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津 波 予 報 の 迅 速 化 を め ざ し て 一 気 象庁 の 津 波予 報・ 観 測 体 制‑

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(1)

L●特 集 自 然災害 と情報 収 集シ ス テ ム(7匚

津 波 予 報 の 迅 速 化 を め ざ し て 一 気 象庁 の 津 波予 報・ 観 測 体 制‑

気象庁地震火山部地震津波監視課 袖佐官 吉  田    弘

1。地震 と津波

地震は現 在地球上 でみら れる大規模 でかつ 破壊的 な現 象の一つ であり,我 が国はこ れま でくり返し地 震により 被害を蒙 って きた。特 に 日本列島の 太平洋の沖合 では 大きな地虞が くり返 し起っ ており,こ れに伴っ て生じた津 波 に よっ て も大 きな 災 害 を受 け て きた(図 1)。 最近の130年 間を みても,死者1000人以 上を出し た地震 ・津波災害 は12回 もあ る(表 1)。軽微な被害 まで含め ると,被害地震 はほ ぽ 年に5 〜10回程の 割合で発 生してい る。

地震は地 下深部の 岩石の急 激な破壊に よっ て引 き起こ される。この 破壊は 大きな割 れ目 に 沿っ て両 側の 岩盤 が激しくず れ動 くい わゆ

図 1  津 波 を 伴 っ た 地 震 の 震 央 分 布 図 有史以水 で, 沖 波規 膜が 1 以上 のもの(理 科年 表 に よる。)。

太平 洋岸に 沿っ て多くの 津 波 が 発生し て います 。

㎜‑==     ■ ● 1  主 な 地 震 災 害 ( 死 者 ・ 行 方 不 明1,000 人 以 上,  1854 〜1984 年 )

年月日(西暦)日本肝)    地  域    M      陂     害     状     況

1854.7 9.( 嘉永7. 6.15) 伊賀,伊勢,大和  6.9 宍昌 1,1j冫 奈良゛大 和郡 山゛ 死者1.144人以 壊家

185‑1.12で二7 11 5 ) ?Ek おtl ぽ84 a12

な賢野 家゛ 全槻0000 焼失6 000, ゛ 失15000(安

1855.11.11(安政2.10. 2 江 戸       6.9  死者4.000人余,壞家焼失14.346

1891.10.28(明治24)   岐阜,愛知     8,0  死者7.273人,家屋企壊142.177( 濃地震)

1896.6.15(明治29)    三陸沖       8% 詒丿 治122 人(  ̄説22,000)流失 仝半壌家屋8,891(三陸地

1923. 9. 1<大正12)    関東 南部      7.9 ;;ぷ? ぶ1 池 琵j4Jば?3

476 家 屋全壌128

266,焼失家

1927.3.7

(昭和2)    京都府北丙部    7.3  死者2.952人, 家屡全以12,584 焼失3.711 (北丹後地震)

1933. 3. 3(昭和8)    三陸沖       8.1 死者3.008人,家屋倒以流失7.263 (三陸地震津波)

1943.9.10(昭 和18)    鳥取市付近     7.2  死者1.083人,家 屋全壌7.485 (鳥取地震)

1945. 1.13(昭和20)   

愛知県 南部     6,8 死者I,961人.家 屋全壊5,539( 三河地震)

1946.12.21(

昭 和21)   杞f尹半鳥沖     8.0  昌 れ 鷁 尉02A ゛ 

11

591

失1.451, 1948. 6.28 (昭 和23)   福井平野      7.1  死者3.895人.家屋 倒壊35j20,焼失3.691 (福井地震)

(2)

るl 斫 川 いー パj る( 図21).

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(3)

