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信用格付業者規制とその導入の影響

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はじめに

信用格付けとは,債券等の元本償還と利子支払 いが約束の期日に,確実に支払われるかを評価し,

簡単な格付け記号で表示したものである。格付会 社が,専ら債券等の信用格付けを行い,投資家の ために投資情報として意見表明したものである。

格付け情報の経済的意味は,債券発行会社と投資 家との間の情報の非対称性を解消することである。

平成21年に,我が国に初めての信用格付け規 制が金融商品取引法に導入された(1

格付会社に対する規制の議論の背景については,

サブプライム問題が顕在化した2007年7月以降,

欧米での証券化商品について短期間に大幅かつ大 量に格下げがあり, 米系の格付会社 (S& P, Moody・s)のサブプライムローン債券の証券化,

仕組債のCDOの格付けの失敗が顕現化したので ある。この格付けの失敗から欧米では,格付けに ついての在り方が議論された(2。そこでの主な論 点は,格付会社の利益相反,格付けや格付け を前提となる情報の正確性,情報開示・情報の透 明性,商品ごとの(特に証券化商品と他の金融 商品)の格付けの区別などである(3

こうした欧米での格付けをふまえ,我が国にお いても市場の公正性・透明性の確保の観点から(4, 格付けの在り方や格付けに対する監督・規制に関 する議論が進められ,平成21年に改正金融商品 取引法に信用格付業者規制が新たに導入された。

本稿では,改正金融商品取引法(以下,金商法 と称す)における格付けと信用格付業者の監督・

規制の体制整備等の在り方とその導入の影響を論

究する。

1 .格付会社に対する公的規制の概要

金融庁総務企画局(平成21年10月)公表の

「平成21年金融商品取引法改正等に係る政令・内 閣府令案の概要」では,格付会社に対する公的規 制の導入に関して次のようにまとめている。

信用格付業者に対する規制・監督について 体制が整備された格付会社を登録制にする。そ の格付会社を信用格付業者と呼ぶとしている。

1) 信用格付業者の規制の概要

登録信用格付業者は次の事項を義務づけら れる。

イ,誠実義務:独立した立場において,公正 かつ誠実にその業務を遂行すること ロ,体制整備:格付プロセスの品質管理・公

正性確保,利益相反防止等

・格付プロセスの品質管理:

① 専門的知識・技能を有する人員の確保,

② 格付に用いる情報の品質確保,

③ 付与した格付けにかかる点検・更新

(モニタリング)等

・独立性・公正性確保とは格付委員会によ る格付決定と委員のローテーション等

・利益相反防止:

① 利益相反行為の特定・利益相反回避措 置・公表

② 転職したアナリストが過去に関与した 転職先の案件のレビュー等

・上記以外に,法令等遵守,情報管理・秘

特別論文

信用格付業者規制とその導入の影響

箕 輪 徳 二

(2)

密保持,苦情対応,格付方針等遵守,監 督委員会の設置等である。

ハ,禁止行為:

① 格付対象商品の発行者等と一定の密接 な関係を有している場合の格付提供の禁 止

② 格付対象商品の発行者等に対して格付 に重要な影響を及ぼす事項について助言 を行った場合に格付提供の禁止,

③ 投資者の保護に欠け,又は信用格付業 の信用を失墜させるもの→担当の格付ア ナリストが格付プロセスにおいて,格付 対象商品の発行者等から金銭又は物品の 交付を受けることの禁止等。

ニ,情報開示:

① 適時の情報開示→格付方針等の公表

② 定期的な情報開示→説明書類の公衆縦 覧。

○適時公表

・格付付与方針等の要件:

① 収集したすべての情報資料を総合して 判断すること,

② 発行者等に対して事実誤認の有無の事 前確認をすること等。

・格付提供方針等の要件:

① 格付けを遅滞なく広く一般に提供する こと,

② 格付提供時に表示・公表すべき事項→

採用した格付付与方針等の概要,格付の 前提

・意義・限界等

○説明書類(年1回公表・公衆縦覧):

① 付与した格付の履歴・統計情報,

② 体制整備の状況等

2) 信用格付業者に対する検査・監督等

・事業報告書の提出,報告徴求・立入検査,

業務改善命令等の監督規定の整備

3) 無登録業者による格付付与の場合,金融商 品取引業者等は,金融商品取引契約の締結の 勧誘時に以下の点についての説明責任が課さ れることになった。

金融商品取引業者等が①無登録業者による格 付であること,②内閣府令で定める事項(格 付付与に用いられた方針・方法等の概要,格 付けの前提・意義・限界)等を説明すること なく無登録業者の格付けを提供することを制 限する規定を設けたのである。

以下,こうした格付業者規制・監督の事項につ いて詳細に論述する。

2 .信用格付業者,信用格付業,信用 格付の定義

金商法は,「この法律において「信用格付業者」

とは,第66条の27の規定により内閣総理大臣の 登録を受けた者をいう」(金商法2条36項)であ る。第66条の27では「信用格付業を行う法人

(法人でない団体で代表者は管理人の定めのある ものを含む,次条第1項2号及び第66条47を除 き,以下この章において同じ。)は,内閣総理大 臣の登録を受けることができる」である。つまり,

