大
日
経
息
障
最
の
梗
概
金
山
穆
詔
一 上 の 具 縁 品 に 七 日 作 壇 の 造 立 曼 茶 羅 の 行 法 を 明 か せ り 、 印 ち 澤 地 、 造 壇 、 供 養 修 行 、 授 職 灌 頂 等 の こ と を 説 け り 、 今 此 の 品 に は か ゝ る 造 立 曼 茶 羅 の 行 を 修 す る に 當 た り 、 風 水 等 の 障 害 其 の 他 砒 那 夜 迦 何 そ ど ず 等 の 諸 障 無 か ら し め ん が 爲 め 、 乃 至 凡 夫 地 よ り 佛 地 に 趣 向 す る 聞 に 生 す る 内 外 一 切 の 障 碍 を 息 滅 す べ き 、 秘 密 の 法 門 を 説 く 。 當 品 を 息 障 品 も 名 く る は 是 の 如 く 、 此 の 品 に 内 外 一 切 の 障 碍 を 息 除 す る 法 を 明 か す ゆ ゑ な り 。 二 今 随 文 作 鐸 に 先 だ ち 、 此 の 品 の 大 意 を 敏 せ ん に 初 め に 、 一 品 の 説 相 を 略 示 し 、 後 に 當 品 所 明 の 理 趣 を 約 述 せ ん 。 當 品 の 初 め に 総 し て 、 障 難 は 自 心 よ り 生 す る こ も を 明 か し 、 更 に 別 説 し て 樫 貧 に し て 財 も 法 も を 人 に 恵 與 せ ざ る よ り 、 衆 魔 便 り を 得 て 、 種 々 の 障 難 の 生 起 す る こ も を 明 か し 、 ま た 見 思 等 の 妄 分 別 の 煩 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 五 九大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 〇 悩 が 根 因 も な り 、 障 碍 の 生 す る こ も を 説 く 、 次 に 正 し く 障 難 を 除 滅 す る 法 門 を 開 演 せ ら れ た る が 、 自 ら 二 門 あ り 、 初 め に 無 想 無 念 、 心 の 實 相 に 住 せ は 、 唄 切 の 障 碍 の 消 滅 す べ き こ も を 説 か れ 、 次 に 不 動 明 王 を 念 持 し 、 明 王 の 加 持 力 に 依 り 、 障 者 を 断 す べ き こ も を 明 か せ り 。 是 の 如 く 総 じ て 魔 障 樹 治 の 義 を 説 き 了 り 、 次 に 別 し て 障 碍 封 治 の 法 を 明 か せ り 。 帥 ち 露 地 に 曼 茶 羅 を 造 立 せ ん も す る も き 、 大 風 暴 雨 の 起 る を 止 息 す る 方 便 を 説 き 、 後 に 一 切 の 障 者 を 息 滅 す る 異 の 方 便 門 を 明 か し 、 不 動 明 王 を 其 の 本 曼 茶 羅 の 中 に 観 作 し 、 ま た 行 者 自 ら 不 動 明 王 な り も 観 じ 、 か の 障 者 の 煩 悩 業 に 依 る 命 根 を 断 じ 、 如 來 常 住 の 生 を 得 せ し む べ き 秘 義 等 を 説 く 。 次 に 上 述 の 如 く 不 動 明 王 の 障 難 を 息 滅 し 給 ふ 威 神 力 を 現 す る は 、 こ れ 不 動 明 王 其 の 水 曼 茶 羅 の 位 に 住 し 、 行 者 よ く 本 尊 の 三 昧 に 同 す る ゆ ゑ な り 、 不 動 明 王 の 如 く 諸 尊 を し て 、 威 紳 力 あ ら し め ん に は 、 諸 尊 各 々 本 曼 茶 羅 の 位 に 住 し 、 行 者 其 の 本 尊 の 本 三 昧 に 住 し 、 諸 の 事 業 を 成 す る に あ る こ も を 説 く 、 次 に 諸 奪 の 形 色 は 所 住 の 曼 茶 羅 の 形 色 も 相 慮 す べ き を 明 か し 、 次 に 衆 生 の 疑 を 彿 ひ 、 信 を 生 起 す べ き を 渤 誠 し 、 終 り に 如 來 は 一 切 法 に 自 在 を 得 、 甚 深 の 秘 藏 を 以 て 、 還 て 淺 略 の 名 言 も な し 、 無 量 の 方 便 門 を 以 て 、 衆 生 に 傭 逮 し 給 ふ か 故 に 、 眞 言 門 の 行 者 は 決 定 無 疑 、 如 説 に 信 修 す べ き こ も を 説 け り 。 三
経 に 一 切 の 障 碍 は 自 心 よ り 生 じ 、 叉 過 去 の 樫 貧 よ り 生 じ 、 又 見 思 等 の 妄 惑 よ り 生 す も 説 け り 。 こ れ 諸 障 は 貧 瞑 痴 の 妄 惑 よ り 、 生 す る こ も を 明 す も の な り 。 し か し て 諸 障 は 一 心 よ り 生 す る が 故 に 、 之 を 断 除 す る も ま た 心 力 に 依 る こ も を 明 か す 。 帥 ち 所 起 の 障 難 自 體 不 可 得 塞 な れ ば 、 能 起 の 惑 相 も 自 體 不 可 得 塞 な り 、 此 の 如 く 能 起 所 起 の 二 相 畢 寛 不 可 得 無 相 の 理 を 體 す る も き 、 一 切 の 惑 障 を 断 治 し て 、 眞 浮 の 菩 提 心 を 讃 す 。 即 ち 能 封 治 の 無 相 親 も 一 心 、 所 樹 治 の 惑 障 も 一 心 な り 、 而 も 一 心 の う ち に 能 所 を 存 す る が 如 き は 、 こ れ よ く 惑 障 を 断 す る 所 以 に あ ら す 、 所 治 の 惑 障 の 全 禮 不 生 無 相 な れ ば 、 能 治 の 心 も 不 生 無 相 に し て 、 能 所 爾 絶 し 、 眞 に 能 所 を 離 る ゝ も こ ろ に 、 一 切 の 惑 障 を 解 脱 し 、 惑 障 の 全 燈 、 還 て 功 徳 相 も 現 す る な り 。 義 繹 に 日 く 所 謂 眞 實 義 も は 、 言 は く 凡 夫 地 の 中 に 、 無 量 の 薫 障 あ り 、 乃 至 十 地 の 菩 薩 も 、 諸 の 微 細 障 あ り 、 縁 に 從 つ て 差 別 し 種 々 に 不 同 な り も い へ と も 、 然 も 要 を 墨 げ て 之 を 言 は い 、 自 心 に 由 て 起 ら ざ る は な し 、 今 心 の 實 相 本 不 生 な り も 槻 す る が 故 に 、 當 に 知 る べ し 一 切 諸 障 も 亦 本 不 生 な り 、 乃 至 心 の 實 相 因 不 可 得 な る が 故 に 、 當 に 知 る べ し 一 切 諸 障 も 亦 復 た 因 不 可 得 な り 、 是 の 如 く の 観 を 作 す 時 、 大 日 如 來 の 金 剛 春 属 に あ ら す も 云 ふ こ と な し 、 實 に 曾 て 行 人 を 羅 擬 せ ざ る な り 。 上 來 一 切 の 障 難 は 、 大 塞 卒 等 の 心 の 實 相 に 住 す る ご き 、 息 除 せ ら る べ き こ と を 明 か せ し が 、 此 の 心 の 實 相 た る 眞 浮 の 大 菩 提 心 は 、 一 切 の 妄 風 に 動 せ す 、 常 寂 不 動 な り 、 こ の 常 寂 不 動 の 大 菩 提 心 の 如 實 性 大 日 経 息 障 日細 の 梗 概 六 一
