• 検索結果がありません。

2層地盤における鉛直浸潤時の間隙空気の挙動に関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "2層地盤における鉛直浸潤時の間隙空気の挙動に関する研究"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)応 用 力 学 論 文 集Vol.11,pp.843‑850(2008年8月)土. 木 学会. 2層 地盤における鉛直浸潤時の間隙空気の挙動に関す る研究 Study on Pore-Air effect on vertical infiltration into 2-layered ground. 齋 藤 雅 彦*・ 正 木 寛 昭**・ 市 成 準 一***. Masahiko SAITO, Hiroaki MASAKI and Junichi ICHINARI *正 会 員. 博 士(工)神 **正 会 員. 戸大学助教 修 士(工)株. ***神 戸 大学 技 術専 門職 員. 都 市 安 全研 究セ ンタ ー(〒657. 式 会 社 商 船 三 井(〒105‑8688東 工学 部 市 民 工学 科(〒657. ‑8501神 戸 市灘 区 六 甲台 町1‑1) 京 都 港 区虎 ノ門2 ‑1‑1). ‑8501神 戸 市灘 区 六 甲台 町1‑1). To understandthe detailedprocessesof rainfallinfiltrationinto2-layeredground,the lab-scale experimentswere conductedby using sand and decomposedgranite.And the two phaseflow and the saturated-unsaturated seepageanalysiswere carriedoutto reproducethe experiments, and comparedresultsof these analysismethods. In the experiments,when the surfacelayer has low permeability, pore pressureincreasedas soonas the rainfallwas started.On the other hand, in the case of reverse layer system,pore pressureincreasedafter the wetting front reachedthe sensors.It seemedto be no influenceof pore air,but the two phaseflow analysis reproducedthe experimentalresultsbetterand the resultsof the analysisshowedthe increasing of the poreair pressureobviously. KeyWords:layered groun4rainfallinfiltration, 2-phaseflow, finiteelementanalysis. 1.序 論. ない飽 和 ・不飽和浸透流解析(以 下,1相. 流解析 と記す). お よび間 隙空気 を考 慮 した気 液2相 流解 析の 両解 析手法 降雨に よる鉛 直浸潤 過程 を解 析す る手法 として,一 般 に. を適用 し,再 現性を比較す る. 差分法 や有限 要素法 に よる飽 和 ・不飽 和浸透流解析1),2),3) が広 く用 い られ ている. 2.2層 地盤への鉛 直浸潤 過程に関す る模 型実験 一方 ,降 雨浸潤開始後の比較的早い段階で,盛 土地盤 中 に設 け られ た排水渠 か らの流 出量が増加 す る現 象が見 ら 2種 類 の試料 を用いて作成 した模型地盤 に降雨を与え, れ ることがあ り,これ は押 し出 し流 あ るいは ピス トン流 と 降雨浸潤過程 にお け る地盤 内の間隙空気 の影響 を間隙水 呼ばれ てい る4).こ のよ うな現 象は,降 雨の浸潤 に伴 う間. 圧 と飽 和度 の変化 か ら把握す るこ とを 目的 とす る.. 隙内の空気 圧の上昇 に よって生 じる と考 え られ るが,空 気 の流 動を無 視 した飽 和 ・不飽 和浸透流 解析では取 り扱 うこ. 2.1実験 の概要. とができない.と くに,降 雨強度が地 盤の最終浸 透能 を上. 図‑1に 本実験で用いた実験装置の概略図 を示す.模 型. 回 り,地表 面に湛水が生 じるよ うな浸潤過程 を適切 に把握 す る際には,間 隙空気 の流 動を考慮 した解析 手法 である気. 地盤 は幅2.0m,高 さ1.0m,奥 行 き0.4mで あ り,2層 構成 とす る.層 厚は下層が0.7m,上 層 が0.3mと し,地 下水面. 液2相 流 解析5),6)が 適 当であるこ とが,既 往 の研究 によ り. は0.15mに 設 定す る.装 置側 面には地 下水位 を調 節す るた めのタンクが設置 されてお り,地盤 と両側 タンク との境界. 指摘 され ている7),8),9),10),11). 間隙 空気 の挙動 に関す る従来 の研究 においては,主 に1 層 か らなる地 盤が検討 の対象 とされて きたが,実 地 盤は性 質 の異 なる土層 がい くつ か積 み重な って層構造 を作 って お り,こ うした成 層土中へ の降雨浸潤 過程 は1層 の地 盤へ の浸潤過程 と比較 して複 雑な もの となる12). 本研究 では,成 層土への降雨浸潤過程 にお ける地盤 内間 隙空気 の影響 を把握す るために,2層 構成 の模型地盤 を用 いて室 内実験 を行 う.また実験 での浸潤過程 を有限要素法 に よる数値 シ ミュ レー シ ョンを用い て再現す るこ とを試 み,そ の際用い る解 析手法 として間隙空気 の流動 を考慮 し. ―843―. は,基底部 か ら0.05mの 両側側面 に関 してのみ水お よび 空 気 が透過可能 とな ってい る.降 雨は,20mm間 12mmの 開 口部 を持 つ長 さ2m,外 径127mmの. 隔で直径 鋼 管を4. 本用 い,こ れ を地盤表面 から0.3mの 高 さに設置 して与 え る.降雨強度 は,流量計の流量調節 バル ブを用 いて調 節 し, また降 雨中は雨滴の集 中を防 ぐために送風 を行 った. 測定 に用いたセ ンサーは,間 隙 水圧計測のた めの埋設型 感圧水分セ ンサー(以 下,間 隙 水圧計 と記す),お. よび体. 積 含水率計測のた めの土壌水分セ ンサー(以 下,ADRセ ンサー と記す)で ある..

