香 川 大 学 経 済 論 叢 第66巻 第 2号 1993年9月 19-43
予算管理手法としてのゼロベース・バジェティング
一一目標管理
(MBO)
とPPBS
との比較を中心にして一一一
堀 井 ↑ 宣 暢
I は じ め に ゼ、ロベース・パジェティング (Zero-Base Budgeting,以下ZBB)は,予算 管理手法としてアメリカ合衆国で1
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0
年代に誕生し,企業および公共部門で利 用された。しかし, ZBBはそのまま成功裏に企業および公共部門で採用され続 けたわけではなく,失敗例およびその失敗理由について多くの関心が寄せられ ている。もちろん, ZBBは歴史の流れの中で見ると,突然出現してきたわけで はない。世会経済的な潮流の中で,その時代の要請に応えて,それ以前のもの とは形を変えて,それ以前のものを越えようとして出現したものと考えられる。 ZBBの性質や特質については,われわれは既にかなり明らかにしてきたところ であり,またZBBの適用可能な領域についても多くの検討を加えてきた。小稿 では,ZBBの出現してきた歴史的背景としての予算管理手法ないしは経営管理 手法としての「目標管理」および「計画策定,プログラミングおよび予算編成 (1) J D. Suver&
R L Brown,“Where does Zero-Base Budgeting Work?", Ha仰erdBusiness RevieωNov -Dec, 1977, P 76. 1924年イギリスの予算の権威E.H.. Young がZBBの考えをしていたとしている。
(2) ZBBを在庫管理に適用したものとして,次のものがある。T.ShastriY Gupta and R. G. Coffy,“Application of Modified ZBB and Inventory Control System in Small Mer-chandising Businesses
ぺ
EngineeringCosts and PァoductionEconomiιs, 8(1985), pp.249 262契約産業の中期計画への適用したものとして,次のものがある。YGupta and T Shas -tri,“Integrating Short-and Medium Term Budgets: A Conceptual Framework", Cost and Management, May-June 1983, pp.18-25目標計画法に適用Lたものとして,次のもの がある。 S..M. Lee and J P Shin,“Zero-Base Budgeting-Dealing with Conflicting ubjec -tives", Long Range Planning, Vol 17No..5, 1984, pp.103-110これについては,拙稿「ゼ ロベース・パジェテインク'の最近の展開についてJr香川大学経済論叢』第60巻第 3号昭和 62 年12月。を参照。-20ー 香川大学経済論議 198 システム」を取り上げることによって, ZBBにどのようなことが期待されうる かということを考察する。特に, ZBBと「目標管理」の類似性から r目標管理」 のプロセスおよび特質を明らかにすることが,ZBBのもっている弱点を補強す る可能性がある。 ZBBには,これを実施するにあたって圧倒的な事務量の増加 が,欠陥としてあげられてきた。しかし, ZBBのもっている理論的構造に少し 修正を加えることにより, ZBBは現実の適用可能性を増すかもしれない。ZBB は,少し形を変えても経営管理手法として広く適用可能になるであろう。 ZBB, r目標管理」および「計画策定,プログラミングおよび予算編成システ ム」を,マーケティングの領域に適用する場合に,どのような問題点が存在す るかについても検討される。マーケティングのプロセスの要素について,これ らの予算管理手法がどれほど有用であるかが問題になる。 II PPBSおよびMBOとZBB 従来より, ZBB,目標管理 (Managementof Objectives,以下 MBO)およ び計画策定,プログラミングおよび予算編成システム (Planning, Program-ming and Budgeting Systems以下PPBSあるいはPPB)における関連性な いし類似性については,さまざまに指摘されてきたとおりである。これらの手 法は,異なる時代背景や経営環境のもとに,それぞれの時代における社会経済 的要請や経営環境の変化に応え,適切な意思決定が行われるものとして誕生し, 展開された。これらの手法の擁護者は,全体的な経営管理に対する統合された アプローチを提供するものとしてその有用性を主張している。この
3
つの手法 を対比あるいは検討することによって,これらの手法の特徴を明らかにするこ とにより, ZBBの限界と適用可能性が明らかになるであろう。 1. PPBSとZBB 最初に, PPBSとZBBとの関係が取り上げられる。 ZBBはPPBSの後継者 ( 3 ) R W. Blanning,“Zero-Base Budgeting", ELECTORO-77 Proceeding, April1977 pp. 14/3-1-14/307この中では,PPBSとZBBとを全く同じものと考えている。両者が補 完し合い,一体のものとして考えられているからである。199 予算管理手法としてのゼロペース・パジェテイング -21-とされ,従来よりその関連性ないしは類似性について特に多く指摘されてきた とおりである。ついで,主として
MBO
とZBB
の関係が取り上げられる。特に,MBO
は旧来の管理方式とは時代を画し,管理方式の変革の先鞭をつけたとい う意味において,詳しく検討される。 ところで,ZBB
とPPBS
との関係については,われわれは既に述べてきたと ころである。PPBS
は,1
9
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年代に米国国防省を中心に開発された経営管理手 法ということから,一般的には,P
l
a
n
n
i
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は基本計画の策定,Programming
は 任務別計画の策定,B
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g
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i
n
g
は予算編成と訳出された。PPBS
では,この三 つのプロセスを一つのトータノレ・システムあるいは統合システムとして機能さ せようと意図している。すなわち,それまでの予算が,目的とは切り離されて 編成される支出項目別の,しかも短期思考型予算であったのに対して,PPBS
は長期的な基本計画を前提とし,これに基づいた目的別・任務別計画を中継ぎ として,これを年度予算に結び、つけようとするトータル・システムである。し たがって,PPBS
の特徴は,1
)
その予算が基本計画を前提としているため, それまでの公共部門予算の単年度主義という枠を破って,その中に長期的視点 を持ち込んだこと, 2)組織目的と直接関連させることができない支出項目別 の予算に先だって,目的別・任務別計画を策定したこと, 3)従来のように支 出あるいは費用の発生を単に規制ないし統制するのではなく,費用便益(有効 度)分析という厳密な定量経済分析を行い,もって費用の効率的運用を図ろう としたことである。要するに,PPBS
は年度予算と長期計画との一体化にその 意図があったわけである。米国連邦政府の場合には「プログラムおよび財務計 画(Programand F
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)
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が作成され,多年度(5
年間)にわたって のアウトプットおよび費用(所要資金)を要約し,全体的長期計画として表示 しようとした。したがって,これはプログラムや代替案を更新し,改訂し,準 備することを意味する。 このように,PPBS
では,基本計画のもとに全体的な目的を設定し,これを (4 ) 前稿「ゼロベース・パジェティング、の最近の展開について」。22~ 香川大学経済論叢 200 達成してゆくための戦略を選択設定
G
,さらにこれを具体的に実現させてゆく ために年度予算が編成された。戦略の選択設定に際しては,費用便益分析を行 うことにより,その代替案としての戦略の経済性あるいは合理性を証明しよう とした。 ZBBとPPBSとは,本来,費用の管理対象を同じくしており,プログラムの 評価ないしは選択にあたっては,費用便益分析を主要な分析手法としている点 でも,類似の管理手法として考えられている。 両者の相異は, PPBSがそのシステムに長期計画を持ち込み,それを起点と してシステマティックにいわばトップ・ダウンに予算を編成しようとするのに 対し, ZBBは,プログラムを現実に実施する予算実施責任者からボトム・アッ プに予算を積み上げようとするところにあると考えられる。 PPBSは,少なく とも,公共部門においては,予算編成には成功しなかった。一つには,目的別 アウトプット志向の計画から,支出項目別の詳細な原価分類を伴う予算への変 換が時間的にも困難であったことである。しかし,行政の生理!として,長期に わたって予算項目に継続的に支出することには,少なからず無理がある。しか し,企業においては,企業活動それ自体が目的志向的であるから,長期計画と 予算編成は結びつきやすい。したがって,企業においては,長期基本計画から はじまる PPBSの情報のトップ・ダウンの流れと, ZBBにおける予算実施責任 者のプログラム作成による情報のボトム・アップの流れとは,相矛盾するもの ではない。予算は,一方のみからの情報の流れからは成立することは困難であ る。したがって,予算における情報の下方への流れを代表するPPBSと情報の 上方への流れに意義が認められる ZBBは,相互に補完しうる可能性がある。事 実,この補完関係を指摘する論者は少なくない。 ZBBは,日本の経済低成長時代もそうであったように,資源が希少になりつ つあり,利益が脅かされつつある組織が,環境の変化に適用しなければならな い社会経済的背景のもとに誕生したと考えることができる。さらに, ZBBの大 きな特徴は,それぞれの管理者にかれのすべての予算要求を詳細に正当化する ことを要求し,証明の義務を負わせていることである。201 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング 23
2
.
