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司会 ( 遠藤 ) パネルディスカッションの前に, まず本日御臨席の御来賓の皆様を御紹介させていただきたいと思います 裁判員制度は, 平成 21 年 5 月 21 日の施行から, 本日でちょうど10 年の節目を迎えます この間全国で約 1 万 2000 件の裁判員裁判が実施され, およそ9 万人の国

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○司会(遠藤) パネ ルディ スカ ッショ ンの前に,ま ず本日 御臨席 の御 来賓の 皆様を御紹介 させていただきたいと思います。 裁判 員制度 は, 平成2 1年5月21 日の施 行から ,本 日でち ょ うど10年 の節目 を迎 え ます 。 この 間全国で約1 万20 00 件の裁 判 員裁判 が実施され , およそ 9万 人 の国 民 の皆 様に裁判 員等 として 御参 加 いた だ きま した。裁判員 制度が これ ま で順 調 に運 用 されて きま したの も, 先 ほど 共 催者 のほう からの 御挨拶 にも ご ざい ま した とおり,御参 加いた だい た 国民 の 皆様 のみならず, その環 境を整 備し ていた だきました関 係団体 の皆 様 のお 力 添え によるものと 考えているところでございます。 そこ で,た だい ま より 本日御 臨席の 関係団 体の 皆 様を 御 紹介 することを通 じて, 改め て 制度 へ の御 理解,御協力 に感謝 申し 上 げた い とい うふう に思い ます。 〔来賓紹介:団体名のみ記載〕 全国知事会様 全国市長会様 全国町村会様 一般社団法人日本経済団体連合会様 公益社団法人経済同友会様 日本商工会議所様 日本労働組合総連合会様 日本司法支援センター様 ○司会(遠藤) それでは,パネル ディスカッ ション に入りたいと思います。 「裁判員制度のこれ まで,そし てこれ から 」と題し て議論 をしていた だきま す。 ○司会(和田) 本日は,裁判員裁 判に参加し た率直 な御意 見,御感想 をいた だくべ く,2 名の裁 判員経 験者の方々 にパネ リスト としてお越しいただきました。 また,司会は,東 京大学大学 院法学 政治学 研究科教授 ・川出 敏裕先 生にお 願いしております。 ○司会(遠藤) それでは,川出先 生に引き継 ぎたい と思い ます。川出先生, どうぞ よ ろし くお願いいたします。

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○川出敏裕東京大学大学院教授 それ では,パ ネ ルデ ィスカッションを始め たいと思います。 井 上 先 生 に は , 制 度 の生み の親 の 立場 か ら御 講演をいただ きまし た。 こ こか ら は, 誕生し た制度 の実際 の担い 手と なった 方 々による意 見交換を行いたいと思います。 先ほ ども 御紹介 が ありま した ように, 現在ま でに 9 万人 を 超え る方々 が,裁 判員又 は補充 裁判 員とし て 裁判員 裁判 に参加 されて いま す。裁 判員を経験し た方々 への ア ンケ ー トの 結果に よりま すと, 大部分 の方 が 裁判 員として 参加 したこ とを よ い経 験 と感 じたと答えて おられ ,裁 判 員制 度 は概 ね順調に運用 されて いる と 評価 さ れて います。それ ととも に, 裁 判員 制 度は 刑 事裁判 自体 を大きく変えたと言われております。 その 一方で ,国 民の大 半はまだ裁判 員裁判 を経 験 して い ない わ けで すし, 裁判員 制度自 体も 発 展途 上の面 があり ますの で, 今 後, 裁 判員 制 度をさらに 定着, 発展 さ せて い くた めには,法曹 三者に よる 取 組と 合 わせ て,関係団体 との連 携を進 めていく必 要があ ると考 えられます。 そこで,このパネ ルディスカ ッショ ンでは ,本日 ,裁判員制 度が施 行から 10年 を迎え たことを契 機に, これま での成 果を確 認するとと もに, 制度を さらに 定着さ せていくた めの方 策につ いて, 裁判員 経験者の方 々の意 見を伺 いながら考えていきたいと思います。 今回のシンポジウ ムのタイト ルにあ わせま して,まず は「裁判員制度 のこ れまで 」として,裁判員 制度の 導入か ら10 年が経 過し,刑事 裁判が どう変 わった のか, そしてこの 間,実 務にお いて どのような取組 をして きたか につ いて, 裁判員 裁判の実務 を担当 してい る法曹三者 に紹介してもら うとともに , それが 裁判員 にどう受け とめら れてい るかに ついて,裁判員経験者の 方に伺 いたいと思います。 そして,その後に,「裁判員制度のこ れから 」として,裁判員 裁判を より良 いものにしていくと ともに,よ り多く の方々 に裁判 員裁判に参 加して いただ くため に,今後, どのよ うな点 に力を 入れて いくべ きかについ て意見 交換を

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行うと いう 順序で 進 めたい と思います 。 それ では, 初め に ,パ ネ リスト の皆 様から 自己紹 介を お 願い できます でし ょうか。 ○伊藤雅人東京地裁所長代行 東京地方裁判所刑事部 所長代行の伊藤と申し ます。私は刑事裁判官 で すが , 裁判 員 裁 判の経 験はそ れほ ど なく て ,こ れまで20件 ぐらい 裁判 長 を務 め た程 度です 。どち らかと いう と ,裏 方 から 裁判員裁判を 支援し てき た と, こ うい う立場になり ます。 今日 は裁判 員経 験者の 方,お二人と お話し でき る のを 大 変楽 しみにしてま いりま した 。 よろ し くお 願いいたしま す。 ○和田澄男東京地検公判部長 東京地方検察庁公判 部長をしております和 田でございます。私自 身,公判部長という立 場で日 々裁 判 員裁 判 に関 与しておりま す。本 日, 裁 判員 裁 判は 始まってから 10周 年と い うこ と です が,裁判員裁 判は検 察官に とりまして も制度 開始当 初のよ うな特 別な裁判と いうわ けでは ござい ません で,日々, 公判準 備,公 判立会を進めている 刑事裁判手 続の一 つとし て定着 してきてい るので はない かというふうに思っています。 検察官として,よ りよい主張 立証, 分かり やすい 主張立証を するこ とによ って, 今後, 制度のほう がより 良く発 展して いけば いいなとい うふう に考え ている ところ でございま す。本 日はど うぞよろしくお願いいたします。 ○宮村啓太弁護士 弁 護 士 の 宮 村 と 申 し ま す 。 本 日 は よ ろ し く お 願 いいたします。 私 は , 裁 判 員 法 が 施 行 さ れる前 後を通 じて,日弁 連や第 二東京 弁護士 会で, 刑事裁判に ついて の情報 を集約 し,そ して弁護活 動の在 り方を 検討す ること に取り組む ,その ような 組織に所属してきました。 現場でも,この1 0年間を通 じて裁 判員裁 判を含 めて刑事裁 判の弁 護人を 担当し てきま した。裁判 員裁判 は,弁 護活動 の在り 方の変革を 改めて 迫られ