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 二 の 顯 現 は 不 動 明 王 な り 、 胎 藏 大 日 如 來 の 、 教 倉 輪 身 は 不 動 明 王 に し て 、 等 眞 以 還 の 一 切 の 因 人 の 大 菩 提 を 成 す る は 、 皆 不 動 明 王 の 加 護 に 依 る が 故 に 、 不 動 明 王 を 念 持 せ は 、 一 切 の 障 難 断 除 せ ら る べ き 秘 旨 を 説 け り 。 底 哩 三 昧 耶 経 に 曰 く 若 し 諸 の 分 別 を 離 る れ ば 即 ち 是 れ 浄 菩 提 心 な り 、 眞 言 行 者 此 の 心 を 憶 念 す る に 由 て 、 帥 ち 一 切 の 諸 過 を 離 る 、 意 に 常 に 無 動 聖 者 を 思 惟 す れ は 、 帥 ち 能 く 一 切 の 障 を な す 者 を 除 く こ も 、 前 の 所 説 の 如 し 、 無 動 明 王 は 此 れ は 是 れ 如 來 の 法 身 な り 、 大 願 を 以 て の 故 に 、 無 相 の 相 の 中 に 而 も 是 の 相 を 現 じ て 、 一 切 の 眞 言 行 者 を 護 す 、 若 し 能 く 常 に 念 す れ ば 、 能 く 一 切 の 障 を 離 る ゝ な り 、 謂 は ゆ る 無 動 と は 、 帥 ち 是 れ 眞 浮 の 菩 提 心 な り 、 是 の 義 を 表 せ ん が 爲 め の 故 に 、 事 に 因 て 名 を 立 つ 、 云 々 又 曰 く 不 動 ご は 是 れ 菩 提 心 大 寂 定 の 義 な り 、 我 が 薄 伽 梵 大 日 世 尊 最 初 正 眞 に 寂 滅 道 場 に 座 せ し よ り 、 大 願 を 以 て の 故 に 三 世 の 諸 佛 の 慮 正 等 眞 を 謹 す 。 皆 四 秘 密 三 菩 提 よ り 起 て 、 三 身 を 慮 現 し 、 等 正 畳 を 成 す 、 如 來 成 道 の 時 、 先 づ 寳 菩 提 樹 に 座 し て 、 魔 を 降 し 、 道 を 成 す る は 、 帥 ち 是 れ 大 寂 定 不 動 の 菩 提 の 本 因 、 三 世 諸 佛 皆 幻 化 の 義 、 種 々 の 身 雲 を 現 じ て 、 諸 の 衆 生 を 教 化 し 調 伏 す 、 故 に 事 に 因 て 號 を 立 て 不 動 尊 ご 號 す 。 此 く の 如 く 浮 菩 提 心 郎 不 動 明 王 な る が 故 に 、 経 に は 理 観 に 約 し て 浄 菩 提 心 に 住 し 、 ま た 事 に 約 し て 、
不 動 明 王 を 念 持 し て 、 一 切 の 障 難 を 息 除 す べ き 秘 旨 を 明 か す 。 経 に 一 切 障 者 の 本 因 た る 根 本 無 明 を 表 す る 、 大 自 在 天 を 、 不 動 明 王 、 七 縦 七 檎 つ ひ に 之 を 断 除 す る こ も を 説 け る よ り 見 る も 、 大 菩 提 心 不 動 明 王 に は 妄 惑 を 断 す る 大 勇 猛 の 絶 封 の 力 あ る を 思 ふ べ き な り 。 四 次 に 随 文 作 繹 せ ん に 、 経 に 曰 く 爾 の 時 に 金 剛 手 、 又 復 晩 盧 遮 那 世 尊 に 請 問 し 、 而 も 偶 を 説 い て 言 さ く 、 云 何 ん が 道 場 の 時 に 、 諸 の 障 者 を 浮 除 し て 、 修 眞 言 行 人 を し て 、 能 く 悩 害 を 爲 す こ と 無 か ら し む 。 云 何 ん が 眞 言 を 持 す る 。 云 何 ん が 彼 れ 果 を 成 す る 。 是 の 如 く 登 問 し 已 つ て 、 大 日 尊 歎 し て 言 は く 、 善 哉 、 摩 調 薩 、 快 よ く 是 の 如 き の 語 を 説 く 、 汝 が 心 の 問 ふ 所 に 随 て 、 今 當 に 悉 く 開 示 す べ し 。 障 者 は 自 心 よ り 生 す 、 昔 の 樫 怯 に 随 順 す 、 彼 の 因 を 除 か ん が 爲 め の 故 に 、 此 の 菩 提 心 を 念 す べ し 。 善 く 妄 分 別 の 心 思 よ り 生 す る 所 を 除 か ん に は 、 菩 提 心 を 憶 念 す べ し 。 行 者 諸 過 を 離 る 。 こ れ 金 剛 手 、 既 盧 遮 那 如 來 に 問 ひ 給 ふ 問 意 も 、 如 來 の 答 説 も な り 、 帥 ち 金 剛 手 の 問 意 に 三 つ あ り 、 一 に は 大 悲 舶 藏 曼 茶 羅 を 蚕 作 す る 時 生 す る 、 内 外 一 切 の 障 碍 を 、 如 何 に し て 浄 除 し 、諸 の 修 行 者 を し て 、 既 那 夜 迦 等 の 悩 害 を 無 か ら し む る か も 問 ひ 、 第 二 は 如 何 に し て 眞 言 を 持 諦 せ ん ご 問 ひ 、 第 三 に は 云 何 大 日 維 息 障 品 の 梗 概 六 三
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 四 が 果 を 成 せ ん か も 問 ふ 。 此 の 如 く 三 問 あ る 中 、 此 の 品 に は 正 し く 、 初 め の 一 問 の み 答 せ ら れ 、 後 の こ 問 は 後 品 に 於 て 答 せ ら る ゝ な り 。 云 何 に し て 、 諸 障 を 息 除 せ ん も の 問 に 翼 す る 如 來 の 答 説 大 に 分 か れ 二 門 あ り 、 一 に は 一 切 の 障 碍 は 自 心 よ り 生 す る が 故 に 、 心 の 實 相 た る 浮 菩 提 心 に 安 住 せ ば 、 諸 障 自 ら 息 滅 す べ き 秘 旨 を 説 か れ 、 二 に は 不 動 明 王 を 念 持 せ は 、 明 王 の 加 持 力 に 依 る が 故 に 、 諸 障 の 断 除 せ ら る べ き こ も を 明 か す 。 障 難 は 自 心 よ り 生 す 、 し か し て 自 心 の 如 何 な る 妄 作 用 が 、 障 碍 を 生 す べ き か を 説 示 し 、 過 去 及 び 現 在 に 於 て 、 財 物 を 樫 怯 し て 、 人 に 恵 ま す 、 ま た 法 門 を 樫 ん で 、 人 に 傳 へ す 、 諸 の 修 道 の 人 を 庇 護 せ す 、 還 て 種 々 の 留 難 を な す 等 よ り 、 衆 魔 便 り を 得 て 、 諸 の 障 難 を 生 じ 、 ま た 見 思 等 の 惑 品 、 諸 障 所 起 の 因 た る が 故 に 、 諸 障 を 除 滅 せ ん に は 、 貧 愛 を 離 れ 、 諸 の 妄 分 別 の 念 を 除 き 無 分 別 に 住 し 、 心 の 實 相 を 禮 す れ ば 、 諸 障 自 ら 息 除 す べ き 理 趣 を 明 か せ り 。 義 繹 に 心 の 本 不 生 を 観 す る も き 、 諸 障 の 自 性 不 生 の 禮 に 達 す 、 乃 至 如 來 に 蹄 命 じ 、 如 來 金 剛 の 身 に 同 じ 、 あ ら ゆ る 所 作 皆 此 の 菩 提 心 に 依 て 輻 ぜ ば 、 諸 障 自 然 に 静 息 す べ き こ ご を 述 繹 し て 曰 く 、 今 起 障 の 因 を 浄 除 せ ん が 爲 め の 故 に 、 三 世 無 障 擬 智 戒 を 受 持 し 、 身 口 意 を 捨 て ゝ 如 來 に 奉 獄 し 、 諸 有 の 所 作 此 に 随 て 而 も 輻 す る は 、 帥 ち 是 れ 眞 正 の 菩 提 心 な り 、 此 の 菩 提 心 を 念 す る 時 、 一 切 起 障 の 因 、 自 然 に 静 息 す る な り 。
