腐敗防止態勢の診断
(原題名:An Anti‐corruption Checkup)
海外論文“Internal Auditor” 2016年6月号より
コントロールソリューションズ株式会社 マネージャー
竹中正大
一般社団法人日本内部監査協会
2016年度第3回(東京)・第4回(大阪)IIA監査情報解説コース
2
「日々変化する環境の中で最適な意思決定を行い、持
続的な成長を実現すること」この当然のことがこれまで
以上に強く求められる時代。企業は、変化というリスク
を適切にマネジメントする必要があります。
私たちは、これまでに培ってきた知識・経験をベースに、
Innovation Providing Mode(IPM)を確立し、またクライ
アントとの密接なコミュニケーションを通じて、成長へ向
けた革新的なソリューションをオーダーメイドで提供し
ます。
「日々変化する環境の中で最適な意思決定を行い、持続的な成長を実現すること」この当然 のことがこれまで以上に強く求められる時代。企業は、変化というリスクを適切にマネジメント する必要があります私たちは、これまでに培ってきた知識・経験をベースに、Innovation Providing Mode(IPM)を確 立し、またクライアントとの密接なコミュニケーションを通じて、成長へ向けた革新的なソリュー ションをオーダーメイドで提供します コントロールソリューションズグループは世界15ヵ国以上において約18,500名のプロフェッショ ナルを抱えています。 http://www.c-solutions.jp/ 所在地:〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-8-25 日総第ビル10F
はじめに 原作者および翻訳について
原作者
: Paul J Morrison, CPA
Director, Internal audit services
at Saltchuk/Tropical Shipping in West Palm Beach, Fla.
4
1. 腐敗問題に対する取り組みの歴史的経緯
2. 腐敗認識指数 (Corruption Perception Index: CPI)
3. 外国公務員に対する贈賄
(1) 米国の海外腐敗行為防止法(FCPA)
(2) 英国贈収賄法(UKBA)
(3) 不正競争防止法
(4) 現地国における贈賄規制
(5) 日本企業の海外贈賄事件一覧
(6) その他参考になる文書
4. 腐敗防止態勢の診断
(1) 腐敗防止態勢の構成要素
(2) 腐敗防止態勢成熟度モデル(例)
(3) 腐敗防止コントロールのレーティング
(4) 腐敗防止のコントロール①~⑦
(5) 腐敗防止態勢の診断結果
目次
1.腐敗問題に対する取り組みの歴史的経緯
1970年代 ウォーターゲート事件やロッキード事件において、米国企業による外国公務員 に対する多額の贈賄行為が判明したこと等を契機として外国公務員に対する贈賄行為を 禁止する気運が高まり、1977年に海外腐敗行為防止法(Foreign Corrupt Practices Act 以下、FCPA)が米国で施行された。 米国政府は、米国企業が競争上不利になることを考慮して、国際連合やOECD等において も各国も取り組むよう要請を開始。98年にFCPAを改正して処罰対象を外国企業に広げた。 1997年 OECDにおいて、「外国公務員贈賄防止条約」が採択された。これ以降、先進国を 中心に各国が外国公務員贈賄防止に向けて歩調を合わせることとなった。 1998年 不正競争防止法の改正(日本)⇒外国公務員に対する贈賄行為に対し刑事罰が 導入された。
6 2003年 エビアン・サミット「腐敗との戦いと透明性の向上:G8宣言」 「国連腐敗防止条約」(UNCAC) ⇒途上国の贈賄事情の改善に貢献 176ヵ国が批准(2016/12末時点)日本は未批准 2004年 APEC「腐敗との戦いと透明性確保のためのサンチィアゴ・コミットメント」 および「腐敗との戦いと透明性確保に関するAPEC行動方針」の承認 2010年 G20首脳による「腐敗対策行動計画」の採択 2011年 英国において、英国贈収賄法(Bribery Act, 以下 UKBA)が施行される。 2013年 G20サンクトペテルブルグ・サミット首脳宣言を受けて組成されたG20腐敗対策作 業部会において報告書が発表された。そのなかに「腐敗は、経済成長と発展の妨げになり、 市場の廉潔性を脅かし、公平な競争を弱体化させ、資源の配分を歪め、公衆の信頼と法 の支配を弱めることから、引き続き重大な課題である」という件がある。 世界銀行の推計によれば、現在毎年少なくとも1兆ドルの賄賂が世界中で使われている。
2.腐敗認識指数
(Transparency International Corruption Perception Index=CPI)
公的部門がどの程度腐敗しているか、国と地域ごとに100点満点で数値化してランク付けしたも の http://www.transparency.org/research/cpi/overview
「腐敗(汚職)とは、私利のために委託された権限を濫用すること」 Corruption is the abuse of entrusted power for private gain.