(2) 図‑ 1実 験 装置概 略 図. 表‑1土. 図‑2セ ンサー 配置 図. 層 の構成. (a)CASE‑A. (b)CASE‑B 図‑3降 雨 条件. 各 セ ン サ ー の埋 設 位 置 に 関 して は,模 型 地 盤 の間 隙 水圧. しているこ とが確認で きる.こ れ よ り,この時 点で浸潤前. と飽 和度 の 関係(水 分 特 性 曲線)を 把 握 す る た め に,両 セ ンサ ー を 近接 して埋 設 す る.そ れ ら一 対 の 間 隙 水 圧 計 と. 線 がセ ンサー に到達 した もの と考 えられ る.図‑5は 降雨 開始 か ら24分 間(実 験開始 か ら24〜24.4時間)の 圧力水. ADRセ. 頭 の変化 を拡大 して示 したものであ る.P‑3(上 層右)を. ンサ ー を一 括 りに扱 い,図‑2に. 示 す4か 所 に配 置. す る.図 中 に示 した 番 号(P‑1〜P‑4,A‑1〜A‑4)に セ ンサ ー を識 別 す る.こ A‑1〜A‑4はADRセ. こで,P‑l〜P‑4は. よ り各. 間 隙 水圧 計,. ンサ ー で あ る.各 セ ンサ ー か ら得 られ. た 出力 電 圧 は,事 前 に 求 め られ た較 正曲線 に よ り水 圧 と体. 除 く3点 で降雨開始か ら約10分 後(=湛 水が生 じ始 めた時 刻)か ら明確 な圧 力の上昇 が見 られ るが,飽 和度 について は,こ の時 点では反 応がな く,浸 潤前線は到達 してい ない と考 え られ る.さ らに,こ れ ら間隙 水圧計の値 が上昇 し始. 積 含水 率 に換 算 した.. めるの とほぼ同時刻 に,実験 装置 両側 の水位調 節タンクを. 模 型 地 盤 作 成 に 用 い た 試 料 は,砂(D20=20%通 過径 =0 .25mm)と ま さ土(D20=0.03mm)で あ る.各 試 料 の飽. 介 して模型 地盤 か らの流 出が確認 された. これ らの現 象は,地 盤の浸透能 を超 え湛 水が生 じる降雨. 和透 水 係 数kは,定. 水 位 透 水 試 験 よ り,砂 につ い てk=1.21. を与えたこ とが原因で ある と考 え られ る.す なわち,降 雨. ×10‑2cm/s,ま さ土 につ い てk=1.60×10‑3cm/sが 得 られ た.. 初 期段階 か ら地表面付 近の飽和度 が急激 に上昇 したた め 雨水 と間隙空気 との円滑 な置換が阻害 され,地 表面 か ら間. 実験 手順 は,ま ず 地 盤 全体 を飽 和 させ た状 態 か ら水 位 調 節 タ ンク を 地 下 水 面 高 さが0.15mと. な る よ うに降 下 させ,. 地 盤 内 の脱 水 を 開始 す る.こ の 時刻 を 実 験 開 始 時刻 とす る. 実 験 開 始後24時. 間 経 過 した 後,降 雨 を開 始 し,所 定 の 時. 間継 続 して 一 定 の 強 度 で 降 雨 を 与 え る こ と とす る. 実 験 は,模 型 地 盤 の 作 成 条 件 に よ り表‑1に ス とす る.ま た各 ケ ー ス で の 降 雨条 件 を図‑3に. 示 す2ケ. 中のrは,降. ー. 示 す.図. 雨 強 度Rtと 上 層 の 飽 和透 水係 数kの 比r=Rt/k. で あ る.上 層 の飽 和透 水 係 数 を最 終 浸 透 能 とみ なせ ば,7≧1 で は湛 水 が生 じ,r<1で. は 湛 水は生 じな い と想 定 され る.. 2.2実 験 結 果 と考 察 (1)CASE‑A 図‑ 4にCASE‑Aの. 実 験結 果 を示 す.そ れ ぞ れ 横 軸 に は. 経 過 時 間 を,縦 軸 に は圧 力水 頭 ま た は飽 和 度 を示 す.実 験 開 始24時. 間後 か ら降 雨 を 開始 し,降 雨 開 始10分 後 頃 か ら. 地 表 面 に湛 水 が生 じた.セ ンサ ー値 の変 化 につ い て,上 層 に 関 して は24〜24.5時 間 に か けて,下 層 に関 して は24.5 〜25時 間 にか け て,圧 力 水 頭 と飽 和度 の値 が急 激 に 上 昇. ―844―. 隙内 に水 が満 た され てい くこ とで地盤 内の間隙空気 が浸 潤前線 と地 下水面 の間 に封入 され る.これ に伴 って地 盤間 隙内の圧力 が上昇 し,地下水 面が加圧 され土層 の底部 の水 が押 し出 され て流 出 したもの と判断で きる. また,間 隙空気 の封入 に よる間隙水圧 の上昇量 に関 して は,上層 と下層でほぼ等 しく,5〜6cm程 度 となっている. したがって,地 表面 に湛水が生 じる際には,間 隙空気 の封 入に よ り地盤全体 にわたって圧力 が上昇 し,その上昇 量も 層構造に寄 らず地盤全体で ほぼ一定 となる と考 え られ る. (2)CASE‑B 図‑6にCASE‑Bの 実験 結果 を示す.CASEBで は, CASE.Aよ りも降雨強度が大 きい150mm/hの 降雨を与え たが,上 層 にま さ土 と比べて透 水 性の良い砂 を配 している た め,地 表面 に到達 した雨滴が直 ちに地盤内へ と浸透 して い った.ま た,CASE‑Aと 同様 に上層 ・下層 ともに圧 力水 頭 と飽和度の値 が急 激に上昇す る時刻 があ り,浸潤 前線 が セ ンサーに到達 した ことが確 認できる..

