• 検索結果がありません。

アジア太平洋研究科 博士学位論文要旨

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "アジア太平洋研究科 博士学位論文要旨"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Form HJ (S→O)

アジア太平洋研究科 博士学位論文要旨

ポスト冷戦期における日本の対インドシナ・メコン地域政策

―インドシナ総合開発フォーラムを中心に―

学籍番号 4010s011-7 島林孝樹 主指導教員 白石昌也教授

Keywords : インドシナ総合開発フォーラム, インドシナ・メコン地域政策, ODA 援助政策

[問題背景]

現在、インドシナ・メコン地域において一国レベルを超えた地域協 力が展開されている。これらの地域協力においては、援助対象国のみ ならず地域全体にメリットが及ぶような広域的な意義が付与されて いる。こうした中、域外国である日本も、地域全体に跨がる問題を解 決するために、対インドシナ・メコン地域政策を打ち出してきた。こ のような一国のみならず国境を越えた問題や課題に対する取り組み は今後ますます求められる。そうであるならば、インドシナ・メコン 地域政策は、一稿を割くに値する研究課題であると言える。インドシ ナ・メコン地域政策がどのように展開していったのかを詳細に跡付け ることで、日本の地域政策の一角を示すことが期待できる。

[研究対象]

本論では、日本が提唱した対インドシナ地域政策の1つである「イ ンドシナ総合開発フォーラム」(FCDI: Forum for Comprehensive Development of Indochina)を中心に取り上げる。FCDIは、1993 年1月に宮澤喜一首相によって提唱された地域協力の枠組みである。

その目的は、多くの参加国や国際機関の関心を集め、インドシナ地域 開発に関する情報や意見を交換、議論することにあった。

この FCDI は、日本による対インドシナ地域政策の先駆けとして 位置づけられる。したがって、日本が、いかに地域政策を展開するよ うになったのか、その過程を分析できるという意味で、FCDIに一稿 を割く価値は大いにある。

[先行研究における本論の位置付け]

日本によるインドシナ・メコン地域政策を論じた先行研究は多数存 在する。先行研究の大半で採用されている代表的なアプローチは、具 体的な協力枠組みの変遷を通して、地域政策の展開を跡付けるという 方法である。乱立とも称されるように、地域協力の枠組みが多数存在 する中、日本の地域政策を1つ1つの協力枠組みの変遷の中で跡付け ていく作業は非常に重要である。協力枠組みの変遷という巨視的な視 点から捉えるアプローチは、地域政策の全体像を知るという意味にお いても非常に大きな意義を有する。

その反面、1つの協力枠組み自体がどのように展開されてきたのか、

その過程を一次資料に基づき詳細に跡付けた研究はそれほど多くな い。しかし、各協力枠組みの変遷を跡付け、相互の関連をみていくだ けでは、ある特定の時期に打ち出された地域政策の特質を見過ごして しまう可能性がある。一口に地域政策といっても、時期や状況によっ てその内容や意図は異なる。そのため、ある特定の時期に打ち出され た地域政策の特質を把握するためにも、1つの協力枠組みの提唱から 終焉に至るまでの形成過程を詳細に跡付ける作業が求められる。

[本論の目的]

本論では、FCDI の提唱から終焉に至る過程を跡付けることで、

FCDIの全体像を提示するとともに、ポスト冷戦期における対インド シナ地域政策の特質を論じることを目的としている。

上記の目的を達成する上で、本論では4つの視角を設定する。第1 の視角は、なぜ FCDI という、インドシナ開発に関する議論の場を 日本の政策担当者が提供したかという点である。第2の視角は、FCDI を展開する上で、地域政策の具体的な中身として、どのような対応や 方針がとられたのかという点である。第3の視角は、なぜ、そもそも

