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図表 1 ヘルスケア向け支出 の推移 日米中 23 年 213 年 6 5 3, 4 アジア 23 年 213 年 図表 2 日米中の GDP に占めるヘルスケア支出の推移 2% 米国 15% 日本 1% 2,5 2, 1,5 1, 5 日本米国中国 日本 中国 韓国 インド ASEAN

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株式会社 日本政策投資銀行  産業調査部 課長  

青山 竜文

医療機器産業については、シリコンバレーのエコシステムとその活用などについての考察などを2016年 3月号掲載「医療機器産業におけるイノベーションの方法論」にて行ったが、今回はその考察を踏まえつつ、 日米中の市場環境を概観すると共に、日本企業が付加価値創造を行っていく為に必要な戦略構築の必要 性などにつき考察した。

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注目 情 報

医療機器産業の市場環境と

付加価値創造に向けた戦略構築の必要性

医療機器産業の市場環境と

付加価値創造に向けた戦略構築の必要性

 医療機器産業については、「医療機器産業に おけるイノベーションの方法論」というトピッ クス(※)にてシリコンバレーの活用などに焦 点をあてたが、今回は「医療機器産業」を取り 巻く市場環境を日米中の動きを中心に整理し つつ、こうした市場環境に対して日本企業と してどのような戦略構築を行っていく必要が あるかを整理するものである。  まず、日米中の3市場とその他のアジア諸 国におけるヘルスケア支出の水準を整理して おきたい。そもそも「ヘルスケア」は広義の概 念であり、医療機関・介護施設などでの治療・ 介護行為に加え、その行為で利用される医薬 品や医療・介護機器等々の関連産業はこれに 内包される部分が大きい。  「ヘルスケア向け支出(官民合計)」を整理し た図表1を見ると米国の突出ぶりがわかる。 この10年間における伸びは各国ともに大きい が、こうした伸びの中で中国の順位が高まり、 同時に ASEAN についても合算すると韓国を 上回る規模となってきていることがわかる。 日本についてはその伸長による財政負担増大 の点で影響は大きいが、金額自体の伸び率は 一定程度に抑えられている。なお、図表2で は日米中のヘルスケア支出の GDP 対比推移 を見ているが、米日は若干上昇している一方、 中国は横ばいで推移しており、中国の支出増 は GDP 成長に即したものと言える。  また、図表3は国毎の(一人当たり)ヘルス ケア支出と各国の医師数(Physician)をまとめ たものだが、例えば医師数で言えば米・日・韓・ シンガポールの順で充実しており、中国もこ れを追う存在になっている。しかし、その中 国についても一人当たり支出でみると、依然 米国の7%弱程度である。このほかベッド数 の違いを含め各々特徴を有するため、どのよ うな付加価値創出を期待しつつ事業展開を行 うかについては、対象国により異なることは 確かである。 1. 日米中を中心としたヘルスケア支出の水準 ※ DBJ ホームページにもレポートを掲載しています。  http://www.dbj.jp/reportshift/topics/index.html  ホーム>調査研究レポート>今月のトピックス> 「No.241 医療機器産業におけるイノベーションの 方法論」

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株式会社 日本政策投資銀行  産業調査部 課長  

青山 竜文

医療機器産業については、シリコンバレーのエコシステムとその活用などについての考察などを2016年 3月号掲載「医療機器産業におけるイノベーションの方法論」にて行ったが、今回はその考察を踏まえつつ、 日米中の市場環境を概観すると共に、日本企業が付加価値創造を行っていく為に必要な戦略構築の必要 性などにつき考察した。