表 2  津 波 が 来 る ま で の 時 間

地 震 発 生 か ら       7      咄 月   日     名   袮    M  活 ほ 尚 襲 ま で  津  波  の  高  さ 

方 不 為  響

明 治29(1896)  6  .15  三 陸 地 震 津 波 8 %    約35 分   岩 手 県 古 浜24.4m  21,959 名  i

昭 和8  (1933)  3  . 3  三 陸 地 震 津 波  8 .1   約30 分   岩 手 県 綾 里25.0m  3,008 名  ※

昭 和19(1944)12.  7  震 7.9   約10 分   熊 野 灘 沿 岸8 〜10m  1,321

昭 和21(1946)12.21  震 8.0   約 6 分   店 な; よ 祟4

〜6 n1 1,464

昭 和35(1960)  5.23  チ リ 地 震 津 波 8.5   約22 時 間  ] ‰? ‰  139&

昭 和36(1961)  2

°27 [I 向 灘 の 地 震 7

°O   約 1 分  

佐 清ミ10'5111      2

昭 和58(1983)  5.26   口 本 海 中 部 地 震  7 .7    約 7 分   荒 田' 青 票6nl 以 上   104

( 注) 明 治 の 三 陸 津 波 の 死 者 数 は 理 科 年 表に よ る。 こ の 津 波 は わ が国 最 悪 の 津 波 災害 であ っ た 。 昭 和35 年 の 千 り 地 衣 津 波 で は 表 の ほ か に , 沖 縄 で 3 人の 死 者 が あ っ た 。 叱 名・行 方不 明 の 数 は 地 腫 助 と津 波 を 合 わ せ た もの で あ る が , ぞ 印 は 地 震 動 に よ る 被 書 が な く, す べ て 津 波 に よ る もの で あ っ 乢

図 5  津 波 伝 搬 図( 日 本 海 中 部 地 震,M7・7 。 昭 和58 年 5 月26 日12 時00 分)

津波は 地腫後7分で深浦に , 約40 分後には佐渡に,約90分 後には 隠岐 に達し た。等値線の10.20 , − −の数字は 地 震 後の経過時 間(分)。津波は 海の深い所ほど速く 伝わって 行く。 斜線部が波源址。

表 4  津 波 予 報 中 枢 と 予 報 区

図 6  津 波 予 報 中 枢 と 津 波 予 報 区

津 波予 穣 は 全 国 6 か 所 の 汁 波 予 報 中 叺 と 呼 ば れ る 気 険竹 y・ か ら 発 表 さ れ る 。 予 報の 内 容 は18 の 津 波予 報 区 ご とに 決 め ら れ る 。

」  

津 波 予 報は 6 箇 所 の 津 波 予 報中 町 か ら18 の 予 報 区 に 対 し て 発 表 さ れ る。 図 6参 照 。

− 7 −

津 波予 報中 枢    担 当 の津波 予 報区 札幌 管区 気 象台 1区, 2区,3区 仙台管区 気 象台 4区, 5区

気 象庁本庁    6区, 7区, 8区,9区,10区 大阪 管区 気 象台 11区,12区,13 区,14区,15区

説 示

沖縄 気象 台   18区

(4)

らい であ り, 津波の 百倍ほどの 速さで地 中を 伝 わるから, 地震 の観 洲をもとに 迅速に震源,

マ グニ チュード を求め。こ れら をもとに津波 が来襲す るより早 く津波予 報を行 うこ とがで

きる。

この ような地震 の観測 に基づ き津波予 報を 行 う体制 が整備さ れてい る。

現 在, 気象庁 では気象庁 本庁お よび 札幌, 仙台,大 阪,福岡, 沖縄の 管区気 象台等 に津波予 報中枢 を置き,各々の担当海域

を対象に津波予報を 行っている(図6,

表4) 。

津 波予 報 の 内容 は,全国を18に分り た区域及び各区域こ とに出す予報の種蒭,

( 表5) とからなる,

「1」 で述べたよう に津波予報の基幹を なす地震観測につい て は図7に 示 す よ うに各地震計からの 信号がNTT回線に よ り4800 BPS の伝

表 5 津波予 報 の種類

予報の種類  予 報 略 文        予     報     文 ツ ナ ミ ナ シ 津波の来襲す るおそれはありません。

・・ナ チ ウ  津波があるかも知れません。 津波の高さは高` ところで も数十センチ メ ̄卜y 

゛ 二l イ ル程度の見込みです。

津波注 意報 ぶtj; J ウィ 

津波の心配はなくなりまし た。

討 汀 O ° 津波の危険は なくなりまし た。

津波が予想されます。予想される津波の高さは,高いところで約 2メートル ツ  ナ  ミ に達する見込 みですから, 特に津波が大 きくなりやすいところ では警戒を要

し ます。 その他のところでは数十センチ メートル程度の見込みです。

津 波 警 報         大津波が来襲します。予想される津波の高さは。 高いところで約 3メートル

・・ ナ 。 以上に達す る見込みですから・今までに津波の被害を受けたようなところや オ オ y  こ 特に津波か大きくなりやすいところでは, 厳重な警戒を要し ます。その他の

ところも1 メート ルぐらいに達する見込みですから警戒が必要で す。

(5)

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(6)

