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158 消化器 タにて呼吸性移動を確認することが望ましい PETCTもGTV 決定に有用であり, 可能であれば併用する GTV 原発巣 : 食道バリウム造影,CT, 食道表在癌の場合には色素内視鏡によりGTVを決定する 多発病変あるいはスキップ病変のある場合はこれもGTVに含める 画像的に病変を描出

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Academic year: 2021

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 Ⅰ.食道癌

1.放射線療法の目的・意義

 従来は手術や内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応外の症例を主体に治療が行われて きたが,近年では表在癌,局所進行癌両者で放射線治療(特に化学放射線療法)が標準 治療の一つとなりつつある。補助療法としての放射線治療は,メタアナリシスにて術 前化学放射線療法が 3 年生存率を改善する可能性は示唆されてはいるが1),術後照射 と併せてその有効性は確立されておらず,術後明らかに残存がある場合に用いられる ことが多い。

2.病期分類による放射線療法の適応

 食道癌に対しては種々の治療が用い られるが,最適な治療は癌の進行度, 全身状態,合併症,年齢などにより大 きく異なっており,症例毎に適切な治 療法を選択することが大切である。現 時点で病期毎に選択されるべき治療法 を表1に示す。◎は第一選択として広 く受け入れられている治療法,○は代 替治療として考慮されてもよい治療, △は他の治療が困難な場合に選択され る治療,または一般的ではないが選択 の余地がある治療である。近年,化学 放射線療法は救済手術を前提としてⅠ 〜Ⅲ期食道癌で標準治療の一つとして認識されつつある。

3.放射線治療

1)標的体積  CTを用いた治療計画が普及してきているが,X線シミュレータを用いる場合もあ る。下部食道の病変では呼吸性移動を加味した治療計画が必要であるが,CTを用い た治療計画では呼吸のどの位相で撮像されたものか分からない場合が多く,必要以上 に照射野の上下マージンを大きく設定することが多い。可能であればX線シミュレー

消 化 器

Stage EMR sm m non T4 Ⅳ A 表 1.病期別食道癌の治療選択 T4 Surgery RT CRT EMR:endoscopic mucosal resection RT:radiation therapy CRT:chemoradiation therapy

(2)

タにて呼吸性移動を確認することが望ましい。PET−CTもGTV決定に有用であり, 可能であれば併用する。 GTV 原発巣:食道バリウム造影,CT,食道表在癌の場合には色素内視鏡によりGTVを 決定する。多発病変あるいはスキップ病変のある場合はこれもGTVに含め る。画像的に病変を描出できない場合には内視鏡的に病変の近位,遠位端に 金属クリッピングを行う。その際には色素散布は必須である。クリップはし ばらくすると脱落することも多く,照射野変更に備えて X 線写真はクリップ 装着後すぐに撮影する。 リンパ節:触診,CT,MRIの結果から総合的に見て転移があると判定されたリン パ節。転移を画像のみで正確に評価するのは困難であるが,短径 5 ㎜以上の リンパ節はGTVは転移巣とみなし治療すべきとの報告もある2)。これ以下の サイズであっても総合的にみて転移が疑われる場合にはGTVと見なす場合 もある(特に#106)。  CTV CTV1 ① 予防域がない場合  原発巣については原発巣GTVに頭尾側方向に 2 〜 4 ㎝を加えたものとする。転 移リンパ節についてはリンパ節のGTVと同一とする。 表2.CTV1に含まれるリンパ節領域の例 食道癌取り扱い規約 第 10 版 N1 食道癌取り扱い規約 第 10 版 N2 CTV1 に含める リンパ節(例) Ce-Ut 105(胸部上部食道傍), 101(頸部食道傍),  106 rec(反回神経周囲) 104(鎖骨上), 106-tbL(気管気管支 左), 107(気管分岐部), 108(胸部中 部食道傍), 109(主気管支下) 101,104,105,106,  107,108 Mt 108(胸部中部食道傍),  106rec(反回神経周囲) 101(頸部食道傍),  105(胸部上部食 道傍), 106tbL(気管気管支左), 107 (気管分岐部),  109 (主気管支下),  110 (胸部下部食道傍), 1(右噴門), 2 (左噴門), 3(小弯),(左胃動脈幹) 101,104,105,106,  107,108,110,1,2 Lt-Ae 110(胸部下部食道傍),  1(右噴門), 2(左噴門) 106rec(反回神経周囲),  107(気管 分岐部), 108(胸部中部食道傍), 109  (主気管支下),  111(横隔上),  112 (後縦隔),  3(小弯),  7(左胃動脈 幹), 20(食道裂孔部) 105,106,107, 108, 110,1,2,3,7,9(腹 腔動脈周囲)

