2層地盤における鉛直浸潤時の間隙空気の挙動に関する研究
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(2) 図‑ 1実 験 装置概 略 図. 表‑1土. 図‑2セ ンサー 配置 図. 層 の構成. (a)CASE‑A. (b)CASE‑B 図‑3降 雨 条件. 各 セ ン サ ー の埋 設 位 置 に 関 して は,模 型 地 盤 の間 隙 水圧. しているこ とが確認で きる.こ れ よ り,この時 点で浸潤前. と飽 和度 の 関係(水 分 特 性 曲線)を 把 握 す る た め に,両 セ ンサ ー を 近接 して埋 設 す る.そ れ ら一 対 の 間 隙 水 圧 計 と. 線 がセ ンサー に到達 した もの と考 えられ る.図‑5は 降雨 開始 か ら24分 間(実 験開始 か ら24〜24.4時間)の 圧力水. ADRセ. 頭 の変化 を拡大 して示 したものであ る.P‑3(上 層右)を. ンサ ー を一 括 りに扱 い,図‑2に. 示 す4か 所 に配 置. す る.図 中 に示 した 番 号(P‑1〜P‑4,A‑1〜A‑4)に セ ンサ ー を識 別 す る.こ A‑1〜A‑4はADRセ. こで,P‑l〜P‑4は. よ り各. 間 隙 水圧 計,. ンサ ー で あ る.各 セ ンサ ー か ら得 られ. た 出力 電 圧 は,事 前 に 求 め られ た較 正曲線 に よ り水 圧 と体. 除 く3点 で降雨開始か ら約10分 後(=湛 水が生 じ始 めた時 刻)か ら明確 な圧 力の上昇 が見 られ るが,飽 和度 について は,こ の時 点では反 応がな く,浸 潤前線は到達 してい ない と考 え られ る.さ らに,こ れ ら間隙 水圧計の値 が上昇 し始. 積 含水 率 に換 算 した.. めるの とほぼ同時刻 に,実験 装置 両側 の水位調 節タンクを. 模 型 地 盤 作 成 に 用 い た 試 料 は,砂(D20=20%通 過径 =0 .25mm)と ま さ土(D20=0.03mm)で あ る.各 試 料 の飽. 介 して模型 地盤 か らの流 出が確認 された. これ らの現 象は,地 盤の浸透能 を超 え湛 水が生 じる降雨. 和透 水 係 数kは,定. 水 位 透 水 試 験 よ り,砂 につ い てk=1.21. を与えたこ とが原因で ある と考 え られ る.す なわち,降 雨. ×10‑2cm/s,ま さ土 につ い てk=1.60×10‑3cm/sが 得 られ た.. 初 期段階 か ら地表面付 近の飽和度 が急激 に上昇 したた め 雨水 と間隙空気 との円滑 な置換が阻害 され,地 表面 か ら間. 実験 手順 は,ま ず 地 盤 全体 を飽 和 させ た状 態 か ら水 位 調 節 タ ンク を 地 下 水 面 高 さが0.15mと. な る よ うに降 下 させ,. 地 盤 内 の脱 水 を 開始 す る.こ の 時刻 を 実 験 開 始 時刻 とす る. 実 験 開 始後24時. 間 経 過 した 後,降 雨 を開 始 し,所 定 の 時. 間継 続 して 一 定 の 強 度 で 降 雨 を 与 え る こ と とす る. 実 験 は,模 型 地 盤 の 作 成 条 件 に よ り表‑1に ス とす る.ま た各 ケ ー ス で の 降 雨条 件 を図‑3に. 示 す2ケ. 中のrは,降. ー. 示 す.図. 雨 強 度Rtと 上 層 の 飽 和透 水係 数kの 比r=Rt/k. で あ る.上 層 の飽 和透 水 係 数 を最 終 浸 透 能 とみ なせ ば,7≧1 で は湛 水 が生 じ,r<1で. は 湛 水は生 じな い と想 定 され る.. 2.2実 験 結 果 と考 察 (1)CASE‑A 図‑ 4にCASE‑Aの. 実 験結 果 を示 す.そ れ ぞ れ 横 軸 に は. 