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密教研究 Vol. 1921 No. 6 002瀬成 世眼「顯密二教の比較研究 P15-48」

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全文

(1)

台敎

傳敎

密敎

及敎

密敎

密敎

台敎

り。

五三十八丁

台敎

密敎

れど

、弘

の敎

密敎

密敎

(2)

顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 六 と 貶 斥 す る は 、 謗 法 の 罪 に 堕 す る を 免 が れ ざ る な り 。 是 故 に 篤 と 彼 此 め 異 同 淺 深 を 審 査 し て 、 佛敎 の 眞 味 を 賞 翫 せ ざ る を 得 ず 。 今 は 先 づ 純 正 哲 學 を 以 て 宗敎 を 組 織 せ る 六 大 縁 起 説 を 比 較 せ ん に 、 初 に 台敎 の 説 を 出 し 、 後 に 密敎 の 説 を 述 べ て 比 較 せ ん 。 初 め 台敎 の 説 に 於 て 先 づ 六 大 の 解 説 を 辨 ぜ ば 一 、 六 大 五 陰 の 関 合 智 旭 大 師 が 大 佛 頂 經 文 句 の 三 に 左 の 如 く い へ り 。 是 は 五 陰 と 七 大 と の 開 合 な れ ど も 、 五 陰 と 六 大 と の 開 合 亦 た 准 知 す べ き な り 。 即 ち 色 よ り 前 五 大 を 開 き 想 行 識 を 合 し て 第 六 識 天 と し 、 受 よ り 根 大 を 別 開 す れ ば 七 大 な れ ど も 、 大 佛 頂 經 に 根 大 を 見 大 と も 名 く る は 、 八 識 の 取 境 を 根 と 名 け た る も の ゆ ゑ 、 其 體 受 の 心 所 に 歸 し 、 合 す れ ば 識 大 に 攝 り て 六 大 と な る 故

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に 、 六 大 七 大 は 開 合 の 異 と す る 義 意 を 彰 は せ り 。 又 た 十 八 界 と 七 大 と の 開 合 を 左 の 如 く い へ り 。 是 は 、 法 境 は 法 塵 に し て 、 五 塵 に 從 は せ て 六 境 を 前 五 大 と し 、 五 色 根 は 其 體 五 塵 な れ ば 別 開 す る に 及 ば ざ れ ど も 、 意 根 に 從 せ 受 の 心 所 の 取 境 に 約 す る 故 に 、 別 開 す と 見 て 合 す れ ば 、 識 大 に 攝 ま る と す る 義 意 あ る 故 に 、 十 八 界 と 六 大 と は 開 合 の 異 と す る 意 な り 。 二 、 六 大 の 體 性 台 家 も 大 と 名 く る は 、 十 方 法 界 に 周 偏 せ る に 名 く と す 。 即 是 は 法 性 に 名 け た も の 、 現 象 界 の 一 局 部 に 存 在 す る 地 水 等 を 指 す に 非 ず 。 涅 槃 經 に 因 滅 是 色 獲 得 常 色 受 想 行 識 亦 復 如 是 と 言 ひ 、 仁 王 經 に 法 性 五 陰 と 説 く が 如 く 、 法 界 萬 有 の 實 體 た る 地 水 火 等 を 以 て 此 六 大 と す 。 即 ち 智 者 大 師 を 初 め と し て 、 傅 燈 、 智 旭 、 一 松 の 三 大 師 及 び 四 明 の 諸 大 徳 、 皆 尊 崇 し た ま へ る 大 佛 頂 經 第 三 卷 に 、 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 七

(4)

顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 八 と 説 く も の に 據 る 意 な り 。 此 經 文 は 七 大 を 説 け ど も 、 六 大 と 七 大 と は 開 合 の 異 な る 故 に 、 此 に 依 り て 明 に 十 界 縁 起 を 明 す も の は 、 天 台 の 中 興 と も 仰 が る ゝ 傅 燈 和 尚 の 性 善 悪 論 な り 。 此 七 大 の 各 々 に 、 性 色 性 火 乃 至 性 見 性 識 と 言 へ る は 、 相 色 相 火 乃 至 相 見 相 識 に 簡 ん で 、 實 體 即 如 來 藏 性 の 七 大 を 言 ふ 意 な り 。 前 五 大 に 各 眞 空 の 語 を 附 け て あ る は 、 經 文 の 前 方 に 色 は 合 空 爲 色 な り 空 は 折 色 爲 空 な ら ん と 阿 難 か 疑 ひ を 出 せ り 。 こ れ を 對 破 せ ん 爲 め に 、 性 具 の 色 な る を 顯 し て 性 色 と 言 ひ 、 性 具 の 空 な る を 示 し て 性 空 を 説 き 、 ま た 性 具 の 色 空 に 全 眞 無 安 な る を 示 し て 、 眞 色 眞 空 と 言 へ る な り 。 如 來 藏 中 の 七 大 は 、 恒 に 空 有 用 即 の 中 道 法 な れ ど も 、 前 五 大 は 如 是 義 あ り て 各 々 に 眞 空 の 語 を 附 け て あ る な り 。 後 二 大 は 直 ち に 自 體 を 辨 明 す る 故 に 、 別 に 空 と 言 は ざ る な り 。 此 大 佛 頂 經 に 、 先 づ 地 大 を 明 す に 、 阿 難 の 所 見 を 出 し て鹿 大 な る を 地 と し 、 之 を 拆 き て 細 な る も の を 微

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塵 と し 、 細 の 細 な る も の を 極 微 と し 、 極 微 の 微 な る も の を 鄰 盧 と 云 ふ 。 極 微 の 塵 は 、 尚 ほ 七 分 所 成 に し て 微 色 あ り 、 故 に 色 邊 際 相 と 言 ふ 。 此 極 微 を 析 ひ て 、 七 分 の 一 に 至 れ ば 、 微 色 殆 ん ど 空 虚 な り 。 故 に 鄰 盧 と 云 ふ 。 更 に 之 を 折 け ば 空 性 と な る と 云 ふ 。 即 是 は 小 乗敎 の 、 人 は 四 大 を 観 す る に 因 縁 和 合 し て 有 な り 、 つ い に 不 可 得 な り と 、 四 大 各 々 我 身 に 還 り 、 我 空 の 眞 理 を 悟 る 爲 に し て 云 ふ と こ ろ な り 。 然 る に 是 は も と 色 性 を 空 性 と, 無 二 無 別 な る を 知 ざ る に 由 て 、 妄 に 色 を 折 い て 室 に 帰 す べ し と 思 へ り 。 是 れ 實 に 拙 な り 。 か る が 故 に 佛 は 之 を 破 し て 、 隣 盧 若 折 き て 實 の 空 性 と 成 ら ば 、 虚 空 ま た 合 し て 色 相 を 田 生 す べ し 。 然 る に 合 室 成 色 は 非 理 な る 故 に 、 折 色 爲 空 も 非 理 な り き 、 云 何 ぞ 鄰 盧 を 折 き て 實 の 室 性 と な る こ と を 得 ん 、 阿 難 汝 ぢ 知 ら す や 、 色 は 和 合 し て 初 め て 出 來 た る に 非 ず 、 色 は も と 性 具 な り 、 室 は 分 折 し て 初 め て 空 あ る に 非 ず 、 空 は も と 性 具 な り 、 如 來 藏 性 具 の 色 空 は 、 自 ら 相 即 し て 同 體 無 別 な り と 顯 さ ん 爲 に 、 性 色 眞 空 性 空 眞 色 と 反 復 し て 云 ふ て 、 性 色 即 眞 空 性 空 即 眞 色 な る 旨 を 顯 は し た ま へ り 。 中 間 の 五 大 を 明 す に 、 詳 細 は 種 々 の 義 趣 あ れ ど も 、 大 體 は 亦 是 を 同 く 、 性 具 の 眞 火 水 風 空 等 の 空 有 相 即 を 明 す 意 な り 。 後 ち 第 七 の 識 大 を 明 す に 、 眼 識 等 の 六 識 は 六 根 六 境 等 の 因 縁 よ り 妄 生 す 。 眼 識 と 言 へ ば 、 根 境 空 明 等 の 因 縁 よ り 生 す 。 此 因 縁 各 實 生 。 何 者 若 唯 眼 根 の み な ら ば 、 明 暗 色 空 無 し て 眼 根 た る を 得 す 。 云 何 ぞ 眼 識 を 生 ぜ ん や 。 若 唯 色 境 の み な ら ば 、 根 な く し て 明 暗 を 見 ず 。 明 暗 を 見 ざ れ ば 色 空 な し 、 云 何 か 眼 識 を 生 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 一 九

