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Academic year: 2021

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(1)

精神科外来での摂食障害への対応

白梅学園大学 日本摂食障害学会 日本摂食障害協会 西園マーハ文 東京精神医学会 第110回 学術集会

(2)

利益相反(COI開示)

発表に関連し、開示すべきCOI関係にある企業などは ありません。

(3)

摂食障害と否認 (denial)

「ちゃんと食べてます。」 「どこも悪くありません。」 「吐いてません」 「嘘」なのか?? 離人症? 解離? 認知機能の問題? 低血糖?

(4)

治療への拒否感 治療関係の困難さ 病状 低栄養の程度 保健室 ケース 外来ケース デイケア ケース 任意入院 ケース 医療保護 入院ケース 受診せずに治癒するケースもいる 外来だけで治癒するケースもいる 早い段階で治療関係が作れるか・・・

病状と否認の諸段階

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摂食障害の1年期間有病率(one-year-period prevalence) 若年女性10万人あたり(オランダ) 医療のレベル 神経性食欲不振症 過食症 地域 370 1500 プライマリーケア医 160 170 精神科専門機関 127 87 Hoek, 1995 Currin,BJP, 2005 地域での有病率・医療機関受診率 プライマリケア受診者(英国) BN AN 受診に至ったケースは 貴重なケース。 治療脱落しないように!

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1. 摂食障害の治療の考え方の変遷 2. 本人の力を生かすガイデッドセルフヘルプの考え方 (1)神経性やせ症の治療に本人の力をどう生かすか? (2)神経性過食症の治療に本人の力をどう生かすか? 3. 治療の連続性 4. 慢性例への対応 本日のテーマ

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摂食障害の治療の考え方の変遷 強制 vs 見守り

(8)

Miss K.R. 14歳 162.6cm 28.6kg BMI 10.6

1887年4月21日

I’m quite well.

William Gull Lancet, 1888 19世紀イギリスの症例

(9)

<治療> ●薬物処方 塩化水銀、ヨウ化鉄シロップ、リン酸化鉄など ●暖める 暖かい服 ゴムチューブに湯を入れて脊髄を暖める ●食事 るいそうの程度に応じて、頻度を増やす

‘・・・some form of nourishing food every two hours, as milk, cream, soup, eggs, fish, chicken・・・’

The inclination of the patient must be in no way consulted.’

患者の希望は絶対に聞いてはいけない

<経過>

●死亡例もあるが概ね良く治る

‘・・・ by warmth and steady supplies of food and stimulants, the

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一 本 堂 行 餘 医 言 巻 五 ( 一 七 八 八 年 ) 香 川 修 徳 ( 修 庵 ) 不 食 不 食 の 證 も 亦 殆 ど 奇 疾 。 古 今 の 医 書 、 未 だ 明 ら か に 言 及 す る 者 有 ら ず 。 予 が 身 及 す る 所 を 以 っ て 既 に 三 十 人 を 余 す 。 多 く 是 れ 婦 女 に し て 、 男 子 只 二 、 三 有 る の み 。 其 の 證 、 他 に 苦 し む 所 無 し 。 只 だ 粇 食 を 思 は ず 、 或 い は 麦 飯 、 或 い は 糯 米 粉 、 或 い は 赤 小 豆 、 或 い は 豆 腐 屑 を 食 し 、 或 い は 偏 に 一 種 の 蒸 菓 を 好 む 。 或 い は 終 日 食 餌 を 喫 せ ず し て 、 飢 へ ず 。 ・ ・ ・ ・ ・ 一 室 の 女 、 年 十 六 、 只 だ 雪 花 菜 を 食 す 。 そ の 他 一 切 食 せ ず 。 父 母 之 を 憂 へ 、 予 に 請 ひ て 診 視 せ し む 。 「 ・ ・ ・ ・ 若 し 薬 を 投 ず れ ば 、 即 ち 諸 患 蜂 起 せ ん 」 と 。 其 の 父 母 堅 く 予 の 言 を 守 る 。 一 年 餘 し て 、 自 然 に 常 食 に 復 す 。

(11)

