2017年10月16日(月) 1限 8:45~10:15 IB015
天野 浩 第2回 半導体工学 項目 1章 量子論入門 *バンド構造と遷移確率*MOSFET ゲートSiO2/チャネルSi界面の量子輸送過程
何故Siは光らず、GaN
なぜ量子力学が必要か? *量子井戸レーザ http://zone.ni.com/cms/images/devzone/ph/050b7a87518.gif *結晶成長 http://www.wag.caltech.edu/multiscale/collaborative_research.htm 結晶はどのように成長していくか? 何故レーザーダイオードは複 雑な構造が必要なのか? 原子から固体へ:固体中の電子のふるまいを理解するには
量子力学の4つの要請
dv
t
r
2)
,
(
ポテンシャルエネルギーが周期的な空間に粒子が存在 する場合,波動関数もその周期性を持つ。 1.粒子の状態は波動関数 で表される。 波動関数は1価の滑らかな関数。 量子力学の要請 1価の滑らかな関数の意味・・・位置のエネルギーが変わる境界のとこ ろでも波動関数及びその1次微分が連続 (但し,位置のエネルギーが無限大のところでは波動関数は零,即ち 電子は存在しない。また,無限遠では波動関数は零。) 存在する割合は確率密度関数で表す。 dv t r t r t r P 2 2 ) , ( ) , ( ) , (
=1のとき,波動関数は規格化されていると言う。 ) , ( tr 2. 物理量と演算子
j
pˆ
エネルギー演算子t
j
E
ˆ
角運動量演算子L
ˆ
r
(
j
)
等のように,常に演算子を用いる。 運動量演算子 量子力学の4つの要請 Q:上の四角を埋めなさい。3.波動関数と波動方程式 波動関数は必ずシュレーディンガー方程式を満足する。
E
H
ˆ
ˆ
V
m
H
2
22
ˆ
t
j
E
ˆ
運動エネルギー +ポテンシャルエネルギー )] ( exp[ ) , (r t A j k r
t
平面波 量子力学の4つの要請4.測定値と固有値 必ずしも,この関係が成り立たないとき
dv
A
dv
dv
A
A
A
ˆ
(
ˆ
ˆ
|
ˆ
|
* * *)=
規格化されているとき
期待値と呼び,物理量の測定平均値を表す。
a
A
ˆ
(aは定数)となるとき, aは、演算子Aˆ
の固有値と呼ぶ。 量子力学の4つの要請Q 左図のように,幅がd,エネルギーの深さが V0 の有限の深さの一次元井戸型ポテン シャルに閉じ込められた質量mの粒子の波 動関数を以下の手順で求めなさい。 計算の際,粒子のエネルギーEはV0より小 さいとする。
2
d
2
d
x m V0 (1) 領域を に分けて,それぞれの 領域での時間に依存しないシュレーディンガー方程式を導出し, 波動関数を求めなさい。 (2) 波動関数は1価の滑らかな関数である,即ち境界において波動関 2 ) ( , 2 2 ) ( , 2 ) (I x d II d x d III x d解答
2
d
2
d
x m V0(I) (II) (III)
x<-d/2およびx>d/2ではV=V0 -d/2<x<d/2においてV=0 領域(I) および(III)では
0
)
(
2
, 2 0 2 , 2
I III III Im
V
E
dx
d
領域(II) では 22
20
2
II IImE
dx
d
領域(II) の波動関数の一般解は)
(
)
(
)
(
x
C
Exp
jkx
D
Exp
jkx
解答
0
)
(
2
, 2 0 2 , 2
I III III Im
V
E
dx
d
領域(I)および(III)では, 2 2 ( 02 ) E V m とおくと領域(I)
I(
x
)
A
Exp
(
x
)
B
Exp
(
x
)
領域(III)
III(
x
)
F
Exp
(
x
)
G
Exp
(
x
)
このうち,波動関数は無限遠で存在しない,という量子力学の要請を 用いると,
)
(
)
(
x
A
Exp
x
I
)
(
)
(
x
G
Exp
x
III
解答 (2) 波動関数は1価の滑らかな関数であることから,波動関数の係 数の関係を示す連立方程式を導き出しなさい。 2 d x において dx d dx d d d I II II I ), 2 ( ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( d C Exp j kd D Exp j kd Exp A
) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( d C jk Exp j kd D jk Exp j kd Exp A 2 d x において dx d dx d d d II III III II ), 2 ( ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( j kd D Exp j kd G Exp d Exp C
) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( j kd D jk Exp j kd G Exp d Exp jk C 解答 0 ) 2 ( ) 2 ( ) ( ) 2 ( ) ( 0 ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( 0 0 ) 2 ( ) ( ) 2 ( ) ( ) 2 ( 0 ) 2 ( ) 2 ( ) 2 ( G D C A d Exp kd j Exp jk kd j Exp jk d Exp kd j Exp kd j Exp kd j Exp jk kd j Exp jk d Exp kd j Exp kd j Exp d Exp の係数行列式=0より,k,,dの関係が求まる。 2-k2)sin(kd)+2kcos(kd 0 2 2 2 ) tan( k k kd
