- 1 - 埼玉東部消防組合消防力適正化計画 概 要 版 第1 はじめに 埼玉東部消防組合は、住民に対し、より質の高い消防行政サービスを提供することを 目指して、さまざまな災害事象に迅速的確な対応が出来る消防体制を確立することによ り、「災害に強い安全・安心なまちづくり」の実現を基本方針としている。 ○ 消防力適正化計画の構成 一方、広域化実施時に埼玉東部消防組合規約において、「広域化 6 年目以降の組合市町 の負担金を 5 年かけて消防費決算額の 5 パーセントを目標に削減を図る」とされているこ とから、この方針を踏まえ、今後 10 年間の埼玉東部消防組合の消防体制の確立に向けて の拠りどころとすることを目的に、消防力適正化計画を策定することとしたものである。 消防力適正化計画とは、住民の生命、身体及び財産を火災や事故等の災害から守るた め、消防署所や車両等の施設の適正配置、消防職員の適正配置を行い、それによって救 急業務の高度化や予防業務の充実など消防力をさらに強化しようとする計画であり、こ の計画の実施期間は平成 28 年度から 37 年度までの 10 年間を基本としている。 計画の策定に当たり、次に掲げる事項を基本方針とした。 【主な事業】 ○組合財政運営計画の策定 ○高度救助隊の設置及び効果的運用 ○公会計導入による資産管理 ○救急体制の高度化 ○消防署所の整備と配置 ○火災予防体制の充実 ○緊急消防援助隊としての役割 災害に強い安全・安心なまちづくり ① 適正な財政運営の推進 ② 消防力の充実 ③ 救急救助体制の強化 ④ 火災予防対策の推進 ⑤ 大規模災害対応力の強化 基本方針を達成するための5つの施策 5つの施策を推進するために行う事業 消防組合が目指す基本方針
- 2 - 第 2 消防を取り巻く環境~全国的な消防行政の環境変化 【緊急消防援助隊の充実強化】 わが国ではさまざまな災害の発生により多くの生命財産が失われ、加えて東南海地震 や首都直下地震の発生なども懸念されている。そのため、震災等大規模災害対策の推進 や消防広域応援体制の充実強化が図られつつある。 【消防力の整備指針等の改正】 消防を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえ、市町村消防の整備方針を定めた国の基 準「消防力の整備指針」及び「消防水利の基準」が改められ、より一層地域の実情に応 じて消防力の整備を進めていくべきことが明確にされた。 【災害情報通信の高度化】 災害に関するさまざまなニーズや状況、環境に合わせて的確な対応をするため、正確 な情報把握と迅速な指令伝達は必須であり、そのためにさまざまな要請や情報を迅速的 確に処理できる指令システムの導入が推進されつつある。 【医療機関との連携の推進】 消防機関と医療機関との連携により、円滑な救急搬送体制を構築する必要があること から、県や地域のメディカルコントロール協議会との連携を一層推進することが求めら れている。 【救助体制の強化】 近年の大規模地震や列車事故等の大規模災害の発生を鑑み、救助体制の強化の必要性 が高まり、救助隊の編成、装備、配置及び活動に関する基準が見直された。 1 埼玉東部消防組合の現況を緻密に把握し、課題を抽出するとともに、財政状況及 び人口等の将来推計を見極め、将来の目標及び目標達成に向けた取り組み方針を策 定する。 2 消防行政の推進に当たり、健全な財政運営の視点に立ち、消防署所や消防車両等 の消防施設の整備を図り、もって消防・救急・救助体制の強化を図る。 3 上記に併せて、予防行政の推進や大規模災害の対応能力の強化を図る。 4 組織規模の観点から、緊急消防援助隊及び埼玉県特別機動援助隊としての役割を 十分に果たすべき消防力を保持するとともに、応援・受援に必要な消防施設の拡充を 図る。
- 3 - 【住宅防火の推進】 住宅火災による死者の発生を防ぐため、住宅用防災機器の重要性を周知し、普及促進 を引き続いて努めることとされている。 【違反是正の推進】 防火・防災管理が不十分なため発生する災害の防止のため、法令違反の事業所に対する 是正措置を進めるとともに、その情報を公表する制度が実施されるようになった。 第 3 埼玉東部消防組合の現況と課題 【管内人口の推移等】 埼玉東部消防組合管内の人口は、平成 27 年には約 45 万人余であるのに対し、平成 37 年には 42 万人余、平成 52 年には 35 万人余となることが予想されている。