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る契機 にな っ たと 感 じて います。本日 は裁判 員裁 判 を巡 っ てそ れぞれの立場 から議論できればと思います。 ○経験者A ふだんはサラリーマンを しております 。今日,こ ういう場に初 めて出 て, 少 し 緊 張 し て いま す け れ ども, 経験 し たこ と を伝 える立場とし て,お 話し さ せて い ただ きたい と思い ます。よろしくお願いいたします。 ○経験者B 昨年の10月に裁判員 制 度 を 経 験 さ せ て い た だ き ま し た 。 そ の 当 時 は 妊 娠 8 か 月 で し て , 12月 に出 産 しま し たの で今4か月の 子ども がい ま す。 今 日は , この 会場の 外で母親が面倒を見てくれています。 本日 は,こ ちら のシン ポジウムに参 加させ てい た だけ る とい うことで,ぜ ひ一国 民と し ての 意 見を 述べさせてい ただき たい と 思っ ていま す。よろ しく お願いいたします。 ○川出教授 ありがとうございました。 そ れ で は , ま ず , 最 初 の 柱 で あ る 「裁判員制度のこれ まで」につ いて話 を進め ていき たいと思い ます。 井上先 生の 御講演の中では,裁判員制 度が導 入され たこと によって特 に公判 審 理が 大きく 変わっ たという指摘がな されて いました。それぞ れのお 立場か ら,刑 事裁判 が実際 にどう変わ ったか という 点について,お話を いただけま すでし ょうか。 ○伊藤代行 目に見 えて 変わっ たこ とのほ かに, 見えづ らいけ れども実は 大きく 変わり つつあ るんじ ゃないかと いうこ とがあ るように思います。 まず,目に見えて 変わったこ とのほ うです が,こ れは先ほど 井上先 生の御 講演の 中でも 話がありま したよ うに, 刑事裁 判が分 かりやすい ものに なった という ことで す。この点 は,す でに井 上先生 が的確 にお話され たとお りです ので,繰り返しません。 ここでは,目に見えづら い け れ ど も 重 要 な 変 化 で は な い か と 私 が 感 じ て い ることについ て若干 お話さ

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せていただこうと思います。 それ は,法 律専 門家, つまり裁判官 や検察 官や 弁 護士 が ,一 般の方を相手 に訴訟 活動 す る, あ るい は一般の方と 一緒に 評議 し たり , 判決 したりする, そうい う制 度 的な 変 更が あったことに よって ,法 律 専門 家 の側 の物の考え方 自体が 少し ず つ変 わ りつ つあるのでは ないか とい う こと な ので す。当たり前 のこと です が ,裁 判 員制 度の下では, 法律専 門家 も 専門 家 の常 識の中だけで 物事を 考え て いる の では 足りなくなっ てきま した 。 一般 の 方は どういうふう に考え るん だ ろう か とい うことを常に 意識す るよ うにな っ たとい うことです 。 裁判 官の場 合で 言いま すと,評議に おいて 裁判 員 の方 た ちと いろいろ議論 をして いる と ,そ の 過程 で職業裁判官 特有の 思い 込 みや バ イア スに気づかさ れると いう こ とが ま まあ ります。裁判 員の方 たち と みん な で議 論をして ,み んなが 納得 で きる 結 論, 理由付けを探 すと, こう い う作 業 を繰 り返していま すと, 裁判 官 だけ で 判決 をしていたと きより も, よ り積 極 的な 理由に基づく 判決, ある い は深 み のあ る判決を書け たと実 感する こともよく ありま す。こ れらは 実際に 多くの裁判 官が経 験して いるこ とです 。そのよう な経験 が重な ります と,裁 判官の事実 認定や 量刑に 対する 考え方 自体に変化 が生じ ること はむし ろ自然 なことのよ うに思 われま す。こ の点は ,裁判員制 度の導 入の趣 旨との 関係で ,非常に重 要なこ とだと 思いま すけれ ども,外か ら御覧 になっ ていた のでは ,あまりよ く分か らない ことか なと思 いましたの で,最 初に御 紹介させていただきました。 ○和田部長 検察官の立場から この10年 を振り 返って みます と,やはり 主張立 証の在 り方が 裁判官 裁判時代と は大き く変わ ってき た,非 常に分かり やすさ ,裁判 員の皆 さんに 分かってい ただく という ことを 意識し た主張立証 を行う ように なって きたと いうことが 言える んじゃ ないかと思います。 例 えば, 冒頭陳 述に お きましては,経験者の 皆様は見ていただいた か と 思 い ま す が , 一 覧 性のあ るメモ に基づきま して, 事案の

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概要, 時系 列 ,争 点 ,着 目すべきポイ ント等 をお 示 しい た しま して,こ れか ら実際 に見 聞 きし て いた だく証拠調べ のほう にス ム ーズ に 入っ ていただける ように ,そ う いう 形 での 冒頭陳述を行 うようになりました。 また ,証 拠調べ の 中にお きましても, 立証上 の必 要 性と い うの を非常に考え るよう にな ってま い りまし た。例えば , 裁判官 裁判 時 代で し たら ,多数の証拠 を出し てそ の 中か ら 必要 な事項を裁判 官に記 録を 読 んで い ただ いて確認をし ていた だく と いう こ とを していたかと 思うん です が ,裁 判 員裁 判になります と実際 に法 廷 の中 で その 書証等の内容 も御説 明し な けれ ば いけ ないという形 になり ます 。 です の で, 多数の証 拠の 中から 立証 に 必要 な 事項 を取りまとめ て,統 合捜 査 報告 書 とい う形にまとめ て,そ れを 実 際の 法 廷で 説明をさせて いただ くと , こう い う形 でやっており ます。 また ,実際 に事 実を正 確に認定して いただ くた め には , 例え ば凶器等の証 拠物, ある い は現 場 写真 ,もしくは防 犯カメ ラに 犯 行状 況 等が 映っている場 合がご ざいま すが,そう いう動 画の映 像等に つきま しても,直 接裁判 員の皆 さんに 見てい ただく必要 がある 場合も 出てま いりま す。検察官 として ,そう いう証 拠につ いて,立証 上,ど の程度 必要かとい うことを十分に 考えまして , 証拠調 べ請求 を行うよう にして おりま す。 さらに,論告求刑 の中でも, 特に被 告人に どうい う刑罰を科 すかと いうこ とにつ いて, 検察官の意 見を述 べさせ ていた だくの ですが,過 去の同 種事案 の量刑 傾向を 踏まえまし て,今 回の事 件がそ の中で どういう位 置付け にある のかと いうこ とをできる だけ丁 寧に説 明をし ,検察 官の求刑が 適正で あるこ とを裁 判員の 皆さんに御 理解い ただく という 形でい ろいろ工夫 をして いると ころでございます。 もちろ ん, 裁判員 裁判 は,ま だ10 年とい うこと でございま すので ,まだ まだ運 用上の 課題等も残 ってい るかと 思いま すけれ ども,これ からも そ うい うこと を意識 しながら現 場の検 察官と しては やって いきたいと 考えて いると ころでございます。

