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(1)

販路開拓から海外進出まで

経営に生かす知財

P.8

全国の特許室を訪ねて/北海道経済産業局 特許室

▶P.12 JPO

通信

P.14

地域ブランド紀行/北海道「大黒さんま」 「いけだ牛」

▶P.16

Vol. 29

平成

10 • 11

289

月号

26

日本と世界の知的財産権を守り、

産業の発展に貢献

特許の国際連携

最前線

P.2

(2)

去る 6 月 2 日、東京で 5 つの国や地域の特許庁長官が集まる「第 9 回五大特許庁長官会合」が開催された。

日本とアメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国の五庁による会合は、ユーザーと公衆に

よりよいサービスを提供することが目標。知的財産権を強化する五庁の取り組みを見てみよう。

データ資料:JPO特許行政年次報告書統計・資料編、USPTOウェブサイト、EPO Annual Report SIPO ウェブサイト、KIPO ウェブサイト、PPHウェブサイト

五大特許庁とは

ヨーロッパの広域特許庁

  欧州特許条約(European Patent Convention: EPC) に基づき1973年に 設立された広域特許庁で、ドイツ、オ ランダ、スイスなど34カ国が加盟して いる。本部は、ドイツのミュンヘン。

欧州特許庁

EPO

先行的な取組を推進

1949年に韓国・商工部の外局とし て設置されたのが最初。現在、産業 通商資源部傘下の国家行政機関と なっている。本庁舎は、大田広域市に あり、ソウル特別市には支庁を設置。

韓国特許庁

KIPO

明治期からの長い歴史

 経済産業省の外局の一つで、特許、

実用新案、 意匠と商標を取り扱う。

1884年に商標条例の公布に伴い、農 商務省工務局に商標登録所を設置し たのが最初。初代長官は、高橋是清。

日本国特許庁

JPO

 特許庁は、世界各国に存在しており、そ れぞれが独自の制度に基づいて特許の審 査、管理、運用を行っている。また、他の 官庁に比べると、どの国でも類似の制度・

業務を取り扱っているため、国を超えて 交渉や協力の場をもちやすいといえる。

 特許先進国である日本、アメリカ、ヨー ロッパ、中国と韓国の五庁の特許出願数 は、いまや全世界の約8割を占めており、

五庁の取り組みが世界の注目を浴びてい る。五庁では毎年会合をもち、先進国間 における制度の共通化を図るなど、特許 行政サービスの世界的な充実を目指して いるのだ。

先進国間の合意形成で 世界の特許行政をリード

出願数急増で、組織を拡充

 中国国家知識産権局は1998年に設 立、本部は北京にある。前身は中華 人民共和国専利局で、機構を拡充す ると共に名称を変更した。「専利」は 特許のこと。

中国国家 知識産権局

SIPO

独立直後に特許法制定

 アメリカ合衆国連邦政府の商務省 の機関。本庁舎はバージニア州アレク サンドリアにある。アメリカでは、独 立直後の1790年に連邦特許法が制定 された。

米国特許 商標庁

USPTO

日本と世界の知的財産権を守り、産業の発展に貢献

特許の国際連携最前線

9 回五大特許庁長官会合より

(3)

 世界の特許行政で各国独自の制度が運 用されているなか、1980年代に国際制度 構築の気運が高まった。1983年に三極と 呼ばれた日本国特許庁、米国特許商標庁、

欧州特許庁が、初の長官会合を開催。出 願数の急激な増加への対応という各庁共 通の課題を解決し、特許に関する国際的 な施策をリードするための意見交換を 行った。

 以後、この三極特許庁会合では、特許 分野の電子化、ワークシェアリングを柱 に協議し、おもな成果として「優先権書類 の電子的交換」「審査結果相互参照システ ム」「共通出願様式」などが実現している。

 2000年代に入ると、特に中国と韓国の 特許出願数が増加。2007年には三極に中・

韓が加わり五庁に拡大し、三極特許庁会 合で検討してきたプロジェクトに継続し て取り組んでいる。

 当初は五庁間の特許審査のワークシェ アリングに焦点が当てられていたが、近 年は特許制度、運用調和や審査の質の向 上に向けた取り組みにも力を入れている。

時代背景に応じて発展する 特許先進国の国際交渉・協力

特許の国際連携最前線

特許のグローバル連携の歩み

1983 1984

1985

1990

1995

1999

2000

2005

2006 2007

2010 優先権書類の

電子的交換を開始

出願人による書面での手続き の代わりに、優先権書類を特 許庁間で電子的に交換。

三極ユーザー会合開催

三極特許庁のおもなユーザー からのニー ズを集約すべく、

ユーザー会合を開催。

審査結果相互参照 システムを開始

関連した出願の各庁における 審査情報を共有するシステム を三極の審査官に提供開始。

共通出願様式に合意

三極に共通して特許出願する ことができる共通の様式(明細 書、特許請求の範囲、要約書お よび図面)について合意。

特許文献を デジタル化するBACON

プロジェクトの開始 BACONは、BAckfi le CONversion のことで、4,160万件もの紙媒 体の特許文献をデジタルスキャ ンし、フォーマット化。

三極協力開始

三極とは日本とアメリカ、欧州のこ と。国際的課題をリードして解決す るために会合を開始した。

五庁協力開始

中国、韓国における出願数増加に対 応するため、中韓を加えた五大特許 庁会合で協力活動を開始。

 五庁に参加する国々は、制度を共通化 したいとの思いで一致しています。ただ、

各国とも自国の制度を標準にしたいため、

主張がぶつかり合うことも多く、簡単に はいかないのが現実です。

 キーワードは、協調と競争。他国との信 頼関係、協力関係は大切にしつつも、主張 すべきところはしっかり主張していかな

特許を持つ日本企業の世界進出をサポート

ければ負けてしまいますので、常に緊張 感をもって交渉に臨んでいます。

 我々の使命は、世界の知財制度の調和 をすすめ、日本の世界最速・最高品質の審 査結果を積極的に発信することです。我 が国企業が海外で円滑にビジネスを行え る環境を整備するため、課員一丸となって 業務に取り組んでいます。

