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量子スピン系における磁化率の異常に関する研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

量子スピン系における磁化率の異常に関する研究

相場, 信孝

http://hdl.handle.net/2324/4474935

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(理学), 課程博士 バージョン:

権利関係:

(2)

(様式6-2)

氏 名 相場 信孝

論 文 名 On the anomaly of susceptibility for quantum spin systems

(量子スピン系における磁化率の異常に関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学 准教授 野村 清英 副 査 九州大学 教授 福田 順一 副 査 東京大学 准教授 桂 法称

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

本学位論文の主題は,量子スピン系における磁化率の異常を,数値計算で研究し解析的に解明す ることである.ここで「磁化率の異常」とは,磁化率自体の発散だけでなく,非線形磁化率など高 階微分量の発散も含んでいる.臨界現象に伴い,磁化率などの感受率が発散することはよく知られ ている.これに対し非線形磁化率は実験的にも応用上でも重要であるが,非線形磁化率と臨界現象 の関係についての研究はそれほどなされていない.また,量子系を数値計算で研究する場合,有限 サイズ効果を適切に扱わないと熱力学的極限の挙動が理解できない.

従来の数値計算による研究では,磁化―磁場曲線が主に扱われている.また,磁化率については,

各磁化での最小エネルギーを磁化で2階微分した量の逆数として,数値計算から求めることができ る.これらにより,基底状態と励起状態間のエネルギーギャップについての情報を得ることができ るが,エネルギーギャップが小さい場合の解釈が難しかった.エネルギーギャップが0の場合は量 子臨界現象として扱えるので,その面からの研究が重要である.

本学位論文では,磁化率に加え,基底エネルギーを磁化で4階微分した量 A を数値計算で求め る方法を提案し,その方法を具体的にスピンS=1/2 反強磁性XXZ鎖

 

N

= i

z + j z j y

+ j y j x

+ j x

jS +S S + S S

S

= H

1 1 1 1

に適用した.この系は、∆≤ −1では強磁性相、−1<∆ ≤1ではTomonaga-Luttinger 相、>1で は反強磁性相となることが知られている.本学位論文の数値計算の結果では,磁化率の逆数を使う

>1で発散が見られた.一方,4階微分 A については,>1/ 2 で発散が見られた.つまり,

これら2つの量の発散の開始点が異なる.∆= 1 での相転移は Kosterlitz-Thouless (KT)転移にあ たり,従来から知られていた.一方1/2<∆≤1 での4階微分 A の発散はKT 転移とは異なる現 象である.

さらに本学位論文では考察を進め,一つはベーテ仮説による厳密解,もう一つは共形場理論と繰 り込み群を組み合わせた解析的理論から,数値計算の結果を説明した.特に有限サイズでのスケー リングの挙動をうまく説明できた.以上から磁化率の異常の開始点と,4階微分 A の発散の開始点

= 1/ 2が異なることが解析的にも確認された.また,3階微分 D についても発散が見られること

を報告している.

本学位論文の方法論は,厳密解が知られてない場合にも応用でき,発展性がある.また,3階微 分 D や 4階微分 A は,実験系での非線形磁化率と結びつけることができる.

(3)

以上の結果は、物性物理学での非線形磁化率と臨界現象について重要な知見を与えるものである.

よって、本研究者は博士(理学)の学位を受ける資格があるものと認める。

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