信用格付業者とは,信用格付業を行う法人で内閣 総理大臣の登録を受けた者である。ここでの規定 の表記が,「信用格付業者として内閣総理大臣の 登録を受けることができる」の選択的規定となっ ていることである。信用格付業を無登録で行うこ ともできるが,無登録業者の格付付与の金融商品 については,金融商品取引業者が一定の説明責任 を義務づけられている。

このことから,無登録業者は,信用格付けを行 うのは一般的には難しく登録をうけて,信用格付 業を行うことになると考えられている(5

ここに出てくる信用格付業は,「この法律にお いて,『信用格付業』とは,信用格付を付与し,

かつ,提供し又は閲覧に供する行為(行為の相手 方の範囲その他行為の態様に照らして投資者の保 護に欠けるおそれが少ないと認められるものとし て内閣府令で定めるものを除く(6。)を業として 行うことをいう」(金商法2条35項)である。つ まり,信用格付業は,信用格付を付与し,かつ提 供又は縦覧に供する行為を業として行うことであ る。したがって,銀行等が行内格付けを行うこと 社会科学論集 第139号

(3)

は外部に縦覧等を目的になされないので,ここで いう信用格付業には当たらない。

さらに,ここでの信用格付とは,「この法律に おいて『信用格付』とは,金融商品(7又は法人

(これに類するものとして内閣府令(8で定めるも のを含む。)の信用状態に関する評価(以下この 項において「信用評価」という。)の結果につい て,記号又は数字(これらに類するものとして内 閣府令(9で定めるものを含む。)を用いて表示し た等級(主として信用評価以外の事項を勘案して 定められる等級として内閣府令で定めるもの(10 を除く。)をいう」(金商法2条34項)である。

つまり,信用格付は,金融商品又は法人等の信用 評価の結果を,簡易な記号又は数字で順序を示す 等級をいう。

以上,信用格付業は,信用格付業者が付与した 信用格付け情報を,当該依頼法人に提供し,かつ 広く縦覧に供する行為を業として行うことで,投 資家等は,その情報を無償で入手できることにな り,格付業者の格付け手数料は債券等発行者が支 払うIssuer-Pay・sModelとなり,利益相反問題 が起こり易い仕組みが残ることになる。

3 .信用格付業者に対しての規制,監督

信用格付業者は,金商法第3章の3(信用格付 業者)に定められている。信用格付業者は,金融 商品取引業者の一類型として規制を受けるのでは なく,金融商品取引業者とは別の業態として同法 の規程が適用される(11

① 信用格付業者の登録(金商法66条の27) は,前述のとおり,総理大臣の登録を受ける ことができる,規定になっている。

② 業務遂行の誠実義務(金商法66条の32) は,「信用格付業者並びにその役員及び使用 人は,独立した立場において公正かつ誠実に その業務を遂行しなければならない」である。

③ 格付会社の業務管理体制の整備(「金融商 品取引業等に関する内閣府令」平成22年内 閣府令7(以下「金商業等府令」と称す):

「金商業等府令」第306条)は,次のように

規定されている。

その第1項「法第66条の33第1項の規定によ り信用格付業者が配備しなければならない業務管 理体制は,次に掲げる要件を満たさなければなら ない。」である。

第1号 常に公正不偏の態度を保持し,自らの 責任おいて信用格付行為を行うための措置が 取られていること。

第2号 格付担当者が連続して同一の格付関係 者が利害を有する事項を対象とする信用格付 の付与に係る過程に関与する場合において,

当該格付け関係者から独立した立場において 公正かつ誠実にその業務を遂行するための次 のいずれかの措置がとられていること。

イ 信用格付の付与に係る過程に関する主任 格付けアナリストが同一の格付関係者が利 害を有する事項を対象とする信用格付の付 与に係る過程に5年間継続して関与した場 合には,その後2年間当該格付関係者が利 害を有する事項を対象とする信用格付の付 与に係る過程に関与しないための措置。す なわち,主任格付けアナリスト5年継続し た場合の交替,2年間当該格付けに関わら ないことを必要とする規定である。

ロ 信用格付の付与に係る信用格付業者の最 終的な意思決定を合議体で行い,かつ,当 該合議体の構成員の総数の3分の1以上の 構成員について同一の格付関係者が利害を 有する事項を対象とする信用格付(資産証 券化商品以外の信用評価事項が,同一事業 年度内に当該信用格付事項の2以上の信用 格付をした時は,当該2以上の格付を一の 信用格付けとみなす。)の付与に係る過程 に関与しない措置。すなわち,合議体格付 けの場合,3分の1交替による格付け規制 である。

第3号 公正に信用格付行為を行うことについ て重要な疑義がある者を採用しないための措 置がとられていること。

第4号 信用格付業者の業務の適正を確保する ための次に掲げる体制の整備に係る措置が取

(4)

られていること。イ~ハ役員の職務の効率的 執行・情報の保存及び管理・損失の危険管理 のそれぞれの体制。

第5号 法令遵守を確保するための次の掲げる 措置

イ~ハ 略。

第6号 信用格付の付与に係る過程の品質の管 理の方針の策定及びその実施に関する次に掲 げる措置が取られていること。

イ 信用格付業の業務を適正にかつ円滑に遂 行しえる専門的知識及び技能を有する人員 の確保措置(~合議体の構成員の選任方法 及びその意思決定の方法等)