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 〇 ぜ ん や 。 若 唯 空 の み な ら ば 、 取 境 の 根 な く 所 縁 の 境 な し 、 云 何 眼 識 を 生 ぜ ん や 。 若 無 因 よ り 眼 識 生 ず と 言 に ヾ 、 何 故 に 日 中 に 寂 然 明 月 を 識 別 せ ざ る や 。 斯 の 如 く 生 識 の 縁 は 根 境 空 及 無 因 の 一 々 に 於 て 、 自 分 獨 立 に 識 を 生 ず る の 力 を 有 す る も の な し 。 既 に 自 體 と し て 實 に 生 識 の 力 無 は 、 如 何 に 和 合 し て も 實 に 生 識 す る 筈 な き な り 。 然 る に 眼 識 等 生 ず る は 、 其 無 自 性 の 處 に 性 具 の 七 大 あ り て 十 界 の 六 識 も 本 來 從 所 な し に 湛 然 圓 満 ね る に 由 る 。 是 故 に 、 彼 地 水 火 風 空 根 を 兼 併 し て 均 し く 七 火 と 名 く 。 而 し て 十 界 の 地 水 火 風 空 根 即 十 界 の 六 識 な り 。 十 界 の 六 識 即 十 界 の 地 水 火 風 空 根 な り 。 又 性 具 の 六 識 は 、 彼 性 具 の 地 水 火 風 空 根 と 同 く 、 從 所 な く し て 一 々 性 眞 圓 融 皆 如 來 藏 無 生 滅 な る も の な り 。 又 如 來 蔵 は 、 三 諦 圓 融 す る が 故 に 、 如 來 藏 中 の 性 識 眞 識 は 、 根 境 空 明 と は 非 一 非 異 の 關 係 あ り て 、 根 境 識 は 非 一 な り 。 各 其 用 を 異 に す る が ゆ へ な り 。 また 非 異 な り 。 各 性 中 相 知 す る か ゆ へ な り 。 六 識 中 て も 眼 耳 識 非 一 な り 、 眼 識 聲 を 了 別 せ ず 耳 識 色 を 了 別 せ ざ る ゆ へ な り 。 亦 非 異 な り 。 眼 睡 ら は 耳 聽 法 せ ず 。 耳 醒 れ は 眼 覺 る が 如 き 等 な り と 云 義 意 を 説 き た ま へ り 。 又 た 七 大 を 明 し 終 り て 、 聽 衆 の 領 解 を 説 く に 、 是 諸 大 衆 各 々 自 知 心 編 十 方 見 十 方 空 如 觀 手 中 所 持 薬 物 と 言 へ る は 、 前 來 七 大 の 法 性 は 、 各 々 清 淨 本 然 周 偏 法 界 と 説 き た ま へ る 故 に 、 各 々 の 大 性 は 互 に 鎔 融 無 礙 に し て 、 法 界 に 周 偏 せ り 。 是 故 に 餘 の 六 大 は 自 己 心 性 の 識 大 に 融 す る 邊 で は 、 唯 自 己 の 心 識 實 性 が 全 宇 宙 に 遍 満 し て 、 此 よ り 縁 起 せ る 全 宇 宙 の 森 羅 萬 象 は 、 自 己 心 内 に 浮 現 せ る も の と 領 解 せ る を 示 し た

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ま へ た も の な り 。 自 己 の 性 識 は 眞 識 周 偏 法 界 な る 故 に 、 經 の 第 九 卷 に は, 之 を 大 覺 と も 名 け て 宇 宙 の 大 元 と し 、 空 生 大 覺 中 如 海 一 臨 發 有 漏 微 塵 國 皆 依 空 所 生 を 説 き た ま へ り 。 是 故 此 大 精 神 は 、 相 宗 に 云 が 如 き 、 第 八 識 に 非 ず 。 諸 八 識 の 眞 性 眞 識 が 、 妙 覺 湛 然 と し て 周 偏 法 界 な る も の を 指 す 。 諸 八 識 の 洞 視 は 一 局 部 に あ り 、 此 性 識 は 全 宇 宙 の 萬 物 を ば 寂 而 常 照 照 而 常 寂 を 以 て 證 知 す る も の な り 。 然 る に 經 の 第 二 卷 に 、 阿 難 讐 如 有 人 以 清 淨 目 觀 晴 明 空 唯 一 晴 虚 廻 無 所 有 其 人 無 故 不 動 目 晴 證 以 發 勞 則 於 虚 空 別 見 狂 華 を 説 き た ま へ る が 如 く 、 本 覺 の 淨 目 を 以 て 眞 如 の 晴 明 空 を 觀 る に 、 唯 寂 光 の 眞 境 即 ち 理 智 一 如 の 晴 盧 の み あ り て 、 九 界 妄 染 の 色 な き なり 。 然 る に 其 本 覺 は 、 性 徳 の み あ り て 修 成 の 徳 な き 故 に 、 因 由 な く し て 寂 而 常 照 照 面 常 寂 な ら す し て 唯 照 の 方 に て 直 視 し 、 不 覺 の 念 動 し て 六 塵 の 狂 華 を 見 る に 至 れ り 。 此 に 於 て 第 八 識 の 三 分 具 は り て 、 宇 宙 偏 満 の 眞 識 は 不 變 而 随 縁 随 縁 而 不 變 と 言 ふ て 、 宇 宙 偏 満 を 改 め ず に 個 人 的 第 八 識 重 成 り 續 い て 個 人 的 前 七 識 を も 成 せ り 。 是 故 に 識 大 と 諸 八 識 と は 眞 妄 大 小 の 異 あ る な り 。 而 ふ し て 七 大 の 體 性 は 各 清 淨 に し て 染 汚 無 け れ は 、 一 大 に 偏 倚 せ ず 、 鎔 融 無 礙 な れ ど も 、 染 淨 の 諸 法 縁 起 に は 精 神 作 用 緊 要 な る 故 、 唯 心 縁 起 を 談 り て 、一 切 世 間 諸 所 有 物 皆 即 菩 提 妙 明 元 心 心 精 偏 圓 含 裏 十 方 を 説 き た ま ふ か 此 經 文 の 意 な り 。 凡 そ 七 大 は 、 大 分 せ ば 色 心 二 法 な る か 、 此 色 心 の 實 相 は 三 諦 三 千 の 諸 法 を 圓 具 す と 立 る か 台 家 な り 。 先 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二一

(8)

顯 密 二 教 の 此 較 研 究 二 二 づ 色 の 實 相 を 言 へ ば 、 空 假 中 の 三 諦 相 即 せ る 妙 色 に し て 、 空 は 析 空 但 空 に 非 す 體 空 圓 空 な り 。 假 は 偏 假 に 非 す 妙 假 な り 、 中 は 但 中 に 非 す 圓 中 な り 。 涅 槃 經 第 五 の 四 相 品 に 、 無 色 界 色 非 諸 聲 聞 縁 覺 境 界 と あ る を 疏 八 二十 三丁 に 、 乃 是 諸 佛 菩 薩 之 所 知 見 解 脱 亦 爾 亦 色 非 色 と 釋 せ り 。 色 界 の 物 質 は 、 欲 界 の 物 質 よ り は 細 微 な れ ど も 、 尚 可 見 可 對 な り 。 無 色 界 の 物 質 一 層 幽 微 に し て 、 無 見 無 對 な る 故 に 、 但 空 を 取 る 。 二 乗 は 、 無 色 界 に は 全 く 物 質 な し と 見 る 。 而 れ ど も 、 定 果 色 も あ る 處 な れ ば 、 十 二 因 縁 の 所 成 だ る 業 果 の 細 色 あ り て 、 分 假 生 死 の 海 中 に 攝 ま れ り 。 此 業 果 の 細 色 は 二 乗 凡 夫 に て は 無 見 無 對 な れ ど も 、 諸 佛 菩 薩 は 解 脱 の 理 色 に 比 て は 、 尚 ほ 有 見 有 對 な る を 知 見 し た ま へ り 。 解 脱 の 理 色 と は 、 三 諦 法 性 の 色 に し て 、 此 色 は 二 乗 凡 夫 が 、 物 質 空 無 と 見 做 せ し 處 に も 即 具 せ る 妙 有 の 色 に し て 、 唯 諸 佛 菩 薩 の み 所 知 見 の 境 界 な り 。 而 も 此 色 は 色 非 色 即 ち 空 有 融 即 せ る 中 道 の 理 色 に し て 、 有 無 二 見 の 煩 籠 中 に 墮 せ ざ ら し む る が 故 に 解 脱 の 色 と 名 く る な り 。 此 中 道 の 色 は 、 物 質 の 奥 底 に の み あ る に 非 す 、 表 面 に も あ る な り 。 是 故 に 三 諦 法 性 の 妙 色 は 、 空 と 云 も 但 空 に 非 す 妙 空 な り 。 有 と 言 も 偏 有 偏 假 に 非 す 妙 有 妙 假 な り 。 中 と 言 も 但 中 に 非 す 空 有 の 當 位 に あ る 圓 中 な り 。 止 觀 一 之 二九丁 の 圓 頓 章 に 、 初 縁 實 相 造 境 即 中 無 不 眞 實 乃 至 一 色 一 香 無 非 中 道 と 、 一 々 の 色 法 が 、 三 諦 相 即 し て 中 道 に 非 ざ る は 無 き を 明 せ り 。 三 諦 融 即 し て 中 道 な り と は 、 即 ち 三 千 の 諸 法 を 圓 具 せ る こ と な り 。 ゆ へ に 止 觀 一 之 五二十七丁 に は 、 三 諦 一 諦 非 三 非 一 一 色 一 香 具 一 切 法 と 言 へ り 。 若 三 千 の 諸 法 を 具 せ ず ん ば 、 云 何 ぞ 中 道 と 稱 す る こ と を 得 ん 。 是 故 に 盡 十 方 法 界 一

(9)