注1) 日本の順位は1998年の25位を底に2011年に最高位14位まで上げたが、最近また順位 を下げてきている。TIはBribe Payers Index(BPI:賄賂の供給側からみた指数)も公表 している。日本は4位(2011年度)。
注2) 腐敗認識指数のほかに、Trace InternationalのTrace Matrix(Domain 2 “Anti-Bribery Laws and Enforcement”日本は12位)。
2016年版 CPIランキング 順位 国・地域 ポイント 1 デンマーク 90 1 ニュージーランド 90 3 フィンランド 89 10 英国 81 18 米国 74 20 日本 72 52 韓国 52 79 中国 40
3.外国公務員に対する贈賄
<日本企業が直面する贈賄リスク>
8 • 刑法第198条、国家公務員倫理法、国家公務員倫理規程 ①日本の公務員に対する贈賄 • 民間人に対する贈賄を一般的に犯罪にする規定は日本法にはない • 会社法第960条<特別背任罪>、刑法第247条<背任罪> ⇒民間人に対する贈賄を犯罪とするか否かは国による。 (「国連腐敗防止条約」2003年採択) ②民間人に対する贈賄 • 米国の海外腐敗行為防止法(FCPA) • 英国贈収賄法(UKBA) • 不正競争防止法 • (現地の贈賄禁止法令) • その他参考になる指針等 ③外国公務員に対する贈賄(1)米国の海外腐敗行為防止法(
FCPA)
特徴
贈賄禁止条項と会計・内部統制条項の2つから構成される。後者は以下の①のみ適用される。 ①米国で有価証券を上場している等証券取引所法における登録義務および開示義務を担う 「発行者」ならびにその役員、従業員、エージェント、当該発行者のために行動した株主 ②日本企業の米国法人およびその役員、従業員、エージェント、当該米国法人のために行動 した株主 ③米国領土内で禁止行為の一部でも行った者やその役員、従業員、エージェント、その者の ために行動した株主 ④上記①~③の適用を受ける者がFCPA違反行為を行った場合、それに「共謀 (conspiracy)」及び「幇助・教唆(aiding and abetting)を行った者日本企
業への
適用
禁止行為の一部が極めて広く解釈されている点に注意すべきである。米国ドルにより米国外 で賄賂を送金し、米国銀行の口座が資金決済の過程で用いられた場合や米国に拠点のない 日本企業の社員が、贈賄行為の指示を米国出張中に電話やメールで行った場合等も適用の 可能性がある。 ⇒米国で何ら事業を行っていない日本企業であっても、FCPAの対象とされる可能性がある。防止体
制整備
による
免責等
FCPA 指針(注)において、処罰阻却事由にはならないが、企業が適切なコンプライアンスプ ログラムを構築しているか否かが、FCPA違反として摘発される際に考慮される旨明記されて いる。 FCPAによる罰金額歴代ベスト10のうち、米国企業は僅か2社、欧州企業が7社、日本企業は1 社。最高額は8億ドル。(注)FCPA指針: “Resource Guide to the U.S. Foreign Corrupt Practices Act” (司法省および証券取引委員会)2012年11月=FCPAの解説書
<日本企業が関わった
FCPAに基づく不正利益供与事件>
○ナイジェリア政府高官への贈賄
日本の建設・プラント会社や米国企業を含む、4社のジョイントベンチャー(以下、TSKJ)が設立され、 ナイジェリアのLNGプラント建設に関する約60億ドルの契約を受注した。その際、当該米国企業が、 受注の便宜供与として、ナイジェリアLNG社の役員に対して1億8,200万ドルの不正な支出を行った 疑いで、A社は司法省の調査を受けることになった。B社は、ヒューストンで仲介人とTSKJとの契約と その報酬について打ち合わせを行い、TSKJの代理人としてナイジェリア政府の公務員に不正な支払 (5,100万ドル)を行った疑いがあるとして、司法省の調査を受けることになった。A社は米国企業の 違反行為について共謀があったことで、またB社は「米国領土内」で禁止行為を行ったことで提訴さ れた。両社は司法省と訴追猶予契約(Deferred Prosecution Agreement)を行って各々2億1,880万ド ル、5,460ドルを支払うとともに、独立のコンプライアンス・コンサルタントを2年間起用することで合意。©M.TAKENAKA 10 建設・ プラント会 社(A社) 商社 (B社)ジョイントベンチャー
