京 都大学理学部地質学鉱 物学 教室
初
田 甚
一 郎
岩体,特に火成岩体中に於 ける放射能元素 の分布 は, この数年来岩石放射能研究の-中 心課題 として とり上 げ られて い る.浅 山 博 廿1)の田ノ上-三雲花絹岩地域のRa測定結果及 び,Ingham,W.H.& N.B.Keevi12 3等
のカ ナ ダ (Quebec&Ontario)の Granite batholithに就ての研究その他2,3の例によ ると,大抵の場合進 入体の周辺部に放射能元 素の集中す る憤向が見 られ る. これは勿論概 観 した場合の分布で部分的の不規 則 は あ る が,遣人体の規模が大 きいほ どこの関係が明 瞭になってい る. この関係 は勿論3次元約に 成立す る ものであるか ら,表面近 くの値 は大 きくて も深 さと共に一定の低い値に吸飲 して い る.* それ故現在の露 出 し7こ花 尚岩地 域 に 第 1 図 R dd lo
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就て云 えば,その道人体が受 けた削剣の程度 如何によ り放射能分布の模様が異 なるわけで ある. (第1図 a), この一般的傾向を乱す よ うな分布が生ず るのは, Coruonctkry C A-A′,B-B'は erosionallevelを示 し,実線は 前者 の,点線 は後者 の放射能分布 を示す・送入体中 の黒点 の密度 は放射能 元素の密度 を模式的 に示す・ (1) 遺人体の形が 不 規 則 で 且 つ erOSional levelが高い場合 (第1図b) (2)被送入岩 体が放射能的に一様でな く,檀 端 な場合には異った岩石が隣接す るよ うな状 慧 では,原岩の成分の影響が残 ってい る事が ある. (第1図C) (3) 送入体 を貫いた岩脈やペグマ タイ トが存 在す る場合. (4) Oreを伴 う場合;滋賀県御池鉱 山 に 於 ける例では鉱床 に隣接 し て い る と こ ろ の Hornfelsの値 は500m離れ た場所の値 よ り凡 そ3倍高 く,鉱床のそれは隣接 してい る 岩石 の値 よ り更 に急激 に減少す る傾向 を 示す. (5) 断層破砕帯や優勢 な節理,亀裂等の ある場合. (3),(4),(5)の場合 は比較的部分的である が,他 は可 な り大 きな規模 に於 ける議論 である. これ らの実例 を2,3挙 げて簡単 に説明を加 える. a.滋賀 県 比 良 山 の 花 尚 岩 は stock typeで これに貫 入 した石英 斑 岩,花 尚 斑岩 によって放射能強度分布が乱 され, これ等貫入体附近で値が高 くなってい る 増 力 分化作 用 で深 部 ほ ど塩 基性 にな ってい る こと もこの一理 由で あ る・10 初 田 甚 一 郎
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第 2 図 滋賀県比良 山の放射能強度の分布 (単位:Uの平衡量に換算 したppm .の値) ところ もあるがや は り全体の傾向 として は周辺の接触部近 くが高い値 を示 してい る (第2
図).b.
滋賀県石 山駅南方約6
キ ロ立 木 観音 を中心 とす る花 尚岩体はr
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を伴 ない送入体の項部に近い と考 え ら れ,従 って放射能強度が一般 に大である と同時に変化 も大 きい. C.京都府亀 岡の黒雲母花 樹岩 は前 述の 比良,立木観音の 花 尚 岩 と比 較 し て SiO2,A1203の量 は大差がない が アル カ リは一般 に少ない と報告 されてい る. 放射能強度 も後者のそれよ り低 く凡そ5 分の 1程度で,後述の大 呂,河辺のペグ 第 3 図 滋賀県立木観音附近 の放射能強度分布 (単位:Uの平衡量 に換算 したppmの値)第 4 図 京都府亀岡の黒雲母祐尚岩に於 ける等放射能強度曲線 (単位:Uの 平衡量 に換算 したppmの値) マ タイ ト附近 の花 尚岩 の値 とはゞ等 しく,分 d 京都府笠 置の横川附近の黒雲母花 尚 岩 と 布 も不規則 であ る. (第4図) 和束川附近の角閃黒雲母花 尚岩 とは放射能強 第 5 図 笠 置0)硫JEt附近 (右) と和束川附近 (左) の放射能強度の分布 (単位:U の平衡量 に換算 したppmの値)
12 初 田 甚 一 郎 ・声 度が可 な り異 なってい る. よ り低 い値 を 示す前者 は岩石学的に も混成作用 をよ り 強 く受 けてい ると言 われて居
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,放射誰 強度 との間に も関連のあ ることは明 らか であ る.(第5図) 以上 は大局的に見 た花 尚岩 体中の放射 能強度 の分布に就て述べたのであるが, さらにペグマ タイ ト及 びその附近の放射 能分布 を調べて見 る と,鹿 跳,
水 晶 谷 (田ノ上), 河 辺 , 大 呂 等 (第6
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図) のペグマ タイ トは何れ もその貫入 してい る花 尚岩の放射能 よ り寧 ろ低い値 を示 し てい る. 第 6 図O
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滋賀県鹿跳 のペグマ タイ トとの放射能 強 度分布 第 7 図 Counts /mュn-F・ quArtJL ]:. HJリJlバ一 1︰ ∵ 、 F●1
