青果物の流通をめぐる状況
1 国産野菜の流通の現状
○ 我が国の野菜生産は、 北海道、関東、九州が中心。これらの地域で全体の約6割を占める。 ○ 大消費地である首都圏への野菜出荷は、北海道、関東、九州が中心で全体の7割を占める。 ○ 首都圏への野菜の輸送は、その太宗がトラックによる陸送。北海道や九州(宮崎)からの輸送時間は片道 20時間弱。 ○野菜の地域別生産割合(24年度) ○ 国産野菜生産は、北海道・関東・九州が中心。 ○東京都中央卸売市場への野菜の入荷状況(24年度) 0 100 200 300 400 500 北海道 22% 東北 (万トン) 関東 24% 北陸信越 中部 近畿 中国 四国 九州 19% 沖縄 資料:農林水産省「生産出荷統計」(2012)の指定野菜(14品目)及び指定野菜に準ずる野菜 (26品目)の生産量を園芸作物課で集計 0% 20% 40% 60% 80% 100% 北海道 15% 関東 45% 北陸信越 中部 近畿 四国 九州 9% 沖縄 中国 東北 10% ○東京都中央卸売市場への 入荷は、北海道、東北、関 東、九州が中心 ○国産野菜の約9割は卸売市 場を経由した流通 ○各地から東京までのトラック輸送時間 資料:東京都中央卸売市場「市場統計情報」より集計。 農林水産省「卸売市場データ集(平成25年度版)」 北海道(帯広) 1,300km 青森 700km 高知 800km 宮崎 1,400km 東京都中央卸売市場 資料:園芸作物課調べ 産 地 時 間 距 離 北海道(帯広) 18時間 1,300km 青 森 10時間 700km 大 阪 6時間 500km 高 知 12時間 800km 福 岡 15時間 1,100km 宮 崎 19時間 1,400km1
1 国産野菜の流通の現状(つづき)
○ 野菜の農業経営費をみると、選別・調製、流通経費(輸送費、包装荷造費を含む)が全体の約3割。 ○ 野菜の包装・荷造に使用する野菜用段ボール等の資材費は、近年、上昇傾向で推移。 ○ 北海道・九州からの輸送費は、近郊産地より3倍程度高く、遠距離輸送産地にとって大きな負担。 ○ 産地の集出荷施設は、産地ブランド育成のため昭和50年代、60年代に整備されたが、小規模な集出荷施 設が点在しているおり、物流上は非効率(近年はその集約化が進展)。 ○ 農業経営費の内訳(キャベツ) ○ 地域別輸送費の状況 ○ 野菜用段ボール価格の推移 100 100 290 280 0 100 200 300 千葉県 北海道 千葉県 大分県 トマト にんじん (指数) 注:指数は千葉県を100とした場合の、各地域の輸送費。 資料:(社)日本施設園芸協会(青果物流通追跡調査事業報告書) 約3倍 約3倍 (指数 H17=100) 資料:農林水産省「品目別経営統計」 ○ 青果物の集出荷体制(熊本県の事例) 【植木・鹿本】 スイカ・ メロン選果場 4カ所 【益城】 スイカ選果場 2カ所 【上益城】 トマト選果場 2カ所 【八代・宇城】 トマト選果場 7カ所 92 96 100 104 108 112 116 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 100.6 101.7 106.4 108.9 108.9 108.8 110.8 109.5 99.5 111.4 (H26年9月現在) 平成17年から10%程度上昇 【県北】 ナス・キュウリ選果場 2カ所 小規模な集出荷 施設の集約・再編 を実施 資料:熊本県資料より 園芸作物課作成 熊本県 雇用労働 種苗 苗木 肥料 農業薬剤 農用自動車等 光熱 動力 その他 5万7千円/10a (27%) 21万円/10a 宮崎県 福岡県 選別・調製・流通経費が約3割 資料:農林水産省「農業物価統計」2
133 99 156 120 157 80 100 120 140 160 180 H元 H6 H11 H16 H21 H26 円/L