経 過 時 間 を,縦 軸 に は圧 力水 頭 ま た は飽 和 度 を示 す.実 験 開 始24時. 間後 か ら降 雨 を 開始 し,降 雨 開 始10分 後 頃 か ら. 地 表 面 に湛 水 が生 じた.セ ンサ ー値 の変 化 につ い て,上 層 に 関 して は24〜24.5時 間 に か けて,下 層 に関 して は24.5 〜25時 間 にか け て,圧 力 水 頭 と飽 和度 の値 が急 激 に 上 昇. ―844―. 隙内 に水 が満 た され てい くこ とで地盤 内の間隙空気 が浸 潤前線 と地 下水面 の間 に封入 され る.これ に伴 って地 盤間 隙内の圧力 が上昇 し,地下水 面が加圧 され土層 の底部 の水 が押 し出 され て流 出 したもの と判断で きる. また,間 隙空気 の封入 に よる間隙水圧 の上昇量 に関 して は,上層 と下層でほぼ等 しく,5〜6cm程 度 となっている. したがって,地 表面 に湛水が生 じる際には,間 隙空気 の封 入に よ り地盤全体 にわたって圧力 が上昇 し,その上昇 量も 層構造に寄 らず地盤全体で ほぼ一定 となる と考 え られ る. (2)CASE‑B 図‑6にCASE‑Bの 実験 結果 を示す.CASEBで は, CASE.Aよ りも降雨強度が大 きい150mm/hの 降雨を与え たが,上 層 にま さ土 と比べて透 水 性の良い砂 を配 している た め,地 表面 に到達 した雨滴が直 ちに地盤内へ と浸透 して い った.ま た,CASE‑Aと 同様 に上層 ・下層 ともに圧 力水 頭 と飽和度の値 が急 激に上昇す る時刻 があ り,浸潤 前線 が セ ンサーに到達 した ことが確 認できる..
(3) (b)上 層 の飽 和度 の時 間変化. (a)上 層 の間 隙水 圧 の時 間変 化. (c)下 層 の 間隙 水圧 の 時 間変 化 (d)下 層 の飽 和 度 の時 間変 化 図‑4圧 力 水頭 と飽 和度 の測 定結 果(CASE‑A). (a)P‑1. (b)P‑2 図‑5降. (c)P‑3. (d)P‑4. 雨 開始 か ら24分 間の 間隙 水圧 変化. (a)上 層 の間 隙水 圧 の時 間変 化. (b)上 層 の飽 和度 の 時間 変化. (c)下 層 の間 隙水圧 の時 間変 化(d)下 層 の飽 和度 の時 間 変化 図‑6圧 力水 頭 と飽 和度 の測 定結 果(CASE‑B). ―845―.
(4) 降雨開始か ら38分 後には地表面に湛 水が生 じ始 める と ともに,上層 の圧 力水 頭が概 ね静水圧 に達 したこ とか ら降 雨を停止 したため,こ の時 点か ら測 定値 の下降 が始 まって い る.一 方 で,CASE‑Aで 見 られ たよ うな浸潤前線の到達 以前 に圧 力水頭 の値 が顕著 に上昇す る現 象は確認す るこ とができなかった. 3.数 値シ ミュ レーシ ョンに よる模 型実 験の再現 数値 シ ミュ レー シ ョンに よ り模型 実験 で得 られた圧 力 お よび飽 和度の時間変化の再現 を試 み る.それぞれ の実験 につ いて有 限要素法 に よる1相 流お よび2相 流解 析 を行 い,実 験結果 と比較 してその再現 性につ いて検討 する.. 図‑7解 析領 域 の概 要 3.2解 析 条 件 (1)解 析 モ デル 7に 解図‑ 析領 域 の概 要 を示 す.解 幅2.0mの. 3.1基礎 方程式. 析領 域 は 高 さ1.0m,. 鉛 直2次 元 地 盤 で あ る.模 型 実 験 を シ ミュ レー. トす る際 の初 期 条 件 は,水 位 を 地 表 面 に設 定 し,飽 和 地 盤. 水お よび空気の基礎方程 式は,連続式 とダル シー則 に基 づ き,式(1)お よび 式(2)とな る9).. と して,水 圧 は 静 水 圧 分布,空 気 圧 は全 領 域 にお い て 大 気 圧 とす る. 