TSKJ
ナイジェリア政府
ナイジェリア
LNG社
参 画 49% 所 有$
共謀or
幇助
FCPAに基づく摘発件数の推移
(2017年2月末)
FCPAにより摘発された、贈賄が行われた国別の累積件数(2017年2月末現在)
(Stanford Law School Foreign Corrupt Practices Act Clearinghouse)
12 累積の摘発件数 1 中国 49件 2 ナイジェリア 23件 3 イラク 21件 4 メキシコ 20件 4 インドネシア 20件 6 ガボン 17件 7 インド 15件 7 ロシア 15件 9 アルゼンチン 14件 9 ブラジル 14件
(2)英国贈収賄法(
UKBA)
特徴
FCPAよりも広い範囲の贈収賄行為に適用され、贈収賄関連の法令では、最も厳格な法 律とされている。2011年7月1日より施行。
①贈賄行為(1条)②収賄行為(2条) ③外国公務員に対する贈賄罪(6条)④贈賄防止懈 怠罪<Failure of commercial organizations to prevent bribery>(7条)の4種類の行為 を禁止している。 FCPAや不正競争防止法と相違する点として、①「収賄行為」も含めて規定していること、 ②贈賄防止懈怠罪が存在すること、③民間人に対する贈賄行為も禁止しているなど 日本企業 への適用 日本企業の従業員が英国で贈賄行為を行った場合や、日本企業の英国子会社による贈 賄行為には、同法の1条又は6条の適用がある。 贈賄防止懈怠罪(7条)は、贈賄行為を行った場合に、適切な防止の施策を行っていな かった場合に適用される。日本企業の場合、「英国において事業の全部又は一部を行って いるか否か」がポイントとなる。子会社、支店等どのような形であれ、実質的に英国で事業 を行っていると判断されれば、適用される。また贈賄防止懈怠罪の成立には、賄賂の収受 が世界中どこで行われたかを問わない点に注意すべきである、また当該日本企業の英国 現地法人が贈賄行為に関与したかも問われない。 例えば、英国に現地法人を有する日本企業のある社員が、ベトナムで賄賂を渡したという 事実をもって、当該日本企業が英国贈収賄法の「贈賄防止懈怠罪」に問われる可能性が ある。 防止体制 整備による 免責等 UKBAにおいて、贈賄行為を未然に防止する「適正な手続き」を実施していたことをもって、 抗弁することができると明定されている。「適正な手続き」の内容については、明確に規定 されていないが、一般的な指針「6原則」がBribery Act 2010 Guidance(以下、UKBA指 針)において2012年にMinistry of Justiceから公表されている。
(3)不正競争防止法第
18条
(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止) 14 特徴 日本企業又は日本人の国内の行為のみならず、日本国外における行為に対 しても、域外適用される。共謀罪、教唆罪・幇助罪も適用される。 日本の刑法は属地主義を採用しているが、この法は一部属人主義をとって いる。 日本企業 への適用 日本企業の日本人社員が海外駐在中または海外出張中に、国外で行った不 正の利益供与の行為も、不正競争防止法により日本企業が処罰される可能 性がある。 防止体制整備 による免責等 経産省指針(注)において、企業が法人両罰規定における無過失による免責 が認められるためには、「外国公務員贈賄防止体制を実効性あるものにし て、コントロールの有効性の強化を図るための方策をとる必要がある」と 規定している。 OECDからは、2016年6月まで4件しか違反として処罰されておらず、体制 をより充実するためのアクションプランを作成するよう指摘されている (2016年6月)。 (注)経産省指針:“外国公務員贈賄防止指針” 2015年7月改訂 その他に、“外国公務員贈賄罪Q&A”<日本企業が関わった不正競争防止法に基づく不正利益供与事件> ○ベトナム公務員等への贈賄 東京に本店を置く建設コンサルティング会社(以下、C社)が、JICAのODA事業である鉄道関連事業に関する コンサルティングについて、これらの事務管理等に権限を有していた、ベトナム、インドネシア及びウズベキス タンの外国公務員に対して、便宜な取り計らいを受けるために、賄賂を供与した結果、不正競争防止法違反 に問われた事件である。C社は2014年3月に東京地検特捜部に自首し、C社及び元役員3人が起訴され、 各々罰金刑〈9,000万円)、執行猶予付きの懲役刑の判決を受けた。本件は、長期間にわたって多額(ベトナ ムは4年2か月、合計6,990万円)の賄賂を供与したものであり、2013年4月に国税局の税務調査の際、贈賄 が発覚したにも拘わらず元代表取締役の判断でその後も贈賄を継続しており、比較的悪質な部類に入る案 件だが、同社は自首したのち、捜査に協力的であったこと、またODA事業への参加停止処分等社会的制裁 を受けていることを総合的に判断されて、このような処罰に落ち着いたものと考えられる。
(4) 現地国における贈賄規制
①中国: 贈賄罪に関する立件基準(刑法389条) ②ベトナム:(1)200万ドン(約9,800円)以上の価値を有する賄賂を供与することが公務員贈賄罪 の成立要件 (2) 200万ドン未満でも、(a)重大な結果を生じた場合又は(b)複数回行った場合、公 務員贈賄罪が成立する。 ③インドネシア: どのくらいの金額に相当する物を供与した場合に賄賂とみなされるかといった 金額基準は法律上規定されていない。金額の多寡に拘わらず、公務員の職務 に関連して、便宜的取り計らいを受けるために供与された場合、賄賂として取り 扱われることになる。賄賂かどうかの立証責任は検察官が負うが、利益の価値 が1,000万ルピア(約8.4万円)以上の場合は、利益を受けた公務員側に立証責 任が転嫁される。 16収賄者
贈賄者
賄賂の金額
公務員
個人
1万元(約16万円)
国家機関等
個人
10万元(約160万円)
国家機関等又は公務員
会社等の組織体
20万元(約320万)
(5) 日本企業の海外贈賄事件一覧
日本企業のFCPA違反 年 社名 国/地域 (CPI順位) 処罰(法人)の内容 2011 N社 ナイジェリア (136) 2億1,880万米ドル 2012 M社 ナイジェリア (136) 5,460万米ドル 2013 B社 ブラジル (79) アルゼンチン(95)等 2,800万米ドル 2014 M社 インドネシア (90) 8,800万米ドル 2015 H社 南アフリカ (64) 1,900万米ドル 2016 O社 ブラジル (79) ボリビア(113)等 2,280万米ドル 2017 P社 米国子会社に司法省とSECが調査中。 日本企業の不正競争防止法違反 年 社名 国/地域 (CPI順位) 処罰(法人)の内容 2013 F社 中国 (79) 50万円 2015 NK社 ベトナム(113)、インドネシア(90)、ウズベキス タン(156) 9,000万円(6)その他参考になる文書
①Auditing Anti-Bribery and Anti-corruption Programs (IPPF-Practice Guide) <2014年6月> ②Business Principles for Countering Bribery (Transparency International)
<2013年12月> ③Diagnosing Bribery Risk (Transparency International / Pwc)
<2016年3月>
4. 腐敗防止態勢の診断
<腐敗防止態勢の診断の手順>
