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「都道府県別データを用いた行政とNPOとの協働事業及び協働事業評価が生産性に与える影響に関する実証分析」

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都道府県別データを用いた行政と NPO との協働事業及び

協働事業評価制度が生産性に与える影響に関する実証分析

〈要旨〉 近年、日本でも NPO(民間非営利組織)が幅広い分野で活躍しており、行政と NPO 等との間 で協働事業も盛んに行われているところである。地方公共団体によっては、効果的に協働事業を 進めるための手段として、NPO 等を相手方に委託事業を行う際に、各地方公共団体の定める会 計規則上の完了検査等とは別に、協働事業の効果、形態や協働相手の妥当性等についての事業評 価制度を導入しているところである。本稿は、協働事業予算及び事業評価制度の導入の有無が各 都道府県の全要素生産性に与える影響を実証分析した。その結果、各都道府県が投入する協働事 業予算が全要素生産性に正の影響を与える結果は有意に示されなかったが、事業評価を行うこと で投入された協働事業予算が全要素生産性に正の影響を与える結果が有意に示された。 2012 年 (平成 24 年)2 月 政策研究大学院大学政策研究科まちづくりプログラム MJU11022 藤澤 央通

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目次

1. はじめに ... 1 2 協働事業及び事業評価制度の概要 ... 3 2.1. 協働事業の概要 ... 3 2.1.1 協働及び協働事業の定義について ... 3 2.1.2 NPO 法人の状況 ... 4 2.1.3 協働事業の形態 ... 5 2.2. 事業評価の概要 ... 8 3.事業評価制度の役割に関する分析 ... 8 3.1. 情報の非対称性 ... 8 3.1.1. 取引が開始される前に存在する情報の非対称性 ... 9 3.1.2. 取引が開始された後に存在する情報の非対称性 ... 9 3.2. 事業評価制度の役割 ... 9 4.協働事業及び協働事業評価が各都道府県の生産性に与える影響の検証 ... 10 4.1.分析に用いたデータ ... 10 4.1.1. TFP の計測に用いたデータ ... 10 4.1.2. TFP と当該都道府県の協働事業及び事業評価に関係を表す推計式に用いたデータ .. 10 4.2. 各都道府県の TFP の推計方法及び結果 ... 12 4.2.1. 各都道府県の TFP の推計方法 ... 12 4.2.2. 各都道府県の TFP の推計結果 ... 13 4.3. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計と結果 ... 14 4.3.1. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計 ... 14 4.3.2. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計結果 ... 15 5 おわりに ... 16 付録 1 都道府県別 TFP 推計のためのデータの出典及び作成方法 ... 18 付録 2 岩本他 (1996) との都道府県ダミー係数の比較... 20 参考文献 ... 21

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1. はじめに 近年、日本でも NPO(民間非営利組織)1が幅広い分野で活躍している。特に 1990 年代以降、 社会問題の複雑化とそれに伴う市民のニーズの多様化を背景に、ボランティア団体等の市民組織 が発展を遂げ、それまでに行政が担ってきたような分野においても、それらの団体の活動による サービスの提供が行われるようになってきた。1995 年の阪神大震災で震災時に行政が一部機能 不全に陥ること等がある中、多くのボランティア団体等による災害救助や都市復興に関する活動 が脚光を浴びたことが一つの契機となり、これらの営利を目的としない民間団体の活動を後押し するための基盤整備としての法制度が議論されはじめた。1998 年には NPO 活動を行いやすくす るための法人化の制度を定めた特定非営利活動促進法(平成 10 年法律第 7 号。以下「NPO 法」 という。)が議員立法により成立したのは記憶に新しいところである。また、2001 年には認定 NPO 法人制度が始まり NPO 法人に対する税の優遇措置も認められるようになった。こうした結 果により法人格を有した NPO が増加し活躍の場を広げているところである。 一方、行政は、1991 年のバブル経済崩壊後の経済の低迷等により税収が減尐したことに加え、 尐子・高齢化の進行等により社会保障費等の義務的経費は年々増加し、行財政を取りまく環境が 以前にも増して厳しくなったことや、行政ニーズの多様化、増大によって、これまでのように公 共の活動を全て行政で担うことが困難になってきたことから、公共サービスの提供に係る費用の 削減と質の向上を目的に、業務の NPO を含めた民間へのアウトソーシングや PFI 等のいわゆる PPP (Public-Private Partnership) の手法の導入を進めている2。また、1999 年の政府の補正予算で 緊急地域雇用特別交付金3が組まれ、この交付金を財源とする民間への事業委託先として、NPO 法人が推奨されたこと等をきっかけとして、行政と NPO との間で「協働」事業も盛んに行われ ているところである。 NPO の持つ優れた特性(即応性、柔軟性、先駆性、専門性、創造性、当事者性等)を生かし た協働事業を行うことで、行政単独では得にくい事業効果を得ることができたり、行政が実施し にくい事業を実行できることが期待できる。行政単独で行うよりも、新しく、より効率よくかつ 質の高い公共サービスの提供や社会的便益を増進させることが協働のねらいである。 しかしその一方で実際の NPO の成り立ちは千差万別であり、その持つ能力も同様である。行 政側の期待する NPO の持つ優れた専門性や先駆性等という特性ゆえにその提供するサービスの 質やその NPO の事業遂行能力に関して、行政の側が正確な情報を把握することは難しく、行政 と NPO との間に情報の非対称性が存在することが想像されるところである。 1

本稿においては、NPO とは Non Profit Organization または Not-for-Profit Organization の略で-、NPO 法によ る特定非営利活動法人(以下「NPO 法人」という。)の他に、ボランティア団体や市民活動団体等の自発 的・継続的に社会的活動(活動の利益が専ら特定の個人や団体のためではなく、不特定多数の利益の増進に 寄与するための活動)を行う営利を目的としない団体等で、かつ各都道府県の協働事業の相手方となり得 る団体を指す。 2 地方自治法 (昭和 22 年法律第 67 号) 第 244 条の 2 第 3 項乃至第 11 項の規定による指定管理者制度及び 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律 (平成 11 年法律第 117 号) による事業等 3 政府は、平成 11 年 (1999 年) 6 月 11 日、産業構造転換・雇用対策本部において、緊急雇用対策及び産業 競争力強化対策を決定した。緊急雇用対策として、民間企業による雇用機会の創出、民間企業による緊急 の雇用創出、及びミスマッチの解消、円滑な労働移動等の 14 項目があり、その中の一つに 「NPO の活用」 が挙げられた。補正予算は事業規模 5,429 億円で、このうちの 2,000 億円で「緊急地域雇用特別交付金」を 創設し、都道府県に交付された。