.
目標管理(
M
B
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)
について われわれは,今までに,すでにZBB
については十分に検討しているので,MBO
とZBB
との関係を知るためには,先ずMBO
それ自体について明らかに する必要がある。 目標管理は,ドラッガーやシュレイによって提唱されたものである。それは, 具体的な経営管理手法というよりも,むしろ経営理念あるいは経営哲学といい うるものである。彼らのあと,この理念に基づいて,具体的に経営管理手法と して展開されていくが,ここでは出発点に立ち戻って彼らの意図することを明 らかにすることにする。 目標管理は,最初に, 1954年にドラッガーによって,その著作『現代の経営』(The pyaゆce
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/
Ma問 gement)の r3経営担当者の管理 B 目標の設定と自己統制」において提唱さ λ また,日74年その著作『マネジメント~
(Manage-ment: Tasks, Res.ρonsibilities, Practices)に お い て も 同 様 の こ と が 主 張 さ れた。彼の主張するところの要旨は,次のとおりである。 企業の成員は,共通の目標に寄与しなければならないという大前提がある。 したがって,各人の職務による貢献が共通目標をめざして遂行され,その貢献 は補強し合い 1つの全体をつくりあげ,その聞に隙聞や,あつれきや,努力 の無用な重複がないようにしなければならない。マネジメントの職務は,その 事業全体の達成目標に基づいて決定され,その業績もその企業に対する貢献度 によって測定される。したがって,彼らの上司も彼らに期待すべきことがらを 正しく把握し,これに基づいて業績評価を行わなければならない。マネジメン トを共通目標に方向づけることは,必ずしも容易なことではなく,多大の努力 と特別の手段が必要である。容易でない理由の一つは,マネジメントの職務が 専門分化し,専門的技量の向上を目指すあまり,共通の目標が見失われがちに なることがあげられる。また,組織の各階層によって,マネジメントの関心と (5 ) 野田一夫編『ドラッカー全集第 4 巻経営思想編ー技術革新時代の経営~ 2部 現 代 の 経営 ダイヤモンド社,昭和47年。 (6) P Fドラッカー著野間一夫・村上恒夫監訳『マネジメント』下巻 ダイヤモンド社, 昭和49年。24 香川大学経済論叢 202 職務とに差異があることも,共通の目標に向かわせることを困難にする理由で ある (1974年の著作では,共通目標への悶害要因として報酬制度があげられて いる。)マネジメントは,はっきり定義された目標を持ち,どのような成果を生 み出さなければならないか,自己の属する経営単位が事業の活動領域全般にわ たる会社の共通目標に対して,いかなる貢献を成し得るかを明らかにしなけれ ばならない。また,マネジメントとその管理単位が,他の管理単位の目標達成 の助けとなるべき貢献と,自身の目標を達成する上で,他の管理単位から期待 することができる貢献を明記し,チームワークとチームの成果を強調しておか なければならない。マネジメントは事業活動のすべての領域に対し,直接的な 貢献をしているわけではないが,事業活動の成功・不成功はさまざまな領域に おける各種の努力と成果のバランスにかかっていることを理解していなければ ならない。また,各種の努力の聞に釣り合いがとれるようにするには,各階層, 各領域にわたるすべてのマネジメントの目標に,長期的および短期的な考慮が あらかじめ含められていなければならない。さらに,いかなる目標も具体的な 成果となって現れる有形の目標と,自に見えない無形の目標とを含まなければ 実際に即さない。トップ・マネジメントの重大な責務は各種目標の間のバラン スをとることである。 次に重要なことは, MBOではアカウンタビリティがその基礎にあることで ある。各マネジメントは自分の率いる部門が一段上の部門に対して,究極的に は企業全体に対する貢献について責任(アカウンタビリティ)を負っている。 したがって,各マネジメントの職務および目標は,彼の属する部門がその一部 であるより大きな経営単位の成功に対して行わなければならない貢献によって 決定されることを意味する。もちろん一段高い階層にいるマネジメントは,こ れらの目標について承認を与えるか否かの権限を留保しておかねばならない が,自らの目標を開発するのはマネジメントの責任である。このことは,マネ ジメントがその一部である一段上のより大きい部門の目標設定に責任を持って (7) 前掲書92-96ページ。
203 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング -25 参加しなければならないことを意味する。マネジメントの目標には,彼個人の 欲求するものだけではなく,企業そのものの客観的ニーズを反映していなけれ ばならない。 また, MBOではコミュニケーションの重要性があげられる。マネジメント は,事業の究極の目標が何であり,自分にいかなることが何ゆえに期待されて おり,自分の業績は何を尺度にどのように測られるかを知り,理解していなけ ればならない。このためには,各部門の経営層の内部に意思の疎通がなければ ならない。相互の理解は,上から下への一方通行的なコミュニケーションによ るものではなし下から上に向かつてのコミュニケーションによるものである。 さらに, MBOで重要なことは,-自己統制 (Self-Control)Jである。これは, マネジメントが自分の行為を自ら統制することを可能にすることを意味する。 この自己統制により,人々の仕事の達成目標に対するより強い動機づけが可能 となる。自己統制のためには,自己の目標が何であるかを知るだけでなく,自 己の行動とその結果を目標に照らして測定することが必要となる。この測定基 準は必ずしも精密で,厳密に数量的に表されるが,少なくとも明確で単純で合 理的なものであり,また信頼しうるものでなければならない。 各マネジメントは自分の業績を測定するために必要な情報を得られなければ ならないし,成果をあげるための各種の変更措置を機敏に実施できるような情 報がいつも入手できなければならない。このような情報はこれを必要とするマ ネジメントに伝達されるべきもので,彼の上司に送られるものではない。この ような情報は「自己統制」に供されるものであって,上からの統制の用具のた めにあるのではないからである。特に,情報入手能力が,急速に向上している からこそ,このことは強調されるべきである。 ( 8 ) M..F Duffy,“ZBB, MBO, PPB and Their Effectiveness within the Planningj Marketing Process", Strategic Management J仰,rnal,VoL 10, 1989, p.163 R H Miglioreの「コミュニケーションが MBOプロセスの成功の鍵であり[管理者のレベ ル聞で]もし交渉がなければ, [ゴールの]マイナスへの強制があるであろう」を引用し ている。 (9 ) 野田一夫・村上恒夫監訳前掲脅104-105ページ。
