• 検索結果がありません。

資料目次

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "資料目次 "

Copied!
143
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

第Ⅰ章 序 ... 1

1.緒言 ... 1

2.研究の目的 ... 2

3.研究の意義 ... 2

4.研究の前提 ... 3

5.用語の操作的定義 ... 5

第Ⅱ章 文献検討 ... 6

1.重症心身障害児をとりまく歴史的変遷と現状 ... 6

2.在宅重症心身障害児の母親に関する研究 ... 7

1)文献検索と分析対象とする文献の選定 ... 7

2)データの分析方法 ... 7

3)結果 ... 8

3.予備研究への示唆...15

第Ⅲ章 予備研究 ...16

1.研究目的 ...16

2.研究方法 ...16

1)研究対象 ... 16

2)データの収集方法 ... 16

3)データ収集期間 ... 16

4)データ分析 ... 16

3.倫理的配慮 ...16

4.結果 ...17

1)研究対象者の背景 ... 17

2)重症児との在宅生活とストレスの認知およびその対処行動を構成するカテゴリー ... 17

(2)

5.考察 ...22

6.本研究の限界と今後の課題 ...24

7.「重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデル」の概念枠組み ...24

8.重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知の構成概念の定義 ...27

第Ⅳ章 研究方法 ...29

1.研究デザイン ...29

2.対象 ...29

1)対象の抽出 ... 29

2)対象の条件 ... 30

3)対象のリクルート方法 ... 30

3.データ収集方法 ...30

4.測定用具 ...30

1)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の作成 ... 30

2)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の質問項目の洗練 ... 31

3)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の構成概念妥当性の検証 ... 32

4)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の基準関連妥当性の検証 ... 33

5)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の信頼性の検証 ... 33

6)属性 ... 33

7)養育の大変さ ... 34

5.分析方法 ...35

6.倫理的配慮 ...35

第Ⅴ章 結果 ...36

1.調査施設および回収率 ...36

2.重症児の状態...36

(3)

3.家族との関わりあいの認知 ...36

4.母親の状態 ...37

5.母親のストレス反応:養育の大変さ ...38

1)養育負担感の状況 ... 38

2)因子分析および因子の命名 ... 38

6.母親のストレス反応:体調の認知の状況 ...39

7.「重症児の母親の体調に関する質問紙」の妥当性と信頼性の検討 ...39

1)探索的因子分析 ... 39

2)構成概念の検討1 ... 39

3)構成概念の検討2 ... 41

4)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の信頼性の検証 ... 41

8.体調の自覚を予測する変数 ...41

9.体調の認知における5つの下位尺度間の関係性 ...42

10.対象者の特性間の関連 ...43

11.母親のストレス反応との関連 ...43

1)対象者の特性と「体調の認知」との関連 ... 43

2)対象者の特性と「養育の大変さ」との関連 ... 44

3)対象者の特性と『サポートとその認知』との関連 ... 44

4)対象者の特性と『子どもに対する思い』との関連 ... 45

5)影響要因(『サポートとその認知』、『子どもに対する思い』)と母親のストレス反応(「体調の認知」、「養 育の大変さ」)との関連 ... 45

6)『サポートとその認知』と『子どもに対する思い』の関連 ... 46

12.重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデル ...46

1)モデルに投入した変数 ... 46

(4)

2)モデルの決定プロセス ... 47

13.多母集団同時分析 ...50

(1)重症度別多母集団同時分析 ... 50

(2)児の所属施設への付き添い要不要別多母集団同時分析 ... 50

14.自由記述の集計結果 ...51

第Ⅵ章 考察 ...53

1.「重症児の母親の体調に関する質問紙」の信頼性および妥当性 ...53

1)サンプリング ... 53

2)本研究の対象者である母親の特徴 ... 54

3)「重症児の母親の体調に関する質問紙」の信頼性および妥当性 ... 54

2.重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデルの有効性 ...55

3.重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知 ...56

1)最適モデルにおける構成概念間の関係性 ... 56

2)重症度別および付き添いの要不要別における構成概念間の関係性 ... 61

第Ⅶ章 看護への提言 ...64

第Ⅷ章 研究の限界と今後の課題 ...68

第Ⅸ章 結論 ...69

第Ⅹ章 引用文献 ...71 謝辞

資料

(5)

表目次

表 1 重症心身障害児の母親のストレスの状況 ... 8'

表 2 母親の対処 ... 11'

表 3 アウトカム ... 13'

表 4 重症児の属性 ... 36'

表 5 重症児の医療的ケア・介助・重症度 ... 36''

表 6 所属施設および重症度と付き添い ... 36'''

表 7 重症度と年齢区分 ... 36'''

表 8 家族の属性 ... 37'

表 9 母親の属性 ... 37''

表 10 サポートとその認知 ... 37'''

表 11 子どもに対する思い ... 37'''

表 12「養育の大変さ」の状況 ... 38'

表 13「養育負担感尺度」の因子分析結果 ... 38''

表 14 母親の体調の認知状況 ... 39'

表 15「重症児の母親の体調に関する質問紙」の因子分析結果 ... 39''

表 16 全般的体調と体調の認知の相関関係 ... 41'

表 17 体調の自覚 ... 41''

表 18「いつもなら穏やかに見守れる場面でも、見守れなくなっている」の自覚の有無を予測する変数 ... 42'

表 19「日頃は何も感じずにできている準備などがおっくうである」の自覚の有無を予測する変数 .... 42'

表 20「弱音をはきたい気持ち」の自覚の有無を予測する変数 ... 42'

表 21 児および母親の状態と付き添い要不要との関連 ... 43'

表 22 所属施設別付き添い負担感 ... 43'

表 23 児の状態と母親の睡眠時間との関連 1 ... 43''

表 24 児の状態と母親の睡眠時間との関連 2 ... 43''

表 25 児の状態とケア代替時間との関連 1 ... 43'''

表 26 児の状態とケア代替時間との関連 2 ... 43'''

表 27 児の状態と「児の健康状態の不安定で不安だ」との関連 ... 43'''

表 28 対象者の特性と<情動反応の不安定度>との関連 ... 43''''

表 29 対象者の特性と<疲労回復困難度>との関連 ... 44'

(6)

表 30 対象者の特性と<疲労回復困難度>との関連 2 ... 44''

表 31 対象者の特性と<切迫感>との関連 ... 44'''

表 32 対象者の特性と<身体的違和感>との関連 ... 44'''''

表 33 対象者の特性と<免疫力の低下>との関連 1 ... 44''''''

表 34 対象者の特性と<免疫力の低下>との関連 2 ... 44''''''

表 35 対象者の特性と≪役割遂行の難しさ≫との関連 ... 44'''''''

表 36 対象者の特性と≪養育上の不安や迷い≫との関連 1 ... 44'''''''''

表 37 対象者の特性と≪養育上の不安や迷い≫との関連 2 ... 44'''''''''

表 38 対象者の特性と≪児のケアの大変さ≫との関連 ... 44'''''''''''

表 39 対象者の特性と『サポートの尐なさ』との関連 1 ... 45'

表 40 対象者の特性と『サポートの尐なさ』との関連 2 ... 45'

表 41 影響要因:子どもに対する思いの因子分析結果 ... 45''

表 42 対象の特性と『母子分離困難』との関連 1 ... 45'''

表 43 対象の特性と『母子分離困難』との関連 2 ... 45'''

表 44 対象の特性と『自立への希望』との関連 1 ... 45'''''

表 45 対象の特性と『自立への希望』との関連 2 ... 45'''''

表 46『サポートの尐なさ』『母子分離困難』『自立への希望』と「体調の認知」「養育の大変さ」間の相関関係45'''''' 表 47『サポートの尐なさ』『母子分離困難』『自立への希望』と「体調の認知」「養育の大変さ」との関連 ... 46'

表 48『サポートとその認知』と『子どもに対する思い』の関連 1 ... 46'''