Interview

国際政策課の業務は、五庁協力、制度調和に とどまらず、WIPOWTO等の国際機関対応、

経済連携協定交渉など多岐にわたる。「倒れ るときは前向きに」を信条に、ポジティブ、

アグレッシブな職場作りを目指す。

特許庁総務部国際政策課長

野仲 松男

時代と共に三極から五庁へ発展

日本と世界の知的財産権を守り、産業の発展に貢献

特許の国際連携最前線

9 回五大特許庁長官会合より

(4)

五大特許庁会合の これまでの成果

 発足当初の五大特許庁会合では、世界 的に増加する特許出願数に対応するた め、審査の経過や結果の交換スキーム、

増加する世界の特許出願への 対応、サービス拡充を図る

その基盤となるITシステムの整備といっ たワークシェアリングに取り組んでいた。

 近年は、各国で異なる特許制度・運用 面の違いをそろえたり、審査の質を向上 させたりすることで、国によって出願人 の不利益が生じない体制作りも開始。

最初に出願した国の出願日が他国の審査上の 判断基準日であることを証明する優先権書類 を電子的に交換、ユーザーの負担を軽減。

優先権書類の 電子的交換

関連した出願の各庁における審査情報を共 有可能とする審査結果相互参照システムを 実現。

相互参照システム 審査結果

複数の異なる特許庁に対して共通の出願様式 を採用することで、ユーザーの負担を軽減し 権利の確保を容易とした。

共通書類様式

三極協力による主な成果

世界の特許出願件数

日米欧と中韓で世界の特許出願数の約8 割を占めている。五大特許庁が連携する 重要性が分かる。(2014年のデータ)

グローバル・ドシエ

20167月からは五 庁全てにおいてドシ エ情報共有システム が一般に公開され、

インターネットによ るアクセスが可能と なった。

各国サイトからのドシエ情報共有システムの一般提供

Espacenet

J-PlatPat China and Global

Patent Examination

Information Inquiry Global Dossier KIPO OPD

五庁の枠を超えた情報共有システム

 特許出願の審査情報は「ドシエ」と呼ばれる。

グローバル・ドシエは、各庁のシステムの連携に より、仮想的な共通システムを構築し、新たな サービスの実現を目指す構想である。この構想 の下、五庁の「ワン・ポータル・ドシエ(OPD)」

と国連の専門機関であるWIPO(世界知的所有権 機関)が開発した「WIPO-CASE」とを連携し、グロー バルなドシエ情報共有システムが誕生した。こ れにより、グローバルなワークシェアリングの実 現が期待される。

2007

年から始まった五庁での会合により、今までの三極協力からさらに どのような発展があったのか

?

これまでの実績を見てみよう

連携

五庁に加え、20の国・機関が参加するWIPO-CASE2014年 にJPOと連携技術を確立。さらに五庁すべてのワン・ポータ ル・ドシエが連携し、グローバルな共有が完成した。

One Portal Dossier

OPD

KIPO JPO

SIPO EPO

25

カ国

USPTO

OPD WIPO-CASE

日本12.2%

米国21.6%

欧州5.7%

中国34.6%

韓国7.8%

その他 18.1%

81.9

五庁で

%

100 80 60 40 20

02003 2007 2011 2014

(万件)

(年)

1

五庁では、さらなる成果が !

日米欧中韓による特許出願件数の推移

中国および韓国における特許出願数が大幅に増加した。

これに伴い2007年より五大特許庁会合がスタート。

中国 日本 米国

欧州 韓国

(5)

特許制度調和 Keywords

●ドシエ

一般には書類一式を指す。特許 では、特許出願の手続や審査に 関する一件書類、出願以後の特 許庁と出願人とのやりとりを 保存したものをいう。日本語で は「包袋(ほうたい)」という。

●特許審査ハイウェイ(PPH 出願人が、海外での早期権利 化を容易にする国際的な取り 組みの一つ。始まってまだ10 年の歴史しかないが、今では 世界各国で特許を早く確実に 取得するうえで、重要な位置 を占めている。

●発明の単一性

一つの出願で2つ以上の発明 の特許を受けようとする場合 の条件。複数の発明間には、

技術的な関連性や共通点があ ることが必要となる。

IP5 PPH (五庁特許審査ハイウェイ)

各特許庁間の取り決めに従い、第一庁(先行庁)で特 許可能と判断された発明をもつ出願は、出願人の申請 により第二庁(後続庁)では簡易な手続で早期審査が 受けられるようにする仕組み。審査結果を有効利用で きる。

国際段階での判断をPCT加盟国での申請に生かすことができ、多数の国での早期 取得を想定する場合に効果が高い。通常型のPPHに比べ、費用と時間が大幅に節 減できるのも特徴。

PPH申請の典型例

ケース1 ケース2

海外での早期権利化を 容易にする新しい枠組み

 ユーザーにとって利便性の高い特許審査ハイ ウェイ(PPH)。五庁間でも2013年の五庁会合で 合意され、2014年から試行を開始している。こ れにより、これまでPPHを導入していなかった欧 州・中国間、欧州・韓国間でもPPH申請が可能 となった。五庁が管轄するユーザーにとって早 期権利取得の選択肢がさらに広がったといえる。

 右の表で分かるように、実施から2年で3

7,000件を超えるPPHが申請され、大いに活用さ

れている。

世界中の特許制度の利便性向上を目的に制度の調和を図る

2011年の五庁長官会合において「特許制度 調和の重要性と積極的な議論の推進」に合意 し、2012年に特許制度調和専門家パネルを設置。

2014年の五庁長官会合において、「記載要件」

「発明の単一性」「出願人による先行技術の開 示義務」の3項目を優先的に議論することに合

意。各国の特許制度・運用が異なると、グロー バルに活動するユーザーは各国の制度に応じ て個別の対応が必要になり、手続面の負担が 大きい。この問題の解消と、ユーザーの利便 性向上を目的に、制度・運用面の共通化を図っ ている。