疏 に 曰 く 佛 の 言 は く 、 一 切 の 障 法 は 復 無 量 な り も 錐 こ も 、 要 を 以 て 之 を 言 は い 但 だ 心 よ り 生 す る な り 。 又 行 者 過 去 世 に 樫 法 に 随 順 せ し に 由 る が 故 に 、 今 世 に 多 く 諸 障 あ り 、 當 に 知 る べ し 、 亦 是 れ 心 の 因 縁 よ り 生 す る な り 。 當 に 知 る べ し 、 彼 の 樫 貧 等 は 是 れ 諸 障 の 因 な り 、 若 し 彼 の 因 を 除 か ば 、 諸 障 自 ら 息 む 。 此 の 中 の 封 治 は 郎 ち 是 れ 菩 提 心 な り 。 若 し 菩 提 心 を 念 す る が 故 に 、 部 ち 是 れ 能 く 諸 障 の 因 を 除 く な り 。 又 復 一 切 の 諸 障 は 分 別 に 由 て 生 す 、 此 の 分 刷 は 妄 の 心 思 に よ り て 有 な り も は 、 思 は 帥 ち 是 れ 障 な り 。 謂 は く 心 中 の 煩 悩 随 煩 悩 等 な り 。 此 の 中 の 有 の 字 は 、 梵 音 に 亦 生 の 義 も 云 ふ 。 心 思 の 有 を 若 し 能 く 離 る れ ば 、 諸 の 分 別 は 帥 ち 是 れ 浮 菩 提 心 な り 。 行 者 此 の 心 を 憶 念 す る に 由 り て 、 帥 ち 能 く 一 切 の 過 を 離 る 。 五 上 に 一 切 の 障 難 は 妄 念 よ り 起 る が 故 に 、 眞 浮 の 菩 提 心 に 住 す る は 、 息 障 の 道 な る こ と を 明 か せ し が 、 以 下 、 不 動 明 王 は 無 相 大 菩 提 心 の 顯 現 な る が 故 に 、 障 者 を 断 ぜ ん に は 、 不 動 明 王 を 念 す べ き こ も を 明 か す 。 経 に 曰 く 常 に 當 に 意 に 不 動 摩 訂 薩 を 思 惟 し 、 彼 の 密 印 を 結 び 、 能 く 諸 の 障 擬 を 除 く べ し 。 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 五
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 六 こ れ 心 に 明 王 を 念 じ 、 口 に 明 王 の 眞 言 を 論 じ 、 手 に 大 慧 刀 の 印 を 結 び 、 明 王 の 三 密 に 相 慮 す る こ も に 依 て 、 障 擬 の 息 滅 す る こ も を 説 く も の な り 、 而 も 其 の 密 印 は 下 の 密 印 品 の 中 に 顯 は れ 、 其 の 眞 言 は 、 下 の 眞 言 藏 品 に 出 つ る が 故 に 、 こ ゝ に 説 示 し 給 は す 、 今 は 但 だ 息 障 の 方 便 を 説 く 。 疏 に 曰 く 是 れ 前 に 説 く 所 の 不 動 明 王 な り 、 此 は 是 れ 如 來 法 身 大 願 を 以 て の 故 に 、 無 相 の 中 に 於 て 、 而 も 是 の 相 を 現 じ て 、 一 切 の 眞 言 行 者 を 護 り 給 ふ 。 若 し 行 者 常 に 一能 く 憶 念 す れ ば 、 能 く 一 切 の 障 を 離 る ゝ な り 。 謂 は ゆ る 不 動 ご は 、 即 ち 是 れ 眞 浮 の 菩 提 心 な り 。 是 の 義 を 表 せ ん か 爲 め の 故 に 、 事 に 因 て 名 を 立 つ る な り 。 此 の 明 王 、 一 目 を 閉 ぢ 給 へ る こ ご は 深 意 あ り 、 佛 眼 を 以 て 明 に 馨 み 給 ふ に 、 唯 一 の み に し で 無 二 無 三 な り も 、 其 印 は 下 に 當 に 之 を 説 く べ し 。 六 前 段 の 所 説 は 普 蓮 封 治 の 法 に て 障 難 は 自 心 よ り 生 す る か 故 に 、 浄 菩 提 心 に 住 し 、 そ の 障 難 を 息 滅 す べ き こ ご を 明 か し 、 ま た 浄 菩 提 心 の 顯 現 た る 不 動 明 王 を 念 じ 、 一 切 の 障 碍 を 漸 除 す べ き 旨 を 説 か れ た る も の な る か 、 以 下 、 眞 言 の 阿 闊 梨 、 露 地 に 於 て 曼 茶 羅 を 建 立 せ ん こ す る も き 、 大 風 暴 雨 の 障 害 起 る も き 、 そ の 風 水 等 の 障 碍 を 止 息 す る 法 を 明 か す 。 経 に 曰 く
秘 密 主 、 復 嘉 け 、 散 飢 の 風 を 繋 除 せ ん に は 、 阿 な 字 を 我 が 禮 も 爲 し 、 心 に 詞 燭 字 門 を 持 す べ し 。 健 陀 貿 燭 を 以 て 地 に 塗 て 、 而 も 大 塞 鮎 を な し て 、 嚇 隻 と み の 方 に 依 て 、 闘 ふ に 捨 耀 梵 て で そ を 以 て す 。 彼 の 器 に 大 心 の 彌 盧 ふ ず 山 を 思 念 す べ し 。 時 々 に 其 の 上 に 在 て 、 阿 字 の 大 室 黙 を な せ 。 先 佛 の 宣 説 し 給 ふ 所 な り 。 能 く 大 風 を 縛 す 。 大 有 情 諦 か に 聴 け 、 行 者 駿 雨 を 防 ぐ に は 、 曜 そ 字 門 を 思 惟 す 、 大 力 火 光 の 色 な り 。 威 猛 に し て 熾 ん な る 焔 髭 あ り 、 葱 怒 に し て 遍 伽 翼 轟 を 持 せ り 。 所 起 の 方 分 に 随 て 、 地 を 治 し て 蔭 雲 を 興 し 、 断 す る に 慧 刀 の 印 を 以 て す 。 昏 蔽 し て 尋 い て 潰 散 す 。 行 者 無 畏 の 心 を 以 て 、 或 は 莇 羅 ぬ み 劔 を 作 り 、 是 の 金 剛 恢 を 以 て 、 一 切 金 剛 に 同 す 。 露 地 に 曼 茶 羅 を 造 立 せ ん こ す る ご き 、 風 害 を 止 息 せ ん に は 、阿 闇 梨 先 づ 阿 字 大 室 三 昧 に 住 し 、 そ の 身 、 如 來 金 剛 の 身 に 同 す べ き こ も を 明 す 。 帥 ち 阿 字 の 大 室 位 は 、 法 身 大 我 の 禮 に し て 不 動 明 王 の 本 禮 な る か 故 に 、 最 初 に 阿 存 を 槻 じ 、 次 に 心 に 詞 字 を 槻 す 。 こ れ 阿 宇 は 字 母 の 最 初 、 訂 字 は 終 り 阿 訂 因 果 の 諸 法 本 來 不 生 實 相 の 理 に 住 し 、 因 果 の 制 約 を 離 る ゝ 秘 旨 な り 。 次 に 曼 茶 羅 の 風 方 、 帥 ち 西 北 の 隅 の 地 上 に 於 て 、 自 檀 の 塗 香 を 以 て 、 其 の 形 弾 九 の 如 き 七 つ の 圓 黙 を 書 く 、 そ の 小 圓 鮎 を 書 き 終 ら ば 、 琵 器 を 以 て 之 を 蓋 ふ 、 そ の 詫 器 の 上 に 、 暗 ぉ 字 を 槻 じ 、 字 輪 轄 し て 須 彌 山 こ な り 上 に 不 動 明 王 座 し 給 ふ も 観 す 。 義 繹 等 の 深 秘 繹 に 依 れ ば 、 風 ご は 我 等 心 中 の 妄 分 別 、 帥 ち 眞 観 の 戯 論 な り 、 こ の 妄 分 別 よ く 衆 生 心 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 七