← 26 香川大学経済論議 204 マネジメントは自分の行った結果について,明確に責任を負わなくてはなら ない。そのためには,その結果を生み出すために何をするかは自分自身で統制 すべきである。全社的な制限の範囲内において何をなすべきかを決定するのは, 各 マ ネ ジ メ ン ト の 自 由 で あ り , 自 己 の 担 当 す る 仕 事 に つ い て の 情 報 を 十 分 に 持、っている場合には,自分の行った結果に対して,全面的に責任を負わなけれ ばならない。 このように,目標と自己統制による管理は,自己規律を必要とする。マネジ メントに高い要求を課すことになる。このことは,目標と自己統制による管理 は,人間というものが責任を持ちたがり,達成したがるものであるという前提 に立、っている。 手続きによって正しい行動が確立されるものではない。手続きが必要なのは, 繰り返し生じる状況において判断がもはや不必要になっている領域においてで ある。また,報告書や手続きが上層の経営層に情報を提供する「上からの統制」 の道具、として利用される場合には,危険が伴う。 このように「目標による管理」においては自己統制が強調されており,むし ろ「目標による管理」の特徴になっている。 シュレイもドラッガーのように「目標管理」という用語は用いなかったが, ほぽ同様の主張を「結果による経営」の名のもとに提案した。 (10) 野田一夫編 前掲香 472-473ページ。また,前掲脅 476ページの次の言葉は含蓄があ る。「報告書や手続きそれ自体がそれを用いるものの業績評定の具にされてはならない。 たとえば,生産に従事している人聞は,彼が記入する生産報告の良否によって決して評価 してはならない。彼は,つねに,生産部門で成し遂げた成果に従って評価されるべきであ る。このためには,彼自身が仕事の成果をあげるために必要とする以外の報告書,その他 の様式をいっさい記入させないことである。」 (11) ,目標管理」の方針を採用している会社は数百あるが自己統制」を併用することに よって「目標管理」を本当に貫いている会社は少数にすぎないとドラッカーも述べてい る。野田一夫・村上恒夫駈訳前掲書 106ページ。 (12) E.. Cシュレイ著 上野一郎訳『結果のわりつけによる経営ーりザJレツマネジメンh
池田舎庖,昭和 38年。 E.C Schleh, Management by Results. The Dynamics 0/
Pγ'ofititable Manage押1ent, McGraw-Hill, 1961なお, G.L Morrisey, Management by
Objectives and Resul.おforBusiness and lndustη,2nd ed., Addison-Wesley Publish -ingCo, 1977においては目標と結果による管理」となって,より具体的に手法として 展開されているが,ここではこれ以上立ち入らない。
205 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング -27十 「結果による経営」とは,企業の長期目標に向かつて人々により大きな業績を あげる考え方をいう。このことは,上位の管理者に期待される結果(目標)が, 下位の管理者に整合的にわりつけられることに関連する。すなわち,いかなる 人に期待する結果も,その上位の人に期待される結果の一部または全部でなけ ればならない。それは,結局,企業が期待する一部でなければならないことに なる。部下に期待する結果は,その上位の人に期待する結果がはっきりとして いなければならない。委任とは,その人に「期待する結果」を委任することで ある。結果に責任を持つということは,前もって計画をたてる責任もその人に 持たせなければならないことを意味する。 したがって,一人の監督者に実現を期待している目標と密接な関係をもっ決 定は,その監督者が行うべきであり,非常に重大な例外的な決定だけを上位の 管理者のところにあげるようにすべきである。結果のわりつけには,長期の問 題も考慮しなければならない。目標とは,一定の時期に各個人に期待する一定 の成果を述べたものである。ある期間の企業が期待する全体成果を実現するた めに,個々人がそれぞれの個人別の成果を分け持つことになる。 また,目標は,元来,人間性,その意欲,興味,その反応の仕方などに影響 を与えるものだから,その設定の仕方,個人へのわりつけ方法はその点を考え て決めることも重要である。したがって,上司はそれぞれの「期待する結果」 に対し,標準業績目標と最高業績目標と両方決めておくことになる。権限は目 標あるいは期待する業績に基づいて決めるべきである。その目標に対する成果 の完遂のために意思決定を行うためには,だれでも犯すようなミスは大目に見 て,成果が予測した目標の線内に入っていれば,犯した誤りに対しては何らの 批判も加えないことが重要である。 方針は,権限の限界をはっきりさせるものであり,企業や部門が意図するも のを示すものであって,その組織の考え方の一般的方向を示し,グループの中 (13) もちろん,期待されあるいは達成される結果を表す目的が選択され,設定される。巽 なった目的が,重要性の順位が勘案されて,優先順位がつけられる。それぞれの目的がア クションプランに分割され,それが評価された後実行され,フォローアップが続く。Ibid, p 167
28- 香川大学経済論叢 206 の各メンバーに必要な目的の統一性を与えるものであるから,長期目標と合致 するものでなければならない。この方針のもとに手続きがある。 シュレイにおいても,アカウンタビリティの重要性が指摘される。すなわち, 「結果による経営」のためには,目標を委任された場合にそれを完遂しようと する義務感(アカウンタビリティ)が必要で、あれマネジメントの主要な仕事 は,期待している結果の一部を部下にわりつけ,それに対するアカウンタビリ ティを持たせるということであるとまでいっている。また,測定なくしては, 結果に対するアカウンタビリティもあり得ないとし,アカウンタビリティには, 測定という客観的な裏づけが必要で、あることも指摘する。 また,グループとしての情報を知らせるだけでは不十分で、あり,一人一人に 目標と実績の差を知らせてやることが必要で、ある。記録作成にかかる費用は実 現される成果を増すことによって十分償える。 会社が成長するにしたがって,上級の管理者はますます多くの情報を欲しが るようになり,記録制度が脚光をあびることになる。しかし,記録制度は,運 用の仕方によっては組織にとってマイナスになることもある。したがってある 監督者の目標に対して結果がずれている場合には,彼に改善のための処置を自 らとるチャンスを与えるため,そのずれが監督者の権限を越える場合を除いて, 管理者ではなく,監督者自身に報告されるようにしなければならないことにな る。全体の成果は,一人一人の個々の成果の集まりであるが,管理者;はすべて の結果はグループの結果とみなす必要がある。個々人のアカウンタビリティを 前提にしながら,管理者は個々人の成果が全体の成果に調和するように責任を 負うことが,監督者の業績についての報告を細かくチェックするより重要とな る。 記録制度自体, トップがコストの浪費をコントロールしたいという関心の結 果生まれたことが多いため,コストの面に焦点を合わせたがる。このコスト中 心主義の考え方は予算制度によく見られる。たいていのライン監督者や管理者 は,できるだけ予算を多く獲得し,しかも予算の枠内ですませていれば,こと はうまく運んでいると思う。そうなると,独創的な仕事とか,新製品,新しい