インドシナ3国を一括して、地域を対象にした政策を打ち出す必要が あったのかという点である。第4の視角は、日本の対インドシナODA 援助政策との関連である。以上の4つの視角から、FCDIの形成過程 を跡付けることで、FCDIの全体像を提示するとともに、ポスト冷戦 期における対インドシナ地域政策の特質を論じることとする。

[依拠資料]

上記の目的を達成するためにも、一次資料を経年的に読み込んでい く作業が必須となる。一次資料を用いた分析は、より実証的な研究を 可能にする。さらには、先行研究では提示されていない新たな事実を 浮き彫りにできる可能性をも有している。その意味で、本論は当該分 野の研究においても一定の貢献を果たせると考えられる。

本論で扱う依拠資料には、外務省が発行している年次刊行物、

FCDIに関する外交記録(日本外務省外交史料館で公開された資料、

情報公開法に基づく開示請求によって入手した資料)、国会議事録な どが想定される。さらに本論ではこれらの資料に加え、政策担当者と のインタビューから得た情報を加える。

[章構成]

本論の構成は、序章、第1章から第5章、および終章からなる。

第1章では、FCDIが提唱される以前における日本の対インドシナ地 域政策に関する議論の過程および宮澤喜一首相による東南アジア歴 訪の過程を跡付ける。第2章では、準備会合開催までに行われた協議 および準備会合で行われた議論が主な分析対象となる。そして第 3 章では、閣僚会合開催に向けて、日本国内や国際的な場においてどの ような議論が行われたのかをみていくこととする。さらに第4章では、

閣僚会合においてどのような取り決めが行われたのか、合意事項や今 後の方針を明らかにしていく。また閣僚会合を通して、日本からはど のような貢献が打ち出されたのかを同時に明らかにしていく。続く第 5章では、閣僚会合以降に実施された取り組みをめぐり、どのような 議論が行われてきたのかを明らかにする。さらに、政策担当者が FCDIを取りやめることを決定した要因を提示する。上記の取り組み を通じて、終章では FCDIに関する総括的検討が行われる。FCDI の全体像を明らかにすると同時に、ポスト冷戦期における対インドシ ナ政策の特質が明らかにされる。その作業を通じて、日本によるイン ドシナ・メコン地域政策の一角を示す一助としたい。

[主要参考文献].

小笠原高雪「インドシナ外交戦略の変容―ASEANディバイドをどう 是正するのか」末廣昭、山影進編『アジア政治経済論―アジアの 中の日本をめざして』NTT出版, 2001.

島林孝樹「インドシナ総合開発フォーラムに対する新たな意義づけ―

外交当事者の認識を中心に」『東南アジア―歴史と文化』41, 2012.

白石昌也「ポスト冷戦期インドシナ圏の地域協力」礒部啓三編『ベト ナムとタイ』大明堂, 1998.

白石昌也「日本のインドシナ・メコン地域政策の変遷」『アジア太平 洋討究』17, 2011.

Shiraishi, Masaya, “Japan and the Reconstruction Indochina”, in Guy Faure ed.,New Dynamics between China and Japan in Asia, Singapore: World Scientific, 2010.

参照

関連したドキュメント

必要量を1日分とし、浸水想定区域の居住者全員を対象とした場合は、54 トンの運搬量 であるが、対象を避難者の 1/4 とした場合(3/4

LF/HF の変化である。本研究で はキャンプの日数が経過するほど 快眠度指数が上昇し、1日目と4 日目を比較すると 9.3 点の差があ った。

析の視角について付言しておくことが必要であろう︒各国の状況に対する比較法的視点からの分析は︑直ちに国際法

特に(1)又は(3)の要件で応募する研究代表者は、応募時に必ず e-Rad に「博士の学位取得

第76条 地盤沈下の防止の対策が必要な地域として規則で定める地

「そうした相互関 係の一つ の例 が CMSP と CZMA 、 特にその連邦政府の政策との統一性( Federal Consistency )である。本来 、 複 数の省庁がどの