表 49『サポートとその認知』と『子どもに対する思い』の関連 2 ... 46'''

表 50 モデル適合度の比較 ... 47'

表 51重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデルの分析結果および部分評価 .... 47'''

表 52 重症度別集団の異質性の検証結果 ... 50''''

表 53 付き添い要不要別集団の異質性の検証結果 ... 51'''

表 54 自由記述内容分類結果 ... 51''''

(7)

図目次

図 1 文献検討の統合図 ... 14'

図 2 カテゴリーの関連図 ... 17'

図 3 重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデルの概念枠組み ... 26'

図 4 重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知のサブストラクション ... 30'

図 5 全般的健康状態の分布(VAS スケールによる測定) ... 37''

図 6「重症児の体調に関する質問紙」確認的因子分析結果 ... 40'

図 7 体調の認知における下位尺度が<情動反応の不安定度>の変化に及ぼす影響... 42''

図 8 体調の認知における下位尺度が<疲労回復困難度>の変化に及ぼす影響 ... 42''

図 9 体調の認知における下位尺度が<切迫感>の変化に及ぼす影響 ... 42''

図 10 体調の認知における下位尺度が<身体的違和感>の変化に及ぼす影響 ... 42'''

図 11 体調の認知における下位尺度が<免疫力の低下>の変化に及ぼす影響 ... 42'''

図 12 重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデル ... 47''

図 13 体調不良」から「サポートの希求」への影響の分析結果 1(モデル 1) ... 48'

図 14「体調不良」から「サポートの希求」への影響の分析結果 2(モデル 2) ... 48''

図 15「養育負担感」から「サポートの希求」への影響の分析結果(モデル 3) ... 48'''

図 16「養育負担感」から「サポートの希求」および「体調不良」への影響の分析結果(モデル 4) ... 48''''

図 17 重症度別多母集団同時分析結果 1「超重症児の母親」の認知 ... 50'

図 18 重症度別多母集団同時分析結果 2「準重症児の母親」の認知 ... 50''

図 19 重症度別多母集団同時分析結果 3「その他の重症児の母親」の認知 ... 50'''

図 20 付き添い要不要別多母集団同時分析結果 1「付き添いをしている母親」の認知 ... 51'

図 21 付き添い要不要別多母集団同時分析結果 2「付き添いをしていない母親」の認知 ... 51''

(8)

資料目次

資料 A予備研究から作成した質問項目 ... i

資料 B文献検討から追加した質問項目 ... i

資料 C文献検討・予備研究から作成した質問項目の統合 ... ii

資料 D養育負担感尺度 ... iii

資料 E内容妥当性検討の依頼書 ... iv

資料 F内容妥当性検討の調査用紙 ... v

資料 G表面妥当性検討の依頼書 ... vii

資料 H表面妥当性検討の調査用紙 ... viii

資料 I本調査の質問紙の依頼書 ... xiv

資料 J本調査の質問紙 ... xv

(9)

1

第Ⅰ章 序

1.緒言

医療技術および医療機器の進歩により、入院期間が短縮化され、複雑なニーズを持っている重 症心身障害児の生活の場が病院から家庭へと移行している。子どもにおいて家族とともに過ごせる ことは必要なことであり、家族においても自分の子どもと過ごせることは、かけがえのない時間でもあ る。しかし、在宅生活児が利用できる社会資源の不十分さなどがまだ解決されていない中で在宅 生活に移行することは、家庭での主なケア提供者である母親の負担 および家族の負担の増大が 生じ、子どもとともにいたいという気持ちだけでは在宅生活 を継続しにくい状況をもたらす。既存研 究でも、母親のストレスを負担感、育児ストレスなどで測定し、重症心身障害児の母親は強いストレ スおよび養育負担感を抱えている(松岡ら,2005;山口ら,2005;久野ら,2006)。在宅重症心身障害児 の母親に対する主な支援として、訪問看護(大須賀,2007a)、一時的にケアを代替するレスパイトケ ア(泊ら,2006)、受診・入院時の助言および指導(笛木ら,2008)があり、とくにレスパイトケアは自身の 出産および入院など緊急性の高いイベントおよび家族の用事などの時に利用しているという報告 (田中ら,2003)がある。また、夫の協力 、友人からのサポートなども母親の負担を軽減させる(牛尾 ら,2006)。サポート 利 用 などの対 処 はストレス反 応 を緩 和 さ せる働 きもあると言 われている (沼 口 ら,2005)が、サポート利用に対して消極的な思いがあるという報告(向出ら,2002)もある。

Lazarus ら(Richard S. Lazarus et al.,1984)はストレスの対処には問題中心の対処と情動中心の 対処の二つがあり、それらを組み合わせながら対処していると述べている。具体的な問題解決には、

問題中心の対処が有効であるが、多くの重症心身障害児の母親は、情動中心型の対処をとって いたという報告もある(西尾ら,2006)。さらに、母親は、眠気感、倦怠感が強い(松岡ら,2005)、イライ ラする(上里ら,2003)などの症状を抱えていることも報告されていることから、それらの対処方法では ストレスの軽減には不十分であると推測される。

以上のように、在宅生活において主なストレッサーとなるものおよびストレスの状態については研 究がされてきた。ストレスを軽減するための援助も示唆として多く得られ、子どもの状態を安定させる だけではなく、在宅生活を担っている母親自身も健康であることが重症心身障害児 および家族の 生活にとって重要であることが言われてはいる。しかし、実際に母親の負担感が大きいことおよび解 消されない身体症状を抱えている現状があることは、母親の対処行動としての保健行動が日常生 活行動に優先されにくいと推察できる。対処行動に先行するものとして、状況の認知があり、認知 の仕方がそれに続く対処行動に影響していると考えられ、母親の対処行動を改善していけるような ケアの提供のために、認知の状況を把握する必要がある。

(10)

2

そこで、本研究では、母親の重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデ ルを構築し、看護への示唆を得ることを目的とする。

2.研究の目的

重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデルを構築し、看護への示唆を 得ることを目的とする。また、研究目標は以下の 4 つとする。

(1)文献検討により、重症心身障害児を取り巻く状況と母親のストレスの状況、その対処、アウトカム を明らかにする

(2)予備研究により、在宅重症心身障害児の母親のストレスの認知とその対処行動 を明らかにし、

文献検討の結果と合わせて概念枠組みを作成する

(3)「重症児の母親の体調に関する質問紙」を作成し、信頼性・妥当性の検証をする

(4)「重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデル」を構築し、看護への示 唆を得る

3.研究の意義

重症心身障害児と在宅生活をしている母親は、児のケアおよび家族のケアなどに関する多くの ストレッサーを抱え、自己の限界を超えながらもそれらに対処している。在宅生活を支える母親が、

自己の健康状態も含めた母親自身の状況の認知ができることは、保健行動などの対処行動への ステップとなる。また看護職においても、母親の認知の状況を確認できることでケアの改善につなげ ることができる。在宅生活を担う母親を支援することは、在宅生活の維持 において重要なことであ る。

本研究では、「重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデル」を構築す ることにより、以下の意義が考えられる。

第一に、小児在宅看護においては、子どもの状態を安定させながら家族の生活も維持すること が在宅生活継続における基本であり、子どものケア、家族のケア、母親自身のケアなどの役割の調 整を求められている。母親の負担を軽減するために支援を組み合わせながら役割を調整できること が望まれるが、支援の受け入れやすさは、状況の認知のされ方により異なると考えられる。 本モデ ルにより母親の認知の状況を把握し、認知のされ方に合わせた援助の検討ができることから、本モ デルは、在宅支援におけるガイドとなりうる。

(11)

3

第二に、在宅生活を担う母親自身においては、「重症心身障害児と家族の在宅生活維持にお ける母親の認知モデル」の構成尺度の一つである「重症児の母親の体調に関する質問紙」を母親 自身が利用することで、自分の体調に目を向けにくい状況においても、自分をいたわるきっかけと なり、母親の健康に対しても意識を向ける手立ての一つとなると考えられる。