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地方公共団体によっては、効果的に協働事業を進めるための手段として、NPO を相手方に委 託事業等を行った際に、各地方公共団体の定める会計規則上の完了検査等とは別に、協働事業の 効果、形態や協働相手の妥当性等についての事業評価制度を導入しているところである。 そこで、本稿では、各都道府県の協働事業予算と事業評価制度導入の有無の関係に注目し、協 働事業予算が各都道府県の生産性を向上させているか否か及び事業評価制度が協働事業及び各 都道府県の生産性に与える影響について分析を行った。 NPO に関する研究は 1970 年代以降アメリカやヨーロッパで数多く行われており4、NPO の利 益の再分配を行わない非営利性という特徴から、利潤動機から乖離した組織の行動は資源配分上 の非効率を生じさせると分析したもの5、起業家の行動モデルを示したもの6、NPO の存在理由に ついて「政府の失敗」や「市場の失敗」等で説明するもの7、また、「ボランタリーの失敗」の理 論を唱えるもの8並びに補助金及び非課税措置の合理性を分析するもの9等がある。 我が国においては、経済学的なアプローチをしたものとしては、先述の通り欧米における先行 研究を紹介・解説を加えたものの他、実証的なものとして、小田切他 (2007) は、行政と NPO の協働関係の中でも、近年その関係性が注目されている事業委託関係に焦点をあて、事業委託が NPO へ及ぼす影響を実証的に検討し、事業委託に代表される行政-NPO 間の事業契約関係を円滑 に進めるための適正事業規模や事業期間を模索する必要性を指摘した。中川他 (2010) は、まち づくりの分野における NPO 等の民間主体による自発的な公共財の供給例に着目し、その資金調 達に関し受益者からの寄付により資金調達をする場合、事前に調達される核となる資金 (シード マネー) の効果を検証するフィールド実験を基に実証分析している。 NPO の事業評価について、内閣府(2002) のように NPO と支援者との相互理解を促す観点から、 NPO 評価の活用の可能性を検討するとともに、取り組むべき課題を指摘したものや、その他行 政法、政策及び組織論的な見地から NPO と行政の協働の事業評価の必要性にについて論じた研 究は存在するが、いずれも経済学的に分析し論じているものではない。 4 田中 (1995) 及び遠藤 (1996) が 1970 年代から 1990 年代の欧米における民間非営利組織についての経済 理論の研究の主なものの概要についてモデル式やグラフ等を用いて紹介・解説を行っている。 5 Newhouse (1970) 等。Newhouse (1970) は、民間非営利病院の分析を行い、①医師の効用関数を医療の質 と供給量の関数とし、医師はトレードオフの関係を持つ質と量の最適な組み合わせを決定すると仮定し、 ②非営利病院の医師は利益追求の必要性から解放されるため、量よりも技術に対する選好を優先し、③結 果的に社会厚生上最適な水準より過剰に高い質となり、価格も上がり、供給量が過尐になる可能性を指摘 した。

6 Glaeser and Shleifer ( 2001) は、新しく会社を始める起業家が利他的ではない場合であっても、消費者及び

起業家自身の製品の質への関心等の非金銭的なインセンティブ(soft incentives)によって、営利企業ではなく NPO の形態を選択する場合があることをモデル式で示した。 7 NPO を市場原理の下では最適供給できず、政府によっても適切に供給できない可能性のある公共財の供 給主体として位置づけ、NPO の存在は社会的な資源配分効率向上させるものであるとするもの等。遠藤 (1996) 350-351 及びサラモン (2007) 45 等にある。 8 サラモン (2007) 51-52 等は NPO は行政機関や企業が提供できないサービスを補完するという観点から論 じているそれまでの議論を、まず NPO が社会問題に対応し、対応できないところ (ボランタリーの失敗) を 政府が補うという観点から逆向きに議論を組み立て直している。 9ジェイムズ他 (1993) 93-112 は、NPO に対する補助金の合理性として、①政府が公的な援助を私的な資金 によって補完したいと望みながら、料金を徴収することが困難なとき、民間セクターに任せると手段で政 治的制約を回避でき、適度な政府の補助は寄付金を促進する、②一般に公立の組織より、補助金を通じて NPO に財・サービスを供給させた方が、政府自ら供給するよりも納税者の負担を軽減できる(NPO の方が 公務員に比べて人件費が安いことなどから)等を理由に挙げている。

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また、本稿においては、生産性については各都道府県の TFP (全要素生産性:Total Factor Productivity) を指標とし、各都道府県の TFP を推計しこれに対する影響を実証分析することを試 みている。都道府県別の TFP 推計を用いて検証する先行研究として、峰滝他 (2010) のように地 域の情報化が当該地域の生産性を向上させているか否かを分析するもの等10があるが、都道府県 と協働事業及びその事業評価について触れられているものは見受けられなかった。 本稿では、実証分析の結果、各都道府県が投入する協働事業予算が生産性に正の影響を与える 結果は有意に示されなかったが、事業評価を行うことで投入された協働事業予算が生産性に有意 に正の影響を与える結果を示し、事業評価制度の導入により協働事業の生産性に与える正の影響 を向上させている可能性を示した。 なお、本稿の構成は次の通りである。2 章で我が国の NPO 制度及び協働事業の概要等を示し、 3 章で事業評価制度についての理論分析を行い、4 章で都道府県の行う協働事業とその事業評価 制度の有無がその都道府県の生産性にどのような影響を与えているかについて実証分析を行う とともにその結果の解釈を行い、5 章で分析結果に基づいて政策提言を行うとともに、今後の課 題について説明する。 2 協働事業及び事業評価制度の概要 この章では、我が国の地方公共団体と NPO との協働事業の実態等について概観する。 2.1.節では我が国の協働事業についての概要を、2.2.節では事業評価制度について示す。 2.1. 協働事業の概要 この節では、協働と地方公共団体との協働の相手方の中心となる NPO 法人について概観する。 2.1.1 協働及び協働事業の定義について 先に述べたとおり現在、NPO と地方公共団体との間の協働が盛んに行われている。今回の文 書照会の事前調査においても全ての都道府県において NPO との協働事業を展開していることが 確認された11。「協働」について定めた法律はなく、従って法律上明確な定義はなされていない まま一般に使われている語といえる。実際には「協働指針」12等、または場合によって「協働の まちづくり条例」13等をそれぞれ各地方公共団体が各自制定しそこで定義をし、協働事業を行っ 10木立 (2004) は 1985 年度から 1998 年度の都道府県パネルデータを用いて、地域間所得差や生産性格差を 示す指標として TFP を用いる場合と、一人当たりの県内総生産等の指標で計測する場合とでは、どのよう な要因で、どのような違いが生まれるかを検証している。 11内閣府 (2004)でも、2004 年時点で、既に全ての都道府県と、約 7 割の市町村が協働事業を実施しており、 広く普及していると報告されている。また「地域の中で進む協働」とういう節を 1 つ設け、協働の実態に ついて報告を行っている。 12東京都生活文化局 (2001) , 愛知県 (2004) , 宮城県環境生活部 (2005) , 京都府府民生活部 NPO 協働推進 課 (2008) 等 13「ボランタリー団体等と県との協働の推進に関する条例」 (平成 22 年 神奈川県条例第 1 号) ,「岡山市協 働のまちづくり条例」 (平成 12 年 岡山市条例第 97 号) ,「横須賀市市民協働推進条例」 (平成 13 年横須賀 市条例第 3 号) , 「浜松市市民協働推進条例」(平成 15 年浜松市条例第 36 号) 及び 「高知市市民と行政の

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ているところであるが、表現の差異はあるものの、いずれも、地方公共団体と NPO 等の新たな 公共サービス・公共財の供給主体とが、お互い他の活動主体と協力することでより高い効果が得 られることが期待される新たな仕組みや事業を創設したり、取り組むこととし、実施に当たって ①目的を共有していること、②共通する公共的課題の解決に向けて取り組むこと、③対等の立場 であること等14とする点は一致しており、協働について各地方公共団体の考え方の違いによる実 務上の差はないといえる。 本稿においても特に協働の定義はせず、協働事業についても各地方公共団体が実際に協働事業 として行っている事業を協働事業として取り扱うこととする。 2.1.2 NPO 法人の状況 協働事業を担う一方の相手方である NPO のうち、その中核を担う都道府県知事認証15の NPO 法人の数は 2011 年 9 月 30 日現在で 43,630 法人 (図 1) と、一部、既に解散や休眠法人となって パートナーシップのまちづくり条例」 (平成 15 年高知市条例第 13 号) 等 14 その他に、公開の原則 (協働事業を進めるときは,その取り組みが,だれでもわかるような透明性を持 つ必要がある) , 自主・自立の原則 (協働の担い手はそれぞれ自立した存在として,役割分担や責任の所在 を明確にするとともに,自主性を尊重し,お互いに独自性,専門性を高める )等を掲げている地方公共団 体 (横浜市等) もある。 15 法人の設立は、その所轄庁である都道府県知事(事務所が単一都道府県内のみの場合)もしくは内閣総 理大臣(複数都道府県に事務所を設置する場合)の認証を得たうえで、設立登記を経てなされている(NPO 法第 9 条、第 10 条)。地方主権の政策推進の一環等により、法律改正(平成 23 年法律第 70 号。平成 24 年 4 月 1 日施行)により複数都道府県に事務所を設置する法人の所轄庁が、これまで内閣総理大臣であった が、改正後は主たる事務所のある都道府県の知事となる。

