新サイトの公開と展示 作業内容
概 況
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Library Annual Report
2005年4月より始まった本事業も、5年計画のうち2年 を終えた。昨年の報告で述べたように、2006年度は文部 科学省科学研究費の交付を受け、文字通り学内外から注 目されることとなり、その社会的責任を意識しながらの 作業となった。
結果的には、昨年に引き続き件数の上では目標を達成 しているが、一方では作業の過程で本事業特有のさまざ まな問題点も明らかになってきている。ここでは、2006 年度の作業実績とともに、そうした今後へ向けての課題 も取り上げてゆくこととする。
2006年度の作業対象は文学・芸術資料が中心であった。
特に文学資料、中でも近世文学(江戸文学)に関しては、
当館所蔵資料の核の一つであり、常日頃、学内外の研究 者の利用も多い分野である。
作業は昨年同様、書誌入力−書誌点検−撮影という工 程で進められたが、入力・撮影ともにいくつかの課題に 直面することとなった。
書誌入力については、近世文学特有の用語・分類、さ らには出版の形態に対し、完璧には対応しきれなかった。
版や刷の違いによる出版者(版元)や、さまざまな別号 や異名を使い分ける作者の同定はきわめて難しいもので ある。もし誤謬があればご叱正を乞いたい。また資料に よってはかなり保存状態が悪く、肝腎な出版に関する情 報を失っているものも多く見られた。そのため点検に多 くの時間をとられる結果となり、紀伊國屋、早稲田双方 に負担を強いることとなった。今後、書誌入力に関する 情報収集、判断についてのさらなる技術的な向上が求め られている。
一方、撮影については、一点一点の保存状態や資料の 特性に臨機に対処することが困難であり、結果として、
良好な画像が得られず再撮影にかなりの手間をとられて しまった。最終的には目標数(撮影カット数)は達成さ れたが、納品のペースはまだ予定通りの状態とはなって いない。当初DVDでの納品であったものを、途中から ハードディスクでの納品に変更することで、若干の作業 効率の向上がはかられたが、今後はより迅速、かつ間違 いのない作業体制を整える必要があり、また、その上で の綿密な管理運営が望まれる。
こうした諸問題に対し個別に対処しつつ、最終的には 文学の貴重書、古書に加え、『南総里見八犬伝』の著者と して有名な曲亭馬琴関連資料(「曲亭叢書」)や、近代文 学コレクションのいくつか(「二葉亭四迷関係資料」「本 間久雄文庫」など)の入力を完了することができた。
昨年の「洋学(蘭学)コレクション」に続いて、2006 年度版ポータルサイトを「江戸文学コレクション」とし て公開した。図書館で所蔵する文学関係資料は、そのま
ま坪内逍遙以来の早稲田における文学研究の歴史でもあ る。100年を越えるその歴史の中で収集された資料には多 くの稀覯本が収められており、これまでも学内外の研究 者の多様な利用に供し、またさまざまな出版物や映像資 料にその画像を提供してきた。
今回は、こうした江戸文学資料を2つの視点から切り 出した。一つが「江戸文学100選」である。これは館蔵の 江戸文学資料のうち、その貴重さ、利用頻度の高さなど を勘案し、小説、俳諧、浄瑠璃本等の各分野から100タイ トルを選定し、展覧会形式で見られるようにしたもので ある。早稲田にどんな資料があるか知らない利用者でも、
このサイトを訪れれば、図書館で所蔵する江戸文学資料 の概要を知ることができるよう構成した。特に時代や内 容によってさまざまな用語で呼ばれる小説類については、
「浮世草子」「黄表紙」などのキーワードによる検索の便 をはかった。他方「曲亭馬琴の世界」と題し、馬琴の年 譜や主要作品を、馬琴と関係のあった人々の作品ととも に公開した。またこの内容を基盤に、「早稲田大学古典籍 総合データベース公開記念」と銘打ち「曲亭馬琴と江戸 の文人たち」と題する展覧会を開催、会場には学内LA N専用の端末を設置し、古典籍データベースを常に参照 できるようにしておいた。春休み、入試期間中であった にもかかわらず、学内外から多くの観覧者が訪れた。
さらに江戸文学サイトとは別に、学内予算を用いて
「大隈重信関係資料」も古典籍データベースに収録した。
3年目を迎えた2007年度、ひきつづき科学研究費申請 が採択された。本事業の学術的役割が社会的に認められ た証であるといえるが、次年度につながる成果が求めら れているということにもなろう。2007年度の対象分野は 歴史・伝記であり、近世文学と並ぶ当館の所蔵資料の核 である。特に古文書は重要文化財4点を含み、その公開 は内外からの注目を集めるに違いない。これまで以上に 書誌、画像情報ともに一層の充実が求められている。
2007年度からは科学研究費のより適正・公正な運用が 求められており、さらに効率的に、正確を期して日々の 作業にあたる所存である。多くの研究者の利用、教育現 場での活用を願っている。