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1. はじめに
1.1. 研究の背景と目的
「広場舞」(Guang Chang Wu) が中国で流行している。 人々が広場や路上など屋外公共空間で踊ることを指す。 昔から中国には,「晨練」という伝統があり,高齢者を 中心に人々が朝に公園や広場などで太極拳や演劇の稽古 をする習慣がある。広場舞はその延長上にあるが,歴史 は浅い。音源と音楽を容易に持ち運びできる現代ならで はの健康促進運動であり,娯楽である。思い思いの音楽 を高らかに,多勢で舞う様は華やかである。日中は比較 的穏やかであった公園も,夜は一転,広場舞に興じる人々 で埋め尽くされる。その騒音の大きさから迷惑行為だと の指摘もあるが,いずれにせよ,広場舞は中国特有の都 市景観と賑わいに寄与していることは間違いない。 一方,中国の都市部では,長い間「住宅配給制度」註 1)により,人々の日常生活や社会関係は居住地で強く繋 がっていた。しかし,1990 年代以降の経済発展に加え, 「住宅商品化」政策の実施と大規模都市開発により,地 域コミュニティが希薄化しているとも言われている。 本論の目的は,広場舞による公共空間の利用方法とそ の特性を明きらかにし,広場舞への参加することは,人々 にとって如何なる意味を持つか考察することである。 1.2. 研究の方法 本研究を行うにあたって,2015 年 8 月〜 2015 年 12 月の期間に5つの調査を行った。表1)まず,上海市にお ける広場舞の実態を把握するためⅠ〜Ⅳの4区域を選定 し,遭遇調査を行った。選定条件は,「都市中心部である」, 「主要用途が居住・商業・オフィスと特徴的である」,「事 前調査を根拠に 19:30-20:30 の間に網羅可能な 1k㎡程 度である」とした。予め順路を設定し,合計7回調査を 行った。広場舞と遭遇した際に,遭遇した場所・踊り手 の人数と属性・舞踏形式・周辺の状況を記録した。 次に,敷地と舞踏形式図 1)が典型的なⅰ〜ⅳの4カ所 に絞り,広場舞による具体的な空間の使われ方を調査し た。そのうちⅰ , ⅱ , ⅲについては,人の並び方,陣形 の広がり方,時間的な変化を追うため,定点ビデオ撮影 を行った。ⅳについては,複数集団による公園の共同利 用の特性を追うため,20 分毎に公園を周回し撮影した。 次に,ⅰ〜ⅳの敷地の実測を行い図面化した。図面に は,街路樹・街灯・舗装・その他駐輪場の白線など,夜 間でも視覚的に判断できるものを描いた。図面上に踊り 手の分布と動き・滞留者・歩行者をプロットし,舞踏の 陣形や広がり方・集団が,屋外公共空間の構成要素と如 何に関連しているかを分析した。 最後に,7集団・踊り手 27 名に対するヒアリングを 行い,踊り手の心象を調査した。 0 事前調査 ある集団を観察しヒアリングを行い,調査の礎とした。 1 遭遇調査 4カ所の対象地域を設定し,広場舞の実態と分布を調べた。 2 定点観察調査 特徴的な広場舞を定点観察し,特有の振る舞いを調べた。 3 周回観察調査 複数集団による公園の共同利用について調べた。 4 環境調査 騒音レベルの計測と現場の実測を行った。 5 ヒアリング リーダーと踊り手にヒアリング調査を行った。 表1. 5つの調査とその概要 2. 広場舞の分類 本研究では公共空間利用の観点から独自に広場舞を分 類する。すなわち,陣形,領域の広がり方,踊り手同士 の相対的な位置関係等を重視し,音楽ジャンルの違いや 舞踏趣向の差異等は軽視した。 まず,社交舞踏,健康舞踏と区別する。健康舞踏は「踊 り手の位置が,直線や円弧など明快な幾何学に沿ってい る」,「踊り手はリーダーを参照しながら踊り,両者の配 置に序列がある」ことが特徴である。社交舞踏は「2人 1組である」,「明快な陣形がない」ことが特徴である。 更に健康舞踏は,「行進体操」と「静止舞踊」の2つ に分類できる。行進体操は, 集団全体で一定の順路を規 則的に行進しながら手足を 動かす体操であり,静止舞踊 は踊り手が各持ち場に留ま り全身を動かす舞踊である。