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○宮村弁護士 私た ちの弁 護活 動がど のように変わ ろうとしてきたのかをお話しします。 まず ,外か ら見 える変 化としては, 法廷で 説得 す る技 術 を身 につけようと 努力し てき ま した 。 裁判 員裁判が始ま るまで の刑 事 弁護 と いう と,とかく書 く技術 に力 点 が置 か れが ちで,研修は 座学で 行わ れ ,弁 論 要旨 と題する書面 をどの よう に 書く か に力 点が置かれる ことが 多々 あ りま し た。 裁判員裁判で はその よう な 弁護 活 動は 通用しないこ とが明 らか に なり ま した ので,法廷の 中でい かに 説 得す る か, そのための技 術をい かに 身 につ け るか について,こ の10 年, い や, 裁 判員 法が施行され る直前 頃か ら 私た ち は努 力をしてきま した。 具体 的には ,実 演型の 研修に全国で 取り組 んで き まし た 。他 の参加者の前 で実際 に弁 論 や尋 問 を実 演して,そし て他の 参加 者 の前 で 講師 からコメント を受け ,そ の 後に は ,ビ デオで録画さ れた自 分の 実 演の ス タイ ルを自分の目 で見て ,ど う 改善 す るべ きかを確認す る,そ のよ う な研 修 に取 り組んできま した。 ま た , 必 ず し も 外 か ら は 見 え な い 変 化と し て は , 法 廷 が 始 まる 前 に 説 得 の 論 拠 を し っ か り確立 して, 場当たり的 ではな く一貫 した訴 訟活動 をする努力 をして きまし た。裁判員 裁判に取り組む に当たって , ケース セオリ ーという言 葉が弁 護士会 ではよ く使わ れるように なりま した。 そのケ ースで 求める 結論をどの ような セオリ ーで勝 ち取るのか につい て,法 廷が始 まる前 に一貫した 説得の 論拠を しっか り確立 して,その 上で法 廷に臨 もうと ,こう いうことを 議論し てきま した。 ですから,最終弁 論が終わっ た段階 で,結 局,あ の弁護人は 何であ んな尋 問をし たのだ ろうと思わ れるよ うな, そんな ことは あってはな らない と考え て,取り組んできました。 それでは,十分に 変わってき たかと いえば ,まだ 課題が残っ ていま す。先 ほどの 井上教 授の御講演 の中で も,法 曹三者 それぞ れの活動の 分かり やすさ につい てのア ンケート結 果が紹 介され

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ました が,弁 護人 の活動 が 分かりやす かった とい う 評価 は 十分 高くはないの が実情 です 。 まだ ま だこ れから変わっ ていく必要があると考えています。 ○川出教授 あ り が と う ご ざ い ま し た 。 法 曹 三 者 い ず れ の 立 場 か ら も 裁 判 員 制 度が導入されたことによ って, 刑事 裁 判が 変 わっ たというお話 があっ たわけ です が,裁 判 員経験者の お二人 は, 裁 判員 と して 参加する前と 実際に 参加し た後 で,刑 事裁判に 対す る印象 が変わ った という ことはあ りま したか。 ○経験者A 先ほ ど, 辞 退者 が 年々 増えて いると いう話 があり まし た が, 私 は,裁判員 裁判に 非常 に 興味 が あり ,ぜひ とも選 ばれた いと 前 から 思 って おりました。 母が, 裁判員 候補 者にな っ たもの の, 最終的 に裁判 員に は 選ば れず非常に残 念がっ てお り まし た 。裁 判 員に 選ばれ 実際に 法廷 に 立っ た とき には,一瞬に して緊 張が 走 りま し て, プロでない自 分が果 たし て 判断 し て判 決まで進めて いっていいのかなと思いました。 ただ,それから実 際に裁判が 進んで いく中 で,分 からないこ とがた くさん ありま したけ れども,例 えば検 察官の 資料は非常 に分かり やすく ,カラーで , 時系列 も示さ れ,本当に 良い資 料でし た。 そして,実際に評議室 に入っ たとき も,そ の資料 を見れば, もう一 目瞭然 でどん な事件 だったかを振り返ら れる ような ,非常 に分かりや すい説 明をし ていただいたと思っております。 ○経験者B 私も同様で,裁判 員制度とい うもの にとても興味を持っておりました。 ただ私は,選任 された 際に妊 娠8か 月でし て,ち ょっと体の ほうが 重かっ たので ,正直 参加す るかどうし ようと 思った のですが,人生の経験と して, 被告人 ですと か被害者の方の人 生を考 えると いうこ とは,すご く良い 経 験に なるという ふうに思いまし た。それで , 参加をさせていただきました。 参加する前にはもちろ ん不安 もあり ました 。例えば,提出さ れた資 料など に目を通したときに 自分がどう いう気

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持ちに なる か は, 実 際に そ れを見てみ ないと 分か ら ない の で, 不安で はあり ました。 さら には, ある 人 生を 私を含めみん なで決 めて い くと い うこ との責 任を負 うとい うこ と が, 怖 くも あり,恐ろし いとも 思っ て しま っ たの で すが,実際 に参加 して み ると , 事件 につい ていろ いろな 経緯 が あり , 様々 な方が 携わっ ていて ,そ れ を考 え ると いうすごく良 い経験 をさせ てい ただけ た と思って, 本当に 参加 さ せて い ただ いてよかった と,皆 さん も 選任 さ れる チャンスがあ る場合 には , ぜひ 参 加し ていただきた いとい うふ う に本 当 に心 から思いまし た。 ○川出教授 先ほ どお話 があ りまし た ように,裁 判員裁 判の 下 で公 判 審理 の在り 方が変 わった 最大の 理由 は ,裁 判員の 方に分 かりや すい 審 理を し なけ れ ばなら ない という 点に あ りま し た。 実際に 参加さ れて, 検察 官,弁 護 人によ る主 張立証, 証拠調べは分かりやすかったですか。 ○経験者A 非常に分かりや すかった と思います 。 難しい 言葉につい ても,裁判官 か ら教 えてい ただき ましたし,我々裁判 員の 質問に 対して 本当に分か りやす く,ま た事例も含 めて教えていた だきました 。 それか ら,実際,裁判の 中でも 検察官 や,弁護士の方も非常に言葉を 選んで 説明してい ただいている というのを感じました。 ですので,特別な法律 的 な 知 識 が な く て も , ど ういうことを 言われ ているのか ,どう 進めて いくの かを,理解 しなが ら進め ていけたと いうのを実感し ております 。 ○経験者B 本当に分かりや すかった と思います 。 例えば ,ある 程度裁判が 進みま して, 裁判員 と裁判 官で評議を する際 に,結 構いろ いろな 話し合いを しまし た 。そ の時 も自分でその罪 に対し て意見 が言 えるか という 不安があっ たんで すけれ ども, 自分が 考える一般 的な意 見を提 示し, それに 対して裁判 官の方 々や, 他の 裁判員の方が意 見を言 ってく ださ って, 本当に 知識のない 私でも 意見が