(3) (b)上 層 の飽 和度 の時 間変化. (a)上 層 の間 隙水 圧 の時 間変 化. (c)下 層 の 間隙 水圧 の 時 間変 化 (d)下 層 の飽 和 度 の時 間変 化 図‑4圧 力 水頭 と飽 和度 の測 定結 果(CASE‑A). (a)P‑1. (b)P‑2 図‑5降. (c)P‑3. (d)P‑4. 雨 開始 か ら24分 間の 間隙 水圧 変化. (a)上 層 の間 隙水 圧 の時 間変 化. (b)上 層 の飽 和度 の 時間 変化. (c)下 層 の間 隙水圧 の時 間変 化(d)下 層 の飽 和度 の時 間 変化 図‑6圧 力水 頭 と飽 和度 の測 定結 果(CASE‑B). ―845―.

(4) 降雨開始か ら38分 後には地表面に湛 水が生 じ始 める と ともに,上層 の圧 力水 頭が概 ね静水圧 に達 したこ とか ら降 雨を停止 したため,こ の時 点か ら測 定値 の下降 が始 まって い る.一 方 で,CASE‑Aで 見 られ たよ うな浸潤前線の到達 以前 に圧 力水頭 の値 が顕著 に上昇す る現 象は確認す るこ とができなかった. 3.数 値シ ミュ レーシ ョンに よる模 型実 験の再現 数値 シ ミュ レー シ ョンに よ り模型 実験 で得 られた圧 力 お よび飽 和度の時間変化の再現 を試 み る.それぞれ の実験 につ いて有 限要素法 に よる1相 流お よび2相 流解 析 を行 い,実 験結果 と比較 してその再現 性につ いて検討 する.. 図‑7解 析領 域 の概 要 3.2解 析 条 件 (1)解 析 モ デル 7に 解図‑ 析領 域 の概 要 を示 す.解 幅2.0mの. 3.1基礎 方程式. 析領 域 は 高 さ1.0m,. 鉛 直2次 元 地 盤 で あ る.模 型 実 験 を シ ミュ レー. トす る際 の初 期 条 件 は,水 位 を 地 表 面 に設 定 し,飽 和 地 盤. 水お よび空気の基礎方程 式は,連続式 とダル シー則 に基 づ き,式(1)お よび 式(2)とな る9).. と して,水 圧 は 静 水 圧 分布,空 気 圧 は全 領 域 にお い て 大 気 圧 とす る. 側 面(x=0mお. (1). よび x=2m)に お け る境 界 条 件 は,z>0.05m. でQwb=Qab=0,ま. た 両側 面 の底 部 か らz≦0.05mに. お ける. 境 界条 件 は,実 験 で 両側 タ ン ク の水 位 を降 下 させ る の に要 した 時 間(15分)と. 同時 間 を か け て境 界条 件 を地 下 水 面. の0.15m低 下 させ,そ の後 は地 下 水 深0.15mで. (2). 一 定 と した.. 地 表 面 で は,空 気 につ い て圧 力 規 定 でPa=0m(=大 圧),水 につ い て は無 降 雨(Rt=0)の 降 雨時(Rt>0)は. 気. とき流 束規 定 でqw=0,. 流 束規 定 でqw=Rt,た. だ し,Pw≧0mと. な っ た(す な わ ち 浸透 能 が 降 雨 量 以 下 とな っ た)時 点で 圧 こ こにtは 時 間,xiは 空 間座 標,η は 空 隙 率,krw,kraは. そ. れ ぞれ 水 と空 気 の 相 対 透 過 係 数,kijは 地 盤 の 固有 透 過度, μw,μaはそれ ぞれ 水 と空 気 の粘 性係 数,Pw,Paは 水 と空 気 の圧 力,Pcは 毛管 圧(=Pa‑Pw),Sw,Saは それ ぞれ 水 と空 気 の飽 和度,βaは 構 成 体 積 率,gは. 重 力 加 速 度 で あ る.. 力 規 定Pw=0mと. す る.. (2)水 分 特牲 曲線 の推 定 実験 にお いて,降 雨 開 始 前 の 吸水 時お よび 脱 水 時 に計 測 した 毛 管 圧 と飽 和 度 の 関 係 を 用 い,以. 下 の 式(5)に 示 す. van Genuchten13)の式 に よ りフ ィ ッテ ィ ン グ を行 い.主 排水. 境 界 条 件 は,圧 力規 定 の場 合,. 曲線 および 主 吸 水 曲線 の パ ラ メー タ を推 定 した.. (3). で あ る.こ こ に,Pwbお よ びPabは,境. (5). 界 上 の水 圧 お よび 空. 気 圧 で あ る.ま た,流 量 規 定境 界の場 合 は,. こ こにSeは 有 効 飽 和度,a,n,mは 形 状 パ ラ メ ー タ で あ り, 一 般 にm=1 ‑1/n,Srは 残 留 飽 和度,SfはPc=0に お け る飽 和 度,hcは 毛 管圧Pcの 水 頭 換 算 値hc=Pc/ρwgで あ る.こ こ. (4). で はSfに つ い て はSf=1.0と す る. パ ラメ ー タ の主 排 水 曲線 と主 吸 水 曲線 の 間 の 関係 は,n とSrは 共 通 と仮 定 し,aに. で あ る.こ こに,Qwbは. 水 の境 界 流 束,Qabは 空気 の境 界 流. 束,niは 境 界の 外 向 き単 位 法 線 ベ ク トル,ρwは 水 の密 度 で あ る.こ こで,Pa=0(大 気 圧)と して,式(1)の 左 辺 第 一項 お よび 式(2)を 無視 し,Pc=‑Pwと. す る と,1相. 流 解 析 の基 礎. 式 が得 られ る.. つ い て のみ,そ れ ぞ れadとaw. と して 区別 す る.推 定 の 手 順 は,ま ず 主 排水 曲線 の パ ラメ ー タn ,ad,Srを 同 定 し,吸 水 曲線 に つ い て は排 水 曲線 の 同 定 で 得 られ たnを. 固 定 してawとSrを. 同定 す る.た だ し,. 吸 水 曲線 の 同 定 で得 られ たSrは,主 吸 水 曲線 とは 異 な る の で 無 視 す る.図‑8は 一 例 と してCASE‑Aに お け る各層 の フ ィ ッテ ィ ン グ結 果,表2は 同定 され た パ ラ メ ー タ の 一 覧 を示 す .な お,同 定 に用 い た測 定 結 果 は,各 層 と もに 左 側 の セ ンサー か ら得 られ た もの で あ る.. ―846―.

