履歴ダンパー内蔵型の制振壁と均等RCフレームからなる建物の性状ー層崩壊防止及び層間変形一様化に必要なRC耐震壁の剛性及び耐力 [ PDF
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(2) 材料強度はコンクリートの圧縮強度が24MPaで, 鋼材の降伏. べる方法を用いて算定する魚骨の性状によって異なる値とす. 強度が350MPaとする。 材料の応力−歪み関係は, 鋼材につい. る。. ては完全弾塑性モデルとし, コンクリートについては解析の安. 4.. 1). 解析結果と考察. 定性確保のため最大耐力後の劣化を考慮しないモデルとした 。. 4 . 1 静的解析結果. 3 . 解析モデル. 図 -4 はベースシア - 平均層間変形角 (R a v e)関係を示し ,. 表−1に解析モデルを示す。モデル名中, BFおよびCFは. 図 -5 は Rave=0.005rad. 時 , 0.0075rad. 時 , 0.01rad. 時のモデ. ,それぞれ魚骨が梁降伏型および柱降伏型であることを示す。. ル CF-w1 の各層の層間変形角を示している。弱点層である. モデルBFおよびCFは, Ai分布に従う層剪断耐力を有す。 魚. 最下層の柱はRave=0.005rad.時に降伏し, これ以降, この層. 骨BFは耐震壁がなくとも層崩壊が生じない安定した挙動を示. に層間変形が集中する。この層の層剪断耐力( この場合 ,. す魚骨であることが予想されるので, 以降、 健全魚骨とよび. ベースシア耐力に等しい)は, 層間変形の急増に伴う大きな. , 魚骨CFは柱降伏型魚骨とよぶ。柱降伏型魚骨のうち, 魚. P δ効果のため, R ave>0.005rad. では著しく減少する。この. 骨CF-w1とCF-w4は, それぞれ1層と4層の層剪断耐力がAi. ように, 柱の降伏後の大きなP δ効果のために層剪断耐力. 分布に従う層剪断耐力より20%小さい。 このように, 層剪断. が劣化する層を, 以降 , 降伏層とよぶ。図 -4 には示して. 耐力が小さい特定層を弱点層とよぶことにする。. いないが, 梁降伏型魚骨の場合は, 耐震壁に連結されずと. モデル名中, SFは, 魚骨の柱梁が全層にわたって等断面. も降伏層が生じないので, 履歴曲線は耐震壁を連結した魚. の魚骨であることを示す。魚骨SF の柱断面は, 文献 3の最. 骨(CF-FW-w1)の履歴曲線と同様である。 他の魚骨は, 耐震. 小鉄筋比の観点から定め, 梁断面は, 耐震壁を連結した魚. 壁無しでは降伏層が生じ, CF-w1の耐力劣化勾配と同様の. 骨SF-FWの静的解析において, 平均層間変形角が0.01rad.時. 負勾配で , 耐力が劣化する。表−1 にRave ≦0.01rad.におけ. の魚骨ベースシア係数が0.3 となるように定める。魚骨SFの. る各モデルの最大ベースシア係数および最大耐力時のRave を. 各層のCOF を表−2に示すが, 全ての層においてCOF が小. 示す。SF-FWを除く全てのモデルについて, P δ効果のた. さい。したがって, 魚骨SF も全層にわたって柱が降伏する. めに最大ベースシア係数は設計用ベースシア係数を下回る。. 魚骨であるが, 他の柱降伏型魚骨と区別して, 以降, 魚骨. 図-6aはRave=0.01rad.時の耐震壁を連結していない魚骨の各. SF を均等魚骨とよぶ。. 層に生じる層間変形角である。層間変形角0.02rad.を上回る. モデルCF-FWおよびSF-FWは耐震壁を連結した魚骨モデル. 大変形が生じている層は降伏層であり, 健全魚骨(BF)以外. である。 耐震壁は曲げ剛性(EIw)をもつ。 EIwの値は, 4.1で述. の魚骨には降伏層が生じている。降伏層は, 弱点層有り魚. 3600 3600 3600 3600 3600 3600. 骨では弱点層, 弱点層無し魚骨CF では , P δ効果が最も 大きく現れる最下層である。均等魚骨はAi分布の層剪断耐 力を有していないために, 静的解析の載荷水平力によって 生じる層剪断力に対して最も保有層剪断力が小さい最下層 が降伏層となる。一方、先述のように, 健全魚骨において 曲げ 剛性 EIw の柱 梁要 素 (剪 断変 形は 考慮 しな い ). は降伏層は生じないが, 2層の層間変形角が最大で, Raveよ り 0.002rad. 大きい層間変形が生じている。 魚骨に連結する耐震壁の曲げ剛性EIwは, 静的解析より 得られるRave =0.01rad.時のモデルに生じる最大層間変形角が 0.012rad.(= モデル BF と同等)となる剛性とする。EIw の値. 4500. 4500. RCの柱梁骨組. (a)魚骨型架構. 単位(mm). (b)耐震壁連結魚骨型架構 図− 3 解析モデル. はこの方針にしたがって試行錯誤的に求める。図 -6b に耐 震壁を連結した魚骨の各層の層間変形角を示す。表-1の最 大耐力を見ると, 耐震壁を連結したモデルの最大耐力は全. 表− 1 解析モデル 魚骨 解析モデル COF. BF CF CF-w1 CF-w4 SF CF-FW CF-FW-w1 CF-FW-w4 SF-FW. 1.5 0.75 表-2参照. 0.75 表-2参照. 1次固有 耐震壁 周期 の剛性 弱点層 (sec.) El Centro. 1層 4層 1層 4層 -. 1.00 0.94 0.95 0.95 0.88 0.94 0.94 0.95 0.85. EIw EIw. 1.00 1.08 1.08 1.15 1.28 1.06 1.11 1.09 1.25 52 - 2. r PGA 八戸. 東北大. 1.00 1.00 0.99 1.06 1.08 0.97 0.92 0.97 0.94. 1.00 1.03 1.29 1.00 1.40 1.02 0.93 0.96 1.07. Rave ≧0.01rad. 最大耐力時の での最大ベー -2 Rave(×10 rad.) スシア係数. 0.29 0.27 0.21 0.23 0.23 0.29 0.27 0.28 0.30. 0.9 0.8 0.6 0.9 0.6 1.1 1.3 1.2 2.0.