切 の 情 非 情 に あ る 、 前 五 大 色 法 の 實 相 は 、 各 々 十 界 三 千 の 諸 法 を 圓 具 す と 言 ふ か 、 台 家 の 所 立 な り 。 次 に 心 の 實 相 を 言 へ ば 、 是 も 三 諦 相 即 せ る 妙 心 に し て 、 妙 玄 釋 籤 一 之 上六十二右 に 言 有 則 一 念 都 無 況 有 十 界 質 象 也 言 無 則 復 起 三 千 慮 想 况 一界 念 慮 耶 不 可 以 此 有 無 思 故 則 一 念 心 中 道 冷 然 故 知 心 是 妙 也 と 言 へ り 。 心 も と 定 實 の 性 な し 、 之 を 一 念 都 無 と 云 ふ 。 根 境 相 對 し て 初 め て 能 縁 の 念 を 起 す を 心 と 言 ふ な れ ば 、 心 は 定 實 の 性 な き な り 。 即 是 空 の 義 あ る な り 。 然 れ ど も 、 事 物 に 應 じ て 一 界 乃 至 十 界 の 念 慮 を 起 す な れ ば 、 無 と も 言 ふ 可 ら ず 。 即 是 れ 假 の 義 な り 。 此 有 無 相 即 し て 、 有 無 を 以 て 思 度 す べ か ら ざ る の か 中 の 義 な り 。 斯 く 三 諦 相 即 し て 思 議 を 絶 し た る か 中 或 は 妙 の 義 に し て 、 一 念 動 く と こ ろ の 心 は 三 千 圓 具 の 妙 法 な る を 顯 は す 。 是 は 現 前 の 心 に 随 て 云 ふ な れ ど も 、 心 性 の 方 も 是 と 同 く し て 止 觀 輔 行 五 之 三 五丁 、 心 性 不 動 假 立 中 名 亡 泯 三 千 假 立 空 名 雖 亡 而 存 假 立 假 號 と 言 へ り 。 心 性 不 動 と は 、 心 性 は 空 有 何 れ に も 偏 動 せ ぬ こ と な り 。 是 故 天 台 圓 教 の 意 は 、 心 即 ち 合 門 で は 、 根 大 を 攝 め た 識 大 の 法 性 は 、 十 界 の 諸 識 を 圓 具 し て 、 諸 識 は 理 心 に 在 り て 不 縱 不 横 な り 。 然 る に 此 性 具 十 界 の 心 識 は 、 四 明 の 教 行 録 四十 五丁 に 百 界 千 如 性 善 性 悪 皆 是 體 具 微 妙 法 門 清 淨 功 徳 即 起 信 中 過 恆 河 沙 等 諸 淨 功 徳 不 斷 不 離 皆 眞 如 故 と 言 へ る が 如 く 、 皆 染 淨 鎔 融 し て 微 妙 法 門 な る 故 に 、 隔 歴 の 迷 界 に 比 す れ ば 、 染 相 な く し て 清 淨 功 徳 と も 言 る ゝ な り 。 是 に 由 り て 相 宗 は 、 圓 成 實 性 は 頑 冥 無 知 に し て 、 識 と 名 く べ か ら ず と 云 ふ な れ ど も 、 台 家 は 圓 成 實 性 に 了 別 の 用 あ り と し て 、 流 轉 門 の と き は 本 理 清 淨 に し て 、 寂 而 常 照 々 而 常 寂 な る を 菴 摩 羅 比 較 研 究 顯 密 二 教 の 二 三

(10)

十四

初紙

偏 爲 一 切 法 體 者 觀 經 云 毘 盧 遮 那 編 一 切 處 を 云 ふ て 、 法 身 如 來 藏 は 、 經 の 正 體 た る の み な ら ず 、 世 出 世 一 切 諸 法 の 實 體 た る こ と を も 明 し た ま へ り 。 然 る に 水 が 波 に 成 り た れ ば 、 波 の 當 體 に 水 の 濕 性 を 有 す る が 如 く 、 實 體 が 現 象 と 成 り た れ ば 、 現 象 の 當 體 に 實 體 あ り て 周 編 法 界 な り と す 。 是 故 に 同 九 之 上初紙 に 、 圓 門 即 生 死 色 是 法 性 色 即 法 性 色 而 通 中 示 人 無 諍 法 と 言 へ り 即 是 分 段 生 死 の 當 位 に も 法 性 の 色 質 あ り て 、 而 も 三 千 圓 具 の 妙 法 な る 故 に 、 微 妙 の 生 滅 あ れ ど も 、 既 に 情 相 を 離 れ て あ る 故 に 、 不 生 、 不 滅 常 住 不 變 と 言 る な り 。 此 に 於 て 別 教 が 不 生 滅 の 涅 槃 は 、 雲 外 の 月 の 如 く 、 生 滅 諸 法 の 當 位 に な く し て 、 生 滅 々 己 に し て 後 ち 寂 滅 爲 樂 の 涅 槃 め り と 云 に 異 て 、 天 台 圓 教 は , 生 滅 諸 法 の 當 位 に 不 生 不 滅 寂 滅 爲 樂 の

(11)

四十四丁

二五丁

傷乃至

下二十四丁

變 威 男 子 者 未 免 取 捨 今 謂 法 性 取 捨 法 性 縁 起 常 差 別 故 法 性 同 體 法 性 平 等 常 平 等 故 常 平 等 故 不 出 法 界 常 差 別 故 不 礙 取 捨 と 言 へ り 。 是 則 縁 起 差 別 門 に は 取 捨 あ れ ど も 、 法 性 平 等 門 に は 取 捨 な き こ と を 示 し て 、 即 離 の 二 途 具 す べ き こ と を 顯 は し た ま へ り 。 然 る に 法 性 は 單 平 等 に 非 す 、 必 ず 三 諦 を 圓 具 し 、 縁 起 は 單 差 別 に 非 ず 、 必 ず 三 諦 を 即 具 す 。 是 故 に 即 離 恒 に 融 會 し て 法 々 皆 三 千 の 妙 法 な る こ と 一 時 に 炳 現 し 、 一 切 の 身 土 は 、 融 妙 自 在 な る 毘 盧 の 依 正 な る こ と 顯 現 す る を 緊 要 と す 。 然 る と き は 、 斷 惑 を 言 ふ も 、 隔 歴 不 融 の 惑 か 融 妙 自 在 の も の と 成 る に 名 け 、 滅 苦 と 言 ふ も 、 生 死 の 肉 身 が 三 千 鎔 融 の 法 と 成 る に 約 し 、 龍 女 の 轉 女 成 男 も 男 女 隔 歴 の 肉 身 が 男 女 自 在 の 身 と 成 る を 轉 女 身 と 云 た も の な り 。 是 は 此 れ 事 理 修 性 不 二 に し て 、 實 體 の 方 か と も 三 千 差 別 と 融 妙 と あ る 故 に 、 現 象 も 差 別 と 融 妙 と あ る な り 。 別 教 の 理 體 即 ち 實 體 は 無 差 な り 、 事 相 即 ち 現 象 は 有 差 と 限 る に 異 り て 、 理 體 も 事 相 も 常 差 別 の 邊 は 三 千 の 諸 法 相 は 宛 然 と し て 自 體 を 混 せ ざ る な り 。 常 平 等 の 邊 は 、 理 體 の み 融 妙 な る に 非 ず 、 事 相 も 三 千 の 諸 法 を 融 攝 す 。 大 乗 止 觀 に 、 世 諦 中 一 々 事 相 亦 攝 世 諦 中 一 切 事 相 皆 盡 と 言 へ る も の 是 な り 。 い は ゆ る 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 五

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 六 十 界 互 具 も 、 事 理 不 二 の 意 味 に 居 し て 、 十 界 の 依 正 が 、 事 に 於 て も 理 に 於 て も 互 具 各 具 す る こ と に て 、 單 に 理 具 に 約 す る に は 非 ざ る な り 。 釋 籤 二 上八右 に 、 華 嚴 經 の 心 佛 衆 生 具 三 無 差 別 を 釋 し て 、 理 體 無 差 無 約 事 用 と 言 へ る は 、 理 體 に 微 妙 差 別 の 相 も あ れ ど も 、 萬 法 融 攝 し て 情 見 の 如 く な ら ざ る 故 に 理 體 無 差 と 云 ふ 。 亦 た 事 相 に 三 千 融 妙 の 相 も あ れ ど も 、 人 天 鬼 畜 等 の 感 見 に 委 任 す る 故 に 、 差 約 事 用 と 云 ふ 。 又 た 理 體 に 差 別 相 と 平 等 相 と あ る 故 に 、 方 便 品 に は 、 是 法 住 法 位 世 間 相 常 住 と 説 け り 。 世 出 世 の 一 切 世 間 相 は 、 も と 法 性 の 實 體 に 圓 具 し 、 其 實 體 よ り 現 象 に ま で 貫 ひ た も の な り 。 實 體 に 於 て 現 象 と 同 じ も の を 本 有 せ る 故 、 實 體 は 單 平 等 の み に は 非 ざ る な り 。 且 つ 隨 縁 生 滅 の 當 體 に 、 不 變 常 住 の 實 體 あ る こ と を も 示 し て 、 世 相 常 住 を 言 へ り 。 是 故 に 佛 の 三 十 二 相 八 十 種 好 等 の 形 相 は 、 別 に 相 好 業 を 修 し て 得 た る に 非 ず 、 無 縁 の 慈 悲 即 ち 中 道 觀 を 成 就 す れ ば 、 七 大 法 性 即 ち 中 道 の 理 體 に 、 世 出 世 の 萬 法 を 具 せ る 故 に 、 其 中 の 佛 形 が 顯 現 し て 、 そ れ ら 佛 の 相 好 あ る な り と 云 ふ が 、 天 台 圓 教 な り 。 復 た 理 事 不 二 に し て 、 理 體 に 三 十 二 相 八 十 種 好 の 佛 形 が 存 在 す る と き は 、 三 身 が 本 有 せ る は 勿 論 、 三 密 に 本 有 し て 、 理 法 身 の 當 體 に 説 法 あ る な り 。 何 と な れ ば 、 説 法 と は 對 機 あ る に 由 る 。 理 體 は 三 千 融 妙 の 當 體 に 、 三 千 差 別 を 本 有 せ る と き は 、 其 中 の 佛 が 九 界 衆 生 に 對 し て 説 法 し た ま ふ こ と 、 現 象 界 に 同 じ か る べ き な り 。 荊 溪 大 師 文 句 記 二 十 五五十六丁 に 、 故 存 三 身 法 定 不 説 報 通 二 義 應 化 定 説 若 其 相 即 倶 説 倶 不 説 若 但 從 理 非 説 非 不 説 と あ る は 、 三 身 分 別 門 に は 、 法 身 不 説 な れ ど も 、 三 身 相 即 門 に は 、 法 身 は 説 不