源 亜 槐 の 家 臣 沢 田 祐 房 が 妻 、 年 未 だ 三 十 な ら ず 。 忽 ち 此 の 證 を 患 ふ 。 ・ ・ ・ ・ 病 婦 若 し 食 さ ざ ら ん と 欲 せ ば 、 即 家 人 朝 に 勧 め 暮 れ に 進 め 懇 請 親 切 な り 。 ・ ・ ・ 主 公 之 を 怒 り 、 遂 に 乃 ち 苦 し み を 忍 び て 之 を 食 せ ば 、 即 ち 直 ち に 吐 す 。 ・ ・ ・ ・ 祐 房 又 灸 を 請 ふ 。 予 曰 く 、 「 灸 も 亦 た 為 す を 須 え ず 」 と 。 病 婦 の 喜 び 顔 色 に 見 る 。 遂 に 堅 く 予 の 算 を 信 じ て 、 他 言 を 容 れ ず 。 凡 そ 八 、 九 年 、 而 る 後 に 始 め て 三 、 五 日 の 間 、 偶 た ま 常 食 の 半 を 喫 す る を 得 、 或 い は 一 回 、 或 い は 二 回 、 延 い て 十 二 年 に 及 び て 、 常 に 復 す 。 ・ ・ ・ ・ 今 既 に 五 十 な り 。 ・ ・ ・ ・ 夫 妻 感 戴 拝 謝 す 。 実 に 治 せ ざ る を 以 っ て 真 の 治 法 と 為 す ・ ・ ・ ・ 。

(12)

AN「流行」時代 BN「流行」時代 患者数増加 成人例の増加 さらなる広がり 救命・栄養補給が優先 「強制」の要素あり 本人参加型治療の必要性 動機付けが必要 社会参加の援助も重要 思春期症例が中心 極端な「反医療」的な考え 患者層の変化による治療の考え方の変化 精神科治療全体が入院から外来(地域での治療)へ コモビディティーの増加 年齢層の広がり 慢性例への対応 認知行動療法の発展 Overtreatment? 完全に治るまで入院? Pro-ano, pro-mia文化として潜伏 フェミニズム 生活援助の重要性 育児援助のニーズも 症 例 報 告 時 代 「家族原因説」の修正(EE理論など)

(13)

セルフヘルプ・・・ ★自分で考えた食事の工夫、自力で考えた過食の我慢 など ・病気に取り組む姿勢は評価できる ・自分流の対処法がかえって、症状を悪化させることがある 強制でも静観でもない方法はないか?? ~ガイデッドセルフヘルプの概念~ ガイデッドセルフヘルプGuided Self-help:GSH(指導付きセルフヘルプ) ★技法としての「GSH」としては、ワークブックなどを使用することが多い ★過食症では、CBTの前にまず試みるべき治療として推奨される (NICEガイドライン) ★自分の取り組み(症状モニターなど)を治療者に報告してアドバイス を得る ガイド付き旅行、楽器のレッスンのイメージ。診察外の時間も治療に。 1週間に1時間治療・・・1/(24×7) 治療は人生の0.6% 2週間に30分治療・・・0.5/(24×14) 治療は人生の0.1% ★技法としてだけでなく、治療の考え方としても有効。ANにも活用可。

(14)

神経性やせ症の治療に、本人の力をどう生かすか? ≒本人が困っていることをどう聞き出すか

(15)

A.極端な低体重、成長の停滞 B.肥満恐怖・体重増加を妨げる持続した行動 C.自分の体重や体型の体験の仕方における障害 自己評価に対する体重や体型の不相応な影響,または現在 の低体重の深刻さに対する認識の持続的欠如 神経性やせ症の診断基準(DSM-5より抜粋) 診断基準に挙げられた症状は、他の疾患との鑑別に有用なもの中心 臨床的には、不安、抑うつ、不眠など診断基準にないものも重要 ※本人が困っている症状

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運動強迫 過活動 自己処罰的態度 疲労感の消失 支配観念 不眠・浅眠 やせ願望 過食 身体不満足 無力感 完全癖 対人不信 内的感情への気付きにくさ(アレキシシミア) 成熟不安 禁欲的態度 衝動コントロールの障害 社交(対人)不安

Eating Disorder Inventory(EDI, EDI-2, EDI-3) EDI-2の11のサブスケール

その他

診断基準以外の症状

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<頭の中の関心事グラフ> 体重、体型のこと テストのこと 友だち関係 本人が困っていることを探し出す 体重減少には困っていないが、体重のことしか考えられなく なったことは困っている。 「いつから?」 「その時の栄養状態は?」 初診の高校生

(18)

参考: 「小児科医のための摂食障害診療ガイドライン」 小児心身医学会ガイドライン集 南江堂 他に 「思春期やせ症の診断と治療ガイド」 文光堂 ★受診のかなり前から、ラインを外れ 始めていることが多い。その時の状 況を知ると心理的・環境的背景が推 測できる 「この時何があったんだろう?」 成長曲線を活用して、適応の状況を知る 本人が気付いていない心理的背景が推測できることもある 例 中学3年生2学期に養護教諭からの相談例 中学1年生の時から成長曲線が下方へ ※被災地からの転居ケース