その一方で、 65 歳以上の人口は、平成 27 年には約 12 万人余(全人口比 27%)であるのに対し、平成 37 年には約 13 万人余(同 31%)、平成 52 年には高齢者人口の変化はほとんどないもの の、割合では約 37%に達すると見られる。 【消防署所の体制等】 埼玉東部消防組合は、消防局 5 課、6 消防署 10 分署 2 出張所、消防職員数は平成 27 年 4 月 1 日現在 639 名を擁している。現在の職員の平均年齢は 40.4 歳、50 歳以上の職 員の割合は 3 割強であり、大量退職、大量採用時期を迎えている。そのため、消防行政 サービスの低下を避けるべく、知識や技能の継承、組織人事制度の見直し、ニーズに応 じた人員配置などが課題となっている。また、女性職員の雇用や定年退職後の再雇用・ 再任用も当面の検討課題である。 【庁舎の老朽化】 消防署所庁舎は、竣工後 40 年を経過した庁舎が 4 署所あり、耐震化工事未施工庁舎も 2 か所ある。消防庁舎は、大災害時の活動拠点でもあることから、大規模な改修又は改 築が必要とされ、今後、計画的な更新が必要とされている。その一方で、将来人口の減 少による歳入減が見込まれることや、組合規約に基づく負担金削減目標などもあり、現 状の消防行政サービスを維持しつつ、支出抑制を図り、かつ、限られた経営資源を最大 限有効活用し、創意工夫を凝らして課題に対応していくことが求められている。 消防署所は、設置した署所に適切な数の消防車両やそれに応じた人員が配置されて初 めてその効果を発揮する。その反面、過剰な整備は運用経費の増大や消防隊の効率的な 運用とかけ離れる結果を招きかねないことから、多面的な検証を踏まえて、埼玉東部消 防組合としての適正な配置を検討していく必要がある。平成 26 年度(一財)消防科学総 合センターに委託して行った消防力適正配置検討の結果では、国が定める消防力の整備 指針に準拠した署所数とした場合でも消防サービスの低下は少ないとの結果も得ている。
- 4 - 【消防車両等】 現在、いずれの署所にも高機能を有した消防車両が配置されているが、火災件数は減 少しつつあるものの、それぞれの運用実態を見ると必ずしもすべてが有効活用されてい るとは言い難い。 その理由として、乗車人員の不足、広域化当時のままの署所配置による消防力の格差 などが挙げられる。現在は各署所とも配置されている車両を災害に応じて隊員が乗り換 えて運用する体制がとられており、広域化により全署所から横断的な消防部隊の運用が 可能になったものの、消防力の効率的運用、消防活動上の安全管理等の面から、適正な 消防力のあり方について引き続き検討していくことが求められている。 【救急業務等】 救急業務に着目すると、埼玉東部消防組合管内の救急需要は一貫して増加傾向を続け ており、平成 26 年には 19,540 件と前年比で 4.3%増加している。その一方で、転院搬 送を除く重症以上の傷病者搬送件数を見ると、現場滞在時間が 30 分を越えるような活動 は、平成 26 年に減少に転じた。これは、救急医療情報システムの導入が効果を挙げたも のと考えられる。 また、高機能消防指令センターが整備されたことに伴い、的確な情報収集、効率的な 災害対応等さまざまな効果が見られた反面、災害地直近の車両を出動させる体制に変更 したことにより、各署所の出動範囲や出動件数が従前と比較して大きく変化した。この ことからも、将来署所配置の整理統合を検討する場合には考慮する必要がある。 第 4 埼玉東部消防組合の施策と展開 施策 1 適正な財政運営の推進 【1-1 財政運営計画の策定】 ○現状と課題 ・組合市町負担金のうち共通経費分については、平成 30 年度から 5 年をかけて消防費決 算額の 5%を目標に削減を図らなければならない。 ・共通経費算定時に含まれていない費用や施設老朽化等に伴う維持補修費等の増加によ り、庁舎改修や車両更新等の計画的執行がままならない状況となっている。 ○10 年後の目標 ・組合市町の財政状況等を踏まえた財政運営計画の策定を図る。 ・財政運営計画に基づく計画的な事業執行を行う。 ○目標に向けて取り組む施策 ・平成 35 年度以降の組合市町負担金算出方法の調整を実施する。 ・今後の消防需要を踏まえた中・長期的な財政負担の算定を図る。