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 六 八 地 の 大 悲 曼 茶 羅 を 破 壊 す 。 し か し て 此 の 畳 槻 の 妄 念 を 息 除 せ ん に は 、 阿 講 の 字 義 を 観 じ 、 因 果 本 來 實 相 の 理 に 住 し 、 往 無 戯 論 の 塗 香 を 以 て 、 西 北 隅 帥 ち 眞 観 の 風 の 上 に 於 て 、 七 眞 大 室 の 曼 茶 羅 を 作 り 、 上 に 定 恵 相 懸 の 意 を 表 す る 新 琵 器 を 以 て 之 を 蓋 ふ 。 其 の 上 に 金 剛 不 壊 の 大 智 、 一 切 庭 に 遍 す る 字 義 を 有 す る 暗 字 を 観 じ 、 こ の 字 門 輻 じ て 、 須 彌 山 も 作 る も 観 作 し 、 上 に 不 動 明 王 在 ら し む る は 、 皆 こ れ 大 塞 不 動 の 浄 心 を 以 て 、 七 識 の 妄 動 を 息 滅 す る 秘 義 な り 。 疏 に 曰 く 謂 は く 壇 を 造 立 す る 時 、 或 は 大 風 障 を 爲 す こ と あ ら ば 、 露 地 に 法 を 立 つ る を 以 て の 故 に 、 當 に 須 ら く 之 を 北 む べ し 。 當 に 此 の 阿 字 身 分 の 内 に 遍 せ り 、 此 の 字 金 剛 不 動 の 色 ご 作 る 、 謂 は く 眞 金 色 な り と 想 ふ べ し 。 是 の 如 く 想 ひ 已 つ て 、 叉 心 に 訂 字 を 請 せ よ 。 風 方 (西 北 方 ) に 於 て 、 塗 香 を 用 ひ 地 に 七 の 小 圓 黙 を 書 作 し 、 各 弾 九 許 の 大 さ の 如 く せ よ 、 是 の 如 く 是 を 作 ら ば 、 琵 器 を 用 ひ て 之 を 蓋 へ 、 産 器 に 於 い て 心 に 阿 を 想 へ こ は 、 帥 ち 是 の 上 に 阿 字 を 想 ひ 、 此 の 字 を 以 て 金 剛 山 と し て 之 を 押 す な り 。 三 千 大 千 の 諸 の 須 彌 山 を 合 し て 一 體 も し て 其 上 を 蓋 ふ な り 。 又 當 に 時 々 に 器 の 上 に 此 の 字 を 作 せ 。 此 の 阿 は こ れ 金 剛 不 動 の 義 な り 。 一 黙 を 加 ふ る は 是 れ 遍 一 切 慮 な り 、 此 の 金 剛 不 動 を し て 二 切 庭 に 遍 せ し む べ し 。 帥 ち 是 れ 増 廣 の 義 な り 。 次 に 水 障 を 息 除 す る 法 を 叙 せ ん に 、 露 地 に 於 て 曼 茶 羅 を 書 作 せ ん も す る と き 、 若 し 水 障 に 遇 へ ば 、 そ
を 殿 壊 せ ら る 、 が 故 に 、 駿 雨 暴 流 の 障 り を 樹 治 の 法 を 説 け る な り 。 此 の 法 を な さ ん に は 、 行 者 耀 ゝ 字 を 思 惟 し 、 色 赤 く し て 火 の 如 く に し て 身 内 に 遍 じ 、 猛 焔 禮 内 よ り 流 出 し て 、 身 外 を 周 匝 す る こ も 髭 形 の 如 く 、 身 不 動 明 王 と、 作 る も 観 じ て 、 水 障 の 起 る 方 面 に 雲 龍 を 叢 作 し 、 手 に 大 慧 刀 の 印 を な し 之 を 断 壊 す れ ば 水 障 自 ら 消 散 す 。 義 繹 に 其 の 深 秘 繹 を な し て 曰 く 、 行 者 心 地 の 中 に 大 悲 曼 茶 羅 を 書 作 せ ん に 、 三 毒 の 悪 龍 暴 雨 を 降 ら し 、 不 思 議 法 界 の 染 色 を 浬 滅 漂 倫 せ し む る が 故 に 、 耀 字 火 生 の 三 昧 に 入 り 、 不 動 明 王 の 威 猛 大 勢 に 住 し 心 裏 の 妄 雲 を 止 息 せ し む る な り 。 ま た 水 障 の 起 り 來 ら ん と す る 方 面 に 、 金 剛 概 を 釘 ち 、 其 の 金 剛 概 の 方 便 に 依 て 風 雨 の 障 り を 息 滅 す べ き こ も を 明 す 。 郎 ち 怯 陀 羅 木 な れ て 、 或 は 苦 練 或 は 鑛 鐵 を 以 て 楓 形 に 作 し 首 ら 一 股 金 剛 の 如 く 、 地 に 釘 つ 下 方 は 鈷 鏡 に 作 し 、 成 辮 諸 事 の 金 剛 薩 唾 の 眞 言 、 帥 ち 不 動 明 王 の 眞 言 を 以 て 之 を 加 持 し 、 勇 健 の 菩 提 心 に 住 し 、 自 身 即 ち 金 剛 に 同 な り も 親 じ 、 以 て 障 起 の 方 面 に 釘 ち て 道 場 の 地 分 を し て 、 皆 金 剛 に 同 せ し め ば 、 諸 障 自 ら 息 滅 す べ し 。 古 鋤 に 口 く . 一 切 を 金 剛 に 同 せ し む も 想 ふ と は 、 此 の 概 下 も 金 剛 輪 際 に 至 る が 故 に 、 其 の 中 間 の 一 切 の 諸 法 、 皆 此 の 金 剛 薇 の 爲 め に 貫 徹 せ ら れ 、 悉 く 金 剛 輪 際 に 同 じ て 動 轄 無 き な り 。 若 し 深 秘 の 繹 を な せ ば 、 濁 一 法 界 金 剛 の 菩 提 心 、 第 十 一 地 金 剛 輪 際 に 至 り 、 法 界 の 一 切 諸 法 を 貫 徹 し 、 更 に 動 輕 せ し め ざ る が 故 に 、 諸 障 自 然 に 生 せ ざ る な り 。 大 日 経 息 障 品 の 迄硬 概 六 九
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 〇 疏 し 曰 く 水 障 の 法 は 當 に 曜 字 を 思 惟 し 、 身 内 に 遍 し て 、 赤 色 も 作 せ 。 大 力 酪 、 郎 ち 是 れ 火 焔 の 髪 な り 、 内 身 よ り 出 で ゝ 身 上 に 遍 す る こ も 髭 の 如 し 。 大 力 可 畏 の 悪 形 も 作 て 、 手 に 大 刀 の 印 を 執 る 瞑 形 に 作 り 已 り て 、 地 に 書 て 雲 の 像 を 作 れ 或 は 龍 蛇 の 像 を 作 し て 、 刀 印 を 用 ひ て 其 の 形 を 斬 り 断 て よ 、 雲 即 ち 散 滅 せ ん 。 雲 は 是 れ 諸 水 の 因 依 こ す る 所 な る を 以 て の 故 な り 。 障 を 起 す 所 の 方 に 随 ひ て 之 を 作 せ 。 如 し 雨 東 よ り 來 ら ば 即 ち 東 方 に 於 い て 作 せ 。 或 は 金 剛 極 を 作 り 用 ひ て 此 の 風 雨 を 止 め よ 。 其 の 概 は 怯 陀 羅 木 を 用 ひ 濁 股 金 剛 を 作 り て 、 金 剛 の 眞 言 を 以 て 之 を 加 持 せ よ 。 一 切 の 金 剛 に 同 す も 想 う て 以 て 之 を 打 て 、 亦 所 在 の 方 面 に 随 ふ な り 。 此 れ 癒 に 自 身 を 一 切 の 金 剛 に 同 じ て 、 然 し て 後 に 之 を 作 す べ き な り 。 此 の 概 を 作 る こ ご は 、 是 れ 一 股 金 剛 な り 。 三 股 の 邊 支 の 股 を 除 け る 帥 ち 是 れ な り 。 そ の 小 さ き 者 を は 金 剛 針 も 名 く 。 七 上 來 造 立 曼 茶 羅 に 際 し 、 風 水 の 障 碍 起 ら ん こ す る と き 、 そ を 息 滅 す る 法 を 明 か さ れ た る が 、 以 下 更 に 総 し て 一 切 の 障 碍 を 息 滅 す べ き 秘 要 を 説 け り 。 纏 に 曰 く 復 次 に 今 當 に 一 切 の 障 り を 息 る こ と を 説 く べ し 。 眞 言 の 大 猛 不 動 大 力 者 、 本 曼 茶 羅 に 住 す も 念 す べ