医療機器産業の市場環境と

付加価値創造に向けた戦略構築の必要性

医療機器産業の市場環境と

付加価値創造に向けた戦略構築の必要性

区分での出荷は伸びており、この製品群の高 付加価値化は推測される。なお、米国は生産 のグローバル化が進展していることから、輸 出入のトレンドそのものは注目されないが、 輸出入額がほぼイーブンであり、国内出荷額 の推移で概ね米国市場規模のトレンドも見て 取れる。  次に、米国の医療環境と医療機器産業の概 要を見ていきたい。まず循環器分野に限っ て手術件数の推移を見ていくと、件数は特に 2000年代について顕著に増えている訳ではな い。検査についても種別によっては同様の傾 向がある。ただし、その中身については、心臓 血管手術の中でも内訳として薬剤溶出ステン ト挿入が増加し、また(小腸)内視鏡検査につ いても増加傾向にあるなど、テクノロジーの 進化に伴う治療行為の変遷は見てとれる。  また、米国医療機器産業全体については図 表4記載の通り、この10年間でも順調に伸び ている。特に「外科用及び内科用機器」という 2. 米国市場概要 図表1 「ヘルスケア向け支出」の推移 図表2 日米中のGDPに占めるヘルスケア支出の推移 図表3 一人当たりヘルスケア支出及び一万人 当たり医師数 図表4 米国の医療機器出荷金額 9,146 24.5 3,741 23.0 2,398 21.4 646 14.9 215 7.0 3,578 19.5 1,812 14.4 938 12.0 658 3.9 308 11.9 293 2.0 287 ̶ 229 1.7 95 1.8 37 6.1 15.8 22.0 22.0 24.0 24.2 24.4 22.3 34.7 36.0 36.6 38.9 38.8 19.7 25.5 25.0 23.1 25.0 24.1 (備考)•図表1、2は、WHO「GDPに占めるヘルスケア支出の比率」により作成。  図表1は、各国名目GDPを掛け合わせて算出

・図表3は、WHO“Global Health Observatory data”により作成

(備考)米商務省“Annual Survey of Manufactures (ASM)”により作成 一人当たりヘルスケア支出 (購買力平価換算ドル) 一万人当たり医師数 2013年 2010-2013年 (人) 米 国 日 本 韓 国 中 国 イ ン ド シンガポール ブ ル ネ イ マ レ ー シ ア タ イ ベ ト ナ ム インドネシア フ ィ リ ピ ン カ ン ボ ジ ア ラ オ ス ミ ャ ン マ ー 電子医療機器 (診断装置、治療装置、患者監視 装置を含む。電離放射機器を除く) 外科用器具 (整形用器具、人工器具、 治療用器具を含む) 外科用及び 内科用機器 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2004年 (USD billion) 20% 15% 10% 5% 0% 2003 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 (年) 米国 日本 中国 シ ン ガ ポ ー ル イ ン ド ネ シ ア タ イ フィ リ ピ ン ベ ト ナ ム マ レ ー シ ア ミ ャ ン マ ー カ ン ボ ジ ア ブ ル ネ イ ラ オ ス 20 10 15 30 25 5 0

(USD billion) 〈ASEAN〉

2003年 2013年 (USD billion) 〈アジア〉 (USD billion) 〈日米中〉 400 200 300 600 500 100 0 2,000 1,000 1,500 3,000 2,500 500 0 日本 日本 米国 中国 中国 韓国 インド ASEAN 合計 2003年 2013年 2003年 2013年