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取り入 れて も らえ る と感 動 したの をす ごく覚えています。 ○川出教授 Aさ んは, 評議 に つい て はいかがだ ったで しょ う か。 十 分に 参加で きたと お感じになりましたか。 ○経験者A 私が 携わっ た裁 判では 丸一日評議に 費やし たので すが , 本当 に 闊達 な意見 が出ま して , 裁判 官 3名 ,我々裁判員 6名と 補充 裁 判員 の 方2 名 で合計11 名が何 が最良 なの か とい う 答えを 導く ために ,1 日 ,本 当 に真 剣に向き合っ て話し まし た 。途 中 ,こ の 1日で 果た して終 わる の かな と 思う ぐらい白熱し た議論 にな り まし た し, 11名それぞ れ考え 方が 同 じ部 分 もあ るのですが, 違う部 分も あ りま す 。み んなが 意見を ぶつけ ,交 換 し合 い ,納 得し,また今 までの 判決 の 事例 の デー タも見 せてい ただき なが ら ,最 終 的に みんなが納得 する結論に至ったと思っております。 ○川出教授 証拠 調べは 分か りやす かったし,評 議につ いて も 十分 意 見が 言 えた という ことで すが , その 上 で, 裁判では,犯 罪事実 を認定 し,刑を決 めると いうこ とにな ります 。これまでは法律 家であ る裁判 官のみで行ってきた事実 認定と 量刑 を裁判員の方にも関与してい ただ いて 行うことになったわけです が,実 際にそれを経験さ れてみ て,負 担を感 じたと か,判 断が難しい と感じ たとい ったことがありましたでしょうか。 ○経験者A 負担という点は特 にございま せんで した。 ただ,参加したと きに,考え 方の違 いに ,はっとしたこ とがありま し た。 それは 犯した 罪について 裁くの だとい うこと です。参加 する前は,量 刑につ いて 刑務所に入れる とか,実刑 で反省 をして もらう ということ を中心 に考え てい ました。私が 携わった事件 では少 し精神 障害を お持ちの方 が被告 人で, 裁判員 からす ると,犯罪 を犯し た本人 に反省 をして もらいたい と思っ てしま う部分 が実は あったんで すが, その被 告人の 方は, そうい った精神疾 患があ るとい うこと で,私は悪 かった という 反省の 言葉が 余りないん です。 また, 自分の 犯した ことを法廷 で率直 に発言

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するん です 。 最初 は ,反 省していない から刑 を重 く しな け れば ならない,服 役させ て反 省 して も らお うとかという 思いが あっ た んで す けれ ども, 裁判官 の方々 などと 議論 す る中 で ,そう いう 判断で はな い んだ と ,方 向性を導いて いただ けた の は非 常 にあ りがたかった と思い ます し ,量 刑 の判 断という のは そういうものなのだと実感しました。 ○経験者B 私 も 公 平に 裁 く と い うことは本当に難しい なというふうに思いま した。その罪に対して刑 を科す という こと が ,初 め は前科があ ったり ,御 自 身の 精 神の 状態など本件 に関係 する た くさ ん の事 情を踏まえて 刑を決 める と いう ふ うに 私も勝手に思 ってい ました 。私 が 参加 した裁判の際 に,裁 判長 の 方が 話 して い たの は,大 事なの は, 犯 して し まっ た罪に対して の刑を 決め る とい う こと だとい うこと でした 。私 は ,例 え ば被 告人の方 の家 族の関 係や 育 って き た環 境も量刑に関 係があ ると い うふ う にど うしても思っ てしま いま す し, 見 た目 なども気にな ってし まい,罪に 対して 向き合 うとい うこと がすご く難しいと 同時に ,平等 に考え るとい うことを一番に考え ると いうこ とが大 事なんだと 肌で感 じまし た。 ○川出教授 前半部分の最後になりま すが,審理 , 評議を 通じて,も う少しこうし てほし かった といった御要望はありませ んで しょうか。 ○経験者A 私は十分でした。 ただ,翌日に判決 という日程 を組ま れて おり,丸一日ぎりぎ りまで ,夕方 の結構 遅くま でかかりましたので ,果 たして これで結論 が出な かった らどう だったんだろうと思いました。 ○経験者B 現実的には難し いかもし れませんが , 裁判を する際 に被告人や 被害者 の方の 情報と いうの は結構明ら かにな ってい たので すが,私た ち一般人です と,ど うして も弁護 士の方です とか検 察官の 方のお っしゃ る内容や立 ち位置 という ものに ついて 理解が浅い 部分が ありま すので ,事前 に説明して いただ いては

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いたの ですが ,よ り詳し く説明してい ただけ ると , もっ と 理解 が深まるので はないかと思いました。 ○川出教授 ありがとうございました。 それ では, 最初 の柱の 話は終えまし て,二 つ目 の 柱で あ る「 裁判員 制度の これか ら」 と いう 話 題に 入 りたい と思 います。 まず は,裁 判員 裁判を より良いもの とする という 観点 か ら, 現在,どのよ うな課 題が あ り, そ れに どのよう に取 り組ん でい く かと い う点 を とりあ げた いと思 いま す 。先 ほ ど, 裁判員経 験者 の方か ら御指 摘が ありま し た,もう少 しこう して ほ しか っ たと いう御要望へ のコメ ント も 含め て ,こ れまでの取組 を踏ま えつ つ ,今 後 法曹 三者において どのよ うな 取 組を 行 って いくべきとお 考えに なって いる の か, それぞ れその 立場か らお 話 しい た だけ ますでしょう か。 ○伊藤代行 A さ ん か ら , 判 決 の 日 程 が 決 ま っ て い る 中 で , 予 定 さ れ た 時 間 内 に結論 が出な かったらど うなる んだろ うかと 思った という趣旨 のご発 言があ りまし た。ま ず,この点 につい てコメ ントし ます。 審理の予定 の立て 方の問 題とい うこと になります けれど も,制 度施行 当初は ,現在より びっし りと余 裕のな い日程 を立ててい たんで すね。 1日目 に審理 をして,2 日目に 評議, 3日目 に判決 とかですね 。審理 に5日 かかる 場合も 1週間続け てやる とかで すね。そう いうやり方をし ていますと , 時間が 足りな い,もっと 十分議 論した かった とかい うことをお っしゃ る裁判 員の方 も出て くるわけで す。あ るいは 5日間 も連続 して拘束さ れたの では社 会生活 が成り 立たないん だとい うよう なこと を言わ れたりもし ます。 この点 は,現 在も, 試行錯誤し ている ところ でござ いまし て,例えば ,5日 間の審 理予定 であれ ば,月曜日 から金 曜日ま で連続 して入 れるのがい いのか ,例え ば月火 水と入 れて,木金 休んで 次の週 に月火 と分け て入れた方 がいい のか, 各裁判 体が事 件ごとにい ろいろ と工夫 しなが ら進め ているとこ ろだと 思いま す。

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いず れにせ よ, 議論す る必要のある 事柄に つい て は十 分 な議 論ができるだ けの時 間を 確 保す る 必要 があると思っ ていま す。 時 間が な かっ たので十分な 議論が でき な かっ た とい う事態は避け なけれ ばな り ませ ん 。審 理予定を立て る際に は, そ うい っ たこ とも含めてい ろいろ なこ と を考 慮 して いますという ことで 御理 解いた だ ければ と思います 。 次に ,Bさ んの ご発言 にあった,検 察官, 弁護 人の立 ち 位置に ついてです 。 検察官 の立 ち 位置 は 割と 分かりやすい と思う ので す が, 弁 護人 の立ち位置と いうの は, 実 は結 構 難し いんですよ。 弁護士 さん が 何で あ んな ことを言うん だろう かと い った 感 想は ,裁判員の方 からし ばし ば 聞か れ るん ですけど,被 告人と の関 係 があ る ので ,弁護人とし ては説 明で き ない こ とも あると思いま す。そ うい う場合 , 私など は, 例えば, 弁護士 さん は 被告 人 の弁 護をするのが 責務で す, も しか し たら 弁護士さん自 体も, この 事 件で こ んな こと言うのは どうな のか な と思 っ ても ,被告人がど うして もそ う 言っ て くれ と言えば言わ なきゃ いけ な い場 合 もあ るんですよ, という ような ことを説明 するよ うにし ていま した。 説明の仕方 はもう 少し考 えた方がいいかもしれません。 お二人のご指摘と 離れて,裁 判員制 度のこ れまで の10年間 を振り 返りま すと, 裁判員 ・補充裁判 員を務 めてい ただい た方はもとより, 候補者 として 選任手 続にご 参加いただ いたす べての 皆様の ご理解 とご協力の おかげ で,当 初の想 定より はるかに順 調に運 用され て き た と 思 っ て い ま す 。 経 験 者 の 9 6%以 上が良 い経験だっ たとお っしゃ ってく れてい る,こんな 制度は めった にない です。 でも,同時 に,現 状で満 足する のでは なく,もっ と良い 制度に できな いかと いう思いも あるの です。 これも 実はあ る裁判員経 験者の 方の発 言に触 発され てお話しす るんで すが, 裁判員 と裁判 官の評議と いうの は,プ ロとア マの混 成のオーケ ストラ みたい なもの ではな いかと思う のです 。つま り,裁 判官だ けが音を出 して裁 判員の 方に聞いてもらって,「ああ,なるほど いい音ですね。」と言われてるだけでは, 裁判員 制度を 導入した意 味がな い。逆 に,裁 判員の 方だけが意 見を言 って裁