し 。 行 者 或 は 中 に 居 し て 、 而 も 彼 の 形 像 は 三 昧 の 足 を 頂 戴 す も 観 す べ し 。 彼 の 障 當 に 浄 除 す べ し 。 息 滅 し て 而 も 生 せ す 。 或 は 羅 遍 迦 罫 侭 飛 を 以 て 微 妙 ご 共 に 和 合 し て 、 行 者 形 像 を 造 つ て 、 而 も 以 て 其 の 身 に 塗 れ 。 彼 れ 諸 の 執 著 の 者 、 斯 の 封 治 に 由 る か 故 に 、 彼 れ が 諸 根 熾 然 た り 。 疑 惑 の 心 を 生 す る こ ご 勿 れ 。 乃 至 繹 梵 の 愈 も 、 我 が 教 に 順 は ざ る が 故 に 、 尚 當 に 爲 に 焚 か る べ し 。 況 ん や 復 鯨 の 衆 生 を や 。 凡 そ 障 碍 の 根 源 は 根 本 無 明 な り 、 経 疏 に は 其 の 根 本 無 明 を 大 自 在 天 こ し 、 そ の 大 自 在 天 を 降 伏 す る 法 を 明 か ぜ り 。 帥 ち 不 動 明 王 、 熾 鱗 周 匝 せ る 三 角 曼 茶 羅 に 住 す も 観 じ 、 障 者 を 断 除 す る 秘 旨 を 説 け り 、 し か し て 此 の 作 法 に 二 種 あ り 、 一 に は 不 動 明 王 本 曼 茶 羅 の 中 に 住 し て 、 三 昧 の 足 を 以 て 彼 の 障 者 た る 大 自 在 天 の 頂 上 を 躇 む も 観 じ 、 二 に は 曼 茶 羅 の 中 に 彼 の 障 者 の 形 を 蚕 き 、 行 者 自 ら 不 動 明 王 な り も 観 じ 、 曼 茶 羅 の 中 に 入 つ て 左 の 脚 を 以 て 彼 の 障 者 の 頂 上 に 加 へ 、 大 念 怒 の 威 力 を 以 て 彼 に 臨 め は 、 か の 障 者 自 ら 退 散 す 。 若 し 違 戻 し て 退 散 せ ざ れ は 、 當 に 命 根 を 断 す べ し 、 而 も 眞 言 者 慈 心 を 生 じ 、 彼 が 命 根 を 断 絶 せ し め す 。 郎 ち 障 者 の 命 根 を 噺 絶 す と は 、 こ れ 一 切 衆 生 の 煩 悩 業 に 依 る 生 死 の 生 を 断 す る 義 な り 、 而 も 慈 心 を 以 て の ゆ ゑ に 彼 が 命 根 を 断 せ す も は 、 こ れ 浮 菩 提 心 の 不 動 明 王 、 諸 の 衆 生 の 生 死 の 生 を 断 す る も き 、 彼 の 如 來 常 住 の 生 を 得 せ し む る を 云 ふ な り 。 義 繹 に 日 く 然 る 所 以 は 是 の 如 く の 浮 菩 提 心 の 不 動 明 王 、 諸 の 衆 生 の 業 煩 悩 の 壽 命 を 殺 害 す る 時 、 即 ち 須 ら く 彼 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 一
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 二 の 法 性 眞 常 の 命 を 生 す べ し 。 故 に 龍 樹 の 以 爲 ら く 、 若 し 諸 佛 、 修 行 者 を し て 必 定 し て 茨 断 の 浬 繋 に 堕 せ し む れ ば 、 便 ち 衆 生 を 殺 す 罪 あ り 、 故 に 文 の 如 く 堅 住 し て 、 如 來 の 密 意 を 失 す べ か ら す 云 云 。 不 動 明 王 は こ れ 大 菩 提 心 な り 、 大 自 在 天 を 断 除 す る は 、 こ れ 妄 心 は つ ひ に 大 菩 提 心 に 断 せ ら る べ き こ も を 明 か す も の な り 、 疏 及 び 義 鐸 に 大 自 在 天 不 動 明 王 に 降 伏 せ ら る ゝ 義 相 を 、 喩 伽 金 剛 頂 経 を 引 用 し て 示 せ り 。 佛 始 め て 正 眞 を 成 じ 給 ふ 時 、 金 剛 界 曼 茶 羅 に 於 て 三 千 世 界 の 普 門 の 大 衆 を 撮 召 し 給 ひ し に 、 大 自 在 天 も 云 ふ も の あ り 、 三 千 世 界 の 主 と し て 慢 心 を 以 て の 故 に 肯 て 所 召 の 命 に 從 は す 、 是 の 念 を 作 す 、 我 は 是 れ 三 界 の 主 な り 、 更 に 何 等 の 世 奪 あ つ て か 我 を 召 さ ん や 。 復 是 の 念 を 作 す 、 彼 の 持 兇 者 即 ち 不 動 奪 は 諸 の 薇 を 怖 そ る 、 我 今 種 種 不 浄 の 物 を 化 作 し て 、 宮 城 の 表 を 園 逡 し て 、 而 も 其 の 中 に 住 せ は う 彼 の 法 術 何 ぞ 能 く 爲 す 所 あ ら む 。 時 に 不 勤 明 王 、 佛 の 教 命 を 承 て 彼 を 召 す 、 彼 れ 此 の 如 く の 事 を 作 す を 見 て 、 郎 ち 受 鯛 金 剛 も 化 し て 彼 を し て 之 を 取 ら し む 。 爾 の 時 、 受 鯛 金 剛 須 婁 に し て 諸 稜 を 畷 盤 し て 徐 な か ら し む 。 し か し て 彼 を 執 へ て 佛 所 に 來 至 せ し む 、 彼 復 言 さ く 、 爾 ち 等 は 是 れ 夜 叉 の 類 な り 、 我 は 是 れ 諸 天 の 主 な り 、 何 ぞ 能 く 汝 が 教 命 を 受 け ん や 。 尋 い て 帥 ち 逃 げ 館 へ る 。 是 の 如 く す る こ も 七 反 な り 、 是 に 於 て 不 動 明 王 佛 に 自 し て 言 さ く 、 世 奪 此 の 有 情 は 何 故 に こ も さ ら に 三 世 諸 佛 の 三 昧 耶 の 法 を 犯 す 。 當 に 何 の 法 を 以 て か 之 を 治 す べ し 。 佛 の 言 は く 帥 ち 當 に 彼 れ が 命 を 断 す べ し 、 時 に 不 動 明 王 即
ち 彼 れ を 持 つ て 左 の 足 を 以 て 彼 の 頂 の 孚 月 の 中 を 躇 み 、 右 の 足 を 以 て 彼 の 妃 の 首 の 孚 月 中 を 躇 め り 。 爾 の 時 大 自 在 天 尋 い て 帥 ち 命 絶 す 。 郎 ち 悶 絶 の 中 に 於 て 無 量 甚 深 の 三 昧 を 謹 し て 授 記 を 得 、 茨 欲 世 界 に 於 て 正 等 眞 を 成 じ て 月 勝 如 來 と 號 す 。 然 も 此 れ は 皆 是 れ 密 語 な り 、 謂 は ゆ る 一 切 の 薇 を 食 ふ も は 、 是 れ 彼 の 悪 業 煩 悩 等 の 垢 機 澤 濁 の 法 を 畷 ふ な り 。 命 終 と は 是 れ 彼 の 一 切 の 心 法 を 永 く 断 し て 無 生 の 法 性 に 入 る が 故 に 、 中 に 於 て 一 切 の 佛 の 記 を 得 、 是 れ 殺 す に は あ ら ざ る な り 、 爾 の 時 諸 天 等 、 三 千 世 界 の 天 主 た る 大 自 在 天 の 諸 佛 の 三 昧 耶 に 順 せ ざ る を 以 て の 故 に 、 自 ら 命 絡 を 取 る こ と を 見 て 、 怖 畏 を 生 じ て 言 は く 、 是 の 如 く の 最 大 天 王 主 す ら 諸 佛 の 三 昧 耶 に 順 は ざ る を 以 て の 故 に 自 ら 命 絶 を 取 る 、 我 等 云 何 ん か 復 た 敬 畏 せ ざ ら む と 、 帥 ち 共 に 佛 の 所 も に 詣 て ゝ 大 曼 茶 羅 の 中 に 於 て 法 利 を 得 た り 。 時 に 不 動 明 王 佛 に 自 し て 言 さ く 、 此 の 大 自 在 天 を は 、 當 に 更 に 云 何 す べ き 、 佛 の 言 は く 汝 癒 さ に 之 を 起 す べ し と 。 時 に 不 動 明 王 即 ち 法 界 生 の 眞 言 を 説 き 給 ふ 。 な ね そ き す も ざ ず の ば び ろ ち ど す ぞ 玄 、 爾 の 時 、 大 自 在 天 帥 ち 復 蘇 息 し 大 歓 喜 を 生 じ て 、 佛 に 自 し て 言 さ く 、 世 奪 是 の 事 甚 だ 希 有 な り 、 佛 初 め て 我 れ を 召 す 時 、 我 即 ち 佛 に 問 ふ 、 此 の 夜 叉 (不 動 明 王 ) は 何 等 の 類 な り や 、 佛 の 言 は く 是 れ は 諸 佛 の 主 な り も 、 我 解 せ ざ る が 故 に 而 も 是 の 念 を 作 す 、 如 來 は 是 れ 一 切 中 の 奪 な り 、 云 何 ん が 更 に 主 あ ら ん や も 、 而 も 今 乃 ち 自 ら 謹 知 し 諏 、 此 の 菩 提 心 王 不 動 明 王 に 由 る か 故 に 、 我 を し て 現 前 に 授 記 作 佛 せ し む 、 法 王 の 説 く 所 誠 に 虚 し か ら ざ る な り 。 然 も 此 の 中 の 深 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 三