19 ①腐敗防止態勢の7つの構成要素(監督、リソース、リスク評価、方針の説明、第三者に 対するDD,コントロールとモニタリングおよびトレーニング)に属する各コントロールを確認 し、必要に応じて、キーコントロールを特定する。 (なお、この7つの要素は、FCPA指針に含まれる「実効性あるコンプライアンス・プログラ ムの特徴」のなかで、「腐敗防止態勢の成熟度モデル」の基礎を形成する要素として取 り挙げられている) ②個々のコントロールを、「腐敗防止のコントロールのレーティング」に基づき、5段階(0~ 4)で評価を実施する。 ③各構成要素の評価の集計を行い、小計及び比率を算出する。 ④すべての構成要素のコントロールの評点を合計し、合計の数値と比率を算出する。 ⑤④において算出した比率を「腐敗防止態勢の成熟度モデル」に基づき、組織体全体の レベル評価(レベル1~レべル4)を行うとともに、③において算出した各構成要素別の比(1)腐敗防止態勢の構成要素
注)( )の数値は関連するコントロールの数 20 腐敗 防止態勢 (45) 監督 (7) リソース (4) リスク評価 (6) 方針の表明 (9) 第三者のDD (6) コントロール とモニタリン グ (6) トレーニング (7) 7つの構成要素(コント ロール群)は、組織体の 状況に合わせて、入れ 替えたり、削除・追加す る。 例えば、M&Aを経営戦 略上、重視する組織体 は「M&A」を追加する。 また第三者のコンサル タントやエージェントを 余り使わない組織体は、 「第三者に対するデュ― デリジェンス」 の項目 を削除する。 個々のコントロールも実 態に合わせて変更した り、追加・削除する。(2
)
腐敗防止態勢成熟度モデル(例)
成熟度モデルのレベル レベル コンプライアンス・アプローチ(例) レベル4 最適レベル OPTIMIZED 80%~いかなる腐敗も容認しない方針(Zero tolerance for corruption)
コンプライアンス委員会から監査委員会又は取締役会に報告がなされる。監督権限が1人又 は複数のエグゼクティブに与えられている。その者は、コンプライアンスに関して執行する 責任を有し、組織体内で適切な権限を付与され、マネジメントから適切に独立した立場を保 証され、コンプライアンス・プログラムが有効に運用されていることを保証するのに十分な リソースが与えられている。リスク評価により、法の支配が懸念される地域を識別し、新た な規制の効力が生じる前にコントロールを導入する態勢が整備されている。 レベル3 上級レベル ADVANCED 65%~80%
いかなる腐敗も容認しない方針(Zero tolerance for corruption)
堅固な取締役会と強固な全社的なコントロールがその厳格さ(zero tolerance )を支援する。 リスク評価により、変動する条件を評価し、贈収賄を引き起こしやすい分野を識別する。充 実したスタッフを擁する内部監査部門が、すべての関連するリスク領域のコントロールを、 その有効性を確認するために、定期的にテストを行っている。 レベル2 中級レベル REACTIVE 50%~65%
腐敗に対して厳格な方針(Low tolerance for corruption)
規制が強まった分野においては、それに応じてコントロールの改善を行っている。プロセ ス・マネージャーやスーパーバイザーは、コンプライアンスのコントロールの監督と執行に 責任を有している。小規模の内部監査部門の場合、他の監査の一部として、腐敗防止のコン トロールのテストを行っている。 レベル1 初級レベル BASIC ~50%
高いレベルのリスクを受容する方針(Accepts elevated levels of risk)
当局の網の目をかいくぐってきた、小規模で、多くの場合、創業間もない、リスクをいとわ ない創業者又は非公開会社は、リスクを許容してしまう傾向が強い。贈収賄は、世界のある 地域では、合法的で許容され、ビジネス活動に伴う必要費用であるという誤った考え方が背 景にあり、内部統制の構造的脆弱さを悪化させてしまう。マネジメントは、内部統制を官僚 的なやっかいもの扱いして、リスクを受容してしまう。
<腐敗防止態勢成熟度モデルの前提>