(3) ての魚骨が健全魚骨に近い耐力を示し, 耐力劣化性状が改. の柱の作用軸力によって異なる。 柱の軸力比は0.3未満であ. 善されている。. り, 断面耐力は下層ほど大きい。 このため, 図-9に示すよ. 4 . 2 壁に作用する水平力 . うにRave=0.01rad.時の魚骨の層剪断力も下層ほど大きい。 し. 図 -7 は耐震壁を連結したモデルのRave=0.01rad. 時に耐震. かしながら, 魚骨の層剪断力の高さ方向の変化は, モデル. 壁に作用する水平力の高さ方向の分布である。図-7を見る. に作用するAi分布層剪断力より小さい。この層剪断力の差. と均等魚骨以外の柱降伏型魚骨ではそれぞれの降伏層の上. 分が耐震壁に生じている。. 下梁の位置に比較的大きな水平力が作用していることがわ. 4 . 3 動的解析結果. かる。表−3の①に弱点層の保有層剪断耐力の不足分を, ②. 表−1に各モデルの動的解析に用いた地動加速度の最大. に Pδ効果によるRave=0.01rad.時の耐力不足分を示す。ここ. 値(PGA)を健全魚骨のPGAで無次元化した値(rPGA)を示し. で保有層剪断力の不足分とは, 全体降伏機構時の弱点層に. ている。rPGA は, 健全魚骨と均等魚骨を除いた柱降伏型魚. 生じる層剪断力から弱点層の保有層剪断力を差し引いた剪. 骨では同じ大きさである。均等魚骨のrPGA は, 他の魚骨よ. 断力である。③に①と②の和を示すが ,. り4割程度大きいがこれは均等魚骨のみ剛性が他の魚骨よ. この値は. Rave=0.01rad. 時の層剪断耐力の不足分である。一方, 表−3. り大きく固有周期が異なるためと思われる。. の④にRave =0.01rad.時に降伏層の上下梁位置で耐震壁に作用. モデルBF, CF-w1, CF-FW-w1 の動的解析から得られる. する水平力の絶対値の平均を示す。この値は、 図-8に示すFi. 各地震波に対する最大層間変形角の高さ方向の分布を図-10. で耐震壁の降伏層に生じる剪断力である。 表−3の⑤に剪断. にそれぞれ示す。梁降伏型魚骨であるモデルBF では , 層. 力Fiに対する③の層剪断耐力の不足分の比を示す。 ⑤の値は. 間変形角が高さ方向に概ね均等で, 最大でも0.013rad.未満. 1.0に近く, ③と④の値は概ね等しいことがわかる。. である。一方, 柱降伏型のモデルCF-w1では最下層に層間. 均等魚骨の柱は全層等断面であるが, 柱の断面耐力は各層. 変形が偏り, その絶対値の最大は東北大波で0.036rad.に達. 0.5. Rave =0.005rad.. 5 耐震壁有り. 0.3. 各層の柱梁耐力比 . Rave =0.0075rad.. 4. 階. ベースシア係数. 0.4. 表− 2 均等魚骨の. Rave =0.01rad.. 6. CF-w1 CF-FW-w1. 3. 耐震壁無 し. 0.2. 階 6 5. COF 0.17 0.38. 4 3 2 1. 0.46 0.54 0.60 0.65. 2 0.1. 1. 0 0. 0.5. 1. 1.5. 0. 2. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 平均層間変形角(×10 -2 rad.). 3.5. 4. 図− 5 層間変形角 . 図− 4 荷重−変形関係 7 CF CF-w1 CF-w4 SF BF. 6. 3. 層 間 変 形 角(× 10-2 rad.). CF-FW CF-FW-w1 CF-FW-w4 SF-FW BF. 6. 6 CF-FW. 5. CF-FW-w1. 5. 5. CF-FW-w4. 4. SF-FW. 階. 階. 階. 4. 4. 3. 3. 3. 2. 2. 1. 1. 1. GL. 2. 0 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 3. 3.5. 4. 0. 0.5. 1. 1.5. 2. 2.5. 3. 3.5. 4. -300. -200. 層間変形角(× 10-2 rad.). 層間変形角( ×10-2 rad.). (a)魚骨モデル. (b)耐震壁連結魚骨. -100 0 100 200 300 耐震壁に 作用す る水平力(k N). 図− 7 耐震壁に作用する水平力 . 図− 6 層間変形角の高さ方向の分布 表− 3 耐震壁に作用する水平力と魚骨の不足層剪断耐力の比較 解析モデル. 弱点層. ① (kN). ② ③ ④ (kN) (kN) (kN). Fi = ⑤. CF-FW-w1. ー 1. ー 247. 41 41. 41 36 288 253. 1.13 1.14. CF-FW-w4. 4. 165. 21. 186 170. 1.09. CF-FW. 52 - 3. f i−1 + f i−1 2. 耐震壁. fi f i−1. } 降伏層 i. 図− 8 降伏層に作用する水平力 .