(5) (a)上 層(ま. さ土)左. 側. (b)下 層(砂)左 図‑8水 分 特 性 曲 線 の 推 定 例(CASE‑A). 表‑2水. 側. 分特 性曲線 のパ ラ メー ター 覧. 図‑ 10フ イ ッテ イ ン グ の 一 例(CASE‑A;上. (a)排 水 → 吸 水 (b)吸 水 → 排 水 図‑9ヒ ス テ リ シ ス の 取 扱 い. 層 左 側). 表‑3透 水係数 の推 定結果. (3)水 分 特 性 曲線 の ヒス テ リシス の 取 扱 い 一般 に ,飽 和度 と毛 管 圧 の 関係 は ヒステ リシス に よ り初 期 の 保 水 状 態 や 吸排 水履 歴 に依 存 し,一 義 的 には 決 定 で き な い.主 排 水 曲線 と主 吸 水 曲線 か ら ヒステ リシス を表 現 す る走 査 曲 線 を推 定 す る方 法 と して,本 研 究 で はScott. et. al.14)の 方 法 を用 い て 以 下 の よ うに 取 り扱 っ た15). い ま,排 水 状 態 に あ る 点(Swx,Pcx)か す る場 合,式(5)に,Swx,Pcx,aw,n,m,Sfを す る と,仮 想 の残 留 飽 和度S*rが. それぞれ代入. 求 め られ,こ れ を新 た な. 吸水 時 の 走 査 曲線 のパ ラ メー タ とす る(図‑9(a)).ま 逆 に 吸 水 状 態 に あ る点(Swx,Pcx)か 場 合 は,式(5)に,Swx,Pcx,ad,n,m,Sfを. (7). ら吸 水状 態 に 変 化. た. ら排 水 状 態 に 変化 す る それ ぞ れ 代 入 し,. 仮 想 のS*fを 求 め,こ れ を新 た な排 水 時 の 走査 曲線 とす る. こ こに,ε お よび γは空 隙 の 連続 性に 関 わ るパ ラ メー タで あ る. シ ミュ レー シ ョン で用 い る透 水 係 数 は,以 下 の よ うに同 定 した.ま ず,実 験 開 始 時 刻 か ら降 雨 開 始 ま で の 脱 水 過 程 (24時 間)に お い て は,間 隙 空気 の影 響 は 無 視 で き る と 考 え られ る.そ こ で,上 層 お よび 下層 の飽 和透 水 係 数 と比. (図‑9(b)).. 透 水 係 数 のパ ラ メー タ(式(6)の ε)を,こ. の 間 の 間 隙 水圧. 変 化 を 良好 に再 現 す る よ う試 行 錯 誤 に よ り求 めた.す な わ. (4)透 水係 数 の推 定 比 透 水係 数,比 透 気 係 数 と有 効 飽 和度 の 関係 は,水,空. ち,フ ィ ッテ ィ ン グ に用 い た パ ラ メー タは,上 層 と下層 の 飽 和透 水 係 数kup,kloお よび比 透 水 係 数krwに 関 わ るεで あ. 気 そ れ ぞれ に つ い て 以 下 の 関係 を用 い た13),16).. る.表‑3に. (6). フ ィ ッテ ィ ン グ よ り求 め た パ ラメ ー タ を 示す.. 透 気係 数 につ い て は,飽 和透 水 係 数 と水 の粘 性係数 か ら 固有 透 過度 を逆 算 し,ま た 比透 気係 数 に 関す るパ ラ メ ー タ γは,一 般 に用 い られ る値(γ=1/3)を. ―847―. 用 い た17)..