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スでこの部分を担っているかがポイントとな る。本稿全体の本旨にも関わるが、ハイエン ド製品についての欧米企業のシェアが堅いと しても、ミドルエンド以降の市場環境は国内 企業の伸長が推測されるものであり、ここが 日本企業の伸長の壁になる可能性は容易に考 えられる。  ここからは、日本国内の状況を少し掘り下 げてみる。過去20年弱の間でも患者数に占め る「手術あり」患者数は増加しており、「手術 なし」の患者数がほぼ横ばいの状況とは対照 的である(図表9)。この手術ありの中でも、「開 腹手術」対象の患者数が低下する一方、「内視 鏡手術」「腹腔鏡下手術」「経皮的血管内手術」 などの低浸襲手術対応患者数の増加状況が顕 著である。一方、検査も主要な4項目で見て みると、いずれもなだらかに増加している(図 表10)。  また、幾つかの疾患につき細かく見ると、悪 性新生物を除くと「手術なし」患者数は増加し ておらず、あくまで手術対象者が増加退院患  次に、中国の市場構造を見てみよう。まず、 この10年間で見ても入院患者数は3倍に増加 している(図表5)。患者データ自体が取れて いない為、主な死因から概算した数値を見る と(図表6)、①悪性腫瘍、②心臓病、③脳血管 疾患の対象患者が主要な部分を占め、そうし た構造は日本と大きな差はないが、心臓病に 関する死亡者数が増えていることは一つの特 徴と言えよう。  一方、医療機器の販売額(図表7)について は、入院患者数を大幅に上回る形で増加して いる。また、輸出入もバランス良く増加して おり、特に輸入超過という状況が生じている 訳ではない(図表8)。  そうした意味では、中国については、生産 工場としての側面と、成長市場としての側面、 の双方が拡大している点が大きな特徴と言え よう。入院患者数や死亡者数の増加に比べて、 過去5年でも機器需要の増え方が大きい点を 考えると、医療面における「高度化」が進んで いることは明らかであり、海外企業(欧米企業 や日本企業)と中国企業がどのようなバラン 4. 日本における医療需要と医療機器  の供給状況 3. 中国市場概要 図表5 中国の入院患者数 図表6 中国の主要疾患別死亡者数の推移 図表7 中国の医療用機器・計測機器製造業の新製品売上高 図表8 中国の医療機器輸出入金額 (備考)図表5、6、7、8は、中国国家統計局「中国統計年鑑」により作成。 図表6は、「主要疾病別死亡者数(10万人当たり)」に中国の人口を掛け 合わせて算出 1.3 7.2 13.0 15.9 17.4 20.4 0.2 0.9 1.5 2.5 3.0 3.4 1.1 6.4 11.5 13.4 14.4 17.0 医療用機器・ 計測機器製造業  うち医療用機器   製造業  うち計測機器   製造業 2013年 2014年 2012年 2011年 2010年 2004年 (百億元) 1.4 5.5 6.5 7.3 8.2 8.8 2.0 4.6 6.0 7.1 7.9 8.3 輸   出 輸   入 2013年 2014年 2012年 2011年 2010年 2004年 (USD billion) 2004年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 6,669 14,174 15,298 17,857 19,215 20,441 2010 11 12 13 14(年) (万人) 悪性腫瘍 心臓病 脳血管疾患 消化器系疾患 呼吸器系 疾患 外因による 損傷及び中毒 内分泌・栄養 及び代謝疾患 (千人) 1,500 500 1,000 2,500 2,000 0

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ヘルスケアシステム再整備の必要性」、中国に ついては「急拡大する需要への対応」、という 特徴が明確にある。同時に、各々の市場は他 への攻め手の基盤になるだけの「大きさ」が存 在している。勿論、ASEAN 含めアジア各国も 重要なのだが、1. で見たように個々の規模が まだ小さいことは確かである。  一方、日本市場について言えば、社会保障費 の観点では問題があり、かつ診療領域毎に状 況は様々である。ただし、全体として言えば、 高齢化が進む中で低浸襲治療の必要性が高ま り、それに対応した製品(同時に費用対効果が 高い製品)が活用されるマーケットとして、十 分な規模があることも確かである。  とはいえ、ここまで述べてきたのはあくま で「市場規模」の話であり、その中でどれだけ の製品が生み出され、活用されてきたか、と いう論点がある。輸入比率の高い製品群が散 者数の多くを占めている。特に患者数が多い 「消化器系疾患」、「心疾患」においてこれらは 顕著であり、低浸襲手術の増加がこれを牽引 している。また、同じ統計から人工透析の件 数を見ると、これも非常に高い伸び率を示し ているのが日本の現況である。  この治療環境を踏まえた上で、金額規模の 大きい医療機器につき供給動向などを図表11 に整理した。各々の分野については、需要動向・ 単価動向・海外企業動向などは様々であり、単 価については数量の振れ幅が多い項目もある 為、あくまで参考情報として考えて頂きたい。  ここまで日米中の市場を見てきたが、簡単 な総括をしておきたい。  まず、米国については「医療費水準から見る 5. グローバル市場に対応していく為の  ロジック整理 図表11 主な医療機器の供給動向 図表9 患者数 図表10 検査数 (備考)•図表9は、各年の厚生労働省「患者調査」により作成(患者調査は3年毎の調査)。「その他の内視鏡手術」は、2005年まで「内視鏡下手術」、  2008年以降は「その他の内視鏡手術」。2011年は福島県を除く。(調査各年の9月1カ月間の数字) •図表10は、厚生労働省「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」により作成 電子内視鏡 検査機器 カテーテルなど ステント 手術用電気機器関連 透析器 臨床化学自動分析装置 人工関節など (人工関節、人工骨及び関連用品) ほぼ国内出荷で賄われている貴重な分野である。一方で、対応患者数の伸びと比較すると近時に至るまで緩やかな伸びとなっている。 この部門については引き続き輸入比率が高く、かつ単価水準も高いことが特徴である。ただし、足元の単価水準は一定程度抑えられている。 この部門はステント同様に輸入比率の高さが目立つ一方で、市場自体は順調に伸びている。ただし単価については横ばい状況にある。 この部門は患者数の増加と相反して、市場規模は縮小傾向にある。なお、輸入比率は手術用電気機器同様に高い。 市場規模における国内生産比率は高く、また患者数も増加しているが、市場規模は縮小傾向にある。単価の押し下げや数量の飽和状況などがみられる。 この分野は他製品と比較し、国内出荷を大きく上回る生産額を有しており、輸出を中心としたモデルが出来ており、その生産額は順調に伸長している。 CT検査の増加幅と比較すると、同製品市場の伸びに力強さは見られない(超音波も同様)。一方、MRについては検査の増加幅を上回る 市場増にも見受けられるが、輸入割合も増加している。 この部門については国内生産の伸び幅の大きさが顕著である。市場の伸び、単価の伸び、国内生産額の伸びがパラレルである非常に珍しい 製品群であると言える。患者数の伸びと併せ、高付加価値化に伴い単価も伸びる構造にあるため、市場自体が拡大している状況と言えよう。 (備考)日本政策投資銀行作成 1,500 1,000 500 0 (千人) 3,000 2,000 1,000 0 (千人) (千人) (年) 1996 99 02 05 08 11 14 1996 99 02 05 08 11 14(年) 2002 05 08 11 14(年) 総数 手術あり 手術無し 80 60 40 20 0 開腹手術 腹腔鏡下手術 経皮的血管内手術 その他の 内視鏡手術 〈総数〉 〈手術ありの内訳〉 〈検査〉 マルチスライスCT マンモグラフィー 内視鏡検査 MRI検査