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② 予防域がある場合  所属リンパ節に対する予防照射領域を設定する場合の局在別のCTVに含まれる リンパ節領域の例を表2に示すが,特に胸部中部食道原発(Mt)の予防域に関して は,一定のコンセンサスはない。 CTV2:原発巣については食道全周に頭尾側方向に 2 ㎝を加えたものとする。転移 リンパ節についてはリンパ節のGTVと同一とする。 PTV PTV1  CTV1にそれぞれ呼吸性移動,患者固定再現性の誤差などを見込んで適切なマー ジン(左右背腹方向 0.5〜 1 ㎝程度,頭尾側方向 1 〜 2 ㎝程度)を加えたものを PTVとする。胸部下部,腹部食道などは呼吸性移動が大きいため,治療計画後にX 線シミュレータで確実にPTVの範囲に含まれていることを確認することが望まし い。 PTV 2  CTV2にそれぞれ呼吸性移動,患者固定再現性の誤差などを見込んで適切なマー ジン(左右背腹方向 0.5〜 1 ㎝程度,頭尾側方向 1 〜 2 ㎝程度)を加えたものを PTVとする。 2)放射線治療計画  照射野の設定は,X 線シミュレータあるいは三次元治療計画装置を用いる。X 線シ ミュレータを用いて位置決めを行う場合には,CT所見を参考に X 線透視上で標的体 積を決定する。食道表在癌,多発病変あるいはスキップ病変がバリウム造影にてわか りにくい場合は,色素散布の後,病変の近位,遠位端に内視鏡的にクリッピングを行 いCT,X 線透視にて病変の範囲を同定可能とする。表在癌の場合,前後対向二門照 射が終了する頃には腫瘍の局在が不明確になる場合があるので,追加照射の照射野は 腫瘍の局在が明確な内に治療計画を行っておいた方が良いこともある。 3)照射法  食道癌では部位,進行度,全身状態により種々の照射野が用いられている。PTV1 に対する照射法の代表的な例を図1に示す。すべて対向二門照射である。あくまで参 考例であり,リンパ節転移がある場合には適宜その領域全体を含めるように照射野が 拡大される。リンパ節領域の予防照射の意義は明らかにされていない。また,標準的 標的体積に関するコンセンサスは得られていない。近年,心臓などのリスク臓器への 線量を低減させるために多門照射の試みも報告されている (図2)。  40Gy〜46Gy以降ではPTV2に対し,脊髄をさける照射法に変更する。斜め対向二 門照射が一般的であるが(ガントリーは30〜45度振る必要がある),リンパ節転移が 広範囲な場合など定型的な治療ができない場合も多い。Ceでは前方二門照射が用い られる場合がある。線源は 6 〜10MVのX線を推奨する。