(13)

説 に 通 ず と せ り 。 然 に 天 台 圓 教 は 、 別 教 の 三 身 縱 横 を 立 る に 異 り て 、 三 身 は 不 縱 不 横 と す る を 正 義 と す 。 是 故 に 三 身 分 別 門 は 一 往 な り 、 三 身 相 即 門 は 再 往 の 實 義 に し て 、 三 身 分 別 の と き は 理 を 法 身 と し 、 智 を 報 身 と し 、 智 な く し て は 説 法 せ ざ る 故 に 、 法 身 不 説 と 云 ふ 。 三 身 相 即 の と き は 、 法 身 の 智 即 報 身 の 智 な り 、 報 身 の 智 即 法 身 の 智 な り 。 是 故 法 身 に 説 法 あ る こ と を 得 る な り 。 特 に 智 者 大 師 觀 音 疏 三三十七丁 に 金 剛 般 若 論 に 、 應 化 非 眞 佛 亦 非 説 法 者 と あ る を 依 用 し て 應 化 非 眞 佛 亦 非 説 法 人 眞 佛 者 據 妙 覺 法 身 究 竟 極 地 毘 盧 遮 那 乃 名 眞 佛 と 。 同 處 四 明 の 記 に 、 應 化 非 眞 等 者 此 以 眞 法 而 奪 應 化 是 則 無 相 之 相 方 名 眞 佛 無 説 之 説 亦 名 説 法 と あ り て 、 法 身 の 理 體 が 、 三 千 融 妙 な る 當 體 に 三 千 差 別 を 有 す る の が 眞 佛 に し て 、 説 法 も 、 染 得 の 情 相 を 離 れ て 説 の 當 體 不 説 な り 。 不 説 の 當 體 、 説 な る の が 、 眞 の 説 法 な り と す 。 即 是 法 身 佛 を 、 眞 の 説 法 者 と し て 究 竟 の 實 義 を 示 し た も の な り 。 台 家 が 四 教 の 教 主 を 定 む る に 、 藏 教 劣 應 通 教 勝 應 別 教 報 身 圓 教 法 身 を 言 ふ の も 、 法 身 は 萬 法 の 實 理 を 説 く 眞 の 説 法 者 な り と す 。 七 大 の 法 性 既 に 説 法 者 の 方 面 あ る が 故 に 、 東 坡 が 溪 聲 即 是 廣 長 舌 と 言 へ る が 如 く 、 草 木 國 土 の 音 響 も 、 も と は 法 身 如 來 諸 法 の 遷 流 を 説 て 三 諦 の 妙 理 を 詮 顯 す る 音 響 な り 。 か る が 故 に 荊 溪 も 、 解 脱 之 日 依 報 正 報 常 宣 妙 經 一 刹 一 塵 無 非 利 物 と 言 へ り 。 上 來 七 大 法 性 の 實 體 は 、 十 界 の 諸 法 を 融 攝 無 礎 に 圓 具 し て 、 現 象 界 の 森 羅 萬 象 一 々 性 具 せ る も の 、 發 現 な ら ざ る は な し 。 是 故 に 現 象 の 當 位 に も 、 實 體 を 備 具 せ る こ と を 述 た り 。 然 る に 實 體 は 十 界 融 妙 に し て 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 七

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 二 八 咸 く 常 樂 と も 稱 せ ら る べ き に も 似 合 は ず 、 現 象 は 我 等 が 所 見 で は 、 十 界 隔 歴 し て 不 自 由 な る 苦 界 な り 。 云 何 か し て 實 體 と 現 象 と の 關 係 あ ら ん と 言 ふ に 、 現 象 に 分 顯 と 全 顯 と あ り て 、 現 象 の 九 界 は 分 顯 な り 、 現 象 の 佛 界 は 全 顯 な り 。 稱 性 の 行 に 由 て 佛 果 に 登 れ ば 融 妙 の 十 界 全 顯 し て 常 樂 の 本 都 に 歸 り 、 實 に 實 體 と 現 象 と 融 合 し た 悟 界 な る も の な り 。 是 故 に 次 に 縁 起 の 説 明 を な さ ば 一 、 一 元 多 元 凡 そ 諸 法 の 縁 起 説 を 解 す に は 、 先 づ 台 家 は 、 萬 有 の 實 體 を 一 元 と す る や 多 元 と す る や を 判 せ ざ る を 得 ず 。 既 に 六 大 法 性 を 萬 有 の 實 體 と す る な れ ば 、 多 元 説 に 似 た り 。 ま た 一 念 三 千 を 云 ふ な れ ば 、 唯 心 一 元 論 に 似 た り 。 如 何 が 解 す る や と 言 ふ に 、 一 元 多 元 融 即 し て 一 元 即 多 元 な り 、 多 元 即 一 元 な り と す る 意 な り 。 台 家 は 大 佛 頂 經 の 説 を 用 ゆ 。 彼 經 に は 、 七 大 法 性 は 清 淨 本 然 周 編 法 界 と 説 け り 。 清 淨 と は 無 染 汚 の 義 に て 空 諦 に 名 く 。 本 然 は 無 造 作 の 義 に し て 、 七 大 を 本 有 せ る 假 諦 に 名 く 。 周 編 法 界 は 、 絶 待 の 義 に し て 中 諦 に 名 く 、 有 無 い つ れ に も 偏 ら ざ る 中 道 な る が 故 に 、 法 界 に 周 編 す る こ と を 得 る な り 。 此 空 諦 で は 不 守 自 性 隨 縁 の 故 、 各 々 い つ れ の 一 に て も な り て 多 元 即 一 元 な り 。 假 諦 と は 各 守 自 性 不 變 の 故 に 、 本 有 の 性 を 改 め ず し て 一 元 即 多 元 な り 。 中 諦 で は 、 一 異 を 隔 執 す る 凡 情 で は 、 此 一 多 相 即 を 測 知 す る 能 は ざ れ ど も 、 中 道 を 悟 る 佛 知 見 で は 、 一 元 即 多 元 、 多 元 即 一 元 な る を 曉 了 し て 、 諸 法 一 一 が 法 界 な る を 、 廓 然 と し て 觀 じ た ま へ り 。 大 佛 頂 經 に

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若 彼 大 性 體 非 和 合 則 不 能 與 諸 大 雑 和 猶 如 虚 空 不 知 諸 色 若 和 合 者 同 於 變 化 始 終 相 成 生 減 相 續 生 死 々 生 生 々 死 々 如 旋 火 輪 無 有 体 島 と 説 けり 。 此 意 は 若 地 水 火 風 の 四 大 が 、 其 體 性 必 す 和 合 に 非 ざ れ ば 、一 々 の 大 皆 雑 和 す る 能 は す . 虚 空 の 諸 大 と 和 合 せ ざ る が 如 き な り 。 便 ち 諸 大 の 用 無 る べ し 。 地 性 常 堅 に し て 水 に 遇 ふ て 潤 は す 水 性 常 冷 に し て 火 に 逢 ふ て 熱 せ ざ る 等 あ ら ば 何 を 以 て か 萬 物 を 生 成 せ ん や 、 と 先 づ 不 變 に 隨 縁 を 具 す る 性 に 達 せ ざ る ゆ へ に 多 元 に 偏 す る 過 を 詮 示 し 、 次 に 若 和 合 壽 と は 若 諸 大 の 性 必 定 和 合 な ら ば 即 ち 種 々 の 變 化 に 同 し く 虚 妄 に 相 成 し 、 生 滅 相 續 し て 生 じ て 復 な 死 し 、 死 し て 復 た 生 じ 、 生 よ り 死 に 至 り 、 死 よ り 死 に 至 り 、 旋 火 輪 の 休 息 無 が 如 く な り 、 便 ち 諸 大 の 體 無 ら ん 。 地 の 水 に 遇 へ ば 其 堅 を 失 ひ 、 水 の 火 に 逢 ひ は 其 潤 を 失 ふ 等 な ら ば 亦た 何 を 以 て か 萬 物 を 坐 成 せ ん や と 云 ふ て 、 隨 縁 に 不 變 を 具 す る 性 に 達 せ ざ る 故 に 、 一 元 に 偏 す る 等 の 過 に 陷 い る こと を 顯 示 し た ま ふ 意 な り 。 此 文 の 當 意 は 四 大 の 性 の 非 和 合 と 和 合 と の い づ れ か に 偏 執 す る を 破 す 、 即 ち 四 大 の 性 者 非 和 合 の み な ら ば 四 大 の 相 が 和 合 な る に 背 く ゆ へ 性 は 相 外 に し て 相 は 性 に 即 せ ざ る な り 、 然 る と き は 佛 性 は 諸 法 を 變 造 す る 能 は す 、 無 情 成 佛 の 理 な く 有 情 も 歸 眞 の 時 な か る べ き な り 。 是 故 に 性 は 相と 同 く 和 合 の 方 面 あ る べ し 、 即 ち 起 信 に 云 が 如 く 、 眞 如 は 不 變 に 即 し て 隨 縁 の 義 あ る べ し 、 亦 四 大 の 性 者 和 合 の み な ら ば 、 相 に 生 滅 あ る が 如 く 、 性 に も 生 滅 あ り て 愛 化 に 同 く 生 々 死 々 休 息 あ る こと な し 。 是 も ま た 衆 生 に 息 妄 の 期 な き な り 是 故 に 性 に は 非 和 合 の 方 面 即 ち 隨 縁 に 顯 者 二 教 の 比 較 研 究 二 九