側 面(x=0mお. (1). よび x=2m)に お け る境 界 条 件 は,z>0.05m. でQwb=Qab=0,ま. た 両側 面 の底 部 か らz≦0.05mに. お ける. 境 界条 件 は,実 験 で 両側 タ ン ク の水 位 を降 下 させ る の に要 した 時 間(15分)と. 同時 間 を か け て境 界条 件 を地 下 水 面. の0.15m低 下 させ,そ の後 は地 下 水 深0.15mで. (2). 一 定 と した.. 地 表 面 で は,空 気 につ い て圧 力 規 定 でPa=0m(=大 圧),水 につ い て は無 降 雨(Rt=0)の 降 雨時(Rt>0)は. 気. とき流 束規 定 でqw=0,. 流 束規 定 でqw=Rt,た. だ し,Pw≧0mと. な っ た(す な わ ち 浸透 能 が 降 雨 量 以 下 とな っ た)時 点で 圧 こ こにtは 時 間,xiは 空 間座 標,η は 空 隙 率,krw,kraは. そ. れ ぞれ 水 と空 気 の 相 対 透 過 係 数,kijは 地 盤 の 固有 透 過度, μw,μaはそれ ぞれ 水 と空 気 の粘 性係 数,Pw,Paは 水 と空 気 の圧 力,Pcは 毛管 圧(=Pa‑Pw),Sw,Saは それ ぞれ 水 と空 気 の飽 和度,βaは 構 成 体 積 率,gは. 重 力 加 速 度 で あ る.. 力 規 定Pw=0mと. す る.. (2)水 分 特牲 曲線 の推 定 実験 にお いて,降 雨 開 始 前 の 吸水 時お よび 脱 水 時 に計 測 した 毛 管 圧 と飽 和 度 の 関 係 を 用 い,以. 下 の 式(5)に 示 す. van Genuchten13)の式 に よ りフ ィ ッテ ィ ン グ を行 い.主 排水. 境 界 条 件 は,圧 力規 定 の場 合,. 曲線 および 主 吸 水 曲線 の パ ラ メー タ を推 定 した.. (3). で あ る.こ こ に,Pwbお よ びPabは,境. (5). 界 上 の水 圧 お よび 空. 気 圧 で あ る.ま た,流 量 規 定境 界の場 合 は,. こ こにSeは 有 効 飽 和度,a,n,mは 形 状 パ ラ メ ー タ で あ り, 一 般 にm=1 ‑1/n,Srは 残 留 飽 和度,SfはPc=0に お け る飽 和 度,hcは 毛 管圧Pcの 水 頭 換 算 値hc=Pc/ρwgで あ る.こ こ. (4). で はSfに つ い て はSf=1.0と す る. パ ラメ ー タ の主 排 水 曲線 と主 吸 水 曲線 の 間 の 関係 は,n とSrは 共 通 と仮 定 し,aに. で あ る.こ こに,Qwbは. 水 の境 界 流 束,Qabは 空気 の境 界 流. 束,niは 境 界の 外 向 き単 位 法 線 ベ ク トル,ρwは 水 の密 度 で あ る.こ こで,Pa=0(大 気 圧)と して,式(1)の 左 辺 第 一項 お よび 式(2)を 無視 し,Pc=‑Pwと. す る と,1相. 流 解 析 の基 礎. 式 が得 られ る.. つ い て のみ,そ れ ぞ れadとaw. と して 区別 す る.推 定 の 手 順 は,ま ず 主 排水 曲線 の パ ラメ ー タn ,ad,Srを 同 定 し,吸 水 曲線 に つ い て は排 水 曲線 の 同 定 で 得 られ たnを. 固 定 してawとSrを. 同定 す る.た だ し,. 吸 水 曲線 の 同 定 で得 られ たSrは,主 吸 水 曲線 とは 異 な る の で 無 視 す る.図‑8は 一 例 と してCASE‑Aに お け る各層 の フ ィ ッテ ィ ン グ結 果,表2は 同定 され た パ ラ メ ー タ の 一 覧 を示 す .な お,同 定 に用 い た測 定 結 果 は,各 層 と もに 左 側 の セ ンサー か ら得 られ た もの で あ る.. ―846―.