- 5 - 【1-2 公会計導入による資産管理】 ○現状と課題 ・広域化に伴い組合市町から無償譲渡を受けた財産や、広域化後に組合が取得した財産 等の管理体制が不十分である。 ・複式簿記の考え方を導入した新たな地方公会計制度への対応を図る。 ○10 年後の目標 ・固定資産台帳に基づく適切な財産管理を実施する。 ・財務書類を活用した施設別行政コスト等の分析・活用による庁舎維持管理費用の削減 を図る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・消防組合が所管する財産の把握と固定資産台帳を整備する。 ・新たな地方公会計制度に対応したシステムの導入と財務書類の作成・公表を実施する。 施策 2 消防力の強化 【2-1 消防署所の適正配置】 ○現状と課題 ・消防広域化により距離が接近している署所が存在する。 ・出動方式が変わったことにより、出動件数に署所間の偏りが見られる。 ・同規模の他消防本部と比較した場合、職員数が多いにもかかわらず署所数や消防車両 数も同様に多いため、職員を分散配置せざるを得ない。その結果、初動時の災害対応体 制が必ずしも万全な状態であるとはいえない。 ・老朽化した消防庁舎が多数あるため、今後、署所移転や整理統合を検討する必要があ る。 ○10 年後の目標 ・署所の整理統合や改築等を視野に入れ、将来人口推計等を考慮したうえで、署所の適 正再編に努める。 ・建設後 30 年を経過した庁舎については、大規模改修を行い、建物の延命化を図る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・消防庁舎の再配置・改修計画を策定する。 ・組合市町と再配置・改修に係る事業費を調整する。 ・公共施設等総合管理計画を策定し、大規模改修及び建替え時期の調整を図る。 【2-2 消防車両の整備】 ○現状と課題 ・複雑多様化する災害事案に対し、効果的で効率的な車両の整備・更新が必要である。 ・署所の配置人員を考慮した車両の適正配置を検討する必要がある。 ○10 年後の目標 ・署所の人員や管轄区域の地域実情等を考慮した整備・更新を行う。
- 6 - ○目標に向けて取り組む施策 ・車両の更新については、経過年数及び走行距離等を勘案し、整備計画を策定する。 ・機能性及び操作性を重視した艤装とし、積載資機材の統一化を図る。 【2-3 消防資機材の整備】 ○現状と課題 ・消防車両に積載する消防資機材が署所により異なる。 ・各種災害に応じた個人装備の計画的な配備が必要である。 ○10 年後の目標 ・消防資機材の適正な配備及び計画的な更新を図る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・車両の更新時や新規購入時に規格の統一を図り、更には、可能な限り消防資機材の小 型軽量化を考慮するなどして、職員に対し、災害活動時の負担軽減を図る。 【2-4 消防通信設備の整備】 ○現状と課題 ・高機能消防指令センターの機能維持のため、今後、高額な維持費を必要とする。 ・高機能消防指令センターは、消防広域化のメリットを最大限に活用し、住民の安全安 心を確保するため、効果的な運用に努めなければならない。 ・高層建物が多い地区などに多い無線不感地帯を把握する必要がある。 ○10 年後の目標 ・消防通信設備が迅速かつ適切な消防活動の展開、被害の予防・軽減など消防の目的を 達成できるよう、システムを構築する。 ○目標に向けて取り組む施策 ・高機能消防指令センターの運用経費の算出は、関係各機関と綿密な調整を行い、管内 住民の理解が得られるような維持管理、運用に努める。 ・5 年後のコンピュータ機器類の大規模改修及び 10 年後を目途とした指令台更新等の対 応のため、整備計画を策定し、計画に基づいた機器類の更新を図る。 【2-5 消防水利の整備】 ○現状と課題 ・大規模地震や建物密集地の火災に備え、耐震性防火水槽や消火栓を整備する必要があ る。 ・加須市及び久喜市に蓋の無い防火水槽があるため、安全管理や衛生面などを考慮し、 蓋をかける(有蓋化)必要がある。 ○10 年後の目標 ・蓋の無い防火水槽の有蓋化率 100%を目指す。 ・消防水利の不足地域を解消するため、適切な整備を図る。