ロ 信用格付の付与のために用いられる情報 について十分な品質を確保するための措置 ハ 専門スタッフを十分確保できないときに

当該格付けを付与しない措置

ニ 格付付与方針等の妥当性及び実行性につ いて検証を適正に行う機能を整備するため の措置(資産証券化商品の原資産の信用状 態の特性が変化した場合における当該資産 証券化商品の格付付与方針等の妥当性及び 実効性についての検証を適正に行うための 措置を含む。)

ホ 格付付与方針等について重要な変更を行っ たときは,当該格付付与方針等に基づき付 与した信用格付けのうち,変更後の格付付 与方針等に基づき変更するか否かについて 判断すべき信用格付の範囲及び更新に要す る期間を遅滞なく公表し,当該期間内に必 要な更新を行うための措置

ヘ 資産証券化商品(当該資産証券化商品の 設計が過去に信用格付を付与した資産証券 化商品の設計と著しく異なる場合に限る。)

の信用状態に関する評価を対象とする信用 格付を適正に付与することが可能であるこ とを検証するための措置。

ト 付与した信用格付に係る検証及び更新を 適切かつ継続的に実施するための措置(こ うしたことを実施しない場合の,その旨及 び必要事項の公表のための措置)。

第7号 信用格付業に係る利益相反を防止する ための次に掲げる措置が取られていること。

イ 信用格付行為のうち利益相反又はそのお それある行為(以下この章において「特定 行為」という。)を適切な方法により特定 し,当該行為が投資者の利益を害しないこ とを確保するための措置(次に掲げる措置 を含む,以下この章において「利益相反回 避措置」という。)

格付担当者の利益相反のおそれある有 価証券の売買禁止。

当該格付事項に格付関係者と役員及び 使用人との間で利益相反のおそれある場 合,格付過程に役員及び使用人が関与し ない措置。

信用格付業者と格付関係者との間で利 益相反のおそれある次の場合,信用格付 業者の格付付与において,投資者の利益 を害さない措置の確保(ⅰ信用格付業者 の格付関係者からの融資,ⅱ信用格付業 者の総株主等の議決権の100分の5以上 の議決権(第16条に規定するものを除 く)を保有している者が格付関係者であ る場合,ⅲ格付関係者が信用格付業者が 発行する有価証券の引受人となる場合,

ⅳ格付関係者から信用格付行為に係る役 務以外の役務の対価として多額の金銭そ の他の財産上の利益を受けている場合)

格付担当者が格付関係者の役員又はこ れに準ずる者に付くことを目的として自 ら働きかけを行うことを防止するための 措置

略,

ロ 特定行為の種類及び利益回避措置の概要 を適切な方法により公表するための措置。

第8号 関連業務及びその他業務に係る行為が 信用格付行為に不当な影響を及ぼすさないた めの措置がとられていること。

第9号 資産証券化商品の信用状態に関する評 価が信用格付けの対象となる事項である場合 において,第3者が独立した立場において当 社会科学論集 第139号

(5)

該信用格付けの妥当性について検証すること ができるための次に掲げる措置がとられてい ること。

イ 第3者が当該信用格付の妥当性を評価す るために重要と認められる情報の項目を整 理して公表すること。

ロ 格付関係者に対し,当該資産証券化に関 する情報(イの情報を含む)の公表その他 の第3者が当該信用格付の妥当性について 検証することができるための措置を講じる よう働きかけを行うこと。

ハ 信用格付業者がロに基づき行った働きか けの内容及びその結果(格付け関係者から の当該資産証券化商品に関のする情報の公 表状況について,聴取した結果をいう)に ついて公表すること。

第10号~第16号 略

第17号 信用格付業者において前各号に掲げる 措置が適切に講じられていることを確保する ため,次に掲げる要件を満たす委員会(以下 この章において「監督委員会」という。)の 設置に関する措置が取られていること。

イ 委員のうち3分の1以上(委員が3名以 下の場合にあっては,2名以上)は,信用 格付業者,当該信用格付業者の子法人,当 該信用格付業者を子法人とする他の法人の 子法人(当該信用格付業者を除く。)の役 員(監査役又は監事その他これらに準ずる ものを除く。)又は使用人(以下イにおい て「関係役員等」という。)ではなく,か つ,過去5年以内に関係役員等となったこ とがない者(以下この章において「独立委 員」という。)であること。

ロ 委員の過半数が金融に係る専門知識を有 する者であること。

ハ 独立委員の報酬等の額が信用格付業者の 信用格付業の業務の実績の影響を受けない こと。

ニ 独立委員は,不正行為を行った場合,職 務上の義務違反があると認められた場合又 は法令に基づく場合をのぞいては,在任中,

その意に反して罷免されることがないこと。

第2項~第8項 略

④ 名義貸しの禁止 (金商法66条の34) は

「信用格付業者は,自己の名義をもって,他 人に信用格付業を行わせてはならない。」で ある。

⑤ 信用格付業に関しての禁止行為(金商法 66条の35)では,「信用格付業者又はその役 員若しくは使用人は,その行う信用格付業に 関して,次の行為をしてはならない。

第1号 信用格付業者又はその役員若しくは使 用人が格付関係者と内閣府令で定める密接な 関係を有する場合(12において,当該格付関 係者が利害を有る事項として内閣府令で定め る事項(13を対象とする信用格付を提供し,