(5) (a)上 層(ま. さ土)左. 側. (b)下 層(砂)左 図‑8水 分 特 性 曲 線 の 推 定 例(CASE‑A). 表‑2水. 側. 分特 性曲線 のパ ラ メー ター 覧. 図‑ 10フ イ ッテ イ ン グ の 一 例(CASE‑A;上. (a)排 水 → 吸 水 (b)吸 水 → 排 水 図‑9ヒ ス テ リ シ ス の 取 扱 い. 層 左 側). 表‑3透 水係数 の推 定結果. (3)水 分 特 性 曲線 の ヒス テ リシス の 取 扱 い 一般 に ,飽 和度 と毛 管 圧 の 関係 は ヒステ リシス に よ り初 期 の 保 水 状 態 や 吸排 水履 歴 に依 存 し,一 義 的 には 決 定 で き な い.主 排 水 曲線 と主 吸 水 曲線 か ら ヒステ リシス を表 現 す る走 査 曲 線 を推 定 す る方 法 と して,本 研 究 で はScott. et. al.14)の 方 法 を用 い て 以 下 の よ うに 取 り扱 っ た15). い ま,排 水 状 態 に あ る 点(Swx,Pcx)か す る場 合,式(5)に,Swx,Pcx,aw,n,m,Sfを す る と,仮 想 の残 留 飽 和度S*rが. それぞれ代入. 求 め られ,こ れ を新 た な. 吸水 時 の 走 査 曲線 のパ ラ メー タ とす る(図‑9(a)).ま 逆 に 吸 水 状 態 に あ る点(Swx,Pcx)か 場 合 は,式(5)に,Swx,Pcx,ad,n,m,Sfを. (7). ら吸 水状 態 に 変 化. た. ら排 水 状 態 に 変化 す る それ ぞ れ 代 入 し,. 仮 想 のS*fを 求 め,こ れ を新 た な排 水 時 の 走査 曲線 とす る. こ こに,ε お よび γは空 隙 の 連続 性に 関 わ るパ ラ メー タで あ る. シ ミュ レー シ ョン で用 い る透 水 係 数 は,以 下 の よ うに同 定 した.ま ず,実 験 開 始 時 刻 か ら降 雨 開 始 ま で の 脱 水 過 程 (24時 間)に お い て は,間 隙 空気 の影 響 は 無 視 で き る と 考 え られ る.そ こ で,上 層 お よび 下層 の飽 和透 水 係 数 と比. (図‑9(b)).. 透 水 係 数 のパ ラ メー タ(式(6)の ε)を,こ. の 間 の 間 隙 水圧. 変 化 を 良好 に再 現 す る よ う試 行 錯 誤 に よ り求 めた.す な わ. (4)透 水係 数 の推 定 比 透 水係 数,比 透 気 係 数 と有 効 飽 和度 の 関係 は,水,空. ち,フ ィ ッテ ィ ン グ に用 い た パ ラ メー タは,上 層 と下層 の 飽 和透 水 係 数kup,kloお よび比 透 水 係 数krwに 関 わ るεで あ. 気 そ れ ぞれ に つ い て 以 下 の 関係 を用 い た13),16).. る.表‑3に. (6). フ ィ ッテ ィ ン グ よ り求 め た パ ラメ ー タ を 示す.. 透 気係 数 につ い て は,飽 和透 水 係 数 と水 の粘 性係数 か ら 固有 透 過度 を逆 算 し,ま た 比透 気係 数 に 関す るパ ラ メ ー タ γは,一 般 に用 い られ る値(γ=1/3)を. ―847―. 用 い た17)..