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4)線量・分割  分割法は通常分割照射または加速過 分 割 照 射 が 用 い ら れ る。 海 外 で は 50Gy/25〜28回/ 5 〜 6 週程度を化学 放射線療法における標準的放射線量と する考えもあるが3),わが国では化学放 射線療法の場合60Gy/30回/ 6 〜 8 週 程度,放射線単独療法では60〜70Gy/ 30〜35回/ 6 〜 7 週が標準的である。 加速過分割照射は食道癌に対する放射 線単独治療の際に,その有効性に関す る報告がある4)。食道表在癌に関してはJASTRO研究グループが放射線単独治療の際 のガイドラインを作成しており5),これに準ずることが推奨される(表3)。特に放射 線治療単独の場合,治療期間の延長により治療成績の低下をきたす可能性があり,過 度の治療期間の延長は避ける。腔内照射の至適線量については外照射線量とも関連す るため明確なコンセンサスはないが,合併症に関しては 1 回線量が大きいと食道潰瘍 の危険が高くなるため,高線量率で 1 回 4 Gy,低線量率で 1 回 6 Gyを超えないこと が推奨されている5) 5)併用療法 化学療法  最近のいくつかのランダム化試験により,局所進行食道癌に対する根治的放射線 治療では,放射線単独治療よりもシスプラチン,5−FU同時併用化学放射線療法がよ 図1.腫瘍部位別照射野の例 図2.4門照射の線量分布図。心臓の照射体積 低減のため用いられる場合がある。

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り有効であることが確認されており,メタアナリシスでも化学放射線療法が放射線 治療単独に比べて優れているとされている6)。薬剤はシスプラチン+5−FUが標準 であるが,実際の治療内容は施設毎に微妙に異なっており,統一されたものはない。 一方で高齢や合併症のため高リスクな症例に対しては,放射線単独治療を用いる場 合が多い。 腔内照射  外照射のブースト照射として,または粘膜癌に対して腔内照射単独で治療を行う 場合もある。その際にはアプリケータの径が小さいと線源から外側に向かっての線 量勾配が急になるため,使いやすさも考慮しつつ15〜20 ㎜の径のものを用いる7) 線量評価点は照射範囲の粘膜下 5 ㎜とするのが一般的である。

4.標準的な治療成績

 食道表在癌ではJASTRO研究グループの多施設集計データでは,粘膜癌の 5 年生存

EXRT ICRT Total dose

m1〜m2 (mucosal 

cancer)

EXRT alone 60〜66Gy/30〜33fx/6 〜6.6w 66Gy60〜 High−dose−

rate ICRT  alone

28〜32Gy/7〜8fx/2 times a week 32Gy28〜 14fx/4 times a week 35Gy32.5〜35Gy/13〜

m3〜sm3 EMR (residual  tumor) EMR (complete  resection)

EXRT alone 60〜70Gy/conventional fractionation or

(accelerated)

60〜 70Gy EXRT+high−

dose−rate ICRT 50〜60Gy/25〜30fx/5 〜 6 w 8〜12Gy/3〜4 fx/1〜 4times a week 72Gy58〜 EXRT+low−

dose−rate ICRT 60Gy/30fx/ 6 w 12Gy/3fx/〜 2  times a week 72Gy any of the treatment above

EXRT alone 50Gy/conventional fractionation 50Gy 表 3.食道表在癌治療のガイドライン(JASTRO 研究グループ)

EXRT:external beam radiation therapy ICRT :intra-cavitary radiation therapy   w :week

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率,5 年原病生存率はそれぞれ62%,81%,粘膜下層癌の 5 年生存率,5 年原病生存 率はそれぞれ42%,64%であり5),放射線治療単独の標準的な治療成績である。近年 の報告されている進行癌の化学放射線療法治療成績は,切除可能なⅡ〜Ⅲ期(T4除 く)では 3 年生存率40〜50%前後,T4/M1/LYMでは 3 年生存率 20%程度である。