又は閲覧に供する行為,

第2号 格付関係者に対して当該格付関係者に 係る信用格付に重要な影響を及ぼすべき事項 として内閣府令で定める事項(14に関して助 言を行った場合(格付関係者からの求めに応 じ,次条第1項に規定する格付方針等の内容 を告げた場合その他助言の態様に照らして投 資者の保護に欠ける恐れがすくないと認めら れる場合として内閣府令で定める(15場合を 除く。)において,当該信用格付を提供し,

又は閲覧に供する行為,

第3号 前二号に掲げるもののほか,投資者の 保護に欠け,又は信用格付業の信用を失墜さ せるものとして内閣府令で定める行為(16で ある。

つまり,格付けを提供できない事項として,信 用格付業者又はその役員,使用人及びその親族が 当該格付関係者及びそれに準ずる者である場合又 は,格付関係者の発行している有価証券の保有者 又はデリバティブ取引の権利の所有者の場合は,

その信用格付提供又はその閲覧に供する行為があ る。さらに,格付関係者が,当該信用格付に重要 な影響を及ぼす助言により当該信用格付を提供す る,いわゆる信用格付業者によるコンサルティン グ行為の禁止がある。しかし,当該格付関係者か ら提供された情報又は事実が信用格付の付与に与

(6)

える影響について,格付方針及びこれに関連する 事項に基づき説明した場合は,禁止行為でのコン サルティングに当たらないとされている(注(15) 参照)。

⑥ 格付方針等(金商法66条の36)は,次の とおりである。

第1項 信用格付業者は,内閣府令で定めると ころにより,信用格付を付与し,かつ,提供 し又は閲覧に供するための方針及び方法(次 項において,「格付方針等」という。)を定め,

公表しなければならない。これを変更したと きも,同様とする。

第2項 信用格付業者は,格付方針等に従い,

信用格付業の業務を行なわなければならない。

格付方針等の記載事項の内閣府令は次のようで ある。

「金商業等府令」313条(格付方針等の記載事 項)

第1項 法第66条の36第1項に規定する格付 方針等は,次に掲げる事項を記載して定めな ければならない。

第1号 信用格付の付与に係る方針及び方法

(以下この章で「格付付与方針等」という。),

第2号 信用格付を提供し,又は閲覧に供す る行為に係る方針及び方法(以下この章で

「格付提供方針等」という。),

第2項 格付付与方針等は,次に掲げる要件を 満たすものでなければならない。

第1号 厳格かつ体系的なものであること,

第2号 収集した金融商品又は法人の信用状 態(当該信用状態に関する評価が信用格付 の対象となる事項であるものに限る。)に 係るすべての情報資料を総合して判断する ものであること,

第3号 信用格付の対象となる事項の区分及 びその細目に応じ,次に掲げる事項が記載 されていること(イ 信用状態に関する評 価の前提となる事項及び信用状態に関する 評価の結果を示す等級を定めるために用い る基準,ロ 信用格付の付与に係る方法の

概要)。

第4号 付与した信用格付を提供し,又は閲 覧に供する前に,あらかじめ,当該信用格 付の付与に信用格付業者が利用した主要な 情報に関し,格付関係者が事実の誤認の有 無について確認することが可能となるため の方針及び方法(当該信用格付関係者が意 見を述べるために必要な合理的な時間を確 保するための方針及び方法を含む。)が記 載されていること。

第5号 信用格付関係者の依頼によらず信用 格付の付与を行う場合における当該信用格 付の付与に係る方針及び方法が記載されて いること。

第3項 格付提供方針等は,次に掲げる要件を 満たすものでなければならない。

第1号 付与した信用格付を提供し,又は閲 覧に供する行為が当該信用格付後遅滞なく 行われることとされていること。

第2号 付与した信用格付を提供し,又は閲 覧に供する行為が広く一般に対して行われ こととされていること。

第3号 付与した信用格付を提供し,又は閲 覧に供する場合には,次に掲げる事項をイ ンターネットの利用その他の方法により公 表することとされていること。ただし,資 産証券化商品の信用状態に関する評価が信 用格付の対象となる事項である場合には,

ホに掲げる事項(第307条2項1号又は2 号に掲げる者の氏名又は名称に限る。)に 代えて,同項1号又は2号に掲げる者の業 種,規模及び所在する地域並びに公表しな い合理的な理由を公表することができる。

イ 信用格付業者の商号又は名称及び登録 番号並びに当該信用格付業者に対して直 近1年以内に講じられた監督上の措置の 内容,

ロ 信用格付を付した年月日,

ハ 信用格付の付与に係る過程に関与した 主任格付アナリストの氏名及び信用格付 の付与についての信用格付業者を代表し 社会科学論集 第139号

(7)