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判官が 遠慮 し て物 を しゃ べらないとい うのも ,や っ ぱり 裁 判員 制度が予定し ている 評議 で はな い と思 うのです。裁 判官と 裁判 員 がそ れ ぞれ 自由に音を出 して, その 音 がも し かし たら時には不 協和音 を生 む かも し れま せんけど,全 体とし ては , これ ま でよ りもいい音楽 になっ てい る ,説 得 性の 高い音楽にな ってい る, こ うい う のが 裁判員制度の 理想で はな いかと 思 ってい るわけです 。 Aさん ,B さ んの お 二人 が参加された 裁判は その 共 演が う まく いったようで すので ,今 日 は安 心 して お話を聞けた のです が, 全 ての 事 件で そういう共演 ができ るよ う に, 裁 判官 はさらに研究 を続け てい か なけ れ ばな らないと思っ ています。 また ,評議 を充 実した ものにするた めには ,大 前 提と し て, 審理が分かり やすい もの に なっ て いな ければどうし ようも ない わ けで す ので ,今後も,検 察官, 弁護 人 と相 談 しな がら,分かり やすい 審理 を さら に 追求 していかなけ ればならないと思っています。 ○和田部長 先ほど,経験者の方 から,御担当になられ た事件の中で精神障害 が問題 になっ た事件があ ったと いうお 話があ ったか と思うんで すけど も,こ の精神 障害が問題 になっている 事件と いうの は,や はり公判を 担当す る検察 官とし ては, どのように 分かり やすく 裁判員 の皆様 に説明する かとい うこと を常に 迷う事 件でござい ます。 もちろ ん,精 神科医 等の専門家 証人の 方が法 廷に出 てきて 御証言いた だくケ ースも あるん ですけ れども,や はり専 門的な ワード ,知識 というのが 前提に なった 形での お話が 多いので, それを ,責任 能力に どの程 度影響があ ったの かとい うこと をどう 論告等で説 明する のかと いうのは常に迷っているところです。 精神障害の種類に もよります けれど も,要 するに ,その影響 がどの 程度今 回の犯 罪に影響が あったのかと いう, 責任能 力の有 無・程度の 切り分 けにな るような点 をできるだけ御 提示をして , その点 につい て御判断を いただ くとい う形で 論告を 構成すると いうよ うなこ

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とも行 って お りま す 。も ちろん,その 前提と して 検 察官 側 の証 人として出て いただ く精 神 科医 等 の専 門家証人の方 に最初 から 一 問一 答 式で 質問を進めて いって も, な かな か 分か りにくいとい うこと で, プ レゼ ン テー ションを最初 にやっ てい た だい て ,全 体の大枠を理 解して いた だ いた 上 で細 かい点につい て質問 して い くと い うこ とも,いろい ろ工夫 して い ると こ ろで はございます が,責 任能 力 ,精 神障害 等が問題 にな る事件 につ い ては , それ をどのように 分かり やす く 説明 し よう かということ を,毎 回悩 ん でい る とこ ろでもありま す。 また ,先ほ ど経 験者の 方から,犯し てしま った 罪 に対 し て刑 を科すという ことに つい て ,な か なか 最初はなじめ なかっ たと い う御 趣 旨の 御発言があっ たかと 思う ん です が ,検 察官の論告で 情状等 を説 明 する 場 合に も,行為責任 と申し ます か ,そ の 犯罪 自体について の情状 と, あと一 般 情状と 申しますか , 反省し てな い とか , そう いうことを分 けて説 明す る よう な 形で 工夫をしてお ります。 そうは申しまして も,分かり やすい 主張立 証を行 っていくた めには ,やは り実際 の公判 審理の中で 問題と なる争 点を十 分にあ らかじめ絞 り込ん でおく ことが 必要不 可欠な前提 なので はない かとい うふう に思ってい るとこ ろでご ざいま す。そ のためには ,当事 者であ ります 検察官 と弁護人が ,公判 前整理 手続に 時間が かかってし まいま すと, なかな か証人 の方に出廷 してい ただけ ないと か,記 憶が不確か になっ てしま うというよ うなこともござ いますので , 公判前 整理手 続において ,でき るだけ 早期に 具体的 な主張を提 示し合 って, そして 手続を 主宰されて いる裁 判所の ほうに おかれ ましても, できる だけそ ういう 主張を 早めに明ら かにさ せて, 例えば ,主張 内容につい て求釈 明等を 行うこ とによ って明確化 してい くとい うこと を行う ことによっ て,そ の事件 を審理 するに 当たって本 当に必 要な争 点を早 期に絞 り込み,そ の争点 を判断 するに 当たっ て必要な証 拠を厳 選して いくと いうこ とが今後も 必要な のでは ないか という ふうに思っ ていま す。今 後も法 曹三者 で協力,連 携し合 いなが

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ら,こ うし た 争点 整 理や 証拠整理の在 り方を 検討 し てい く こと が必要なので はない かと 思 って い ると ころでござい ます。 ○宮村弁護士 先 ほ ど 申 し 上げ た よ うに , 私 は , 弁 護 活 動 の充 実 が 今 後 も最 大 の 課題だと考えています。 裁判 員に選 任さ れた方 はやはり緊張 されて いて , そし て 不安 や怖さ,恐ろ しさも あっ たとい う お話が ありました 。 専門的 な知 識 がな い とい うだけではな く,そ のよ う な不 安 や緊 張感を持って 法廷に 臨ん で おら れ る方 に対して分か りやす い説 明 と説 得 をし なければなら ないと いう こ とだ と 思い ます。私たち は,と もす る と法 廷 に慣 れてしまって いるた め, 不 安を 感 じる 感覚を失って しまい がち で すか ら ,裁 判員の方の気 持ちに 思い を 致し な がら 訴訟活動をし なけれ ばな ら ない と ,そ のようなこと を考えながらお話を伺っていました。 今後 のこと を考 えます と,先ほど井 上教授 から , ダブ ル スタ ンダード化の 解消と いう お 話が あ りま したが,弁護 士の立 場では そこにもや はり関 心を持 つところで す。被疑者,被 告人の権利 , 利益を守る のが私たちの職 責ですから , 裁判員 裁判だ けを特別と 考える べきで はなく ,裁判 員裁判を契 機とし て身に 付けた 技術が 有効である と考え れば, それは 裁判員 裁判ではな い事件 の被告 人の権 利,利 益を守るた めにも 広く押 し進め ていく べきだと考 えてい ます。 また, そのよ うな姿勢を 持たな いと, 結局, 弁護活 動の充実は 広がり を持た ないの ではな いかと考え ていま す。多 くの弁 護士に とっては, 裁判員 裁判の 弁護人 を経験 するのはそ んなに 頻繁な ことで はあり ません。そ の点は 検察官 や裁判 官との 違いの一つ である と思い ます。 私も, 弁護士の中 では比 較的多 く刑事 事件を 扱っていま すが, 裁判員 裁判事 件を常 に何件も担 当して いると いうわ けでは ありません 。裁判 員裁判 ではな い事件 の弁護人を 担当す る機会 のほうが圧 倒的に多いです 。ですから , 裁判員 裁判だ け特別なこ とをし ている という 意識で 臨んでいた のでは ,弁護 活動の 充実は 広がりをも たない のでは ないか と思う のです。裁 判員裁 判を経

