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DSM を用いた建物屋根形状の簡易判読手法

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Academic year: 2021

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DSM を用いた建物屋根形状の簡易判読手法

天野貴文・吉川 眞

Simple Interpretation Method of Roof Shape from DSM Takafumi AMANO and Shin YOSHIKAWA

Abstract: A city, which exists in the real space, modeled as the 3D-CG is called the Digital

City. In the construction of the Digital City, a building becomes an important landscape ele- ment. In other words, improving reproducibility of a building shape leads to quality im- provement of landscape simulation. In this study, the authors developed a simple interpreta- tion method of roof shape from the DSM data, which can be derived airborne laser scanner data and so on. First, roof shapes were interpreted by using gradient and azimuth calculated from the DSM data in Osaka City. Next, 3D building models with the roof shape were gener- ated from the results on GIS.

Keywords: DSM(digital surface model),ディジタルシティ(digital city),屋根形状判読

(interpretation of roof shape),景観シミュレーション(landscape simulation)

1.はじめに

現実空間に存在する都市が3次元CGとしてモデ ル化されたものをディジタルシティと呼ぶ(吉川,

2007).ディジタルシティは現実空間の3次元基盤

地図として利用することを目的に構築されるもので あり,都市計画や都市デザインの分野では主に景観 シミュレーションなどに利用されている.このディ ジタルシティの構築において,建物は重要な景観要 素となる.すなわち,建物形状の再現性が景観シミ ュレーションの完成度を左右するといっても過言で はない.しかしながら,対象場に存在する建物モデ

ルのすべてを詳細に再現する必要はなく,その景観 的重要度に応じてモデリングのレベル(詳細度)を 分けることで,より効率的な景観シミュレーション が可能になる.

これまで景観シミュレーションでは,景観的重要 度の低い建物モデルは建物外形線をそのまま上空に 押し出した多角柱モデルで再現されてきた.しかし ながら,たとえば伝統的建造物群保存地区などにお いて,景観的重要度が低いことやモデル構築の手間 を理由に多角柱モデルで再現すると,同地区内に近 代的ビルディングが混在するような錯覚を与えるこ とになり,景観シミュレーションの蓋然性が疑われ ることになる.そこで,地理空間データから屋根形 状を判読し,3 次元建物モデルを生成することで景 観シミュレーションの再現性が向上できると考えた.

天野:〒535-8585 大阪市旭区大宮5-16-1

大阪工業大学大学院 工学研究科 都市デザイン工学専攻

TEL:06-6954-4109 FAX:06-6957-2131 e-mail:[email protected]

吉川:大阪工業大学

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地理空間データから屋根形状を判読する方法とし て , 航 空 写 真 の ス テ レ オ 処 理 か ら 得 た DSM

(Digital Surface Model)データを用いて直接屋根形 状を生成する方法(Haala and Brenner,1998など)

や,航空レーザ測量データの 1 つである LIDAR

(Light Detection and Ranging)データを用いて,屋 根形状別に設定されたパラメータ群の適合度から屋 根形状を判断する方法(大佛・小林,2008)などが 試みられている.

本研究では,景観シミュレーションの効率性と再 現性の向上のため,今後主流となるであろう正規化 された DSM データから屋根形状を判読するための 簡易な手法を開発し,判読結果から建物の 3 次元 CGモデルの自動生成を試みている.

2.研究の方法

2.1.研究対象地と使用データ

本研究の研究対象地には大阪市旭区の一部を設定 し,同地域の DSM データおよび屋根形状判読の適 中率判定用DSMデータを構築した.

使用したデータは,大阪市の DM データ(平成

11~12 年調製,財団法人大阪市都市工学情報セン

ター発行)および大阪市のLIDARデータ(平成13 年5月撮影,解像度3〜4m,株式会社パスコ発行)

である.屋根形状の判読に利用した DSM データは,

この LIDAR データからTINを経由して1m解像度 のグリッドデータに変換したものを用いている.

分析に用いたGISパッケージは SIS MapModeller 6.2 であり,GISLink によるカスタマイズプログラ ムを開発して屋根形状の判読,並びに建物モデルの 生成をおこなった.

