• 検索結果がありません。

医療関係施設への所要時間と許容時間に関する 居住都市規模別調査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "医療関係施設への所要時間と許容時間に関する 居住都市規模別調査"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

医療関係施設への所要時間と許容時間に関する 居住都市規模別調査

大橋 幸子

1

1正会員 国土技術政策総合研究所 建設経済研究室(〒305-0804 茨城県つくば市旭1番地)

E-mail:[email protected]

本研究では,地域づくりの視点から,医療関係施設と所要時間,許容時間について都市規模別にアンケ ートを行い住民の意識の面から調査した.調査では,三大都市圏,地方都市部,地方部の居住者に対して,

診療所,病院,高度な医療施設についての必要性と現在の所要時間および許容できる所要時間を調査した.

その結果,診療所,病院と比べ高度な医療施設では必要との意識はあるものの具体的な時間を気にしてい ない人が多いこと,こどものいる人,高齢者のいる人は高度な医療施設について必要と考える傾向がある ともに具体的に時間を気にしている人の割合が高いこと,高度な医療施設については都市規模別に所要時 間の実態が異なっているものの許容できる時間は同様であることなどが分かった.

Key Words : medical facilities, accessibility, attitude survey

1.

はじめに

(1) 背景

医療関係施設の立地は,地域によりそれぞれ異なって おり,特に施設の規模や密度は,現状では都市規模に準 じていることが多い.そのような中で,地域づくりの視 点からは,居住都市規模によらずアクセスしやすいこと が望ましいものの,すべての地域で身近に施設を充実さ せることは困難であり,現状の立地の中で,都市規模,

個人属性に応じて効率的にサービスを向上させることが 望まれる.そこで本研究は,地域づくりの視点から,医 療関係施設への都市規模別の所要時間,許容時間,必要 性の意識と,年齢・世帯構成などの属性との関係を明ら かにすることを目的に行った.

(2) 既往研究

地域づくりにおける施設立地の視点からの医療関係施 設までの所要時間に関しては,以下の研究がある.

加知ら1)土井ら2)林ら3)栄徳ら4)は,医療サービスへ のアクセスを生活の質やモビリティの質を検討する上で の一要素として分析している.また,森尾ら5)は,中山 間地域における都市機能の享受と人口動態について整理 する上で,都市機能として想定した12の施設のうちの一 つを病院とし,都市機能の享受水準が低い地域において 人口減少が顕著であるとしている.有川ら6)は,中山間

地域住民の生活利便性が居住継続意向に及ぼす影響を分 析しており,医療環境は移住理由への関連が示されてい る.これらの研究では,医療施設へのアクセスと地域の 評価という点では分析されているものの,医療施設への アクセスの実態や許容範囲については明確に示されてい ない.医療関係施設へのアクセスの許容範囲としては,

孔ら7)が,生活環境施設の評価モデルの構築の中で地方 都市圏において医療施設等までの限界距離の調査を行っ ている例があるものの,各都市規模における許容範囲は 既往の研究では十分に把握できない.

(3) 本研究の流れ

そこで本研究では,地域づくりにおける施設までのア クセスの視点から,医療関係施設と現在の所要時間,許 容できる時間の関係について,都市規模別にアンケート 調査を行い分析することとした.

2. 方法

(1) 調査

調査では,医療関係施設として診療所,病院,高度な 医療施設について,必要性の有無と,現在の所要時間お よび許容できる所要時間を調査した.

a) 調査方法

全国に180万人の会員を持つWEB調査会社を通じた

(2)

2

WEBアンケートとし,そのアンケートモニターにアン

ケートを配信し回収した.

b) 調査地域

全国を,三大都市圏,地方都市部,地方部として3つ に区分し調査した.それぞれの都市規模の区分の該当地 域は,表-1に示すとおりとした.

c) 調査内容

属性として,回答者の性別,年齢,職業,世帯構成に ついて調査した.世帯構成については,「一人暮らし」

「夫婦のみ」「二世代以上同居」の別,および「世帯で の15歳未満の人の有無」「世帯での65歳以上の人の 有無」についても調査した.

