する力が比較的大きいために製作後あまり利用されにくく、生徒の興味をひく教材とは いえないものとなっている。そこで、より小さな力で少々複雑な機構を用いても生徒の興味をひ

き、アルミニウム空缶の回収・リサイクル活動の促進に役立てるような圧缶装置を開発する必要

があると考えた。そこで、基礎的研究としてアルミニウム空缶の圧縮に要する荷重の測定を行っ

た。

(3)

2.アルミニウム缶の種類と圧缶の必要性

一般にアルミニウム缶と呼ばれているのは1955年に製造が始まったDI缶(2ピース缶)で、

市販されているアルミニウム缶の容量は135、250、350、500、1000mlの5種類があり、主流は350 mlである。これらは135mlをのぞき缶蓋を小さくして軽量化するために缶ボディの開口端部をネッ キング加工によって縮径化している。このネッキング成形では4段ネックとスムースネックの2 種類が主流である。1)

また、缶蓋には飲み口のタブが取りはずれるプルタブェンドと缶蓋に残るステイオンタブェン ドがあるが、1990年頃より公害やリサイクル化などの立場からステイオンタブェンドが使われは じめ、現在では1000ml缶の一部を除きほとんどがこのタイプである。

写真1はすべて容量350mlのアルミニウム空缶50個分の写真である(背景の格子は50mm間隔)。

(a)は空缶50個そのまま、(b)は足で踏みつぶした後、(C)はさらに材料試験機を用いてプ レスしたもの、(d)は再溶解してアルミニウムだけを固めたものである。

写真から分かるようにアルミニウム空缶はそのままでは非常にかさばり、ごみ入れや回収容器 がすぐに一杯になってしまう。しかし、簡単につぶしただけ(写真1b)でもその体積は約5分 の1になり、回収および運搬の効率が格段に向上することが理解できる。

回収車での圧縮では大量の空缶を一時に圧縮するので、1個ずつ圧縮したものを回収車でさら に圧縮したほうがより効率的である。

(a)未処理 (b)踏みつぶした後

(4)

実際のアルミニウム空缶リサイクルのためには、缶ボディに3000台合金、缶蓋に5000台合金が 用いられているので別々に回収されるほうが望ましい。また再溶解の際、表面の塗料は有害なガ スを発生するので、再溶解の前に塗装を除去する必要もある。

参考までに、容量350mgのアルミニウム空缶の重量は平均約16gで、アルミニウム空缶50個

(約800g)を電気炉で再溶解して得られたアルミニウム鋳塊の重量は約500g(1個あたり約10 g)であった。

3.男子小学生の圧缶方法

帰宅途中の奈良教育大学附属小学校の児童に協力してもらい、容量350mlのアルミニウム空缶 を足で自由に踏みつぶしてもらった。図1はつぶし方を図示したものである。

調査を実施した時間帯の影響で有効な調査結果が得られたのは1、2年生男子および5、6年 生男子のみであったので、その結果を表1に示す。

友達のやり方を見てまねる傾向もあるが、1、2年生ではほぼ全員が空缶を横に置いて中央を 踏みつぶした後に蓋部と底部を別々に踏みつぶ

した(表1のB、図1の③)。蓋部と底部を踏① みつぶす時にとがった所を踏むことをさけるた めに、中央部を踏みつぶした後に裏返して蓋部 と底部を踏みつぶした児童も3名いた。

一万、5、6年生では空缶を縦に置いて勢い よく踏みつぶし、つぶれ具合を友達と比較しあ う児童が多かった(図1の(彰)。

この結果から、低学年ではできるだけ楽に、

より安全に、高学年になると楽しくつぶそうと する傾向がみられ、単なるアルミニウム空缶つ ぶしでもつぶし方を考えながら楽しんで調査に

協力してくれたことがわかる。 図1 空缶の圧縮方法

表1 小学生男子の空缶の踏みつぶし方     人数(%)

横   置   き

縦  置  き 合   計

A B C

1 、 2 年 生 1 (  4 ) 1 9 (8 3 ) 3 (1 3 ) 0 (  0 ) 2 3 (1 0 0 ) 5 、 6 年 生 0 ( 0 ) 6 (2 6 ) 0 (  0 ) 1 7 (7 4 ) 2 3 (1 0 0 )