207 予算管理手法としてのゼロペース・パジェテイング 29-作業方法や仕事の改善は行われなくなってしまう。事実,予算制度はそういう 革新の邪魔になることがあるわけである。 会計報告書によってあらゆる逸脱が報告されるべきではなく,本当に重要な 逸脱のみが報告されるべきであり,しかもアクションという観点からは,タイ ムリーでなければならない。つまり,その逸脱が担当者の権限範囲内にあるう ちでなければならない。その意味で会計幸匠告は厳密な正確性が要求されない。 また,会計係はラインがやらなければならない具体的なアクションに口をだし てはいけない。このように,予算制度あるいは会計報告制度のマイナス面が指 摘される。 また, MBOにおけるスタッフの役割について,次のように述べている。ス タップに対しでも「期待する結果」をわりつける必要があり,ラインと共同責 任を持たせることが効果的であ
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。このために記録制度も共同責任を反映した ものでなければならないとしている。 ところで I目標管理」は,テーラーの科学的管理法とは時代を画したという 意味で重要である。科学的管理法では,工場の管理が主であり,作業方法,作 業条件を標準化し,標準時聞を設定することによれ標準作業量を決定する(し たがって,標準原価が決まる)ことが目標である。職務分析による職位の決定 と職務権限規定によって「期待する結果」や「目標」が得られるという仮定に たっているが,このような手続きや規定を守ることで「期待する結果」や「目 標」は,もはや達成される状況ではない。管理者に大幅な自由裁量のもと,企 業成果に直接結びつく「期待する結果」をわりつけるという管理方式をとらな ければならない。手続き,方法,職務内容を分析し,責任を決めて職位相互の 調整をし,これに基づいて目標を設定し管理する方式はもはや通用しない。こ のような意味で,目標管理は時代を画した経営管理手法であった。 先に述べたように I自標管理」は具体的な経営管理手法というよりも,経営 理念ないしは経営哲学である。この理念の中には,その後,予算制度として展 (14) シュレイ前掲書 178ページ。 (15) 上位管理者とラインの指導と援助が目標達成の鍵になることはいうまでもない。 Ibid.., p.167 参照。30 香川大学経済論叢 208 関される要素が十分にあることが分かるであろう。したがって,MBOは予算制 度あるいはこれに深く関わる経営管理手法として展開された。重要なことは, 予算制度の具体的な展開は,その理念の中から汲み取ったものでなければなら ないことである。 凹 マーケテイング/計画策定プロセスへの適用 上述の3つの手法をマーケティングに適用し,この領域に対するこれら3つ の手法の有効性をアンケート調査で確認しようとするM.
F
ダフィーの研究を 紹介し,検討することにする。 彼は,マーケティングプロセスと計画策定プロセスとが高度に重複し,多く の共通性を示すので,同一のプロセスに含められるという理解に立っている。 このマーケティング/計画策定プロセスは,組織目標(パーパス),ミッション の表明,目的と目標,戦略,ポートフォリオ計画の開発,機会分析,ターゲツ ト・セレクション,ポジショニング戦略,マーケティングシステムとプランの 開発,業績要因開発,および実施と統制を合む統合された要素よりなる。 マーケティング/計画策定プロセスは,戦略的な局面と戦術的な局面よりなっ ているが,それぞれの要素は相互に関連的で,他の要素の影響を受けることは いうまでもないであろう。 このプロセスにおいては,組織の状況はもちろんのこと,特にその環境状況 が大きな影響をそのプロセスおよびそれぞれの要素に与えており,組織がその 戦略を実行するためには,その環境を検討しなければならない。したがって, このプロセス,特に市場分析においては rトップダウン・アプローチは,ある 組織の能力および資源の限界を理解するための必要性を反映するが,現在の市 場の外の競争者からの脅威を確認するのに失敗する。ボトムアップ・アプロー チは,消費者の視点からの市場分析を強調するが,重要な要因を無視し,機会 および脅威についての認識を歪めるかもしれなし(?」という理由で, トップダウ (16) M. F.Duffy, ibid, pp.168-173 (17) Ibid, p 164209 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング 31 ンおよびボトムアップアプローチの長所を結合した,相互あるいはデュアルな アプローチが必要とされるとしている。 l マーケティング/計画策定プロセスの要素 ダブイ}の考えるマーケテイング/計画策定プロセスの要素は,次のようなも のである。経営管理計画策定プロセスは,組織目的すなわちパーパス (purpose) の限定あるいは認識にはじまる。パーパスは現実的で,しばしば規定されてい ないねらいである。それに対して,ミッション(mission)は,しばしば公衆発表 のために意図されたものであり,公式化されている。ミッションは Iわれわれ のビジネスはなにか。だれが顧客か。顧客に対する価値はなにか。われわれの ビジネスはどうなるか。われわれのビジネスは何であるべきか。」に関するもの である。また, ミッションは,組織の規模の変化,あるいはその製品あるいは サービスラインの変更につれて,しばしば変更しなければならないが,企業あ るいはその環境の要因における無視しうる変化に対応して早まって変更される べきではない。しかし,また,ミッションはプロセスの他の要素が効率的に機 能することを保証するために,必要に応じて変化すべきでもある。 目的および目標(objectivesand goals)は,ミッションを各レベルの管理者に とって適切なものとして拡張したものである。「トップマネジメントはそのビジ ネスがどの程度速く成長することを欲するか,どの製品が強調されるべきか, どのビジネスが避けられるべきか,どのような利益数字が受け入れられるべき かについて,具体的な用語で表現された」ものであって,階層的で,数量的で, 現実的で、,首尾一貫的にしていなければならない。 戦略(Strategy)は,組織の主要な方向を示し,目的および目標をもっともよ く達成する方法を示すべきものである。集中的成長,統合的成長および,多角 化成長戦略がその例としてあげられる。 次に,ポートフォリオ計画(portfolioplan)が,ポートフォリオ・セレクショ ンの原理による資源配分モデノレの助けをかりて展開される。このモデルは,人 (18) lbid, p 164 (19) lbid, p. 165