施設との関係として,診療所,病院,高度な医療施設,

について,現在の所要時間,必要性の有無,許容できる 時間を調査した.それぞれの質問と選択肢を,表-2,表 -3に示す.

表-1 対象地域の区分 都市規模区分 対象市町村

三大都市圏 首都圏(東京都,神奈川県,埼玉県,

千葉県),中京圏(愛知県,三重県,

岐阜県),近畿圏(大阪府,京都府,

兵庫県,滋賀県,奈良県,和歌山県)

の市町村

地方都市部 三大都市圏を除く10万人以上の市町村 地方部 三大都市圏を除く10万人未満の市町村

表-2 現在の所要時間の質問と選択肢 現在の居住地から次の施設までの所要時間をお答えくだ さい.(交通手段は問いません.あなたが利用可能な交 通手段でかかる時間をお答えください)

10分くらいまで

20分くらい

30分くらい 1時間くらい 2時間くらい 3時間くらい 3時間以上

該当施設なし・不明

表-3 必要性の有無と許容できる時間の質問と選択肢 あなたは,仮に新たに居住地を選ぶとした場合,どのく らいの範囲に次の施設が必要と考えますか?許容できる 時間を含めてお答えください

特に必要と感じない 必要だが時間は気にしない 必ず10分くらいまで 必ず20分くらいまで 必ず30分くらいまで 必ず1時間くらいまで 必ず2時間くらいまで 必ず3時間くらいまで

3. 結果

(1) 回答者の属性 a) 回答数

三大都市圏,地方都市部,地方部の各都市規模別の居 住者について,それぞれ

400

名から回答を得た.

b) 属性

回答者の属性を以下に示す.性別(図-1)は,各都市 規模ともほぼ同数であった.年齢(図-2)は,15~19歳 から

70

74

歳までの各年齢層から回答を得た.職業(図 -3)は,民間企業,団体の社員・職員,臨時・パート勤 め人,専業主婦,無職が多い.世帯構成(図-4)は,二 世代以上同居の世帯が多かった.

0% 20% 40% 60% 80% 100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

男 性 女 性

図-1 回答者の属性(性別)

25~29歳 30~34歳

35~39歳

40~44歳

45~49歳

50~54歳 55~59歳

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80歳以上

図-2 回答者の属性(年齢)

民間企業、団 体の社員・職

臨時、パート勤 め人

専業主婦

無職 0%

20%

40%

60%

80%

100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

自営業(農林漁 業者)

自営業(農林漁 業以外)

民間企業、団体 の経営者・役員 民間企業、団体 の社員・職員 公務員・教員 臨時、パート勤 め人 専業主婦 無職 学生 その他

図-3 回答者の属性(職業)

(3)

3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

1人暮らし 夫婦のみ 2世代以上同居 その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

15歳未満 がいる 15歳未満 がいない

0% 20% 40% 60% 80% 100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

65歳以上の 人がいる 65歳以上の 人がいない

図-4 回答者の属性(世帯構成)

25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

三大都市圏 地方都市部 地方部

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80歳以上

図-5 H17国勢調査における人口構成

c) 回答者の構成

回答者の構成を実態と比較するため,年齢,世帯構 成について平成17年国勢調査の結果と比較した.

年齢構成について,国勢調査の人口を本稿における 都市規模区分別に分類した値を図-5に示す.両者を比較 すると,実際の年齢構成に比べ,

24

歳以下の年齢層,お よび60歳以上の年齢層での回答者が比較的少なく,35歳 から

49

歳の年齢層での回答者が比較的多い傾向にあった.

また,一人暮らしである人の割合は,三大都市圏,

地方都市部,地方部の順に,本調査では低くなるが,

H17国勢調査における一般世帯における単独世帯の割合

でも

32

%,

31

%,

23

%と低くなり,傾向は実態と大きく は異ならないと考えられる.同様に,世帯に65歳以上の 人がいる人の割合は,三大都市圏,地方都市部,地方部 の順に,本調査では高くなるが,H17国勢調査における 一般世帯における

65

歳以上の親族のいる世帯の割合でも

31%,34%,46

%と高くなり,傾向は実態と大きく異な

らないと考えられた.