第三に、2005 年 10 月に施行された障害者自立支援法との関連における社会的意義が挙げら れる。障害者自立支援法は、障害者の自立と共生社会の実現を目指した法律で、2008 年 12 月に その見直しが報告された。見直しでは、「相談支援 および家族支援の充実」として、家族に対する 養育方法の支援およびレスパイトの支援の重要性が言及され、家族の養育能力の向上、家族の 精神的・身体的な負担感の軽減が目指されている。在宅生活は主に母親が担っていることが多く、

家族の養育能力として母親の果たす役割は大きい。本モデルによって、養育の状況、母親の精神 的・身体的負担の状況、それらに影響する要因の把握により支援の方向性も明確になることから、

本モデルは母親の QOL の向上という意味で社会的にも意義のあるものと考える。

4.研究の前提

本研究は、母親の子どもに対する思いおよび利用できるサポートの尐なさなどにより、重症心身 障害児と在宅生活をする母親の対処行動が限定される状況における、母親の認知に焦点を当て、

そのモデルを構築するものである。

Lazarus ら(Richard S. Lazarus et al.,1984)は、ストレス認知理論を提唱した。ストレス認知理論モ デルは、ストレスと認知された場面におけるさまざまな出来事がストレッサーとなり、ストレッサーの認 知的評価・対処を通して適応していく過程を示したものである。認知的評価・対処は、個人の要因 および環境の要因という先行条件に影響され、また、個人の要因および環境の要因は相互関係の 中で互いに依存しあうとされる。このプロセスの結果、心理的、身体的ストレス反応という長期的な 適応または、不適応状態が生じる。ストレス認知理論モデルは、ストレスの発生機序を理解し、スト レス反応の個人差を説明するものとして評価できる。このストレス認知理論に基づき、 要介護高齢 者の在宅介護者のストレスを説明するために開発されたモデルが、Pearlin ら(1990)によるストレスプ ロセスモデルである。このモデルでは、要 介 護 高 齢 者 の痴 呆 の程 度 および日 常 生 活 動 作 能 力

(ADL)などの客観的指標と負担過多などの主観的指標は一次ストレッサーとされ、それらが家庭、

仕事の葛藤、経済的問題などの二次的役割ストレインに影響を与え、さらに自尊感情、自己喪失 などが二次的精神内的ストレインに影響し、最終的に在宅介護者の well-being および健康が決定 される。そして、それぞれの段階で、コーピングとソ-シャルサポートが媒介変数として影響を与える

(12)

4

とされた。中川(2007)は、このモデルを重症心身障害児の母親に適用し、母親のケア役割の認識 とサポートおよび well-being の関係を示した。しかし、母親にとって重症心身障害児は、わが子で あり、ケアの必要なわが子への基本的立場だけではなく、子育てという面からも、高齢者の介護とは 違った側面もあると考え、ストレス認知理論に基づき開発されたストレスプロセスモデルを適用する ことは難しいと考えた。

重症心身障害児と在宅生活をする母親は、重症心身障害児のケアに関すること、障害の受容、

受診のタイミングなど多くの意思決定を求められる状況に加え、家族の状態、母親自身の状態など のストレッサーを抱えており、それらの認知的評価・対処の積み重ねを通して在宅生活を維持して いる。ストレッサーの認知的評価・対処には、重症心身障害児 および家族に対する思い、サポート に対する思いなど、ストレス認知理論モデルにおけるストレスコーピングの先行条件である、個人の 要因および環境の要因の影響が大きいと考えられる。

また、母親の認知のうち、特に母親の体調の変化の認知については、半健康状態を示す症状 の認知と考えることができる。半健康状態が、ストレッサーとして認知される場合と、ストレッサーとし て認知されずにいる場合があると考えられ、ストレス認知理論だけでは説明しきれない。重症心身 障害児の母親の場合、日常生活行動において母親自身のケアの優先性が低いこともあり、母親自 身の状態の認知自体が消極的であることも考えられる。しかし、母親の健康状態に対する認知は、

なんらかの保健行動をとることにつながる重要な認知であり、母親の well-being を高めるために必 要なものであると考える。そこで、健康状態に対する認知は保健行動動機であると考え、母親の体 調の変化の認知については、宗像(1978)の保健感覚モデルを前提とする。

保健行動の動機は、保健欲求と呼ばれる行動原動力と保健態度と呼ばれる保健行動を志向す る多様な心理作用の持続的構えの二つから構成される。保健態度は、認知的側面および感情的 側面から形成される。保健信念モデルは、保健態度の認知的側面を主としてモデル化したもので、

ミシガン大学公衆衛生校派の人脈を中心に開発されてきた。保健感覚モデルは宗像( 1978)が、

保健態度の感情的側面を主としてモデル化したもので、健康問題の存在を感知する手がかりとし ての感覚(感知感覚)とその健康問題の解決に必要とされる行動自体の好みとしての感覚 (行動感 覚)から保健態度が形成されるとしている。感知感覚の例には、毎日食欲がない、いつも背中が痛 いなどがあり、行動感覚には、塩辛い食物でないと食べた気がしない、風呂に入らないと落ち着か ないなどがある。この保健感覚モデルでは、母親の体調の変化が手がかりとしての感覚つまり感知 感覚となり、その感覚を手掛かりとして、必要な反応としての保健行動が判断されていることが説明 できる。宗像(1987)は、保健行動が日常生活行動に優先されるかどうかは、保健行動の優先性や

(13)

5

周りの人からの保健行動への期待という保健規範などに影響を受けること、病気への感受性(感知 感覚)が高いと、軽症段階での受療行動を促す有意な直接効果があることを報告している。母親の 体調の変化に対する感受性が高いことは、早い段階での保健行動をとることにつながると考えられ、

健康状態の維持および早期回復が望める。また、在宅生活において、母親の well-being も高めて いけることにつながると考える。

以上から、本研究は、Lazarus ら(Richard S. Lazarus et al.,1984)の、ストレス認知理論および宗 像(1978)の保健感覚モデルを前提とし、重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の 認知モデルを構築する。

5.用語の操作的定義

本研究において使用する用語の定義を以下のように行った。

1)重症心身障害児

重症心身障害児とは、児童福祉法第43条の4で、「重度の知的障害 および重度の肢体不自由 が重複している児童」と定義されている。具体的には、知能指数おおむね 35 以下で、身体障害の 程度が1級ないし2級に相当する肢体不自由を伴う児童という意味 と解釈される。以下、重症児と 略す。

2)在宅

地域で家族と共に生活すること。

3)体調

一般的には、からだの調子 およびからだの状態という意味で使用される。本研究でも、とくに精 密検査などで調べられるような健康状態 ではなく、日ごろ自覚されやすい、体が疲れている、眠い などの身体的状態とイライラするなどの精神的状態と定義する。

4)在宅生活維持

重症児の状態の安定、母親のストレス反応の軽減、家族の関係性の向上をはかれるような日課 を編成し、地域で家族とともに暮らし続けることを意味し、「重症児の状態」、「養育の大変さ」、「母 親の体調の認知」、「家族とのかかわりあい」で測定される。

5)ストレス反応

人間-環境の関係から起こる要求と、そこから生じる感情を処理した結果生ずる状態で、「養育 の大変さ」、「母親の体調の認知」で測定される。

(14)

6

第Ⅱ章 文献検討

本章では、まず、我が国の重症児をとりまく現状について述べる。続いて、重症児の母親のストレ スのある状況、その対処、アウトカムを明らかにする。最後に文献検討の結果を統合図として図示 する。