広場舞にみる上海市における公共空間利用に関する研究
徳永 孝平 境界線 角 領域 リーダー 踊り手 リーダー 踊り手 行 列 境界線 領域 リーダーと踊り手 境界線 流れ 領域 リーダー 踊り手 行 列 境界線 領域 リーダーと踊り手 境界線 流れ 領域 図1. 行進体操 ( 左 ) と健康舞踊 ( 右 ) と社交舞踊 ( 上 ) の舞踏形式図23-2 静止舞踊は , ラジオ体操に似た音頭に乗せて行う体操 や,舞踊自体の美しさが求められる民族舞踊,中国伝統 の太極拳などを総合的に代表している。 3. 広場舞の分布傾向と踊り手の属性 4区域,計 4km2で 35 集団・約 800 人の踊り手と遭 遇した。図 2・表 2)公園・広場のみならず,歩道や商業施 設の入口にも分布し,また各集団には,音源を持参し踊 りの手本となるリーダーがいることが分かった。一方, 団地群やオフィス群のコモン空間には分布していないこ とから,公共性が高い場所が選ばれていることが分かる。 また,集団が独立して位置する状況は稀で,集団が隣接 して利用していることも確認できる。「他の集団が使っ ているから,ここを選んだ。」と語る集団もいる。 健康舞踏は,50 代〜 60 代の女性が 9 割以上を占める。 社交舞踏の場合は、男女比に偏りがなく 30 代〜 60 代 と年齢層の広がりがある。広場舞は女性によって広く嗜 まれ、男性の殆どは社交舞踏に参加していることが分か る。また,商業地域では,他と比べて集団数・人数とも に少ないが,住居地域では多かったことからも,広場舞 の分布は,住居分布と関連していることが指摘できる。 4. 広場舞の公共空間利用特性 定点観察調査と周回観察調査で得られた情報を図3に まとめ,街路樹・街灯・舗装に代表される屋外公共空間 を構成する要素と広場舞による屋外公共空間の使われ方 が関連していることを指摘する。 行進体操では、方向転換をする角と陣形の境界線が, 舗装の切り替わりに影響を受けていることが明らかに なった。西側,東側は街灯を跨ぐように順路選択し,南 側は舗装の切り替わりに,北側は緑地帯に沿って行進す る集団Ⅲ -1 の例は顕著である。図4) 静止舞踊では、陣 形の列と行が、公共空間の要素に依存することが分かる。 集団Ⅳ -2 の例では、リーダー、踊り手が、駐輪場の白 線と視覚障害者誘導用ブロックに沿って3列となってい る。図5)社交舞踏では、陣形の領域が一定の範囲に収まっ ていることが分かる。集団Ⅳ -8 の例では、領域の中心 が広場の円形舗装と重なっており,領域は街路樹の内側 に収まっていることが分かる。陣形に秩序がない社交舞 踏においても,全体としては円形の舗装を中心に、反時 計回りに流れることも確認できた。図6) また,同様に遭遇調査で確認した 16/23 件の静止体操 で列と行が、5/5 件の行進体操で陣形の境界線と順路選択 が、5/6 件の社交舞踏で領域と流れが公共空間の要素を手 がかりにしていることが確認された。 ④ ③ ③ ④ ⑦ ① ① ② ③ ⑤ ④ ⑥ 図 4. 静止舞踏の陣形と物的状況との関係_集団Ⅳ -2 図 5. 行進体操の陣形と物的状況との関係_集団Ⅲ -1 図 6. 社交舞踏の陣形と物的状況との関係 _ 集団Ⅳ -8 凡例 ①:緑地 ②:駐輪場の白線 ③:舗装目地 ④:街路樹 ⑤:視覚障害者 誘導用ブロック ⑥:道路 ⑦:街灯 表2. 遭遇した集団の数と舞踏形式 1 32 静 10 9 静 1 200 行 6 3 静 2 2 静 11 30 社 2 4 静 7 14 静 3 20 行 12 14 静 3 9 静 8 34 社 4 60 静 13 1 静 4 100 行 9 21 静 5 20 静 14 5 静 1 22 静 10 5 静 6 6 社 15 14 静 2 18 静 11 13 静 7 13 社 16 40 静 3 14 静 12 11 行 8 10 社 1 5 行 4 14 静 13 100 静 9 12 社 2 3 静 5 16 社 集団名 人数 形式 Ⅰ Ⅰ Ⅲ Ⅳ Ⅳ Ⅱ 図2. 広場舞の分布 Ⅲ:オフィス地域_世紀大道周辺 Ⅰ:住居地域_黄浦区魯班路駅周辺 Ⅳ:住居地域_旧上海城周辺 Ⅱ:商業地域_黄浦区黄浦公園周辺 16 15 2 1 3 1 2 2 3 4 1 5 4 3 2 1 6 10 11 12 13 9 8 7