(6) (a)上 層 の 間 隙 水 圧(P‑1)の. 時間 変化. (b)上 層 の 飽 和 度(A‑Dの. (c)下 層 の 間 隙 水 圧(P‑2)の. (d)下 層 の飽 和 度(A‑2)の 時間 変化 図‑ 11実 験 結 果 と解 析 結 果 比 較(CASE‑A). 図‑ 12間 隙 空 気 の 流 動 と飽 和 度 分 布(CASE‑A;20分. 図‑13空. 後). (5)降 雨条 件 3に 図‑ 示す 実験 と同様 の降雨条件 で数値 シ ミュ レー シ ョンを行 う.降 雨 の与え方 につ いては,土 槽両端 か ら 0.2mの 部分 は補強のた めのカバーが取 り付 けられてお り, 上部 か ら直接 降雨 を与え ることが困難 であった.このため, 数値 シ ミュ レーシ ョンにおいては,送風 による多少 の回 り 込みを考慮 して地盤両端 か ら0.15mに 関 しては降雨 を与 えない こととす る.. 時 間変 化. 時 間変 化. 気 圧 分 布(x=0.65m断. 面). 一方. ,飽 和度の時間変化について,浸 潤前線 がセ ンサー に到 達す るまでの時間は2相 流解 析結果 の方 が実験 結果 に近 い.特 に,下 層については実験 結果 が良好 に再現 され ている.こ れ らの結果か ら,間 隙 水圧変化 については,2 相 流解析 では間隙空気の影響 が過 大 に評価 されてい る も のの,降雨開始直後の水圧 の上昇は適切 に評 価 され ている とともに,飽 和度の変化 について も,2相 流 解析 の再現性 が高 く,CASE‑Aの よ うに地表面に湛 水が生 じる よ うな降 雨条件では,浸潤過程におけ る間隙空気の影響 は無視でき ない と考え られ る. 12は2相 図‑ 流解析結果 におけ る降雨開始20分 後の空. 3.3解析結果 と考察 (1)CASE‑A 図‑11にCASE.Aの. 実験結果 と解析結果 の比較 を示す.. 気の流動 と飽 和度分布 を示 した もので ある.降雨に よ り地. 上層,下層 とも地 盤左側 に配置 したセ ンサー の値 を用いて い る.間 隙水圧 変化 の比較 において,2相 流 解析で は模型. 表面付 近の飽和度 が上昇 し,降雨が与 えられていない地盤 両端部か らの空気 の放 出が確認で きる.一 方,地 盤中央付. 実験 と同様 に降 雨直後 の浸潤前線 が到達 していない段階 か ら間隙水圧の上昇が確認で きる.こ の点については,1. 近 においては下方向へ の空気 の流れ があ り,間隙空気を排. 相流解析で は,当然 の ことなが らこの よ うな上昇 は生 じて い ない.一 方,間 隙 水圧の上昇量 に関 しては,2相 流解 析. 除 しなが ら浸潤 前線 が進行 する様子 が明瞭 に現れてい る. 13は 降雨時の鉛直方向の空気圧分布 を示す.降 図‑ 雨. 結果 の方が大 き く評価 されてお り,間隙空気 の影響 を過大. 開始後か ら上層,下層 ともほぼ一様 に間隙空気圧が上昇 し てい ることがわか る.そ の時間変化 について は,降 雨開始. 評価 して いる と考 え られ る.こ れは,実 験 では降 雨が完全 に均一 に与 え られてお らず,地表面 よ り部分 的に空気 が抜. 60分 後,す なわち降雨停止時刻まで上昇を続 け,降 雨停 止 とともに下降す る.以 上の こ とか ら,浸 透 能を超 え,湛. けや すい状態 となってお り,その結果,封 入 され る間隙空 気 の量 が少 なかった ためである と考 え られ る.. 水が生 じる降雨強度が与え られ た場 合,層構造に関わ らず 地盤 全体で一様 に間隙空気 圧が上昇す るこ とがわかる.. ―848―.