2014年初頭から五庁相 互 間 で 特 許 審 査 ハイ ウェイ(PPH)の試行を 開始。これにより申請要 件などの共通化を図る と共に、統計情報の共有 の推進にも取り組んで いる。さらに分かりやす い手続きにすることで、

利便性が向上するよう 検討を続けている。

先行庁(OEE

後続庁︵OLE

EPO JPO KIPO SIPO USPTO TOTAL

EPO - 1,702 179 309 1,401 3,591

JPO 948 2,474 341 186 2,555 6,504 KIPO 557 2,486 142 187 2,133 5,505 SIPO 945 4,285 647 - 2,779 8,656 USPTO 3,232 5,467 2,723 1,230 660 13,312 TOTAL 5,682 16,414 4,032 1,912 9,528 37,568

各特許庁からPPHで申請された件数(20142015年)

特許制度調和の

3項目

発明の単一性の基準に対する各庁の運用が異なっている。まずは、PCT国際出 願の国際段階における発明の単一性の運用調和を実現するという方針に合意。

発明の単一性

出願人は、自身が知っている先行技術文献情報を特許庁に提出しなければなら ない義務を負っているが、この義務の内容が各国において異なっている。まずは、

ワンポータルドシエ等の既存のITシステムを最大限に活用することで、ユーザー の負担を軽減する方向性で検討中。

出願人による 先行技術の

開示義務

特許出願の記載内容が明確か否かなどを判断する要件。この判断基準が異なると、

ユーザーは各国への出願をそれぞれ変える必要があり、負担が増大する。まずは、

記載要件のうちの一つであるサポート要件に関する事例研究を実施しており、今後、

ユーザー団体からの意見を参考にし、サポート要件の調和の方向性を検討予定。

記載要件

2

3

特許の国際連携最前線

特許可能

優先権 第二庁

主張 通常型PPH

出願 審査

出願 早期審査

PPH申請

第一庁

PCT国際段階 PCT国内段階

または見解書IPER

特許性あり

特許可能 A

通常型PPH PCT-PPH

PCT国際段階の成果物

PCT国際段階成果物を利用する メリット】

早いタイミングでPPH申請が可能 PCT成果物の最大限の利用。

審査

早期審査 早期審査 出願PCT

PPH申請

B

C

PPH申請

(6)

 五大特許庁会合には、さまざまなプロ ジェクトやワーキンググループ(WG)があ る。それらの内容は、主に「調和/共通化」

「比較/情報共有」「インフラ系」「実体審 査系」の4項目に大別できる。これまでの 大きな成果では、「グローバル・ドシエ」の 推進、「五大特許庁による特許審査ハイ ウェイ(IP5 PPH)」の開始、「特許制度調和 専門家パネル(PHEP)」の設置などがある。

これらの他にも「分類」や「統計」「PCT協 働調査」などがあり、各プロジェクト、WG の内容のイメージを右記に示した。

 すでに具体的な成果になっているもの でも、必要に応じ、さらなる改革を目指 し継続して議論されている。

五大特許庁会合では大小様々 なプロジェクトが進行中

五大特許庁の取り組みイメージ

五大特許庁では、下の図のようにさまざまな分野でワーキンググループを作り、協調を 図ることを目指している。

知的財産権分野の国際交渉・国際協力の歴史

五庁特許庁会合をはじめとして、それぞれの特許庁が抱える課題を解決し、

国際連携を進めるプロジェクトが進展している。

調和/共通化

日本加盟 比較/情報共有

インフラ系

(分類、ITシステム等) 実体審査系

(審査基準、品質管理等)

国際制度の構築

制度の改善

利用拡大 審査結果共有促進・

利便性向上 意匠の手続

調和の完了

残課題解決・

モメンタム 維持

権利保護強化/

弱体化防止 制度調和

手続面 実体面

実務調和・協力

運用調和 ワークシェア インフラ構築

1998 1999 1994

2000 2001

2006 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 1970 1983 1989

日本加盟

日本加盟

STLT成立

五庁PI ポリシー 日米CSP

成立PCT

FIRSTJP-

米国AIA 成立

協力開始電子化

三極ネット 開始

TRIPS 協定

ドーハ宣言 MIMOSA

完成

リフォームPCT

DAS開始

稼働OPD

PDX開始

ドシエアク 日米PPH セス稼働

開始 ハーモ条約

の協議

PHEP 先進国間での協議

成立TLT 手続調和の協議

ジュネーブ 協定成立 マドプロ成立

実務上重要な 相違解消

引き上げ・保護水準 南北問題対処

相互利用の拡大・

実効性向上

IP5 PPH

GPPH 各庁の詳細な内部分

類を用いて、国際特許 分類(IPC)を細分化。

分類 WG1

五庁間で統計情報を 統計 交換。

WG

3項目(記載要件、先行 技術の開示義務、発明 の単一性)を議論。

制度・運用調和 PHEP

審査実施の 相違点に関する 報告書

PHEP

各庁の品質管理に関 する取り組みの情報 を交換、分析・研究。

品質管理

PCT国際出願におい て五庁が協働して国 際調査報告を作成す る試行を検討。

PCT協働調査 申請要件の統一、内 部管理について議論。

IP5 PPH

WG3

WG3

WG3

各庁のシステムの連 携により仮想的な共 通システムを構築。

グローバル・ドシエ WG2

成立PLT

(7)

9 回五大特許庁長官会合の成果

商標五庁会合( TM5

日米欧三庁に、韓国と出願件数が急増している中国を加えた商標五庁の新たな協力 枠組みを2012年に創設。

意匠五庁( ID5 )会合

国内外におけるデザインの重要性の高まりを受け、世界の意匠出願の約9割を占める 日米欧中韓の主要五庁の枠組みを2014年に創設。

日中韓特許庁長官会合

緊密な経済関係にある日中韓における知的財産の保護・強化、特許審査の迅速化・

品質向上、制度調和の推進などを目的として、2001年に設立された。

日アセアン特許庁長官会合

特許庁長官会合を定期的に開催し、日本の特許庁のアセアンへの知財協力を毎年レ ビューし、協力プログラムを策定している。

知っ得!