23-3 11 月 28 日 20:20 〜 23:10 最 高 12 ℃ / 最 低 7 ℃ 小 雨 ⅲ社交舞踏 / 広場 / 集団Ⅳ -8 直交グリッド状の舗装の中の,円状の 舗装を「領域」の中心とし,反時計回 りに全体として周回する。曲毎にペア は入れ替わり,出番待ちの踊り手は, 領域外から眺める。滞留して傍観する 歩行者も一定数いる。 領域の「境界線」が,図中の点線の内 側に収まっていることが分かる。陣形 に秩序がない社交舞踏においても,境 界線は明快に存在し,集団Ⅳ -8 では, 直交グリッド状の舗装と街路樹を影響 をうけた直線であることが分かる。 また踊り手は境界線に沿って二輪車を 停め,傍観者はこの線の外から眺めて いることも分かる。 観光地豫园付近の東西に伸びる緑地帯 の中心広場である。緑地帯の西端には 地鉄豫园駅があり豫园への動線として 利用する人が多い。 広 場 面 積 1480 ㎡ / 集 団 Ⅳ -8 最 大 人 数 52 人 / 集 団 数 4/ 領 域 の 最 大 面 積 260 ㎡ / 騒 音 レ ベ ル 100dB 以 上 20:20-23:10_ 全 18 レイヤーを重ねた図 21:50_ 社交舞踏 領 域 の 中 心 図3. 調査地ⅰ , ⅱ , ⅲの定点観察調査と調査地ⅳの周回観察調査 11 月 30 日 18:40 〜 20:20 最 高 15 ℃ / 最 低 9 ℃ 曇 り 12 月 12 日 19:30 〜 22:10 最 高 11 ℃ / 最 低 6 ℃ 晴 れ ⅰ行進体操 / 広場 / 集団Ⅲ -1 定 点 観 察 調 査 周 回 観 察 調 査 ⅳ 公 園 に お け る 複 合 利 用 幹線道路を含む6叉路交差点の広場で ある。周辺は高層オフィスが多くある。 北側は団地群がある。500m 離れた地 鉄駅への動線である。 西側・東側広場とパス上の半月型公共 空間を比較すると,前者は街灯が多く, 十分に広いのに対し,後者は街灯が少 なく特異で狭い平面形状である。リ ーダーの踊りを参照しやすいよう明る く,陣形形成しやすいよう広い空間を 静止舞踏は好み,社交舞踏は,リーダ ーを参照する必要が無いこと,陣形に 秩序がないことから,敷地形状が特殊 でも構わない可能性がある。 また,静止舞踊2集団で共有してい る西側広場では,集団同士の境界にも 舗装の切り替わりが影響していること も認められた。 18:50_ まず,リーダーと一部の参加 者が先に到着し,3列にて静止舞踊が 始まる。集団は緑地側に位置取り,リ ーダーは街灯の下で踊る。 19:00_ 次々に人数が増えていき,遅 れて参加する踊り手は,陣形の東西に 「行」を拡張するように加わる。全体 の陣形は,「円弧」型であり,広場の 平面形状と同様である。 西側・東側広場に静止舞踊が 9 集団, 両者を繋ぐパス上の半月型の滞在空間 には,社交舞踏の 7 集団が利用してお り,両形式で対比があることが分かる。 19:10_ 曲の変化と同時に,静止舞踊 から行進体操へと移行する。行進体操 の陣形は,西側・東側は街灯をまたぐ 様に,南側はペイブメントの目地に沿 い,北側は緑地帯に沿って順路選択し ていることが分かる。 19:40_ 徐々に増えた人数が,130 人 で最大となった際に,西側に拡張する。 集団Ⅲ -1 の行進体操は,陣形の「角」 と「順路」が公共空間の要素と関連し ていることが認められる。 東西に長い矩形の公園である。両端に 広場があり、それを繋ぐようにパスが 通る。パスには滞留するための半月型 のデッキが設置されている。 