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2019( 令和元 ) 年度学芸員等在外派遣研修実施報告書 国立西洋美術館 邊牟木尚美 2019( 令和元 ) 年度学芸員等在外派遣研修の実施結果について 下記のとおり報告しま す 1 研修テーマ大英博物館を中心としたイギリスの博物館 美術館におけるコレクションの先進的な保存修復マネージメント およ

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2019(令和元)年度 学芸員等在外派遣研修実施報告書

国立西洋美術館 邊 牟 木 尚 美

2019(令和元)年度学芸員等在外派遣研修の実施結果について、下記のとおり報告しま す。

1 研修テーマ

大英博物館を中心としたイギリスの博物館・美術館におけるコレクションの先 進的な保存修復マネージメント、および、欧州における金属文化財の復元と保 存修復についての調査研究

1.先進的な博物館経営の在り方

4.先進的なコレクション・マネージメントおよび資料管理の在り方

6.目録記述、電子化目録の標準化、データベース、ドキュメンテーション等、

博物館情報資源のウェブ活用方策

2 研 修 期 間 2019(令和元)年 6 月 23 日~2019(令和元)年 9 月 22 日

3 研 修 概 要

(1)研修先の名称

(ア)イギリス 大英博物館

① コレクション・ケア部門 保存修復アドミニストレーション室

② コレクション・ケア部門 陶磁器・ガラス・金属保存修復室

③ コレクション・ケア部門 石材・壁画・モザイク保存修復室および複製 制作室

④ コレクション・ケア部門 予防保存室

⑤ コレクション・ケア部門 コレクション・マネージメント室

(イ)イギリス ブリストル市立博物館・美術館、および、M shed(=旧ブリスト ル市立産業博物館)学芸部門、および、保存修復・予防保存部門

(ウ)イギリス サリー州 ジャクソン彫刻保存修復有限会社

(エ)イギリス オックスフォード アッシュモーリアン博物館 保存修復部門

(オ)イギリス サリー州 ハンプトン・コート・パレス(ヒストリック・ロイヤ

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ル・パレス・グループの一つ)保存科学部門、および、保存修復処置部門

(カ)「ICOM-CC Metal2019(国際博物館会議 保存修復部門 金属保存修復ワー キング・グループ)トリエンナーレ・ミーティング」(於:スイス ヌーシャテル ホイテ・エコール保存修復大学)

(2)研修の内容

今 回 の 研 修 の 受 入 先 は 、英 国 の ロ ン ド ン に あ る 大 英 博 物 館 の コ レ ク シ ョ ン・

ケ ア 部 門 で あ る 。保 存 修 復 室 の 含 ま れ る コ レ ク シ ョ ン・ケ ア 部 門 で は 、こ れ ま で に 実 践 的 保 存 修 復 作 業 を 行 う 学 生 イ ン タ ー ン 等 以 外 、 筆 者 の よ う な 保 存 修 復 ( 特 に マ ネ ー ジ メ ン ト ) に 関 連 す る 理 論 的 調 査 研 究 を 行 う 研 究 者 を 受 け 入 れ た 前 例 が な か っ た 。

本 研 修 は 、 コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア 部 門 に 客 員 研 究 員 と し て 滞 在 し 、 上 記 3 つ の テ ー マ に 沿 っ た 運 営 関 連 お よ び 保 存 修 復 関 連 の 内 部 資 料 の 自 己 調 査 研 究 を 基 礎 と す る 。内 部 コ ン ピ ュ ー タ ー・シ ス テ ム か ら の 過 去 資 料 の 入 手・整 理・理 解 に 努 め た 後 、 保 存 修 復 の 様 々 な 活 動 に か か わ る 各 部 門 の メ ン バ ー へ の イ ン タ ビ ュ ー 実 施 、作 業 現 場 や 施 設 見 学 、コ レ ク シ ョ ン 展 示 見 学 な ど を 通 し て 、大 英 博 物 館 の 各 担 当 者 か ら 各 自 の 役 割 や 業 務 、 さ ら に 各 部 門 の 業 務 体 制 や 運 営 に つ い て 話 を 伺 う こ と で 、 大 英 博 物 館 の 保 存 修 復 マ ネ ー ジ メ ン ト に つ い て 全 体 像 お よ び 詳 細 を 把 握 す る こ と に 努 め た 。

ま た 、 大 英 博 物 館 は 先 進 的 な 運 営 を 行 っ て い る 機 関 で は あ る も の の 、 あ ま り に も 巨 大 な 組 織 で あ る た め 、 筆 者 の 勤 務 す る 国 立 西 洋 美 術 館 と 大 幅 に 異 な る 点 が 多 い 。よ っ て 、大 英 博 物 館 だ け に 留 ま る こ と な く 、英 国 内 の 大 英 博 物 館 以 外 の 博 物 館・美 術 館 お よ び 組 織 の 保 存 修 復 部 門 の 訪 問 調 査 も 同 時 に 行 っ た 。 対 象 の 組 織 の 選 択 に は 、何 等 か の 点( 組 織 の 規 模 、職 員 数 、コ レ ク シ ョ ン 数 や タ イ プ 、資 金 源 、立 地 - 首 都 圏・地 方 都 市 、方 針 等 )で 国 立 西 洋 美 術 館 と 似 通 っ て い る 組 織 を 優 先 し た 。 訪 問 調 査 は 基 本 的 に 半 日 間 な い し 1 日 間 で 、 保 存 修 復 室 長 に 運 営 や 組 織 に つ い て の イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た り 、 保 存 修 復 や 保 存 科 学 メ ン バ ー に 施 設 案 内 を し て も ら っ た り 、 業 務 に つ い て 説 明 し て も ら っ た り し て 、各 組 織 の 保 存 修 復 部 門 の 全 体 像 を 把 握 し 、ケ ー ス・ス タ デ ィ と し て 情 報 を 収 集 し た 。

さ ら に 、金 属 文 化 財 の 保 存 修 復・調 査 研 究 に つ い て 、世 界 的 な 動 向 の 把 握 お よ び ネ ッ ト ワ ー ク の 構 築 、 さ ら に 日 本 の 金 属 文 化 財 の 保 存 修 復 実 態 に つ い て 情 報 共 有 を 行 う た め 、「 ICOM-CC Metal2019(国際博物館会議 保存修復部門 金属

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保存修復ワーキング・グループ)トリエンナーレ・ミーティング」に参加し、筆者が日 本で携わった金属文化財の保存修復プロジェクトの口頭発表を共同研究者と共に行っ た。

( 3 ) 研修の成果

本研修の成果は、上記の研修内容に則し、1.機関概要、2.保存修復の役割・業務、施 設・設備、機関毎に報告する。

(ア)大英博物館

<概要>

大 英 博 物 館 は 1753 年 に ハ ン ズ ・ ス ロ ー ン 卿 が 蒐 集 し た 71,000 点 に の ぼ る コ レ ク シ ョ ン を 基 礎 と し て 設 立 さ れ た 世 界 初 の 一 般 大 衆 向 け の 国 立 博 物 館 で あ る 。イ ギ リ ス の 国 立 博 物 館 の 中 で も 中 心 的 な 存 在 で あ り 、さ ら に 、世 界 的 に も 大 変 有 名 な 博 物 館 で あ る 。 現 在 で は 多 岐 に わ た る 世 界 の 文 化 と 歴 史 を 網 羅 的 に 蒐 集 し た 約 800 万 点 の コ レ ク シ ョ ン を 保 有 し 、 昨 年 度 は 6,000 万 人 の 来 館 者 を 記 録 し て い る ( 約 3 分 の 2 が 海 外 か ら の 来 館 者 ) 。 開 館 当 初 か ら 入 館 料 は 無 料 で あ り 、 現 在 で も 特 別 展 を 除 い て 来 館 者 か ら 入 館 料 を 徴 収 し て い な い( 任 意 の 寄 付 は 募 っ て い る )。常 設 展 示 に は 約 15 万 点 の コ レ ク シ ョ ン が 展 示 さ れ て い る と 言 わ れ て お り 、 驚 く こ と に 休 館 日 は 1 月 1 日 、 Good Friday

( 聖 金 曜 日 、 イ ー ス タ ー 前 の 金 曜 日 ) お よ び ク リ ス マ ス 前 後 3 日 間 の 年 間 5 日 間 の み で あ る 。昨 年 度 は 英 国 内 105 か 所 に 約 2,800 点 を 、英 国 外 79 か 所 に 2,400 点 も の コ レ ク シ ョ ン を 貸 し 出 し て い る 。監 視 員・警 備 員 を 除 い て も 、職 員 が 約 800 人 も 在 籍 し て い る と 言 わ れ て い る 。

大 英 博 物 館 の 保 存 修 復 お よ び そ の マ ネ ー ジ メ ン ト に ま つ わ る 近 年 の 変 化 は 、 主 に 3 つ 挙 げ ら れ る 。1.コ レ ク シ ョ ン・ケ ア 部 門 の 新 建 物 の 建 設 に 伴 う 人 と モ ノ の 一 極 集 中 化 、2.大 規 模 な 組 織 改 編 、3.情 報 管 理 シ ス テ ム の リ ニ ュ ー ア ル 、 で あ る 。