(6) (a)上 層 の 間 隙 水 圧(P‑1)の. 時間 変化. (b)上 層 の 飽 和 度(A‑Dの. (c)下 層 の 間 隙 水 圧(P‑2)の. (d)下 層 の飽 和 度(A‑2)の 時間 変化 図‑ 11実 験 結 果 と解 析 結 果 比 較(CASE‑A). 図‑ 12間 隙 空 気 の 流 動 と飽 和 度 分 布(CASE‑A;20分. 図‑13空. 後). (5)降 雨条 件 3に 図‑ 示す 実験 と同様 の降雨条件 で数値 シ ミュ レー シ ョンを行 う.降 雨 の与え方 につ いては,土 槽両端 か ら 0.2mの 部分 は補強のた めのカバーが取 り付 けられてお り, 上部 か ら直接 降雨 を与え ることが困難 であった.このため, 数値 シ ミュ レーシ ョンにおいては,送風 による多少 の回 り 込みを考慮 して地盤両端 か ら0.15mに 関 しては降雨 を与 えない こととす る.. 時 間変 化. 時 間変 化. 気 圧 分 布(x=0.65m断. 面). 一方. ,飽 和度の時間変化について,浸 潤前線 がセ ンサー に到 達す るまでの時間は2相 流解 析結果 の方 が実験 結果 に近 い.特 に,下 層については実験 結果 が良好 に再現 され ている.こ れ らの結果か ら,間 隙 水圧変化 については,2 相 流解析 では間隙空気の影響 が過 大 に評価 されてい る も のの,降雨開始直後の水圧 の上昇は適切 に評 価 され ている とともに,飽 和度の変化 について も,2相 流 解析 の再現性 が高 く,CASE‑Aの よ うに地表面に湛 水が生 じる よ うな降 雨条件では,浸潤過程におけ る間隙空気の影響 は無視でき ない と考え られ る. 12は2相 図‑ 流解析結果 におけ る降雨開始20分 後の空. 3.3解析結果 と考察 (1)CASE‑A 図‑11にCASE.Aの. 実験結果 と解析結果 の比較 を示す.. 気の流動 と飽 和度分布 を示 した もので ある.降雨に よ り地. 上層,下層 とも地 盤左側 に配置 したセ ンサー の値 を用いて い る.間 隙水圧 変化 の比較 において,2相 流 解析で は模型. 表面付 近の飽和度 が上昇 し,降雨が与 えられていない地盤 両端部か らの空気 の放 出が確認で きる.一 方,地 盤中央付. 実験 と同様 に降 雨直後 の浸潤前線 が到達 していない段階 か ら間隙水圧の上昇が確認で きる.こ の点については,1. 近 においては下方向へ の空気 の流れ があ り,間隙空気を排. 相流解析で は,当然 の ことなが らこの よ うな上昇 は生 じて い ない.一 方,間 隙 水圧の上昇量 に関 しては,2相 流解 析. 除 しなが ら浸潤 前線 が進行 する様子 が明瞭 に現れてい る. 13は 降雨時の鉛直方向の空気圧分布 を示す.降 図‑ 雨. 結果 の方が大 き く評価 されてお り,間隙空気 の影響 を過大. 開始後か ら上層,下層 ともほぼ一様 に間隙空気圧が上昇 し てい ることがわか る.そ の時間変化 について は,降 雨開始. 評価 して いる と考 え られ る.こ れは,実 験 では降 雨が完全 に均一 に与 え られてお らず,地表面 よ り部分 的に空気 が抜. 60分 後,す なわち降雨停止時刻まで上昇を続 け,降 雨停 止 とともに下降す る.以 上の こ とか ら,浸 透 能を超 え,湛. けや すい状態 となってお り,その結果,封 入 され る間隙空 気 の量 が少 なかった ためである と考 え られ る.. 水が生 じる降雨強度が与え られ た場 合,層構造に関わ らず 地盤 全体で一様 に間隙空気 圧が上昇す るこ とがわかる.. ―848―.