- 7 - ○目標に向けて取り組む施策 ・水道管敷設事業と連携を図りつつ消火栓の整備を進める。 ・蓋の無い防火水槽の有蓋化を順次進める。 【2-6 人材育成】 ○現状と課題 ・職員の大量退職、大量採用の影響による消防行政サービスの低下が懸念される。 ・職員の若返りに伴い、経験及び知識を継承していく必要がある。 ・運転免許取得率低下に伴い、機関員が不足している。 ○10 年後の目標 ・新規採用職員に対して、効率的効果的な教育指導を実施し、現場活動に即応しうる知 識・技術を継承する。 ・若手職員育成のため、中堅クラスの指導者を教育育成し、チーム一丸となった部隊運 用を図る。 ・大型自動車運転免許等取得者を育成する。 ○目標に向けて取り組む施策 ・再任用職員等の多様な任用形態を取り入れながら、計画的な職員採用に努め、職員の 技能・能力開発等人材育成に取り組む。 ・指導員制度を活用し、採用後 3 年以内の職員に対して、基礎知識等を習得させるとと もに、警防活動等に対する業務遂行能力を習得させる。 ・免許資格等取得補助金交付要綱等を制定し、計画的に免許取得者の増加を図る。 【2-7 教育訓練】 ○現状と課題 ・消防需要の拡大や災害形態の多様化等に伴い、災害対応能力の向上が求められている。 ○10 年後の目標 ・研修派遣をはじめとする各種教育訓練を充実させ、災害対応能力の高い職員を育成す る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・計画的に消防学校等で教育訓練させるとともに、訓練終了後は局内でフィードバック 研修を積極的に実施する。 施策 3 救急救助体制の充実強化 【3-1 救急救命士の養成】 ○現状と課題 ・救急救命士有資格者の定年退職等に伴い救急救命士数が減少する。 ○10 年後の目標 ・救急業務の高度化に対応する救急救命士を各隊に 2 名配置する。
- 8 - ○目標達成に向けて取り組む施策 ・救急救命士を計画的に養成する。 【3-2 救急資器材の整備と充実】 ○現状と課題 ・救急資器材の統一及び訓練用資器材の更なる整備が必要である。 ○10 年後の目標 ・救急活動の高度化に対応した救急資器材を充実させ、救命処置の技術及び救命率の向 上を図る。 ○目標達成に向けて取り組む施策 ・救急資器材の更新時において規格の統一を図るとともに、計画的に訓練用資器材の整 備を進める。 【3-3 救急車の適正利用】 ○現状と課題 ・救急需要が増加している中で、救急車の適正利用について普及啓発を図る必要がある。 ○10 年後の目標 ・真に緊急性を有する傷病者からの救急要請に対し、その救急出動が支障をきたさない ように、緊急性の低い救急要請を抑制する。 ○目標に向けて取り組む施策 ・安易な救急要請を抑制するため、ホームページや広報紙さらには救命講習会や地域防 災訓練などで積極的に救急車の適正利用について普及啓発を図る。 ・頻回利用者に対して、関係機関と連携し適正利用について理解を求める。 【3-4 救助の高度化】 ○現状と課題 ・救助資機材の老朽化及び積載資機材の不統一がある。 ・高度救助隊の発隊及び救助体制の充実強化を図る必要がある。 ・NBC 災害等の特殊災害への対応力を強化する必要がある。 ・津波・大規模風水害対策車の配備に伴い、水難救助隊員の育成を図る必要がある。 ○10 年後の目標 ・救助工作車更新に伴い積載資機材を統一化する。 ・高度救助隊の隊員として高度救助隊員教育訓練を終了した救急救命士を配置する。 ・特殊災害に対応する専門部隊を整備する。 ○目標に向けて取り組む施策 ・計画的な車両及び救助資機材の更新を図る。 ・消防大学校、消防学校の専門課程に職員を派遣し、専門知識と技術を有する高度救助 隊員の育成を図る。 ・水難事故に対応するため潜水士の養成、潜水資機材の整備及び更新を図る。
- 9 - ・NBC 災害等の特殊災害に対応するための資機材を整備する。 施策 4 火災予防体制の推進 【4-1 火災予防の啓発】 ○現状と課題 ・組合市町の防火団体等に協力をいただいているところではあるが、地域ぐるみによる 更にきめ細かな防火に対する普及啓発活動の推進をする必要がある。 ○10 年後の目標 ・住民との対話が行え、また、地域住民を交えた火災予防 PR やマスコミ等を活用した火 災予防啓発広報の充実強化を図る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・組合市町の防火協会等の協力を得て、防火講演会の開催や各自治会等を対象とした防 火講話などを企画する。 ・地域において発行されているタウン情報誌等へ火災予防 PR 活動の掲載を依頼するなど、 地域に密着した火災予防啓発活動を推進する。 【4-2 住宅防火対策の推進】 ○現状と課題 ・催事等や火災予防運動期間などの機会を捉え、全住宅向けに防火対策の PR を行ってい るが、全国的に高齢者等における住宅火災の死者が増加傾向にあり、死者数を減少させ る必要がある。 ○10 年後の目標 ・ピンポイントで高齢者世帯等を対象とした住宅用防災機器等の設置の普及に努める。 ○目標に向けて取り組む施策 ・単身老人世帯等を対象とする官民の巡回サービスなどとタイアップし、直接、単身老 人等へ住宅用防災機器の普及促進の PR を行うとともに、機器等の維持管理等についても 周知を図る。 【4-3 防火対象物・危険物施設の安全対策】 ○現状と課題 ・防火・防災管理者及び危険物保安監督者等の未選任、消防用設備等の未設置あるいは 機能不良等で消防法令に適合せず、防火安全対策が十分でない事業所を早期に是正する 必要がある。 ○10 年後の目標 ・消防用設備等での重大違反について、公表する制度の実施を予定している。しかし、 本制度は特定防火対象物のみを予定しており、将来的には、公表対象を拡大することも 視野に入れ、一歩進んだ火災予防を推進し、違反対象物をなくす。 ・必要な予防技術資格者を育成する同時に、これに準じた職員を育成し、組織として職 務遂行能力の向上を図る。
- 10 - ○目標に向けて取り組む施策 ・人命危険の高い対象物を最優先とした査察体制の強化を図る。 ・予防技術資格者を中心とした立入検査や内部研修などを行うとともに、予防技術資格 者に準ずる資格認定制度を創設する。 【4-4 火災原因調査の充実】 ○現状と課題 ・製品火災は頻発傾向にあり、その原因究明は第三者機関に依頼し基礎資料の提供を受 けているが、分析等ができる高度で専門的な知識を有する職員を配置する必要がある。 ○10 年後の目標 ・調査員育成を、他の消防本部への委託体制から他の消防本部から受託できる体制への 移行を目指し、的確な原因判定ができる職員の育成を図る。 ○目標に向けて取り組む施策 ・火災原因調査関係の外部研修や内部研修を実施し、技能の底上げを行い、火災原因調 査専門員の指定や資格認定制度の創設など職員教育の資質向上に取り組む。 【4-5 出火原因による再発防止】 ○現状と課題 ・出火件数等をホームページ等で公表しているが、出火防止策等の PR 活動を充実させる 必要がある。 ○10 年後の目標 ・類似火災の再発を防止し、火災による死者をなくす対策を講ずる。 ○目標に向けて取り組む施策 ・避難訓練時や査察時などのあらゆる機会を捉え、出火防止策・放火防止策などを訴え、 ホームページ等を活用し、逐次、情報提供を行い、住民への周知を図る。 施策 5 大規模災害対応力の強化 【5-1 緊急消防援助隊の強化】 ○現状と課題 ・国の施策により計画的に増隊する必要がある。 ・他の消防機関と連携して応援、受援体制の大規模災害対応訓練等を実施する必要があ る。 ○10 年後の目標 ・災害の複雑化、高度化、大規模化等に対応するため、最新資機材を配備するとともに、 隊員の技術向上・高度化を図る。 ・緊急消防援助隊の登録部隊数の増加が予想されることから、後方支援体制の充実強化 に努める。
- 11 - ○目標に向けて取り組む施策 ・緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練に参加し、知識及び技術の向上に努める。 ・迅速な出動態勢確保のため、出動計画に基づき計画的に訓練を実施する。 【5-2 受援体制の万全化】 ○現状と課題 ・組合市町の地域防災計画を踏まえ、埼玉東部消防組合としての受援計画の策定及び応 援協定等が必要である。 ○10 年後の目標 ・地域防災計画と関連した受援計画の見直しを図る。 ・更なる組合市町及び消防団との連携強化を図る。 ○目標達成に向けて取り組む施策 ・地域防災計画を踏まえた防災訓練への参加と検証を行う。 ・ハザードマップを活用し、組合市町の担当部局との合同図上訓練を実施する。 ・埼玉東部消防組合受援計画の策定と、組合市町で地域防災計画見直し時における定期 的な見直しを図る。 【5-3 埼玉 DMAT との連携強化】 ○現状と課題 ・管内の埼玉 DMAT 指定登録医療機関との連携訓練が必要である。 ○10 年後の目標 ・管内の埼玉 DMAT 指定登録医療機関と連携し、管内の災害発生当初から連携出動できる 態勢を構築する。 ○目標達成に向けて取り組む施策 ・定期的に実施される埼玉 SMART 合同訓練へ積極的に参加するとともに、埼玉県特別機 動援助隊登録消防本部及び管内の埼玉 DMAT 指定登録医療機関と更なる連携強化を図る。