認証NPO数,

43,630

解散NPO数,

4,997

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000 30,000 35,000 40,000 45,000 50,000 平 成 十 三 年 三 月 平 成 十 三 年 九 月 平 成 十 四 年 三 月 平 成 十 四 年 九 月 平 成 十 五 年 三 月 平 成 十 五 年 九 月 平 成 十 六 年 三 月 平 成 十 六 年 九 月 平 成 十 七 年 三 月 平 成 十 七 年 九 月 平 成 十 八 年 三 月 平 成 十 八 年 九 月 平 成 十 九 年 三 月 平 成 十 九 年 九 月 平 成 二 十 年 三 月 平 成 二 十 年 九 月 平 成 二 十 一 年 三 月 平 成 二 十 一 年 九 月 平 成 二 十 二 年 三 月 平 成 二 十 二 年 九 月 平 成 二 十 三 年 三 月 平 成 二 十 三 年 九 月 法 人 数 出典:内閣府NPOホームページから著者作成 図1 特定非営利法人の認証数及び解散数の推移 (都道府県知事認証分) 2011/9/30現在

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いるものあるものの、1998 年に NPO 法が施行されて以降増え続け NPO の世間への認知度も上 がっている16ところである。 協働事業の受け皿の中心となる NPO 法人が増えることで17、さらに今後も協働事業がより活 発になっていくことが想像される。なお、認証された法人の活動分野18については図 2 のとおり である。 これらの分野について、各 NPO 法人が中心となって、専門性等を発揮し行政との協働を担っ ているものと思われる。 2.1.3 協働事業の形態 地方公共団体と NPO との間で実際に行われている事業形態を地方公共団体の側からみるとそ の具体的な形態は概ね以下のように整理することができる。 (1) 地方公共団体から NPO への事業委託 NPO の特性を活かした事業実施を行うため、事業の目的や性質等を十分検討し、競争入札契 16内閣府(2004) , 109.等 17日本 NPO センター (2004) 等によれば、協働する場合に必ずしも法人格が必要ではないが、行政や企業 から委託事業を受ける場合には、法人であることが条件とされる場合もある。その理由のひとつとして、 団体がそのまま契約主体となり得るため、代表者個人が契約主体とならざるを得ない任意団体よりも、団 体としての責任の所在が明確になるということが挙げられるとしている。しかし一方で任意団体が行う協 働も多いとされる。 18 NPO 法第 2 条の規定により、同法別表で特定非営利活動が列挙されている。法律改正(平成 23 年法律 第 70 号。平成 24 年 4 月 1 日施行)により 17 分野から、「観光の振興を図る活動」、「農山漁村又は中山間 地域の振興を図る活動」、「前各号に掲げる活動に準ずる活動として、都道府県又は指定都市の条例で定め る活動」が加えられて 20 分野に増えている。図 2 の活動は改正前の 17 分野に対応している。 20,665 2,707 9,646 6,979 2,337 4,222 18,688 3,751 8,629 7,154 4,660 2,953 12,707 14,961 18,666 20,645 25,614 前各号に掲げる活動を行う団体の運営等に関する援助等の活動 消費者の保護を図る活動 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動 経済活動の活性化を図る活動 科学技術の振興を図る活動 情報化社会の発展を図る活動 子どもの健全育成を図る活動 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動 国際協力の活動 人権の擁護又は平和の推進を図る活動 地域安全活動 災害救援活動 環境の保全を図る活動 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動 まちづくりの推進を図る活動 社会教育の推進を図る活動 保健・医療又は福祉の増進を図る活動 出典:内閣府NPOホームページから筆者作成 図2 特定非営利活動法人の活動分野について (複数回答) 2011/12/31現在

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約、ときには随意契約19を結んで事業を実施するほか、提案公募方式による実施がなされている。 一般的に、事業についての最終的な責任と成果は委託者である地方公共団体に帰属する。 (2) NPO の主催事業に対する地方公共団体の後援名義使用承認 NPO が行う事業で、地方公共団体にとってもその事業が行政の目的と合致し、後援名義の使 用を認め事業を支援しようとする場合に行われ、NPO からの申請に基づき、各事業担当課にお いて、公益性や行政施策との一致等を判断した上で後援の承認を行う形で行われている。 (3) 地方公共団体と NPO との事業共催 地方公共団体と NPO 双方が共に主催となって実施する場合や地方公共団体と NPO とで構成さ れた実行委員会や協議会等が主催となって実施するもの等がある。双方が主体的に行うことから 企画、運営、実施における役割分担に応じた責任を負う。企画段階から双方で十分に話し合って 役割分担、費用分担及び責任の所在を明確にした上で実施される。 (4) 地方公共団体と NPO との事業協力 共催以外の形態で、地方公共団体又は NPO が提案し、お互いの特性を活かした役割分担を行 い、協定書を取り交わすなどして、一定期間、継続的な関係のもとで事業を実施する形態である。 一方が主導的に実施する事業に対し他方が補完的に協力するものや、双方が対等の立場で共同実 施するものなど、様々な形態がある。事業共催と同様に、企画段階から双方で十分に話し合って 役割分担、費用分担及び責任の所在を明確にした上で実施される。 (5) 地方公共団体と NPO との情報交換・意見交換等 地方公共団体が NPO から協働事業の提案や専門的な知識、活動情報等の提供を受け、逆に地 方公共団体の持つ情報等を NPO に提供するなど、情報交換や意見交換を通じて情報を共有する 形態。普段から意見交換の機会を設けたりするほか、ワークショップやフォーラムを開催する形 で行われる。 (6) 地方公共団体の事業企画・立案等への NPO の参加・協力 地方公共団体が事業を企画立案する段階で、NPO からの意見や提案を受けて、地方公共団体 の事業に NPO の特性や能力などを活かそうとするもの。各種審議会や委員会、懇談会等に継続 的に NPO のメンバーの参加を求める方法、NPO から政策や事業の提案を受ける方法がとられる。 (7) 地方公共団体から NPO への活動の場の提供・支援 地域にある、休日の駐車場や公共の空き施設等の公有施設を積極的に開放する等の他に、NPO 交流サロン20及びセミナー室等の活動の場を直接提供するような形で行われる。 (8) 地方公共団体から NPO への資金援助又は物の提供・支援 19 地方公共団体が事業委託契約を締結する場合は、競争入札によることが原則であるが、NPO との協働事 業については、業務の特殊性から当該 NPO 以外に委託先がないことや業務の内容から NPO の専門性等の 特性を生かすことが必要なこと等から、特例として地方自治法施行令 (昭和 22 年政令第 16 号) 第 167 条の 2 第 1 項第 2 号の適用による随意契約とすることも尐なくない。 20「NPO 支援センター」、「交流センター」等の名称で、地方自治法 (昭和 22 年法律第 67 号) 第 244 条の 2 の規定による公の施設として設置される(例:和歌山県 NPO サポートセンター設置及び管理条例 (平成 17 年和歌山県条例第 64 号), 岐阜市 NPO・ボランティア協働センター条例 (平成 16 年岐阜市条例第 12 号)等)。また同法同条第 3 項の規定により NPO が当該施設の指定管理者となる例もある。