32ー 香川大学経済論叢 210 聞の判断の代わりとしてよりも,むしろこれを補うものとして使用されるべき ものとしている。このモデルによって,戦略的な変数の分析を補助し,ポート フォリオをバランスさせることが,戦略をバランスさせることに貢献すると考 えている。このモデルの lつの欠陥として,ポートフォリオ聞に起こりうるシ ナージーを無視していることがあげられている。 次に,マーケティング/計画策定プロセスにおいては,マーケテインク。機会が 確認され,分析され,選択され,開発される。機会分析(opportunityanalysis) は機会のローケイティング,創造,評価,選択のプロゼスである。 ターゲット・セレクション(targetselection)は,組織がどの消費者グ子ループ あるいはニーズを満足させようとすべきか,たとえば,製品/市場集中,製品特 殊化,市場特殊化,および完全カパリッジを限定するプロセスである。ポジショ ニング戦略(positioningstrategy)は,選択されたターゲットをく攻撃〉するた めの組織の資源の配列である。 戦術局面の計画策定においては,プロセスのすべての要素をもっともよく支 援する組織構造が,設計され,そのあと情報/計画策定/統制システムが構築さ れるべきである。そのあと,マーケティングシステム開発(marketingsystems development)が行われ,マーケティング努力を支援するための経営管理システ ムが作られるべきである。ついで,マーケティングプラン開発(marketingplan development)が続き,そこで統制および情報システムが導入される。 実施(implementation)領域においては,要求されているタスクが何か,障害 がどのように報告され処理されているかを各々のマネージャー,および組織全 体が知らなければならない。実施領域が可動するためには,組織の効率につい ての測定可能な指標が決定されなければならない。このことは,業績要因開発 (performance factor development)という要素のなかで行われる。 次に,マーケティング/計画策定プロセスに対して統制(control)を適用する ことが可能である。これには,すべての管理者レベルが問題点を発見し,報告 し,対応できるようにトップダウンおよびボトムアップ双方の情報の流れを含 んでいる。効率的な統制システムにおいては,すべての職員間の相互のコミュ
211 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング 33-ニケーションを可能にし,奨励しなければならない。統制システムは,プロセ スの必要とされる要素すべてに関連させることができなければならない。適切 な統制がなければ,どのようなプランも有効でなくなることはいうまでもない。 2.. アンケートの方法 このアンケート調査は, 3つの管理手法が,計画策定/マーケティングプロセ スの各々の要素をどれほどうまく満足させるように期待されていたか,また最 終的に満足させたかを決定するために行われた。あらかじめ設計された質問票 がZBB,MBOおよびPPBに経験をもった人々に配送された。回答者には,研 究の目的を電話等による説明により,理解してもらうための努力をしている。 総数150の質問票が lつの手法の管理に重要な役割を演じているか,あるいは広 く使用してきた人に郵送された。この人達は組織図や個人的なインタピコ一等 により確認された。組織上のパイアスの影響を考え,上級管理者,中級および 下級管理者を含めている。回答者は一般管理
(
m
a
n
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g
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m
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n
t
)
,マーケティング, 財務,会計およびデータ処理を含む組織の様々な職能部門にいた。3
つの手法 が考慮されていたので, 450の質問票が利用された。各々の手法の計画策定ス テージにいた人達の回答のみが受け入れられた。また,その手法は2年あるい はそれ以上の間使用されていなければならなかった。 標本となった組織には,政府(国防省の一部,NASA
,政府契約者等を含む) および民間企業,営利および非営利組織,および様々の集中の程度の製造業お よびサービス業が含まれている。これらの多くの組織はlつ以上の管理手法の 経験をもっていたため,回答率に影響を与えた。回答数は, ZBBに関して87, MBOは116,PPBは94であったので,回答率は,それぞれ58パーセント,77パー セント,6
3
パーセントであった。 回答者の認識が I不適合」から「完全適合」までの11点リカート尺度で記録 される。値10は,当該手法の要素の聞に「完全適合」が認識され,フィードパッ クが要素設計における変更を駆り立てる場合に適用される。適合が認識されな い場合には0
,5
は当該要素の満足と,当該要素の設計に対する無貢献を示 す。回答者は,特定の管理手法に関して 2つの別の質問事項すなわち,適合-34- 香川大学経済論叢 212 表 1 ー ゼ ロ ベ ー ス " パ ジ ェ テ ィ ン グ (ZBB) 理 論 的 適 合 現 実 の 適 合 情 報 の 流 れ ボ ト ム 71ブ トyプ ダ ウ ン ノミ ノミ ス 満 足 す る 。 多 少 フ ィ ー ド 客 観 的 決 定 に つ い て の み パ yク 6/M 満 足 4/M 、、、 y シ ョ ン 支 援 す る 。 多 少 修 正 客 観 的 な 場 合 支 援 す る 。 6/L め っ た に 修 正 し な い 。 4/L 目 的 お よ び 目 標 目 標 を 設 定 す る 。 優 先 客 観 的 な 場 合 設 定 し 修 正 順 位 を つ け る 。 ランク する。 つけする。 10/L 7/M 戦 略 支 援 す る 。 多 少 修 正 支 援 す る 。 わ ず か な 修 正 7/l 6/L ホ"岨卜7ォリ0"うy シ ナ ー ジ ー を 考 慮 す る 。 限 ら れ た シ ナ ーγ一 考 慮 8/L 7/L マ ー ケ デ イ ン グ 分 析 し , 選 択 し , 開 発 分 析 す る の を 援 助 す る 。 機 会 分 析 / す る の を 援 助 す る / タ ー 客 観 的 な 場 合 の み , 選 択 ~ -ケット tレ1;;