A:全体を踏みつぶす。

B:中央、トップまたはボトムを3段階で踏みつぶす。

C:中央を踏みつぶした後、裏返してトップまたはボトムを踏みつぶす。

(5)

4.材料試験機による圧縮試験

万能材料試験機(新興通信工業㈱、TOM5000D)を用いてクロスヘッド速度20mm/minで アルミニウム空缶の各種圧縮試験を行った。

試験中の荷重データは試験機の制御盤内の勤ひずみアンプからの出力をA/D変換ボードを介 してパーソナルコンビュT夕(NEC、PC8001MKII)に計示、記録した。必要なプログラム はN80−BASI Cで作成し使用した。2)3)

なお、圧縮試験にはくぼみ、傷等のないアルミニウム空缶を使用した。

4.1 アルミニウム缶容量の影響

アルミニウム空缶を縦に圧縮(図1の①)した場合の圧縮の進行にともなう荷重の変化のパター ンを350ml缶を代表として図2に示す。

圧縮開始直後に座屈による荷重ピークが発生し、その後複雑な局部的座屈現象による荷重の増 減がありながら徐々に荷重が増加してゆき、  5

最終的に折りたたまれた状態になると急激に 荷重が上昇する。

圧縮に必要な荷重を特定するために、圧縮 初期の荷重ピークを座屈荷重、最終的に荷重 が急上昇する以前の最大荷重を圧縮荷重と定 義する。

表2に示す寸法の容量の異なる5種類のア

4         3         り ム

Z よ\d

ルミニウム空缶を縦に圧縮した場合の座屈荷 刷 重と圧縮荷重を図3に示す。図中のプロット 捉

は同一容量のアルミニウム空缶3個の実験結 果の平均値である。

缶胴部の肉厚は場所によって異なり、缶底 部およびネック部の形状も異なるために空缶 の座屈荷重を理論的に検討することは困難で あるので省略する。また、缶メーカーによっ て材質、肉厚が微妙に異なるために実験結果 の絶対的比較はできないが、125ml缶と1000 ml缶が同レベルであり、他の3種類がまた同 レベルであることは非常に興味深い結果であ る。

図3から、座屈荷重と圧縮荷重との差は小 さく、初期の座屈を発生させる荷重で十分に 空缶の圧縮が可能であることがわかる。

缶の高さによって圧縮量が異なるので、総

20  40  60  80 100 120 圧縮量   ×/m m

図2 圧縮の進行にともなう荷重の変化

表2 アルミニウム缶の寸法

缶 容 量

/ m l

寸 法 / mm

直 径   D 高 さ   H

1 2 5 5 2 . 6 6 8 . 8

2 5 0 6 6 . 0 9 3 . 0

3 5 0 6 6 . 0 1 2 2 . 5

(6)

缶が一番低く圧縮量の少ない125ml缶を 圧縮するのに要するエネルギが1000ml缶と 同程度であるのは圧縮の途中でも他に比較 して高い荷重が発生しているためである。

図4の結果からも座屈荷重で空缶の圧縮 に必要な力を検討できることが明らかになっ た。

4.2 圧縮方法の影響

主流である容量350mlのアルミニウム空 缶を横において以下の圧縮方法について圧 縮試験を実施した。

A 全体を圧縮(図1の②)

B 缶胴の中央部の幅40mmの部分 を圧縮(図1の③−1)

C Bの後、全体を圧縮 D Bの後、缶蓋部を圧縮(図1

の(彰一2)

E Dの後、缶底部を圧縮(図1 の③−3)