世界の知財庁による会議

 2016年6月2日、第9回五大特許庁長官 会合が東京で開催され、今後の五庁協力 の目指すべき方向性として「五庁共同声 明2016(東京声明)」を発表した。

 今回の長官会合では、2014年の共同声 明で合意された「ユーザー及び一般公衆 に対してよりよいサービスを提供する」と いう目標を再確認。加えて、今後の五庁協 力が目指す方向性として「①ユーザーと の関係強化」「②高品質で信頼性の高い審 査結果の提供」「③発展する新技術への知 財庁としての対応」という3つの取り組み を推進することに合意した。

 なお、①と③に関しては、2016年10月以 後、実務者級の議論を開始する予定。これ らの取り組みによって、五庁間で安定した 特許権の取得の促進を目指していく。

 共同声明のなかで注目されるのが、新 技術に対応した知的財産制度において歩 調を合わせること。五大特許庁の連携で、

一般ユーザーに向け、

よりよいサービスの提供を

急速に発展するAIやIoTなどの技術を保 護し、技術革新をあと押しする。AI技術の 特許出願ではアメリカが大半を占めるも のの、ビッグデータの活用の分野では日 本が高い特許出願のシェアを獲得。今後、

この分野で日本の特許庁がどのように リードしていくのかが注目されている。

 そのほか、五庁全ての特許出願・審査関 連情報をユーザーが一括参照可能なグ ローバル・ドシエの完成をはじめ、PCT国 際特許出願の恊働調査の試行、記載要件 や発明の単一性などの特許制度調和につ いても議論を推進していくとの合意が得 られた。

高品質で信頼性の 高い審査結果の提供

ワークシェアリングや品質、

特許制度調和に対する取り組 みを深め、それを実現するた めの協力を強化する。

ユーザーとの 関係強化

五庁の取り組みのPR活動を 積極的に行い、ユーザーの意 見を取り入れる。各庁で共有 し、改善点の発見に努める。

発展する新技術への 知財庁としての対応

AIIoTなどの新技術への対応 について、情報共有や意見交 換などを進める。

五庁共同声明2016

(東京声明)

特許の国際連携最前線

(8)

販路開拓から海外進出まで

経営に生かす知財

知的財産権活用企業事例 2016

自社製品の販促や下請けからの脱却、海外進出など企業の思いはさまざま。

これらの経営上の課題の解決にひと役買うのが知財の活用だ。

この特集では、知財を武器に活躍する企業 2 社を紹介する。

事例をヒントに新たな展開を模索してみよう。

年々増加する知財支援

中小企業への知的財産権支援は年々増 加。知財を生かして、経営を盤石なもの にするためぜひとも利用したいもの。

 香川県で2007年から約10年間、背骨の バランスを整える「きたの均整院」を営 んできたオスモティックジャパンの代表 取締役・北野優旗さん。インナーマッス ルや内臓などへ刺激を与え、体のしんか らゆがみを調整していく独自手法“オスモ ティックセラピー”で患者さんの痛みを解 消してきた。きたの均整院は女性の患者 さんが中心で、骨盤のゆがみやそれに伴 うO脚に悩みを持つ人は多く、手助けで きないかとずっと考え続けてきた。

 2012年、家庭でも簡単で手軽にエクサ サイズができるような器具を用意すれ ば、もっと患者さんの役に立つのではと 考え、簡単なゴムバンドを用いた器具を 考案。患者さんに提供してみた。しかし、

BEGINNING

エクササイズが難しかった事に加え、十 分に効果が出ているのか分かりにくいと の声が多かった。

 そこで、効果のある器具を作ろうと一 念発起。2014年にオスモティックジャパ ンを設立、研究を開始。当初は、ホーム センターで購入したサンダルとゴムで試 作したが、なかなか満足できるものには ならない。そこで、発明相談会に対応し ている地元の知財総合支援窓口を訪れる 事にしたという。

 北野さんの発想に注目した知財総合支 援窓口の黒田茂さんは、模倣を防ぐため 初期型モデルで特許出願し、まずは権利 確保することをアドバイス。北野さんは、

同窓口で類似商品や先行技術の調査方法 や出願方法を教授され、「初期型O型矯 正器具」を特許出願。本格的に製品の事 業化を決断する。

O 脚に悩む女性の

光となる器具を目指して

STEP 1

CASE 1

株式会社オスモティックジャパン

整体師ならではの発想で生まれた骨盤 O 脚矯正器具

成功の ポイント

知財総合支援窓口によるアドバイスと親身な支援。

各種補助制度を効果的に利用した。

特許、意匠、商標計 5 件の知財権を取得。

8

6 175 4 125 2 75

0 2011年度 2015年度

8

万件

(万件)

データ:特許庁総務部普及支援課

株式会社 オスモティックジャパン

2014年設立。 骨盤矯正支援 器具

LEGOOL」を企画、発売。「きたの均 整院」で施術していた体のゆがみを 整えて痛みを緩和する独自の手法 を簡易に実現する。

バレリーナの美脚と きれいな姿勢をヒ ントにつくられた。

バレリー ナの行う ターンアウトエクサ サイズが誰でも簡 単にでき、その結果 として外旋筋が強 化されてO脚矯正 につながる。

支援件数実績

55千件

(9)

ねじれを矯正する特許技術「

LEGOOL

(レグ−ル)」

使用することで、つま先を外に開く外旋筋を強化。徐々に骨盤が締まり、O脚の ねじれが矯正され、美脚効果も得られるという。

販路開拓から海外進出まで

経営に生かす知財

知的財産権活用企業事例 2016

経営に生かす知財知的財産権活用企業事例2016

オスモティックジャパン 代表取締役

北野優旗 2004年に順天堂大学 スポーツ健康科学部を 卒業後、身体均整法学 園入学。2007年に「き たの均整院 」を開業、

2014年に株式会社オス モティックジャパンを 設立。 ボディ デザイ ナ ー の 称 号 を も つ。

LEGOOLに生かされて いるオスモティックセ ラピーは、日本代表の アスリートやミラノコ レクションのモデルに も支持されている。

BREAK- THROUGH

 2013年には香川大学工学部の紹介を受 け、日本人の股関節外旋筋力などを共同 で研究。その結果から、バネの効果的な強 度設定が可能となる。また、特許庁の専門 家派遣制度ではデザイナーの派遣を受け、

