第4回 行列の階数
連立方程式
2x
1+ x
2+ 4x
3=
4143x
1+
32x
2+
345x
3=
41122
3
x
2+ 5x
3=
354 に対して, 次のような行列を作り
2 1 4
4143
32 345 41120
235
354
行の基本変形を繰り返して
1
122
4180 1
152 10580 0 1
−143596
というように
1 ∗ ∗ ∗ ∗ ∗ 0 1 ∗ ∗ ∗ ∗ 0 0 0 1 ∗ ∗ 0 0 0 0 0 0
のような形に変形できる. この変形をガウスの消去法という. このときの
1
を含む行の数を行列の階数という.n
個の変数を持つ連立一次方程式
a
11x
1+ a
12x
2+ · · · + a
1nx
n= b
1a
21x
1+ a
22x
2+ · · · + a
2nx
n= b
2· · ·
a
m1x
1+ a
m2x
2+ · · · + a
mnx
n= b
m に対してA =
a
11a
12· · · a
1na
21a
22· · · a
2n... ... ...
a
m1a
m2· · · a
mn
, A ˜ =
a
11a
12· · · a
1nb
1a
21a
22· · · a
2nb
2... ... ... ...
a
m1a
m2· · · a
mnb
m
行列
A
を係数行列, 行列A ˜
を拡大係数行列という.定理
(1) k = rank A = rank ˜ A
のとき,連立一次方程式は解を持ち, (n− k)
個の任意定数を含む.
(2) rank A 6= rank ˜ A
のとき,連立一次方程式は解を持たない.練習次の連立方程式をガウスの消去法によって解を調べよ。
3y + 3z − 2w = −4 x + y + 2z + 3w = 2 x + 2y + 3z + 2w = 1 x + 3y + 4z + 2w = −1
,
x + 2y + 3z = 4 2x + y + 3z = 0
−2x + 3y + z = 1
x − y = −2
3x − y + z = −2 2x − y + 2z = −1
y − z = 1
,
x + 2y − 2z + s + 3t = 2 2x + y + 2z + t = 3
−2x − 3y + 2z − s + 2t = 1
• gausselim
コマンド行の基本変形によるガウスの消去法を行う命令です。
• backsub
コマンドガウスの消去法から解を求める命令
(逆代入法)
です。• pivot
コマンド行列のある成分を指定して、他の行のその列を消去します。
多項式を成分にもつ正方行列を考える。基本変形として行のスカラー 倍、行の入れ替え、ある行の多項式倍を他の行に加える、という3つの 操作を考える
(列についても同様)。
定理多項式を成分にもつ正方行列は、行の基本変形と列の基本変形によっ て、次の形に一意的に変形できる
(標準形).
e
1(x) 0 · · · · · · · 0
0 . .. ...
... e
k(x) ...
... 0 ...
... . .. ...
0 · · · · · · · · · · 0
ただし 、
e
i(x)
は最高次の係数が1
の多項式でe
i(x)
はe
i+1(x)
を割り切る.例 行列
x − 1 0 0
0 x − 2 0
0 0 x − 3
については
e
1(x) = e
2(x) = 1, e
3(x) = (x − 1)(x − 2)(x − 3)
となる.• mulcol, addcol, swapcol
コマンドmulrow, addrow, swaprow
に対応する列(column)
に対する命令• transpose
コマンド 転置行列を求める• simplify
コマンド整式などを簡単化する命令。?simplifyを参照のこと。
• factor
コマンド整式を因数分解する命令
• expand
コマンド 整式を展開する命令練習次の各行列に対して、標準形を求めよ.