スムースネック缶を用いてそれぞれの方 法で圧縮した際の荷重の変化を図5に示す。

全体を1回で圧縮する場合(C)をのぞ き、圧縮中は全般に低荷重で、最終段階で 急激に荷重が上昇する傾向が見られる。

圧縮に必要な荷重を比較するために最終 的に荷重が急激に上昇する圧縮量の90%ま で圧縮した状態での最大の荷重P蘭を求め、

図6に示した。

中央部を圧縮する(B)にはごく低荷重 で可能であるが、中央を圧縮した後に全体 を圧縮した場合(C)、最初から全体を圧 縮する場合(A)よりかえって荷重が高く

2     1

Z J\d 個性

1

− と   l 1 1

● l 0

1串1−丁1−−−  −  1 ◆○

・月王縮荷重

○:,座屈荷重

135 250 350 5001000

缶容量  /×10 ̄6m3 図3 缶容量の違いによる圧縮荷重の相違

 ̄つ 0.4

\0.3

L⊥」

叶0.2

∴ゝ

 ̄ ̄ヽ

叶 H O.1

缶容量  /×10 ̄6m3 図4 圧縮に要するエネルギの相違 なり、手間がかかるだけで非効率的となる。

しかし、中央部を圧縮した後に缶蓋部と缶底部を別々に圧縮した場合(B、D、E)には約半 分の荷重で圧縮することが可能であることが明らかになった。この圧縮方法は小学校1,2年生 男子の多くが選択した方法である。

参考のために市販教材のカンクラッシャを用いて図7に示すように圧縮をした場合の荷重の変

化を図8に示す。図中の記号は、F:4段ネック缶、S:スムースネック缶、T:缶蓋部が支点

(7)

側、B:缶底が支点側、をそれぞれ表す。

てこを利用しているにもかかわらず、圧 縮に1kN以上の荷重が必要であり、小・

中学生が使用するにはかなりいきおいよく 踏みつける必要があることがわかる。

前述のEの場合でも約1kNの荷重が必 要であったが、この場合は直接に圧縮して いるので、てこ等の機構を用いればより低 荷重で圧縮が可能であることが容易に想像 できる。

以上の結果から、中学校技術・家庭科で 製作できる教材として次の2種類を提案し たい。

1)歯車、てこ等を利用して足踏み の力を増幅してアルミニウム空 缶を縦に圧縮する教材

2)カム、てこ等を利用して足踏み でアルミニウム空缶を横置きで 部分的に段階的に圧縮する教材 両方とも完全につぶれるまでに何回もペ ダルを踏む必要があるが、小学生低学年で も楽に踏みつぶせる荷重でアルミニウム空 缶を効率的に圧縮できる装置を設計・製作 することが十分可能であると考えられる。

異体的な設計は今後行う予定であるが、

共に生徒1人で1台製作するのは授業時間 の問題から困難であり、また家庭に1台置 くには大きすぎるものとなるので、グルー プ製作で空缶集積所または自動販売機置き 場に1台設置することが理想的と考える。

5.まとめ

小学生男子のアルミニウム空缶の踏みつ ぶし方を参考にアルミニウム空缶の圧縮に

Z

・ゼ 2

10  20  30  40  50  60

圧縮量   ×/m m 図5 圧縮方法の違いによる荷重変化の相違

A B C D E

圧縮方法

図6 圧縮方法による圧縮荷重の比較

要する荷重の測定を行った。その結果、中学校技術・家庭科の製作教材としての新しい空缶圧縮

装置の設計に必要なデータを得ることができた。また、アルミニウム空缶リサイクルに対する興

(8)

図7 カンクラッシャによる圧縮

50   100  150   200

圧縮量  X/m m

図8 カンクラッシャによる圧縮荷重変化

参考文献

1)田尻彰:「講座 アルミニウムの製造技術10 アルミニウムの薄板成形」、『軽金属』、45(4)

pp226−246、1995.

2)NEC:『PC−8001mkII n80−BASICリファレンスマニュアル』、1983.

3)牟田慎一郎:『PCファミリー・テクニカル・ノウハウ集 PC−8001mkIIシリーズ編』、㈱

参照

関連したドキュメント

の変化は空間的に滑らかである」という仮定に基づいて おり,任意の画素と隣接する画素のフローの差分が小さ くなるまで推定を何回も繰り返す必要がある

: 漏出源を遮断し、漏れを止める。少量の場合には土砂、ウエ

以上,本研究で対象とする比較的空気を多く 含む湿り蒸気の熱・物質移動の促進において,こ

断面が変化する個所には伸縮継目を設けるとともに、斜面部においては、継目部受け台とすべり止め

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

本装置は OS のブート方法として、Secure Boot をサポートしています。 Secure Boot とは、UEFI Boot

限られた空間の中に日本人の自然観を凝縮したこの庭では、池を回遊する園路の随所で自然 の造形美に出会

測定結果より、凝縮器の冷却水に低温のブライン −5℃ を使用し、さらに凝縮温度 を下げて、圧縮比を小さくしていくことで、測定値ハ(凝縮温度 10.6℃ 、圧縮比