て責任を有する者の氏名,

ニ 信用格付の付与に当たり採用した前項 3号に掲げる事項(同号ロに掲げる事項 にあっては,重要なものに限る。)及び 信用格付の対象となる事項の概要,

ホ 格付関係者の氏名又名称,

ヘ 信用格付の対象となる事項が資産証券 化商品の信用状態に関する評価であり,

かつ,過去に信用格付を付与した資産証 券化商品の設定と著しく異なる場合には,

その旨,

ト 勝手格付の場合に,その旨及びその格 付け付与の過程で格付関係者から公表さ れていない情報を入手したか否か,

チ 付与した信用格付の変更を行わない場 合は,その旨及び理由,

リ 付与した信用格付の前提,意義及び限 界に関する当該信用格付の対象となる事 項の区分に応じた説明(信用格付の変動 の特性に関する説明等),

ヌ 信用格付の付与に当たり用した主要な 情報に関する次に掲げる事項(①当該情 報の概要,②当該情報の品質を確保する ために講じられた措置の概要,③当該情 報の提供者),

ル 付与した信用格付の対象となる事項が 資産証券化商品の信用状態に関する評価 に関するものである場合には,次に掲げ る事項(①損失,キャッシュ・フロー及 び感応度の分析に関する情報,②付与し た信用格付の対象となる事項が資産証券 化商品の信用状態に関する評価であるこ とを明示するための記号又は数字その他 の表示(当該表示に基づき投資者が当該 信用格付の意義及び限界を理解するため の説明を含む。))。

第4項 付与した信用格付の撤回に関する情報 が遅滞なく行われることとされていること。

第5項 信用評価の結果の妥当性について,金 融庁長官その他の行政機関がこれを保証した ものと誤解されるおそれがある表示を行わな

いこと(「金商業等府令313条」)。

つまり,信用格付業者の格付方針は,「信用格 付付与方針等」と「格付提供方針等」の事項を記 載し定めなければならない。「信用格付付与方針 等」の主な事項は,信用状態に関する評価の前提 事項及び信用状態に関する評価の結果を示す等級 を定めるために用いる基準,及び信用格付の付与 に係る方法の概要等である。「格付提供方針等」

の主な事項,付与した信用格付けの提供又は閲覧 が広く一般に対してなされること,格付関係者の 氏名又は名称,信用格付の前提,意義及び限界に 関する当該信用格付の対象となる事項の区分に応 じた説明,資産証券化商品の格付であることを明 示するための記号又は数字等の表示について,そ の公表手段としてインターネット等を用いること を定めている。

⑦ 信用格付業者のその他の事項には,次の規 則の定めがある。

それは,業務に関する帳簿書類(金商法66条 の37),事業報告書の提出(17(金商法第66条38),

説明書類の縦覧(金商法66条の39),監督規定・

雑則(金商法第66条の第40~第66条の49)で ある。

ここで,「金商法」第66条37(業務に関する 帳簿書類)を見ると次のようである。

「信用格付業者は,内閣府令で定めるところに より,信用格付業者に関する帳簿書類を作成し,

これを保存しなければならない。」である。

そして,「金商業等府令」第315条(業務に関 する帳簿書類)で次のように定めている。

「①法第66条の37の規程により信用格付業者 が作成すべき帳簿書類は,次に掲げるものとす る。

一 付与した信用格付に関する次に掲げる事項 に係る記録

イ 付与した信用格付,当該信用格付を付与 した年月日及び当該信用格付の対象となる 事項

ロ 第313条3項3号に掲げる事項(インター

(8)

ネット等での信用格付を提供し,又は縦覧 に供する事項)

ハ 信用格付の付与に係る過程に関与した格 付アナリストの氏名及び信用格付の付与に ついて信用格付業者を代表して責任を有す る者の氏名

ニ 信用格付の付与に係る信用格付業者とし ての最終的な意思決定を合議体で行う場合 における当該合議体の構成員の氏名,当該 合議体に提出された資料及び意思決定の根 拠その他の記録(合議体で行わない場合に は,その旨及びその理由)

ホ 関係法人が信用格付の付与に係る過程に 関与した場合には,当該関係法人の名称及 び所在地

ヘ 主として定量的分析に基づき信用評価を 行った場合について,当該定量的分析に基 づき信用評価を行った結果と付与された信 用格付との間に重要な差異があるときは,

当該差異の原因となった主な事項

ト 信用格付の付与の基礎となる資料(格付 関係者との交渉の経過を記録した者を含む。)

チ 格付関係者からの依頼に基づき付与され た信用格付であるか否かの別

リ 信用格付業者及びその格付担当者と格付 関係者との間における利益相反を防止する ために講じた措置の概要

二 信用格付業者に対し手数料を支払った格付 関係者に関する次に掲げる事項に係る記録 イ 氏名又は名称及び住所

ロ 手数料の額

ハ 手数料に係る役務の内容

三 信用格付業者が提供する役務又は商品の概 要を記録した書面

四 格付付与方針等の基礎となる信用評価に関 する書面

五 法令等遵守の状況に関する調査の結果を記 載した書面

六 特定行為及び利益相反回避措置を記載した 書面

七 監督委員会の議事録

八 略」

以上が,信用格付業者が,保存すべき帳簿書類,

業務書類等である。

4 .「金商法」における信用格付業者の 格付規制の考え方

「金商法」における信用格付業者規制は,監督 官庁の金融庁が,信用格付業者の行う信用格付評 価の方法の具体的内容に関与しないよう規定して いる(「金商業等府令」第325条)。つまり,金融 庁は,信用格付業者の行う信用格付け評価の方法 には介入しない。あくまでも,信用格付業者の信 用格付けの質向上に資する格付評価のための情報 の質の確保,検証,利益相反防止措置,証券化商 品に対しての格付評価の検証のための「独立委員」