(4) している。しかし , その魚骨に耐震壁を連結したモデル. ることが分かる。. CF-FW-w1 では最大も東北大波で0.014rad. に低減されてい. 5 . 結論. る。. RC 魚骨と転倒モーメントを負担しない耐震壁で構成され. 図-11aに動的解析から得られる魚骨のみのモデルの最大. る解析モデルの静的・動的解析を行い, 以下の結論を得た。. 層間変形角を示す。どのモデルの最大層間変形角も, 破線 で示した0.012rad.を上回っており, 特に弱点層有り魚骨と. 1. 建物の層崩壊は柱降伏後に生じ, 変形能力の大きい. 均等魚骨の最大層間変形角が大きい。. 耐震壁を用いれば防止できる。. 続いて , 図 -11b は , 耐震壁を連結したモデルの動的解. 2. 骨組から耐震壁に作用する水平力は, 降伏層の上下. 析を行った場合の最大層間変形角を示す。最大層間変形角. 梁位置に集中し, その大きさは降伏層の不足層剪断耐. は, 静的解析から得られる値(=0.012rad.)を上回っているが , 平均では同程度であり, 最大でも 0.014rad. 未満におさ. 力と同等である。 3. 静的解析において, 柱降伏型魚骨でも, 梁降伏型の. まっている。. 整形な魚骨と最大層間変形角を同じ程度に抑制できる. 以上から柱降伏型でさらに弱点層有り魚骨や均等魚骨の. 曲げ剛性をもつ耐震壁が連結されると, 耐震性能は梁. 耐震性能を, 魚骨の性状に応じて適切な剛性をもつ耐震壁 を連結することにより, 健全魚骨と同等にすることができ. 降伏型の整形な魚骨と同等となる。 4. 動的解析から得られる層間変形角の最大応答は、 ‚3波の 平均では静的解析で得られる値と同程度であり, 最大で. Ai分 布 水 平 力による層剪断力 壁に 生じ る層剪断力. 6. も0.014rad.未満に収まる。. 魚 骨に 生じ る層剪断力. 5. 参考文献 1)崎野健治:制振壁に関する実験的研究, コンクリート 工学年次論文報告集, Vol.26, No.2, pp.1435-1440, 2004.7 2)Kawano, A, GrififthM.C., Joshi, H.R.and Warner, R.F:Analysis of the Behavior and Collapse of Concrete Frames Sbjected to Seismic Ground Motion, Research Report No.R163, Department of Civil and Environmental Engineering, The University of Adelaide, Australia, Nov.1998 3)日本建築学会:鉄筋コンクリート構造計算基準・同解説 , 1999. 階. 4 3 2 1. -500. 0. 500. 1000 1500 層剪断力(k N). 図− 9 均等魚骨に生じる層剪断力 El Centro-max El Centro-min. 6. 6. Tohoku-max Tohoku-min. 5. 5. 階. 4. 4. 4. 階. 5. 階. 6. Hachinohe-max Hachinohe-min. 3. 3. 3. 2. 2. 2. 1. 1. 1. -4. -3. -2 -1 0 1 2 3 最大層間変形角(× 10 -2rad.). 4. -4. (a)モデルBF . -3. -2 -1 0 1 2 3 最大層間変形角(× 10-2 rad.). -3. -2 -1 0 1 2 3 最大層間変形角(× 10 -2rad.). (c)モデルCF-FW-w1 . 図− 10 最大層間変形角. 4. 最大層間変形角(×10 -2rad.). 3.5. 最大層間変形角(×10 -2rad.). -4. (b)モデル CF-w1 . 4. 3 El Centro Hachinohe Tohoku. 2.5 2 1.5 1 0.5 0. 4. 0.014rad. CF. CF-w1. CF-w4. SF. BF. 3.5 3. El Centro Hachinohe Tohoku. 2.5 2 1.5 1 0.5 0. 静的解析での値. (a)魚骨モデル . CFFW. CFFW-w1. CFFW-w4. SFFW. (b)耐震壁連結魚骨 図− 11 最大層間変形角 52 - 4. BF. 4.
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