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(1)松江城下町造成土の由来および土質特性

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Academic year: 2022

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(1)松江城下町造成土の由来および土質特性. 1. まえがき. 松江工業高等専門学校. 正会員. ○河原荘一郎. 松江工業高等専門学校. 学生会員. 齊藤. 直人. 個の試料を採取した。紙面の都合上省略するが,そ. 松江城下町は 1607~1611(慶長 12~16)年に堀尾. の他にも 3 ヶ所から 6 つの土試料を採取した。. 氏によって整備された。伝承をまとめた『島根県史』. 3.試験結果. 1). (1)土粒子密度試験,自然含水比試験,湿潤密度試験,. によれば, 「かつて松江城山の北には宇賀山という. 小さな丘陵地があった。堀を造る際に宇賀山は削ら. 強熱減量試験. れ,その土砂は城下町の東にある南田町へ運ばれ宅. 有機物含有量は,土粒子密度 ρs や間隙比 e,自然含. 地整備に利用された」とある。また,松江城下町遺. 水比 wn に影響する。表 1 において強熱減量が 29.7 %. 跡の発掘調査において,松江城下町周辺は過去に盛. で最も大きい南田町有機質土は,ρs が 2.162 g/cm3 で. 土が 10~100 年間隔で 2 回または 3 回,2m 弱の厚さ. 最も小さく,wn の 221.0 %と e の 4.79 が最も大きいと. 2). でなされてほぼ無傷で残っていること. が分かった。. いう顕著な結果である。2 番目に強熱減量が大きいの. 本研究では,松江城下町が整備されてからの盛土. は,南田町盛土層(下)の 21.4%で ρs が 2.435 g/cm3,. がどのように行われてきたのかを考察することを目. wn は 142.0 %,e が 3.32 である。3 番目に強熱減量が. 的とする。そのため,松江城下町各地から試料を採. 大きかったのは母衣町耕作土の 11.3 %で,ρs が 2.485. 取し,各種の土質試験を行った。築城時の下層盛土. g/cm3,wn は 71.2 %,e が 1.83 である。表 1 に示すこ. の性質が島根県史の伝承の宇賀山の土と合致するか,. れら 3 つの試料は,有機物含有量によってその結果. 下層盛土の出所について調べた。. に類似性が表れているということが分かる。このこ. 2. 採取場所. とから,南田町盛土層(下)には自然堆積層である有. 図 1 に試料採取地点の地図を示す。調査地点は, 松江城下町の東端にある松江市南田町 134-11 番地. 機質土がかなり多く混じっていると推察できる。 表1. 外から盛土 2 つと自然堆積層の有機質土(上)と灰色. 土粒子密度 ρs,自然含水比 wn,間隙比 e, 強熱減量 Li. シルト(下)の 2 つ,松江市母衣町の米子橋から盛土 2 つ,松江市母衣町 100 から盛土 3 つと耕作が行わ れた跡のある自然堆積土,松江地方裁判所 (松江市 母衣町 68)から 2 ヶ所に分けて採取した盛土と自然 堆積土を 2 つずつ,宇賀山の土として城山稲荷神社 (松江市殿町 449-2)から 1 つ,5 ヶ所から合計 15. ρs [g/cm3] wn [%]. e. Li[%]. 南田町(有機質土). 2.162. 221.0. 4.79. 29.7. 南田町(盛土下). 2.435. 142.0. 3.32. 21.4. 母衣町(耕作土). 2.485. 71.2. 1.83. 11.3. (2)粒度試験,工学的分類 表 2 に粒度試験より得られた結果,図 2 に粒径加 積曲線を示す。南田町灰色シルト,米子橋盛土層(下),. 城山稲荷神社. 母衣町盛土層(中)はほぼ等しい粒度分布をしている。 図 2 の粒径加積曲線を見てみると,どれもほぼ等し 松江地方裁判所 米子橋. い曲線を示している。だが,母衣町の曲線は粒径 0.25 南田町. mm で他の 2 つに比べて通過率が約 14 %小さかった。 南田町有機質土の盛土のように,米子橋盛土層(下) に加えて母衣町も灰色シルトが使われたと推察でき る。. 母衣町 図1. 試料採取地点図. 3). 南田町灰色シルト層と城山稲荷神社の土は,細粒 土と粗粒土の違い,色合いの違いはあるが粒度分布.