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験して いな い 弁護 士 には ,裁判員裁判 だけの 話だ と なれ ば ,新 たな技術を身 に付け よう と する 契 機に はならないわ けです から , 弁護 活 動の 充実という観 点から も, 裁 判員 裁 判だ けのことでは なく, 広く 刑 事事 件 全般 の弁護活動を 充実さ せよ う とし て いく ことが重要で あると,そのように考えています。 ○川出教授 ありがとうございました。 それでは,「裁判員制度のこれから」 として 取り 上 げる べ きも う 一つのテー マであ る,よ り多 くの方 々 に裁判員裁 判に参 加し て いた だ くた めには どうす ればよ いの か とい う 問題 に移り たいと 思いま す。井上先 生 の御講 演の中でも, 辞退率 が上 が る一 方で, 出 席率が 下が ってい ると い う御 指 摘が ありました。 また, 国民の 意識 調査で は,裁判員に なるこ とに つ いて は ,一 貫 して消極的 な方が多いという結果も出ています。 本日 ご出 席され て いるお 二人からは, 先ほど ,元 々 裁判 員にな ってみたかっ たとい うお話 があ りまし た ので, その 点は当 ては ま らな い ので す が,そ の上 で,実 際に 裁 判員 と して 裁判に 参加す るに当 たって どのような 御苦労 があっ たか についてお聞 かせいただけ ますで しょうか。 ○経験者A 私はサラリーマン をしていま す。一 昨年の 11月 に裁判員候補者の リ スト に載ったと いう連絡をいた だきまして , それを 社長に 報告したと ころ, 非常に 名誉な ことじ ゃないか, ぜひ頑 張って こいと いう言 葉をいただ きまし て,私 は裁判員になりた かったも のですから , 「よし」と思っておりま した。 年が明 けて,夏前 ぐらいに,選任 をするので , 来てくださいという 連絡をもら いまし た。選ばれたので行 きます という 話を 社長に したら ,少し曇っ た顔を するん です。 名誉あ ることだと 送り出 しても らえる んじゃ ないかと思 ってい たので おかし いと思 いました。実際の選 任手 続日の前日に,調べたところ, 4 0人 から 60人ぐらい来 る中から6 名ない し8名が選ばれるので, 選ばれ ること はないでしょうが,選ば れたら ぜひ出 させて くださ い,でもき っと選 ばれま せんか らとい うことで行 ったら , 何と 選ばれ ました。実際に選ばれて ,選ば

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れまし た, や らせ て くだ さいと社長に 報告し たと こ ろ, 仕 事は どうす るんだ という話になってしまうんですね。 細か いとこ ろは 省 きま すが,実際, 裁判が 始まっ て, 途 中, 土 日も 挟みま したの で休 日 出勤 も しま したし,裁判 が終わ った後 も会 社に行 き,夜遅くま で仕事 をし て ,ま た 翌日 ,法廷に参加 すると いう よ うな こ とが ありました。 私もそ うでし たが , 会社 に 対し て参加 したい と説 得 する の が, 実 際に選 ばれ た本人 しかい ない という のが,少しハ ードル が高い かな と正直 感 じておりま す。 選ば れまし たと い うこ とを会社に知 らせる ような 紙ベ ー スの ものは頂いて います けれど も, 例 えば 選ばれた 者の 会社に 対し て 何か 連 絡し ていただくと か,終 わっ た後, 非 常に役 立ちました , ありが とう ご ざい ま した という ような ものが あり, 私の 言葉だ けではな い部 分を何 か伝 え てい た だけ たらい いのか なと少し思いました。 ○経験者B 私は 昨年の 10 月に裁 判に参加させ ていた だい た んで す が, その際,通知 をいた だきま して,それ が9月 だった んです ね。私 はもう自分 で出る という ふうに 決めて いたので, 選ばれ たら絶 対に出ます と会社には伝え ていました 。 ただ,私が妊娠8か月でした ので, 体が大丈夫かという ふうに 心配を され て,私 自身は 大丈夫です という ふうに 話しま した。実際 ,参加 する時 間は全 然分か らなか ったのです が,ま ずはや ってみ るとい うことが大事だと 思いま したし ,私の 経験が私の 娘にも 伝わっ て,娘 もそう いうことに 関心を 持って くれたらと いうふうに思っ ていたので , ある意 味,お腹にいるときから 教育の 一環だったのかなと思っています。 ちょう ど私 が選ば れた 9月に 会社の ほうで も裁判 員制度に対 するお 休みの 制度が できま して,会社 で私は その休 みを使う第1号になったんですね。 会社と しても ,そういっ たこと に理解 があっ たので ,私自身が 出ます と話し たとこ ろ,ぜ ひ行ってこ いとい うふう に 背 中 を 押 し て も ら い ま し た。 そ う い う 会 社 の 制 度 で す と か , 周 り が 裁 判

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員制度 に対 し てプ ラ スな イメージを持 ってい ると い うこ と がす ごく大事です し,私 自身が 出た いとい う意欲を示す ことは すご く 大事 だ なと 思ったので, そうし て本 当 によ か った という ふうに 思っています。 ○川出教授 今の お話 の 中に も 少し 出 てい ました が,裁 判員 を 経験 し た立 場から,国民 の皆様 が裁 判 員裁 判 に参 加 しやす くな るため にど の よう な 工夫 や配慮が求め られる かとい う点 につい て ,何か 付け 加えて 御指摘 いた だく点 がありますで しょうか。 ○経験者A そう ですね 。実 際 ,裁 判 員裁判を経 験した 後も , 10 年 とい う節目で報道 でも大 分取 り 上げ ら れて います が,そ れでも まだ この裁 判 員裁判 については , 選ばれ てい な い方 は 認識 が薄い ような 気がし てい ま す。 私 も経 験する以前は そうで した け れど も ,ど う しても自分 たちの 生活 と は別 の とこ ろにあって, また裁 判官 , 弁護 士 ,検 察 官という, 選ばれ た優 秀 な方 々 の中 で行われてい る,言 葉を 選 ばず に 言う と閉鎖 的な部 分だと 思っていましたし,今も 若干, そう いうところはあるの かなと 感じて います。 そういった興味・関心 がある 私でも そう 思うのですか ら,偉 そうな ことを 言うわ けではあり ませんが ,や はり経 験をし た私た ちみたいな 人の声 が一番 大事な のかな と思います 。きっ と 裁判 官,弁 護士,検察 官の方 々が幾 ら一般 の人に 伝えて も,なかな か伝わ りにく い部分がどうしてもあると思います。 データも出てい ました が,9割以上の方々が 経験してよかったと感 じているその声を伝え ていけば,もっとこれから 選ばれ る方々 に伝わって いくの かなと 思いま す。特に私 は去年 の9月 に裁判 員裁判 を経験させていた だいた の です が,その後すぐに経 験者の声を い ろん な雑誌 に載せ るために協力してい ただ けない かというお話もいただき ,即答 で,ぜ ひ協力 させてくだ さいと 言いま した。です ので,経験後の 早いうちに , 次のス テップ としてオー ケーを 出 して くれる 方々にどん どん協力しても らい