女性をターゲットにするための色の選定 などのアドバイスを無料で受けられた。

その後、地域活性施策で香川の松浦産業 が協力。3Dプリンターによる試作品が完 成。サンダルにバネが付いた試作品が大き く発展し、いっきに実現性が見えてきた。

「黒田さんには製品化の打ち合わせにも同 席していただき、心強かったです。一つの 製品を作り上げるのには多くのメーカー が必要で、それらをうまくまとめていただ けたのも本当に助かりました。たった一人 の個人事業からでも、製品を生み出すこと ができることを実感しました」と北野さん。

 個人で起業したので、模倣の心配もあっ たが、特許はもちろん、意匠、商標などに より、権利が守られることを知り、本格的 に出願手続を始める。「一般の意匠登録に

担当者の親身な支援で 製品化を実現

加え、デザインの一部を登録する部分意匠 の申請をアドバイスされました。これによ り、模倣されにくくなることが分かったこ とも事業化のあと押しとなりました」と北 野さん。知的財産権があるから、安心して 製品化すること可能だった。現在、特許1 件、商標1件、意匠3件を取得。その後、強 度・耐久試験をクリアし、2015年から発売 を開始。

FUTURE さらなる販路を開拓し

女性の悩みを解消したい

 一日たった3分のエクササイズで、骨盤 を引き締めてO脚から脱却、美脚を実現

できる「LEGOOL(レグール)」。北野さんの

女性の悩みを解消する夢は実現に向かっ ている。北野さんにとっては製品作りは もちろん、知的財産権もまったくの素人。

しかし、知財総合支援窓口を利用するこ

とにより、知的財産権の重要性を知ると 共に、支援により製品化ができた。さらに 韓国、中国、アメリカに外国出願。

 現在は、さらなる販路拡大を目指し、忙 しい均整院の診療の合間を縫って活動し ている。各地の展示会などにも積極的に 出展、新規販路の開拓に成功する。「一日 のうちのお客さんの少ない時間を販促活 動に充てています。一人でも多くの方の 悩みを解消できればと思っています」。

STEP 2

STEP 3

まずはここから!

公益財団法人かがわ産業支援財団 知財総合支援窓口 黒田茂氏  知財総合支援窓口では、企業と企業

を結びつけると共に、大学や公的機関 との共同研究、国内外特許・意匠・商 標の出願や権利化の支援を行ってい る。また、知財アドバイスのほか弁理

士や商品化のための工業デザイナーな どの専門家の無料派遣も実施。

 試作品製作から商品化に至るまでの 支援に加え、その後のサポートも積極 的に行っている。

企業と企業の懸け橋となる知財総合支援窓口

(10)

CASE 2

株式会社サーフ・エンジニアリング

知財を意識して、新規販路を獲得

 きっかけは2013年、取引先の東京都内 のガス事業関連企業から受けたオーダー。

東日本大震災以後、国内のインフラ点検 の見直しが図られ、ガスの配管の点検で 従来は簡単に済ませていた見づらい箇所 などをチェックしたいという要望だった。

ガス配管は、暗い地下坑道内に直立して おり、高さは約30mもある。これを従来 と同じ目視で点検するのは、労力と安全 性の両面で困難だった。

 サーフ・エンジニアリングの根本秀幸社 長は、このリクエストに応えられる既存製 品を調べてみたが見当たらず、次に先行 技術がないか特許庁のウェブサイトなど

 木宮弁理士は、単に特許取得だけを目 的にするのではなく「取得した特許をど うやってビジネスに役立てるか、という ことまでを考えていただいた」と根本社 長。常に親身になって相談に乗ってくれ

BEGINNING

BREAK- THROUGH

を利用して調べてみたが、 見当たらな かった。そこで、ガス配管を垂直に上って いくロボットを、開発することに。その仕 様を考えるなかで「この技術は、ガス管の 点検だけでなく、転用できるのでは?」と 考える。そんな時、かながわ信用金庫(以 下、かながわ信金)から企業支援の打診が あり、今後の製品開発について相談した。

 この時点では、特許の取得はほとんど 意識していなかったが、かながわ信金は そのロボットに関心を寄せる。そして製 作開始から2カ月後、試作機が完成。すぐ に、神奈川県の知財総合支援窓口への橋 渡しをかながわ信金が行い、三者面談が 行われた。その後、同窓口から木宮直樹 弁理士を紹介され、特許申請に向けて動 き出すことになる。

たため、とても心強かったという。

 一方、知財総合支援窓口ではガス業界 に詳しい担当者が付き、特許取得に向け て的確なアドバイスを受けた。特許出願 前に現場で運用モデルを稼働させていた ため、先手を打って取引先と守秘義務契 約を結ぶなど、後に起こりうるトラブル を未然に防ぐこともできた。その結果、

はじめは特許出願など 考えていなかった…

知財総合支援窓口を皮切りに トントン拍子で特許取得

成功の ポイント

金融機関や弁理士など多分野の専門家の積極的な支援をひき出す。

知財の活用で信用が得られ、新規企業と取り引き可能に。

海外知的財産プロデューサーなどさまざまな支援を活用した。

STEP 1

STEP 2

株式会社 サーフ・エンジニアリング

ガス関係を中心としたインフラ・プ ラントなどの保守・設備・工事に伴 う特殊機械や装置の設計、製作、販 売などを行う。大型長尺の旋盤加工 が得意で、社内ワンストップによる オーダーメイド製作が可能。

まずはここから!