を含む「監督委員会」措置,格付けの透明性確保 のための「格付付与方針等」,「格付提供方針等」

情報開示義務等の格付け周辺環境の整備,監督に 徹することにしている。

その監督官庁の格付会社への監督の規制内容は 以下のとおりである。

① 「金商業等府令」第325条(適用上の注意)

について

「金融庁長官は,法第66条の41(業務の改善 命令),第66条の45第1項(報告の聴取及び検 査)に規定する権限を行使する場合には,個別の 信用格付又は信用評価の方法の具体的な内容に関 与しないようにしないように配慮するものとする。」

である。

② 「金商法」第66条の41(業務の改善命令)

について

「内閣総理大臣は,信用格付業者の業務の運営 の状況に関し,公益又は投資者保護のため必要か つ適当であると認めるときは,その必要の限度に おいて,当該信用格付業者に対し,業務の方法の 変更その他業務の運営の状況の改善に必要な措置 を取るべきことを命ずることができる。」である。

社会科学論集 第139号

(9)

③ 「金商法」第66条の45(報告の聴取及び 検査)について

「①内閣総理大臣は,公益又は投資者保護のた め必要かつ適当であると認めるときは,信用格付 業者,これと取引する者,当該信用格付業者から 業務の委託を受けた者若しくは当該信用格付業者 の関係法人(当該信用格付業者の子法人,当該信 用格付業者を子法人とする法人又は当該信用格付 業者を子法人とする法人の子法人(当該信用格付 業者を除く。)であって,信用格付の付与又は提 供者若しくは閲覧に供する行為を業として行う法 人をいう。以下この項において同じ)に対し当該 信用格付業者の業務に関し参考となるべき報告若 しくは資料の提出を命じ,又は当該職員に当該信 用格付業者,当該信用格付業者から業務の委託を 受けた者若しくは当該信用格付業者の関係法人の 業務の状況若しくは書類その他の物件の検査(当 該信用格付業者から業務の委託を受けた者又は当 該信用格付業者の関係法人にあっては,当該信用 格付業者の業務に関し必要な検査に限る。)をさ せることができる。

第2項の「子法人」とは,法人がその総株主等 の議決権の過半数を保有する他の法人をいう。こ の場合において,法人及びその一若しくは二以上 の子法人がその総株主等の議決権の過半数を保有 する他の法人は,当該法人の子法人とみなす。」

である。

5 .信用格付業者の格付規制導入の影響

信用格付業者の格付規制導入の影響は,格付会 社の側面,機関投資家・投資家の側面から考える ことができる。

① 格付会社への影響

格付会社への信用格付業者の格付規制導入の影 響は,次のようなことが考えられる。

その1つが,監督官庁に,申請書類がたくさん あるため作成のための人材・コストがかかる。そ の2つが,経営の管理運営・格付け業務過程等の 監督(経営管理者)と格付け業務(格付けアナリ

スト)の業務分離を明確に分けて経営をしなけれ ばならないため,経営管理等運営費がかかる。そ の3つが,優秀なアナリストの人材確保・研修に 大変苦労する。その4つが,米国の証券化商品規 制がきついためその格付け事業から撤退している

(JCRは,米国の証券化商品格付事業から撤退,

R& Iは米国のすべての格付けから撤退した)。

② 機関投資家・投資家への影響

格付会社は,ネットで格付情報の開示を強制さ れているため,機関投資家等は,コストをかけず に信用情報を得られるため,利便性が増したと考 えられる。

以上のことから,信用格付業者の格付規制導入 の影響で一番大きな懸念は,格付会社が,規制業 種になり,規制に従っていればよいことになり,

格付けの質は二の次になるのではないかとの懸念 である。さらに,利益相反回避のため,格付けロー テーションルールを導入している。主任格付けア ナリスト5年継続した場合の交替,2年間当該格 付けに関わらないこと,格付けの最終意思決定を 合議体で行っている場合は,次の当該の関係する 格付けにはそのメンバーの3分の1の交代を義務 付けられている。こうした格付けアナリストのロー テーションルールが,その業種,個別会社につい ての継続的なモニタリング,業界の知識の蓄積を してきているベテランアナリストを交代させるの は,むしろ格付けの分析評価の専門性を低めるの ではないかとの懸念がある。

おわりに

平成21年に,我が国に初めての信用格付け規 制が金融商品取引法に導入された。格付会社に対 する規制の議論の背景については,サブプライム 問題が顕在化した2007年7月以降,欧米での証 券化商品について短期間に大幅かつ大量に格下げ があり,米系の格付会社のS& P,Moody・sがサ ブプライムローン債権の証券化商品,CDSの格 付けの失敗が発生したのである。こうして欧米で は,格付けについての在り方が議論された。そこ

(10)

での主な論点は,格付会社の利益相反,格付 けや格付けを前提となる情報の正確性,情報開示・

情報の透明性,商品ごとの(特に証券化商品と 他の金融商品)の格付けの区別などである。我が 国においても市場の公正性・透明性の確保の観点 から,格付けの在り方や格付けに対する監督・規 制に関する議論が進められ,平成21年に改正金 融商品取引法に信用格付業者規制が導入された。