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啓蒙し てい っ たら 良 いの で はな いかと 思っています。 ○経験者B 今, Aさん がお っ しゃ ったよう に, 経験者 の声 は もち ろ ん大 事だと思いま すし, 経験 者 が積 極 的に 話をさせてい ただく とい う こと が 大事 です。また, 私も出 産し て 娘が 生 まれ まして,もっ と教育 の現 場 に持 ち 込ん ではどうかな という ふう に 思い ま した 。今でもその ような 学校で の出 張 講座 などの 活動が あると いう お 話は 伺 いま した。 子ども とか若 い方 は 固定 概 念な く理解ができ るとい うこ と がか な り強 みだと思いま すので ,例え ば参 加した 人が自分 の母 校に行 って 話 をし , 裁判 員 制度 という ものが ある という こ とを伝 えることで , 柔らか い頭 に 教育 と して 落とし込める のでは ない か なと い うふ うに思っ てい ます。 参加 するの は成 人され て大人になっ てから だと 思 いま す が, 若 いうち から 裁判員 制度 に 対す る 理解 を深め ていっ て,制 度の 充 実を 図 って いけれ ばいい のかなというふうに思っています。 ○川出教授 ありがとうございました。 今,お二人から一 般の方々に 積極的 に参加 してい ただくため にどう したら よいかについてご意 見をいただい たわ けです が,法曹三者の側 として は,国 民の積 極的な 参加を確保 するた めに, これま でどのよう な取組 を行っ てきた のか, そして,今後,どのよう な取組 を行っ ていこ うと考えて いるか につい てお話しいただけますでしょうか。 ○伊藤代行 裁判員制度が意義 のある制度 だとい うこと は,経 験者のほと んどの 方が認 めてく ださっ ているわけ ですの で,そ ういう 声を, 裁判員候補 者を送 り出す 可能性 のある 企業や団体 の方々 を含め 広く社 会に知 っていただ くこと が重要 だろうと思っています。 東京地裁では,一 般的な広報 活動に 加えて ,企業 や団体に裁 判官を 派遣し て制度 の意義 についてお 話をし ,制度 への協 力をお 願いする, そのよ うな活 動を積極的 に展開している ところです 。 裁判員経験者の御 協力を得ら れる場 合には ,裁判 官が,裁判 員経験 者の方

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の勤務 先に お 邪魔 を して 裁判員経験者 の方と 一緒 に お話 を する こともありま す。 もう 一つ, 現在 ,東京 地裁で力を入 れてい るの は ,将 来 裁判 員制度を担う ことに なる で あろ う 若い 人たちを対象 とする 広報 活 動で す 。社 会科の授業等 で法廷 傍聴 に 来ら れ る際 には,事前に 申し込 んで も らえ れ ば, 裁判官が裁判 員制度 につ い て説 明 する ことにしてい ます。 また , 我々 は 出前 講義と呼んで います が, 大 学や 高 校か ら要請があれ ば,裁 判官 を 派遣 し て, 裁判員制度の 概要や 意義 に つい て お話 ししたり,意 見交換 した り する こ とが 可能で す。先 日,青 山学 院 大学 で 行っ た出前講義の 様子が ニュ ー ス番 組 で取 り上げられま したの で, ご 覧に な った 方もいるかも しれま せん 。来月 は 目黒区 内の小学校 , 再来月 は神 津 島の 高 校に 行く予定にし ています。 ○和田部長 検察 庁にお きま しても ,今,裁判所 のほう から お 話が あ った のと似ている のです が, 積 極的 に 広報 活動を行わせ ていた だい て おり ま す。 全国の検察庁 におい て,小 中高校,大 学等の 学生さ んや先 生方等 を対象とし た広報 活動な どを行 ってい ます。東京 地検に おきま しても ,毎年 130回程 度,移 動教室 とか出 前教室 とかそうい う名称 のもと に広報 活動を やらせてい ただい ている ところです。 また,裁判員制度 が発足した 頃に, 私自身 も実際 に行かせて いただ きまし たが, 企業研 修や業界団 体の集 まり, もしく は地域 の集まりの 際にお 時間を いただ いて, 裁判員制度 につい て御説 明をさ せてい ただき,制 度につ いて御 理解を いただ きたいとい うこと でやら せてい ただい たこともご ざいま した。 今後も こうい う積極的な 広報活 動を続 けてい く必要 があると思 ってい るとこ ろでございます。 また,その一方で ,公判を担 当する 検事と してど のようなこ とがで きるか という ことで すが,やは り裁判 員裁判 の審理期間を短くす るというこ とが必 要なの ではな いかという ふうに 思って おりま す。審 理期間が短 ければ ,送り 出す側 の職場 の方々や地 域社会 の皆様 にも御 協力を いただきや すくな るとい

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うふう に思 い ます が ,そ のためには, やはり 先ほ ど 来, 繰 り返 してお話をさ せてい ただ い てい ま すが ,本当に必要 な争点 に限 り ,必 要 な証 拠に限って審 理を行 う, 絞 り込 ん で行 うということ が必要 であ る と思 い ます 。もちろん, 事案の 内容 に より ま して は審理期間が 相当長 期に な る場 合 もあ るわけですけ ども, 争点 が 不必 要 に多 岐に渡ったり するこ とが な いよ う に, 公判担当検事 として は, 争 点の 整 理あ るいは 証拠の 整理に これ か らも 努 力し ていきたいと 思っているところでございます。 ○宮村弁護士 裁判員 裁判 に 御参 加 いた だく裁判員の 方や, それ を 送り 出 す会 社の方々に御 負担を おか け する こ と自 体は,否定で きない こと だ と思 い ます 。やはり負担 であっ ても 参 加し よ うと 思っていただ くため に, 裁 判員 裁 判の 必要性や意義 をしっ かり 私 たち が 発信 していくこと が必要 だと 思 って い ます 。今,お二方 からお 話が あ りま し たよ うに,広報や 法教育 への 取 組が 重 要で あることには 全く同 感で す 。現 に 様々 な取組をして きまし た。 私 自身 も ,事 務所の顧問先 から裁 判員裁 判について 話す機 会をい ただい たこと があり,非 常に貴 重な機 会だと 考えて ,弁護人の 立場か ら裁判 員裁判の意 義についての話 をしました 。 先ほどのお話の中 で,選ばれ ていな い方の 認識が 薄くて,自 分たち とは別 の世界 という ように考え られが ちだと いう御 指摘が ありました 。まさ に私も そのよ うに感 じており, そこを どのよ うにう まく説 明するかが 課題で あると 感じて います 。私たちが 弁護人 として 依頼者 の方と 接している と,普 通の日 常生活 を送っ ていた方が ある日 ,痴漢 事件で あると か交通事故 である とかさ まざま なこと で突然,被 疑者, 被告人 になる のが実 態です。よ り良い 刑事裁 判を実 現する ための制度 は,こ れは決 して遠 い世界 の話ではな くて, 私たち 市民み んなで 考えるべき ことだ と,そ のように話 をさせていただ いています 。 裁判員 制度が できた直後 は,私 自身も いろい ろな広 報活動の場 に顔を 出して いたの ですが ,これから も裁判 員裁判 の担い 手であ る裁判員の 方は日 々生ま れてく るわけ ですから, 広報活 動は今 後も続 けてい かなければ いけな いと考