< 1.コ レ ク シ ョ ン・ケ ア 部 門 の 新 建 物 の 建 設 に 伴 う 人 と モ ノ の 一 極 集 中 化 > 新 建 物 は「 世 界 保 存 修 復 展 示 セ ン タ ー( 以 下 WCEC、World Conservation and Exhibitions Centre の 略 ) 」 と 名 付 け ら れ 、 大 英 博 物 館 の 敷 地 内 北 西 部 に 位 置 し た 地 下 を 含 む 9 階 建 て の L 字 型 を し た 建 物 で あ る 。 2009 年 に 施 工 案 が 可 決 さ れ 、 考 古 発 掘 調 査 を 含 め 6 年 間 の 歳 月 を か け 建 設 さ れ 、 4 年 前 の 2015 年 か ら 本 格 的 に 使 用 さ れ 始 め た 。現 在 WCEC が 建 っ て い る 土 地 は 、以 前 、書 籍 装 丁 の 建 物 が あ っ た 場 所 と 聞 い て い る 。 大 英 博 物 館 が 収 蔵 し て い た 書 籍 を 1998

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年 に 大 英 図 書 館 に 移 管 す る ま で 機 能 し て い た 場 所 で あ っ た ( 大 英 図 書 館 と の 関 連 に つ い て は 、 今 回 の 研 修 の 対 象 外 で あ る の で 未 調 査 ) 。

WCEC 建 築 前 WCEC 建 築 後

大 英 博 物 館 ウ ェ ブ サ イ ト よ り

https://www.britishmuseum.org/about_us/the_museums_story/new_centre.aspx

WCEC 外 観

こ の ビ ル 建 設 以 前 は 、 保 存 修 復 部 門 は 博 物 館 の 敷 地 に 隣 接 す る 別 棟 、 お よ び 、 博 物 館 か ら 離 れ た 他 の 場 所 に 設 け ら れ た 保 存 修 復 部 門 兼 収 蔵 庫 で 各 素 材 の セ ク シ ョ ン( 金 属・陶 磁 器・ガ ラ ス 修 復 、有 機 素 材 修 復 、石 材・壁 画・モ ザ イ ク 修 復 、東 洋 美 術 修 復 、保 存 科 学 、予 防 保 存 、ド キ ュ メ ン テ ー シ ョ ン 、ア ド ミ ニ ス ト レ ー シ ョ ン 等 )が 別 々 の 場 所 で 活 動 し て い た 。現 在 で は 、東 洋 絵 画 美 術 修 復 を 除 く コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア 全 て の セ ク シ ョ ン が こ の 敷 地 内 に 新 築 さ れ た WCEC ビ ル 一 棟 に 入 居 し て い る( 東 洋 絵 画 美 術 修 復 は 、「 平 山 ス タ ジ オ 」と 呼 ば れ る 敷 地 内 別 棟 で の 活 動 を 継 続 し て い る ) 。

人 の 活 動 を 一 極 集 中 す る だ け で な く 、 モ ノ の 集 中 化 も 現 在 進 行 中 で あ る 。 郊 外 に あ る 収 蔵 庫 か ら WCEC 建 物 内 に 新 た に 設 け ら れ た 収 蔵 庫 へ コ レ ク シ ョ ン の 移 送 プ ロ ジ ェ ク ト は 継 続 的 に 進 め ら れ て お り 、 こ の 移 送 の 機 会 に 保 存 修 復 家 ら が 協 力 し 、 コ レ ク シ ョ ン の 状 態 を 評 価 し た り 、 簡 易 ク リ ー ニ ン グ を 行 っ た り も し て い る 。 ま た 、 移 送 チ ー ム は コ レ ク シ ョ ン の 保 管 状 況 の 刷 新 も 行 っ て お り 、 特 に 有 機 素 材 コ レ ク シ ョ ン は 保 管 箱 や 保 管 に 使 用 す る 梱 包 資 材 を 新 調 す る と 共 に 、 収 蔵 品 の 劣 化 を 最 小 限 に 抑 え つ つ 、 モ ノ と 情 報 管 理 を し 易

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い よ う 様 々 な 工 夫 を 凝 ら し て い る 。

< 2. 大 規 模 な 組 織 改 編 >

大 英 博 物 館 で は 2019 年 3 月 に 大 規 模 な 組 織 改 編 が 行 わ れ た 。 コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア 部 門 の 役 割 は 2 つ に 大 別 で き る 。 一 つ は 「 コ レ ク シ ョ ン ・ ア ド ミ ニ ス ト レ ー シ ョ ン( コ レ ク シ ョ ン 管 理 運 営 )」と 呼 ば れ 、コ レ ク シ ョ ン の 進 行 や 手 順 に 関 わ る も の で あ り 、収 集・ド キ ュ メ ン テ ー シ ョ ン・写 真 撮 影 、損 傷・紛 失・売 却 、貸 出 や 借 入 に 携 わ っ て い る 。一 方 、「 コ レ ク シ ョ ン・ケ ア( コ レ ク シ ョ ン 保 護 管 理 )」は 、物 理 的・技 術 的 視 点 に 立 っ た コ レ ク シ ョ ン 運 営 を し て お り 、収 蔵 庫・展 示 室・保 存 修 復 、額 に 入 っ た 作 品・染 織 品・重 量 物 の 扱 い 、 事 故 や 緊 急 事 態 へ の 対 応 が 含 ま れ る 。

コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア 部 門 の 傘 下 に は 、 2019 年 9 月 現 在 、 7 名 の 各 室 長 が 在 籍 し て い る 。西 洋 絵 画 修 復 、東 洋 絵 画 修 復 、石 材・壁 画・モ ザ イ ク 修 復 、有 機 素 材 修 復 、無 機 素 材 修 復( 空 席 )、予 防 保 存 、コ レ ク シ ョ ン・マ ネ ー ジ メ ン ト 、 写 真 撮 影 、 保 存 修 復 全 般 ( 空 席 ) で あ る 。

組 織 改 編 前 は 、Department of Conservation and Scientific Research( 保 存 修 復・科 学 調 査 部 門 )と し て 、保 存 科 学 調 査 室 が 保 存 修 復 室 と 同 じ 部 署 内 に 属 し て い た が 、 今 回 の 組 織 改 編 に よ り 、 保 存 科 学 調 査 室 と 保 存 修 復 室 は 分 か れ て 、 異 な る 部 署 と な っ た 。

さ ら に 、 コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア 部 門 の 事 務 全 般 を 担 う Administration of Collection Care and Science( コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア お よ び 科 学 部 門 管 理 運 営 室 ) の 改 編 も 同 時 に 行 わ れ た 。

< 3. 情 報 管 理 シ ス テ ム の リ ニ ュ ー ア ル >

大 英 博 物 館 の コ レ ク シ ョ ン に か か わ る 情 報( 目 録 )、オ ブ ジ ェ ク ト の 写 真 お よ び 関 連 画 像 、 過 去 の 保 存 修 復 処 置 報 告 な ど の 検 索 や 編 集 を 行 う に は 、 大 英 博 物 館 が 独 自 に 開 発 し た 3 つ の ソ フ ト を 使 用 す る こ と が で き る 。 そ の ソ フ ト ウ ェ ア と は 、1.内 部 向 け コ レ ク シ ョ ン 情 報 カ タ ロ グ で あ る「 MI+( エ ム ア イ プ ラ ス 、 Museum Index Plus の 略 ) 」 、 2. 同 じ く 内 部 向 け コ レ ク シ ョ ン お よ び 関 連 情 報 の 保 管・検 索・閲 覧 を 行 う た め の「 ODIN( オ ー デ ィ ン 、Digital Asset Management System) 」 、 3. 上 記 2 つ の ソ フ ト か ら 一 般 的 情 報 を 抜 粋 し た 一 般 公 開 さ れ て い る「 COL( ク ー ル 、Collection Online の 略 )」の 3 つ で あ る 。 COL で は 作 業 が 進 み 、コ レ ク シ ョ ン 800 万 点 中 、約 半 数 の 400 万 点 の 情 報 を 一 般 の 人 々 が 博 物 館 外 部 か ら も 検 索 ・ 閲 覧 す る こ と が 可 能 に な っ て い る 。 https://www.britishmuseum.org/research/collection_online/search.aspx

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こ れ ら の ソ フ ト は 一 般 に 流 通 し て お ら ず 、 こ こ 数 年 、 IT チ ー ム が 更 新 プ ロ ジ ェ ク ト を 推 進 し て い る 。特 に 、「 MI+」は 2 年 前 に 導 入 さ れ た ば か り で 、以 前 使 用 し て い た 同 じ く 独 自 ソ フ ト「 Merlin( マ ー リ ン )」の 後 継 ソ フ ト で あ る 。

「 Merlin」は 、筆 者 が 2005 年 に 大 英 博 物 館 金 属 保 存 修 復 室 で イ ン タ ー ン を し て い た 際 に 使 用 し て い た ソ フ ト で あ り 、 大 変 機 能 的 に 作 ら れ て い た が 、 各 自 が 情 報 を 新 規 作 成 ・ 編 集 す る 作 業 は 工 程 が 多 く 、 大 変 複 雑 で あ っ た 。