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NPO が主体的に実施する事業の公益性が高く、金銭又は物品を支援21することにより、その事 業をより充実させることができる場合に実施される。行政が対応しにくい先駆的・実験的な事業 などに対して資金協力等をすることにより、弾力的な公共サービスを提供されることが期待され る。 具体的には実施主体である NPO に対する補助金の拠出等により行われる。補助事業は、法令 や要綱などに基づく一定の制約を受けるものの、あくまでもその実施責任、結果責任は NPO が 負う点で事業委託と異なる。 (9) 地方公共団体から NPO への人員派遣や労力提供 派遣研修等の形で、NPO への人員派遣や労力提供しながら、地方公共団体側は、高度で専門 的な知識を習得し、視野を拡げ、質の高い市民サービスを提供するための資質や能力を向上させ ることなどを目的として行われる。 なお、図 3 に見られるように NPO への事業委託の形で行われる協働事業がほとんどの地方公 共団体で実施されていることがわかる。 21地方公共団体で不要となった物品のうち、再利用が可能なものについて有効に活用をすることを目的に、 NPO の公益的事業活動を支援するため、希望する NPO に対して、無償提供する事業例(北海道)等があ る。 1.9 11 22.6 44.8 45.7 32.9 39.4 42.9 46.9 41.7 80.9 0 10 27.5 57.5 65 67.5 75 77.5 82.5 87.5 100 0 20 40 60 80 100 その他 自治体からNPOへの人員派遣や労力提供 自治体からNPOへの物の提供・支援 自治体からNPOへの資金援助 自治体からNPOへの活動の場の提供・支援 自治体の事業企画・立案等へのNPOの参加・協力 自治体とNPOとの情報交換・意見交換等 自治体の事業活動へのNPOの参加・協力 自治体とNPOとの事業共催 NPOの主催事業に対する自治体の後援名義 自治体からNPOへの事業委託 都道府県 市区町村 % 「貴自治体における協働事業は下記のどの形態に該当しますか?(○はいくつでも)」という問いに対して回答した都道府県及び市町村の割合 出典:内閣府 (2004)から筆者作成

図3 都道府県及び市町村の実施する協働事業の形態

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2.2. 事業評価の概要 実際の事業評価は、図 4 のような協働事業実施の流れの中で行われている。 事業評価を行っているほとんどの 地方公共団体で「事業評価シート」を 作成・利用している。この評価シート で事業実施前、事業実施中、事業実施 後の各段階ごとに委託者側と受託者 側がどのように事業に関わったのか 相互評価及び自己評価をすることで、 定数的な評価を行うことができるよ うになっている。 自己評価は自己評価チェックシー トを記入することで行い、相互評価は、 双方が自己評価チェックシートを持 ち寄り、事業開始前の打合せ会議、事 業終了後(場合によっては事業中)の 振り返り会議などを開催して行うま たは相互のチェックシートの交換に よる双方の確認というような比較的 緩やかな手段がとられており、経営 的・管理的な側面を重視して行われて いる訳ではない。 3.事業評価制度の役割に関する分析 この章では、地方公共団体と NPO との協働事業において事業評価制度が果たす役割について 考察する。 3.1. 情報の非対称性 これまで述べてきたとおり、NPO の持つ優れた特性(即応性、柔軟性、先駆性、専門性、創 造性、当事者性等)を生かした協働事業を行うことで、行政単独では得にくい事業効果を得るほ か、行政が実施しにくい事業を実行できることが期待されている。協働により、新しくより質の 高い公共サービスの提供や社会的便益の増進が協働のねらいであるが、NPO の実態は千差万別 であり、その能力も同様である。また、NPO の持つ優れた専門性や先駆性等の特性ゆえにその 提供するサービスの質やその NPO の事業遂行能力に関して、行政の側が正確な情報を把握する ことは難しく、行政と NPO との間に情報の非対称性が生じる可能性がある。 図 4 協働事業の流れ図 (事業評価制度導入あり ) 協働事業の 企画立案 行 政 N P O 等 N P O 等 か ら の 新 規 事 業の提案 事業開始に当たっての協議 契約・協定等の締結 進行管理等 自己評価・相互評価 協働事業の実施 (中間振り返り) 住民等への情報の提供 (インターネットでの公表等) 行政側からの提 案(事業計画の公 募) 事業継続の適否の判断、その後の事業展開、類似事業の実施にあたって の判断材料として活用 (中 間振り返り自己評価・相互評価) 協働事業の評価

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3.1.1. 取引が開始される前に存在する情報の非対称性 中古車市場における中古車の品質情報の格差のように買い手が知らない情報を売り手が知っ ているような場合、「取引が開始される前に存在する情報の非対称性 (隠された情報の問題) 」 が生じる。地方公共団体と NPO との協働事業の場合には、NPO は、自身の特質である先駆性、 専門性及び創造性の内容・品質や自身の能力等について把握しているが、それを事前に把握でき ない地方公共団体という構図がそれにあたる。 情報格差が察知される場合には、情報格差の大きさによっては情報劣位者が取引を拒否する場 合がある (不平等な結果をもたらす取引には、手を出さない行動が最適な戦略である。)。また、 あるいは逆選択の問題が生じる。 改善策として実際には、前章で述べた公設の NPO 交流センター、NPO サポートセンターの設 置や中間支援組織22による情報提供事業実施等によって情報の非対称性の緩和が図られている。 3.1.2. 取引が開始された後に存在する情報の非対称性 代理人の行動について依頼人が観察することができず、取引の開始後に情報の非対称性が発生 しているときのような場合、例えば外回りの営業担当者が、逐一その行動を観察することのでき ない上司の目を盗んで、勤務時間中に仕事を怠けるような場合「取引が開始された後に存在する 情報の非対称性 (隠された行動の問題) 」が生じる。地方公共団体と NPO との協働事業の場合 には、文字通り NPO が「怠けて」いたり、地方公共団体との間で締結された契約や協定と実際 の NPO の行動が乖離していたりする場合がそれにあたる。 これを防ぐために、モニタリングやモラルハザードを抑制するようなインセティブ契約が有効 であるとされる。 3.2. 事業評価制度の役割 事業評価の詳細を見ると、前章で示したとおり自己評価は自己評価チェックシートを記入する ことで行い、相互評価は、パートナー双方が自己評価チェックシートを持ち寄り、事業開始前の 打合せ会議、事業終了後(場合によっては事業中)の振り返り会議などを開催して行うまたはチ ェックシートの交換による双方の確認というような比較的緩やかな手段がとられており、経営 的・管理的な側面を重視して行われている訳ではない。しかしながら、相互評価によるチェック は、モニタリングの一種といえ、また協働事業評価及び情報の公表は、評価が、事業継続への判 断の一材料になること、また事業評価情報の公表は NPO 等に対する行政の理解や評価が高まる とともに、行政との協働による活動成果により、NPO 等に対する住民の理解や評価が高まる機 会となり、インセンティブ契約の一種といえる。 これらのことから、情報の非対称性によるモラルハザードを緩和する役目を果たしていること が予想される。 22行政と地域の間にたって様々な活動を支援する組織のこと。中間支援組織自体が、NPO であることも多 い。また、内閣府国民生活局市民活動促進課 (2002) によれば中間支援組織の中には、NPO 支援だけでな く、まちづくりの推進をはじめとする様々な分野で自らも具体的な活動を行っているところも多いとされ る。

(12)