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 〇 即 し て 不 變 の 義 あ る べ き な り と 云 ふ 意 な り 、 而 ふ し て 非 和 合 を 破 す る は 定 一 に 非 ざ る を 顯 は し 、 和 合 を 破 す る は 定 多 に 非 ざ る を 顯 は す に あ り 。 大 論 十 八 十 八紙 に 菩 薩 行 般 若 時 雖 知 諸 法 一 相 亦 能 知 一 切 徳 種 々 相 雖 知 諸 法 種 々 相 亦 能 知 一 切 法 一 相 と 言 つ て 菩 薩 か 般 若 を 行 せ ら る ゝ と き 諸 法 一 々 か 一 多 の 定 性 な き を 觀 し た ま ふ 義 を 示 し 、 次 に 其 一 多 の 定 性 な き 例 を 示 す に 如 四 大 各 々 不 相 離 地 中 有 水 火 風 但 地 多 以 地 爲 名 水 火 風 亦 如 是 と 言 へ り 此 四 大 と は 實 の 四 大 即 ち 堅 濕 煖 動 な り 。 假 の 四 大 て は 水 火 相 反 等 あ り て 四 大 互 入 の 義 明 な ら ざ る な り 。 地 の 中 に も 餘 の 三 大 あ れ こ も 地 多 き を 地 大 と 名 く 。 水 火 風 も 亦 然 り 、 定 山 定 多 を 執 す べ か ら す 。 一 切 諸 法 も 一 と 云 ふ 處 に 衆 多 の 性 を 具 し て 定 一 定 多と 執 す 可 ら ざ る こ と 此 四 大 の 如 し と 示 す 意 ろ な り 。 法 華 玄 義 釋 籖 三 之 下 三十 三左 の 解 釋 も 一 多 相 即 に 約 し て 若 火 中 有 三 大 三 大 應 併 熱 若 三 大 在 火 中 三 大 遂 不 熱 則 不 名 火 若 三 大 併 熱 則 三 大 捨 自 性 皆 名 爲 火 無 復 三 大 と 言 へ り 四 大 は 互 に 相 依 る も の に も 一 大 か 他 三 を 自 に 從 は せ 、 他 の 三 は 一 大 に 同 化 す 、 即 ち 火 中 に 本 と 他 の 三 大 あ り て 倶 に 熟 す る 故 に 火 大 と 名 け ら る 、 な り 、 若 他 の 三 大 か 外 よ り 入 り 來 り た も の で 火と 別 體 に 成 り 熱 せ す ん ば 、 い か に 火 中 に 三 大 あ ると も 火 た る こと を 得 ず し て 火と 名 け ら る 、 こ と な き な り 。 火 中 の 三 大 本 と よ り 火 中 に あ る も の に て 併 せ て 熱 す れ ば 火 と 名 け ら る 、 を 得 れ ど も 、 他 の 三 大 は 堅 濕 動 の

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自 性 を 失 つ て 該 し て 一 の 火 と 成 り 、 そ の 火 中 に 三 大 な る も の な き な り 。 是 則 一 即 多 多 即 一 の 義 意 を 示 し た も の な り 。 上 に 引 く 大 論 の 意 は 斯 く の 如 く し て 諸 法 の 一 々 多 即 一 な る と き は 諸 法 は 一 相 平 等 な り 、 其 一 相 平 等 も ま た 無 相 に し て 不 可 得 な り 、 又 た 諸 法 の 一 々 一 即 多 な ると き は 諸 法 に 種 々 の 相 あ り て 無 相 即 相 な り と す 。 亦 止 觀 二 之 二 二十九 紙 に は 五 陰 の 性 相 二 空 觀 を 明 す に 有 無 等 の 四 門 を 以 て 明 せ り 。 五 陰 と 六 大 と は 開 合 の 異 な る 故 に 色 陰 に 於 て 四 大 を 開 き て 地 無 堅 者 若 謂 地 是 有 々 即 實 々 是 堅 義 若 謂 地 是 無 是 亦 有 亦 無 非 有 非 無 是 事 實 皆 是 堅 義 今 明 畢 竟 不 可 得 亡 其 堅 性 也 と 言 へ り 、 先 づ 地 大 の 性 空 を 示 す に 地 大 の 堅 と 云 ふ は 因 縁 所 成 の 有 な り 、 本 よ り 有 に 非 ず し て 情 よ り 定 有 と 想 ふ な り 、 然 ら ば 堅 は 定 無 な り や と 云 ふ に 情 謂 の 無 も な き なり 、 然 ら ば 亦 有 亦 無 非 有 非 無 な り や と 言 ふ に 情 謂 の 雙 亦 雙 非 も な き な り と 示 す 意 な り 。 次 に 水 大 の 性 空 を 明 す に 水 性 不 住 乃至 不 住 有 無 四 句 亦 不 住 不 可 説 中 風 性 無 礙 無 有 無 四 句 乃至 火 大 不 實 火 不 從 自 生 乃 至 不 從 無 因 生 本 無 自 性 頼 縁 而 有 乃至 受 想 行 識 一 々 皆 入 如 實 之 際 と 云 ふ て 五 陰 の 性 相 は 皆 因 縁 所 生 に し て 、 有 無 の 四 句 に も 自 生 等 の 四 生 に も 當 ら ぬ こ と を 明 し た ま へ り 。 是 故 に 空 如 來 藏 よ り 云 ふ と き は 六 大 法 性 も 性 空 に し て 數 論 勝 論 の 如 く 性 實 の 六 大 あ り と は 言 ぬ か 台 家 の 義 骨 な り 、 乃 ち 單 に 空 諦 に 就 け ば 空 平 等 一 元 と も 盲 る ゝ な れ ど も 三 諦 相 即 に 就 か ば 、 大 論 の 如 く 一 即 多 多 即 一 の 中 道 を 以 て 所 有 の 實 體 と す る 意 う な り 。 も と よ り 萬 有 の 實 體 た る も の は 全 宇 宙 に 偏 滿 し て 絶 對 的 の も の な ら ざ る を 得 ず 。 空 や 有 の 一 方 に 偏 倚 せ ば 相 對 的 に し て 現 象 界 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 一

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 二 な り 、 云 何 ぞ 萬 有 の 實 體と な る こ と を 得 ん や 。 是 故 に 台 家 が 依 用 す る 大 佛 頂 經 に は 七 大 法 性 は 周 偏 法 界 に し て 、 諸 法 の 本 體 な り 。 我 等 が 覩 る 虚 空 の 如 き も 此 法 性 海 中 に 顯 は れ た も の な り 。 如 何 か し て 七 大 法 性 が 三 世 十 方 法 界 海 に 周 偏 す る や と 言 ふ に 、 七 大 法 性 は 如 來 藏 と も 名 け ら れ て 三 諦 融 即 し て 如 來 の 萬 徳 を も 含 藏 す る 故 、 法 界 に 周 偏 す る こ と を 得 る 、 若 三 諦 相 即 せ ず 染 得 の 情 相 を 有 す る も の な ら ば 盡 十 方 法 界 に 周 偏 す る を 得 す し て 萬 有 の 實 體 と 成 る こ と も 能 は ざ る な り と 顯 さ ん が 爲 め に 圓 融 三 諦 の 如 來 藏 を 説 き た ま へ り 。 一 に 眞 諦 即 ち 空 如 來 藏 を 明 す に 如 來 藏 本 妙 圓 心 非 心 非 空 非 地 非 水 非 風 非 火 乃 至 非 常 非 樂 非 我 非 淨 と 言 て 如 來 藏 は 不 變 隨 縁 に し て 堅 實 な る 自 性 無 け れ ば 、 七 大 も 十 界 も 如 來 藏 中 に 在 て は 凡 情 に 認 め る 如 き の 七 大 或 は 十 界 は な き な り 。 是 故 に 初 め 七 大 十 八 界 よ り 後 ち 十 界 諸 法 ま で 悉 く 非 し て 是 が 如 來 藏 如 實 空 の 義 な る を 説 か れ た る が 此 經 文 な り 。 此 空 如 來 藏 の 方 面 で は 三 諦 倶 非 し 一 空 一 切 空 に し て 、 一 法 を も 留 め ざ る 故 に 七 大 法 性 は 法 界 に 周 偏 す る こ と を 得 て 水 火 互 に 陵 滅 す る が 如 き こ と 無 し と す 、 若 七 大 法 性 に 堅 實 な る 自 性 あ る に 限 ら ば 如 來 藏 中 に 逆 情 に 執 す る 如 き 性 あ り て 、 空 如 來 藏 は 無 き こ と に な る 。 多 元 論 に 限 る も の は 謬 見 な る こ と を 知 る べ し 。 二 に 俗 諦 即 ち 不 室 如 來 藏 を 明 す に 以 是 倶 非 世 出 世 故 即 如 來 蔵 元 明 心 妙 即 心 即 空 即 地 即 水 即 風 即 火 乃 至 即 大 涅 槃 部 常 即 樂 即 我 即 淨 と 言 て 如 來 藏 は 隨 縁 不 變 に し て 、 縁 に 由 て 種 々 法 に 成 れ ど も 、 ま た 各 自 の 性 を 失 は ざ る 如 實 不 空 の 義 あ