2.2.屋根形状判読フロー

屋根形状の判読は 1)寄棟屋根,2)方形屋根,

3)切妻屋根,4)陸屋根,の順で4種類に分ける.

屋根形状別の判読手法を以下に記す.また,屋根形 状判定フローを図1に示す.

(1)寄棟屋根

屋根形状の判定では,まず寄棟モデルを仮設定し,

5寸勾配の仮想屋根面を設置する.各屋根面に含ま

図1 屋根形状判読フロー

図2 特殊な屋根形状の一部(宮野ほか,2003)

れる方位角グリッドを取得し,それぞれ軒側に対し 直角方向に傾斜するグリッドが 50%(しきい値)

を超える場合は寄棟屋根で確定する.傾斜屋根には 図2に示すような特殊な屋根形状が多く,全体的な 傾向を把握できていないこと,および簡単のためし

きい値を50%と設定した.

(2)方形屋根

寄棟屋根に該当する建物のうち,外形線が正方形 のものは方形屋根とした.

(3)切妻屋根

寄棟・方形屋根に該当しない建物は切妻屋根に仮 設定する.長辺または短辺方向に棟線を配置し,外 形線と棟線から2枚の仮想屋根面を生成し,各屋根

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面に含まれる方位角グリッドを取得,それぞれ軒側 に対し直角方向に傾斜するグリッドが 50%(しき い値)を超える場合は切妻屋根で確定する.

(4)陸屋根

ここまでで傾斜屋根に分類されなかった建物につ いては,最後に陸屋根の判定を実施する.最後に判 定を実施する理由は,超緩勾配(1 寸未満)の傾斜 屋根を判読するためである.

判読対象建物の外形線内に含まれる傾斜度のグリ ッド値のうち,50%以上が1寸勾配(5.7 度)未満 の場合は陸屋根と判定する.1寸勾配は陸屋根に付 けられる排水勾配や付属物の影響を除去するために 設定している.また,尺勾配(45 度)を超える傾 斜度のグリッド(本研究では 50 度と設定)も計算 からは除外している.

2.2.3次元建物モデルの生成

屋根形状を判読した結果(屋根形状種別,建物高 さの最高値・最頻値,傾斜角の最頻値・平均値)を 用いて,GIS上で 3次元建物モデルを生成する.壁 面は屋根面生成の際,屋根面を構成する各辺に壁の 有無を表すフラグを設け,フラグがある辺について は,辺から地上に向け垂直に面を生成する.

屋根形状が判定できなかった建物については,陸 屋根として建物モデルを生成する.

3.屋根形状の判読とモデリング 3.1.テストデータへの適用

(1)DSMデータの構築

大阪市の DM データから任意の 1km 四方を切り 出し,建物外形線のうち建物属性が普通建物か堅ろ う建物のいずれかで,かつ矩形である建物を屋根形 状の判読対象建物とした.図3は抽出した結果で,

建物数は 1,170 件であった.この建物群に対し,陸

屋根,切妻屋根,寄棟屋根を乱数で 1/3 ずつ設定し,

切妻屋根のみ桁行方向を長辺側と短辺側でさらに半 数ずつ設定した.設定した屋根形状をもとに,最高

高さ20m,屋根勾配を5寸勾配として3次元屋根モ

デルを生成した後,DSM データに変換した.同デ ータに対し建物屋根形状の簡易判読方法を適用した.

図3 試行対象地域(1km四方)のDMデータ

(判読対象建物に着色)

(2)屋根形状の判読結果

テストデータに対する屋根形状の判読結果を分割 表で表現した結果を表1に示す.適中率は84.6%と なった.建物モデルは多角柱モデルを基本として,

屋根形状がわかるものはそれを付与するという考え 方に基づくと,再現率は91.8%であった.なお,対 象建物のうち,158 件は判読不能となった.これら の建物は面積が 50m2以下であるものがほとんどで

(96.8%),計算対象グリッドが存在しないためで あり,評価からは除外している.逆に面積100m2以 上の建物はすべて正しく判読できている.