4.協働事業及び協働事業評価が各都道府県の生産性に与える影響の検証 都道府県と NPO が行う協働事業が当該都道府県の生産性の上昇に寄与し、さらに先に述べた とおり、もし協働事業における事業評価制度がモラルハザードを緩和する役目を果たしているの であれば、当該都道府県が協働事業に関して事業評価制度を設けていることがより効果的な協働 事業の成果を上げていることになる。そこで、都道府県と NPO が行う協働事業と事業評価制度 とが当該都道府県の生産性に正の影響を与えているという仮説を立て、これについて実証分析を 行う。 生産性とは単位当たりのインプットに対しどれだけのアウトプットが生み出されるかであり、 豊かさの指標となると同時に生産主体の効率性の指標となる。各都道府県を一つの生産主体とし て、その固有の技術としての協働政策が各都道府県の効率性にどのような影響を与えているかを 観察することで分析を試みる。 今回、生産性の指標については、各都道府県の全要素生産性(TFP)を指標とした。 全要素生産性の全要素とは、労働と資本以外の生産に寄与する要素を意味する。全要素生産性 は効率性やイノベーション等の質的な変化に関する指標である。 以下、分析に用いたデータ、各都道府県の TFP の計測方法及び計測結果、当該 TFP と都道府 県の協働事業及び事業評価の関係を表す変数についてそれぞれ説明し、それを踏まえ、協働事業 及び事業評価と TFP の関係について分析した結果を述べる。 4.1.分析に用いたデータ 分析の対象は、47 都道府県の TFP と協働事業及びその事業評価制度の関係である。 用いるデータは、各都道府県の協働事業担当課に照会し、回答のあった協働事業数、協働事業 予算額及び事業評価制度の有無とその導入時期のデータ並びに公表されているもの又は公表さ れているものから作成した年度別・都道府県別のセミマクロデータからなるパネルデータである。 以下、TFP の計測に用いたデータと TFP と当該都道府県の協働事業及び事業評価に関係を表 す変数に用いたデータを示す。 4.1.1. TFP の計測に用いたデータ 計測に関しては,都道府県を1つの経済単位とし、その考え方に沿うようにデータを採用した 各変数の具体的出所は付録 1 の通りである。47 都道府県の平成 8 年度から平成 20 年度までの 13 年間のパネルデータである。 4.1.2. TFP と当該都道府県の協働事業及び事業評価に関係を表す推計式に用いたデータ TFP と当該都道府県の協働事業及び事業評価に関係を表す変数に用いたデータの出所等の概 要は表 1 のとおりである。この他に、各都道府県宛てに会計規則上の完了検査等の他に協働事業 評価制度を設けているか否かと当該制度を導入・実施した年度についてデータを照会し得た回答 を用いた。平成 16 年度から平成 20 年度までの 5 年間のパネルデータである。

(13)

本稿では協働事業及び協働事業評価制度の有無が TFP に与える影響の推計を目的としており、 今回は、地方公共団体と NPO との協働に関し、より多くの事業数及び投入予算額がその地域の TFP に正の影響を与え、事業評価制度の導入がその効果をより大きくするという観点から (協働 事業数), (協働事業予算) 及び (事業評価制度の有無) をデータとして用いた。 そのほか TFP に影響を与えるコントロール変数として説明変数に加えるために、(人口/可住地 面積) , (労働災害度数率) , (65 歳以上人口率) , (15 歳未満人口率) , (生活保護受給率) , (大学進学 率) , (経常収支比率) 及び (政令指定都市ダミー) をデータとして用いた。 (人口/可住地面積) は、各都道府県の人口を可住地面積で除したものである。可住地面積当た りの人口の多さは、集積の経済及び都市インフラの効率的な利用等の「規模の経済・範囲の経済 23」を示す変数と考えられるため、TFP への影響は正になることが予測される。 また (労働災害度数率) の高さは、産業の非効率性や近代化の遅れを示す指標になると考える ためにその影響は負となることが予測される。また、(65 歳以上人口率) 及び (15 歳未満人口率) の高さは、ともに、人口当たりの就労者の尐なさを示すと考えるので、影響は負になることが予 測される。また、(生活保護率) は、その都道府県の低所得者割合や示すと考えられるので影響 は負、(大学進学率) は労働者の質の高さを示すので影響は正、変数 (経常収支比率) は財政構造 の弾力性を判断する指標であり、比率が高いほどその都道府県の財政構造の弾力性が低いことを 23八田達夫・田渕隆俊 (1994) ,8-12.等 数値 単位 説明及び出所等 人口 人  総務省統計局作成人口推計(国勢調査による人口を基に、その後における各月の人 口の動きを他の人口関連資料から得て、毎月1日現在の人口を算出)の各年10月1日現 在人口 「全国:年齢(各歳),男女別人口」 「都道府県:年齢(5歳階級),男 女別人口」から採った。 可住地面積 ha  各都道風県の人が住み得る土地農地や道路も含め、居住地に転用可能な既に開発された面積の総計である。国土交通省の毎年度「土地所有・利用の概況」から採った。 労働災害度数率 右記のとおり  労働災害の頻度を表す指標で、100万延労働時間当たりの労働災害による死傷者数 をもって統計をとった期間中に発生した労働災害による死傷者数を同じ期間中の全労 働者延労働時間数で割り、それに100万を掛けた数値である。  厚生労働省の各年度労働災害動向調査から採った。 生活保護率 ‰ 厚生省大臣官房統計情報部社会統計課作成「福祉行政報告例結果」から採った。保護 率の算出は、1か月平均の被保護実人員を総務省統計局発表「各年10月1日現在推計 人口」で除したものであり、人口千人対(‰)である。 大学進学率 %  文部科学省生涯学習政策局調査企画課作成の学校基本調査の各年度 初等中等教育 機関・専修学校・各種学校 卒業後の状況調査 高等学校 全日制・定時制の大学等 進学率を用いた。  大学(学部),短期大学(本科),大学・短期大学の通信教育部(正規の課程)及 び放送大学(全科履修生),大学・短期大学(別科),高等学校(専攻科)及び特別 支援学校高等部(専攻科)へ進学した者及び進学しかつ就職した者の割合である。 経常収支比率 %  地方公共団体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債 費のように毎年度経常的に支出される経費(経常的経費)に充当された一般財源の額 が、地方税、普通交付税を中心とする毎年度経常的に収入される一般財源(経常一般 財源)、減収補填債特例分及び臨時財政対策債の合計に占める割合。  総務省 各年度都道府県決算状況調から採った。 協働事業数 件数  各都道府県協働事業担当課回答の数値を採った。各年度の委託事業、補助事業及び その他の事業件数である。 協働事業予算 千円  各都道府県協働事業担当課回答の数値を採った。各年度の委託事業、補助事業及びその他の事業に支出した額の総計である。 表 1  TFPと 当 該 都 道 府 県 の 協 働 事 業 及 び 事 業 評 価 に 関 係 を 表 す 推 計 式 に 用 い た デ ー タ

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示しそのことにより予算の効率の良い配分が阻害されていると考えられるので影響は負になる ことが予測される。 なお、 (政令指定都市ダミー) は、都道府県内に政令指定市があれば「1」をない場合は「0」 をとるダミー係数である。政令指定都市は、基本的に都道府県が行う事務のほとんどを独自に扱 え、都道府県と同格とされる都市であるためこの存在が都道府県内に存在するとしないのとでは 都道府県を一つの生産者と見た場合にその構造に大きな違いがあることが想起できそれをコン トロールするために用いた。政令指定都市は各分野につき、完全に都道府県から独立した行政を 担当できるまでの事務移譲を受けるわけではなく、農林行政、防災行政については、ほとんど授 権がない。一方で、都道府県と指定都市との間では、尐なからず共通する行政を担当することか ら、両者の間での二重規制、二重行政による不効率を生じる可能性について指摘されることが多 く、都道府県という範囲で見た場合にはその影響は負になることが予測される。 4.2. 各都道府県の TFP の推計方法及び結果 以下、各都道府県の TFP の推計方法及び結果について示す。 4.2.1. 各都道府県の TFP の推計方法 各都道府県の生産関数を、i 番目の都道府県について,t 年度の労働

𝐿

𝑖𝑡,

,

民間資本

𝐾

𝑖𝑡,

,

政府資 本

𝐺

𝑖𝑡

,

3つの生産要素とするコブ・ダグラス型の生産関数として

𝑌

𝑖𝑡

= 𝑓(𝐴

𝑖

, 𝐵

𝑡,

𝐿

𝑖𝑡,

𝐾

𝑖𝑡,

𝐺

𝑖𝑡

) = 𝐴

𝑖

𝐵

𝑡

𝐿

𝛼𝑖𝑡

𝐾

𝑖𝑡𝛽

𝐺

𝑖𝑡𝛾

(1)