1.重症心身障害児をとりまく歴史的変遷と現状

わが国では、重症児(者)の場合、過去 45 年程前まで家庭で受けとめることおよび精神薄弱児

(者)施設、肢体不自由児施設、身体障害者施設などの施設でも受け入れることは困難であった。

精神薄弱児(者)施設では、嘱託医程度のみで、医療機能が整備されておらず、また、肢体不自 由児施設では、重症心身障害児 (者)の知的障害が重いため入所できなかった(末光,2007)。この ためその当時、1955 年の後半には、両親による精神薄弱児の殺害および、障害児と母親の母子 心中といった事件がしばしば発生した。東京・日赤産院の小林提樹 小児科部長は、戦後まもなく から障害の重い乳幼児を小児科病棟および併設の乳児院で受けとめたが、1956 年に行政当局か ら、これら障害児について小児科診療の対象、または乳児院措置児として適切ではないため、健 康保険の適用・医療扶助を停止するという通告を受けた。1958 年の全国社会福祉大会は、「障害 の重い子どもたちが適正に保護されるべきである」という小林 氏の提案に対して全面的な支持を決 議し、全国社会福祉協議会に「重症心身障害児対策協議会」を設置してその福祉対応を早急に 検討することとした。「重症心身障害児」という名称が用いられるようになったのはこの時以来である (岡田,2008b)。重症心身障害児(者)の親および報道媒体を中心に、新しい施設制度の確立をもと めたキャンペーンを行った努力が実り、政府は 1963 年、重症児のための施設として東京の島田療 育園ならびに滋賀県大津市のびわこ学園を指定し、その費用については国および都道府県(また は政令都市)が負担することを決定した。続いて 1966 年からは、全国にあるいくつかの国立療養所 に重症児のための病棟を新設し、ここに重症児を委託して療育するという方針が実施された。1967 年、児童福祉法第 25 次改正が行われ、重症児は「重度の精神薄弱と重度の肢体不自由が重複 する児童」と定義され、重症児施設の法制化が実現した。重症児施設へ処遇するための行政的な 基準として、『大島の分類』が利用された。超重症児は呼吸管理および医療的ケアの頻度等を基 準としてスコア化され医療的側面から定義・分類されている(鈴木ら,2008)。2000 年6月には、「社 会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法 律」が成立し、「社会福祉基 礎構造改革」が行われた。この改 革の一環として、障害者支援については、利用者の立場に立っ た制度を構築するために、行政がサービスの受け手およびサービス内容を決定してきた従来の「措 置制度」から、障害者の自己決定を尊重し、利用者自らがサービスを選択して事業者と対等な関

(15)

7

係に基づく利用契約によりサービスを利用する仕組み「支援費制度」に移行した。2005 年 10 月より

「障害者自立支援法」へと順次制度が移行され「応益負担」「利用契約制度」という仕組みに変更 された。2008 年 12 月に障害者自立支援法施行後 3 年の見直しが報告され、相談支援および地 域移行の支援、障害児支援などが盛り込まれた。障害児支援策は、発達支援、ライフステージに 応じた一貫した支援、家族支援、地域における支援の 4 つの基本的視点を持っている。家族支援 の充実として、家族に対する養育方法の支援 およびレスパイトの支援の重要性が言及され、家族 の養育能力の向上、家族の精神的・身体的な負担感の軽減が目指されている。

我が国の重症児・者数は、2000 年に岡田ら(2001)が発表した愛知県の児童相談所の調査に基 づく「全国重症心身障害児・者推計率(0.000296)」を用いた算出が中心的なものであり、実態での 把握はなされていないのが現状である。杉本ら(2008)も全国 8 府県の病院および施設で調査を行 い、発生率を 0.19 から 0.45 の範囲で、大略 0.3 と報告した結果と一致する。推計では、重症児・

者数は全国で 38000 人と推計され(2008 年 4 月総人口 125995 人)、20 歳未満の超・準重症児数 は 2007 年 5 月の時点で 7350 人と推計されている(杉本ら,2008)。また、在宅重症児は約 7 割とい われている(岡田,2008a)。重症児とその家族に対する公的サポートとしては、市町村、保健所、児 童相談センター、発達障害者支援センターなどでの相談支援、重症児施設での入所・短期入所 (緊急対応型・レスパイトケア型)・通所、地域療育など支援体制、訪問看護事業、特別支援教育体 制があり、経済面では、医療費、年金、手当などの助成がある。

2.在宅重症心身障害児の母親に関する研究 1)文献検索と分析対象とする文献の選定

統 合 的 レビューのデータとなる文 献 の収 集 は、 CINAHL 、Pub Med 、British Nursing Index 、 PsycINFO、医学中央雑誌を用いて全年の文献を検索した(2009 年 2 月実施)。文献検索に使用し たキーワードは、「mother」「severely multiply handicapped children」「medically intensive children」

「medically fragile children」「profound intellectual and multiple disabilities」とし、入手可能な英文 献 30 件と和文献 82 件を分析対象とした。

2)データの分析方法

文献検討は、Cooper(1984)の統合的レビューの方法論を参考にした。統合的レビューとは、多く の研究から総合的な結論を導くために過去の研究を要約したものである。このアプローチを参考に 対象文献を読み、「重症心身障害児の母親のストレスの状況とその対処方法、さらにその結果には どんな状況があるのか」という研究の問いに基づき、「ストレスの状況」「ストレスの対処方法」「アウト

(16)

8 カム」の 3 つの項目を設定し、コード表を作成した。

分析の第 1 段階として、各項目の内容を示す記述を各文献から抽出し、3 つの項目に分類した。

さらに、各記述の意味内容が類似するものをまとめてカテゴリーとした。分析の第 2 段階として、す べてのカテゴリーおよび記述について、比較分類を繰り返し抽出度をあげていった。

3)結果

(1)文献の概要

質問紙調査 41 件、質的記述的研究 23 件、事例研究 21 件、質問紙調査と質的記述的方法論 の両方の手法が含まれた方法論的トライアンギュレーション 6 件、実践報告 2 件、実態調査 8 件、

解説 11 件が含まれた。

(2)重症心身障害児の母親のストレスの状況

重症児の母親のストレスの状況は 13 カテゴリーに分類された(表 1)。以下、カテゴリー名は『』内 容は「」内に示す。

『日常生活上の大変さ』(表 1,A)は「医療的ケアを負担に感じる」「日常生活介助を負担に感じ る」「子どもの体調変化による病状対応や生活パターンの変化への対応」「重症児の治療や発達な どに関する意思決定」「子どもの健康を維持することの困難さ」「母親自身の眠気感・倦怠感・疲労 感などの身体症状がある」「ゆとりがない」「精神的絶望・抑うつ」というストレッサーとストレス反応で 構成されていた。「医療機器や介助用品があるため住居スペースが制限される」という居住空間に 対する思いも含まれた。

母親の身体的健康状態と他の因子との関連を見た研究もあった(Patterson,J.M.et al.,1992)。こ の研究では、財政的負担が大きいほど、家庭でのケアへの困難感が強いほど、ケアプロバイダー に対するストレスが強いほど、母親のケア負担感が高く、精神的ストレスも高 く、身体的疾病も多か ったことを報告した。

抑うつレベルとほかの因子との関連を見た研究 (Lee,T.Y.et al.,2007)もあった。この研究は、59 人の重症児の母親に調査し、児が 6 か月の母親の 40%、児が 12 か月の母親の 31%が高い抑うつレ ベルであったことを報告した。また、その研究では、6 か月児の医療的ケアの必要な子どもの母親 の抑うつレベルは、修正 6 か月の早産児の母親の抑うつレベルよりも高かったことに加えて、抑うつ レベルの高い母親は、子どもへの気配りが尐なく、子どもに対して制限が多かったことも報告してい た。さらに、6 か月児で、母親の学歴が高いほど、抑うつ症状が尐ないほど、医療機器依存度が尐 ないほど、母親の子どもとの積極的な相互作用が多かったこと、母の学歴が高いほど、鬱的な兆候 の尐ないほど、母の子どもの認知発達を促す能力(語りかけ、教育、年齢に合った教材を提供する

(17)

8’

表 1 重症心身障害児の母親のストレスの状況

カテゴリー 内容 文献

A.日常生活上 の大変さ

a.医療的ケアを負担に感じる (Mausner, S.,1995),(山脇ら,1998),(Haley,J.et al.,2006),(戸叶,2006), (Kendle,J.et al.,2007),(大須賀,2007a)

b.日常生活介助を負担に感じる (山脇ら,1998),(久野ら,2006),(Petr,C.G.et al.,1995) c.児の体調変化による病状対応や生活パ

ターンの変化への対応

(Lewis,M., 1999),(Valkenier,B.J.et al.,2002),(Kendle,J.et al.,2007), (晴城ら,2008),(Black,B.P.et al.,2009)

d.児の治療や発達などに関する意思決定 (Valkenier, B.J.et al.,2002)

e.児の健康を維持することの困難さ (Beale,H.,2002),(Black,B.P.et al.,2009) f.母親自身の眠気感・倦怠感・疲労感など

の身体症状がある

(倉田,1993),(鳥居ら,1994),(松井ら,1995),(Petr,C.G.et al,1995),(Valkenier,B.