以 前 は 、「 ODIN」の よ う な 総 合 的 な 画 像 管 理 シ ス テ ム は な か っ た が 、こ れ ら 3 つ の ソ フ ト を 導 入 し て い る 理 由 は 、 組 織 内 で 情 報 を 集 中 さ せ る こ と に よ り 、 重 複 を 防 ぎ 、デ ー タ 量 を 管 理 す る た め で あ る 。重 複 を 防 ぐ 作 業 は 、コ ン ピ ュ ー タ が 自 動 で 行 っ て い る と の こ と で あ る 。

近 年 の デ ジ タ ル 機 器 と そ の 情 報 の 拡 大 化 の ス ピ ー ド は 著 し く 、 し か し そ の 一 方 、 そ れ ら の 情 報 管 理 の ス ピ ー ド が 追 い 付 い て い な い の は ど の 組 織 も 同 様 で あ る 。 国 立 西 洋 美 術 館 の 学 芸 課 や 保 存 修 復 室 だ け で も 、 多 く の 情 報 の 重 複 が 散 見 で き 、 特 に 解 像 度 の 高 い 作 品 写 真 を 多 く 保 管 す る 必 要 の あ る 保 存 修 復 室 で は こ の 問 題 は 特 に 深 刻 で あ り 、 組 織 全 体 の コ ン ピ ュ ー タ ー ・ シ ス テ ム に 脅 威 を 与 え て い る と 思 わ れ る 。 大 英 博 物 館 の 情 報 の 一 極 集 中 に よ る 重 複 防 止 と い う 考 え 方 は と て も 参 考 に な り 、 我 が 館 で の コ レ ク シ ョ ン 情 報 管 理 に も 役 立 つ 点 が 多 い 。

こ れ ら の 独 自 ソ フ ト を 使 う に は 、 IT チ ー ム が 行 う ト レ ー ニ ン グ に 参 加 し た 後 、使 用 権 限 が 与 え ら れ る 。業 務 に よ り 内 容 に よ り 、編 集 が で き る レ ベ ル や 閲 覧 の み 可 能 な レ ベ ル に 分 か れ て お り 、 筆 者 は 過 去 の 保 存 修 復 報 告 や 関 連 画 像 を 検 索 す る 必 要 が あ っ た た め 、 MI+お よ び ODIN 両 方 の 閲 覧 の み 可 能 な レ ベ ル の ト レ ー ニ ン グ を 受 講 し た 。

運 用 後 に も IT チ ー ム が 徐 々 に 改 良 を 加 え て お り 、使 用 者 の 意 見 を 取 り 入 れ つ つ 、改 良 版 へ の 移 行 期 間 を 設 け つ つ 、使 用 し や す い 形 に 改 良 を 続 け て い る 。

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< 見 学 ・ イ ン タ ビ ュ ー を 行 っ た 各 室 >

コレクション・ケア部門および科学部門 管理運営室

コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア お よ び 科 学 部 門 管 理 運 営 室 長 で あ る Ms. Corinne Stritter か ら 詳 し い 話 を 聞 い た 。Stritter 氏 は 今 年 3 月 の 組 織 再 編 時 に 新 た に 現 ポ ジ シ ョ ン に 採 用 さ れ て い る 。 コ レ ク シ ョ ン ・ ケ ア お よ び 科 学 部 門 管 理 運 営 室 は 、コ レ ク シ ョ ン・ケ ア 部 門 に は 属 し て お ら ず 、「 Collection Projects

& Resources Administration( コ レ ク シ ョ ン 事 業 お よ び 資 源 管 理 運 営 ) 」 と い う 部 門 に 属 し て お り 、そ こ か ら WCEC に 派 遣 さ れ て コ レ ク シ ョ ン・ケ ア 部 門 と 科 学 調 査 部 門 の 近 く で 仕 事 を し て い る 。 以 前 は 、 そ れ ぞ れ の 部 門 に そ れ ぞ れ の 管 理 運 営 部 門 が あ っ た が 、 部 署 に よ り 管 理 運 営 サ ー ビ ス の 質 や 量 や 方 法 に 差 が あ っ た 。そ れ を 集 約 化・平 均 化・効 率 化 す る こ と を 目 的 と し て 組 織 編 成 が 行 わ れ た 。

仕 事 と し て 、予 算 執 行 管 理 、オ フ ィ ス お よ び 保 存 修 復 物 品 施 設 管 理 、出 張 予 約 、安 全 衛 生・火 災 安 全 管 理 、 イ ベ ン ト の サ ポ ー ト 、部 署 内 会 議 ア レ ン ジ や 連 絡 等 で あ る 。 基 本 的 に は 各 職 員 が 主 体 的 に 行 う こ と を 、 必 要 な ら ば サ ポ ー ト す る と い う 形 を と っ て い る 。 Stritter 氏 の 下 に は 5 名 の 職 員 が い る 。 昔 よ り ア ド ミ 職 員 数 が 減 ら さ れ た が 、 仕 事 は 増 え て い る と い う こ と で あ る 。

筆 者 は 国 立 西 洋 美 術 館 で は 保 存 修 復 室 長 と し て 、 殆 ど 毎 日 の 時 間 を 管 理 運 営 や 調 整 な ど の 仕 事 に 費 や し て い る 現 状 に あ る 。 各 室 に ア ド ミ 専 門 の 人 材 が 一 人 ず つ で も つ い て い れ ば 、 専 門 を 活 か し た 取 り 組 み に 費 や す 時 間 が で き 、 保 存 修 復 も 進 み 、 展 示 ・ 活 用 で き る 作 品 数 が 格 段 に 増 え る で あ ろ う と 考 え さ せ ら れ た 。

コレクション・ケア部門 陶磁器・ガラス・金属保存修復室

本研修のスーパーバイザーである Rachel Berridge 氏(主任保存修復家、伝世金属製 品担当)に、陶磁器・ガラス・金属の保存修復室(以下 CGM、 Ceramics/Glass/Metals の頭文字をとった略)の仕事の進め方についてインタビューを行った。

この CGM にはメンバーが 8 人在籍しており、3 人が陶磁器・ガラス保存修復専門、5 人が金属保存修復専門(うち 2 名が伝世品専門、3 人が考古遺物専門である。CGM で一 つの保存修復室を共同で使用している。

大英博物館の保存修復作業の目的としては、大まかに分けて「展示」「貸出」「保存」

の 3 点である。保存修復の仕事は形式上、年間計画を立てて進めている。以前のライン・

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マネジャーは優先順位等を周囲と相談して、保存修復メンバーのうち、誰が、いつ、ど のくらいの期間で、何の修復を行うのか事細かに時間で計画を立てていた。しかし、緊 急の飛び込み仕事や思ったよりも時間がかかる修復作業などもあるため、年度の終わり 頃になるといつも仕事が沢山溜まってしまう状況であった。現在は、CGM の室長は空欄 であり、石材・壁画・モザイク保存修復室長の Nicholas Lee 氏がライン・マネジャー として CGM も統括している。もっと時間に余裕を持たせた計画を立て、急ぎの案件にも 対応できるように年度計画を作成している。

保存修復の内容については、お金を生み出す目的の作品貸出や展示などの修復や一般 の来館者向け特別サービス(例:開館前の博物館友の会メンバーへの保存修復室ツアー など)が優先される傾向にある。

貸出候補作品が貸出できる状態にあるのか、展示に出せる状態であるのかどうかを評 価することも保存修復家の役割の一つである。年間 2,800 点も作品を館外に貸し出して いる大英博物館では、貸出可否判断はかなり時間を費やす作業であろう。貸出希望作品 リストにある作品は、なるべく実物を見て可否判断しているが、見ないで判断する場合 もあるという。また、状態がよくない場合、作品の保存修復作業が必要にもかかわらず 貸出期限がギリギリで修復作業が間に合わない場合、貸出期間が長すぎる場合等、貸出 不可の判断も下すこともあるそうだ。

以前は、作品貸出や展示のためだけでなく、定期的に(3 年に一度)インターンを含 めた保存修復チームと予防保存チームが共同で収蔵庫内の作品状態の悉皆調査を行っ ていた。現在 CGM からは 2 人の保存修復家が外部収蔵庫から WCEC 新収蔵庫への作品移 送事業に関わっているが、全員での悉皆調査を行うことはなくなったため、現在の多く の収蔵作品について作品状態は把握できていないということである。

展示や貸出の可否判断や、保存修復の必要性がある作品を収蔵庫や展示から保存修復 室へ移動させるのは、全て後述のコレクション・マネージメントチームの仕事である。

作品移動は単純作業であるものの、多くの労力と時間を使う大変な作業の一つである。

日本の殆どの博物館・美術館には、館内の職員として作品移動を行うだけの役割を担っ ている専門家は皆無である。そのため、日本では(少なくとも筆者の勤務する国立西洋 美術館では)多くの場合は保存修復室メンバーで作品移動を行い、少し手が必要な場合 は学芸員の手伝いを請い、我々では取り扱えない大型作品などについては輸送会社の美 術梱包専門家に依頼を行っている。さほど大きくない規模の国立西洋美術館でも、絵画 作品を収蔵庫から保存修復室へ運ぶだけで、1 時間はかかってしまう。保存修復家とし て作品の保存修復作業に集中できる環境が整っていることは、仕事の効率化につながり、

