アンケート調査による「土木」のイメージ向上方法の検討
芝浦工業大学 学生会員 ○中川 大樹 芝浦工業大学 正会員 伊代田 岳史
1.背景・目的
土木に関わるマスメディアの報道では,構造物の事 故の報道が多い.そのため,一般市民は「土木」に 対してマイナスイメージを持つ人が多いと考えられ る.マイナスイメージは,公共事業の予算や技術者 の確保に影響すると考える.しかし,人間が生活す る上で社会基盤整備は欠かすことができない.そこ で,一般市民においても土木に対する理解を得るこ とが必要だと考える.
そこで,高校生,大学院生,一般の方それぞれに おいて「土木」に対してどのようなイメージを持っ ているかの調査および分析する.これにより土木に 対するイメージを向上させる方法の検討を目的とし た.
2. アンケート調査の概要 2.1 実施アンケートの内容
実施したアンケートの設問と選択キーワードの一 覧を図-1 に示す.設問に対して選択キーワードを選 んでもらい,複数回答を可とした.
2.2 対象者
対象者ごとの回答数を表-1 に示す.対象者の詳細を 以下に示す.①土木工学の説明することを目的とし た出張授業において参加した高校生を「高校生」 ,② 芝浦工業大学大学院建設工学専攻に所属し,土木工 学の理解を深めるための講義に参加した大学院生を
「大学院生」とした.ただし,参加した学生のうち 土木系の大学院生の回答を除いた.③芝浦工業大学 が実施した公開講座で現場見学に参加された方を
「一般の方」とした. 「高校生」は出張授業, 「一般 の方」は公開講座に参加を希望しているため,基本 的に「土木」に関心があるとみなす.
3.調査結果
アンケート結果を図-2, 図-3, 図-4 に示す.
3.1 「高校生」の分析
図-2 に高校生の設問の回答結果を示す. 「土木」か
「土木」および「土木構造物」と聞いて
思いつくキーワードを選択してください(複数選択可)
選択キーワードの一覧
スケールが大きい,構造設計,談合,ダイナミック
3K(きつい
/汚い
/危険),くさい、うるさい,まちづくり 環境を壊す,維持管理,金の無駄遣い,環境を活かす 未来を創る,事故 ,ドカタ, 耐震,安全,防災,騒音 イメージがわかない
その他
...設問
図-1 アンケートの設問とキーワード 表-1 アンケートの回答数
対象者 回答数
高校生 29
大学院生(建築系) 48
一般の方 53
合計 130
0 5 10 15 20
スケ ー ルが 大 き い
構 造 設 計
未 来 を 創 る
安 全耐
震防 災ま
ち づく り
維 持 管 理
ダ イナ ミッ ク
環 境 を 活 かす
談 合騒
音そ の 他
環 境 を 壊 す
3K
(き つい/ 汚 い/ 危 険
) く さ い、 う る さ い
ドカ タ
金 の無 駄 遣 い
事 故イ
メー ジ が わ かな い
回答割合(%)
★
:「マイナスイメージ」
図-2 高校生の選択キーワードの割合 ら思いつくキーワードとして最も回答割合の多かっ たものは, 「スケールが大きい」 .続いて, 「構造設 計」「未来をつくる」となっている.また, 「談合」や
「騒音」 「3K」といった土木に対してマイナスイメー ジの割合は他のキーワードと比較して選択割合が少 ないことが確認できる.
年齢を考慮すると談合や事故の報道を見聞きして いる機会が少ないと考えられる.また,対象者が土 木に関心がある学生であるため,マイナスイメージ のキーワードの選択割合が低いと考える.
キーワード アンケート,土木,イメージ
連絡先 〒135-8548 東京都江東区豊洲 3-7-5 芝浦工業大学 TEL :03-5859-8356 Email :[email protected]
Ⅵ-15 第44回土木学会関東支部技術研究発表会
3.2 「大学院生(建築系)」の分析
図-3 に大学院生の設問の回答結果を示す. 「土木」
から思いつくキーワードとして最も回答割合の多か ったのは「スケールが大きい」だった.続いて,回 答割合が多かったのは, 「安全」「構造設計」「耐震」
「防災」などの土木の役割のキーワードであり,そ れらと並んで「3K」という回答が入っている.
これらの結果より,建設業として土木に関係のあ る建築系であっても「3K」が上位に入っていること を考えると,土木に対して悪いイメージを持ってい ると考えられる.
3.3 「一般の方」の分析
図-4 に一般の方の回答結果を示す. 「土木」から思 いつくキーワードとして回答割合の多い順に「まち づくり」 「スケールが大きい」「構造設計」となって いる.続いて, 「ドカタ」 「3K」というキーワード上 位に入っている.また, 「高校生」や「大学院生」の 回答結果と比較して,回答キーワードの割合が分散 している.
この結果より, 「一般の方」は「土木」に対し様々 なイメージを持っていると考えられる.
4. まとめ
三者が思うキーワードの上位 5 位までを集計し,
まとめると図-5 となる.以上から,高校生,大学院 生は「安全」 「防災」といったキーワードを持つため 土木の役割を認識していると考えられる.一方で,
一般の方は「ドカタ」 「3K」といったキーワードを持 つため,土木に対して悪いイメージも有している.
「マイナスイメージ」のキーワードに着目すると, 施工現場から想像されるキーワードが多い. そこで,
一般市民の参加できる現場見学会を開催することに より,実際の施工現場を知ることができる.現在,
施工現場では現場を清潔に保つことや環境への配慮,
騒音・振動対策などを行っているため, 「3K」 , 「騒音」
といったマイナスイメージを低減できると考える.
また,対象者がイメージするキーワードの回答割合 が異なるため,参加者に合わせたキーワードを観点 に土木の説明をすることで,より効果的に「土木」
のイメージの向上を図ることができると考えた.
参考文献
(1) 福島昌悟,伊代田岳史:「アンケート調査による土 木の魅力的要素の抽出とイメージ向上策の提案 」,
0 5 10 15 20
スケ ー ルが 大 き い
安 全
構 造 設 計
耐 震
防 災
3K
(き つい/ 汚 い/ 危 険
) ま ち づ く り
ダ イ ナミ ック
維 持 管 理
ド カ タ
騒 音
環 境 を 壊 す
未 来 を 創 る
事 故
そ の他
金 の 無 駄 遣 い
く さ い、 う る さ い
環 境 を 活 か す
談 合
イ メー ジ が わ か な い
回答割合(%)
図-3 大学院生の選択キーワードの割合
0 5 10 15 20
ま ち づ く り
スケ ー ルが 大 き い
構 造 設 計
ド カタ
耐 震
3K
(き つい/ 汚 い/ 危 険
) 防 災未
来 を 創 る
安 全維
持 管 理
ダ イ ナミ ック
談 合事
故環 境 を 活 かす
騒 音環
境 を 壊 す
そ の他
く さ い、 う る さ い
金 の 無 駄 遣 い
イ メー ジ が わ か な い
回答割合(%)
図-4 一般の方の選択キーワードの割合
高校生
大学院生
(建築系)一般の方 スケールが
大きい 構造設計
ドカタ 安全
未来をつくる
まちづくり
(
3K)
( )は
6番目
耐震 防災
(防災)
図-5 三者のキーワードの関係
第 40 回土木学会関東支部技術研究発表会 Ⅵ-20 2013
(2) 伊代田岳史:『土木』のイメージ改善のための教育 効果の検証,土木学会第 71 回年次学術講演 会,CS1-016,2016
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