(2) 結果

a) 都市規模別の必要性

都市規模別の必要性に対する意識の結果を示す(図- 6).必要性に対する意識として,仮に新たに居住地を 選ぶこととした場合において,各医療関係施設について

「特に必要と感じない」と回答した人の割合,及び「特 に必要と感じない」と「必要だが時間は気にしない」と 回答した人の割合に着目した.

「特に必要と感じない」人は,各施設,都市規模とも,

多くは

1

割以下と少ない.これに「必要だが時間は気に しない」を加えた割合では,診療所,病院では約10~15 ポイントの回答者が加わる一方,高度な医療施設では約

20ポイントの回答者が加わった.このことから,診療所,

病院と比べ,高度な医療施設では,必要との意識はある ものの具体的な時間を気にしていない人が多いことが考 えられた.

b) 世帯構成別の必要性

世帯構成別の必要性に対する意識の結果を示す(図- 7).ここでは,こども,高齢者の有無として,それぞ れ世帯に

15

歳未満,

65

歳以上の人の有無を取り上げる.

必要と感じない人,及び必要だが時間は気にしない人 を加えたものとして,全体として前項と同様の傾向が見 られたのに加え,世帯にこどものいる人,高齢者のいる 人は,高度な医療施設について,必要と考える傾向があ るとともに具体的に時間を気にしている人の割合が高い ことが確認できた.

0 5 10 15 20 25 30 35 40

三大都市圏 地方都市部 地方部

答者の割合

都市規模区分

診療所 必要と感じない 病院 必要と感じない 高度な医療施設 必要と感じない 診療所 必要と感じない

+時間は気にしない 病院

必要と感じない

+時間は気にしない 高度な医療施設 必要と感じない

+時間は気にしない

図-6 必要性に対する意識(都市規模別)

0 5 10 15 20 25 30 35 40

こどもあり こどもなし 高齢者あり 高齢者なし

回答者の割合

世帯属性別

診療所 必要と感じない

病院 必要と感じない

高度な医療施設 必要と感じない

診療所 必要と感じない

+時間は気にしない 病院 必要と感じない

+時間は気にしない 高度な医療施設 必要と感じない

+時間は気にしない

図-7 必要性に対する意識(世帯構成別)

(4)

4 c) 現在の所要時間と許容できる時間

診療所,病院,高度な医療施設について,現在の所要 時間と,仮に新たな居住地を選ぶ場合の許容できる時間 の調査結果を,図-8,図-9,図-10に示す.

都市規模別の傾向としては,現在の所要時間では,診 療所,病院はほぼ同様の傾向であるものの,高度な医療 施設は地方都市部,三大都市圏,地方部の順にピークの 発現する所要時間帯が長くなるなど都市規模別に実態が 異なっていた.一方,許容できる時間では,各医療関係 施設とも,大きな違いは見られなかった.これらのこと から,所要時間の実態は異なっていていも,許容できる 時間は同様であり,満足度に差があることが考えられた.

0 50 100 150 200 250

10 20 30 1時間く 2時間く 3時間く 3間以上

回答

時間

三大都市圏 現在の所要時間 三大都市圏

許容できる時間 地方都市部

現在の所要時間 地方都市部

許容できる時間 地方部

現在の所要時間 地方部

許容できる時間

図-8 現在の所要時間と許容できる時間(診療所)

0 50 100 150 200 250

10分 20 30 1時間く 2時間く 3時間く 3時間以

回答

時間

三大都市圏 現在の所要時間 三大都市圏

許容できる時間 地方都市部

現在の所要時間 地方都市部

許容できる時間 地方部

現在の所要時間 地方部

許容できる時間

在の所要時間 必要が時間 気に (許

図-9 現在の所要時間と許容できる時間(病院)