大変重要なことであると感じた。

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どの材質の保存修復室にも、手書きで書き込める台帳があり、作品の保存修復室への 出入りを管理する記録手帳である。コレクション・マネージメントチームが持参した作 品と所蔵品番号、日付、移動者名・受取人名を明記するようになっている。保存修復作 業が終われば、またコレクション・マネージメントチームが引き取りに来て、台帳に出 庫記録を残すのである。勿論、作品情報検索システムの ODIN には現在地を記入する箇 所があるため、コレクション・マネージメントチームが場所を変更する形である。

また、スタッフはどのような作業をおおよそ何時間行ったかという月間報告書を作成 し、ライン・マネジャーの Lee 氏に提出している。Lee 氏の部下の数が多いため、個々 の作業状況を確認するためでもあるが、保存修復家自信の記録にもなり、進捗状況の記 録や今後の見積もり時間算出時に参考になるであろう。

CGM 保 存 修 復 室 ( 3 方 向 か ら 自 然 光 が 入 り 作 業 し や す い )

コレクション・ケア部門 石材・壁画・モザイク保存修復室および複製制作室 8 月 28 日(水)午前中に、大英博物館内ウェブ制作室およびディベロップメント・チ ームへの石材・壁画・モザイク保存修復室ツアーに参加させていただいた。外部および 内部向けにウェブページを更新する必要があるため、館内の他部署の人にも説明会を開 催することもある。

WCEC の地上階に位置しており、重量物や大型作品を取りまわすのに必要な広いスペ ースと十分な高さが確保されている。大型や重量作品が多いため、男性が多いと思った が、5 名全員女性である。室長の Nicholas Lee 氏だけが男性であるが、室長は調整業 務に忙しく、残念ながら殆ど保存修復作業をする時間が取れないのが現状である。女性

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だけで重量物をどのように移動させたり、ひっくり返したりするのかと聞いてみたとこ ろ、「力は使わず、頭を使う」との回答が返ってきた。てこの原理を利用したり、写真 右側にある昇降式の台車を複数台使用したりすれば、何百キロという重量物でも簡単に 移動が可能ということであった。少しの工夫で、時間や人件費の節約をしており、見習 いたい点が多かった。

本部署では、作品自体を傷つけずに表面のクリーニング行うために、レーザーを用い ることもある。その使用方法は時間の関係で見逃してしまったが、またの機会に見学し に行く予定である。レーザークリーニングに関しては、大英博物館の以前の保存科学・

保存修復部門が作成した「ワールド・ヒストリー・ラボ」というブログが参考になる。

https://worldhistorylab.britishmuseum.org/laser-cleaning-of-a-wall- painting-from-byzantine-egypt/

大英博物館内ウェブ制作室メンバーのためのツアー

(石材・壁画・モザイク保存修復室ツアー)

重量物を移動させるのに使用する 昇降する台車

複製制作室 複製制作専門家の Michal Neilson 氏に、複製制作の目的や使用材料と 使用技術、これまでの行った複製で展示に出ている作品を展示室に一緒に回って解説し ていただいた。

複製制作室は、WCEC 地上階の石材・壁画・モザイク保存修復室の一角に位置してお り、主に 3 次元の無機物の作品の複製を作成している。彼が大英博で仕事を開始した 30 年近く前には 2 人体制であったが、現在在籍しているのは Neilson 氏 1 人である。時に 保存修復の大学生や大学院生のインターンを取るときもあるそうだが、大英博の若手職 員に技術を伝えられずに定年を迎えてしまう可能性があることが、一番の心配ごとであ ると話してくれた。

大英博では、コレクションの複製を作成することが多々あるため、専門家が配置され

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ている。複製作成の目的は、大まかにわけて 4 つあり、1.代替品としての展示、2.作 品保護のための複製品貸出、3.発見地に残す代替品、4.教育用、である。1 つ目の目 的の「代替品としての展示」は、特に主要作品を館外に貸出する際に、代わりに展示す るものである。大英博には世界中から目的の作品を見に来る来館者もおり、お目当ての 展示品がなかったり、貸出中というメモだけが残されただけだったりしたら、気を落と すであろうとの配慮によるものである。近年は展示品である旨は明記されて展示してい る。2 番目の作品保護のための複製品貸出は、大変脆弱な作品や重量物に貸出リクエス トがあった際、作品保護のためにお断りをするのではなく、相手先との合意の上で複製 品を貸し出す場合もある。3 番目は、イギリスでは国家的に貴重と思われる重大な発見 がなされた作品・作品群(例えば Sutton Hoo 遺跡。イングランドの北西部で発見され た 7 世紀アングロサクソン時代の船葬墓。)は、大英博を含めた国立博物館に所蔵する 規則がある。発見地の博物館に何も残らなくなる事態を招かぬよう、複製品を作成して 現地博物館での展示を可能にしている。4 番目の教育用だが、通常は作品保護の観点か ら作品に触れることは固く禁じられている。しかし、触れることにより得られる情報も 多いことから、必要とされるものは教育用の複製品を作成して展示し、積極的に触れる 体験を奨励している。

現在の複製作成方法と使用材料は、主に石膏型とシリコン型を組み合わせた樹脂鋳造 や、シリコン型を利用した電機鋳造である。双方とも、オリジナルの詳細までを完全に コピーできる方法で、手間は大変かかるものの、いまだに金属製品の詳細が重要な作品 については複製を現役で行っている。電気鋳造法は、1800 年代初期に発見された電気 鍍金(めっき)の方法を応用し、厚さをとても厚くしたものである。大英博では、1850 年代から電気鋳造法による複製品の作成を始めている。現在では樹脂を使用した複製も 多いが、最終的な色合わせの補採は Neilson 氏の手で色付けされている。

電気鋳造による作品の複製制作(途中) ヘルメットの複製を作成した時の型

現代のモノの複製方法といえば、3D プリンターが有名である。大英博では3D プリ ンターを使用した複製作成は行っていない。3D プリンターで作成した複製品も精巧に

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できているように見えるが、どんなに細かく3D 情報を作品から取得しようが、デジタ ル画像は細かい四角の画素の羅列のため、3D プリンターで作成した作品表面は全くオ リジナルと異なりザラザラした感触になる傾向にあるからである。勿論、表面をサンド ペーパーで磨いて滑らかにすることも可能であるが、発生する粉末は人体に有害な物質 であることがわかっているため、健康安全基準に特に厳しい大英博では3D プリンター を使用しないそうである。

展示室でしてくださった解説では、エジプトの夫婦像の欠損した手部分のエピソード を話してくださった。大英博の学芸員がエジプトの作品を研究中に、手のかけらがどう も大英博の像の手に似ているので現地へ一緒に行って型を取って複製を作成してほし いと頼まれたため、一緒にエジプトに行き、かたどりをしたそうである。学芸員の予想 は見事に当たり破断面がぴったり合ったという。現在はその複製の手は、オリジナルの 像に取り付けられ、展示室内に展示されている。

また、Neilson 氏は、自分でモノをよく観察して自分の手で複製品を作ることによっ て、人類が過去に持っていた素晴らしい制作技術や歴史をモノから学ぶことができると いう。職人によって制作された手作りの技術を尊敬すべきであり、このような技術は是 非次世代に残していきたいと考えていると話してくださった。

展示室で展示品を見ながら複製の説明をする Neilson 氏(右)。来観客も興味を持って聞いている。

展示されているウルのキャスケットの複製

(右側の小さいパネルに「オリジナルは研究のために移 動。これは複製」と明記されている)

展示室内に設置されたハンズ・オン展示

(教育目的の複製)

ハンズ・オン展示デスクで作品の説明をする担当者と 説明を聞く親子(別日に撮影、参考)

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展示ケースに内のエジプトの夫婦像 手の部分のみエジプトで型を取ってきて作成した複製

コレクション・ケア部門 予防保存室

8 月 29 日(木)午前中に、予防保存スタッフの一人である Fabiana Portoni 氏に施 設案内、および、業務説明をしていただいた。彼女は 2018 年 2 月から現在まで、博物 展示室・収蔵庫内の温湿度環境の管理を担当している。2015 年からは 2018 年までは、

遠隔地にある収蔵庫から WCEC 内新収蔵庫へのコレクション移動プロジェクトの一員と して仕事をしていたため、新収蔵庫での収蔵方法の工夫などもお話いただいた。

予防保存室は WCEC6 階の一角にオフィスを持っているが、実践的な作業準備やモニタ リングは建物内のラボで行っている。例えば、展示に使われる材質の酸性物質の使用の 有無を調べるオディー・テストを行ったり、脱酸素剤や湿度調整剤を保管したり、温湿 度のデータをモニタリングしたりできるようになっている。

一般的に、温湿度の急激な変化は、作品の劣化要因の一つである。特に乱高下するよ うな急激な変化の反復による作品への悪影響は多大であり、温湿度が高くても低くても ある程度一定に保たれているようであれば、急激な変化の反復よりは、作品に与える影 響は少ない。そのため、作品に使用されている材質毎に最適な温湿度をいかに一定に保 ち、作品の劣化を予防するかというのが、予防保存室の温湿度管理者の使命である。