面 積 3120 ㎡ / 最 大 人 数 138 人 / 領 域 の 最 大 面 積 835 ㎡ / 騒 音 レ ベ ル 100dB 以上 / 踊り手同士の距離 約 2m 歩 道 幅 員 12m/ 面 積 1760 ㎡ 最大人数 34 人 / 領域の最大面積 320㎡ / 踊り手同士の距離 約 2m/ 騒音レベル 93dB 公 園 総 面 積 17,700 ㎡ / 西 側 広 場 面 積 850 ㎡ / 東 側 広 場 面 積 2380 ㎡ / 社交舞踏集団数 6/ 健康舞踏集団数 9 18:40-20:20_ 全 11 レイヤーを重ねた図 凡 例 18:50_ 静止舞踊 19:10_ 行進体操 19:00_ 静止舞踊 19:40_ 行進体操 3周目 _ 西側広場 / 静止舞踊 / 集団Ⅰ -4,5 3周目 _ パス / 社交舞踏 / 集団 名 敷地 データ 舞 踏 形 式 別 に み る 公 共 空 間 利 用 の 特 性 日程 :健康舞踏踊り手 :社交舞踏ペア :滞留者 :街路樹 :街灯 :二輪・自動車 :緑地帯 :道路 :住宅地 :リーダー 1 2 月 6 日 1 9 : 5 0 〜 2 0 : 5 0 最 高 9 ℃ / 最 低 5 ℃ 晴 れ ⅱ静止舞踊 / 歩道 / 集団Ⅳ -2 集団Ⅳ−1 では,列と行が舗装・街路樹・ 白線・ブロックに規制されている。ま た図中の点線の通り,歩行者は視覚障 害者誘導用ブロック上か,緑地帯と広 場舞集団の間を通行しており,歩道一 杯に陣形が広がりつつも,歩行者と一 定の関係があることも分かる。 集団は緑地帯側を向き,リーダーは街 路樹の間,駐輪場の白線の内側で踊る。 徐々に踊り手が増え,3列を保ちなが ら「行」方向に陣形を拡張する。「列」は, 白線と視覚障害者誘導用ブロックに沿 って直線状であり,同様に「行」も舗 装の目地に沿って直線状である。 緑地帯(巾 10m)付きの歩道である。 東側は旧上海城内で古い住宅地であ る。同規模で陣形も類似した静止体操 を行う集団が 4 団体いる。 20:40_ 静止舞踏 19:50-20:50_ 全 6 レイヤーを重ねた図 20:00_ 静止舞踏 19:30-22:10_ 全9周を重ねた図 東側広場 静止舞踊 計 6 集団 西側広場 静止舞踊 計 3 集団 集団Ⅰ -4 集団Ⅰ -5 集団Ⅰ -8 集団Ⅰ -9 パ ス 社交舞踏 計 6 集団
23-4 一方,周回観察調査では,静止舞踊と社交舞踏の間に 嗜好空間の対比が認められ図 3−ⅳ),陣形を形成できるよ う広く,リーダーの踊りを参照できるよう明るい場所を 選ぶ静止舞踊と,それらの必要がないため,街灯が少な く,平面形状も特異な場所を選ぶのが社交舞踏であった。 5考察 5.1. 領域の広さと騒音レベルの関連 集団Ⅲ -1図 3- ⅰ )と集団Ⅳ -2図 3- ⅱ )との静止舞踊を比較 すると,前者の広場は 3,000㎡と広く,前者の敷地は歩 道幅員 12m と狭いが,踊り手同士の間隔は約 2m で一 定であることが分かる。集団Ⅲ -1 の行進体操でも,そ の列の間隔は,約 2m であった。一方,社交舞踏では踊 り手の間隔は一定ではない。即ち,健康舞踏では,踊り 手の人数に比例して領域が広くなることを示唆する。 一方,図7は計測した騒音レベル註 2)と人数,舞踏形 式の関係を表すものである。大部分が 80dB 以上であり, 最高で 100dB を超えるなど高いが,特に静止舞踊につ いては,踊り手の人数に比例して騒音レベルが高くなっ ていることが分かる。以上をまとめると,静止舞踊では 「踊り手の多さ,集団領域の広さ,音楽の大きさ」は比 例関係にあることが指摘でき,敷地が狭く周辺に住居が あるため音楽を鳴らせない住居地域では,集団が小規模 になり,集団数が増える可能性がある。 図7. 