され る。 内容 を確 認し発 表の キー を押すと津 波予報文 が各地の 気象官 署へ自動的 に伝送さ れる( 図 9, 写真1,  2) 。

またこ の予報は, 中枢の 通報担当 者に伝え られ, そこ から同 時送話( 送画) 装 置, 専用 電 話等に より伝達 中枢機関 に伝えら れる。 こ の際,通知 者 と受 領者の氏 名を相互に 確認す ることに なってい る( 写 真3)。

通知 を受 け た NHK は 直 ちに 放 送 を 行 う (津波警 報の場合 は, EWS  (緊 急警報放 送シ ステ ム)により放 送)。 警察 と NTT は 市町 村 に伝える。 市町 村は防 災行政無 線, 広報車,

サ イレン等 を用い て沿岸の 住民に 津波予報 を 周知 する。 また海上保安 庁は船舶 などに伝 え る。

地震 発生から 津波予報 発表 までに 要する時 間は 迦常10分 〜15分悍 であ る( 図10)。津波予 報の 発表に続い て, 地心 発生時 刻, 震源地,

規模, 各地 の 震 度 等 を 報道 機 関, 防 災関 係 機関や 住民 に知 ら せ る ため, 通 常「 地腫 津 波 情 報」 が 発表 さ れ る( 津 波 予 報に は迅 速 性を 優先 し,こ れらの 情報は入っ てい ない)。

津 波の伝播に ともなっ て, 津波は 沿岸に到 達す る。 沿岸の官 署では検 潮儀に よる津波の 観測 を実 施し てお り, こ れらの官署から 津波 の山・ 谷の時刻や 潮位 のデ ータ が200BPs の 電 報で 次々と津波予 報中枢 に入電して くる。

また,い くつかの官 署の検潮 記録は テレ メー タさ れ中枢でモニ タさ れてい る(図n) 。中 枢 の当 番者はこ れら のデー タをグラフにプロ ッ ト し, 津波の推移 を監視す る。 他の津波予 報 中枢と密接 に連絡 をとり合い, 地震津波情 報 等を次々 と発表し てい く。 津波を発生 させ る ような地 震はかな りの規模の もので,余震 も 数 多く発生する。中 枢ではこ れらの余震の 震

源決定 もし なければ ならず,地 震発生 からの 一 連の作業は 多忙を きわめる。

津波の振幅 が小 さ くなり, 津波によ る被害 の心 配がな くなって きたらツナ ミケ イホウカ イジヨ又はツ ナ ミチュ ウイ ホウカイジ ヨの 津 波 注意報を発表 する。 解除 の注 意報 も最初 の 発表と同じ経路 を経て関係 機関や 住民に 伝え ら れる。 津波予報 が解除 される まで の時間 は 通常数 時問である。 し かし, 津波の状 況に よ っては 解除まで長時 間を要 するこ とがある。

た とえば, 日 本海 中部地震 (昭和58年)の場 合では 解除 までに 9時間 を要した。

昭和27年 から61年 末 まで に津波警 報は51回 発表さ れており,平均 す ると既 ね年 に1.5回の 割合に なる(表 6)。 またツ ナ ミチュ ウイは概 ね年2回強 の割合 となる。

3.地震活動 等総合監 視シ ステ ム

昭和58年 の日本海中 部地震 を契機に 津波に

図10  津 波 警 報 の 伝 達 経 路( 概 略)

写 真 3  同 時 送 話 装 置

津波 予 報 や 地 震 情 報 は こ の よ う な 装 置か ら 一 斉 に 音 声 や F AX で関 係 機 関 に 伝 え ら れる . こ の ほ か.・.yjlj電 話 や テ レ タ イプ 等 も 使 われ て い る .

−10 −

(7)

対す る国 民の関 心は非常 に高 まり,特 に気象 庁の 津波予報 発表の迅速 化が社会的 に問わ れ るこ とになっ た に の地 震では14分後 に東北 地方の 日本海沿 岸に オオツナ ミの 警報を発表 し たが, 津波 により100名の 死者が出た)。

この 後, 気 象庁 では現行 の津波予報業 務全 般の 見直しを行 い, 発表 時間の短 縮に努めて きた。し かし, これ まで 述べ た様 に現 行のプ ロ グ ラ ムで は, 熱ペ ンレ コー ダの 記録 紙 を X/Y デ ィジ タイザに 貼り, 手 作業に より地