大英博物館の空調事情は、残念ながら、決して良いとは言えない。博物館の建物は大 変古い建物であるため、全面的に空調が導入されているわけではない。温湿度の大幅な 変化により劣化が促進される材質を多く展示している展示室など、必要な箇所から優先 的に空調の導入を順次行っている。本研修は丁度夏季だったため、空調がない展示室の 温度がいかに自然に高くなるか身を持って体験した。空調がないだけでなく、一番上の 2 階(日本で言う 3 階)は天井が一部ガラス張りになっており、多くの展示室は換気を する窓さえない。来館者も大変多く、人からの放射熱も室温を上げる要因となっている。

そのような状況で博物館が展示室内でできる対処療法は、大型扇風機を回して室内の空

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気の対流を作り少しでも来館者が涼しく感じられるようにすること、また、暑すぎる展 示室を立ち入り禁止にして来館者からの放射熱を遮断すること、の2つである。勿論、

恒久的にできる対策も既に施しており、天井の窓に作品に対して紫外線・遮熱カットの シートを張ることで紫外線を遮って太陽の熱での気温上昇を防ぎ、作品を大型・重量作 品以外の殆どの作品は展示ケースに入れていて急激な温度変化による作品の劣化を極 力防ぐ努力はしている。

空調のない展示室において、温度の調整は不可能であるが、相対湿度を調整すること はできるため、4 種の対策を取っている。1 つ目は展示ケースの中に温湿度調整の機械 を入れて調整している。2 つ目はプロソーブ(Prosorb)という湿度調整されたペレット が入ったカセットを展示ケースの中の見えにくいところへ入れておく方法である。日本 の美術館・博物館でよく使用されているアートソーブ(Artsorb)とほぼ同じ機能の製 品だという。英国ではプロソーブの方が手に入りやすく、空間に対する使用個数の計算 が簡単であることが重宝がられている要因である(1 立方メートルにつき 1 カセット挿 入すればよい)。大きなサイズのカセットと半分の大きさのカセットもある。希望相対 湿度により 40%RH~60%RH まで 5%刻みで商品が作られており、展示ケースに希望早 退湿度のカセットを規定量セットすると数時間とたたないうちに、希望相対湿度が得ら れて安定するという。

温湿度環境モニタリングは、展示室の展示ケース内と収蔵庫の各所に設置した 700 個 ものポータブル・データロガーで 5 分毎に遠隔測定して得られたデータが 15 分毎に Wi- Fi と予防保存ラボのレシーバーを通じ、専用ソフトに記録される仕組みである。近年、

温湿度測定のシステムが刷新された。以前はデータロガー番号と温湿度データしか見ら れなかったが、新システムでは温湿度データは勿論のこと、設置場所(部屋番号)とそ の設置場所に空調があるかないかが表示されるようになっている。通常、測定機器は正 しい数値を測定するために、定期的に機器の校正(カリブレーション)を行わなくては ならない。大英博でも 1 年に 1 度、2~3 月の気候が安定している時期に半分ずつを 1 週 間ずつ、合計 2 週間かけて校正を行っている。

その他に温湿度環境モニタリングの媒体として、建物管理専門家が管理しているビル ディング・センサーがある。展示室や収蔵庫の壁に取り付けられている温湿度計測器の ことで、建物管理のエンジニアが管理している。予防保存室が管理するポータブル・デ ータロガーとこのビルディング・センサーの計測値に齟齬がないかを確認している。

これらの測定の結果、夏季には空調のない展示室では 1 日に 20%も相対湿度に変化 があるにもかかわらず、展示ケース内の湿度の動きは殆どなく安定している。展示ケー スの気密性が極めて高いことを意味しており、この展示ケースで作品を展示している限 り、湿度の大幅な変化と反復による作品の劣化を防ぐことが可能である。しかしながら、

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調整できるのは湿度だけであり温度は調整できないため、室温程の大幅な変化はないも のの、緩やかな温度変化は避けられない状況である。作品の劣化を少しでも遅らせるた めに、全展示室と全収蔵庫内に安定した空調が導入されることを願ってやまない。

温湿度管理について説明してくださった Fabiana Portoni 氏

展示室の壁に設置されたポータブル・データロガー

(上)とビルディング・センサー(下)

コレクション・ケア部門 コレクション・マネージメント室

このコレクション・マネージメント室に関しては、個人へのインタビューや施設・業 務見学を行っていない。業務範囲が、今回の研修テーマからは多少外れるためである。

そ の た め 、 大 英 博 物 館 職 員 向 け に 毎 週 木 曜 日 の 朝 に 行 わ れ る 自 由 参 加 の Staff Breakfast Talk(職員による職員のための早朝講義)で、コレクション・マネージメン ト室が業務紹介を行った際の内容を参考にした。

コレクション・マネージメント室の主な業務は、Care & Access と Loans & Display に集約される。メンバーは学術的知識や実践的な技術も身に着けている。

アクセスという意味では、収蔵・展示・保存修復・科学調査・研究のための作品閲覧 等のために、館内または外部収蔵庫からコレクションを移動させたり、展示を行なった りする役割を担っている。コレクション・マネージメント室のスタッフは、以前はミュ ージアム・スタッフと呼ばれ、各学芸部門に所属していた。このミュージアム・スタッ フというシステムが国立西洋美術館にもあれば、かなりの時間を保存修復や関連作業に 費やせる素晴らしいシステムである。筆者は保存修復、写真撮影、科学調査など作品に 何らかの処置を施す度に、保存修復家である我々が収蔵庫から必要な場所への作品移動 をしており、かなりの時間と体力を費やしている。

外部の学術研究者のために、作品閲覧のためのスタディ・ルームの活動を担っている のも彼らである。学術研究者が閲覧をリクエストしてきた作品をスタディ・ルームへ運 び、閲覧の助けをするのも彼らである。

ドキュメンテーションについても、コレクション・マネージメント室の役割である。

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所謂レジストラーと呼ばれる作品情報を登録・管理する役割も担っている。内部コレク ション情報検索ソフト MI+に、学生(アルバイト)に 120,000 点分の記録を集中的に入 力してもらい、作品情報へのアクセス(検索)が可能になった。

ローン(貸出・借入)業務も担っている。貸出前の状態調査(保存修復家によるもの であるが、その手伝い)、状態調査記録写真撮影、展示の際のマウント作成や額入れ、

輸送のためのクレート作成や梱包、クーリエ業務、貸出先での展示作業(重量物の移送、

展示を含む)など、殆ど全てを自前でこなしている。貸出先での作業は、言語や文化の 違いから思うように進まないこともあり、大変な業務である。

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(イ)ブリストル市立博物館・美術館、および、M shed(=旧ブリストル市立産業博物 館)学芸部門、および、保存修復・予防保存部門

8 月 14 日( 水 )本 格 調 査 の 事 前 調 査 。Bristol City Museum and Art Gallery

( = ブ リ ス ト ル 市 立 博 物 館 美 術 館 )。運 営 管 理 に つ い て 概 要 の イ ン タ ビ ュ ー 。 ギ ャ ラ リ ー ト ー ク 聴 講 。 保 存 修 復 部 門 へ 紹 介 し て い た だ く 。

ブ リ ス ト ル 市 は 、 近 年 ロ ン ド ン に 次 ぎ 人 口 の 急 激 な 増 加 率 が 一 番 高 い 都 市 と 言 わ れ て い る 。 落 書 き を ア ー ト に し た バ ン ク シ ー の 出 身 地 と し て 有 名 で あ る 。

今 回 の 訪 問 は 、ブ リ ス ト ル 市 立 博 物 館 美 術 館 の 視 覚 芸 術 部 門 上 席 学 芸 員 Ms.

Kate Newnham に 受 け 入 れ て い た だ い た 。筆 者 の レ ス タ ー 大 学 大 学 院 で 博 物 館 学 専 攻 時 代 の 実 践 研 修 先 で あ り 、 保 存 修 復 大 学 院 卒 業 後 の 夏 休 み に 保 存 修 復 部 門 で 3 か 月 間 ボ ラ ン テ ィ ア と し て シ ル バ ー ギ ャ ラ リ ー ( 銀 器 展 示 室 ) の 改 装 時 作 品 洗 浄 を 行 っ た 博 物 館 で も あ る 。 こ れ ま で は 、 学 芸 員 、 保 存 修 復 家 と し て だ け で し か ブ リ ス ト ル 市 立 博 物 館 を 見 て こ な か っ た が 、 保 存 修 復 マ ネ ー ジ メ ン ト や 管 理 運 営 の 視 点 か ら 調 査 を 行 う に は 、 規 模 的 に 国 立 西 洋 美 術 館 と 類 似 し て い る た め 、 参 考 に な る と 鑑 み 、 こ の 館 を 選 択 し た 。 今 回 は 事 前 調 査 と し て 大 枠 を 調 査 す る こ と 、 お よ び 、 コ ネ ク シ ョ ン を 作 り 、 次 回 の 保 存 修 復 室 本 格 調 査 や コ レ ク シ ョ ン の 保 存 に お け る 問 題 や 解 決 策 を 調 査 す る 機 会 に 備 え た 。