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 四 繹 は 三 千 大 千 世 界 の 主 も は 即 ち 是 れ 無 始 の 無 明 に し て 、 一 切 生 死 の 中 に 於 て 而 も 自 在 を 得 た り 、 唯 是 れ 菩 提 心 の 明 王 能 く 之 を 制 伏 し 、 乃 至 彼 の 無 常 の 身 を 殺 し て 、 常 命 を 得 せ し む 、 鯨 は 類 を 以 て 推 し て 解 す べ き な り 。 次 に ま た 障 者 を 降 伏 す る 異 の 方 便 を 明 か せ り 。 帥 ち 障 者 の 身 形 を 木 或 は 土 を 以 て 之 を 作 り 、 芥 子 を 以 て 末 も し 、 毒 藥 ご 和 し て 、 是 れ を 彼 の 身 形 に 塗 れ は 、 障 者 自 然 に 身 心 瞑 眩 し て 帥 時 に 退 散 す 。 但 し か ゝ る 降 伏 の 法 乃 至 か の 風 水 止 息 の 法 等 は 、 久 し く 密 法 を 修 習 し 、 道 謹 圓 備 の 人 の 初 め て 修 す べ き も の な り 、 殊 に 降 伏 法 の 如 き は 、 初 心 の 行 人 た や す く 之 を 行 す る が 如 き は 、 還 て 自 ら 罪 障 を 招 く べ き こ と を 経 疏 に 明 か せ り 。 義 繹 に 密 意 を 述 べ 、 障 者 の 身 形 に 辛 毒 の 藥 を 塗 る ご は 、 こ れ 無 常 、 苦 、 塞 、 無 我 等 の 法 門 を 以 て 、 衆 生 の 我 執 迷 妄 を 野 治 す る 義 な り 、 乃 至 自 在 安 樂 の 世 界 に 住 し 、 そ の 身 の 無 常 を 知 ら ざ る 梵 天 、 帝 繹 等 の 諸 天 も 、 無 常 無 我 の 法 を 以 て 治 せ は 、 帥 ち 身 心 熾 然 猶 し 火 宅 に 住 す る の 想 を 生 じ 、 生 死 を 厭 怖 し て 、 正 し く 浬 繋 に 順 す べ き な り 。 疏 に 曰 く 又 の 法 は 芥 子 及 び 諸 毒 藥 を 用 ひ て 、 二 種 相 和 し て 彼 の 障 り を 爲 す 者 の 形 像 を 作 り 用 ひ て 之 れ 塗 れ 、 彼 の 身 を し て 火 に 嶢 か る ゝ が 如 く し て 、 速 か に 中 傷 を 被 ら し む る か 故 に 、 速 被 着 こ 云 ふ 。 乃 至 大 梵
等 の 障 り を 爲 す も の す ら 爾 被 着 せ ら る 、 何 に 況 ん や 除 を や 。 叉 凡 そ 此 の 法 は 皆 是 れ 久 し く 持 請 し て 、 成 就 を 得 る 者 、 法 則 を 解 し て 乃 ち 能 く 之 を 作 す な り 。 若 し 但 し 法 を 聞 い て 印 ち 是 の 如 き 用 を 得 ん も 求 め ば 此 の 理 な き な り 。 八 以 下 、 諸 奪 本 曼 茶 羅 に 住 し 、 威 神 力 を 現 す る こ も を 明 す 。 経 に 曰 く 爾 の 時 に 金 剛 手 、 佛 に 白 し て 言 さ く 、 世 尊 、 我 れ 佛 の 所 説 の 義 を 解 す る が 如 く 、 我 も 亦 是 の 如 く 知 ん ぬ 、 諸 の 聖 尊 の 本 曼 茶 羅 の 位 に 住 し 、 威 神 力 有 ら し む る こ と を 。 彼 れ 是 の 如 く 住 す る に 由 る か 故 に 、 如 來 の 教 勅 を 能 く 隠 蔽 す る こ も な し 、 何 を 以 て の 故 に 、 世 奪 、 帥 ち 一 切 の 諸 の 眞 言 の 三 昧 耶 は 、 所 謂 自 種 性 に 住 す る が 故 な り 。 是 の 故 に 眞 言 門 に 菩 薩 の 行 を 修 す る 諸 の 菩 薩 は 、 亦 當 に 本 位 に 住 し て 、 諸 の 事 業 を 作 す べ し 。 こ れ 金 剛 手 菩 薩 、 如 來 の 教 説 を 領 解 し 、 不 動 明 王 並 に 諸 尊 の 三 昧 耶 を 明 か す 文 な り 。 即 ち 不 動 明 王 威 神 力 を 現 じ て 障 難 を 降 伏 し 給 へ る は 、 こ れ 明 王 本 曼 茶 羅 に 住 し 、 行 者 よ く 其 の 三 昧 耶 に 相 癒 せ し に 依 る 。 不 動 明 王 の 威 紳 力 を 現 ぜ し が 如 く 、 諸 尊 各 々 其 の 本 誓 願 を 現 成 せ ん に は 、 其 の 本 曼 茶 羅 に 佳 せ ざ る べ か ら ざ る こ ご を 開 演 せ る も の な り 。 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 五
大 日 経 息 障 口隅 の 梗 概 七 六 諸 尊 本 曼 茶 羅 に 住 す も は 、 佛 部 の 諸 奪 は 方 壇 を 以 て 坐 も し 、 蓮 華 部 の 諸 尊 は 圓 壇 、 金 剛 部 の 諸 尊 は 三 角 壇 を 所 住 と な す が 如 く 、 四 薫 法 界 の 諸 尊 各 々 本 誓 三 昧 耶 に 從 ひ 馬 ま た 行 者 所 求 の 悉 地 に 随 て 壇 相 多 種 な り 。 義 繹 に 曰 く 、 本 尊 の 位 に 略 し て 四 種 あ り 、 阿 字 は 地 輪 な り 黄 色 に し て 而 も 方 な り 、 騨 字 は 水 輪 な り 色 自 く し て 而 も 圓 な り 、 曜 字 は 火 輪 な り 色 赤 く し て 三 角 形 な り 、 賀 字 は 風 輪 な り 色 黒 く し て 孚 月 形 な り 、 更 に 怯 字 あ り 、 虚 塞 輪 に し て 定 形 あ る こ ご な く 、 種 々 の 色 を 具 す 、 皆 是 れ 如 來 秘 密 の 方 便 な り 、 若 し 本 尊 を 圖 豊 し 観 想 せ ん に 、 相 慮 の 事 に 随 て 、 而 も 此 の 位 中 に 住 せ ば 馬 皆 威 神 顯 著 に し て 、 諸 障 鑑 く 息 み 如 來 の 正 三 昧 耶 の 種 々 の 教 勅 を し て 、 一 切 能 く 之 を 隠 蔽 す る 者 な か ら し む 。 上 の 文 に は 但 た 不 動 尊 の 日 法 を 墨 ぐ 、 秘 密 圭 類 に 鯛 れ て 、 申 は し て 之 を 長 う し 、 一 切 法 中 に 遍 せ し む 、 故 を 以 て 名 け て 、 善 知 三 密 と な す な り 。 此 の 如 く 如 來 各 々 其 の 本 曼 茶 羅 た る 自 種 性 に 住 せ は 、 よ く 其 の 本 誓 三 昧 を 現 す る は 、 例 へ は 四 姓 各 々 家 法 あ り 、 よ く 其 の 家 法 を 選 守 す る も の 、 其 の 自 種 性 を し て 各 々 光 榮 あ ら し む る が 如 し 、 帥 ち 不 動 明 王 よ く 大 日 如 來 の 教 今 輪 身 こ し て 、 如 來 の 教 命 に 違 背 せ す 、 大 雄 猛 力 を 以 て 難 調 の 者 を 調 伏 し 、 難 信 の 教 を 宣 布 し 給 ふ が 如 き は 、 こ れ 其 の 自 種 性 た る 金 剛 部 の 本 曼 茶 羅 に 住 す る に よ る 。 故 に 眞 言 門 の 菩 薩 衆 た る も の 、 よ く 諸 奪 の 三 昧 耶 に 相 癒 し て 修 す れ ば 諸 尊 の 三 昧 耶 を 隠 蔽 す る こ も な く 、 よ く 神 験 を