5.合併症

1)早期有害事象  放射性皮膚炎,放射性食道炎,放射性肺臓炎が代表的である。食道炎はほぼ必発で あるが,食道真菌症や逆流性食道炎の可能性も常に考慮しておく。放射性肺炎も時に 重篤になるが,感染症や癌性リンパ管炎との鑑別が必要である。 2)晩期有害事象  食道穿孔,出血は放射線治療症例の数パーセントに発生する。T4症例ではさらに 頻度が高くなる。高線量率腔内照射を併用した際には食道潰瘍の発生には特に留意す る必要がある7)。近年治療成績が改善するに伴い,広い照射野を用いた場合には,高 率に心,肺の重篤な晩期合併症(心嚢液・胸水貯留など)が発生することがわかって きている8)。心筋へのFDGアップテイクを示す症例の報告がなされており9),心筋障 害の可能性があるが,その長期予後は不明である。照射前にステントを併用すると高 率に重篤な合併症が発生するとする報告があり,根治照射前のステント挿入は避ける べきである10) *付記  食道癌の放射線治療計画に際しては,すでに日本食道学会編の食道癌診断・治療ガ イドラインが発刊されており10),本ガイドラインでも食道癌診断・治療ガイドライン との整合性を考慮した記載を行っているが,併せて参照されることを推奨する。

6.参考文献

1)Fiorica  F,  Di  Bona  D,  Schepis  F,  et  al.  Preoperative  chemoradiotherapy  for  oesophageal cancer : a systematic review and meta-analysis. Gut 53 : 925-930, 2004. 2)Mizowaki  T,  Nishimura  Y,  Shimada  Y,  et  al.  Optimal  size  criteria  of  malignant 

lymph  nodes  in  the  treatment  planning  of  radiotherapy  for  esophageal  cancer :   evaluation  by  computed  tomography  and  magnetic  resonance  imaging.  Int  J  Radiat  Oncol Biol Phys 36 : 1091-1098, 1996.

3)Minsky  BD,  Pajak  TF,  Ginsberg  RJ,  et  al.  INT  0123 (Radiation  Therapy  Oncology Group 94-05) phase Ⅲ trial of combined-modality therapy for esophageal  cancer : high-dose  versus  standard-dose  radiation  therapy.  J  Clin  Oncol  20 : 1167-1174, 2002.

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4)Shi XH, Yao W, Liu T. Late course accelerated fractionation in radiotherapy of  esophageal carcinoma. Radiother Oncol 51 : 21-26, 1999.

5)山田章吾,根本建二,高井良尋,他:食道表在癌に対する標準的放射線治療法. 日 放腫会誌 12 : 169-176, 2000.

6)Wong  R,  Malthaner  R.  Combined  chemotherapy  and  radiotherapy (without  surgery) compared with radiotherapy alone in localized carcinoma of the esophagus  (Cochrane  Review).  In : The  Cochrane  Library,  4,  2001.  Oxford : Update 

Software.

7)Yorozu A, Dokiya T, Oki Y, et al. Curative radiotherapy with high-dose-rate brachy-therapy boost for localized esophageal carcinoma : dose-effect relationship of brachy-therapy  with  the  balloon  type  applicator  system.  Radiother  Oncol  51 : 133-139,  1999.

8)Ishikura  S,  Nihei  K,  Ohtsu  A,  et  al.  Long-term  toxicity  after  definitive  chemoradio therapy for squamous cell carcinoma of the thoracic esophagus. J Clin  Oncol 21 : 2697-2702, 2003.

9)Jingu  K,  Kaneta  T,  Nemoto  K,  et  al.  The  utility  of (18)F-fluorodeoxyglucose  positro nemission  tomography  for  early  diagnosis  of  radiation-induced  myocardial  damage. Int J Radiat Oncol Biol Phys 66 : 845-851, 2006.

10)Nishimura  Y,  Nagata  K,  Katano  S,  et  al.  Severe  complications  in  advanced  esophageal cancer treated with radiotherapy after intubation of esophageal stents :  a  questionnaire  survey  of  the  Japanese  Society  for  Esophageal  Diseases.  Int  J  Radiat Oncol Biol Phys 56 : 1327-1332, 2003. 11)食道癌診断・治療ガイドライン. 2007年4月版,日本食道学会編,東京,金原出版, 2007.          (山形大学医学部放射線腫瘍学分野 根本建二, 東北大学大学院放射線腫瘍学分野 山田章吾)

参照

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