このブ リ ス ト ル 市 は 下 記 5 つ の 博 物 館 ・ 美 術 館 ・ 文 書 館 ( 正 確 に は 7 つ の 建 物 ) を 持 っ て い る ( 1 Bristol City Museum and Art Gallery, 2 M shed, 3 The Georgian House Museum, 4 The Red Lodge Museum and Blaise Castle Museum, 5 Bristol Archives and Kings Weston Roman Villa) 。 職 員 は 各 館 に 所 属 し て い る も の の 、 他 館 で の 展 示 作 成 に か か わ る な ど 、 お 互 い の 館 で 協 力 し あ っ て 職 員 の 専 門 性 を 活 か し な が ら 、 人 材 不 足 を 補 う 形 で 共 同 運 営 を 行 っ て い る 。

Jon Finch 氏 ( Head of Culture and Creative Services) と し て 5 組 織 を ま と め る 館 長 と し て の ポ ジ シ ョ ン に 就 い て お り 、 そ の 下 に 3 名 の Deputy Heads( 副 館 長 ) が 存 在 す る 。 Head of Collections and Archives の Ray Burnett 氏 が 所 謂 学 芸 課 の ト ッ プ に お り 、Curatorial( 学 芸 、16 名 )、Archives

( 記 録 保 管 、 17 名 ) 、 Conservation and Documentation( 保 存 修 復 お よ び ド キ ュ メ ン テ ー シ ョ ン 、 9 名 の う ち 保 存 修 復 家 は 4 名 ) を 従 え る 形 に な っ て い る 。

そ の 他 、 Phil Walker 氏 が Head of Engagement と し て 、 教 育 普 及 、 展 示 、 イ ベ ン ト 等 を 担 当 し て い る 。ま た 、Zak Menson 氏 が コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 、フ ロ ン ト ・ オ ブ ・ ハ ウ ス ( 警 備 、 受 付 ) 、 ア ウ ト ソ ー ス ( カ フ ェ 、 ケ ー タ リ ン

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グ 、 場 所 貸 出 、 シ ョ ッ プ 、 ウ ェ ブ な ど の デ ジ タ ル ) を 担 当 し て い る 。

ブ リ ス ト ル 市 の 6 つ の 博 物 館 ・ 美 術 館 ・ 文 書 館 は 入 館 料 が 無 料 で あ り 、 入 館 料 か ら の 収 入 は 望 め な い 。財 源 は 、ブ リ ス ト ル 市 か ら 38% 、イ ン グ ラ ン ド 美 術 評 議 会 か ら 25% 、他 37% が 来 館 者 か ら の 収 入( 寄 付 、シ ョ ッ プ 、カ フ ェ 、 会 場 貸 出 、 博 物 館 友 の 会 か ら の 収 入 ) で あ る 。 残 念 な が ら 金 額 は 明 記 さ れ て お ら ず 、ウ ェ ブ サ イ ト に は 年 報 や 事 業 報 告 書 な ど も 公 開 さ れ て い な い 。ま た 、 ブ リ ス ト ル 博 物 館 群 発 展 財 団 を 設 立 し 、 運 営 の た め の 資 金 確 保 に 尽 力 し て い る 。

Bristol City Museum and Art Gallery は 1823 年 に 設 立 さ れ 、 2002 年 よ り イ ギ リ ス 南 東 部 の ハ ブ 機 関 と し て の 機 能 も 果 た し て い る 。コ レ ク シ ョ ン は 、 応 用 美 術 、 生 物 学 、 イ ギ リ ス 考 古 学 、 美 術 品 、 地 質 学 、 工 業 史 ・ 海 洋 史 、 社 会 史 、世 界 文 化 な ど 多 岐 に 渡 る 。こ の 博 物 館・美 術 館 建 物 は 主 に 1~ 3 階 の 3 階 建 て の 長 細 い 建 物 で あ る 。 正 面 入 り 口 に は 吹 き 抜 け が あ り 、 中 間 に 階 段 を 抜 け る と さ ら に も う 一 つ 吹 き 抜 け が あ る 。 屋 根 の 半 分 以 上 は 摺 り ガ ラ ス 張 り だ が 、他 の イ ギ リ ス の 博 物 館・美 術 館 と 同 様 、殆 ど の 場 所 で 24 時 間 空 調 が つ い て い な い 。 近 年 の 夏 の 異 常 な 暑 さ と 暑 い 日 の 増 加 に よ り 、 以 前 は 夏 で も 空 調 が 必 要 な い 気 候 で あ っ た が 、 近 年 は イ ギ リ ス の 博 物 館 ・ 美 術 館 で も 空 調 導 入 の 必 要 性 に 迫 ら れ て い る 。 板 絵 の あ る 展 示 室 は 空 調 と 遮 蔽 ド ア が あ り 、 板 絵 に は マ イ ク ロ ク ラ イ メ ー ト ボ ッ ク ス が か か っ て お り 、 湿 度 の 突 然 の 上 下 に 対 応 す る よ う に な っ て い る 。

ブ リ ス ト ル 市 立 博 物 館 美 術 館 は 、 他 の イ ギ リ ス の 博 物 館 と 同 様 に 100 年 以 上 前 に 建 て ら れ た 建 物 を 使 用 し て お り 、 様 々 な 施 設 問 題 に 直 面 し て い る 。 収 蔵 庫 の 壁 は 崩 れ 、 何 度 も 水 漏 れ が 起 き 、 場 所 の 不 足 や 棚 の 不 足 か ら オ ブ ジ ェ ク ト が 危 険 に さ ら さ れ て い る 。

保 存 修 復 室 は 、 Conservation and Documentation Department と し て 保 存 修 復 と ド キ ュ メ ン テ ー シ ョ ン が 同 じ 部 署 と な っ て い る 。 Fran Cole 氏 が 室 長 で あ り 、 保 存 修 復 家 は 紙 保 存 修 復 家 1 名 、 予 防 保 存 専 門 家 1 名 、 絵 画 保 存 修 復 家 1 名 、 立 体 物 保 存 修 復 家 1 名 の 4 名 体 制 で あ る 。 修 復 家 の 数 と し て は 少 な く 、専 門 外 の こ と も そ れ ぞ れ が 担 当 し て い る 。調 査 当 日 は 、10 月 下 旬 開 幕 の 彫 刻 の 展 覧 会 準 備 中 で 大 変 忙 し い 時 期 で あ っ た た め 、 見 学 と ブ リ ス ト ル で 採 用 し て い る 彫 刻 修 復 お よ び 展 示 方 法 の 説 明 の み し て い た だ い た 。10 月 末 ま た は 、11 月 上 旬 に 改 め て 保 存 修 復 室 の 本 格 調 査 を さ せ て い た だ く こ と に な っ

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た 。

Kate Newnham 氏による 日本の浮世絵特別展のギャラリートーク

入り口ホール

一新された銀器展示室 マイクロクライメートボックスに

入れて展示されている板絵

8 月 15 日 ( 木 ) M Shed( 旧 Bristol Industrial Museum=ブリストル市立産 業博物館)訪問。M shed( =ブリストル市立産業博物館)訪問。市立博物館美術館の Ms. Kate Newnham より博物館の説明を受けながら見学。11:30-12:30 一般向け収蔵 庫見学ツアーに参加。M shed 周囲の見学後。

M shed は 2011 年にリニューアルオープンしたブリストル市立の社会産業博物館で ある。以前は、Bristol Industrial Museum という名前であり、筆者が 2003~2005 年 に保存修復大学院在学中の 2 年次のときに、論文の材料としてとりあげ博物館におけ る Working Objects の利点と不利な点について論じた場所である。

M shed( M 格 納 庫 の 意 味 ) の 名 前 の 由 来 は 、 も と も と こ の 場 所 が 格 納 庫 と し て 使 わ れ て お り 、 端 の 格 納 庫 か ら ア ル フ ァ ベ ッ ト で 番 号 が 振 ら れ て い た 。 こ こ は M の 番 号 が 振 ら れ て い た の で 、 こ の ま ま そ の 名 前 を 博 物 館 の 名 前 と し

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て 採 用 す る こ と に し た 。

改 装 再 開 館 に あ た り 、 彼 ら が 新 し く 設 置 し た も の は 、 貸 イ ベ ン ト 室 と オ ー プ ン 収 蔵 庫 で あ る 。 貸 イ ベ ン ト 室 は 建 物 の 3 階 に 位 置 し て お り 、 ブ リ ス ト ル 港 と 街 が 一 望 で き る 。 会 社 の パ ー テ ィ ー や ウ ェ デ ィ ン グ 等 に 使 用 さ れ る こ と を 目 的 と し て お り 、 大 き な 収 入 源 と な っ て い る 。

博 物 館 は 3 階 建 て で 、 ブ リ ス ト ル 港 に 面 し て い る 。 ボ ー ト を 3 点 保 有 し て お り 、 イ ベ ン ト 時 に 実 際 に ボ ー ト ツ ア ー が 行 わ れ る と い う 。 ま た 1 点 の 機 関 車 と 4 点 の ク レ ー ン も 博 物 館 の 目 の 前 に あ り 、 管 理 を し て い る 。 展 示 は 、 Bristol Places、 Bristol Life、 Bristol People の 3 つ の 常 設 展 、 特 別 展 室