J.et al., 2002),(牛尾ら,2003),(小西,2004),(MacDonald,H.et al.,2004),(諸岡, 2004),(飯島ら,2005),(松岡ら,2005),(下山,2005),(山口ら,2005),(森根ら,2006), (西尾ら,2006),(戸叶,2006),(Kendle,J.et al,2007),(小川ら,2007),(大須賀,2007 a),(小沢ら,2007),(MacDonald,H.et al.,2008),(Black,B.P.et al.,2009) g.ゆとりがない (上里ら,2003),(久野ら,2006),(善生,2006)

h.精神的絶望・抑うつ (MacDonald,H.et al.,2004),(Kendle,J.et al.,2007),(MacDonald,H.et al.,2008) i.医療用品による居住空間制限 (MacDonald,H.et al., 2008)

B.養育上の 不安

a.介護者の病気時などの将来的な不安 (山口ら,2005)

b.児の病気の進行など障害に対する不安 (Docherty,S.L.et al.,2002),(山口ら,2005),(晴城ら,2008) c.しつけや教育等の養育に関する不安 (松岡ら,2005),(久野ら,2006)

C.社会的役割 制限・喪失感

a.精神的・時間的拘束 (MacDonald,H.et al.,2004),(中川,2005),(山口ら,2005),(久野ら,2006), (門間ら,2006),(MacDonald,H.et al.,2008)

b.急な用事・家族の用事の対応困難 (笠井,1993),(倉田,1993),(鳥居ら,1994),(山脇ら,1998),(林ら,2000), (樋口,2000),(三木ら,2000),(田中,2000),(田中ら,2000),(樋口,2001), (石田ら,2002),(Valkenier,B.J.et al.2002),(石井ら,2003),(太田ら,2003), (上里ら,2003),(小西,2004),(下山,2005),(鈴木,2005),(森根ら,2006), (末田ら,2006),(善生,2006),(飯田,2007),(Black,B.P.et al.,2009) c.自己の夢の喪失 (MacDonald,H.et al.,2008)

d.予定が組めないなど生活統制感の喪失 (Valkenier,B.J.et al.,2002) D.障害が受容

できない

a.障害児の出産による健常児の喪失感 (Black,B.P.et al.,2009)

b.障害受容の難しさ (門間ら,2006)

E.情報不足感 a.必要な情報が入手できない (門間ら,2006) F.家族関係の

緊張

a.家族の要求に応えられない (Lima,L.et al.,1990),(Kendle,J.et al.,2001),(向出ら,2002), (上里ら,2003),(下山,2005),(門間ら,2006),(MacDonald,H.et al.,2008) b.夫婦関係が緊張 (Lima,L.et al.,1990),(Kendle,J.et al.,2007)

c.きょうだい児の孤独感 (Lima,L.et al.,1990),(Lewis,M.,1999),(Thurgate,C.,2004),(Miller,S.,2002) d.家族関係が緊張 (Black,B.P.et al.,2009)

e.家族がバラバラになるという不安 (Kendle,J.et al.,2007)

f.家族が障害に理解を示さない (牛尾ら,2003)

G.役割期待 a.周囲からの役割期待がある (中川,2003),(MacDonald,H.et al.,2004) H.専門家

への不信感

a.専門家に対する警戒心 (沼口ら,2005),(MacDonald,H.et al.,2008) b.ニーズに見合うサービスを受けられない (Valkenier,B.J.et al.,2002)

c.スタッフの教育不足 (O’CONNOR,P.,1992)

(18)

8’’

I.サービスの 利用しにくさ

a.福祉サービスへの不安 (牛尾ら,2003),(Haley,J.et al.,2006),(晴城ら,2008)

b.ニーズに見合うサービスの不足 (Petr,C.G.,et al.,1995),(吉本ら,1999),(田中,2000),(伊東,2001), (Beale,H.,2002)(Miller,S.,2002),(Valkenier,B.J.et al.,2002),

(太田ら,2003),(Kirk,S.et al.,2004),(MacDonald,H.et al.,2004),(末田ら,2006), (野口ら,2007a),(MacDonald,H.et al.,2008)

c.スタッフが不足している (森根ら,2006),(小川ら,2007) d.提供されるケアの質が低い (倉田,1993),(森根ら,2006)

e.提供されるケアの場所:自宅 (田中ら,2003)

f.提供されるケアの場所:施設 (倉田,1993),(Mausner,S.,1995),(岡田,2000),(高野ら,2000), (長野ら,2001),(平林ら,2002),(森根ら,2006),(小川ら,2007) h.利用に制限がある (倉田,1993),(山脇ら,1998),(林ら,2000),(岡田,2000),(田中ら,2000),

(郷間ら,2001),(平林ら,2002),(北住,2003),(小西,2004),(諸岡,2004), (中野,2004),(馬場ら,2005),(松岡ら,2005),(森根ら,2006),(大須賀,2007a) i.緊急時対応困難 (倉田,1993),(森根ら,2006),(飯田,2007)

j.手続きの複雑さ (倉田,1993),(Petr,C.G.,et al.,1995),(山脇ら,1998),(森根ら,2006) J.財政的負担 a.経済的負担 (Youngblut,J.M.et al.,1994),(平林ら,2002),(Margolan,H.,et al.,2004)

K.ケアの 代替者

a.介護の代替者がいない (上里ら,2003),(牛尾ら,2003),(諸岡,2004),(松岡ら,2005),(山口ら,2005), (Kendle,J.et al.,2007)

b.家族に介護の代替を頼みにくい (下山,2005),(善生,2006),(MacDonald,H.et al.,2008) c.友人に介護の代替を頼みにくい (飯田,2007),(MacDonald,H.et al.,2008)

L.母子分離の 難しさ

a.分かっているが踏み切れない (向出ら,2002)

b.強い抵抗・不安がある (太田ら,2003),(飯田,2007) c.みれる間は自分たちでみたい (山脇ら,1998),(向出ら,2002)

d.楽はできない (向出ら,2002)

e.親が看るべきという周囲の意見がある (Mausner, S.,1995),(山脇ら,1998) f.重症児の環境変化に対する不適応反応

がある

(倉田,1993),(林ら,2000),(三木ら,2000),(Rehm,R.S.et al,2002),(森根ら,2006), (飯田,2007),(MacDonald,H.et al.,2008)

g.生活リズムが崩れる (樋口,2000)

h.罪の意識がある (Mausner,S.,1995),(MacDonald,H.et al.,2008) i.児の種々の機能が低下してしまう (倉田,1993)

M.自立への 希望

a.いろいろな場所でいろいろな人の介護 が受け入れられるようになってほしい

(三木ら,2000),(下山,2005)

(19)