,
'1 ゲ y ト を 選 択 す る 。 8/L しない。 5/H *";; ;;ョニ'11戦 略 資 源 を パ ネ ル の ラ ン ク つ 客 観 的 な ポ ジ シ ョ ニ ン タ け に 配 分 す る 。 10/l の み 支 援 す る 。 5/M マ-1fィ1'1"",.fJ. シ ス テ ム を 設 計 す る の を シ ス デ ム 設 計 に わ ず か に 開 発 援 助 す る 。 8/L 援 助 す る 。 6/M 7-ケfィ1'17'7i プ ラ ン の 開 発 を 援 助 す る 。 プ ラ ン に 対 し て わ ず か に 開 発 8/L 援 助 す る 。 6/L 実 施 手 続 き は ほ と ん ど 普 遍 的 あ ま り に 厳 格 で , 受 容 さ で あ る 。 多 少 の フ ィ ー ド れ な い 。 わ ず か な フ ィ ー ノぜ y ク 7/M ドパ yク 6/M 業 績 要 因 開 発 創 造 す る 。 分 析 す る 。 客 観 的 な コ ス ト " ベ ヰ フ イy ト 要 因 の み 確 認 す る 。 10/L 8/M 統 告IJ 主 な 目 的 : プ ロ グ ラ ム を 制 限 さ れ た 統 制 。 フ ィ ー 評 価 す る 。 ドパ yク 認 め ら れ ず 。 9/L 6/M プ ロ セ ス 満 足 全 体 の プ ロ セ ス に 影 響 を 分 析 的 エ ー ズ を 満 足 さ せ 与 え る 。 大 い に 貢 献 す る 。 る 。 わ ず か に つ け 加 え る 。 8/L 6/M213 予 算 管 理 手 法 と し て の ゼ ロ ベ ー ス ・ パ ジ ェ テ イ ン グ 35 表2一 目 標 管 理(MBO) 理 論 的 適 合 現 実 の 適 合 情 報 の 流 れ ボ ト ム ア yブ あ る い は 二 方 通 常 ト yプ ダ ウ ン ノ、ミ ノミ ス 満 足 す る 。 多 少 フ ィ ー ド 客 観 的 決 定 に つ い て の み ノて y ク 7/L 満 足 4/L 、、、 y シ ョ ン 支 援 す る 。 多 少 修 正 客 観 的 な 場 合 支 援 す る 。 6/L め ゥ た に 修 正 し なL、。 4/M 目 的 お よ び 目 標 目 標 に 焦 点 を あ て る 。 客 観 的 な 場 合 設 定 し 修 正 優 先 順 位 を つ け る 。 する。 ラ ン ク づ け す る 。 10/L 7/H 戦 略 支 援 す る 。 多 少 修 正 支 援 す る 。 わ ず か な 修 正 7/L 6/L ホ"ート 7ォリt}'7'i 時 々 シ ナ ー ジ ー を 非 常 に 限 ら れ た シ ナ ー 考 慮 す る 。 7/L ジ ー を 考 慮 6/M マ ー ケ チ ィ ン グ 分 析 し , 選 択 し , 開 発 分 析 す る の を 援 助 す る 。 機 会 分 析 / す る の を 援 助 す る / タ ー 客 観 的 な 場 合 の み , 選 択 P ーヤ'/卜 t レ~Yョy ゲ y ト を 選 択 す る 。 8/l しない。 5/M
*
"
Y'Y ,ニ ï~' 戦略 暗 黙 の ポ ジ シ ョ ニ ン グ 客 観 的 な ポ ジ シ ョ ニ ン グ 能 力 9/L の み 支 援 す る 。 5/M マ伽ケfィi1'Y7,fA シ ス テ ム を 設 計 す る の を シ ス テ ム 設 計 に わ ず か に 関 発 援 助 す る 。 8/M 援 助 す る 。 6/M マーケ f ィ ï~"7" '7 ï プ ラ ン の 開 発 を 援 助 す る 。 プ ラ ン 開 発 に 対 し て わ ず 開 発 8/L か に 援 助 す る 。 6/M I 実 施 標 準 化 さ れ た 手 続 き 。 あ ま り に 厳 格 で , 受 容 さ 多 少 の フ ィ ー ド パ yク れ な い 。 わ ず か な フ ィ ー 7/M ドパ yク 6/H I 業 績 要 因 開 発 創 造 す る 。 変 数 を 評 価 客 観 的 な コ ス ト ベ ネ フl
する。 イ ァ ト 要 因 の み 確 認 す る 。 10/L 8/L 統 制 統 制 と し て の フ ィ ー ド 制 限 さ れ た 統 制 。 多 少 の ノミ yクo !il1.J定 す る 。 フ ィ ー ド パ yク が 与 え ら 責 任 を 害IJり 当 て る 。 10/L れ 受 容 さ れ る 。 6/M プ ロ セ ス 満 足 全 体 の プ ロ セ ス に 影 響 を 分 析 的 ニ ー ズ を 満 足 さ せ 与 え る 。 大 い に 貢 献 す る 。 る 。 わ ず か に つ け 加 え る 。 8/M 6/M36ー 香川大学経済論議 214 表3一計画策定, プ ロ グ ラ ミ ン グ , お よ び 予 算 編 成(PPB) 理 論 的 適 合 現 実 の 適 合 情 報 の 流 れ トyプ タ ウ ン トyフ。ダウン ノ ミ ミノ ス 満 足 す る 。 フ ィ ー ド 客 観 的 決 定 に つ い て の み ノマソクなし。 5/M 満 足 4/M 、、、 ノ ョ ン 支 援 す る 。 フ ィ ー ド 客 観 的 な 場 合 支 援 す る 。 ノ ゼ yクなし。 フ ィ ー ド パ yク も 修 正 5/L もなし。 4/M 目 的 お よ び 目 標 コ ス ト 関 連 的 な 場 合 に 目 的 コ ス ト 関 連 的 な 場 合 に 成 功 に 対 す る 多 少 の 注 意 。 暗 黙 的 。 修 正 可 能 。 の ラ ン ク 付 け 。 6/M 6/M 戦 略 支 援 す る 。 め っ た に 修 正 支 援 す る 。 め っ た に 修 正 なし。 6/M なし。 6/M ホ“価ト7ォリオ7"7 i 時 々 シ ナ ー ジ ー を 考 慮 支 援 す る 。 修 正 し な い 。 しない。 6/H 5/H 7ー ケ テ ィ ン グ 分 析 し , 選 択 し , 開 発 分 析 す る の を 援 助 す る 。 機 会 分 析 / す る の を 援 助 す る / タ ー 客 観 的 な 場 合 の み , 選 択 ~ -Ir ザト t レ~v , i ゲ y ト を 選 択 す る 。 8/L しなL。、 4/l * ' "v"v ,ニ ï~ 戦略 資 源 配 分 に 関 す る 暗 黙 客 観 的 な ポ ジ シ ョ ニ ン グ の 関 心 8/M の み 支 援 す る 。 4/H 7 -ケ f ィ ï~'
n
.