我が国の格付け規制は,欧州の格付け規制を範 として導入されている。その主な規制は,次のよ うである。

格付会社を登録制にする。その格付会社を信用 格付業者と呼び,格付けの登録は任意となってい るが,無登録格付会社の格付けについては,詳細 な説明責任規定が設けられており,実務上業務を 行うとすれば,登録格付会社である必要があると 考えられる。

登録信用格付業者は,次のような事項について,

義務づけられたのである。

その1つが,業務遂行の誠実義務,格付けプロ セスの品質管理・公正性の確保,利益相反回避措 置とその公表等の体制整備の義務づけである。そ の2つが,格付け情報の提供受ける格付対象商品 発行者への事前のコンサル等の助言行為等の禁止 行為を義務づけられている。その3つが,格付け 方針等,格付付与方針等,格付提供方針等,付与 した格付の履歴・統計情報,体制整備の状況等に ついて情報開示を義務付けられている。

さらに,信用格付業者は,金融庁の検査・監督 等の規制を受ける。その主な事項は,毎年度事業 報告書の提出,報告徴求,立ち入り検査,業務改 善命令等の規制である。この金融庁の検査監督の 特徴は,信用格付業者の行う信用格付け評価の内 容・方法には介入しない。あくまでも,信用格付 業者の信用格付けの質向上に資する格付評価のた めの情報の質の確保,検証,利益相反回避措置,

証券化商品に対しての格付評価の検証のための

「独立委員」を含む「監督委員会」措置,格付け の透明性確保のための「格付付与方針等」,「格付 提供方針等」情報開示義務等の格付け周辺環境の 整備,監督に徹することにしている。

こうした信用格付規制導入により,格付会社に 管理運営等の諸々の費用がかさむなか,信用格付 情報の質が高まるのか,むしろ,格付会社が規制 業種になったことから,格付け情報の質よりも,

規制に準拠していれば信用格付け情報の正当性が 保たれるというような考えに変化することが懸念 されるのである。格付会社の業務が,信用格付け 情報の質を高める評判(reputation)を第一と する業種であることに徹してもらいたい。

(1) 平成21年通常国会で「金融商品取引法等の一 部を改正する法律」(平成21年法51・法58・法 74)が成立,平成22年4月1日施行,無登録業 者の格付け利用の説明責任に関する規定の施行は 平成22年10月1日である。

(2) IOSCOは「信用格付機関の基本行動規範」大 幅改定(2008年5月)。EU経済財務相理事会が 格付会社に登録制導入方針(2008年7月),規制 案議会に提出(08年11月:ProposalforaRE- GULATION OF THE EUROPEAN PARLIA- MENT AND OF THE COUNCIL on Credit Rating Agencies EF102 ECOFIN 503 CODEC1540),法案通過(2009年4月23日)。

米国SEC規則の改正案(2008年6月公表,2009 年2月一部改正,4月,8月に段階的に施行,大 手3社に対する検査結果を報告書として公表

(2008年7月),追加的なSEC規則改正案発表,

意見募集(2009年2月)。初のG20会合(2008 年11月)共同声明に格付け登録制を導入すべき と文言盛り込む。EUでは,EU域内で規制の目 的に利用される格付けを付与する格付会社を登録 制に。投資会社(運用会社),信用機関(銀行等)

は,格付けが付与された金融商品につき,登録格 付会社の格付けがない場合は,顧客のために注文 を実行してはならない。格付けスタッフのローテー ションルールあり(リードアナリストは4年で交 代,2年のインターバル,主任者は7年で交代)

但し従業員50名以下の格付け会社は免除。スト ラクチャードファイナンス商品の格付け記号(符 号)を区別するか,他の債券等との違いについて 起債したレポートの添付義務あり。ストラクチャー ドファイナンス商品に対する格付けに関し,格付 会社が受領した情報の子会義務あり等が議論され ていた(江川由紀雄「格付けと規制の間合い」

社会科学論集 第139号

(11)

NPOフェアレーティング研究会報告資料,2009 年7月24日)。

(3) 有吉尚哉「格付けに関する金融商品取引法の改 正 その考え方と背景 」NPOフェアレー ティング研究会報告資料,2009年10月28日,1 頁。

(4) 有吉尚哉稿「信用格付業者規制」西村あさひ法 律事務所編『資産・債権の流動化・証券化 第2 版』金融財政事情研究会,2010年6月,176頁を 参照した。ここでの信用格付業者に関する規制は,

主に有吉尚哉稿,同前稿,同書,を参考にした。

(5) 有吉尚哉稿,前掲書,178頁参照。

(6) 内閣府令により「信用格付業」から除外される 行為としては,プライベートトレーディングなど がある(定義府令25条:「金融商品取引法第2条 に規定する定義に関する内閣府令」以下,定義府 令と称す,有吉尚哉稿,同書,178頁)。

(7) ここでいう「金融商品」とは次の掲げるものを いう(金商法2条24項)。1号有価証券,2号預 金契約に基づく債権その他の権利又は当該権利を 表示する証券もしくは証書であって政令で定める もの(前号を除く),3号通貨,4号前3号に掲げ るもののほか,同一の種類のものが多数存在し,