( 訪 問 時 に は 『 ウ ォ レ ス と グ ル ミ ッ ト 』 で お な じ み の 地 元 企 業 ア ー ド マ ン 社 の 特 別 展 が 開 催 さ れ て い た 。 有 料 。 ) が あ る 。 展 示 は ふ ん だ ん に オ ブ ジ ェ ク ト が 展 示 さ れ 、 展 示 品 に 触 れ て 楽 し め る ハ ン ズ ・ オ ン 展 示 が 多 く 導 入 さ れ 、 子 供 た ち に 大 人 気 で あ っ た 。 ま た 、 有 名 な バ ン ク シ ー が 係 留 中 の 船 側 面 に 描 い た バ ン ク シ ー の 絵 を 切 り 取 っ た 展 示 も あ っ た 。 船 の 保 有 者 が 絵 の 盗 難 = 船 の 沈 没 を 恐 れ 、 博 物 館 に 依 頼 し て 、 博 物 館 が 作 品 を 切 り 取 り 、 船 を 補 修 し 、 作 品 を 保 管 ・ 展 示 す る こ と と な っ た そ う で あ る 。

改 装 展 示 時 に は 、 ブ リ ス ト ル 市 立 の 他 博 物 館 ・ 美 術 館 の 専 門 家 ら も 展 示 計 画 か ら 展 示 ま で 一 緒 に 携 わ り 、苦 労 話 を ブ リ ス ト ル 市 立 博 物 館 美 術 館 の Kate Newnham 氏 か ら も 聞 く こ と が で き た 。 展 示 ケ ー ス は 最 新 の も の を 注 文 し た は ず が 、 と て も 脆 弱 で 、 展 示 に 使 用 す る は ず の ネ ジ 穴 が 全 く 機 能 せ ず 新 た に 穴 を あ け た 話 や 、 作 品 に 動 き を つ け る た め 展 示 ケ ー ス の 天 井 部 分 か ら テ グ ス で ぶ ら 下 げ る 際 に 苦 労 し た 話 な ど 、 貴 重 な 体 験 談 を 聞 く こ と が で き た 。

ま た 、 様 々 な 背 景 の 人 々 に 来 館 者 と し て 来 て も ら う た め の 社 会 的 な 取 り 組 み な ど に も 力 を 入 れ て い る 。 ブ リ ス ト ル は か つ て 奴 隷 貿 易 港 と し て も 機 能 し て お り 、 負 の 歴 史 に も 焦 点 を 当 て て い る 。 地 元 の た ば こ や チ ョ コ レ ー ト 工 場 な ど も 展 示 対 象 で あ る 。

一 般 向 け の 収 蔵 庫 ツ ア ー に も 参 加 し た 。 ボ ラ ン テ ィ ア に よ る 1 時 間 の 無 料 ツ ア ー で あ り 、興 味 の あ る 人 は だ れ で も 参 加 で き る 。筆 者 が 参 加 し た と き は 、 他 に 3 名 の 英 国 出 身 者 の 参 加 者 が い た 。 筆 者 は か つ て の 調 査 時 に 収 蔵 庫 に 入 っ た こ と は あ る の だ が 、 ボ ラ ン テ ィ ア に よ る 収 蔵 庫 内 の オ ブ ジ ェ ク ト を 展 示 品 の よ う に 説 明 す る ツ ア ー に は と て も 興 味 を 持 っ た 。 フ ラ ッ シ ュ を 使 用 し な

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け れ ば 写 真 も 自 由 に 撮 影 で き る 。 一 般 の 利 用 者 は 、 博 物 館 の 裏 側 に と て も 興 味 を も っ て お り 、 オ ブ ジ ェ ク ト と 参 加 者 ・ 主 催 者 と 場 所 の 安 全 性 が 保 た れ る の で あ れ ば 、 こ の よ う な ツ ア ー は 啓 も う 活 動 の 一 つ と し て 増 や し て も い い か も し れ な い 。 し か し な が ら 、 産 業 ・ 社 会 系 の オ ブ ジ ェ ク ト と 国 立 美 術 館 が 所 有 す る 美 術 品 の 価 値 は 全 く 違 う も の な の で 、 慎 重 に 検 討 す る 必 要 が あ る 。

外観

多くのハンズ・オンおよびデジタル展示

収蔵庫ツアーの様子

(黄色いシャツがボランティアの説明者)

バンクシーの絵が描かれた船の側面の一部と 紹介パネルおよびビデオ

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(ウ)イギリス サリー州 ジャクソン彫刻保存修復有限会社

8 月 22 日( 木 )外 部 組 織 訪 問 調 査。Jackson Sculpture Conservation Ltd.

( Surry 州 Egham。ロ ン ド ン よ り 電 車 で 約 40 分 )経 営 の Ms. Tessa Jackson。

英 国 認 定 保 存 修 復 家 。 モ ダ ン お よ び コ ン テ ン ポ ラ リ ー 彫 刻 お よ び 立 体 物 保 存 修 復 を 専 門 と す る 。 フ リ ー ラ ン ス 保 存 修 復 家 と し て 様 々 な 事 業 に 携 わ る 他 、 実 践 的 な 保 存 修 復 を 学 べ る こ と で 定 評 の あ る City and Guilds School of London で も 講 師 を 務 め る 。ま た 、大 学 や 英 国 保 存 修 復 学 会 主 催 の 講 義 や コ ー ス を 担 当 。2010 年 か ら 保 存 修 復 会 社 を 経 営 。最 近 、広 い 工 房 に 会 社 を 移 し た ば か り で あ る 。 長 い 経 験 を 持 ち 、 様 々 な 困 難 な ケ ー ス の 保 存 修 復 に 携 わ っ て き た た め 、 イ ギ リ ス 保 存 修 復 学 会 で も 学 会 誌 に 何 度 も 事 例 を 取 り 上 げ ら れ た り 、そ の 修 復 学 会 主 催 の 保 存 修 復 専 門 家 向 け コ ー ス の 講 師 を 多 く さ れ て い る 。 2018 年 2 月 に イ ギ リ ス の 保 存 修 復 専 門 大 学 院 ( 筆 者 の 母 国 で も あ る ) West Dean College で 開 催 さ れ た 短 期 コ ー ス 「 Care of Sculpture」 に て 、 リ ン ジ ー ・ モ ー ガ ン と 共 に 講 師 を 務 め 、 そ の コ ー ス に 筆 者 が 参 加 し た こ と か ら 知 り 合 い と な っ た 。

モ ダ ン お よ び コ ン テ ン ポ ラ リ ー 彫 刻 お よ び 立 体 物 を 専 門 と す る 保 存 修 復 家 の 数 は 大 変 少 な く 、 特 に 個 人 で 活 動 す る Jackson 氏 の よ う な フ リ ー ラ ン ス の 保 存 修 復 家 は イ ギ リ ス で は 殆 ど い な い そ う で あ る 。 お お ま か な 区 分 け で あ る が 、 イ ギ リ ス で は 大 き な 博 物 館 ( 大 英 博 物 館 な ど ) で は 彫 刻 ・ 立 体 物 修 復 と い う 区 分 け で は な く 、 材 質 毎 ( 金 属 、 石 材 、 現 代 材 料 - プ ラ ス チ ッ ク 等 ) に 分 け ら れ て い る こ と が 多 い 。 美 術 館 や 比 較 的 小 さ な 博 物 館 な ど で は 、 彫 刻 ・ 立 体 物 と し て 3 D 作 品 を 材 質 問 わ ず 保 存 修 復 す る 傾 向 が 強 い よ う に 思 わ れ る 。 Jackson 氏 の 強 み と し て は 、 作 品 の 材 質 ( 異 素 材 組 み 合 わ せ の 作 品 に つ い て も ) や 大 小 問 わ ず 対 応 す る こ と が で き 、 ま た 、 場 所 ( 工 房 で 受 け る こ と も 現 場 に 赴 く こ と ) も 問 わ ず に 保 存 修 復 に 対 応 で き る こ と で あ る 。 繊 細 で 脆 い セ ル ロ イ ド 等 で で き た 作 品 を 修 復 し た り 、 大 き な 屋 外 彫 刻 を 修 復 し た り す る こ と も で き る の で あ る 。

工 房 は 、ロ ン ド ン 郊 外 Surrey 州 の Egham に あ る 。工 業・美 術 系 の 大 型 貸 コ ン テ ナ が 連 な る 工 業 地 区 の 一 角 に 構 え て い る 。 近 隣 の コ ン テ ナ に は 芸 術 家 や 工 業 機 器 販 売 業 者 な ど が 入 っ て い る 。 作 品 の 安 全 上 、 彫 刻 ・ 立 体 物 の 保 存 修 復 会 社 で あ る こ と は 近 隣 に は 話 し て い な い と の こ と で あ る 。 セ キ ュ リ テ ィ ー は 徹 底 し て お り 、 何 重 に も バ ッ ク ア ッ プ の 方 策 が と ら れ て い る 。