9 こと)が高かったことも報告していた。

ストレスと他の因子との関連を見た研究は 2 件あった。1 つ目(Docherty,S.L.et al.,2002)は、入院 期間が短い、母親の低学歴、子どもの外見と行動に関する強いストレスは、母親の心配の大きさに 関連していたことを報告していた。2 つ目(Leonard,B.J.et al., 1993)は、ストレスの強さは、家事時間 の増大、就労、父親のケア時間に関連していたことを報告していた。

児の疾患(慢性肺疾患、先天性の気道異常、重症の胃腸障害、先天性心疾患、神経疾患)に よる養育負担感の違いはない(Docherty,S.L.et al.,2002)ことや児の障害の程度は養育負担感に 大きな影響を与えている(山口ら,2005;久野ら,2006)という報告もあった。

『養育上の不安』(表 1,B)には、「介護者が病気になった時などの将来的な不安」「重症児の病気 の進行などの障害そのものに対する不安」「しつけや教育など子どもの育て方に関する不安」があ った。

『社会的役割制限・喪失感』(表 1,C)には、重症児のケアにより、「精神的・時間的拘束」「急な用 事・家族の用事の対応困難」があった。用事の対応困難には家族の通院、買い物、冠婚葬祭、仕 事を持っている場合の急な仕事、研修などの受講、急な用事、母親の出産があった。『喪失感』に は、「自己の夢の喪失」「予定が組めないなどの生活のコントロール感の喪失」があった。

『障害が受容できない』(表 1,D)には、妊娠中、健康な子どもを産めるという思いを抱いていたが、

実際に重症児が生まれたことで、その違いを受け入れられずにいる思いである「健康な胎児像と障 害児の出産による健常児の喪失感」と「障害受容の難しさ」があった。

『情報不足感』(表 1,E)は、ソーシャルサポートの種類や申請手続き方法など「必要な情報が入 手できない」ことがあった。

『家族関係の緊張』(表 1,F)では、重症児のケアに追われて「家族の要求に応えられない」、夫婦 の会話も尐なくなり「夫婦関係が緊張」、きょうだい児が否定的なことをして親の気を引こうとするな どの「きょうだい児の孤独感」、「家族関係が緊張」があった。そのような生活の中で母親は「家族が バラバラになるという不安」を感じていた。また、「家族が障害に理解を示 さない」ことに不満を感じ ていた。

『役割期待』(表 1,G)には、重症児を家に囲っておくのではなく、散歩をするなど外に連れ出して あげるべきだなどの「周囲からの役割期待がある」があった。

『専門家への不信感』(表 1,H)には、専門家から心ない言葉をかけられた、のような「専門家に対 する警戒心」があり、信頼するのに時間がかかること、「ニーズに見合うサービスが受けられない」た め地域でのサービス提供者との信頼関係が構築できない、「スタッフの教育不足」があった。

(20)

10

在 宅 ケ ア サ ー ビ ス 提 供 者 に 対 し て 母 親 の 感 じ る ス ト レ ス を 研 究 し た も の (Patterson,J.M.et al.,1994)では、在宅ケアサービスの提供者が家庭で提供するケアが増えるほど、母親が「家族の強 さを信じる」度合が高いほど、子どもへのケア時間が長いほど、サービス提供者に対するストレスが 増加することを報告していた。また、地域からのソーシャルサポートを認知しているほど、夫婦関係 に満足しているほど、プライバシー保護がされるほど、母親の学歴が高いほど、サービス提供者に 対するストレスが低下することを報告していた。

『サービスの利用しにくさ』(表 1,I)には、「福祉サービスへの不安」「ニーズに見合う在宅支援サー ビスの不足」「スタッフが不足している」「提供されるケアの質が低い」があった。また、「提供されるケ アの場所が自宅」の場合、送迎はしなくて良いため負担は尐なく、重症児も環境の変化がなく影響 は尐ないという利点と、家族が家で過ごしたい場合、重症児と離れた気がしないという欠点があった。

また、同様に「提供されるケアの場所が施設」の場合は、居住地域に施設がないこと、送迎車がな いことにより、重症であればある程利用しにくいことがあった。「利用に制限がある」には、スタッフの 力量不足による重症度制限、日数制限、理由制限があった。「緊急時対応困難」「手続きの複雑 さ」もあった。手続きの煩雑さに対して、一度レスパイトケアを利用 すれば、電話連絡で受け入れが できるようにし、煩雑さを軽減している施設の報告(飯野,2003)もあった。

『財政的負担』(表 1,J)には、「経済的負担」があった。

『ケアの代替者』(表 1,K)には、ソーシャルサポートおよび家族内に「介護の代替者がいない」「家 族に介護の代替を頼みにくい」「友人に介護の代替を頼みにくい」があった。

『母子分離の難しさ』(表 1,L)には、「自分以外の人にも見てもらうことも考えないといけないと分か っているが踏み切れない」「自分以外の人に子どもをみてもらうことに強い抵抗・不安がある」「自分 たちがみれる間は自分たちでみたい」「自分よりも大変な人がいるのに楽はできない」「親が元気な うちは親が看るべきという周囲の意見がある」「重症児の環境変化に対する不適応反応がある」「生 活リズムが崩れる」「重症児のケアを他人に委ねることに罪の意識がある」「児の種々の機能が低下 してしまう」ため他者にケアを依頼したくないがあった。重症児自身の問題と母親の母子分離の 不 安の相互に関連した状況に加えて、重症児のために努力することが当たり前という風潮があった。

そのような問題の解決方法として、不適応反応の軽減のために前もって予定された短期入所で は入所後数日間は家族が付き添いをして児の情報を十分に伝達し、児自身も母と共に新しい環 境に慣れていくよう配慮している(林ら,2000)という対応策の報告があった。短期入所の時間を短 時間から 5 泊まで徐々に進めたことで児も環境になじみ笑顔が見られるようになった(太田ら,2003)、

病棟行事へ参加していることで受け入れスタッフも患児の情報を把握でき受け入れがスムーズ (田

(21)

11

中,2000;樋口,2001)というように、利用を躊躇する理由の一つであった児のストレス軽減を工夫した ことによりプラスのアウトカムにつながるという報告もあった。

『自立への希望』(表 1,M)には、重症児が「いろいろな場所でいろいろな人の介護が受け入れら れるようになってほしい」があった。

(3)母親の対処

重症児の母親の対処は 9 カテゴリーに分類された(表 2)。

『仕事量を軽減する』(表 2,A)には、夫が児の世話をするなど児とかかわるというような「家族から の協力」「専門家によるレスパイトケア」、母親の付き添いの要らない「通学」があった。

『コミュニケーションで気分転換』(表 2,B)には、病状の不安や葛藤の傾聴、母親が今できている ことを支持する、母親や家 族が意思決定できる支援という「専門家による母親の思いの傾聴と支 持」「母親仲間に思いを聞いてもらう」「夫や家族に相談」があった。

『在宅環境整備』(表 2,C)には、初めて在宅に移行する場合は、子どもが過ごしやすく、ケアがし やすいように住宅環境を整えるという「専門家による在宅環境の整備」、重症児の祖母などにケア の方法を習得してもらえるよう「母親がケアの代替者を家族・親族内に育成」、「専門家によるネット ワークづくりと調整」があった。「専門家による関係機関 のネットワークづくりと調整」には、関係機関 と家族間の 2 種類があり、関係機関には、退院前に病院および地域との連絡会を実施しネットワー クを組んで支援体制を整え、入院中に母児とのかかわりを持つ(森垣ら,1997)、テレビ電話を利用し た訪問看護師・訪問学級の教師・病院との情報共有 (笛木ら,2007;笛木ら,2008)、家族参加型個 別療養カンファレンスで、母親の意見を聞きながら、各職種が具体的に説明し、意識統一をする (中塚ら,2008)、経管栄養について他機関との連携(大須賀,2007b)、入所施設の場合は、家庭との 連絡ノートで家庭との連携(伊東ら,1982)があった。家族間には、経管栄養導入における家族の困 難感に対する看護援助として、アセスメント、母親以外の家族を子どもの食事について巻き込む、