(19)

<外来での対応> ★7000kcal の追加→体重1㎏の増加 ★1ヵ月で追加するとしたら・・・1日250~300kcal増 (吸収が悪いので、300kcalを目指す方が安全) ★300kcal増は、運動減でも飲食増でも良い *運動減には・・・・・・ 参考:国立健康・栄養研究所 改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』 http://www0.nih.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf *飲食増には・・・・・ 「クロワッサン1個追加でも、diet coke 300本追加でも あなたの好きなように」(Fairburn) ★1日33.3gの体重増を体重計で確認するのは無理。 生活習慣として上記を「毎日」続けてみること 栄養補給について本人の治療参加を促す方法

(20)

面接は短時間であっても、 とすると、「否認」を弱めるきっかけを作りやすい

本人の言葉を聞くための面接の工夫

本人、家族同席 ↓ 本人のみ ↓ 家族のみ ↓ 本人、家族同席

(21)

神経性やせ症の治療における「ガイデッドセルフヘルプ」 体重測定の前に「今日は何kgくらいだと思う?」と本人に聞く <外来> ★本人が困っていることは何かを考え、共有する ★体重や食事量について信頼できる報告が得られるような 治療関係 ★体重以外の症状の観察を促す。再発のサインとしても 体重以外に本人が気付けることがあると良い。(脈拍、体温、 睡眠時間) ★次の外来までの課題を出す

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0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 部分回復 (体重 回復) 完全回復 (心理 面も回復) 神経性やせ症の回復率 思春期で入院治療を受けた拒食症の回復率 Stroberら

Int J Eat Disord 1997

より一部グラフ化 (年) ★軽症例では回復はより高い ★重症例では、短期での完全回復は難しいが、2~8年にめざましく回復 ★体型へのこだわりなどの心理面の回復は後 ★身体が治っても心理面が未回復の時期は、再発に注意(この間、妊娠は可能) 神経性やせ症の経過

(23)

神経性過食症の治療に、本人の力をどう生かすか? ≒コントロール感の回復

(24)

神経性過食症の診断基準(DSM-5より抜粋) 理想が高すぎる スプリッティング 自己嫌悪(怒り、不安)→過食→嘔吐→自己嫌悪のサイクル その他 A.コントロールを失った過食行動 次のような「むちゃ食い」のエピソードの繰り返し。 (1)ある区切られた時間帯に、莫大な量の食事を食べる (慢性例では,「だらだら食い」も) (2)過食の間は,食べることを制御できないという感覚 (失コントロール感) B.体重を減らす行動(代償行動) 自己誘発性嘔吐;下剤,その他の薬剤の誤った使用; 絶食; 過剰な運動。 C.頻繁な症状 平均少なくとも 週1回、3ヶ月 D.自己評価は,体型および体重の影響を過度に受けている

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55例 Stepped care Sequential treatment 3割は症状なし 3割は症状なし 認知行動療法とセルフケアマニュアルとは、同等の効果がある 16週後 16例は専門治療必要なし 9例は治療の勧めに乗らず 16例は治療(平均3セッション) マニュアル 8週間 認知行動療法 (週1) 55例

Treasure, J. et al. Sequential treatment for bulimia nervosa incorporating a self-care manual. Brit J Psychiatry 168: 94-98,1996

1.病気の理解(心理教育) 2.症状モニター(モニタリング) 3.動機付け 4.規則正しい生活の回復 ガイデッドセルフヘルプの発展 ★その後、セルフヘルプを専門家が定期的に援助する方法が発展 電話 vs 対面 援助者は、かかりつけ医、看護師など摂食障害に特化した専門家でなくてよい ★ 専門家の治療が必要かどうかの「スクリーニング」的意味も NICEガイドラインでも、第一段階の治療として推奨 一般外来での治療を補うものとして学生相談室などでも使用可能

(26)

症状モニタリング ★症状を可視化 ★現実的なハードルを設定 ・本人はハードルを高くしがち ・毎日10000円の人は9800円から! →「昨日も今日も過食でダメだった」 ではなく、「ハードルを クリアでき た良い日」ができる ワークブックの1ページ: 症状の記録と対処