騒音レベルと踊り手の人数、舞踏形式との関係 70 80 90 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 70 80 90 100 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200 210 5.2. 社会参加の契機としての広場舞 7 集団 27 名に対してヒアリング調査を行った。参加 のきっかけについて,24 人が「自発的に参加した。」と 回答したことは興味深い。図 8)事実,定点観測にて滞留 者の集団への飛び入り参加が散見されている。また,図 9 は集団Ⅲ -1 の踊り手の人数の時系列変化を示してい るが,山状になっていることが分かる。つまり,集団は 誰でも自発的に参加でき,その参加時間さえも各人の自 由であることが分かる。 一方,広場舞に参加する目的については,「健康促進 のため」という回答が多数ではあるが,「交流するため」 との回答もあった。集団Ⅳ -1 の踊り手は「単身赴任で 半年上海にいるが、友人を作りたいと想い参加した。」 と語り、集団Ⅳ -2 のリーダーは「交流するために小区 の仲間を誘い、集団を組織した。自由参加だが,集団で の旅行も計画している。」と明かした。 また,自宅との距離について徒歩 10 分圏内である踊 り手が多かったが,集団Ⅰ -7 の踊り手は「以前は、こ の周辺に住んでおり,この集団に参加していた。今は引っ 越して遠くなったが,バスで 30 分かけて通っている」 との回答があった。 まとめると,広場舞は誰でも自由に参加ができる敷居 の低い集団であり,一部の踊り手にとっては,都市部に おいて社会参加の契機になっていることが分かった。 6. まとめ 本研究では,以下のことを明らかにした。 広場舞は,都市空間利用の観点から,行進体操・静止 舞踊・社交舞踏の3つの舞踏形式に分類できる。 舞踏形式毎に,特徴的な公共空間の使い方が認められ, 行進体操では,「角」と「順路」が,静止舞踊では,「列」 と「行」が,社交舞踏では「領域」と「流れ」が,街路 樹・舗装・白線など屋外空間を構成する要素に規制され ていることが分かった。言い換えれば,広場舞を意図し て設計されていない「普通」の屋外公共空間を,踊り手 の側から積極的に秩序付けて利用している。 広場舞に参加することは,一部の踊り手にとって社会 参加の契機にもなっている。 【参考文献】 [1] 上海市黄浦公園における利用集団の組織化及び利用者の活動意識の変化に関する研 究 / 李華 , 鈴木毅 , 吉住優子 , 奥俊信 , 木多道宏 , 松原茂樹 , 李斌 [2] 上海における都市の形成 - 都市計画と経済状況の変化による影響を中心に -/ 中岡深雪 [3] 時刻レイヤーによる交流・滞留と空間構成に関する研究 / 坂井猛 , 萩島哲 , 有馬隆文 目宇泰之 , 古川亜矢子 [4] 広場舞の二つの側面 : 都市空間における権力と公共参加 / 潘 妮妮 【註釈】 [1] 住宅配給制度:中国で 1950 年代から実施された国有企業が社員に住宅を供給する 制度で,同じ集合住宅に住む人は殆ど同じ職場に勤めた。上海市では 1991 年に廃止。 [2] 騒音調査については iOS アプリ「騒音測定」と iPhone5s を使って行った。 [3] 本論に使用した写真と図版は全て筆者による撮影,作成である。 図 9. 集団Ⅲ -1 の踊り手の人数の時系列変化 (dB) ( 人 ) ◆:社交舞踏 ■:静止舞踊 ●:行進体操 図8. ヒアリング調査における特記事項 1. 参加のきっかけ ①発見して自発的に ②自分で作った ③友人からの紹介 2. 参加の目的 ①健康促進のため ②社会参加のため 3. 自宅からの時間 ①徒歩:0 〜 5 分 ②徒歩:10 〜 15 分 ③バス:30 分 24 3 24 2 1 15 11 1 ① 5 21 93 97 114 129 136 122 118 104 0 0 20 40 60 80 100 120 140 160 40 50 00 10 20 30 40 50 00 10 20 18時 19時 20時 ( 人 )