家族が経管栄養について感情表出できる場を設ける、問題・対処の把握と問題解決を図る、家族 の抱いている感情に合わせた支援(罪悪感を抱いている場合は、その必要のないことを伝える)、家 族および周囲の理解を促す(大須賀,2007b)、簡易版家族生活力量アセスメントスケールで家族生 活力量を評価することで家族の問題と潜在能力を客観的にとらえる(田中,2004)、母親を疲労に追 い込まないよう、家族の協力が得やすい環境を整えるために助言をする(村山ら,1992)、また、きょう だい児がいる場合には、きょうだいに対する助言(村瀬ら,2003)があった。

『子育てや社会資源医学的知識に関する情報を得る』(表 2,D)には、「専門家による技術の指 導・情報の提供」として、育児・療育の指導(藤木ら,2001)、子どもの姿勢管理に関するリハビリ指導

(22)

11’

表 2 母親の対処

カテゴリー 内容 文献

A.仕事量を 軽減する

a.家族からの協力 (牛尾,1998),(松岡ら,2005),(Haley,J.et al.,2006),(久野ら,2006), (Cho,J.et al.,2008),(Black,B.P.et al.,2009)

b.専門家によるレスパイトケア (Youngblut,J.M.et al.,1994),(Petr,C.G.et al.,1995),(吉本ら,1999),(脇口ら, 2000),(Kendle,J.et al.,2001),(Beale,H.,2002),(Miller,S.,2002),(田中ら,2003), (MacDonald,H.et al.,2004),(松岡ら,2005),(Haley,J.et al.,2006),

(小沢ら,2006),(泊ら,2006),(Kendle,J.et al.,2007),(Black,B.P.et al.,2009) c.通学(母子分離) (Rehm,R.S.et al.,2002)

B.コミュニケー ションで 気分転換

a.専門家による傾聴と支持 (村山ら,1992),(Youngblut,J.M.et al.,1994),(大道寺,1998),(脇口ら,2000), (中川,2003),(沼口ら,2005),(松岡ら,2005),(松本ら,2006),(野口ら,2007b), (大須賀,2007b),(晴城ら,2008)

b.仲間に思いを聞いてもらう (杉原ら,1992a),(杉原ら,1992b),(Youngblut,J.M.et al.,1994), (Petr,C.G.,et al.,1995),(牛尾ら,2006)

c.夫や家族に相談 (杉原ら,1992a),(杉原ら,1992b),(松岡ら,2005),(山口ら,2005) C.在宅環境

整備

a.在宅環境の整備 (Petr,C.G.,et al.,1995),(森垣ら,1997),(MacDonald,H.et al.,2008) b.ケア代替者を育成 (Valkenier,B.J.et al.,2002)

c.専門家によるネットワークづくりと調整 (伊東ら,1882),(村山ら,1992),(森垣ら,1997),(村瀬ら,2003), (Ross,A.et al.,2004),(田中,2004),(笛木ら,2007), (大須賀,2007b),(笛木ら,2008),(中塚ら,2008) D.子育てや社

会資源・医学 的知識に関す

る情報を得る

a.専門家による技術の指導・情報の提供 (村山ら,1992),(Youngblut,J.M.et al.,1994),(Hall,S.,1996),(森垣ら,1997), (大道寺,1998),(藤木ら,2001),(Valkenier,B.J.et al.,2002),(村瀬ら,2003), (木保ら,2005)(中園ら,2005),(沼口ら,2005),(山口ら,2005),(加藤ら,2006), (松本ら,2006),(門間ら,2006),(泊ら,2006),(笛木ら,2007),(笛木ら,2008), (野口ら,2007b),(Black,B.P.et al.,2009)

b.仲間からの情報 (門間ら,2006),(田中ら,2000),(平林ら,2002),(諸岡,2004),(沼口ら,2005) E.子どもとの

相互作用

a.成長を感じる (望月ら,2000)

F.ケア方法の 変更

a.薬剤の使用 b.栄養方法の変更

(Petr,C.G.,et al.,1995) (Petr,C.G.,et al.,1995) G.現在のこと

に集中する

a.現在していることに集中する (Haley,J.et al.,2006)

H.状況の受け とめ方を変える

a.自分を成長させてくれるギフト (Haley,J.et al.,2006)

I.あきらめる a.あきらめ、開き直り (長谷川,1995),(中川,2003),(中川,2005)

(23)

12

(笛木ら,2007;笛木ら,2008)、カニューレの抜管を恐れて固定バンド交換と保清が十 分ではなかっ た母親にカニューレ管理と保清の指導(中園ら,2005)、摂食障害として過敏または嚥下機能に問題 のある児には、食事中の姿勢および調理形態の指導(村山ら,1992)のように、具体的ケア技術の指 導があった。技術の提供としては、外出支援 (泊ら,2006;野口ら,2007)、哺乳に時間がかかり体重 増加がみられないため、乳首の変更 および飲ませ方の工夫 (中園ら,2005)、母親の意向を取り入 れたケア(松本ら,2006)、母親の妊娠・出産後・育児の支援(村瀬ら,2003)、生活および療育への情 報提供(Youngblut,J.M.et al.,1994;森垣ら,1997;大道寺,1998; Valkenier, B.J.et al.,2002;山口 ら,2005; 加藤ら,2006; Black,B.P.et al.,2009)、経管栄養への切り替えの検討に関する話し合いの 場において情報の提供と検討(中園ら,2005)、子育て・社会資源・医学的知識・他の人の経験談の 情報提供(沼口ら,2005)があった。「母親仲間からの情報交換・情報入手」には、ソーシャルサポー トに関する情報および育児に関する情報の交換があった。

『子どもとの相互作用』(表 2,E)には、「成長を感じる」があった。成長には、健常児のように大きな 変化ではないが、小さな良い変化や笑顔も含まれ、それらを見ることでエネルギーを見出すことに つながっていた。

『ケア方法の変更』(表 2,F)は、重症児の状態に適したケア方法を選択し、変更することであり、

睡眠障害のある子どもに対する「薬剤の使用」、経口摂取では時間がかかり、重症児 および家族の 負担が大きい場合に経口摂取から経管栄養へ変更する「栄養方法の変更」があった。

『現在のことに集中する』(表 2,G)には、将来の不安やあいまいさを悩むのではなく、「現在してい ることに集中する」があった。

『状況の受けとめ方を変える』(表 2,H)には、「どんなに大変な状況でも、自分を成長させてくれる ギフトであると認識する」があった。

『あきらめる』(表 2,I)には、「あきらめ、開き直り、無理をしない」があった。

夫の支援の認知と他の因子との関連をみた研究(Cho,J.et al.,2008)では、児が 6 か月・12か月 の時を調査し、母親の抑うつ症状が尐ないほど、医療機器依存度が低いほど、夫の支援に対する 母親の認知が高かったことを報告した。しかし、医療機器の数 および出生体重は夫からの支援の 認知に無関係(Lee,T.Y.et al.,2005)という報告もあった。さらにその研究では、女児の母親のほうが 男児の母親よりも多くの支援を夫から受けていたが、女児の母親は夫の支援に対する満足は尐な かったという報告もされていた。

母親の優先する事項に関する研究(Black,B.P.et al.,2009)では、きょうだい児がいる母親と重症 児 1 人のみという母親では優先することに関する違いがあったことを報告した。重症児 1 人の場合

(24)

13

は、子どものことに焦点をあて、次に、家族の結びつき、最後にソーシャルネットワークという順位で あったが、入院中の重症児以外にもきょうだい児がいる場合には、配慮とエネルギーを入院中の子 どもと家にいるきょうだいに分け、家にいるきょうだい児がいつもどおりの生活を維持できることを優 先としていた。