(7) (a)上 層 の 間 隙 水 圧(P‑1)の. 時 間変 化. (b)上 層 の 飽 和 度(A‑1)の. 時 間変 化. (c)下 層 の 間 隙 水 圧(P‑2)の. 時 間変 化 (d)下 層 の 飽 和 度(A‑2)の 図‑ 14実 験 結 果 と解 析 結 果 比 較(CASE‑B). 時 間変化. (a)降 雨 開 始 か ら20分 後 (b)降 雨 開 始 か ら30分 図‑ 15間 隙 空 気 の 流 動 と飽 和 度 分 布(CASE‑B;20分 後). 図‑16飽. (2)CASE‑B 図‑ 14はCASE‑Bの. 和 度 分 布(x=0.65m断. 面). 図‑17空. 後. 気 圧 分 布(x=0.65m断. 面). 図‑ 15は 降雨 浸潤 時の空気 の流動 と飽和度分布 である. 実 験 結果 と解 析 結 果 を比較 した も. 降 雨開始20分 後の時 点では,地 表面か らほぼ一様 に間隙. の で あ る.下 層 で は降 雨 前 の脱水 過 程 の シ ミュ レー シ ョ ン. 空気 が放 出 されてい るが,降 雨開始30分 後 になる と地盤. で 生 じた誤 差 の た め計 算 値 は 実 験 値 よ り幾 分 大 き くな っ に よっ て き わ め て 良好 に再 現 され て い る こ とが わ か る.と. 中央部 か らの放出量が減少 し,下層地盤 内では下方 向への 流動が大 きくな ってい る.よ って,浸 潤前線が上層の砂層 か ら下層 のま さ土層 へ と浸潤 してい く際に2層 の境 界面. くに,降 雨 停 止 時 に生 じて い る間 隙水 圧 の最 大値 につ い て. に水が滞留 して飽 和状 態 とな り,まさ土層内 に存在す る間. は,実 験 で は 上層 で約20cm,下. 隙空気の封入が始まっている もの と考 え られ る.ま た,こ の時点 では上下層 のセ ンサーにはす でに浸潤 前線 が到達. て い るが,そ の後 の間 隙水 圧,飽 和度 の 変 化 は2相 流 解 析. るの に対 して,1相. 層 で約30cmに. 流 解 析 で は そ れ ぞ れ5cmお. 達 して い よび15cm. 程 度 と過 小 評 価 され てい る.. してい るため,水 圧 の上昇 が水分量 の増加 に伴 うものか,. ―849―.