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第 1 週 2 日目 ○ 月 * 日 金 (曜日) ① 下記の時間表の上で、過食嘔吐の症状が出た時間を塗りつぶしてください 夜中の 12 時 正午 夜中の 12 時 過食 昼食( 2 時頃) 夕食( 9 時頃) 睡眠( 2 時半から 1 0時くらい) 症状モニタリング 食だけでなく、生活リズム全体に注目すること 過食症の症状コントロールワークブック 星和書店

(28)

心理教育・生活の規則化 最初は、3食や間食の時間を固定 何を食べるかよりいつ食べるかを重視 過食嘔吐 自己嫌悪 絶食 朝食 昼食 夕食 朝食 夕食 過食嘔吐 過食絶食の 悪循環のサイクル 過食嘔吐の後、普通の食事 サイクルに戻るパターン 間食

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絶食 過度の運動 空腹感 (血糖値の低下) 過食 嫌な気分 ・生活上生じるもの ・自分のルールを破ったことによるもの 嘔吐 一時的には安心 ★絶食すると逆効果ということの理解 ★決めた範囲の過食なら可とする、過食してもすぐに嘔吐しないなど、 悪循環を和らげる工夫 摂食障害:見る読むクリニック 星和書店 心理教育・悪循環の理解

(30)

1.3.1.2 医療関係者は、治療予後を良好にする可能性があるので、患 者に対して、エビデンスに基づいたセルフヘルププログラムの 実践を具体的に勧め、参加を援助するべきである。ある患者 群については、これだけで治療は十分ということもあるからで ある。B 1.3.1.3 成人の過食症患者には、過食症に特化した認知行動療法(CBT-BN)を提供するべ きである。治療期間は、4~5か月の間に、16から20セッションである。A 1.3.1.4 CBTに反応しなかったり望まない患者には、他の心理的治療を提供することを考慮する。B 1.3.1.5 対人関係療法をCBTの代わりに提供しても良いが、CBTと同様の効果を得るのに8~12カ 月を要することを説明するべきである。B 神経性過食症に対するNICEガイドラインの推奨 (レベルA: RCTあり レベルB: RCT以外の対照試験あり レベルC:それ以外)

(31)

1.3.2.2 患者は、抗うつ薬は、過食や嘔吐の頻度を減らすことはできるが、長期の効果が 不明であることを知らせるべきである。また、効果があるケースでは、すぐに効果 が現れることも知らせるべきである。B 1.3.2.5 過食症の治療には、抗うつ薬以外の薬物療法は勧められない。B 1.3.2.1 初期治療として、エビデンスに基づいたセルフヘルププログラムの代替治療ある いは、追加の治療として成人の過食症患者は、抗うつ薬を試してみても良い。B 1.3.2.3 受け入れやすさ、忍容性、症状の軽減効果などから過食症の薬物療法の第一選択 は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、特にフルオキセチンである。C

(32)

摂食障害歴なし 拒食症歴あり 過食症歴あり 拒食症+ 過食症歴あり 妊娠期・身体的暴力 2.9% 5.0% 3.6% 8.6% 妊娠期・心理的暴力 10.0% 17.5% 20.2% 26.1% 産後・身体的暴力 2.1% 3.5% 4.5% 3.8% 産後・心理的暴力 7.4% 16.2% 14.0% 18.3% 摂食障害生涯診断とパートナーからの暴力 (Intimate Partner Violence: IPV)

コミュニケーション能力? 言語化の困難? No と言えない? パートナーからの暴力 摂食障害 食べると殴られる??

Kothari R:Intimate Partner Violence among women with eating disorders during the perinatal period.International Journal of Eating Disorders 48:727-735,2015

(33)

★空腹感、満腹感の読み取り困難(アレキシシミア) ★空虚感、自己不全感 ★対人関係の難しさ 長く残り、産後問題となる症状 ※妊娠前の中心的問題 ★低体重 ★過食嘔吐の頻度 とは領域が異なる点に注意⇒診断基準を満たさない 状態になっていても、上記のような問題が残る場合がある

(34)
(35)

英国National Health Service (NHS)における治療の流れ GP (かかりつけ医) (医師・心理士・PSW 栄養士・家族療法士) 地域メンタルヘルスチーム (精神科医・看護師・心理士・PSW・作業療法士 家族療法士) 児童思春期地域メンタルヘルスチーム (精神科医・看護師・心理士・PSW・作業療法士 家族療法士) 摂食障害ユニット ★地域ケース、デイケアケース、入院ケース (精神科医・看護師・栄養士・心理士・PSW・作業療法士) NICEガイドライン 英国摂食障害協会(BEAT) 入院 入院 入院