金融機関への相談がきっかけに

 当時、取引がなかったかながわ信金 から営業を受けて、担当者に製品開発 について相談。製品に注目した担当者 は、知財総合支援窓口を紹介し、根本さ んはすぐに訪問した。そこでサーフ・エ

ンジニアリングの技術がいままでにな いものだと分かった。

 知財総合支援窓口のアドバイスによ り、特許取得後は、知財ビジネス評価 書を作成。知財ビジネス評価書の作成

で、ロボットビジネスの方向性も定め ることができたという。加えて、か ながわ信金との関係もこれまで以上 に強靱なものとなり、融資が受けら れた。

(11)

経営に生かす知財知的財産権活用企業事例2016

サーフ・エンジニアリング 代表取締役

根本秀幸氏 2004年にガス事業関連 の特殊機械を製造す る有限会社サーフRIDE を創業。2012年に父親 が経営する金属加工 会社・有限会社根本製 作所と合併し、株式会 社サーフ・エンジニア リングを設立する。ガ スインフラの保守・点 検のため自ら地下坑道 の現場に出る「ガスマ ン 」であると同時に、

金属加工の「職人」を 自負している。

初めての特許出願だったにもかかわらず

「多くの専門家のアドバイスにより、順調 に話が進んでいきました」と根本社長は 振り返る。そして2014年8月に出願。約7 カ月後の翌年3月に特許を取得した。

 転機になったのは、かながわ信金に勧 められた「かながわビジネスオーディショ ン2015」への応募。2015年2月に、最優 秀賞にあたる「県知事賞」を受賞。数々 のメディアで紹介され、大きな反響を呼 ぶことになる。

 国内でのビジネスチャンス拡大はもち ろん、海外企業から技術供与の依頼を受 けたこともあり、すぐさま海外知的財産 プロデューサーの支援を受けた。リターン だけでなくリスクについても説明があり、

海外知的財産プロデューサーのアドバイ スがあったことで強気の交渉が行え、ま た、適切な判断につなげることができた。

FUTURE 知財の一連の支援策へ

敷居を解消してくれた

 国内では、大きなプロジェクトも一つ実 現している。根本社長が高速道路関連の 展示会を訪れた際、NEXCO中日本が抱え ていた課題に対して「このロボットなら 解決できるはず」とパンフレットを渡して 帰った。すると、その翌日に連絡があり、

サーフ・エンジニアリングとNEXCO中日本 による、橋脚点検ロボット「のぼるくん」

の共同開発が決定。なお、ロボットの愛称 であるのぼるくんは、根本社長の知的財 産権への意識が高まった事に加えて、ロ

STEP 3

Check !

「知財ポータルサイト」に アクセス

知財について相談したいが、どこに 行けばいいのかと悩んだら、まずは ここからはじめてみては? 相談支援 は、無料で行っており、秘密も厳守 される。地域の窓口に直接つながる

「ナビダイヤル」( 0570-082100)も 用意されている。

URLhttp://chizai-portal.jp

海外知的財産 プロデューサーとは ?

知的財産を知らずに海外進出をする と、技術の模倣はもちろん、反対に多 額の賠償金を求められる事もある。そ んなリスクを最小限に抑えてくれる のが海外知的財産プロデューサー。豊 富な知財経験に加え、海外駐在経験も あるスペシャリストで、海外進出時の アドバイスなどを受けられる。

知財ビジネス評価書を 活用しよう !

特許・商標など、企業がもっている知 的財産を活用したビジネスの実態を わかりやすく説明し、そのビジネス全 体を評価するもの。これにより、企業 と金融機関の相互理解を深める事が できる。コミュニケーションツールと しての役割に加え、企業の強みや技術 内容が分かりやすく記載される。

ボットの知名度も上がったため、商標登 録も行っている。

 根本社長は「知財に対して敷居が高い と思っていましたが、知財の専門家によ る丁寧で迅速な一連のサポートが受けら れ、スムーズに進行しました。特許を取 得した事で、弊社のような社員数人の企 業が、こと知財に関しては社員数千人の 大企業と対等に話ができます。我々のよ うな町工場こそ、知財を有効活用できる はず。知財は会社の財産なのです。今後 は“まず知財ありき”という発想で、社会 貢献したいと思っ ています 」と抱負を 語っている。

管外面検査用昇降ロボット

「のぼるくん」

垂直方向はもちろん、曲管部分も管外面に 沿って移動する自走式の遠隔操作ロボット。

カメラや超音波検査装置など約50kgまでの機 材を搭載可能で、管外面の亀裂などを離れた 場所のモニターで確認できる。

(12)

全 国 の

特 許 室 ね て

「知財戦略の取り組みを進めるなかで、北 海道知財総合支援窓口への相談件数は全 国的にも上位。一昨年が約2,000件だった のに対し、昨年は2,200件以上と、増加傾 向にあります。これは、北海道内の中小企 業の知財戦略への関心が高まっている事 や、地域での掘り起こしが進んでいる事 を表していると思います」と室井室長。

 広大な北海道エリアの特徴的な取り組 みとして、函館や旭川、北見など道内8市 10カ所に「北海道知財総合支援窓口サテラ イト」を設置。各サテライトと札幌にある 知財総合支援窓口をつなぎ、対面相談が 可能に。これによって、遠方居住者が札 幌まで足を運べない場合にも、無料相談 を受けられる体制を整えています。

「サテライト機関の存在そのものをご存じ ない方も多いと思うので、認知していた だくための取り組みが必要だと思います。

ホームページやメールマガジンなどで発 信する事はもちろん、今年度からは各地 域で連絡会議を開いて支援機関の方々と 意見交換の場を設け、支援事例の把握に 努めると共に、その地域に合わせたPR媒 体の活用を考えています。たとえば地方 によっては、市内全戸に毎月無料配布さ れる情報誌があるようで、それらの媒体 を利用したPRなども一案だと思います」

 また、支援策を案内するうえでの人材 育成に向けて、特許室では2014年に「中  北海道経済産業局の特許室は、観光客

も数多く行き交うJR札幌駅に程近い、札 幌第1合同庁舎内にあります。北海道エリ アにおける特許室の現在の取り組みにつ いて、室井誠特許室長にお話を伺ってき ました。