奘記 録 の 読 み 取 り を 行 い , デ ー タ を 計 算 機 に 入力し マ ンノ マ シ ン 方 式 に よ る 対 話 処 理 で 震 原等 を 求 め て い るO 人間 を 介 在 させ て の こ の よ う な 雲 源 決 定 方 式 で は 迅 速 化 を 考 え た と き 陝術 的 に ほぼ 限 界に きて お り,よ り 一 層 の 迅 速 叱に は 抜 本 的 な対 策 が 必 要 と な っ て き た。

気 象 庁 で は 昭 和60 、61 年 度 の 2 ヶ 年 に わ た り,「 地 震 活 動 等 総 合 監 視 シ ステ ム」の 整 備 を 進め,62 年 3 月 か ら 稼 動 の 運 び と なっ た。

本 シ ス テ ム は, 大 地 震 時 に 震 源 ・ 規 模 等 を 磴時 間 に 求 め る こ と と余 震 頻 発 時 等 の 急 激 な テ'一 夕 の 急 増 に 対 処 す る た め , 地 震 波 形 を 4R モ デ ル( 自 己 回 帰 モ デ ル) で 表 わ し , 統 計 均決 定 法(AIC 赤 池 の 情 報 量 規 準) に よ る 客 現的 な 自 動 読 み 取 り, 自 動 震 源 決 定 方 式 を 採 用し て い る 。 こ の 方 式 に よ り, 津 波 予 報 の よ り 一 層 の 迅 速 化 , 地 震 活 動 推 移 の リア ル タ イ ムで の 監 視 が で き る よ う に なっ て きた。 ま た , 聿波 の 発 生 が 予 想 さ れ る場 合 は , 津 波 の 到 達 予想 時 刻 の 計 算,検 潮 デ ー タ の 解 析 等 を 行 い , よ り 的 確 な津 波 の 予 測 及 び 実 況 把 握 を 行 う 。 こ れ ら の 結 果 は, シ ス テ ム との 対 話 処 理 で デ ィ スプ レ イ上 に 各 種 情 報 と し て 作 成 し 発 表 し

,図11 検 潮 観測 網

( 注) l  一 つ の 地 虞 に対 し 発 八 さ れ た 予 報 の 内 , 最 高 位 の も の で 数 え た 。 例 え ば 。 ツ ナ ミ と ヽソ ナ ミ チ ュ ウ イ が 2 つ の 予 報 中 枢 か ら 発 表 さ れ たj 葯合 は ツナ ミ と し て 数 え た 。

2  日召衵52jF1 月 ま で'は.

i.lり皮 警 煢是は オ オ ツ ナ ミ。 ヨ イ ツ ナ ミ。 ツ ナ ミ オ ソ レ cり3 f埀て'あ っ た 。 え見石二は オ オ ツ ナ ミ とツ ナ ミ で あ る 。 ま た , ツ ナ ミ チ ュ ウ イ は 町召fU52  {l‑ 2 月 か らal け ら れ た も グ)で あ る 。

(8)

ていく。

このシステムの概要を図12に示す。またこ のシステムでは,従来手作業により整理して いた多くのデータが自動処理及びマンノマシ ンで処理・出力されるので,前述の情報発表 等の作業は非常に効率的に行なわれるように なる。これらのシステムの概要を写真4に示 す。

また,このシステムは津波予報の迅速化と ともに東海地震の予知のための常時監視機能 の飛躍的な強化というもう一つの重要な機能 を担っている。

このため,東海地域とその周辺に発生する 微小地震 クラスまでの地震活動の監視に加 え,歪・傾斜・伸縮等の地殻変動データをリ

写真4 総合監視シ ステム

ア ルタイムで処理し, 総合的 に 観測デー タの 異常検 出機 能の大幅 な向上 が図ら れてい る。

この システムの 本格的 な稼動に より, 本庁 担当分の みではあ るが, 津 波予報の 迅速 化,

地震情 報等 各種情報 サービ スの大幅 な向上 が 期待さ れる。

第12図 地震活動等総合監視システムの概要

表 2  津 波 が 来 る ま で の 時 間 年 地 震 発 生 か ら             7      咄月   日    名   袮   M 活 ほ 尚 襲 ま で  津  波  の  高  さ 行 方 不 為  響 明 治29(1896)  6  .15  三 陸 地 震 津 波 8 %    約35 分   岩 手 県 古 浜24.4m  21,959 名  i 昭 和8  (1933)  3  . 3  三 陸 地 震 津 波  8 . 1   約30 分   岩 手 県 綾 里25.0

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