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小児科診療の中での発達支援

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Academic year: 2021

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第72巻 第2号,2013(207~209) 207

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ふだんのかかわりから始める発達支援~多職種が連携した子育て支援の輪の中で~

小児科診療の中での発達支援

秋山千枝子(あきやま子どもクリニック)

 小児科診療所での発達支援の目的は,子どもたちが 心身共に健やかに育ち,適切な養育環境で育まれてい ることを確認していくことと考える。そのためには,

診療所のあらゆる場面で親子をみつめ,必要な支援を 早期に行うことで子どものつまずきを最小限にし,さ らに,保護者がその子の最もよき理解者になれるよう 寄り添わなければならない。診療所のすべてのスタッ

フには,あらゆる場面で機能するアンテナとセンスが 求められる。

1.診療所で気になる場面

〈待合室で〉

待合室で,周囲を気にすることなく一人でブロック を並べ続け中断されるとパニックを起こす子,保護者 を気にせず院内を散策する子が気になったことはない だろうか。

<診察室で>

 3歳を過ぎた子が診察室に泣きながら入って来た り,4歳を過ぎても一人で椅子に座れず保護者の膝の 上でしか診察できない子,診察室内の物について「な んで○○があるの?」,「これ,なあに?」と次々に質 問をしてくる子,机の上の聴診器などを勝手に触り始 める子,「○○しないでください。」と大人びた口調で 話しかけてくる子,逆に,まったく話をしない子がい ることに気がついたことはないだろうか。一方,保護 者の中には,毎回同じ質問や悩みを繰り返す保護者が いる。保護者に問題のある例もあるが,保護者をそこ まで悩ませる問題がその子にあるのかもしれない。

〈処置室で〉

 「何するの?」と保護者にしがみついて離れない子,

暴れて保護者やスタッフを蹴り飛ばす子,逃げ回る子 を見て年齢に不相応だと感じたことはないだろうか。

〈乳幼児健診で〉

 暴れて身長・体重が計りにくい子,人見知りや場面 見知りがひどい子,精神運動発達がマイルストーンか ら外れている子,その他に,子育て相談では離乳食を 食べない,夜寝ないなど「育てにくさ」を訴えられた ことはないだろうか。健診で示される精神運動発達の アンバランスや保護者が感じる「育てにくさ」は,発 達障害のサインかもしれない。

 以上のような場面に遭遇したとき,私たちはどのよ うに対応をしたら良いであろうか。かける言葉やその タイミングはおそらく子どもごとに異なり,共通した 方法を確立することは難しいかもしれない。しかし,

各スタッフが自分なりのスケール(アンテナ)と技術 をいくつか持ち,スタッフ問で相互に補完し合い,最 適な場面で活用するセンスを持つことができれば発 達障害の早期発見・早期支援児童虐待の予防となる と思う。ふだんの子育て支援と発達障害児への支援の 境界線はなくなってきているように感じる。

]1.対応の方法

〈関係者と保護者の気づき〉

 支援をするには,保護者と関係者の気づきの一致が 必要で,子どもたちの気になる様子を保護者が気づい ているかどうか確認する必要がある。私どもは保護者 あきやま子どもクリニック 〒181-0012東京都三鷹市上連雀4-3-3川ロビル1F

TeliO422-70-5777 FaxiO422-47-3510

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208 小児保健研究

表 気づきの種類

灘灘翻雛 ・灘轟.麟購

「気づき」あり 「気づき」なし  琴籔き

@お り

保護者も気づいてお 閨C周囲も気づいてい 骼qどもの状態

保護者は気づいていな

「が,周囲は気づい トいる子どもの状態

、暑 保護者は気づいている 保護者も周囲も気づ が,周囲は気づいて いていない子どもの状

いない子どもの状態

、し

の気づきを表のように区分した。往々にして関係者が 困るのは,「関係者は気づいているが,保護者は気づ いていない」状態で,気づきをまず一致させる対応を しなければならない。ただし,図1にあるように,保 護者,特に母親は早い時期から子どもの様子から何ら かの気づきを持っていることがわかっており,表現す る言葉の違い,場面の違いから関係者とまだ一致して いないだけという可能性もある。十分丁寧に気づきを 深めていく必要がある。