iA ' 設 計 に 対 し て 反 対 す る 。 設 計 に 対 し て 反 対 す る 。 I 開 発 貢 献 し な い 。 5/H 貢 献 し な い 。 5/H マーケfィi~. 7"うy 計 画 す る の に 反 対 。 計 画 す る の に 反 対 。 開 発 5/M 5/H 実 施 標 準 化 さ れ て い る が , 市j あ ま り に 厳 格 で , 受 容 さ 限 さ れ て い る 。 わ ず か に れ な い 。 わ ず か な フ ィ ー フィードノゼ yクする。 6/M ドパ yク 6/H 業 緩 要 因 開 発 コ ス ト 分 析 関 係 。 い く つ か の コ ス ト 関 連 分 析 的 評 価 。 10/l 要 因 を 確 認 す る 。 6/H 統 告IJ 統 制 と し て の 指 係 。 指 揮 的 統 制 。 コ ス ト 関 連 コ ス ト 関 連 法 。 8/M 的 な 場 合 寸 分 で あ る 。 6/M プ ロ セ ス 満 足 組 織 に コ ス ト 関 連 的 な 事 分 析 的 ニ ー ズ を 満 足 さ せ 柄 に 反 応 さ せ る 。 る 。 わ ず か に つ け 加 え る 。 8/M 6/M215 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング -37-に関する予想、を示す「理論的」適合と,当該手法の実施に基づく「現実的」適 合について答えるように要求されている。これによって,計画策定/マーケテイ ングプロセスに対する当該手法の「見込み」と実際の貢献を比較することを可 能にする。 3 アンケートからの結果 表1,表 2および表 3では 3つの管理手法が理論的,現実的にどれだけう まく計画策定/マーケティングプロセスの前述の要素を満足させるかを,それぞ れ「理論的適合」および「現実の適合」として示している。理論的および現実 の適合「欄」のそれぞれの要素のところの右端の数字は,質問票のリカート尺 度からの平均の値である。文字は回答の一様性あるいは変化性の程度を示して
ω
おり,ブラナー=タオカの方法によっている。rLJ
は意見の違いが小さい範囲 を,rMJ
はほどよい範囲をrHJ
は大きい違いを示している。 表4 回 答 の 一 様 性 に つ い て の 変 化 回 答 の Z B B M B O P P B 様 性 の 程 度 浬 論 的 現 実 的 理 論 的 現 実 的 理 論 的 現 実 的 L 11 4 10 3 3 M 2 8 3 8 8 6 H。
1。
2 2 6 ダフィーは,表から次のような結果を導いている。まず,第1
に,計画策定 プロセスに関連したものである。すなわち rこれらの管理手法の提案者の多く (20) Ibid, p..168-38ー 香川大学経済論叢 216 が,計画策定プロセスの全体が満足させられることを要求するが,各々の要素 に対する実施手続きが述べられると,すべての要素が十分な配慮を受けたわけ ではないということは容易に明白である。このことは現実の適合を考慮すると 特に真実であるが,理論的適合を考慮するときでさえも真実である。これらの プロセスが,全体の計画策定プロセスとして奉仕するように決して設計されて いなかったということを知ることは容易である。現存のあるいは計画された計 画策定プロセスをこれらの1つの手法に完全に置き換えることは大きな不幸と いう結果になるであろう」と。このことは,表1から表3までの低い数字に, 特に計画策定局面において,基づいた結論であることは容易に想像がつく。 第
2
は,このような結果になった原因についてのものである。すなわち,ダ フィーは,このような結果の原因として,ダースミスらの主張を受け入れてい る。すなわち,これらの手法に対する信頼性の欠如は,人間の確実性に対する 選好からくるとしている。つまり,人聞が確実性を選好するがゆえに,戦術的 で,統制的な局面に当該手法を適用しようとする傾向になることを意味してω
いる。これらの手法は,経営管理目的よりもむしろ政治的目的のために導入さ れたこと,また,経営管理のために直ちに受け入れられたのは,経営管理プロ セスについての完全な理解のないままに,経営管理病に対する万能薬あるいは 速効薬として採用されたからであることが主張されている。 第3
に,PPB
は,意思決定がコスト関連的であるときのみ,目的とゴーノレ, 戦略,ポートフォーリオプラン,業績要因設定の支援的手法として計画策定/ マーケテイングプロセスを支援する極めて有用であることができるが,他の客 観的な意思決定に対しておよびすべての主観的な意思決定に対して失敗である としている。PPB
は上から指揮をする,トップダウンの組織においてのみ働き,2
方向のあるいはボトムアップのコミュニケーションはこの手法の効率を妨げ (21) Ibid, p. 168 (22) Ibid, p.168 同じような主張は, M W Dirsmith & S. F. Jablonsky,“Zero-Base Budgeting As a Management Technique and Political Strategy", Academy oj Managemenf Review, 1979, Vol 4, No. 4, pp..555-565においてもみられる。217 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング 39ー るが,皮肉なことに,
PPB
はMBO
やZBB
よりも実施している管理者からど ういうわけかよい点を受けている。このことは,PPB
の能力について高望み時 でない要求と低い期待の結果かもしれないと分析している。 導かれた第4
の結果は,MBO
およびZBB
は,PPB
よりもプロセスの多くの 要素を満足させているが,高々制限された程度であって,パーパス,ミッショ ン,マーケティング機会分析,ターゲット・セレクションおよびポジシヨニン グ戦略という鍵となる要素に対してほとんど満足させておらず,特にマーケ ティング計画策定において弱いとしている。また,MBO
あるいはZBB
が完全 な計画策定/マーケティングプロセスに代わって採り入れられるならば,その実 施が非効率的であるのは避けられないとしている。 第5
に,ダフィーは,ダースミスらを引用し,PPB
同様,ZBB
とMBO
も意ω
思決定が集権化されている組織においてのみ歴史的に成功しており,相互のコ ミュニケーションを確立しようとする努力は,その会社の倫理が理論上も実際 上もこのようなコミュニケーションを支援していなければ,通常失敗している としている。MBO
に関しては,これがボトムアップあるいは相互のコミュニ ケーションに基礎をおいているので,上から指揮する組織でのトップダウンの コミュニケーションは,その手法が成功裏に実施されていることを妨げるであ ろうとし,ZBB
に関しでも,同じ条件が,ランクづけパネノレでその組織のパー パスやミッションに最も奉仕するプロジヱクトを効率的に選択することを妨げ るとしている。下位管理者によって認識される会社のニーズが,弱められ,無 視されることになるわけである。 導かれた第6の結果は,一様性に関してである。回答者の一様性の程度が, この3
つの手法それぞれで異なっており,その手法の実施の前と,後では非常 に異なっていることである。このことは,表 4で示されている。その数値は表 1から表3における要素の文字L,M, Hの合計額である(いうまでもなく, 縦の列の合計は1