(7) (a)上 層 の 間 隙 水 圧(P‑1)の. 時 間変 化. (b)上 層 の 飽 和 度(A‑1)の. 時 間変 化. (c)下 層 の 間 隙 水 圧(P‑2)の. 時 間変 化 (d)下 層 の 飽 和 度(A‑2)の 図‑ 14実 験 結 果 と解 析 結 果 比 較(CASE‑B). 時 間変化. (a)降 雨 開 始 か ら20分 後 (b)降 雨 開 始 か ら30分 図‑ 15間 隙 空 気 の 流 動 と飽 和 度 分 布(CASE‑B;20分 後). 図‑16飽. (2)CASE‑B 図‑ 14はCASE‑Bの. 和 度 分 布(x=0.65m断. 面). 図‑17空. 後. 気 圧 分 布(x=0.65m断. 面). 図‑ 15は 降雨 浸潤 時の空気 の流動 と飽和度分布 である. 実 験 結果 と解 析 結 果 を比較 した も. 降 雨開始20分 後の時 点では,地 表面か らほぼ一様 に間隙. の で あ る.下 層 で は降 雨 前 の脱水 過 程 の シ ミュ レー シ ョ ン. 空気 が放 出 されてい るが,降 雨開始30分 後 になる と地盤. で 生 じた誤 差 の た め計 算 値 は 実 験 値 よ り幾 分 大 き くな っ に よっ て き わ め て 良好 に再 現 され て い る こ とが わ か る.と. 中央部 か らの放出量が減少 し,下層地盤 内では下方 向への 流動が大 きくな ってい る.よ って,浸 潤前線が上層の砂層 か ら下層 のま さ土層 へ と浸潤 してい く際に2層 の境 界面. くに,降 雨 停 止 時 に生 じて い る間 隙水 圧 の最 大値 につ い て. に水が滞留 して飽 和状 態 とな り,まさ土層内 に存在す る間. は,実 験 で は 上層 で約20cm,下. 隙空気の封入が始まっている もの と考 え られ る.ま た,こ の時点 では上下層 のセ ンサーにはす でに浸潤 前線 が到達. て い るが,そ の後 の間 隙水 圧,飽 和度 の 変 化 は2相 流 解 析. るの に対 して,1相. 層 で約30cmに. 流 解 析 で は そ れ ぞ れ5cmお. 達 して い よび15cm. 程 度 と過 小 評 価 され てい る.. してい るため,水 圧 の上昇 が水分量 の増加 に伴 うものか,. ―849―.
(8) 参考文献 1) Neuman, S.P.: Saturated unsaturated seepage by finite element,Proc., ASCE HY, Vol.99, No.12, pp.2233-2250, 1973. 2) Neuman,S.P.: Galerkinmethodof analyzingnon-steadyflow in saturated-unsaturatedporous media, Finite Element Method Inflow Problem, edited by C. taylor, O.C. Zienkiewicz,R.H. Gallagher,John Wiley& Sons, Chap.19, 1974.. あるいは間隙空気 圧の上昇 に伴 うものか を実験結果 のみ か ら判断す ることは困難 であ る. 16に 降雨時 の鉛直方 向の飽和度分布 図‑ を,図‑17に 空気圧分布 をそれぞれ示 す.両 図 よ り,降 雨開始20分 後 か ら30分 後 にかけて,2層. の境 界面付近が飽和状態 とな. り,それ に伴 い下層地盤 内の間隙空気圧が上昇 してい るこ とがわか る.こ の とき,下 層地盤 内では不飽和状 態(Pc >0)で あるにもかか わ らず,間 隙 水圧は正の値(Pw>0) となる. この よ うな下層地盤内の間隙空気 の封入 の発生条件 は,. 3) 赤 井 浩 一, 大 西有 三, 西 垣 誠: 有 限 要 素 法 に よ る飽 和 一不飽 和浸 透 流 の解 析 , 土 木 学 会 論 文 集, 第264号,. 上下層 の初 期水分状態や 上層厚 に よって異 なる と考え ら れ るが,傾 向 としては上層地盤 が薄 く,ま た,降 雨強度が. pp.87‑96, 1977. 4) 小 川 滋: 森 林 と水 資 源 (丹保 憲 二 ・丸 山俊 朗 編,. 下層地盤 の浸透能 を上 回 る場合 には生 じ得 る現象 と思わ れ る.. 大 循 環 と地 域 水代 謝,第3章),. 技 報 堂 出版,. 水文 p.53,. 2003.. 4.結 論. 5) Pinder,G.F. and Gray, W.G.: Finiteelementsimulationin surface and subsurface hydrology, Academic Press,. 本研 究では,成 層土への降雨浸潤時にお ける間隙空気 の. pp.184-190,1977. 