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る を 明 せ り 。 初 め の 一 句 は 一 切 倶 非 な る 故 一 切 倶 即 す る 義 を 彰 は す も と 性 に 萬 法 を 其 す る 故 に 無 自 性 空 の 方 面 あ り 、 是 故 に 空 の 當 處 に 有 あ る を 示 し て 此 語 あ り 。 諸 法 一 々 が 無 自 性 室 の 當 體 に 七 大 或 は 十 界 諸 法 の 性 を 圓 具 せ る 故 に 一 切 倶 即 し 、 三 諦 も 倶 即 し て 一 假 一 切 假 な る を 説 た る が 此 經 文 な り 。 六 大 各 具 し 十 界 各 具 す る は 皆 無 自 性 空 の 處 に 有 あ る す が た な り。 斯 の 如 く 不 空 如 來 藏 は 既 に 性 に 一 切 法 を 具 す る が 故 に 、 多 元 の 義 も あ る な り 。 三 に 中 諦 即 ち 第 一 義 諦 の 如 來 藏 を 説 く に 以 是 倶 即 世 出 世 故 即 如 來 藏 妙 明 心 元 離 即 離 非 是 即 非 即 と 言 へ り 。 即 是 は 声 如 來 藏 は 隨 縁 不 變 遮 照 同 時 の 義 あ る を 明 せ り 。 離 即 離 非 と は 離 は 非 の 異 名 な り 、 上 み 俗 諦 の 十 界 倶 即 を 離 れ 、 下 も 眞 諦 の 十 界 倶 非 を 離 る ゝ な り . 即 是 れ 中 道 の 雙 遮 二 邊 を 顯 は す 是 即 非 即 と は 是 は 即 の 異 名 な り 。 上 の 十 界 倶 即 と 下 の 十 界 倶 即と を 雙 收 す 即 是 れ 中 道 の 雙 照 一邊 を 顯 は す 。 即 寂 而 照 は 十 界 倶 即 な り 、 即 照 而 寂 は 十 界 倶 非 な り 、 此 寂 照 同 時 に し て 寂 而 常 照 照 而 常 寂 な ろ が 中 諦 の 如 來 藏 な り 。 此 と き は 三 諦 倶 遮 倶 照 に し て 一 中 一 切 中 な り 、 即 ち 如 來 藏 は 眞 諦 の と き は 十 界 通 し で 倶 非 し 、 俗 諦 の と き は 十 界 通 し て 倶 即 し 中 諦 の と き は 十 界 通 し て 眞 俗 倶 遮 倶 照 し て 中 道 第 一 義 諦 な り 。 こ ゝ に 於 て は 一 元 多 元 相 即 し て 多 の 異 同 を 見 ざ る な り 。 即 是 が 法 界 に 周 偏 し て 絶 待 と な り 、 萬 有 の 實 體 た る 所 以 な り と 云 ふ が 台 家 の 諸 法 實 體 論 な り 。

顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 三

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 四 既 に 實 體 は 隨 縁 不 變 相 即 し て 七 大 法 性 互 融 の 方 面 と 不 失 自 性 の 方 面 と あ り て 、 一 元 多 元 相 即 相 入 す る 故 現 象 も 之 に 同 く し て 攝 法 を 論 ず る に は 、 或 は 一 念 三 千 と 言 ひ 、 或 は 一 色 一 香 具一 切 法 と 言 へ り 。 四 念 處 四 二 十紙 に は 唯 色 唯 心 二 種 觀 法 被 二 根 機 と 言 つ て 、 七 大 法 性 の も と が 色 心 一 體 に 成 り て あ る 故 唯 色 唯 心 何 れ の 觀 法 と も 終 歸 一 致 と 云 意 を 暗 示 せ り 。 四 明 の 十 義 書 上 丁廿 に も 觀 内 心 則 一 切 法 趣 心 觀 外 色 則 一 切 法 趣 色 是 則 唯 一 非 内 非 外 之 三 千 隨 觀 慧 趣 内 趣 外 不 同 と 言 へ り 。 ま た 經 に は 世 間 相 常 住 を 説 て 十 界 本 有 を 示 し た ま へ り 。 唯 色 唯 心 を 言 ひ つ ゝ 十 界 諸 法 の 本 有 を 言 ふ は 、 一 元 多 元 何 れ に も 偏 倚 せ ざ る 義 意 な り 、 是 れ 他 な し 、 七 大 の 法 性 は 三 諦 融 即 す る が ゆ ゑ な り 。 方 便 品 所 説 の 十 如 是 に 依 れ ば 、 七 大 の 法 性 は 三 諦 融 即 す る は 勿 論 、 十 界 三 千 の 諸 法 は 性 具 本 有 の 方 面 を 修 生 現 前 の 方 面 と あ り 、 今 は 其 性 具 十 界 を 本 體 も し て 、 十 界 諸 法 が 絶 縁 現 前 す る を 辧 せ ん と 欲 す 。 經 に 唯 佛 與 佛 乃 能 窮 盡 諸 法 實 相 と あ り て 、 還 滅 究 竟 の 佛 は 完 全 に 諸 法 實 相 を 窮 盡 證 悟 し た ま ふ 義 を 説 き た ま ふ に 依 れ ば 、 流 轉 の 最 初 は 、 諸 法 實 相 に 違 背 せ し に 基 因 せ し も の な る こ と 明 か な り 。 諸 法 實 相 と は 諸 法 の 實 體 た る 七 大 法 性 が 三 諦 圓 融 し て 十 界 三 千 の 諸 法 を 性 具 し 、 一 々 の 法 が 中 道 の 雙 遮 雙 照 相 即 し て 微 妙 不 思 議 融 妙 自 在 解 脱 大 安 樂 な り 。 即 是 が 本 來 性 徳 の 毘 盧 遮 那 佛 な り 、 寂 光 淨 土 な り 、 こ の こ と 目 前 事 々 物 々 の 當 位 に も 備 具 せ る を 諸 法 實 相 と 云 ふ 。 修 成 始 覚 の 佛 と 言 ふ は 諸 法 の 當 體 が 即 空 假 中 に し て 三 千 融 妙 な る を 證 得 し 、 百 界 千 如 融 妙 の 相 用 を 全 顯 せ る を 始 覺 修 成 の 佛と 名 く 。 然 る に 云 何 し て 實 相 に 違 背 し 符 順 す る も の 生 起 し 得 る や と 言 ふ に 、 法

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二紙

苦 集 世 間 善 惡 因 果 道 滅 出 世 一 切 因 果 悉 用 實 相 爲 體 淨 名 曰 從 無 住 本 立一 切 法 此 之 謂 乎 と あ り 是 は 無 住 な る も の を 實 相 の 異 名 と し て 無 住 よ り 迷 悟 の 諸 法 が 生 起 せ り と す 、 然 る と き は 無 住 と は 實 相 が 三 諦 相 即 せ る な か の 空 諦 よ り 名 け た も の に て 、 空 の 當 體 に 三 千 を 妙 有 す 、 之 が 空 の 方 面 よ り 現 起 し て 迷 悟 の 諸 法 と 成 る も の な り 。 先 づ 迷 界 に 就 て 言 へ ば 大 佛 頂 經 に 総 て 七 大 の 眞 性 即 眞 如 の 不 變 を 明 し て 覺 海 性 澄 圓 圓 澄 覺 元 妙 と 云 ふ て 本 覺 の 性 海 は 非 迷 非 悟 な り 、 唯 法 爾 と し て 横 偏 竪 窮 靈 知 不 昧 な り 、 此 靈 知 の 寂 而 常 照 な る を 性 澄 圓 と 盲 ひ 、 照 而 常 寂 な る を 圓 澄 覺 と 言 ふ 。 此 寂 照 本 來 互 融 し て 言 思 の 及 ぶ 所 に 非 ざ る を 元 妙 も 言 ふ 。 か ゝ る 妙 體 が 横 偏 竪 窮 し て た ゞ 空 劫 己 前 の み な ら す 、 現 前 一 念 の心 性 に て 變 壊 な く 存 在 せ り 、 之 を 眞 如 不 變 の 相 と す 。 次 に 眞 如 の 隨 縁 を 明 し て 元 明 照 生 所 所 立 照 性 亡 迷 妄 有 虚 空 依 空 立 世 界 想 澄 成 國 土 知 覺 乃 衆 生 と 言 へ り 、 元 明 と は 上 に い は ゆ る 靈 知 の 寂 而 常 照 照 而 常 寂 な る 本 有 の 明 を 元 明 と 云 ふ 、 照 と は 元 明 な る も の は 性 徳 の み に し て 修 成 の 功 な き 故 に 寂 而 常 照 照 而 常 寂 と な ら ず し て 、 寂 而 常 照 と 云 照 の 方 に 傾 き し を 照 と 云 、 生 所 と は 寂 照 互 融 す れ ば 別 に 所 縁 の 境 相 生 ぜ ざ れ ど も 、 照 の 方 に 傾 き し 故 に 所 縁 の 境 相 を 形 は す を 生 所 と 云 、 所 立 照 性 亡 と は 所 縁 の 境 相 を 有 ら し む れ ば 能 縁 の 強 覺 み づ か ら 其 處 に 存 す 。 能 所 既 に 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 五