(8) 参考文献 1) Neuman, S.P.: Saturated unsaturated seepage by finite element,Proc., ASCE HY, Vol.99, No.12, pp.2233-2250, 1973. 2) Neuman,S.P.: Galerkinmethodof analyzingnon-steadyflow in saturated-unsaturatedporous media, Finite Element Method Inflow Problem, edited by C. taylor, O.C. Zienkiewicz,R.H. Gallagher,John Wiley& Sons, Chap.19, 1974.. あるいは間隙空気 圧の上昇 に伴 うものか を実験結果 のみ か ら判断す ることは困難 であ る. 16に 降雨時 の鉛直方 向の飽和度分布 図‑ を,図‑17に 空気圧分布 をそれぞれ示 す.両 図 よ り,降 雨開始20分 後 か ら30分 後 にかけて,2層. の境 界面付近が飽和状態 とな. り,それ に伴 い下層地盤 内の間隙空気圧が上昇 してい るこ とがわか る.こ の とき,下 層地盤 内では不飽和状 態(Pc >0)で あるにもかか わ らず,間 隙 水圧は正の値(Pw>0) となる. この よ うな下層地盤内の間隙空気 の封入 の発生条件 は,. 3) 赤 井 浩 一, 大 西有 三, 西 垣 誠: 有 限 要 素 法 に よ る飽 和 一不飽 和浸 透 流 の解 析 , 土 木 学 会 論 文 集, 第264号,. 上下層 の初 期水分状態や 上層厚 に よって異 なる と考え ら れ るが,傾 向 としては上層地盤 が薄 く,ま た,降 雨強度が. pp.87‑96, 1977. 4) 小 川 滋: 森 林 と水 資 源 (丹保 憲 二 ・丸 山俊 朗 編,. 下層地盤 の浸透能 を上 回 る場合 には生 じ得 る現象 と思わ れ る.. 大 循 環 と地 域 水代 謝,第3章),. 技 報 堂 出版,. 水文 p.53,. 2003.. 4.結 論. 5) Pinder,G.F. and Gray, W.G.: Finiteelementsimulationin surface and subsurface hydrology, Academic Press,. 本研 究では,成 層土への降雨浸潤時にお ける間隙空気 の. pp.184-190,1977. 6) Meiri,D.: Two-phaseflow simulationof air storagein an aquifer, Water Resources Research, Vol.17, No.5,. 影響 を検討 するた めに,2層 構造の実験地盤 を用いて模型 実験 を行い,ま た1相 流解析お よび2相 流解析に よる数値 シ ミュ レー シ ョンによ り降雨実験結果 の再現を試 みた.以. pp.1360-1366,1981. 7) 田 中茂: 土壌 間 隙空 気 の圧 縮 を考 慮 した地 中へ の鉛 直. 下 に,本 研 究で得 られた結論 を示す.. 浸 透, 第13回 水 理 講 演 会 講 演 集, pp.61‑66, 1969. 8) 佐 藤 邦 明: 間 隙空 気 の圧 縮 を伴 う鉛 直 浸 透 に 関す る一. (1)細 粒 土層か ら粗粒 土層 への浸潤過程 について,実 験 よ り降雨直後か ら地表 面に湛 水が生 じる降雨 を与 えた際,. 考 察, 土 木 学 会 論 文 報 告集, 第216号,. 内圧 力が上昇 し,そ れ に伴い地 下水 面が加圧 され 地下 水 が流 出す る現象 を確認 した.. pp21‑28, 1973.. 9) 高 木 不 折 ・森 下忠 司: 2相 流 と して の 不飽 和鉛 直浸 透 解. 間隙空気が封入 され るこ とで浸潤前線 到達以前 に間隙. 析, 土 木 学会 論 文集, 第271号,. pp.37‑44, 1978.. 