(2) はほぼ等しい。. められている。これは,後世に行われた盛土の締固. 裁判所盛土(下)は黄色を示している。宇賀山の山 土と同じものであるか確かめるため城山稲荷神社と. め技術の向上によると考えられる。 下層の盛土に使われた土は,主に自然堆積層の有. 比べてみると,粒度分布は概ね等しい結果となった。. 機質土や灰色シルト層である。有機質土が混ざって. 工学的分類より,周辺の土は南田町有機質土層の. いる土は,ρdmax や Dc の結果より盛土材料としては不. 高液性限界有機質粘土(OH),南田町盛土層(下)の高. 適当である。有機質土の量が元々少ない(南田町と母. 液性限界の砂質シルト(MHS)以外は,低液性限界の砂. 衣町以外からは見つかっていない)ということもあ. 質シルト(MLS)が 8,粘性土質砂(SCs)が 5 となってい. り,後世に行われた盛土は有機質土ではなく,灰色. る。. シルトや黄色い山土を使用している。 1.6. 南田町有機質土層 南田町灰色シルト層 南田町盛土(中) 南田町盛土(下) 米子橋(上) 米子橋(下) 母衣町(上) 母衣町(下) 城山稲荷山神社. 1.5 1.4. 乾燥密度ρd(g/cm3). 表 2 粒度分布 礫分 砂分 シルト分 粘土分 [%] [%] [%] [%] 45.4 7.9 南田町(灰色シルト) 0.0 46.7 0.0 46.9 45.3 7.8 米子橋(盛土下) 1.1 45.6 46.4 6.9 母衣町(盛土中) 0.0 57.5 35.2 7.3 城山稲荷神社 1.0 58.3 29.2 11.5 裁判所(盛土下). 1.3 1.2 1.1 1. 0.9 0.8. 100. 0.7. 90. 0.6 0. 80. 通過率(%). 40. 60. 80. 100. 含水比w(%) 図3 締固め曲線. 70 60. 南田町灰色シルト層. 50. 米子橋(下). 40. 母衣町(中). 30. 城山稲荷神社. 20 10 0 0.001. 20. 0.01. 図2. 0.1. 1 粒径(mm). 10. 100. 粒径加積曲線. (3)締固め試験 図 3 の締固め曲線が示したように,最大乾燥密度 ρdmax は米子橋盛土層(下)の 1.533 g/cm3 が最高で,そ の他は軟弱な南田町有機質土層や南田町盛土層(下) を除けば,1.2~1.5 g/cm3 の範囲内に収まっている。 盛土材料に適した粒径幅の広い砂質土では ρdmax は 1.7~2.1 g/cm3 程度の値を示すので,盛土材料として はどれも質は良くないといえる。 締固め度 Dc は,自然堆積層である南田町有機質土 層が 47.9 %と小さいのに対して,南田町灰色シルト 層は 91.8 %と大きい値を示した。表 3 に上層と下層 の盛土の ρdmax と Dc を示すと比較すれば,盛土の最上 層である米子橋盛土層(上)と母衣町(上)はそれぞれ 90.4 %と 93.0 %と下層のものよりもきちんと締め固. 最大乾燥密度 ρdmax,最適含水比 wopt, 締固め度 Dc ρdmax[g/cm3] wopt[%] Dc [%] 0.780 70.0 47.9 南田町(有機質土) 1.461 24.4 91.8 南田町(灰色シルト) 1.330 29.3 78.7 南田町(盛土中) 1.040 41.6 54.2 南田町(盛土下) 1.488 23.2 90.4 米子橋(盛土上) 1.533 21.3 86.4 米子橋(盛土下) 25.7 1.482 93.0 母衣町(盛土上) 22.2 1.440 86.1 母衣町(盛土下) 30.2 1.380 城山稲荷神社 表3. 4.まとめ 1) 島根県史にあった宇賀山の土を南田町まで持って いったという記述に合致する結果は得られなかっ た。宇賀山土が確認できたのは母衣町まであった。 2) 築城当時である下層の盛土の際,その多くは堀の 浚渫土(有機質土や灰色シルト)を利用していた。 参考文献 1)島根県編著,島根県史 藩政時代下 明治維新期(第 8 巻), 名著出版,p.46,1972. 2)島根県松江市教育委員会,財団法人松江市教育文化振興事業 団:松江城下町遺跡(殿町 287 番地)・(殿町 279 番地外)発掘調 査報告書―松江歴史館整備事業に伴う発掘調査報告書―, p.15,2011. 3)http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&tab=wl.

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