d4plLZL 」..._lL..」 0 2nl 滋賀県田 ノ上水晶谷 のペグマ タイ ト内におけ る石英 , 長石 に富 む部分の放射能強度分布第 8 図
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京 都府 河辺 のペ グマ タイ トとその附近 の花 岡岩 との放射能強度 分布 第 9 図0
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」__] 0 2′巧 京 都府大 呂の ペグ マ タイ トとその附近 の花 尚岩 との放 射 熊 強 度分布 苗木の駒場附近のペグマタイ トは上の例 と 異 な りペグマ タイ トに近接す る部分の花 尚岩 は放射能が強 く,遠 ざか るにつれ次第に減少 してい る. この異 なる2っの例に就 ては今後 の問題 としたい. o o o o 0 0 0 8 7 tEI LO _ rq CLZ 次に接触部近 くに於 ける放射能分布 を見 る と,場所によってそ れ ぞ れ 持 有 の Radi o-activeprofileを示 してい る.即 ち同 じ条件 の場合には相似 た形 を示す ことが判 る. これ らは幾つかの型に大別で きる (第11図).14 第 10 図 初 田 甚 一 郎 ・声 苗 木 の駒場 附近 の ペ グ マ タイ トと花 尚 岩 の放 射能 強 度 の分布 (単位 :×10ー12grRa/gr) 1の typeは田ノ上 山,比 良 (北比良越及 宝来寺岳)等で見 られ る型で,全体 として放 射能が大でcontactの境界線か ら相 当距 離 が大になって も大 きな値 を保 ってい る.そ し て境界の両側 で図の様 な波状の変化が見 られ る. 2の typeは遣入岩中での波状変化が 見 ら れない列は1に似てい る.滋賀県御在所山及 京都市北 白川花擬岩体中の五別所 で 見 ら れ る. 3の typeは 一 見1と よ く似 て い る が contactか ら離れ ると放射能の減 衰 が 著 し いのが特徴である. 4のtypeは笠置の和束川及以西のcontaCt で見 られ る分布で相当混成作用が行われた ゝ め放射能分布 も漸移的 な傾向をた どる事 は当 然 と考 え られ,その極端な場合は
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の型でこ れは笠置の下有市一重仙房道の谷間で見 られ るcontactの場合で花 梅岩 も片状 になって いる.原岩 自身が弱放射能であった ゝめ, こ れを同化 した花 尚岩梁 自身が弱放射能 とな り flatな分布を示す もの と思われ る.1,2,の typeは stocktypeの道人体の場合 に 見 ら れ,原岩衆の分化によって相当酸性になった ものが送入 して来て生 じたcontactと考 え 図 1 1 質 0 接 触 部近 くに於 け る放 射能 強 度 の分 布られ,従 って比較的強放射能 を示 し,又急冷 層 も明瞭である. これに対 して3の caseは 御池鉱 山杉峠で見 られ るtypeで, こゝでは 送入体 その ものの中で分化が行 われ周辺 に近 いほ ど酸性になってい るもの と想像 され る. 実際 contactか ら数米 はなれて石英 斑 岩 か ら花園斑岩への漸移が認 め られ る. 以上の結論 として今回報告 した所 は岩体中 に於 ける放射能分布研究の序の口であって, 接触変成部の問題に して も放射能分布の上に 何等かの規則性が見出せ るるか否かを確かめ る事 を第一段階の 目的 として研究を進 めて来 たので,辛に今述べた様 に規則性がある事が わか った以上,次の問題 はこの放射能分布の 型が何を意味す るかであ るが, さきに述べ た 所 は多少推論に走 り過 ぎた嫌があるので, こ れが確実 な根拠 をつかむために更に岩石学的 な立場 その他か らの研究 を進 める 予 定 で あ る.本報告 に は (故)亀井清,永井弐郡,西 村進等の研究成果 も一部含 まれてい る. 参 考 文 献
1)Asayama,T. (1954):Theradium contentand the chemical composition of graniticrocks in Japan,especially in the Tanakami-Mikumo and the Hiei reglOnS,SigaandKyotoprefectures.Men.Coll.S°i.,KyotoTech.Univ.,B,
vol.3,pp.52-54.
2)Ingham,W .H.良 Keevil,H.B・ (1951):Geol. Soc.Am. Bull.,γol. 62,
No.2,pp.13ト148. 3)Gross,W .H.(1947):Econ.Geol.,γol.XLII,pp.722-742. 質 疑 応 答 片 山 (東大)測定 の方 法 は ど うしたか . 戸 口- 1)ッツェン験電宕削こよ りtotalactivityをはか った. 初 田 α線 を主 にはか った もの として よい. 桃井 (九大)接触部分 の曲線 に凹みの あるな しは ど う考 え るか . 西村 (京大)roofpendantは1の型erosionがすす む と2の型 とな る. 早淑 (京大)minimunが出 るのは花 尚岩 D微粒鉱物 と熱水 の影 響 .特 にleachingの影響 と考 え られ る.