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顯 密 紙 教 の 比 軟 研 究 三 六 立 つ と き は 、 三 千 融 妙 を 證 知 し て 寂 照 互 融 す る 照 性 亡 す る を 言 ふ な り 、 即 是 第 八 識 の 現 れ た 處 に し て 起 信 論 に い は ゆ る 三 細 の 位 な り 、 此 處 に あ り て 能 所 を 取 る 無 明 は 附 體 の 惑 に し て 、 法 性 の 體 に 親 附 し て 起 る 極 細 な る 無 明 な り 。 是 故 に 阿 黎 耶 識 な る も の は 眞 妄 和 合 し て 生 威 も 不 生 威 と 非 一 非 異 な る 心 識 な り と 馬 鳴 論 主 は 示 し た ま へ り 。 迷 妄 有 虚 空 と は 能 所 未 立 己 前 は 性 色 眞 空 性 空 眞 色 に し て 空 有 を 隔 て ず、 清 淨 本 然 周 偏 法 界 な る も の な れ と も 、 能 所 既 に 立 っ と き は 空 有 相 即 の 眞 空 翻 し て 頑 空 も な り て 虚 空 な る も の 現 す 、 之 を 迷 妄 有 と 云 ふ な り 。 依 空 立 世 界 と は 既 に 能 縁 の 無 明 所 縁 の 頑 空 あ る と き は 、其 無 明 が 結 暗 爲 色 と 經 に 説 く が 如 く 、 稀 薄 細 微 の 物 質 と 成 り 、 之 を 所 縁 の 頑 空 と 相 待 成 搖 し て 風 輪 あ る こ も を 致 し 、 此 風 輪 上 に 水 輪 金 輪 等 あ り て 此 世 界 を 立 持 す る こ と な り 、 想 澄 成 國 土 と は 妄 想 が 凝 結 し て 外 の 國 土 及 内 の 身 體 と な る な り 、 知 覺 乃 衆 生 と は 妄 心 か 内 の 衆 生 の 七 六 五 識 と な る な り 、 是 は 暫 く 此 界 の 成 立 ち に 約 し て 云 の み 。 妙 玄 釋 籖 二 之 上 十 七左 己 下 及 び 性 善 悪 論 等 に は 廣 く 十 界 の 縁 起 を 明 せ り 、 要 す る に 逆 性 の 2 6 行 に 由 て 九 界 顯 れ 、 順 性 の 心 行 に 由 て 佛 界 現 る に 過 ぎ ず 。 凡 そ 大 覺 海 中 は 寂 照 互 融 し て 空 有 を 絶 す 、 迷 風 飄 て 妄 を 皷 ち 空 傴 を 發 せ し よ り し て 色 室 の 隔 念 を 生 し 、 下 三 土 の 諸 有 繁 興 せ り 。 是 故 に 一 心 三 觀 を 修 成 し て 寂 照 互 融 の 眞 性 に 體 達 す れ ば 迷 風 頓 に 息 み 、 空 傴 全 滅 す 。 是 に 由 て 空 を 所 依 と せ る 有 漏 徴 塵 國 亦 隨 て 不 可 得 な り 、 唯 寂 照 互 融 し て 四 徳 湛 然 た る 寂 光 の 妙 土 に 復 歸 す 、 是 則 究 竟 の 佛 果 な り 。 方 便 品 の 意 に 據 れ ば 一 心 三 觀 を 修 練 し 成 熟 し て 此 佛 境 界 に 達 す る に は

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十 如 是 な き を 得 ず 、 十 如 是 と は 相 性 體 か 作 因 縁 果 報 本 末 究 竟 等 と 云 ふ 。 十 法 の 一 々 に 如 是 の 言 を 冠 し た る な り 、 之 を 如 是 相 如 是 性 等 と 讀 む と き は 假 論 の 義 を 顯 は し 、 是 相 如 。 是 性 如 等 と 讀 む と き は 空 諦 の 義 を 詮 し 、 相 如 是 。 性 如 是 等 と 中 諦 の 義 を 呈 は せ ど も 今 は 暫 く 假 諦 の 讀 み 方 に 依 て 辧 せ ん 。 妙 玄 釋 籖 二 之 上 三十 左 に 佛 界 の 十 如 是 を 釋 す る に 、 一 に 相 と は 淨 名 經 の 一 切 衆 生 皆 菩 提 相 の 文 を 引 て 釋 し て あ り 凡 夫 事 業 の 當 相 か 性 徳 菩 提 の 彰 は れ に し て 性 徳 三 因 中 の 縁 因 な り 、 是 は 外 に 彰 は れ て 見 る べ き も の な る が 故 に 相 と 云 。 二 に 性 と は 智 願 猶 在 不 失 と あ り て 圓敎 を 聞 て 下 種 し 内 心 に 於 て 其 智 願 不 失 な る の が 性 の 義 な り 、 し か る に 觀 智 未 だ 明 了 な ら ざ れ ば 性 徳 三 因 中 の 了 因 な り 。 三 に 體 と は 自 性 清 淨 心 爲 佛 體 と あ り て 、 本 來 染 汚 を 離 れ た 清 淨 心 が 横 賢 に 不 改 な る の が 佛 の 體 質 な り 、 之 を 體 と 云 。 即 是 は 理 性 三 軌 中 の 眞 性 軌 に 當 り て 性 徳 三 因 中 の 正 因 な り 。 己 上 の 三 如 是 は 性 徳 に 約 す る 故 に 六 即 位 に 當 つ れ ば 正 く 理 即 な れ も も 、 圓 教 を 聞 て 中 道 の 理 を 信 じ 違 順 無 二 を も 智 解 し て 而 も 其 觀 智 明 了 な ら ざ れ ば 尚 ほ 性 徳 と 名 く る に 從 へ ば 兼 て 六 即 位 中 の 名 字 即 な り 。 四 に 力 と は 己 下 の 七 は 性 三 を 全 ふ し て 修 三 と 成 り た る 修 徳 の 三 法 に 約 す る 故 こ の 力 と は 三 諦 相 即 の 觀 を 修 す る に 堪 ゆ る 功 能 を 力 と 云 、 即 ち 三 諦 圓 融 の 觀 を 修 し 無 作 め 四 諦 を 縁 し 、 二 乘 の 但 空 智 に 超 異 し 、 眞 正 の 菩 提 心 を も 發 す を 力 と 云 ふ 、 即 是 は 觀 行 五 品 の 修 用 に 當 れ り 。 五 に 作 と は 構 造 經 營 の 義 に し て 、 是 も 圓 融 の 三 觀 を 修 し 、 無 作 の 四 諦 を 縁 し 、 無 作 の 四 弘 誓 願 を 發 し 、 殆 ん ど 眞 正 の 中 道 智 に 似 た り 、 即 是 は 相 似 即 の 位 に 當 れ り 。 前 の 力 と 此 作 と は 名 目 上 同 き に 似 た れ ど も 、 前 は 圓 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 七

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顯 密 二敎 の 比 較 研 究 三 八 融 三 諦 の 理 觀 と 、 六 度 の 事 行 と 和 融 し て 五 住 の 惑 を 圓 伏 す る の 力 な り 。 今 は 其 理 觀 と 事 行 か 融 合 し て 前 四 住 の 惑 を 斷 じ 、 第 五 住 を 伏 す る に 修 用 あ り 。 六 に 因 と は 習 因 の 義 、 後 ち 究 竟 佛 果 の 同 類 因 と な る を 因 と 云 、 圓 人 は 名 字 の 初 心 よ り 頓 に 法 界 を 窮 め 理 性 に 契 合 し て 三 觀 を 圓 修 す れ ど も 相 似 即 位 の 終 ま で は 似 に し て 眞 に 非 ざ り し な り 。 更 に 増 進 す る と こ ろ で 一 分 の 無 明 を 斷 じ 、 佛 果 の 眞 因 を 成 し た る を 因 と 説 た も の な り 。 既 に 三 觀 圓 修 の 増 進 な る 如 く 本 有 性德 の 三 法 に 契 符 し て 修 用 上 に 正 了 縁 即 ち 法 般 解 の 三德 を 不 縦 不 横 に 圓 具 す れ ど も 、 顯 了 に つ け ば 此 因 は 智 慧 莊 嚴 な り 、 即 是 分 證 即 位 の 智 に 當 れ り 。 七 に 縁 と は 資 助 の 義 分 證 即 に 福 智 の 二 嚴 あ る 中 福德 莊 嚴 か 即 ち 此 縁 な り 、 凡 そ 圓敎 に は 修 二 性 一 修 性 各 三 三 々 互 融 の 名 目 あ り て 性 三 が 體 一 互 融 な る 故 に 、 修 三 も 體 一 互 融 な り 、 然 れ ど も 今 は 且 く 修 二 性 一 の 義 に 依 り て 智 慧 莊 嚴 を 因 と し 、 福德 莊 嚴 を 以 て 此 智 を 資 助 す る 縁 と す 。 八 に 果 と は 習 果 の 義 に し て 前 の 因 即 ち 同 類 因 所 成 の 等 流 果 な り 、 妙 玄 の 釋 に は 果 即 一 念 相 應 大 覺 朗 然 無 上 菩 提 爲 習 果 也 と 言 へ り 。 故 に 知 ん ぬ 前 般 若 の 習 因 に 由 り て 般 若 の 習 果 圓 滿 朗 然 た る を 果 と 云 ふ 、 即 是 れ 究 竟 即 位 な り 。 九 に 報 と は 報 果 な り 前 の 縁 に 依 り て 解 脱 の 報 果 滿 足 し た る を 報 と 云 ふ 。 犬 般 涅 槃 の 断德 禪 定 三 昧 の 諸德 等 皆 此 中 に あ り 、 是 も 究 竟 即 位 な り 。 十 に 本 末 究 竟 等 と は 前 來 九 如 是 の 中 に 於 て 相 性 體 は 性德 の 三 諦 な り 、 力 作 因 縁 果 報 は 修德 の 三 諦 な り 、 修德 究 竟 の 三 諦 と 性德 本 有 の 三 諦 と 不 異 な る を 本 末 究 竟 等 と 云 。 經 に 七 大 法 性 の 本 有 不 變 を 説 て 清淨 本 然 周 偏 法 界 寧 有 方 所 と 言 ひ 、 次 に 隨 縁 顯 現 を 説 て 衆 生 心 應 所 知 量 循 業 發 現 と 言 へ り 。 一