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 戦略構築の観点で重要な項目を図表13に記 載した。その各々は複合的に絡みあうものだ が、ここでは便宜的に入り口を4つに分ける。  ①まず「分野論」(既存市場から行くか、新規 市場から行くか)であるが、既存市場から行く 場合、国内を中心とした販売チャネルの存在 は利点だが、どうしても「改善」型の罠にはま る可能性がある。一方、新規市場は「思い切っ た展開」が可能だが、そもそも「どう先を見越 すか」という点や「どう入っていったらいいか」 という点が悩ましい。また、分野毎に需要・開 発動向に偏りがあり、特に製品が密集してい るエリアに対してのアプローチは難しい。日 本企業の場合、欧米メジャーに現時点で劣後 している状況の為、グローバルにはニッチを 狙う方が望ましいとは思うが、どこに絞り込 むか、を改めて考えていく必要がある。そして、 その分野と自社戦略の整合感を整理すること がとにかく重要である。  ②「方法論」としては、(ⅰ)自社開発の活性 化、(ⅱ)共同研究、(ⅲ)買収、などが考えられ、 従来はやはり(ⅰ)や(ⅱ)が主体であった。買 収については、アーリーは「安いが見分けにく い」ものであり、レイターはその逆であるが、 見され、特に単価水準が高いステント・手術用 電気機器などは海外製品主体のマーケットと なっている。  同時に、競争過密なものは単価が抑えられ、 市場がシュリンクする状況にある。こうした ことは米国の FDA(食品医薬品局)、日本の PMDA(医薬品医療機器総合機構)の認証状況 を見るとより明らかである。つまり、良く喧 伝される「輸入超過」自体が問題なのではなく、 やはり付加価値創造そのものに課題があると 言えよう。  その要因の一部を図表12に列挙してみた。 特に、グローバルな環境での製品レファラン ス力の構築などは、「鶏が先か卵が先か」的な 部分はあるが、非常に重要な要素と思われる。  とはいえ、「課題を指摘」するだけでは状況 は変わらない。実際には、付加価値創造を行 う為には思い切った戦略構築が日本企業に とって重要であるが、それをアクションに落 とし込むには、何故それが必要かというロジッ クの整理が重要であろう。そしてその上で、 様々な要因によりリソース配分が限定的であ る中、「事業開発」の機能を整備する必要性に つき、各々の社内で整理をしていく必要があ ろう。次項でこの点に関連し考えていくべき 項目を整理しておきたい。 6. 付加価値創造に向けた戦略構築 図表12 日本企業が抱える課題 (備考)日本政策投資銀行作成 •国内市場規模自体が一定程度あり、ある程度「変わらなくてもいい」環境 •開発の主眼が既存製品の改善となる傾向が強い。技術オリエンティッドな発想に由来する部分も強いと推測。 大学との共同開発含め、製品への落とし込み/市場性を意識する必要がある部分。 •新規分野を位置づけるにあたり、現在の事業の強み・弱みなどを整理し、その上で整合感のある新規市場を整理していくことを 必ずしも得意とはしていない点(国内市場の安定性との相関も強い部分)。 •製品を生み出すにしても、企業を買うにしても、グローバル市場を見据えた上で、最新動向なども踏まえた上でドクターレファラ ンスなどを行う環境が些か脆弱な点(米国企業との比較) •同時に、こうしたことに対応していく為の、基礎的なリソース分配が弱い点 これらを克服し、グローバル市場で展開する為、「事業開発」をきちんとポジショニングする為のロジックを整理する必要あり。