(36)

ケアプログラムミーティングで話し合うこと (外来⇔デイケア⇔入院など、治療のセッティング が変わる時に気を付けること) ★現在の問題点 ★それらに対する対応 ★病状モニタリングの責任者 ★精神科の責任者は誰か ★再発の兆候をどう知るか ★再発の時の対応 ★今後治療に関わる人の連絡先、連絡方法 (統合失調症ほか、精神科全般の対応に同じ)

(37)

★退院後の治療 ★再発の可能性を減らす計画 ★再発のサイン ★過去の再発の経験から考えて、再発防止に役に立つこと ★過去の再発の経験から考えて、再発を招いてしまうこと ★再発し始めたら行うべきこと ★再発の時に特にこれだけは拒否したいこと ★再入院はどのようなときに行われるべきか

再発マネージメントカードの内容

(拒否的でない時に、治療方針を話し合っておく)

(統合失調症治療からのアイディア)

(38)

Severe and Enduring Eating Disorder: SEED 重症遷延性摂食障害 Paul Robinson

地域メンタルヘルスチームCommunity Mental Health Team (CMHT)が担当するSevere and enduring mental illness (SEMI) 相当の摂食 障害

統合失調症の治療との共通点

(39)

食事 決まったものしか食べられない 人と食事ができない 精神面 うつ、強迫 身体面 さまざまな合併症 住居 家族との同居は困難だが、一人暮らしをすると再発 貯めこみ、過度の節約により、住環境悪化 買物 食物や衣服等の買物困難 生活 自由な時間がない 家族 家庭内の孤立 患者役割が固定 対人関係 孤立 経済 過剰な倹約 低収入 就労 自己評価の低さによる就活困難 体力のなさ等による仕事維持困難 完全主義による困難 SEEDであることによるハンディキャップ ・最低限の体重維持・身体合併症への対応 ・仕事や対人関係の維持・孤立防止 ・うつ状態への対応 ・危機対応・親の高齢化後を考えておく SEEDとしての治療目標

(40)

Vandereycken W, van Humbeeck I: Denial and

concealment of eating disorders: A retrospective survey. Euro Eat Disorder Rev. 16: 109-114, 2008

対象:AN-R, AN-BP, BP, その他401名(当事者グループ) 平均24.8歳、発症から平均9.0年 回復3.7%、かなり改善19.5%、中等度改善41.9%、 変化なし21.4%、悪化13.5% ウェブ調査

病初期の否認現象~本人は「認める」ようになるのか~

(41)

★その時はわざとという意識は なかったが、 今考えればわざとだったという「認知」もある。 「体重測定の操作をした」 49.7% ※意図的だった 73% わざとだとわかってやっていた 今思えばわざとだった そもそも操作なし・あるいは今 も否認 ☆否認の程度には個人差がある ☆症状の経過と否認の経過は? 「拒否する、逃げる」 「水を飲む」 「重ね着する」 「重いものを隠し持つ」 他に・・・ ★「家族との食事を避けるための言い訳をした」82.9% ※意図的だった(その時点で故意と意識) 58% ★「普通に食べているようにふるまった」68% ※意図的だった 57%

(42)

批判はもっ ともだ 批判は一理あるがそれ ほど批判さ れるほどの ことでもない やっていない ことを非難さ れた 該当せず 家族との食事を避 ける 22% 35% 16% 27% 普通に食べている ふり 17% 28% 13% 42% 体重測定の操作 19% 13% 12% 56% <健康状態について> 自分では元気なので、どこも悪くないと思った 25.7% 異常があると思ったが、自分では認めなかった 21.7% <低栄養が続いた場合のリスクについて> 少し心配したが、深刻に考える程ではないと思った 35.4% そんなことは自分には起きないと思った 29.2% 周囲から、問題行動を批判された時どう思ったか? Vandereycken 2008

(43)

・家族や友達が、自分の食事や体重について、あまり批判 しなければ・・・・ はい 60.8%、わからない17.2%、いいえ22.0% ・摂食障害の治療のことを良く知っている専門家に出会えて いたならば・・・・ はい55.9%、わからない26・2%、いいえ17.9% ・摂食障害の人・回復者に話を聞けていれば・・・・ はい 36.9%、わからない25.9%、いいえ37.2% ・どのようなことがあっても同じくらい時間がかかっただろう はい 26.9%、わからない38.2%、いいえ34.9% もしこういう条件があれば、もっと早く自分が摂食障害だと 認識しただろう・・・(当事者への調査)