0 50 100 150 200 250

10分 20分 30分 1時 2時 3時 3時

回答

時間

三大都市圏 現在の所要時間 三大都市圏 許容できる時間 地方都市部 現在の所要時間 地方都市部 許容できる時間 地方部 現在の所要時間 地方部 許容できる時間

在の所要時間) 必要 気に 容で時間

図-10 現在の所要時間と許容できる時間(高度な医療施設)

4. 結論

本研究では,地域づくりの視点から,医療関係施設と 所要時間,許容時間について都市規模別にアンケートを 行い,必要性に対する意識,現在の所要時間と許容時間 について分析した.その結果,以下のことが分かった.

・診療所,病院と比べ,高度な医療施設では,必要と の意識はあるものの,具体的な時間を気にしてい ない人が多い

・こどものいる人,高齢者のいる人は,高度な医療施 設について,必要と考える傾向があるともに具体 的に時間を気にしている人が多い

・高度な医療施設については,都市規模別に,所要時 間の実態が異なっているものの,許容できる時間 は同様であり,満足度に差があることが考えられ た

これらのことから,特に高度な医療施設へのアクセス については,安全の面からは満足度でなく実際にかかる 所要時間の意味について十分な検討が求められるととも に,居住地としての魅力の面からは都市規模別の差を埋 める地域づくりも求められると思われる.

参考文献

1) 加知範康, 加藤博和, 林良嗣, 森杉雅史:余命指標を用い た生活環境質(QOL)評価と市街地拡大抑制策検討への適用, 土木学会論文集D,Vol.62,No.4,pp.558-573,2006.

2) 土井健司, 中西仁美, 杉山郁夫, 柴田久:QoL概念に基づ く都市インフラ整備の多元的評価手法の開発,土木学会論 文集D,Vol.62,No.3,pp.288-303,2006.

3) 林良嗣,土井健司,杉山郁夫:生活質の定量化に基づく社 会資本整備の評価に関する研究 ,土木学会論文集,Vol.751, No.4-62,pp.55-70,2004.

4) 栄徳洋平,溝上章志:QoM指標によるモビリティ水準の地域 間比較手法の提案,土木計画学研究・論文集,Vol.25,pp.10 9-119,2008.

5) 森尾淳,杉田浩:中山間地域のモビリティと生活圏域に関 する分析,土木計画学研究・論文集,Vol.26,pp.85-92,2009.

6) 有川つばさ,塚井誠人,桑野将司,藤山浩,山田和孝:中山間 地域住民の生活利便性が居住継続意向に及ぼす影響の分 析,土木計画学研究・論文集,Vol.26,pp.383-391,2009.

7) 孔慶玥,近藤光男,奥嶋政嗣,近藤明子:移動の限 界距離を考慮した生活環境施設の評価モデルの構築 と そ の 適 用 に 関 す る 研 究 , 都 市 計 画 論 文 集 , Vol.46,No.3,pp.787-792,2011.

参照

関連したドキュメント

把握したことから、11 月 10 日付けで本市からワクチンを配送し接種を行っている 市内全医療機関(143

近年、医療技術の進歩に伴い、日常生活の上で医療的ケアを必要としている子どもの

メリット 広い住宅の低価格化 高耐久・高耐震 自由設計 リフォームが容易 修繕が金銭的無駄にならない 60年間住む権利が保障 安定した経営

これまで, 境界要素法における時間領域解法では, 時・空 間について離散化を行い, 各時刻の解をそれ以前の境界デー タから求める時間領域境界要素法が用いられてきた.

調査したのはいわき中央 IC から郡山方面への 50Km の区間である。調査結果を表1に示す。

図面分析を行っている山下ら 1) は, 「欧米公園のイメ ージの中に,後に施設集積の素地となった空間の単位性 をもたらす要因があった」

空間的に不均質な物性値の空間分布を限られた調査か ら推定する場合に,いかなる手法を用いても推定結果には

実測値との関係を検証し、さらにコミュニティ道路など の 3 つの道路形態別に生活道路を総合的に評価するこ