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ある。特に自社開発と比較した際の費用対効 果を考えるべきであろう。費用は純粋に買収 等の費用&リスクボラタイル、効果は革新的 (disruptive)な思考・製品及び「時間」となる。 ポイントの一つは、「費用を下げて効果を上げ る」方策として海外 M&A や共同開発を整理出 来るか、という点であろう。そして、こうした ロジック構築は、ミドルマネジメントも含め て得心していく必要がある。  こうしたことを一つずつ整理する中で、整 合感のある「付加価値創造に関する戦略」を各 社が構築していくことが重要である。そして、 上記の各論やロジックの構築を踏まえた上で、 より具体的に、①情報の取り方の整理、②個別 情報に関するレファランス方法の確立、③ファ イナンス方法の整備、④マーケティング対応、 ⑤ PMI 対応などを検討していく必要がある。  これはつまり、日本全体として、「ビジネス・ ディベロップメント機能を底上げするような パートナリングのあり方」を検討していくと いうことでもあり、我々もその底上げのため のあり方を引き続き検討していきたい。 製品見極め(レファランス)の難しさなどがこ の活性化をまだ妨げているように思われる。 また(ⅱ)についても、技術ではなく製品落と し込みを視野にした対応がどこまで取れてい るか、という点が重要である。そして、ポイン トは(ⅰ)~(ⅲ)を複合的に行っていく、とい うことだろう。米国マーケットも幾つかの要 因において今参入チャンスはあることから、 この点は真剣に考えるべきである。  ③「リソース」という意味では、漠然とした 対応でなく、ある程度、「イノベーション分野」 にリソースをまとめて投入することも、既存 の研究開発との対比を意識しつつ検討してい く必要があろう。同時に買収なども「成功確率」 を上げる為には経験値を上げる必要もある。  ④販売ルート論についても論点だが、一つ の大テーマであり、本稿では割愛する。しかし、 自社・委託という選択の他に、例えば「日本連 合」という発想もどこかで必要になってくる のではないだろうか。  繰り返しになるが、こうした事象を戦略的 に整理する為には一定のロジックが必要で 図表13 付加価値創造に向けた課題及び対応の総括 (備考)日本政策投資銀行作成

(※)PMI:Post Merger Integration   (M&A後の経営統合についてのプロセス) 新規分野?既存分野? 「先をどこまで見越すか」&そのレファランス 自社戦略との整合性 分野論(マーケティング) 自社開発と比較した際の 費用対効果 費用:買収等の費用&リスク 効果:革新的製品/思考と時間 ロジック 環 境 • • • 自社開発活性化 共同研究等 買収:アーリー&レイター 「組み合わせ」 方 法 論 • • • 一定のリソース投入 拠点の位置づけ 医師ネットワーク リ ソ ー ス 論 • • • 国内マーケットの安定性 一定の企業体力 新規開発における劣後 市場毎の特徴 • • • • 自社か、委ねるか? 「日本連合」的発想は? 販 売 ル ー ト • • 左記各論に基づく 付加価値創造戦略の構築 ビジネス・ディベロップメント 機能を底上げする パートナリングのあり方を構築 1) ソーシング 2) レファランス方法の確立 3) ファイナンス 4) マーケティング 5) PMI(※)

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