と仮定する。ただし𝐴𝑖は、i番目の都道府県の生産技術ダミー、𝐵𝑡は、t年度ダミーである。 (Yit, Lit,Kit,及びGitのデータの出典及び作成方法については先述のとおり付録 2 に掲載した。)。 実際の推計式は,(1) 式の両辺の自然対数をとった,

ln 𝑌

𝑖𝑡

= ln 𝐴

𝑖

+ ln 𝐵

𝑡

+ 𝛼 ln 𝐿

𝑖𝑡

+ 𝛽 ln 𝐾

𝑖𝑡

+ 𝛾 ln 𝐺

𝑖𝑡

(2)

の形をとり、

ln 𝑌

𝑖𝑡

− (𝛼̂ ln 𝐿

𝑖𝑡

+ 𝛽̂ ln 𝐾

𝑖𝑡

+ 𝛾̂ ln 𝐺

𝑖𝑡

) = ln 𝑇𝐹𝑃

̂

𝑖𝑡

(3)

この𝑇𝐹𝑃̂ 𝑖𝑡がi番目の都道府県のt年度の全要素生産性と定義し推計した。 基本統計量は表 2 のとおりである。

(15)

4.2.2. 各都道府県の TFP の推計結果 推計結果は表 3 のとおりである。参考までに、岩本他 (1996) 24の推定した都道府県ダミーと の比較は付録 2 のとおりである。この推計によって求められた𝑇𝐹𝑃̂ 𝑖𝑡を被説明変数とし協働事業 及び事業評価と TFP の関係について分析する。 なお、この推計で推定される都道府県ダミー係数と当該都道府県の 2008 年の総生産との関係 は図 5 のとおりである。 24岩本他 (1996)で用いられた生産関数は、以下のとおりである

log 𝑌𝑖𝑡=𝛼1𝑡+ 𝛼2𝑖+ 𝛼𝐺log 𝐺𝑖𝑡+ 𝛼𝑘log 𝐾𝑖𝑡+ 𝛼𝑛log 𝑁𝑖𝑡+ 𝜀𝑖𝑡 … (非制約型)

log 𝑌𝑖𝑡− 𝛼𝑛log 𝑁𝑖𝑡=𝛼1𝑡+ 𝛼2𝑖+ 𝛼𝐺(log 𝐺𝑖𝑡− log 𝑁𝑖𝑡) + 𝛼𝑘(log 𝐾𝑖𝑡− 𝛼𝑛log 𝑁𝑖𝑡) + 𝜀𝑖𝑡 … (一次同次制約型) Variable Obs M ean Std. Dev. M in M ax

県内総生産 611 1.13×107 1.49×107 2.10×106 1.00×108 都道府県ダミー 611 0.0213 0.1444 0 1 年次ダミー 611 0.0769 0.2667 0 1 労働投入量 611 2.25×109 2.23×109 4.80×108 1.23×1010 民間資本ストック 611 2.30×107 3.01×107 3.50×106 2.17×108 社会資本ストック 611 1.36×107 1.03×107 3.86×106 5.93×107 表 2  基 本 統 計 量 被説明変数 各都道府県・各年度GDP 係数 標準誤差 都道府県ダミー (別掲:付録2) ln労働投入量 0.2592152 *** 0.0434068 ln民間資本ストック 0.3813274 *** 0.0319478 ln社会資本ストック 0.3954435 *** 0.0743809 定数項 -2.5110450 ** 1.7784610 年次ダミー Yes 観測数  611 補正R2 0.9992 ※  ***, **, * は、それぞれ、1%, 5%, 10%で統計的に有意であることを示す. 表 3  推 計 結 果

(16)

4.3. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計と結果 前項で計測された、TFP を使用し、以下、協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計 と結果について示す。 4.3.1. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計 協働事業及び事業評価が全要素生産性にどのように影響を与えるかを観察するため、次の (4) 式によって推計を行った。 𝑇𝐹𝑃̂ = 𝑡 𝛼 + 𝛽1 ( 人口 可住地面積) , + 𝛽2 (労働災害度数率) , + 𝛽3 (65 歳以上人口率) , +𝛽4 ( 5 歳未満人口率) , + 𝛽5 (生活保護率) , + 𝛽6 (大学進学率) , +𝛽7 (経常収支比率) , + 𝛽8 (政令指定都市ダミー) , +𝛽9 (人口 万人当たりの協働予算) , + 𝛽1 (人口 万人当たりの協働事業数) , +𝛽11 ((人口 万人当たりの協働事業数) , (事業評価ありダミーの交差項) , )

+𝜀

𝑖,𝑡

(4)

注目すべき変数は(人口 10 万人当たりの協働予算),(人口 10 万人当たりの協働事業数 )及 び(人口 10 万人当たりの協働事業数×事業評価ありの交差項)である。今回は、都道府県という 北海道 宮城 秋田 山形 福島 茨城 栃木 群馬 埼玉 千葉 神奈川 新潟 富山 石川 福井 山梨 長野 岐阜 静岡 愛知 三重 滋賀 京都 兵庫 奈良 鳥取 島根 岡山 広島 徳島 香川 愛媛 高知 福岡 長崎 大分 鹿児島 沖縄 0.95 1.05 1.15 1.25 1.35 1.45 1.55 2,000,000 12,000,000 22,000,000 32,000,000 都 道 府 県 ダ ミ ー 係 数 県内総生産額(百万円) ※東京都と大阪府は、ダミー係数・総生産額が共にかなり大きいの で他の道府県の関係を見やすくするために、ここでは除いている。 図5 都道府県ダミー係数と県内総生産(H20)

(17)

行政区域で採ったデータを使用しているために、行政区域内における人口の多寡による差をコン トロールするために、該当都道府県人口 10 万人当たりの数値で揃えている。 変数 ( (人口 10 万人当たりの協働事業数 )× (事業評価ありの交差項) ) は、事業評価制度の影 響を観察するために、事業評価制度を導入している場合は「1」、導入していない場合は「0」と するダミー変数を加え、事業評価制度が協働事業に与える改善効果を観察するために交差項とし て加えた。 αは定数項、εは誤差項を表す。各説明変数の基本統計量は表 4 のとおりである。観測数が、 235 (47 都道府県×5 年) ではないのは、一部都道府県からデータを得られなかったことと、回答 のあったデータの一部に欠落があったためである。各係数の最小値・最大値を見ると、どの係数 も大きな差があることが分かる。 4.3.2. 協働事業及び事業評価が TFP に与える影響の推計結果 協働事業及び事業評価が都道府県の TFP に与える影響の推計結果を表 5 に示す。

Obs M ean Std. Dev. M in M ax 135 0.09 0.011676 0.0663 0.1178 135 11.4004 12.0913 2.05 67.90 135 1.9413 0.7801 0.73 4.99 135 22.53 2.73 16.1 28.6 135 13.94 1.06 12.2 18.7 135 8.08 5.15 1.7 22.0 135 46.78 6.78 31.0 61.6 135 94.66 3.11 86.1 102.7 135 0.27 0.45 0 1 135 20.72 5.72 9.22 34.97 135 0.24 0.34 0.00 2.48 135 0.21 0.13 0.02 0.65 (人口10万人当たりの協働事業数)×(事業評価ありダミー) 表4 基本統計量 大学進学率(%) 経常収支比率(%) 政令指定都市ダミー 人口10万人当たりの協働予算(千円) 人口10万人当たりの協働事業数 人口/可住地面積 労働災害度数率(労働災害/延実労働時間)×105 65歳以上人口率(%) 15歳未満人口率(%) 生活保護受給率(‰) 𝑇𝐹𝑃̂𝑖𝑡 係数 標準誤差 0.000383 *** 0.0000667 -0.005257 *** 0.0009849 -0.002046 *** 0.0004325 -0.002102 ** 0.0009612 -0.000398 *** 0.0001498 0.000344 *** 0.0001196 -0.000229 - 0.0002091 -0.003763 * 0.0021517 0.000127 - 0.0018069 -0.000076 - 0.0002084 0.000673 * 0.0003955 定数項 0.180979 *** 0.0302267 観測数 補正R2 ※  ***, **, * は、それぞれ、1%, 5%, 10%で統計的に有意であることを示す. 生活保護受給率(‰) 大学進学率(%) 経常収支比率(%) 政令指定都市ダミー 人口10万人当たりの協働予算(千円) 人口10万人当たりの協働事業数 表5 推計結果 (人口10万人当たりの協働事業数)×(事業評価ありダミー) 135 0.6823 被説明変数 人口/可住地面積 労働災害度数率(労働災害/延実労働時間)×105 65歳以上人口率(%) 15歳未満人口率(%) 𝑇𝐹𝑃̂𝑖𝑡