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えています。 ○川出教授 ありがとうございました。 それ では時 間と な りま し たので ,最 後に, お一 人 ずつ , ここ までの 意見交 換を踏 まえて ,制 度 の将 来の担い 手で ある, 今後裁 判員 と なる 方々への メッ セージをお願いできればと思います。 ○伊藤代行 今 日,経 験 者 の お 二 人に 話 してい た だいた こと を ぜひ 多 くの 方に知ってい ただき たい と 思っ て いま す。裁判員を 務める こと は 負担 か もし れませんが, 経験さ れた 方 の9 6 %は 良い経験だっ たと言 って い ただ い てい ます。必ず何 か得ら れる も のが あ るの ではないかと 思いま す。 も ちろ ん ,皆 さん,お忙し いのは 理解 し てい ま す。 どうしても参 加でき ない 事 情が あ れば ,辞退の申出 もでき ます 。 辞退 の 申出 があった場合 には, その 方 のご 事 情を 十分考慮した 上で判 断し て いま す ので ,裁判員制度 なんて 関係 な いか ら 返事 もしないとい うこと では な く, と りあ えず選任期日 には行 って み る, あ るい は届いた書面 にはお 返事 を いた だ くと ,これだけは ぜひお願いしたいと思っております。 ○和田部長 刑事裁判に関与す る,また, 刑を決 めると いうこ とについて 非常に 負担に 思ったり, 躊躇を感じられ ている方が , 実際に裁判 員裁判を経験さ れるまでは , そうい う方が ,多いので はない かと思 います 。先ほ どちょっと そうい うお話 があったかと思います。 ただ,先ほど来, 出ておりま すとお り,実 際に裁 判員として 裁判に 関与さ れた方 の非常 に多くの方 が,参 加して よかったという感想をお持ちです。 今後,裁判員にな る可能性が ある皆 様も,裁判 員候補者に選ば れましたら , 少しで も多く の方が裁判 所にお 越しい ただい て,裁 判員として 裁判に 参加し ていた だけれ ばというふ うに思 ってお ります 。検察 官としても ,多く の方に 積極的 に裁判 員裁判に参 加して いただ けるよ うに, 先ほど来出 ている 広報活 動を積 極的に 行うことは もちろ ん,裁 判員の 方々に 少しでも分 かりや すいと 思って いただ ける主張立 証を行 うよう 努め, 経験者 の方には, 裁判員 裁判に 関与し た御経 験をさらに 周囲の 方々に

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お話し いた だ くと い うこ とを実現して いけれ ばと 思 って い ると ころでござい ます。 ○宮村弁護士 まず は,私 たち も弁護 活動の充実に 向けて 今後 も研さ ん に努め ていきます 。 その 上で, 刑事 裁判に さまざまな知 識,経 験, そ して 常 識を 反映させるこ とがよ り良 い 裁判 に つな がるかと思い ますの で, ぜ ひ御 理 解と 御協力をお願 いした いで す 。今 日 ,最 初に社長に御 報告さ れた と きに , 頑張 ってこいとい うお言 葉が あ った と いう お話がありま したが ,周 囲 の方 々 もよ り良い刑事裁 判の実 現に 協 力す る ため に,参 加しよ うとさ れる 方 に頑 張 って こいと,こう いうふ うに 声 をか け てい ただきたいと 期待したいと思います。 ○経験者A 裁判 員裁判 に参 加する というのは, 我々に とっ て は非 常 に非 日常のことで す。日 々の 生 活で は ,仕 事の中 で直感 的に物 事を 考 えた り ,あ るときには感 情的に 判断 し たり と かい ろんなことが あります。 しか し,今 回, 事 件を 通 して 物事を 真剣に 考えて ,一番最良 の結論 は 何か という ことを みんなで評 議する 中で, 一番い いもの を模索して 答えを 出して いくと いうことは ,本当 に真剣 勝負の 経験で した。 これは人間 形成の 部分で も一助 になる のではない かと感 じまし たし, 非常に良い 経験が できま した。 何度も 選ばれ るものでも ないと 思いま すし, 自分の チャン スと捉えた ほうが 良いと思っています。 私は,自分の経験をできるだ けいろ いろ な方々に示して いきた いと思 いま すし, またこうい う経験 をする と,私 は裁判 員とい う立場で裁 判官の 隣に座 らせて いただ いたのです が,被 告の側 には絶対座 りたくないなと 感じました 。 そういうふうに感 じるのは何 か当た り前の ような 感情だと思 います 。やは り裁かれる立場に はなって はいけない 。 裁判員制度 に携わった人間 というのは , そちら の側の 人間になら ないの ではな いかと いう希 望もあり, ぜひ多 くの方 に参加 してい ただきたい と思っ ており ます。 ○経験者B 今,おっしゃった チャンスと いう言

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葉はす ごく い いな と 思い ました。私も そうい うふ う に思 っ てま して,やはり 相手の 立場 に 立っ て 物事 を考えるとい う難し さが あ った り ,大 切さというも のを日 々生 活 して い く中 で感じてはい るんで すけ れ ども , 改め て大切だとい うこと を感 じ られ た と思 いましたし, 自分自 身の 人 生を 見 つめ 直す良い経験 になったというふうに思いました。 それ こそ怖 いで すとか ,よく分 から ない, 不安 と いう 先 入観 はどうし ても あると 思う ん です け れど も,そういっ たもの にと ら われ ず ,ま ずはやってみ るとい うこ と がや は り大 事だというふ うに思 いま す 。妊 婦 の私 でも参加でき ました ので ,誰に で も参加 できますし , 周りの サポ ー トと い うの はとて も充実 してい ます 。 会社 で もそ ういう制度, 意外と きっ ち りと し てい るということ も今回 ,私 も 参加 してみ て分かり まし た。で すの で ,積 極 的に 皆さん,日本 のため に, 自 分の た めに 参加していた だきたいというふうに思っています。 ○川出教授 裁判 員制度 ,ま だまだ 発 展途上 です ので, 制度 の 将来 の 担い 手である,今 後裁判 員とな る方々のた めにも ,法曹 三者は 裁判員 を務めてい ただい た方々 ととも に積み 重ねてきた この1 0年の 貴重な 経験か ら学ぶとと もに, 関 係団 体とも しっか り連携して 制度運 営に当 たって いく必 要があると 感じま した。 それに よって,裁判員制度は, こ れか らも国 民の方 が幅広く安 心して 参加し ていた だける 制度になり ,社会 を支え る基盤 として 根付いてい くもの となる ように思います。 このことを確認し まして,こ のパネ ルディ スカッ ションを終 えるこ ととし たいと 思いま す。皆様, どうも ありが とうございました。 ○司会(遠藤) 川出先生,そして パネリスト の皆さ ん,どうもありがとうございました。 ○司会(和田) それでは,本日の シンポジウ ムはこ れで終了となります。 本日は誠にあり がとうご ざいました 。

参照

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