Vandereycken W et aI: Denial and concealment of eating disorders: A retrospective survey. Euro Eat Disorder Rev. 16: 109-114, 2008

(44)

デンマークからの報告 (Funen 島) 1977~と1994~の10年間2群の比較 多職種専門施設(外来)の開設により・・・ ★神経性やせ症の標準化死亡率 11.16→2.89 ★初診者(全診断)の初診時年齢 26.7 → 21.0 ★初診者(全診断)の初診時BMI 15.1 → 19.3 ★「発生」率(人口10万当たり、各年) 神経性やせ症 1.37→4.63 神経性過食症 0.38→4.15 特定不能の摂食障害 1.17→2.85 ★現在、神経性過食症の標準化死亡率は2.37 特定不能の摂食障害の死亡率は1.14

Does specialization of treatment influence mortality in eating disorders? – A comparison of two retrospective cohorts

Winkler et al. Psychiatry Research 230:165-171,2015

(45)

「摂食障害の治療というものは、治療者の精神科的な センスを最大限に求めてくるものであると思う。これを 逆にいえば、精神科の治療の中でも摂食障害は、統 合失調症とともに、最も精神科的な病態であると思 う。ここにおいて精神科治療の精髄が求められると思 う。精神科医にとっては、したがって、最大のチャレン ジになると思う。つまり一個の人間としての精神科医 の限界の極まりが提示されてくるような局面が展開さ れるのである」(小倉清 「思春期の臨床」(岩崎学術 出版)第12章、一部下坂幸三からの引用)

(46)

参考文献

Currin, L., Schmidt, U., Treasure, J., et.al.: Time trends in eating disorder incidence.

Brit J Psychiat 186: 132-135,2005

Garner DM: Eating Disorder Inventory-2 ; Professional Manual. Psychological

Assessment Resources, Inc. 1991.

Gull WW: Anorexia nervosa. Lancet 1: 516-517,1888

Hoek HW: The distribution of eating disorders. (In) Eating Disorders and Obesity

(Brownell K.D . and Fairburn C.G. ed) 201-211, The Guilford Press, New York, 1995. 香川修徳:一本堂行餘医言巻五、1788

Kothari R:Intimate Partner Violence among women with eating disorders during the

perinatal period.International Journal of Eating Disorders 48:727-735,2015

西園マーハ文.:摂食障害のセルフヘルプ援助: 患者の力を生かすアプローチ, 医 学書院, 2010 西園マーハ文編:専門医のための精神科臨床リュミエール 第28巻 摂食障害の 治療,中山書店, 2010 西園マーハ文:摂食障害治療最前線:NICEガイドラインを実践に生かす.中山書店, 2013 西園マーハ文:摂食障害における病識.精神科治療学 30:1327-1332,2015 西園マーハ文,群馬病院摂食障害治療チーム: 過食症短期入院治療プログラム. 星和書店,2017 西園マーハ文:過食症の症状コントロールワークブック. 星和書店,2017

Robinson PH: Community treatment of eating disorders. John Wiley & Sons, Chichester, 2006

(47)

Robinson PH: Severe and Enduring Eating Disorder: SEED. Wiley-Blackwell, 2009

Strober, M., Freeman, R., Morrell, W.: The long-term course of severe anorexia nervosa in adolescents: Survival analysis of recovery,

relapse, and outcome predictors over 10-15 years in a prospective study. Int. J. Eat. Disord., 22: 339-360, 1997.

鈴木真理、西園マーハ文、小原千郷:摂食障害:見る読むクリニック. 星和書店、 2014

ジャネット・トレジャー(傳田健三他訳):拒食症サバイバルガイド.金剛出版, 2000

Vandereycken W, Denial of illness in anorexia nervosa-A conceptual review: Part 1 Diagnostic significance and assessment. Euro Eat Disord Rev. 14: 341-351, 2006

Vandereycken W, Denial of illness in anorexia nervosa-A conceptual

review: Part 2 Defferent forms and meanings Euro Eat Disord Rev. 14:

352-368, 2006

Vandereycken W, van Humbeeck I: Denial and concealment of eating disroders: A retrospective survey. Euro Eat Disord Rev. 16: 109-114, 2008

Winkler et al. Does specialization of treatment influence mortality in eating disorders? – A comparison of two retrospective cohorts Psychiatry Research 230:165-171,2015

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国立精神・神経医療研究センター 心身医学研究部門HPに

参照

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