2 国産野菜のトラック輸送をめぐる状況
○ 野菜の輸送費は全国的に上昇。特に遠隔産地である北海道、九州においては2~3割増加。 ○ 輸送費の上昇要因は、①燃油価格の高騰、②トラックドライバー不足による賃金上昇が考えられる。また、 将来的にもドライバー不足が解消できる見込みがない状況。 ○トラック運送業界の人手不足感(H25.10.12) 21 15 12 38 38 34 37 45 50 4 2 4 0% 20% 40% 60% 80% 100% 見通 今回 前回 大幅に人手不足 やや人手不足 横ばい やや人手過剰 (H25.7.9) (H25.10.12) 資料:国土交通省総合政策局物流政策課資料 (平成26年3月3日 労働力不足問題について)より抜粋 ○ガソリン価格の推移(東京都区部小売価格) 資料:総務省統計局「小売物価統計調査」 ○野菜の輸送費の状況 ○トラックドライバーの需給の将来予測 2010年度 2020年度 2030年度 需要量 993,765人 1,030,413人 958,443人 供給量 964,647人 924,202人 872,497人 ▲29,118人 ▲106,211人 ▲85,946人 (全体の約3%) (全体の約10%) (全体の約9%) 過不足 資料:公益社団法人 鉄道貨物協会「平成25年度本部委員会報告書」より ○野菜の輸送費は北海道や九 州において、2~3割増加。 ○全国25の道府県から、青果 物流通の窮状について情報。 資料:園芸作物課調べ 輸送費上昇に懸念を抱いている道府県 輸送費 2~3割増 輸送費 2割増 輸送費 1割増3
2 国産野菜のトラック輸送をめぐる状況(つづき)
○ 関越道高速ツアーバス事故を受け、平成25年秋より、運送事業者に対する監査方針・行政処分等の基準 が厳格化。 資料:国土交通省総合政策局物流政策課資料(平成26年3月3日。労働力不足問題について)より抜粋 悪質な事業者に対する集中的な監査実施(監査主体は運輸局・運輸支局) ・ 重大かつ悪質な法令違反の疑いのある事業者に対して優先的に監査を実施 ・ 各種通報、法令違反歴等を基に優先的に監査を実施する事業者及び継続的に監視していく事業者のリストを整備 自動車運送事業の監査方針の改正(抜粋) 平成25年10月1日施行 悪質・重大な法令違反の処分を厳格化等 行政処分等の基準改正(抜粋) 平成25年11月1日施行 事 項 改 正 前 (平成26年1月1日以降) 改正後 運行管理者の未選任 40日車事業停止
30日間
整備管理者の未選任 40日車 全運転者に対して点呼未実施 点呼未実施率50%以上、40日車 監査拒否、虚偽の陳述 60日車 名義貸し、事業の貸渡し 60日車×違反車両数 乗務時間の基準に著しく違反 120日車 全ての車両の定期点検整備が未実施 20日車×違反車両数 事業停止後も引き続き法令違反の改善なし 許可取消4
3 モーダルシフトによる効率的な輸送体制
○ 国産野菜の輸送は太宗がトラックによる陸送であるが、一部の遠隔産地(北海道、九州)では、鉄道や船 舶による輸送(モーダルシフト)が行われているところ。 ○ モーダルシフトにより、遠隔産地からの輸送コストの大幅な削減が可能。 ○ 加えて、段ボール等の出荷資材をモーダルシフトに合わせて、鉄コンテナなどに切り替えた場合、より一層 の流通経費の削減を実現。 ○モーダルシフトによる輸送コスト削減事例 ○ モーダルシフトの事例 鉄道によるタマネギの輸送 (北海道オホーツク地域) フェリーによる野菜の輸送 (宮崎県) ○鉄道輸送における流通経費の削減事例(キャベツ) ・JAきたみらい、JAところなどオホーツク 管内で生産されるタマネギを鉄道で輸 送。 ・年間82,500トン(道内産タマネギの 約1割)のタマネギを東京や関西の消 費地へ供給。 ・JA宮崎経済連は、宮崎県産のピーマ ン及びきゅうりをフェリーで輸送。 ・年間6,000トンのピーマンやきゅうり を東京や関西の消費地へ供給。 鉄道 トラック 輸送手段 JRコンテナ 大型トラック 数量 鉄コンテナ12基 (4トン) 鉄コンテナ32基 (10.6トン) 経費 97千円 352千円 10kg当たり運賃 242円 333円 資料:「ニュービジネス育成・強化支援事業(H23年実績)」 注:品目「キャベツ」、輸送経路:北海道(鹿追町)→埼玉県(春日部市) 3割削減 出荷資材 数量 (積載正味量) 出荷資材経費 10kgあたり 資材費 内訳 鉄コンテナ 12基 (4,164kg) 【鉄コンテナ】 30,555円 レンタル料:16,800円 納品費 : 9,875円 回収費 : 3,875円 73円 段ボール 380ケース (3,800kg) 【段ボール】 41,800円 110円 3割削減 資料:園芸作物課調べ5
3 モーダルシフトによる効率的な輸送体制(つづき)
○ 鉄道貨物(コンテナ)の積載率は、平日は約8割、休日が約5割。 ○ 内航海運(コンテナ船、フェリー等)の積載率(H24)は約3割。フェリー等の輸送能力は向上。 ○ 物流全体としては、首都圏から北海道、九州の遠隔地への輸送量が多く(全体の7割程度)、物流の効率 化には、こうした地域から首都圏への貨物の確保が課題。 資料:JR貨物作成資料より 0% 20% 40% 60% 80% 100% 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 純平日(火~金) 土曜日 休日 28% 30% 32% 34% 36% H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 ○曜日別、幹線列車積載率(H25.4~H26.1) ○内航海運(コンテナ船、フェリー等)の積載率 資料:内航船舶輸送統計調査より作成 (年度) 資料:園芸作物課調べ ○物流全体の輸送量 首都圏 遠隔地 ◆ 阪九フェリー、名門大洋フェリー、オーシャントランス各 社は、九州港と神戸、大阪、徳島・東京を結ぶフェリー12 隻のうち8隻を2015年から2016年にかけて大型化し、リ プレース(日本海事新聞 平成25年10月17日) ◆ フェリーの新造船建設ラッシュが続いており、近海郵船 は、敦賀/苫小牧就航船3隻を大型化し代替建造 (日刊海事通信 平成25年11月6日) ○フェリー等の建造状況 食品、農作物など 自動車部品、宅配便など 首都圏から遠隔地への輸送量は全体の7割を占める6
3 モーダルシフトによる効率的な輸送体制(つづき)
○ 野菜の輸送を鉄道等に切り替える場合でも、鮮度保持のため切れ目の無いコールドチェーンの構築が不 可欠。 ○ 近年、青果物等の鉄道輸送用にきめ細やかな温度管理が可能なコンテナが開発。鉄道輸送であっても、 青果物の流通業者の要求に応え得るコールドチェーンの構築が可能となったところ。○ コールドチェーンの取り組み事例
電源コンテナ(発電機等)で発電した電力に より温度管理コンテナを冷却。電源設備を 独立させることにより、大型トラックと同等の コンテナ容積を確保。 鉄道用温度管理コンテナ 生産地 低温 プロセスセンター 生産工場 店 舗 収穫後、低温で保管 産 地 工場ごとに仕分け サラダなどに加工 チルド車・保冷車 チルド車 チルド車 30℃ 適 温 一般的な輸送方法 コンビニA社のコールドチェーン 0℃ ※加工物流ポイントで品温を確認 資料:農畜産業振興機構資料を参考に、園芸作物課で作成○ コールドチェーン対応型コンテナ
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(参考) 農畜産物の流通に関連する新聞記事
日本農業新聞 平成26年7月15日(火) 日本農業新聞