3
である)。実施の前および後で,ZBB
とMBO
の回答者は,PPB
の回答者よりも回答の一様性の高い程度を示しており,しかも結果もよく (23) Ibid, p 16940- 香川大学経済論議 218 似ている。また,手法の能力についての意見が,特にその意見が積極的で楽観 的である場合に(リカート尺度の数値が高い場合に),最初から
ZBB
とMBO
とでは一致しているのに対して,PPB
はその導入の前でさえ,中程度の不一致 を示している。PPB
は,その利用者からの反対で,多くの組織においてその運 命を背負わされているように思われるとしている。 理論的および現実の回答聞における変化は非常に大きい。 3っすべての手法 に対しての意見についての一様性は,期間を延長されて利用されると,非常に 減少している。このことは,特にPPB
について真実であり,ダフィーは,この ことにより,その利用者聞における強力な支持者を欠くように思われるとして いる。また,どのような場合にも,時間の経過とともに一様性の程度がどのよ うな要素に対しても増加しなかったということが指摘されるべきであり,なに か変化があるとすれば,つねに悪い方にであるとしている。 結局のところ,これらの手法を実際に運用し利用する人々の間では,その経 営管理的価値に関して多くの不一致が存在しているように思われる。同じ組織 内においてさえ,多くの不一致が普通であり,多くの組織におい、て,利用者が その管理手法に全くといっていいほど満足させられなかったので,あまり利用 されず,余分な事務ワークになるとしているのである。 ダフィーは,ZBB
,MBO
およびPPB
が成功裏にマーケティング/計画策定 プロセスに効果的に貢献できるようにするために,以下のような提言をして ω いる。 生き残るマーケテイング/計画策定プロセスが存在しなければならないし,こ の3つの手法はこのプロセスを支援するトウールとして有効に利用されうる。 そのプロセスはパーパス,ミッション,機会分析,ポジショニング戦略,マー ケティングシステム,マーケティング計画策定,および実施を最適化しなけれ ばならない。これらは当該手法が惨めに失敗している領域である。他方,この 手法は目的とゴール,戦略,ポートフォーリオプラン,業績要因開発,および 統制プロセスにかなりの貢献をしうる。したがって,ZBB
,MBO
およびPPB
(24) lbid, pp 171-172219 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング -41 は,これに伴う多くの制限が認識され,その管理手法によって十分に貢献され ていない要素にもっと注意を向け,もっと資源を与えることによってのみ有効 になるであろうとしている。 さらに,ダフィーは, ZBB, MBOおよびPPBは,トップマネジメントの支 援が強く,意思決定が集権化されており,意思決定が分析的性質のものである 場合には成功裏に実施することができ,また,実施が成功裏に行われるために は,その会社の文化は,どのような手法に対しでも,変化それ自体に対しても 受容的でなければならないとしている。 実施される場合には,この手法はどのような組織においてもうまく働くため に,必要ならば修正することができる。また,それぞれの組織が,個々の条件 に対して独自に調製された計画策定/マーケティングプロセスを必要とすると いうことを認識すべきである。短期で即座の解決法は避けられるべきであって, 手法とマーケティング/計画策定プロセスとを動態的な環境に適用できるよう にしなければならないとしている。
I
V
む す び ZBBとMBOおよびPPBは類似の手法として,よく比較される。 ZBBと PPB (あるいはPPBS)とはどちらもその中に予算編成のプロセスをもってい るという理由で比較される。また, ZBBとMBOも,それが近い関係にあると いう理由でよく比較される。すなわち, ZBBが目的ないしは目標を盛り込んだ DP (デシジョン・パッケージ)を予算実施者の責任のもとでの意思決定によっ て作成するのに対して, MBOにおいては,上位管理者との相談のもと,自らの 意思決定によって目標を設定することによっていると考えられる。ダフィーの マーケティング/計画策定プロセスに対する 3つの手法の適用についてのアン ケート調査を中心とする上述の研究からも明らかのように,理論的にも実際的 にも ZBBとMBOは非常に近い関係にあることがわかるであろう。夕、フィー は,上述の3つの手法のマーケティング/計画策定プロセスへの適用についての 調査研究であるが,他の職能領域に3つの手法を適用しでも,ほぽ同じような-42- 香川大学経済論叢 220 結果が,
ZBB
とMBO
について,また,PPB
とZBB
およびMBO
について, 得られると思われる。ただし,マーケティング/計画策定プロセスの領域は,他 の領域とは違って少し特殊な領域であると考えられる。すなわち,マーケティ ングそれ自体の構造が複雑であること,社会経済的にみても,経営管理におけ るマーケティングの比重が大きいため,計画策定プロセスと強く結び付き易い からである。本来,長期的な計画策定を含む計画策定プロセスが別にあって, それを前提として,職能的な管理領域がなくてはならない。少なくとも,ZBB
およびMBO
は,そのような性質を誕生のときからもっているのである。長期 計画策定および短期総合計画の‘プロセスとZBB
およびMBO
のプロセスを同 一に考えることは危険である。ZBB
とMBO
は,その誕生の社会経済的背景も違うし,それらに求められた ものもおなじではない。しかし,ダブイーの研究からも明らかなように,その 強い類似性から両者はお互いに補って補強し合うことが可能である。たとえば,ZBB
に自己統制の組み入れることが考えられる。MBO
では,むしろ会計によ る管理を否定している部分がある。すなわち,予算制度や会計報告制度におけ るマイナス面の指摘である。つまり,自己統制が可能な範囲で会計報告すれば 足りるものを,すべての業績を報告することに伴うものである。自ら目標を設 定し,その目標を達成しようとするものの意欲をスポイルしない工夫が,ZBB
においては必要と思われる。ZBB
のメリットとして,よくモチベーションがあ げられている。報告制度に伴うまずさから,ZBB
の特徴をだめにする必要はな い。このように,ZBB
における報告制度に改善を試みる余地は十分に残されて いると思われる。 また,MBO
では,ラインとスタップとの関係が問題になる。すなわち,ライ ンの目標は設定しやすいが,スタップの目標はその成果を測定することが困難 であり,容易には設定することが難しいため,スタッフが野放しになりやすい。 そのため,MBO
では,スタップにラインと共通の目的を設定することが求めら れている。このような考え方をZBB
はそのプロセスに取り入れることを検討 すべきであるが,ZBB
の適用可能な領域は,スタッフに関係することが多いで221 予算管理手法としてのゼロベース・パジェティング 43-あろうから,その目標設定については,それ自身の目標と共通目標との二本立 ても考えられるであろう。 このように, MBOとZBBに求められているものやその関係を,その手法の もともとのプロセスまたは構造にたちかえってみることが必要で、ある。こうす ることによって,ZBBをはじめとする経営管理手法が現実に適用可能性をみる ことができるのである。