保 存 修 復 の 会 社 を 経 営 す る こ と の 大 変 さ を 初 め て 知 る こ と と な っ た 。

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Jackson 氏 は 会 社 を 一 人 で 経 営 し て お り 、保 存 修 復 も 自 分 で 行 う こ と が 多 い 。 知 り 合 い の 保 存 修 復 家 と 組 ん で 作 業 を 行 う こ と も 多 々 あ る と い う 。 工 房 の セ キ ュ リ テ ィ ー に 対 応 し た り 、 夏 は コ ン テ ナ 内 ( 特 に 2 階 の ロ フ ト 部 分 ) が 大 変 高 温 に な る た め 現 在 空 調 導 入 を 検 討 し た り し て い る と い う 。 組 織 に 属 し て い れ ば 専 門 の 人 が 行 う 毎 年 電 気 系 統 の 検 査 を 受 け た り 、 建 物 内 の 改 装 を し た り 、 化 学 薬 品 を 購 入 ・ 管 理 お よ び 足 場 や 大 型 機 器 を 利 用 す る た め の 資 格 を 個 人 で 取 得 す る 必 要 が あ っ た り 、 も ち ろ ん 全 て の 運 営 管 理 に 携 わ る 事 務 作 業 も 一 人 で 行 う 必 要 が あ る 。固 定 資 産 税 や 工 房 の 家 賃 を 含 め る と 、1 週 間 に 1,200 英 ポ ン ド を 稼 が な け れ ば 割 に 合 わ な い と い う こ と で あ る 。 近 年 は 、 あ ま り に も 多 く の 大 型 作 品 の 現 場 で の 保 存 修 復 作 業 を 請 け 負 っ て い た た め 、 手 ・ 腕 、 方 の 使 い 過 ぎ に よ る 手 術 を 2 回 も 受 け て い る と い う 。 今 後 は 大 型 作 品 の 現 場 作 業 を 減 ら し 、 大 き く 新 し い 修 復 工 房 で 受 け る 作 品 を 増 や す べ く 、 現 在 、 会 社 の ウ ェ ブ サ イ ト を 作 成 し て い る そ う で あ る 。

個人保存修復会社の管理経営と保存修復作業の同時並行を一人で行う大変さにもか かわらず、Jackson 氏の素晴らしいところは、彼女の経験した知識や技術を惜しみなく 同行他社と情報共有しているところである。筆者のような工房訪問にも快く対応して くれたり、氏が講師を務める City and Guilds School of London からもインターンを 受け入れたりしている。また、彼女のオフィススペースの一角には、保存修復やアーテ ィストに関する本や資料が所狭しと並んでいる。これまでに行ったコース資料、これま でに自分が参加したコース資料、インターネットで何でも調べられるようになる前の 時代に集めた古い技術的資料など、現在整理中であるという。工房内で行うコースや訪 問者がいつでも必要な情報を得られることを希望されていた。

日本の博物館・美術館も殆どが保存修復部門を持たず、職員として保存修復家を雇用 しているところは僅かである。Jackson 氏のように個人経営保存修復会社やフリーラン スの人材に頼らざるを得ない状況である。このような人材の存在なくして、日本の博物 館・美術館の運営は成り立たないといっても過言ではない。このような個人経営の人材 を保護していく方策も国として考えなくてはいけないと痛感した。

使用道具の一部 簡単に使用できる展示サポート用板

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(エ)イギリス オックスフォード アッシュモーリアン博物館 保存修復部門 9 月 12 日(木)10:30-14:30 Daniel Bone 氏(Head of Conservation Department)、

Ms. Alexandra Baldwin (Manager of Object Conservation)

最初に Bone 氏から組織全体と保存修復部門全体の話を聞いた。アッシュモーリアン 博物館は、オックスフォード大学の4つの大学博物館の一つであり、美術と考古コレク ションを有している(他の 3 つは、科学歴史博物館、自然史博物館、ピット・リバース 文化人類学博物館)。1682 年にエリアス・アッシュモールが大学に寄贈したコレクショ ンを基礎としており、イギリス初の一般公開博物館であると同時に、世界初の大学博物 館である。

部署としては、保存修復部門の他に、オペレーション(Visitor Experience、直訳は 来館者経験だが監視や守衛を指す)、Public Engaging(直訳は一般を引き付けるもので あるが、学習や貸出・借入などのローンを指す)、コレクション(学芸部門。新しいセ クションとしてデジタル・コレクションも増えた)、テクニカルチーム(展示室の展示、

ライト、コレクションの移動等)がある。HR(Human Resources、人事)機能は、他 3 つ の博物館と共有している。1905 年には修復を目的とした部屋が博物館に作られ、1999 年までは古美術コレクション部門の中に保存修復が存在していたが、現在は独立してい る。正式には、Bone 氏は二人目の保存修復部門長であり、2016 年 12 月からこのポジシ ョンについている。

また新しい試みとして、クリーナーというポジションも最近設けた。展示室にあるコ レクションの埃払いを行うスタッフのことであり、ある程度コレクションの扱いに慣れ た人を雇用し、博物館内で保存修復家が安全な埃払い方法のトレーニングを行い、コレ クションの予防保存に努めようという試みである。これから人材の雇用とトレーニング を行う予定になっており、いかに機能するかは今後注目したい。

博物館の資金源であるが、主にオックスフォード大学から運営資金が提供されている。

その他に、博物館が開催する特別展などからの資金収集、個別のプロジェクト、コレク ションの貸出、その他の補助金・助成金などがある。また、グループ博物館全体で年間 3~4 回実施している保存修復部門ツアーからの僅かな収入もあるそうだ。

オックスフォード大学の 4 つの博物館には、それぞれ保存修復部門が設けられてお り、各博物館のコレクションをその博物館内で保存修復できるようになっている。通常 は個別に各博物館で保存修復を行っているが、困難な事態に直面した際などはお互いの 館で助け合い、知識や技術交流ができるところもグループ博物館のメリットであるそう だ。

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アッシュモーリアン博物館は、61 ミリオンポンド(ヘリテージ・ロッタリー・ファン ドという文化遺産保護のための宝くじによる資金 15 ミリオンポンドを含む)をかけて 展示室改装が行われ、2009 年に再開した。以前に比べ展示室は倍の広さになり、39 の 新しい展示室に生まれ変わった。新たな展示の中には、保存修復やその歴史、コレクシ ョンに使用されている材質や技術にまつわる啓蒙展示も設けられ、一般の人々にとって 博物館で保存修復がいかに行われているのか、どのような考えで行われているか、なぜ 重要なのか、などが理解し易く展示されていた。また、近年の保存修復倫理と同時に、

その倫理が議論される以前に保存修復が施されたオブジェクトなども展示されており、

来館者自身に考えさせる内容にもなっており、各個人の意見を尊重するイギリスらしい 展示であると感じた。

アウトリーチでアッシュモーリアン博物館の素晴らしいところは、博物館のウェブサ イトが大変充実しているところである。

https://www.ashmolean.org/conservation

美しい画像のビデオや写真、分かりやすい箇条書きの文章をふんだんに使用するなど、

実際に博物館を訪れることができなくても、保存修復や館内の様子が手に取るように想 像できる出来栄えである。こうした国内外の来館者以外の人へのアピールの重要性が理 解でき、こういったポイントを押さえた啓蒙活動にも投資すべきであると感じた。

保存修復メンバーとしては、オブジェクト保存修復家だけでも正職員が 3 人、期限付 き職員が 1 名の計 4 名在籍している。その他に、保存科学を専門とする予防保存修復家 が 1 名、絵画修復家が 1 名、染織品修復家が 1 名、紙修復家が 3 名、博物館技術者が 3 名、展示用マウント制作者が 1 名、事務の方が 1 名のほか、学生インターンやボランテ ィア保存修復家など数名が保存修復に携わっている。

保存修復の施設は博物館建物の内部(上層階)に位置している。一続きの保存修復室 に、オブジェクト保存修復、絵画保存修復、額装、予防保存、展示用マウント制作のそ れぞれの分野が同居している。隣室には染織品保存修復のみの大型作品保存修復は博物 館建物の地下にあり、短期契約の保存修復家が使用できるプロジェクト保存修復室も博 物館建物の内部にある。一方、染織品保存修復と紙保存修復室は別棟で行っている。簡 単に移動できない大型作品については展示室内で保存修復作業を行うこともある。

保存修復の仕事としては、貸出や展示(特に特別展)のための保存修復、調査研究、

偶発的な保存修復作業、収蔵庫内の作品状態調査、予防保存のための展示クリーニング、

展示室のメンテナンス、若手のトレーニング、外部に対して行うアウトリーチ活動など

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大変広範囲な活動が含まれる。特に特別展には力を入れており、通常 2 年間かけて準備 を行う(1 年間は保存修復作業、1 年間は展示やケース準備)。外部の展示業者やデザ イナーと共に展示を作り上げたこともあるが、近年はなるべく館内の職員で準備、作品 点検、展示まで行っている。

様々な作業を効率よく進めるためにしていることは、通常業務を月毎に記録して振り 返ることである。将来の綿密な計画立案に備えている。業務の記録は大変骨の折れる作 業であるが、業務を明確化することで、冷静に見つめなおすことができ、無駄を省いた り、改善点を見出したりすることが可能になる。他にも、館外への作品貸出のエクセル データ管理にハイパーリンクで状態調査を付けることで、誰もがファイルを探せるよう にするなど、ちょっとした初期投資をすることで、その後の仕事量を軽減できるような 工夫がなされていた。

概観 開放的な新展示室

絵画・立体物等保存修復室 染織品保存修復室

新展示の一つ:保存修復に関する展示

参照

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