価格の変動が著しい資産であって,当該資産に係 るデリバティブ取引(デリバティブ取引に類似す る取引を含む。)について投資者の保護を確保す ることが必要と認められるものとして政令で定め るもの(商品先物取引法2条1項に掲げるものを 除く。),5号第1号もしくは2号に掲げるもの又 は前号に掲げるもののうち内閣府令で定めるもの について,金融商品取引所が,市場デリバティブ 取引を円滑化するため,利率,償還期限その他の 条件を標準化して設定した標準物,である。

(8) 法人に類する内閣府令として①法人でない団体,

②事業を行う個人,③法人又は個人の集合体,④ 信託財産(定義府令24条1項)。

(9) 記号又は数字に類するものとしての内閣府令で 定めるものは,順序を示す簡易な文章又は文字と する(定義府令24条2項)。

(10)「~ 主として信用評価以外の事項を勘案して 定められる等級としての内閣府令で定めるものは 次に掲げるものとする」(定義府令24条3項)で ある。1号金利,通貨の価格,金融商品市場にお ける流動性及び相場その他の指標に係る変動に関 する評価の結果について表示した等級,2号有価 証券の発行者その他の者が行う資産の運用その他 これに類似する事業の遂行能力に関する評価の結 果について表示した等級,3号債権の管理及び改

修に関する業務の遂行能力に関する評価の結果に ついて表示した等級,4号信託財産の管理能力そ の他信託業務の運営の適切性に関する評価の結果 について表示した等級,5号前号に掲げるものの ほか,主として信用状態以外の事項に関する評価 の結果について表示した等級,である。

(11) 有吉尚哉稿,前掲書,176頁参照。

(12) ここでの内閣府令で定める密接な関係は,次に 掲げる場合における信用格付業者又はその役員若 しくは使用人と格付関係者との間の関係とする。

1号,信用格付業者の格付担当者が当該格付関係 者又はこれに準ずるものである場合,2号,信用 格付業者の格付担当者が当該格付関係者の役員又 はこれに準ずるものの親族である場合,3号,信 用格付業者又はその格付担当者が当該格付関係者 が発行者である有価証券(法2条1項1号及び2 条の有価証券同項17号に掲げる有価証券(同項 1号及び2号の有価証券の性質を有する者に限る。

→これは国債証券,地方債証券を指す)を除く。)

の保有者である場合,4号,信用格付業者又はそ の格付担当者がデリバティブ取引(当該格付関係 者が発行する有価証券又は当該格付け関係者に関 する者に限る。)に関する権利を有するものであ る場合。2項 略(「金商業等府令308条1項」)。

(13) 当該格付関係者が利害を有する事項として内閣 布令で定める事項は,1号,格付関係者の信用状 態に関する評価,2号,格付関係者が金融商品の 発行者(当該金融商品が有価証券である場合に限 る。)又は債務者(金融商品が債権である場合に 限る。)である場合における当該金融商品の信用 状態に関する評価,3号,格付関係者が組成に関 する事務の受託者である場合における当該組成に 係る金融商品又は法人の信用状態に関する評価

(「金商業等府令309条」)である。

(14) 信用格付けに重要な影響を及ぼすべき事項とし て内閣府令で定める事項は,1号,法人,当該法 人が発行する有価証券又は当該法人に対する債権 の信用状態に関する評価が信用格付の対象となる 事項である場合における当該法人の組織形態並び に主要な資産及び負債の構成,2号,金融商品又 は法人の信用状態に関する評価が信用格付の対象 となる事項である場合における当該金融商品又は 当該法人の設計に関する重要な事項(「金商業等 府令310条」)である。

(15) 投資者保護の恐れが少ないと認められる場合と しての内閣府令は,格付関係者から求めに応じ,

当該格付関係者から提供された情報又は事実が信 用格付の付与に与える影響について,格付け付与

(12)

方針等及びこれに関連する事項に基づき説明した 場合とする(「金商業等府令311条」)。

(16) 信用格付業者の信用を失墜させるものとしての 内閣府令は,1号,信用評価(法2条34項の信 用評価,この章において同じ)を行う前に,あら かじめ,定められた信用格付を当該信用評価の結 果として提供し,又は閲覧に供することを格付関 係者との間で約束する行為(格付付与方針等及び これに関連する事項に基づき予想される信用格付 を格付関係者に対してあらかじめ提供する行為を 除く),2号,信用格付業者の格付担当者が信用 格付の付与に係る過程において,格付関係者から 金銭又は物品(同一日における総額が3千円以下 であり,かつ,業務上必要と認められるものを除

く。)の交付を受け,その交付を要求し,又はそ の交付の申込みを承諾する行為,3号,信用格付 の対象となる事項が資産証券化商品の信用状態に 関する評価であり,当該資産証券化商品又はその 原資産の信用状態に関する評価を対象として他の 信用格付業者が信用格付けを付与していたことの みを理由として,当該資産証券化商品の信用状態 に関する評価を対象とする信用格付の付与を拒む 行為(「金商業等府令312条」)である。

(17)「金商法」66条の38(事業報告書の提出)「信 用格付業者は,事業年度ごとに,内閣府令で定め るところにより,事業報告書を作成し,毎事業年 度経過後政令で定める期間内に,これを内閣総理 大臣に提出しなければならない」である。

社会科学論集 第139号

参照

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