支援窓口サテライトを設置し 北海道全域をカバー

小企業支援機関のための相談対応マニュ アル」の冊子を作成しました。これは、各 地の商工会議所や金融機関などの相談担 当者を対象に行う、講習会や研修などに 用いる実務マニュアル。相談対応の流れ や、知的財産権の基礎知識など、相談に 来る方に説明を行う際、使用できるよう にポイントをまとめたものです。

「たとえば融資の相談に訪れた企業の案 件に、潜在的に知財が含まれている場合 もあります。そういったとき、埋もれさせ ずに支援窓口へつないでもらえるように と考えました。昨年は思いがけず、図書 館から職員に向けた研修会を開きたいと いう依頼がありました。講師が出向く際 にも、このマニュアルを使っています。

ツールとしてどんどん活用していきたい ですね」

 特許室が昨年度から取り組んでいる継 続事業が「食」をテーマにした「デザイン 創造・活用支援事業」です。昨年度は6 社の食品を対象に、全国からコンテスト 形式でパッケージデザインの募集を行い ました。学生からプロのデザイナーまで 誰でも応募できる形式。最優秀賞作品は 実際に商品化を進め、2015年度の最優秀 賞に輝いたお菓子のパッケージに関して は、受賞者と企業が話し合いを進め、今 秋に新商品として発売される事が決まっ ています。

今回ご紹介するのは、北海道経済産業局・特許室。

北海道は中小企業の知財戦略に対する関心が高く、

多くの企業が積極的に取り組んでいます。

地域に密着したユニークな企画を取り入れ、中小企業の知財支援を行い、

地域のつながり強化に努める活動内容をご紹介いたします。

北海道の「食」をテーマに パッケージデザイン事業を

北海道経済産業局 地域経済部産業技術課 特許室 室井誠特許室長

060-0808 北海道札幌市北区北8条西2丁目札幌第1合同庁舎

北海道経済産業局 特許室 

ホームページはCLICK!こちらを

(13)

2015年度グランプ リを受賞した(有)

ほんだ菓子司「香 西農園のおいもと 紅 玉 り ん ご の パ イ」のデザイン。

2015年度から特許室が注力する、パッ ケージデザイン事業。第一次産業が 盛んな北海道で「食」をテーマに展 開中。北海道の食品をデザインで魅 力的に伝える事に加え、デザインの 重要性や権利保護の必要性を広く周 知する。

パッケージデザイン展

2014年に作成した

「 相談対応マニュ アル」の冊子。

中小企業支援に携わる相談担当者 が、経営や技術相談に潜む知的財産 に関する相談を見出し、専門機関へ 橋渡しできるよう、特許室が制作し た「中小企業支援機関のための相談 対応マニュアル」。相談担当者を対象 とした研修会や講座のツールとして も活用している。

中小企業支援機関の ための相談対応マニュアル

りの強化」。「10カ所の支援窓口サテライ ト機関の利用促進と共に、地域ごとの特 色を生かした発信力をさらに強化してい きたいですね」と話します。また、こと しからの新しい取り組みとして、「海外 での知財リスクに関する講座」を開講。

北海道では近年、中国やベトナムなどア ジア圏を中心に海外進出を検討する企業 が増加しています。「海外では日本での 常識が通用しないケースも多く、たとえ ば展示会に出展する際の注意点、契約関 係や知財制度の知識など、トラブルに遭 わないための対策について周知できたら と思っています。もちろん、具体的な課 題を抱えている企業への個別相談会も行 います」。知財に関する対応は、時代と 共に常に変化しています。

一丸となって知財意識の向上に取り組む、北海道経済産業局特許室のメンバー。

T O P I C S

「ことしは8社の食品を対象にデザイン を募集し、年内には優秀作品を選定する 予定です。応募作品は、2017年2月〜3 月に『パッケージデザイン展』として発表 の場を設けます。昨年度は札幌市内での 展示のみでしたが、2016年度は規模を拡 大し、札幌の他、北海道新幹線が開通し た道南にある函館での展示会も予定して います」と室井室長。昨年度は全国から 約200点の応募があり、受賞作が商品化 される可能性もあるとあって、ことしも 北海道在住のデザイナーや学生から注目 を集めているようです。企業側と応募側 双方の、デザイン・意匠権への意識の高 まりが期待されます。

 室井室長が、北海道の特許室の今後の 課題として挙げるのは、「地域のつなが

 食料自給率200%を超える北海道。全 国平均に比べ、農業を中心とする第一 次産業が盛んな地域で、耕地面積は全 国の約4分の1を占めます。 耕地の約 80%は畑地として利用されており、そ のうち45%が牧草地として利用されて いるのは、北海道ならではの特徴。作 物のうち、いんげんと小豆は全国の生

産量の9割以上が北海道で作られていま す。農業産出額も全国1位で、その割合 は畜産業が50%以上。酪農業も盛んで 飼育する牛の頭数は乳用牛・肉用牛共 に全国1位、生乳の生産量は全国の約5 割を占めています。また、海面漁業漁 獲量も北海道が全国1位です。

北海道

産 業 P O I N T

出典:農林水産省平成26年統計

北海道経済産業局 特許室 

CLICK!