(4)アウトカム

重症児の母親のアウトカムは 6 カテゴリーに分類された(表 3)。

『母親の対処能力の向上』(表 3,A)には、養育態度がポジティブに変化するなど「認知の変容」、

自分の時間がとれるというような「自分自身をケアする」、ボランティア活動のような「社会的な活動を する」、「養育負担感軽減」、「精神的健康度の向上」、睡眠不足感の軽減のような「身体症状の軽 減」があった。

『重症児とのかかわりあいへの自信』(表 3,B)には、「重症児の成長を改めて感じ、可能性を感じ られるようになる」「重症児を外に連れ出す・障害について他者に話せる」「医療機器管理への自 信」「重症児の健康維持に関する自信」、深い感情的な愛着の強まりを感じるというような「重症児と の結びつきへの自信」があった。

『家族の関係性の向上』(表 3,C)には、きょうだい児と母親が向き合って過ごす時間をもつという

「きょうだいとの時間を持てる」、お互いを信用できる、価値観 および信念を共有できる、ほとんど衝 突がない、感情を表現する能力がある、家族の誇り、家族愛、良い方向に問題が解決するという信 念を持てるというような「家族のつながりが深まる」、「家族の健康増進」があった。

『児の成長・発達』(表 3,D)には、ケアの代替者によって提供される療育訓練 およびケアによる

「機能低下予防」「健康状態維持・病状改善」、重症児の生活の場が家庭だけではなくレスパイトケ ア施設にも広がるというような「活動範囲の拡大」、同じような障害のある子と一緒に活動できる、友 達ができる、のような「人とのかかわりあいの拡大と深まり」、慣れない環境には不適応状態を起こし がちな重症児が、「新しい環境を楽しむ」ことができるようになる、通園施設に通うというような活動が 定期的に生活に加わることで「生活のリズムができる」、笑顔の表出 および意思表示の明確化、情 緒が安定するというような「児の生活意欲の向上」があった。

『専門家とのパートナーシップの構築』(表 3,E)には、「専門家の能力の限界を受け入れることで 信頼関係が構築できる」「パートナーシップが形成されている」があった。

『在宅生活の継続』(表 3,F)には、一時的に介護困難を乗り切ることで「在宅生活の継続」へとつ ながっていることが含まれた。

母親の重症児へのかかわりあいと医療依存度との関連をみた研究 (Cho,J.et al.,2008)では、児

(25)

13’

表 3 アウトカム

カテゴリー 内容 文献

A.母親の対処能力 の向上

a.認知の変容 (牛尾,1998),(牛尾ら,2003),(山口ら,2005),(門間ら,2006),(牛尾ら,2006), (Haley,J.et al.,2006)

b.自分自身をケアする (平元,2000),(田中ら,2000),(平林ら,2002), (田中ら,2003),(諸岡,2004), (佐藤,2004),(佐藤,2005),(下山,2005),(Haley,J.et al.,2006),(加藤ら,2006), (森根ら,2006),(小沢ら,2006),(戸叶, 2006),(小川ら,2007)

c.社会的な活動をする (Petr,C.G.,et al.,1995),(牛尾,1998),(Kendle,J.et al.,2001),(向出,2002), (太田ら,2003),(田中ら,2003),(牛尾ら,2003),(MacDonald,H.et al.,2004), (諸岡,2004),(Thurgate,C.,2004),(中川,2005),(下山,2005),

(Haley,J.et al.,2006),(Kendle,J.et al.,2007),(Black,B.P.et al.,2009) d.養育負担感軽減 (山脇ら,1998),(田中ら,2000),(Beale,H.,2002),(平林ら,2002),(石田ら,2002),

(田中ら,2003),(山口ら,2005),(加藤ら,2006),(久野ら,2006),(森根ら,2006), (西尾ら,2006)

e.精神的健康度の向上 (Haley,J.et al.,2006),(山口ら,2005) f.身体症状の軽減 (MacDonald,H.et al.,2004) B.重症児との

かかわりあいへの 自信

a.可能性を感じる (脇口ら,2000),(Kendle,J. et al.,2001),(諸岡,2004) b.障害について他者に話せる (牛尾,1998),(向出ら,2002)

c.医療機器管理への自信 (Black,B.P.et al.,2009) d.重症児の健康維持に関する自信 (Haley,J.et al.,2006) e.重症児との結びつきへの自信 (Black,B.P.et al.,2009) C.家族の関係性

の向上

a.きょうだいとの時間を持てる (笠井,1993),(樋口,2000),(田中ら,2000),(Kendle,J.et al.,2001), (平林ら,2002),(石井ら,2003),(田中ら,2003),(牛尾ら,2003),(下山,2005), (Kendle,J.et al.,2007),(MacDonald,H.et al.,2004),(Haley,J.et al.,2006), (森根ら,2006)

b.家族のつながりが深まる (Youngblut,J.M.et al.,1994),(Petr,C.G.,et al.,1995),(山脇ら,1998), (Kendle,J. et al., 2001),(田中ら,2003),(Thurgate, C.,2004), (Haley,J.et al.,2006),(Kendle,J.et al.,2007)

c.家族の健康増進 (Kendle,J.et al.,2001)

D.児の成長・発達 a.機能低下予防 (諸岡,2004),(森根ら,2006),(小川ら,2007)

b.健康状態維持・病状改善 (Mausner,S.,1995),(Petr,C.G.,et al.,1995),(田中ら,2000),(郷間ら,2001), (Holditch-Davis,D.et al.,2001),(平林ら,2002),(Valkenier,B.J.et al.,2002), (佐藤,2004)

c.活動範囲の拡大 (佐藤,2004),(加藤ら,2006),(森根ら,2006)

d.人とのかかわりあいの拡大と深まり (田中ら,2000),(平林ら,2002),(Miller,S.,2002),(Rehm,R.S.et al.,2002), (諸岡,2004),(Kendle,J.et al.,2007)

e.新しい環境を楽しむ (郷間ら,2001),(平林ら,2002),(太田ら,2003),(田中ら,2003),(諸岡,2004), (Thurgate,C.,2004)

f.生活のリズムができる (田中ら,2000),(平林ら,2002)

g.児の生活意欲の向上 (田中ら,2000),(平林ら,2002),(佐藤,2004) E.専門家との

パートナーシップ

a.信頼関係の構築 (Valkenier,B.J.et al.,2002)

b.パートナーシップの形成 (Petr,C.G.,et al.,1995),(Kendle,J.et al.,2001),(Thurgate,C.,2004)

F.在宅生活の継続 a.在宅生活の継続 (林ら,2000;樋口,2000)

表  1 重症心身障害児の母親のストレスの状況
表  2 母親の対処
図  1 文献検討の統合図
図  3 重症心身障害児と家族の在宅生活維持における母親の認知モデルの概念枠組み
+2

参照

関連したドキュメント

た。分析対象者の特徴として、31歳が最も多く、

また、国の「全国母子世帯調査」 (平成 23 年)では、離婚時点での母の平均年 齢は 33.0 歳であり、平成 18 年の同調査と比べ

末子の年齢別でみると、いずれの年齢でも「子どもの遊び場」が 70∼80%台と最も高く、 「親子で楽しめるイベントやプログラムの提供」 も過半数を占めている。 また、 0歳 (59...

 測定結果:各年齢群の正中離開の有無をその平均値

 測定結果:各年齢群の正中離開の有無をその平均値

2015 年から 2018 年までの、19 歳以下の死亡数 と年齢 5 階級毎の死亡数の年別の発生数を図 1 に 示す。19 歳以下死亡数が最も少ないのは 2017 年 で 422 例であり、

Escherichia coli 2011 年から 2015 年に 12 薬剤を対象に調査を行ったところ、耐性率は、牛由来株では 0 から 2.5 %、豚由来株では 0 から 64.2

❷もうじき、年金を受給される方 ・年金はいつからもらえるのですか。