10) 齋 藤 雅 彦, 川 谷 健: 間 隙 内 空 気 の 運 動 を 考 慮 した数 値 シ ミュ レー シ ョン に よ る雨 水 浸 透 ・浸 出過 程 に 関す る. (2)地 表 面 に湛水 が発 生 し,間 隙 空気 が封入 され る際の空 気 圧の上昇量 は,各 層の地 盤特 性に関わ らず 同程度 と. 研 究, 応 用 力 学 論 文集, Vol.6, pp.865‑872, 2003. 11) 齋 藤 雅 彦, 八 木 宗 一 郎, 正木 寛 昭, 市成 準 一: 降 雨 浸. な り,地 盤 内全体にわた って一様 な分布 となった.た だ し,数 値 シ ミュ レー シ ョンでは間隙水圧 の上昇 が過 大に評 価 され た.こ れ は実験 では降雨 が均一 に与 えら れ なか ったため,局 所的 な空 気の排 出 が生 じていたた め と推 察 され る.. 透 ・浸 出 過 程 にお け る 地 盤 内 間 隙 空 気 の影 響 に 関す る 実 験 と数 値 解 析, 応 用 力 学 論 文 集, Vol.9, pp.901‑908, 2006. 12) 中 野 政 詩:. 土 の 物 質 移 動 学,. 東 京 大 学 出 版 会,. pp.26‑29, 1998.. 13) van Genuchten,M. T.: A closed-formequationfor predicting the hydraulicconductivityof unsaturatedsoils,SoilSci. Soc. Am.1, Vol.44,pp.892-898,1980. 14) Scott, P.S., Farquhar, G.J. and Kouwen, N. :Hysteretic Effects on Net Infiltration,pp.163-170, In Advances in Infiltration,Am. Soc.Agric.Eng.,St Joseph,MI, 1983.. (3)粗 粒土層 か ら細粒 土層 への浸潤過 程 につ いての 降雨 実験結果 は,2相 流 解析に よって良好 に再現 され,地 表面に湛 水が生 じない場合 で も,間隙空気圧の影響が 確認 された. (4)粗 粒 土 層か ら細粒土層への浸潤過程 では,2層 の境 界 面付近 に水が滞留 し,局所的に飽 和度 が上昇す るこ と で下層 の間隙空気が封入 され,地 盤内圧 力が上昇す る.. 15) 社団 法 人 地 盤 工学 会: 不飽 和 地 盤 の 挙 動 と評 価, 丸 善, pp.40‑41,2004.. 16) Maulem, Y.:A new model for predicting the hydraulic conductivityof unsaturatedporousmedia, WaterResources Research,Vol.12,pp.513-522,1976. 17) Helmig,R: MultiphaseFlow and TransportProcessesin the Subsurface,Springer,p.75, 1997. (2008年4月14日. ―850―. 受 付).

(9)

参照

関連したドキュメント

・実測流量データから有効降雨の逆算 をした.その結果、実測降雨データで は捉えられていない降雨があることが

3.3 空隙率による圧縮強度,鉄溶出速度の関係 実測空隙率,実測連続空隙率と圧縮強度および鉄溶 出速度との関係を図-3,図-4

まとめ 2 月 14 日から

はしていない.一方, Case 4 は飽和層の過剰 間隙水圧が初期有効上 載圧に到達しているこ

功した。また、採取点の属性平均値から以下の ことが分かった。 「降水量」は 2720mm と高知 県の平均降水量 2550mm より多い値となっ た。

図-6 に水分浸透速度係数と空隙率の関係を 示す. OPC の結果を見ると,空隙率が高くなるほ ど,水分浸透速度係数が高くなるという相関が

1.はじめに 豪雨災害をもたらす気象現象の一つに, 2008 年

できる小型ポンプの普及が進み,特に高位部の水田では用水の安定的な確保が可能となっ