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注目する変数である (人口 10 万人当たりの協働予算) , (人口 10 万人当たりの協働事業数) は 都道府県の TFP の上昇に関して有意な結果とならなかった。 (人口 10 万人当たりの協働事業数×事業評価ありダミーの交差項) については予想通り有意に TFP を上昇させる結果となった。 その他のコントロール係数についても、予想通りの符号となり、 (経常収支比率) を除いて全 て有意な結果となった。 協働事業数及び協働予算額が正にも負にも有意にならなかったのは、各都道府県が当初の狙い 通り協働によってより高い効果が得られることが期待される事業を選定していることを前提と すれば、事業評価制度の有無に寄らず、単純に協働事業数と協働予算額で観察した場合には、事 業評価制度を導入していない協働事業では事業評価によるモニタリング等が行われていないた め、効果の出る事業と効果の出ていない事業とが混在する結果となり、全体として必ずしも協働 事業を行う当初の狙い通りの効果が表れていない可能性があるといえる。 一方、協働事業数×事業評価ありダミーの交差項が生産性に有意に正の働きをするということ が観察された25ことは、事業評価制度導入により効果的な事業実施が行われており、また個別の 事業と個別の事業評価の関係については不明であるが、全体としては正の効果が事業評価制度の 導入コスト及び実施にあたってのモニタリングコストを上回った結果が出ているといえる。 5 おわりに 本稿は、都道府県と NPO が行う協働事業が当該都道府県の生産性の上昇に寄与し、さらに当 該都道府県が協働事業に関して事業評価制度を設けていることがより効果的に当該都道府県の 生産性に正の影響を与えているという仮説を設定し、以下の実証分析を行った。 まず、セミ・マクロデータを用いて各都道府県の年度別の全要素生産性を推計した。 推計された全要素生産性に対して、各都道府県の行った協働事業数、投入した協働事業予算及 び事業評価制度の有無の効果を観察したところ、協働事業数及び協働予算額は有意に各都道府県 の全要素生産性に正の影響をあたえる結果は有意に示されなかったが、事業評価制度がある場合 には正の影響があることが有意に示された。このことより以下のことが考察される。 NPO の活動は、個々の社会的使命の実現を目指し、多様性、創造性、及び先駆性があり、ま た、機動性、柔軟性に富んだ活動であるため、活動目的やその成果について、一定の基準や指標 を当てはめ測ることは、非常に難しい面を有している。このような特性をもつ NPO の活動に評 価という切り口、枠組みを当てはめた場合、NPO の経営的、管理的な発想のみが重視され、そ れに囚われることは、NPO の良さである多様性、創造性、先駆性等が阻害される恐れも考えら れ、また、制度導入コストやモニタリングコストの問題も考えられるところである。 25 表 5 のとおり。係数が「やや」大きいのは、事業評制度導入ダミーが、協働事業のみにとどまらず今回 変数として使用しなかった当該都道府県のあらゆる事業契約に関するモニタリング等の導入等効率的に事 業を進めるという当該都道府県の「技術力」等の代理変数を含んでいる可能性がある。なお、協働事業予 算との交差項ではなく単純に事業評価制度ダミー係数のみで実証分析を行った場合、「正」で1%で統計的 に有意であり、この可能性を示唆するものである。

(19)

しかしながら、今回の実証分析により、評価シートを利用した自己評価及び相互評価を中心と した現行の比較的簡便な事業評価制度でも十分に機能している様子が窺え、かつ、事業評価の制 度の導入を抜きに単純に協働事業予算の投入の影響を観察すると、生産性に寄与する協働事業と 寄与しない事業とが混在していると思われる結果を考えれば、事業評価制度の導入は必須である と考えられる。 本稿では、事業評価制度の導入の有無による実証分析を行ったが、事業評価の方法については 評価シートによる自己評価及び相互評価という手法は共通しているものの、都道府県によって独 自の取り組みが行われているため、評価シートの内容、中間評価の有無や時期、第三者委員会の 設置の有無、インターネットによる評価の公表の有無やその内容の違い等の相違点が見られる。 より効果的な事業評価手法を探るという観点から、それらの違いによる効果の相違の分析が必 要になると考えられる。 また、今回は入手できたデータの制約等から、都道府県別のセミマクロデータによるアプロー チであったが、可能であれば市町村別や地区別又は事業別や法人及び団体別のデータから精緻な アプローチによる検証も必要になると思われる。 謝辞 本稿の作成に当たり、福井秀夫教授 (プログラムディレクター) 、西脇雅人助教授 (主査) 、 安藤至大客員准教授 (副査) 、北野泰樹助教授をはじめ、関係教員及び学生の皆様から大変貴重 な御指導・御意見をいただきました。ここに記して感謝申し上げます。 また、御多忙の中、有益な情報を提供していただいた各都道府県の協働担当課をはじめとする 関係機関の職員の皆様に御礼申し上げます。 なお、本稿は個人的な見解を示すものであり、筆者の所属機関の見解を示すものではありませ ん。 また、本稿における見解及び内容に関する誤りは、すべて筆者の責任であることを申し添えま す。

(20)

L(労働投入量)の推計 ①有業者数 「就業構造基本調査報告」の「産業、男女別有業者数‐都道府県」 第 1 次産業:農林業 第 2 次産業:製造業 第 3 次産業:総数から農林業と建設業・製造業を引いたもの 平成 4 年、平成 9 年、平成 14 年、平成 19 年のデータから、年次ごとの都道府県の有業者数の比率の変動は大きく ないとみなし、その間の年については直線推計した。 ②労働時間等 ア 第 1 次産業 労働時間「労働力調査年報」(厚生労働省)の「農林業」の全国データを使用(各県ごとのデータではないが、 農林水産業の労働時間を補足する他のデータがない。)。 専業・兹業比率 平成 2 年、7 年、12 年、17 年、22 年の農業センサスによる、『農家調査報告書‐総括編』の「専 兹業農家数」表のうち、「(専業農家数+第1種兹業農家数)/総農家数」を各地域別に集計し、データが存在しな い期間については直線推計によって補った。 イ 第2・3次産業 労働時間「毎月勤労統計調査報告―地方調査」(厚生労働省) 「都道府県、産業別 1 人平均月間労働時間数(規模 5 人以上)」の総実労働時間数(年別データ)から、当該年の 3/4 と、翌年の 1/4 の労働時間数を加え、年度別データに変換 第 2 次産業:製造業における労働時間数 第 3 次産業: 平成 8 年~16 年 「運輸・通信業」、「卸売・小売業,飲食店」及び「金融・保険業」 平成 17 年~20 年 「情報通信業」、「運輸業」、「卸売・小売業」、「金融・保険業」及び「飲食 店、宿泊業」における有業者数で加重平均した時間数。 ③労働投入量の推計 第 1 次産業 ①の有業者数×②の労働時間×②の専・兹業比率 …A 第 2・3 次産業 ①の有業者数×②で求めた労働時間 … B A+B 付録 1 都道府県別 TFP 推計のためのデータの出典及び作成方法 (a)

𝑌

𝑖𝑡

:

県内総生産 『平成 20 年度県民経済年報(平成 23 年版)』(内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部編) の「県内総生産(生産側、実質:連鎖方式)-平成 12 暦年連鎖価格-」(H8~H20)を採用した。 (b)

𝐿

𝑖𝑡

:

労働投入量 各都道府県の各年の労働投入量については、吉野他 (1990) 81-88 を参考に次表のとおり見積も った。

(21)

(c)

𝐾

𝑖𝑡

:

民間資本ストック 都道府県別の民間ストックについては公表されたものがないため、以下のように推計した。 まず、全国データである、内閣府作成の「民間企業資本ストック年報」の全国の民間ストック 値を採用し、「県民経済計算年報」における固定資本減耗の各県別の比率を算出し、このデータ を使って、各年の民間企業資本ストックを都道府県別に按分した。 (d)

𝐺

𝑖𝑡

:

社会資本ストック 「日本の社会資本 2007」(内閣府政策統括官)の都道府県別主要部門別粗資本ストック推計結 果の「道路」、「港湾」、「航空」、「公共賃貸住宅」、「下水道」、「廃棄物処理」、「水道」、「都市公園」、 「文教施設」、「治水」、「治山」、「海岸」、「農業」、「漁業」及び「工業用水道」の各部門を積算し、 各都道府県のストック量とした。なお、1990 年、1995 年、2000 年、2003 年のデータしかないた め、その間及びその後は直線推計によって補った。

(22)

付録 2 岩本他 (1996) との都道府県ダミー係数の比較

非 制 約 型 1次同次制約型 都 道 府 県 名 都道府県ダミー 都道府県ダミー 都道府県ダミー 島 根 県 0.9887 高 知 県 0.9889 島 根 1.88 島 根 -0.16 沖 縄 県 0.9932 岩 手 1.97 岩 手 -0.15 北 海 道 1.0000 高 知 2.00 宮 崎 -0.06 鹿 児 島 県 1.0347 宮 崎 2.02 高 知 -0.04 新 潟 県 1.0598 鳥 取 2.03 青 森 -0.03 長 崎 県 1.0641 福 井 2.03 長 崎 -0.02 山 形 県 1.0798 佐 賀 2.05 福 井 -0.02 岩 手 県 1.0803 山 梨 2.06 山 形 -0.02 青 森 県 1.0859 徳 島 2.07 鹿 児 島 0.00 秋 田 県 1.0932 山 形 2.09 福 島 0.00 宮 崎 県 1.1018 長 崎 2.09 秋 田 0.01 佐 賀 県 1.1114 青 森 2.09 熊 本 0.01 熊 本 県 1.1126 秋 田 2.10 佐 賀 0.02 鳥 取 県 1.1339 大 分 2.11 大 分 0.03 福 井 県 1.1371 鹿 児 島 2.13 鳥 取 0.03 愛 媛 県 1.1390 熊 本 2.14 徳 島 0.03 徳 島 県 1.1394 福 島 2.16 山 梨 0.04 奈 良 県 1.1483 山 口 2.23 新 潟 0.05 山 梨 県 1.1548 愛 媛 2.23 長 野 0.08 和 歌 山 県 1.1615 石 川 2.24 大 阪 0.08 岐 阜 県 1.2085 和 歌 山 2.24 北 海 道 0.08 富 山 県 1.2250 香 川 2.24 山 口 0.10 長 野 県 1.2317 富 山 2.24 岡 山 0.11 山 口 県 1.2333 奈 良 2.24 愛 媛 0.12 千 葉 県 1.2358 長 野 2.25 石 川 0.16 兵 庫 県 1.2366 大 阪 2.25 和 歌 山 0.16 大 分 県 1.2389 新 潟 2.25 茨 城 0.16 福 島 県 1.2487 岡 山 2.26 富 山 0.16 広 島 県 1.2507 群 馬 2.32 奈 良 0.16 宮 城 県 1.2545 岐 阜 2.33 香 川 0.18 三 重 県 1.2635 茨 城 2.33 群 馬 0.18 石 川 県 1.2642 宮 城 2.34 岐 阜 0.18 香 川 県 1.2755 滋 賀 2.35 宮 城 0.19 埼 玉 県 1.2792 三 重 2.40 三 重 0.27 岡 山 県 1.2956 北 海 道 2.40 広 島 0.27 茨 城 県 1.3646 栃 木 2.45 福 岡 0.29 福 岡 県 1.3680 広 島 2.48 静 岡 0.29 神 奈 川 県 1.3709 静 岡 2.52 兵 庫 0.29 群 馬 県 1.4001 兵 庫 2.52 滋 賀 0.31 京 都 府 1.4217 福 岡 2.54 栃 木 0.32 滋 賀 県 1.4432 京 都 2.55 千 葉 0.37 静 岡 県 1.4597 千 葉 2.58 京 都 0.38 栃 木 県 1.5143 埼 玉 2.64 埼 玉 0.41 愛 知 県 1.5168 愛 知 2.76 愛 知 0.44 大 阪 府 1.5393 神 奈 川 2.87 神 奈 川 0.59 東 京 都 1.9642 東 京 3.05 東 京 0.60 岩本康志・大内聡・竹下智・別所正 (1996) 「社会資本の生産性と公共投資 の地域間配分」 『フィナンシャル・レビュー』第41号,27-52.

本 研 究

岩本他 (1996) P.41 ※沖縄県を除く46都道府県(1966~1984) (データ1996‐2008)

(23)

参考文献 愛知県 (2004) 『あいち協働ルールブック 2004-NPO と行政の協働促進に向けて-』 岩本康志・大内聡・竹下智・別所正 (1996) 「社会資本の生産性と公共投資の地域間配分」 『フ ィナンシャル・レビュー』第 41 号,27-52. 遠藤久夫 (1996) 「民間非営利組織 (NPO) の経済理論」東海大學政治経済学部紀要第 28 号 347-363 小田切康彦・新川達郎 (2007) 「行政との協働が NPO へ及ぼす影響-事業委託を例として-」 同 志社政策科学研究 第 9 巻 (第 1 号) ,37-50 木立力 (2004) 「TFP の都道府県格差とその要因」 青森公立大学経営経済学研究 10(1), 3-19 京都府府民生活部 NPO 協働推進課 (2008) 『NPO 協働推進アクションプラン-改定版-』 サラモン ,L. M .著 江上哲ほか訳 (2007) 『NPO と公共サービス 政府と民間のパートナーシ ップ』ミネルヴァ書房, 39-58 ジェイムズ.E・ローズエイカーマン. S 著 田中敬文訳 (1993) 『非営利団体の経済分析:学校, 病院,美術館,フィランソロピー』 多賀出版 総務省編 (2012) 『平成 23 年版(平成 21 年度決算)地方財政白書』 田中敬文 (1995) 「非営利団体の行動と経済モデル」 季刊・社会保障研究 30 (4) , 365-372 千葉県 (2006) 『千葉県パートナーシップマニュアル‐NPO 立県千葉の実現を目指して‐』 東京都生活文化局 (2001) 『東京都における社会貢献活動団体との協働‐協働の推進指針‐』 内閣府 (2004) 『国民生活白書 (平成 16 年版) 』 内閣府国民生活局編 (2002) 『NPO 活動の発展のための多様な評価システムの形成に向けて -NPO の評価手法に関する調査報告書-』 内閣府国民生活局市民活動促進課 (2002) 『中間支援組織の現状と課題に関する報告書』 中川雅之・栗田卓也 (2010) 「自発的公共財供給に関するシードマネーの効果-丸の内カフェを対 象としたフィールド実験-」 法と経済学研究 5 巻 1 号, 25-46 中島隆信 (2001) 『日本経済の生産性分析』 日本経済新聞社 新潟県 (2008) 『NPO と行政の協働マニュアル』

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Glaeser, Edward L. & Shleifer, Andrei, 2001. "Not-for-profit entrepreneurs," Journal of Public Economics, vol. 81(1), pages 99-115.

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参照

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