現 せ ら る べ き な り 。 義 鐸 に 曰 く 復 次 に 刹 利 婆 羅 門 等 の 四 姓 の 若 し 自 種 性 の 中 に 住 し て 、 其 の 家 法 を 奉 す れ は 、 則 ち 世 人 の 爲 め に 爾 碁 せ ら れ 、 事 功 を 成 す こ も 有 る が 如 く 、 今 此 の 本 曼 茶 羅 も 亦 た 爾 な り 、 準 等 無 動 は 是 れ 金 剛 の 地 性 本 無 生 の 性 な り 、 寂 静 圓 満 は 是 れ 大 悲 の 水 性 離 言 説 の 性 な り 、 鋒 鋭 照 明 は 是 れ 大 慧 の 火 性 離 塵 垢 の 性 な り 、 巻 好 成 壊 は 是 れ 自 在 の 風 性 離 因 縁 の 性 な り 、 無 相 の 像 は 是 れ 不 可 得 室 大 塞 の 本 性 な り 、 是 の 如 く 本 性 は 三 世 の 諸 佛 も 省 ほ 之 を 作 す 能 は す 、 何 に 況 ん や 諸 の 障 を 爲 す 者 、 能 く 之 を 蔽 さ ん や 是 の 故 に 眞 言 門 に 菩 薩 の 行 を 修 す る 諸 の 菩 薩 は 、 亦 當 に 如 來 の 種 性 を 紹 い て 、 諸 奪 の 本 曼 茶 羅 の な ら も 位 に 住 し て 、 諸 の 事 業 を 作 す を 放 効 ふ べ し 。 如 し 寂 災 の 事 業 を 作 さ ん も 欲 は ゞ 、 帥 ち 當 に 自 ら 本 尊 の 身 も 作 つ て 圓 曼 茶 羅 に 佳 す べ し 、 若 し 増 盆 の 事 業 を 作 さ は 、 帥 ち 方 曼 茶 羅 に 住 す べ し 、 若 し 降 伏 の 事 業 を 作 さ は 、 即 ち 三 角 曼 茶 羅 に 住 す べ し 、 籏 召 の 事 業 を 作 さ ん ご 欲 は い 、 帥 ち 宇 月 の 曼 茶 羅 に 住 す べ し 、 若 し 種 々 の 荘 嚴 を 出 生 せ ん ご 欲 ば ゞ 、 帥 ち 雑 色 の 曼 茶 羅 に 住 す べ し 、 能 く 行 者 の 威 駿 を し て 、 帥 ち 本 尊 に 同 せ し め 、 一 切 の 障 り を 爲 す 者 能 く 映 奪 す る こ も 無 き な り 。 上 に 金 剛 手 菩 薩 、 諸 奪 各 々 本 曼 茶 羅 に 住 す べ き 領 解 を 明 か さ れ た る か 、 以 下 は 如 來 更 に 諸 尊 の 形 色 、 所 住 の 曼 茶 羅 ご 相 庶 す べ き 義 を 説 く 、 経 に 曰 く 、 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 七
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 八 又 秘 密 主 、 若 は 諸 色 も 彼 の 諸 の 聖 奪 の 曼 茶 羅 位 と を 説 か は 、 諸 尊 の 形 相 も 、 當 に 知 る べ し 亦 爾 な り 、 是 れ 即 ち 先 佛 の 説 き 給 ふ 所 な り 。 義 繹 に 曰 く 諸 奪 若 し 黄 色 と い は い 此 は 是 れ 金 剛 の 色 身 な り 、 當 に 因 陀 羅 方 輪 の 中 に 在 る べ し 、 若 し 自 色 な ら は 此 は 是 れ 性 浄 慈 悲 の 色 な り 、 當 に 圓 壇 の 中 に 在 る べ し 、若 し 赤 色 な ら は 此 は 是 れ 威 猛 除 障 の 色 な り 。 當 に 三 角 の 中 に 在 る べ し 、 若 し 黒 色 な ら は 此 は 是 れ 劫 火 大 風 の 色 な り 、 當 に 宇 月 の 中 に 在 る べ し 、 若 し 青 色 な ら は 此 は 是 れ 盧 塞 不 壌 不 可 降 伏 の 色 な り 、 多 く は 是 れ 葱 怒 持 明 王 等 な り 。 或 は 三 角 に 在 り 、 或 は 雫 月 の 中 に 在 り 。 色 及 び 曼 茶 羅 の 如 き は 、 當 に 知 る べ し 形 相 も 亦 た 爾 な り 、 若 し 黄 色 な ら は 當 に 勝 進 法 喜 の 容 に 作 る べ し 、 若 し 臼 色 な ら ば 慈 悲 寂 定 の 容 に せ よ 、 若 し 赤 色 な ら は 當 に 威 猛 精 進 の 容 に 作 る べ し 、 若 し 黒 色 な ら は 當 に 大 力 奮 迅 の 容 に 作 る べ し 、 若 し 青 色 な ら は 當 に 不 可 阻 壊 の 容 に 作 る べ し 、 若 し 黄 自 色 な ら は 則 ち 増 釜 威 猛 の 容 を 兼 ぬ 。 是 の 如 く 類 を 以 て 之 を 推 せ よ 。 乃 至 種 種 に 間 雑 せ る も の は 、 亦 當 に 事 に 随 て 頸 明 し て 其 の 性 分 を 知 る べ し 。 乃 至 十 方 三 世 の 諸 佛 の 一 切 の も 秘 密 藏 の 中 に 設 し 説 か ざ れ は 、 亦 當 に 此 の 意 を 通 用 す べ し 。 相 慮 の 事 業 を 起 す を 以 て の 故 に 、 先 佛 を 引 て 謹 明 を 爲 す 、 法 爾 道 同 な り 、 我 れ 世 に 出 興 し て 、 猫 り 是 の 如 く 説 く に あ ら ざ る な り 。 疏 に 曰 く
謂 く 本 尊 に 各 々 形 色 あ り 、 下 に 當 に 更 に 之 を 説 く べ し 、 如 上 に 本 位 に 随 て 事 業 を な す 事 を 説 け り 。 今 復 色 を 説 く な り 。 謂 は く 會 の 中 に 於 て 、 所 有 の 諸 尊 若 し 其 の 黄 色 を 見 ば 即 ち 癒 に 金 輪 の 中 に 座 す べ し 、 自 は 郎 ち 水 輸 に 座 す 、 赤 は 火 、 黒 は 風 な り 。 次 下 に 色 の 字 あ り 梵 音 別 な り 、 此 は 是 れ 形 相 も な り 。 如 し 寂 然 の 貌 を 見 ば 即 ち 須 ら く 圓 壇 に 座 す べ き 等 な り 、 類 し て 之 を 説 け 。 癒 に 二 に 教 に 依 は る か こ と さ ら て 書 す べ し 。 是 れ 古 佛 の 所 説 な り 、 其 の 道 玄 に 同 じ 、 我 れ 故 に 説 く に 非 す 、 衆 生 を し て 決 定 の 信 を 起 さ し め ん こ 欲 ふ が ゆ ゑ な り 。 九 終 り に 劣 慧 不 信 の 衆 生 の 疑 ひ を 断 じ 、 有 相 曼 茶 羅 の一一の妙相 は 、皆 こ れ 甚 深 不 思 議 の 縁 起 に し て 、 實 相 法 界 に 謹 入 す べ き 妙 門 な る こ も を 説 け り 。 経 に 曰 く 秘 密 主 、 未 來 世 に 於 て 、 劣 慧 無 信 の 衆 生 、 是 の 如 き の 説 を 聞 い て 信 受 す る こ と 能 は す 、 無 慧 を 以 て の 故 に 疑 惑 を 増 す 。 彼 れ 唯 聞 く が 如 く 堅 く 住 し て 修 行 せ ざ れ は 、 自 ら 損 し 他 を 損 す 。 是 の 如 き の 言 を 作 す 、 彼 の 諸 の 外 道 に 是 の 如 き 法 有 り 、 佛 の 所 説 に 非 す ご 、 彼 の 無 智 の 人 、 當 に 是 の 如 き の 信 解 を 作 す べ し 。 爾 の 時 に 世 奪 、 掲 を 説 い て 言 は く 、 一 切 智 の 世 奪 は 、 諸 法 に 自 在 を 得 た り 、 其 の 逼 達 す る 所 の 如 く 、 方 便 を 以 て 衆 生 を 度 し 給 ふ 。 是 れ 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 七 九