判読結果を見ると,その他と判読された建物につ いても,その面積が小さい場合がほとんどであり,

表1 テストデータの判読結果 簡易判読結果 陸

屋 根

切 妻 長 辺

切 妻 短 辺

寄 棟 方

形 そ の 他

合 計

陸屋根 358 0 0 0 0 3 361 切妻長辺 3 149 0 0 0 12 164 切妻短辺 0 0 165 0 0 5 170 寄棟 1 72 0 164 0 52 289 方形 0 0 0 0 20 8 28

ス ト デ

タ その他 0 0 0 0 0 0 0

合計 362 221 165 164 20 80 1,012

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86.3%が 50m2以下であった.隣接建物との間隔が 小さい場合や長辺と短辺の長さの差が大きい寄棟屋 根の場合に適中率が下がった.また,正方形に近い 矩形であるほど適中率は上がる傾向が見られた.

3.2.大阪市での適用

(1)DSMデータの構築

次に,実際の都市での適用として大阪市の DSM データを用いて屋根形状の判読をおこなった.判読 対象建物はテストデータと同一とした.結果検証の ため,事前に現地踏査と航空写真により実際の屋根 形状を確認した.現地踏査の結果,建物外形線の場 所に建物が存在しないなど DM データと現実とが 一致しない建物,および面積が 50m2以下の建物を 除外した結果,対象建物数は688件となった.現地 踏査によるその他とは,マンサードなどの屋根形状 のほか,総描による複数建物の存在などが該当する。

(2)屋根形状の判読結果

屋根形状を判読した結果を表2に示す.適中率は 27.8%と非常に低い結果となった.テストデータで は建物部分の高さを 1m 解像度で取得しているが,

本データは取得時の解像度が 3~4m であり,これ を 1m グリッドに補間して用いている点が精度の低 い理由であると思われる.なお,再現率は95.3%で あった.

(3)3次元建物モデルの生成

屋根形状判読時に取得した建物高さの最高値およ び最頻値,屋根勾配の最頻値と平均値,屋根種別の 情報を基に,3 次元建物モデルを自動生成した結果 を図4に示す.

表2 大阪市DSMデータの判読結果 簡易判読結果 陸

屋 根

切 妻 長 辺

切 妻 短 辺

寄 棟 方

形 そ の 他

合 計

陸屋根 99 2 5 0 0 151 257 切妻長辺 6 33 3 0 0 148 190 切妻短辺 4 4 10 0 0 120 138 寄棟 2 3 0 4 0 41 50 方形 0 1 0 0 0 5 6

地 踏 査 結

果 その他 1 1 0 0 0 45 47 合計 112 44 18 4 0 510 688

図4 屋根形状付き3次元建物モデルの自動生成結果

4.おわりに

本研究では,DSM データから簡易に屋根形状を 把握する手法を開発すると共に,ディジタルシティ 構築のために屋根形状を含めた3次元建物モデルを 生成するシステムを開発した.

テストデータと実際の DSM データに簡易判読手 法を適用した結果,1m 解像度の DSM データであ れば,高い精度で屋根形状を判読できることを示し た.しかしながら,解像度がそれよりも粗い(本研

究では3~4m)データから作成した1mグリッドで

は判読精度は低く,実用的ではないこともわかった.

今後,より高解像度の LIDAR データや DSM デ ータを有する地域への適用を試み,簡易判読手法の 適用可能性について検証するとともに,適中率の向 上と景観シミュレーションの効率化を目指したい.

参考文献

大佛俊泰・小林史明(2008)航空機レーザ計測データを 用いた建物屋根形状の判別,「2008 年日本建築学会 学術講演梗概集 F-1 都市計画 建築経済・住宅問 題」,899-900.

宮野秋彦・永谷洋司・日本屋根経済新聞社(2003)『新 版 屋根の知識』,日本屋根経済新聞社.

吉川眞(2007)ディジタルシティとVR,「都市計画」,

56(6),47-50.

Haala, N. and Brenner, C. (1998) Interpretation of Ur- ban Surface Models Using 2D Building Informa- tion, Computer Vision and Image Understandings, 72(2), 204-214.

参照

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