<関係者の役割>

1)自分なりのスケールをもつこと

 毎回同じ場面を設定していれば子どもの個人差や,

時間的な変化(成長)をみることができ,年齢に応じ

た特徴を自分なりにスケールにし,子どもの気になる 行動を判断することができるようになる。ただし,そ のスケールは,医師・看護・受付・心理などの職種や,

新人・中堅・管理者等の経験:量によって異なるためス タッフ間での確認作業が必要である。そのためにも次 の情報交換が大切になる。

2)集団内での情報交換

 子どもの気になる様子を担当者が一人で抱え込むの ではなく,他の職員や専門家と情報提供や話し合いを し,職員全員・組織全体で確認し理解する環境を整え る。定例的なケース会議がなければスタッフミーティ ングを活用する。組織で一致した認識を持ち,保護者 への対応を行う。

3)保護者への支援

①保護者と事実の共有

 子どもの気になる点を保護者に指摘し「障害かもし れない」と認識してもらおうと考えてはみたものの,

その伝え方に難しさを感じてはいないだろうか。まず は,困っている事実を共有することが大切である。診 療所であれば「いつも診察台の物をさわり落ち着かな い」,保育園であれば「お友だちを叩く」などである。

子どもの状態を十分共有することが大切である。

②対応策を考える

 困っていること,心配なことへの具体策を決める。

診療所であれば「診察の始めに,手はお膝 と必ず声

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[コ母親 圃父親  目祖父母・家庭  ■医師 []健診

[コ保健センター  園市の心理相談 :瞭園の先生  団学校の先生

図1 気づいた人・機関(複数回答)

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第72巻 第2号,2013

をかけてみる」,保育園であれば「席は保育士の傍に 座らせる」などである。そして家庭での具体策も一緒 に考え,いつまで続けるか,いつまでにできなければ 再度話し合いをする,などの見通しも決めておく。そ の際には,保護者の労を十分ねぎらっておきたい。関 係者と保護者が共に取り組み,うまくいかなければ再 度一緒に考えるという作業を根気よく続け,他の職種 や他の機関を紹介するタイミングを検討する。

4)関係機関との連携

 連携には,保護者に関係機関を紹介したり,あるい は社会資源(子育て広場や児童館等,育児ヘルパー等)

の情報を提供したり,保健センターや子ども家庭支援 センターなどに第三者としての調整を依頼したり,保 護者の同意を得て関係機関と連絡を取り合うなどの方 法がある。連携を上手に行うコツは,文書を活用する ことである。それは関係機関を紹介する際に保護者か ら同意文書をもらい権利擁護を図るとともに,紹介状 に組織としてのこれまでの対応や考え方を記載するこ とで支援の経歴に関する情報を途絶えさせないといっ た利点がある。書類のやり取りを契機に担当者と顔見 知りになっておく。対応策が思い浮かばないような時 は一機関で抱え込まないことが肝要である。

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皿.子育て環境のシステム作り

 関係者にとって気になる子どもは保護者にとっては 育てにくい子どもかもしれず,また子ども自身が困っ ているかもしれない。その事実に早期に気づき早期に 支援をすることが求められている。関係者一人の気づ

きが組織の気づきとなり,地域の気づきになっていく 子育て環境が望まれる。そのためには心身障害児総合 医療療育センター米山 明氏が示される図2の子育て 支援型に含まれる関係機関がそれぞれに支援の力をつ け,連携し合うことが大切と考える。

子育て支援型

      ↓保…相談

療育型

紹介↓

團團

十タイア,プ

     図2

(米山 明先生ご講演を改編)

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参照

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