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 八 ○ 諸 の 先 佛 の 説 な り 、 法 を 求 む る 者 を 利 釜 し 給 ふ 。 彼 の 愚 夫 は 諸 佛 の 法 相 を 知 ら す 、 我 れ 一 切 の 法 は 所 有 の 相 皆 塞 な り も 説 く 、 常 に 當 に 眞 言 に 往 し て 善 く 決 定 し て 業 を 作 す べ し 。 劣 慧 不 信 の 者 は 謂 へ ら く 、 法 性 は 言 説 を 離 れ 形 色 を 絶 す 、 し か る に 今 眞 言 門 に 於 て 、 曼 茶 羅 を 造 立 し 尊 形 を 圖 作 し 、 持 児 、 結 印 等 の 有 爲 の 事 相 を 明 か す が 如 き は 、 蓋 し こ れ 外 溢 の 説 に し て 、 佛 説 に あ ら ざ る べ し と 。 是 の 如 き の 疑 妄 を 以 て の 故 に 、 信 せ す 修 せ す 、 却 て 自 を 損 し 、 他 を 損 し 、 障 碍 の 元 本 た る 根 本 無 明 を 断 じ 得 ざ る な り 。 夫 れ 有 爲 の 一 切 諸 法 の 塞 禮 、 無 爲 實 相 に し て 、 世 間 有 相 の 當 禮 皆 こ れ 甚 深 法 性 の 縁 起 な る 秘 旨 は 大 乗 佛 教 の 等 し く 説 く こ こ ろ な り 。 一 切 智 智 の 如 來 は 諸 法 の 實 相 を 如 實 に 禮 得 し 。 有 爲 無 爲 を 超 越 し 、 有 爲 無 爲 に 自 在 を 得 給 へ る が 故 に 、 無 相 を 以 て 有 相 も な し 、 浬 繋 を 以 て 生 死 も し 、 生 死 を 以 て 浬 繋 こ な す 。 し か し て 直 に 法 性 に 誰 入 し 得 ざ る 衆 生 の 爲 め に 、 如 來 自 謹 の 境 た る 甚 深 無 相 の 曼 茶 羅 よ り 、 世 間 有 相 の 曼 茶 羅 を 示 現 し 、 衆 生 の 機 根 に 癒 同 し 、 有 相 加 持 の 曼 茶 羅 に 引 入 し 、 つ ひ に 無 相 法 界 に 蹄 入 す べ き 秘 義 を 明 す も の は 、 秘 密 眞 言 乗 な り 。 そ れ 甚 深 の 縁 起 は 四 生 推 計 を 絶 し 測 量 す べ か ち す 、 況 ん や 曼 茶 羅 の 佛 境 界 は 、 因 人 の 思 惟 を 絶 す れ は 、 深 く 信 修 し て 眞 謹 契 合 す べ き な り 。 古 鋤 に 曰 く 方 壇 の 如 き は 黄 色 を 以 て 探 色 嚴 浮 す る は 、 是 れ 帥 ち 如 如 法 界 金 剛 不 壊 の 大 菩 提 心 も 相 慮 し 、 部 ち 能 く 法 界 不 思 議 の 境 界 に 入 住 す 、 若 し 圓 壇 の 如 き は 、 自 色 を 用 ひ て 其 の 本 尊 の 形 像 等 を 探 色
す 、 是 れ 帥 ち 無 蓋 法 界 大 悲 の 萬 徳 も 相 慮 し て 、 帥 ち 能 く 法 界 不 思 議 蓮 華 三 昧 の 境 界 に 入 住 す 。 若 し 三 角 壇 の 如 き は 、 赤 色 を 用 ひ て 其 の 本 尊 等 を 探 色 す 、 是 れ 帥 ち 如 來 不 思 議 法 界 心 智 の 體 ご 相 慮 し て 、 帥 ち 四 魔 三 障 を 催 壊 し て 能 く 不 可 思 議 甚 深 金 剛 智 印 三 昧 の 境 界 に 入 住 す 。 此 の 如 き 等 の 圖 書 の 實 相 、 此 の 如 き 眞 言 の 實 相 此 の 如 き 持 諦 の 實 相 、 此 の 如 き 行 者 の 實 相 、 此 の 如 き 如 來 の 實 相 は 本 來 卒 等 に し て 異 路 な く 本 來 成 就 に し て 初 生 な く 、 本 來 具 定 し て 闘 減 な し 、 本 來 清 浄 に し て 蓮 花 の 如 く 、 本 來 無 相 に し て 盧 室 の 如 く 、 本 來 常 住 に し て 金 剛 の 如 し 、 此 の 如 き 等 の 準 等 法 界 禮 は 、 唯 是 れ 有 信 の 者 の み 帥 ち 得 入 す 、 云 々 。 疏 に 曰 く 此 の 衆 生 等 は 鈍 根 少 智 に し て 信 を 具 せ ざ る を 以 て の 故 に 、 此 の 甚 深 の 事 を 聞 い て 曉 了 す る こ ご 能 は す し て 更 に 欺 岡 を 増 す 。 此 は 帥 ち 障 を 爲 す 所 由 を 説 く な り 。 是 の 如 く 眞 言 の 垂 及 び 持 論 等 は 一 一 に 皆 深 意 あ り 、 盤 く 是 れ 如 來 不 思 議 の 事 な り 。 人 是 の 如 き の 藥 を 得 て 、 帥 ち 能 く 塞 に 昇 り 或 は 火 に 入 る 等 は 、 此 れ 但 衆 縁 合 す る か 故 に 決 定 し て 盧 し か ら す 、 是 れ 盧 し か ら ざ る に あ ら す 、 是 れ 諸 人 の 慮 に 簿 量 し て 其 の 所 以 を 説 く べ き 所 に あ ら ざ る か 如 し 。 此 の 如 く 書 色 等 若 し 法 に 依 て 疑 は ざ れ ば 、 乃 ち 能 く 深 く 法 界 不 思 議 の 境 に 入 る 、 此 れ 唯 信 す る 者 の み 入 る こ も を 得 、 若 し 心 数 を 以 て ト 量 せ ん も 欲 は い 、 云 何 が 所 以 を 知 て 疑 は ざ る こ も を 得 ん や 。 世 人 の 藥 を 得 て 塞 に 飛 ぶ か 如 き は 、 此 の 事 汝 爾 大 日 経 息 障 品 の 梗 概 八 一
大 日 経 息 障 品 の 梗 概 八 二 し 能 く 具 さ に 解 す る に 勝 へ じ 、 而 も 心 愚 に し て 輕 殿 し て 如 來 の 眞 塞 無 相 の 法 に あ ら す ご 謂 う て 徒 ら に 且 ら 傷 ふ る な り 。 又 曰 く 如 來 は 一 切 智 を 具 し て 諸 法 の 中 に 於 て 自 在 を 得 給 ふ 。 衆 生 は 劣 慧 に し て 未 だ 頓 に 如 來 の 自 禮 不 思 議 の 力 用 を 説 く に 堪 へ ざ る を 以 て の 故 に 、 此 の 書 色 等 の 方 便 を 作 し て 、 諸 の 衆 生 を し て 所 作 の 者 に 随 て 能 く 所 求 を 満 て 利 盆 を 得 し む 。 然 る 所 以 は 諸 の 衆 生 未 だ 諸 法 の 室 相 を 解 せ ざ る を 以 て 、 是 の 故 に 無 相 の 中 に 於 て 而 も 有 相 の 方 便 を 作 し て 之 を 説 き 給 ふ 。 若 し 人 佛 の 深 意 を 得 ば 。 當 に 眞 常 住 の 行 に 住 し て 、 諸 有 の 所 作 皆 理 禮 に 入 り て 、 一 切 智 々 の 心 に 同 す 。 是 の 如 く 疑 慮 な か ら ん 者 は 、 一 切 の 障 法 其 の 便 り を 得 る こ ご な し 。 ( 昭 和 五 年 十 一 旦 二 日 )