6) Meiri,D.: Two-phaseflow simulationof air storagein an aquifer, Water Resources Research, Vol.17, No.5,. 影響 を検討 するた めに,2層 構造の実験地盤 を用いて模型 実験 を行い,ま た1相 流解析お よび2相 流解析に よる数値 シ ミュ レー シ ョンによ り降雨実験結果 の再現を試 みた.以. pp.1360-1366,1981. 7) 田 中茂: 土壌 間 隙空 気 の圧 縮 を考 慮 した地 中へ の鉛 直. 下 に,本 研 究で得 られた結論 を示す.. 浸 透, 第13回 水 理 講 演 会 講 演 集, pp.61‑66, 1969. 8) 佐 藤 邦 明: 間 隙空 気 の圧 縮 を伴 う鉛 直 浸 透 に 関す る一. (1)細 粒 土層か ら粗粒 土層 への浸潤過程 について,実 験 よ り降雨直後か ら地表 面に湛 水が生 じる降雨 を与 えた際,. 考 察, 土 木 学 会 論 文 報 告集, 第216号,. 内圧 力が上昇 し,そ れ に伴い地 下水 面が加圧 され 地下 水 が流 出す る現象 を確認 した.. pp21‑28, 1973.. 9) 高 木 不 折 ・森 下忠 司: 2相 流 と して の 不飽 和鉛 直浸 透 解. 間隙空気が封入 され るこ とで浸潤前線 到達以前 に間隙. 析, 土 木 学会 論 文集, 第271号,. pp.37‑44, 1978.. 10) 齋 藤 雅 彦, 川 谷 健: 間 隙 内 空 気 の 運 動 を 考 慮 した数 値 シ ミュ レー シ ョン に よ る雨 水 浸 透 ・浸 出過 程 に 関す る. (2)地 表 面 に湛水 が発 生 し,間 隙 空気 が封入 され る際の空 気 圧の上昇量 は,各 層の地 盤特 性に関わ らず 同程度 と. 研 究, 応 用 力 学 論 文集, Vol.6, pp.865‑872, 2003. 11) 齋 藤 雅 彦, 八 木 宗 一 郎, 正木 寛 昭, 市成 準 一: 降 雨 浸. な り,地 盤 内全体にわた って一様 な分布 となった.た だ し,数 値 シ ミュ レー シ ョンでは間隙水圧 の上昇 が過 大に評 価 され た.こ れ は実験 では降雨 が均一 に与 えら れ なか ったため,局 所的 な空 気の排 出 が生 じていたた め と推 察 され る.. 透 ・浸 出 過 程 にお け る 地 盤 内 間 隙 空 気 の影 響 に 関す る 実 験 と数 値 解 析, 応 用 力 学 論 文 集, Vol.9, pp.901‑908, 2006. 12) 中 野 政 詩:. 土 の 物 質 移 動 学,. 東 京 大 学 出 版 会,. pp.26‑29, 1998.. 13) van Genuchten,M. T.: A closed-formequationfor predicting the hydraulicconductivityof unsaturatedsoils,SoilSci. Soc. Am.1, Vol.44,pp.892-898,1980. 14) Scott, P.S., Farquhar, G.J. and Kouwen, N. :Hysteretic Effects on Net Infiltration,pp.163-170, In Advances in Infiltration,Am. Soc.Agric.Eng.,St Joseph,MI, 1983.. (3)粗 粒土層 か ら細粒 土層 への浸潤過 程 につ いての 降雨 実験結果 は,2相 流 解析に よって良好 に再現 され,地 表面に湛 水が生 じない場合 で も,間隙空気圧の影響が 確認 された. (4)粗 粒 土 層か ら細粒土層への浸潤過程 では,2層 の境 界 面付近 に水が滞留 し,局所的に飽 和度 が上昇す るこ と で下層 の間隙空気が封入 され,地 盤内圧 力が上昇す る.. 15) 社団 法 人 地 盤 工学 会: 不飽 和 地 盤 の 挙 動 と評 価, 丸 善, pp.40‑41,2004.. 16) Maulem, Y.:A new model for predicting the hydraulic conductivityof unsaturatedporousmedia, WaterResources Research,Vol.12,pp.513-522,1976. 17) Helmig,R: MultiphaseFlow and TransportProcessesin the Subsurface,Springer,p.75, 1997. (2008年4月14日. ―850―. 受 付).
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