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三觀

智と

の状

三二十七丁

三丁

非 ざ る こ ご を 明 せ り 、 其 意 に 據 れ ば 十 地 論 十 五丁 及 同 義 記 三 末 十 八丁 に 阿 黎 耶 識 に は 如 來 藏 心 な 書 し 、 是 が 一 切 法 を 出 生 す と 云 、 又 攝 大 乗 論 十 一 六紙 に は 阿 黎 耶 識 を ば 無 没 識 無 記 無 明 の 識 な り を し て 、 是 が 一 切 法 を 出 生 す を 云 ふ。 地 論 家 が 黎 耶 を 眞 心 に 限 り 生 法 を 談 る は 法 性 生 法 の 義 に し て 自 生 計 に 墮 す 、 何と な れ ば 黎 耶 は 眞 妄 の 性 を 離 れ て 眞 妄 の 名 に 應 ず る も の な り 。 若 眞 の一 に 偏 す る な ら ば 眞 の 性 實 あ り 、 眞 に 性 實 あ ら ば 諸 法 を 生 す る に も 性 實 あ り し か る と き は 数 論 外 道 が 世 性 即 ち 自 性 冥 諦 よ り 学 を 生 じ 、 学 よ り 我 心 を 生 じ 、 乃 至 二 十 五 諦 自 然 に 生 す と 云 に 同 じ く し て 自 生 計 に 墮 す べ し 。 是 は 既 に 三 藏敎 の 所 破 な り 、 豈 佛敎 内 に 入 る を 得 ん や 、 ま た 攝 論 家 が 阿 黎 耶 識 を 無 明 に 限 る と し て 生 法 を 説 く は 無 明 生 法 の 義 に し て 、 他 生 計 に 墮 す 、 何 ご な れ ば 攝 論 家 が 阿 黎 耶 を 無 明 識 と し 、 之 が 一 切 の 薫 習 を 受 け て 現 行 を 生 す べ き 功 能 を 含 藏 し 、一 切 法 を 出 生 す と 云 ふ な れ ば 、 無 明 の 他 が 諸 法 を 生 す と 云 義 な り 。 是 故 に 他 生 計 に 墮 す べ き な り 、 然 る に 無 明 な る も の は 縁 に 動 さ れ て 法 體 を 失 へ る の み 、 別 に 自 生 及 び 他 生 共 生 無 因 生 の も の じ 非 す 、 云 何 ぞ 無 明 の 他 に 限 り て 諸 法 を 生 す と 言 ふ こ と を 得 ん や 。 止 觀 に は 法 性 生 法 無 明 生 法 の 何 れ の 一 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 三 九

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顯 密 二 教 の 比 較 研 究 四 〇 に も 偏 倚 す べ か ら ざ る こ と を 示 す に 法 性 の 眞 心 を 心 と し 、 黎 耶 の 無 明 を 眠 と し 一 切 諸 法 を 夢 事 と し て 喩 を 説 て い は く 心 に 依 り て 夢 事 あ り や 、 眠 り に 依 り て 夢 事 あ り や 、 離 心 離 眠 し て 夢 事 あ り や 、 若 心 に 依 り て 夢 事 あ ら ば 不 眠 に 夢 事 あ る べ し 。 若 眠 に 依 り て 夢 事 あ ら ば 、 死 人 は 眠 に 同 き 故 死 人 に 夢 事 あ る べ し 。 若 眠 と 心 と 合 し て 夢 事 あ ら ば 眠 人 何 故 不 夢 の 時 あ り や 、 又 た 眠 と 心 と 各 夢 事 あ ら は 合 し た と き も 夢 事 あ る べ し 、 既 に 各 々 夢 事 な し 合 し て も 夢 事 あ るべ か ら す 、 若 離 心 離 眠 し て 夢 事 あ ら ば 虚 空 は 心 と 眠 と の 二 を 離 る ゝ 故 に 恒 に 夢 事 あ る べ し 何 故 爾 ら ざ る や と 、 此 意 は 法 性 の 眞 心 の み で 生 法 す と せ ば 自 生 計 な り 、 黎 耶 の 無 明 の み で 生 法 す と せ ば 、 他 生 計 な り 。 此 二 生 不 可 得 な り 、 又 た 両 者 合 し て 生 法 す る や ざ 言 ふ に ま た 不 可 得 な り 。 然 ら ば 二 者 室 無 に し て 生 法 す る や と 吉 ふ に 、 ま た 不 可 得 な り 。 唯 如 來 が 四 悉 檀 の 因 縁 に 依 り て 或 は 法 性 の 起 動 よ り 一 切 法 生 す と 説 き 、 或 は 黎 耶 の 無 明 に 由 て 諸 法 生 す と 言 ふ こ と あ る の み な り 。 圓敎 の 眞 説 に 依 れ ば 止 觀 五 之 三四十二丁 に 如 如 意 珠 天 上 勝 寳 状 如 芥 粟 有 大 功 能 浄 妙 五 欲 七 寳 琳 琅 非 丙 畜 非 外 入 不 謀 前 後 不 擇 多 少 稱 意 豊 儉 降 雨 穣 々 不 添 不 盡 蓋 是 色 法 尚 能 如 此况 心 神 靈 妙 寧 不 具 一 切 法 耶 と 言 へ り 。 琳 琅 と は 眞 寳 似 寳 な り 、 非 内 畜 非 外 入 と は 自 生 に 非 す 、 他 生 に 非 す 、 共 生 無 因 生 に 非 す と 盲 ふ 意 な り 、 自 生 と 他 生 と に 非 ざ れ ば 共 離 二 生 は 勿 論 な き 故 に ご 西 の 両 句 を 言 ざ る な り 、 此 意 は 色 心

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の 二 法 各 一 切 法 を 具 し て 一 切 法 を 生 ず 、 然 る に 如 意 珠 が 萬 寳 を 雨 す に 内 に 個 々 別 々 に 畜 る に 非 す 、 外 よ り 入 り 來 る に 非 ざ る が 如 く 自 性 に も 非 ず 、 他 生 に も 非 す し て 、 不 縦 不 横 な り 。 此 故 に 法 性 生 法 無 明 生 法 い つ れ に も 偏 倚 す べ か ら ず と 云 こ ゝ う な り 。 も と よ り 荊 渓 大 師 が 玄 籤 一 之 上五十三 紙 に 理 性 無 體 全 依 無 明 無 明 無 體 全 依 法 性 と 言 へ る が 如 く 眞 妄 同 體 に し て 法 性 は 無 自 性 無 住 處 な れ ば 、 無 明 に 依 り て 有 り 、 無 明 は ま た 無 自 性 無 住 庭 な れ ば 法 性 に 依 り て あ る な り 、 如 何 ぞ 法 性 或 は 無 明 の 一 に 偏 し て 生 法 を 説 く こ と を 得 ん や 、 た ゞ 浄 名 経 に 從 無 住 本 立 一 切 法 と 説 く に 順 ふ べ し 。 此 無 住 の 名 は 室 謡 よ り 立 つ る な れ こ も 圓敎 の 空 諦 な る 故 に 三 諦 圓 融 せ る 室 謡 な り 。 是 故 に 妙 玄 七 之 上三十一左 に は 無 住 之 理 即 是 本 時 實 相 眞 諦 也 と 言 ひ 九 之 下二右 に は 、 四 諦 の 一 切 因 果 悉 用 實 相相爲 體 と 言 ふ 證 據 に も 此 経 文 を 引 用 し た ま へり、 圓 融 の 空 諦 な る 故 に 無 性 之 本 は 無 明 法 性 に 通 す 。 玄 籤 七 之 上三十一左 の 釋 に 依 れば 迷 時 に 無 明 は 一 切 法 の 本 と な る な れど も 、 其 無 明 は 法 性 の 隨 縁 せ る 毛 の な れ ば 、 無 明 即 法 性 に し て 無 明 は ま た 法 性 を 本 と す 、 悟 時 に 法 性 が 諸 法 の 本 と な れど も 無 明 に 隨 は さ れ て あ れ ば 法 性 即 無 明 に し て 法 性 亦 た 無 明 を 本 と す 。 法 性 印 無 明 な れ ば 法 性 に 堅 住處 な し 。 無 明 即 法 性 な れ ば 無 明 に 堅 位 處 な く し て 、 法 性 な く ば 無 明 な く 、 無 明 な く . ば 法 性 な し 。 是 故 に 無 住 の 本 と 云 ふ 語 は 無 明 法 性 に 通 す れ ど も 無 明 法 性 同 體 な れ ば 本 た る も の 別 體 な し 。 唯 無 住 即 ち 實 相 が 本 な り 。 是 故 に 七 大 法 性 が 縁 起 し て 諸 法 と な る を 談 る に も 法 性 生 法 、 無 明 生 法 に 偏 倚 せ す し て 唯 七 大 法 性 が 三 諦 圓 融 し て 一 實 相 な る と こ ろ よ り 諸 法 が 現 起 す と 盲 ふ べ き な り 。 淺 見 者 は 顯 密 二 教 の 比 較 研 究 四 一

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