(14)

J P O 通 信

特 許 庁

C a l e n d a r 15

小宮特許庁長官は、インド共和国の商工省産業政策・振興局(

DIPP

)、

特許意匠商標総局(

CGPDTM

)を訪問し、

DIPP

のアビシェック次官と 会談しました。両国間の今後の特許審査協力などについて意見交換 を行いました。

1

19

日米欧中韓による商標五庁(

TM5

)中間会合が、中国・北京で開催さ れました。審判実務者研究会では、産業界、弁理士、弁護士、審判 官という立場の異なる実務関係者が一堂に会し、審決や判決につい ての研究を行っています。

2

25

平成

28

年度審判実務者研究会(座長:丹治首席審判長)第

1

回会合が 開催されました。審判実務者研究会は、産業界、弁理士、弁護士、

審判官という立場の異なる実務関係者が一堂に会し、審決や判決に ついての研究を行うものです。

3

特許庁が協力している

JICA

の「インドネシアにおけるビジネス環境改 善のための知的財産権保護・法的整合性向上プロジェクト」の一環と して、本プロジェクトの参画機関(最高裁判所、法務人権省法規総局、

同知的財産総局)の合同研修団が、特許庁を訪問しました。

4

2016

7

月から

8

月に行われた特許庁のさまざまな取り組みをご紹介します。

Pick Up 第 6 回日アセアン特許庁長官会合が

開催されました

7 July

1

2

3

4

19

 インドネシアのバリにおいて、日本国特 許庁とアセアン各国知財庁による第6回日 アセアン特許庁長官会合が開催されまし た。本会合では、特許マニュアル(審査基準)

の改訂/策定支援等を含む2016年度の日 アセアン知財協力プログラムを策定すると 共に、今後も、日本国特許庁が人材育成や 国際条約加盟等の支援を強化しつつ、各国 の新たな課題を踏まえた知財システム基盤 整備に貢献する事を確認しました。また、

各国との会談の結果、インドネシアとは特 許情報のデータ交換を、ミャンマーとは本 年度の協力事項の合意をいたしました。

(15)

2016 7 月〜 8 月の

主要なできごと

C a l e n d a r 2

プノンペンにおいて知的財産の普及啓発を目的としたセミナーが開催 されました。カンボジア工業手工芸省からは、トゥン・シニ事務次官が 冒頭挨拶されると共に、日本国特許庁からは髙橋総務部長が日本の知 的財産制度の発展と中小企業支援をテーマに講演を行いました。

3

2

8

インドネシア国の特許審査の向上を目的として、同国の特許審査官を 対象とした「インドネシア特許審査実務コース」を実施しました。この 研修では、特許庁の審査結果を活用した審査方法や特許審査ハイウェ イ(

PPH

)案件の審査・運用などの審査の効率化に役立つ講義を行う と共に、特許庁審査官による審査実務のケーススタディーを行いま した。

4

25

「産業構造審議会知的財産分科会商標制度小委員会第

20

回商標審査 基準ワーキンググループ」を開催しました。同ワーキンググループで は、第

19

回での指摘事項(品質の誤認(

4

1

16

号)の商標審査基準、

商標法制定の趣旨に反するとの理由による拒絶理由等)、他人の周知 商標(

4

1

10

号)、商品又は役務の出所の混同(

4

1

15

号)、他 人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもって使用をする商標

4

1

19

号)の商標審査基準について審議が行われました。

5

特許庁の主要なできごとや最新情報は公式Twitterでチェック! CLICK!

Pick Up シンガポールで知的財産セミナー

( IP WEEK )が開催されました

 シンガポールで、シンガポール知的財産 庁(IPOS)主催の知的財産セミナー(IPWEEK) が開催されました。「Powering the Innovation

Cycle」をテーマとしたグローバルシンポジ

ウムに小宮長官が出席。日本国特許庁の取 組紹介と、イノベーション促進のための知 的財産庁の役割について、プラシット上級 大臣(カンボジア工業手工芸省)、ガリ事務 局長(WIPO)らと、パネルディスカッション を行いました。JETROと共催の特別セッショ ンでは、「Global Initiatives of the JPO and IP Strategies of Companies」の講演およびパ ネルディスカッションを行いました。

August

8

3

4

5

22 24

1パネルディスカッションの様子 2 小宮長官による講演

1

2

(16)

十勝ワインの名産地・池田町は、ワインと牛肉が合うという理由で 1973年から両食材による町おこしを開始。熊本県から褐あかしゅを導 入し、ワイン製造過程の副産物である澱おりや粕を飼料として与えるユ ニークな方法で飼育している。一時は繁殖牛1,400頭まで増え好調 だったが、その後、牛肉の輸入自由化や黒毛和種への転換が進み苦 戦。そこで、希少品種である事や、出産から出荷まで町内で飼育・と 畜・加工処理する繁殖肥育一貫経営で、安全・安心である事を売り とした「いけだ牛」ブランドを立ち上げた。2013年地域団体商標に登 録された事で、HP閲覧者数や問い合わせが増加。最大の効果と言え るのは、品質向上や平準化を目指すことで生産者間の結束が強まっ た事だ。今後は全国の産地と連携し、褐毛和種の振興に邁進する。

商 標 登 録 :5564994 権 利 者 :十勝池田町農業協同組合

地域団体商標の登録で生産者を奮起!

ブランドの品質と魅力がアップした

北海道

以前は希少だったサンマの刺し身。だが近年の流通の加速化により、

多くの消費者に届けられるようになった。他のサンマと差別化を図 るため、厚岸漁協は大ぶりで脂のりがよく、刺し身にはもってこい の厚岸大黒島沖で捕れるサンマを「大黒さんま」として2005年にブ ランド化する。商品化にあたり、漁獲直後に紫外線殺菌された冷却 海水で瞬時に鮮度を閉じ込め、船上で箱詰めする事を義務化した。

加えて、いつ、どこで、誰が捕ったものかが明示されるトレーサビ リティ・システムを導入し、消費者に衛生的かつ安全・安心をアピー ル。2011年には地域団体商標に登録され、年々人気が上がると共に 単価も高騰。地域ブランドとして確立された。また、漁師たちの責 任感と自信が強くなるという相乗効果が生まれている。

商 標 登 録 :5407849 権 利 者 :厚岸漁業協同組合

最新技術により実現・確立させた

徹底した衛生管理と高鮮度のブランド魚

北海道

地域 ブランド 紀行

北海道

わが町を盛り上げようと、地域団体商標制度を利用して、

地域ブランドの保護・振興を行っている逸品をご紹介します。

だ い

こ く

さんま

いけだ牛

ぎ ゅ う

参照

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年度 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019.

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2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020. (前)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 地点数.

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 地点数.

年度 2010 ~ 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019.

年度 2013 2014 2015 2016