-110- 9-510- 1 0 510- 1 0 110- 9 1.510- 9 210- 9 5109 1101 0 1.5101 0 2101 0 解答 n=1 井戸層厚 1[nm] 障壁層高さ 20[eV] 基底状態の波動関数
解答 -110- 9-510- 1 0 510- 1 0 110- 9 1.510- 9 210- 9 -2101 0 -1101 0 1101 0 2101 0 第一励起状態の波動関数
解答 -110- 9-510- 1 0 510- 1 0 110- 9 1.510- 9 210- 9 -2101 0 -1101 0 1101 0 2101 0 第二励起状態の波動関数
x y z 陽 子 電 子 +q -q
)
(
)
(
)]
,
(
2
[
2 2r
E
r
t
r
V
m
水素原子中の電子のシュレーディンガー方程式 +qの電荷の陽子がある場での電子に対 するポテンシャルエネルギーr
q
r
V
0 24
)
(
ポテンシャルエネルギーが負 → エネルギー的に安定 エネルギー固有値 ) , , , 3 , 2 , 1 n ( 1 mq E 4 真空の誘電率 電子の素電荷 電子の静止質量 : q : m 1 ab b b a a r q r q r q r q r q r q m m H 0 2 12 0 2 2 0 2 1 0 2 2 0 2 1 0 2 2 2 2 2 1 2 4 4 4 4 4 4 2 2 ˆ a b 2 水素分子(H2)中の電子のエネルギー 分子になると相互作用項が増える。 ハミルトン演算子も複雑 Q:水素分子のハミルトン演算子を求めなさい。陽子の運動は無視して 良い。 a,b:陽子 1,2:電子 原子から分子へ 共有結合の考え方
rab(陽子間距離) E
-E
+
ポテンシャルエネルギー E 二つの解が存在 E-のときの電子の波動関数 rab r 陽子の間にも存在! 反結合状態 結合状態 0.74Å 水素分子(H2)中の電子のエネルギー炭素と水素の結合 メタンの例 Q:メタンの分子式はCH4 である。炭素原子の中で, 結合に寄与している電子の量子状態を答えなさい。 また,下記の図は炭素Cの基底状態の電子配置であ る。同様に CH4の電子配置を描きなさい。 エネルギー E 1s 2s 2p http://www.geocities.ws/yoshihitoshigihara/elec4.htm
解答例 炭素の電子配置(1s)2(2s)2(2p)2 もし 2pだけが結合に寄与するのであれば CH2 ところがメタンはCH4 なぜか? (2s)2(2p)2→(2s)1(2p)3→(2sp)3混成軌 道 と変化し,4つは全く等価となって正 四面体構造を形成する。 解答
2s 2p x 2py 2pz 2s 2p x 2py 2pz 電子が昇位している途中の電子の波動関数の様子 矢印は,スピンを表す。 解答
正確に書くと,こんな形
(反対側も少しある。)
解答例
赤は水素原子の電子
シリコン結晶中の電子の状態 1s 2s 3s 2p 3p エネルギー E 1s 2s (3sp3) 2p エネルギー E 原子・分子から結晶へ http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thu mb/9/9f/Sp3-Orbital.svg/200px-Sp3-Orbital.svg.png
一つの原子に注目すると 正四面体構造であることが 良く分かる! Q:結合長は? nm a 0.235 43 シリコンの結晶構造 (ダイヤモンド構造) シリコン結晶について 4×2=8 ひとつのSiで最外殻 に電子8個を持つの と同様 最近接のSi同士 で共有結合を形成
y z (0,0,0) a=0.543 nm (a,0,0) (a,a,0) (0,0,a) 各原子の座標
1
1
1
(a,a,a) シリコン結晶について 34 . 0 8 3 3 4 8 3 3 a a Q:充填率は?シリコン結晶中の電子のエネルギー ひとつのSi原子に4つの(3sp3)電子 → Si-Si分子を構成したときの電子エネルギーの様子 (仮想図) ポテンシャルエネルギー E 4つの 結合状態 4つの反結合状態
r
si-si パウリの排他律により,(3sp3)の電子のエ ネルギーが少し分裂する。 基底状態では,こちらに4つの電子がつまる。 こちらは空原子から固体へ:最外殻電子のエネルギーの変化 原子:s軌道とp軌道 エネルギー sp3混成軌道 分子:結合軌道 と反結合軌道
この立方体中の原子の個数は,
8
4
6
2
1
8
8
1
]
cm
[
10
0
.
5
)
10
43
.
5
(
8
22 3 3 10
a=5.43Å:格子定数と呼ぶ。 結合軌道密度はこの4倍 Si結晶中での結合の密度Q:ダイヤモンド,シリコン,ゲルマニウムは,いずれもダイヤモンド構造を形成する。それぞれ の物性値は以下の通りである。最も比重が小さいものを答えなさい。アボガドロ数(NA)は 6.02×1023[mol-1]とする。 格子定数[Å] 原子量 比重 [g/cm3] ダイヤモンド(C) 3.57 12.01 シリコン(Si) 5.43 28.09 ゲルマニウム(Ge) 5.66 72.61
解答例 格子定数 [Å] 原子量 比重 [g/cm3] ダイヤモンド(C) 3.57 12.01 3.51 シリコン(Si) 5.43 28.09 2.33 ゲルマニウム(Ge) 5.66 72.61 5.32
原子量
A 3N
8
a
比重= シリコンが最も軽い(比重が少ない。) 解答a (0,0,0)
,
0
)
2
,
2
(
a
a
(a,a,0) この面の原子配置 4 , 4 , 4 a a a 35 . 2 3 ) ( ) ( ) ( 2 2 2 a a a a r [Å] rSi-Si 解答a (0,0,0)
,
0
)
2
,
2
(
a
a
(a,a,0) この面の原子配置 4 , 4 , 4 a a a A
B
cos
B
A
B
A
より3
1
cos
109
.
47
解答まとめ 1.量子力学の四つの要請をまとめよう。 2.演算子とは? 3.波動関数とは? 4.存在確率とは? 5.境界条件の意味