①カーネギー・メロン大学で開発された能力成熟度モデル統合アプローチを応用し
たもの(cf. ITガバナンスの成熟度モデル)
②組織体の米国腐敗行為防止法(FCPA)や英国贈収賄法(UKBA)等の法令等遵
守の達成度を評価することができる。
③複数の商品ラインを有する、グローバルに事業展開している、中規模の会社を想
定している。
③多様な業界に亘って事業展開して、多数の子会社を傘下に有する大規模な会社
であれば、5段階又は6段階のレベルを持つモデルが適切な場合もある。組織
体のリスクプロファイルに見合ったモデルを用意することが肝要である。
22(3)腐敗防止コントロールのレーティング
証拠レベルのレーティング レーティング 内容 0 方針及びコントロールが存在することを裏付ける証跡がない。 1 方針書(policy documents)は存在するが、方針書に示された手続 きが行われた証跡がない。例えば、方針上、従業員は倫理誓約書に 署名することが求められているが、署名された文書が存在しない。 2 方針書は存在するが、コントロールを裏付ける証跡が、コントロー ルが適用される方法、または文書化された方法のいずれかとの整合 性が欠如している(例: アクティビティは時々生じているが、ほと んどの時間又は常時行われているとは限らない)。 3 方針書が存在し、文書化された証跡が、実施されたコントロールの 活動を裏付けている。しかしながら、適用、実行又は文書化におけ る整合性を改善する余地がある(例:アクティビティはほとんどの時 間生じているが、常時行われているとは限らない) 4 方針書が存在し、コントロール活動が一貫して行われ、文書化され ている、明確な証跡が存在する。(4)腐敗防止のコントロール①
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。 24 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ①監督 Oversight (1)取締役会がプログラムを統括している。 4 (2)上級エグゼクティブが会社全体の執行に責任を 有している。 3 (3)プログラムの有効性に関する報告が定期的に取 締役会に行われている。 4 (4)プログラムの有効性が外部的に確認されている。 4 (5)承認に閾値が存在する。 3 (6)子会社が実行を承認している。 3 (7)アンケート調査を使って従業員の意識レべルを 確認している。 0 小計(満点:7項目×4=28) 21(75.0%)①監督(Oversight)に係るコントロール 実務上の留意点 腐敗防止プログラムの有効性について考慮する視点の例として、以下の点が挙げられる。 ⇒コントロール①(3)(4) ①腐敗防止プログラム策定に当たって、日本の法令や指針のみならず、FCPA, UKBA,その 他会社がビジネスを行う国の贈賄禁止法令や指針が必要に応じて考慮されているか。 ②経営環境の変化に応じて、例えば、新しい国・地域、事業や法令がでてくるごとに、必要 に応じてプログラムの修正を行っているか。例えば、ロシアやスペインでは最近贈賄防止の ための企業によるコンプライアンス体制の整備を法律上の義務として規定することに改訂 された。 ③腐敗防止プログラム策定に当たって、想定している贈賄の相手方の範囲は適切か。 FCPAや日本の贈賄規制においては、公務員やみなし公務員への利益供与が贈賄行為と される一方、UKBAでは民間人に対する利益供与も違反となりうる。中国においても公務員 のみならず民間人に対する利益供与も違反となりうる。
腐敗防止のコントロール②
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。
26 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ②リソース Resources (1)人的、財務的および技術的リソース が十分あり、組織体の規模や複雑性に 見合っている。 3 (2)取締役会はリソースが十分あること を確認している。 2 (3)腐敗防止プログラムは会社の予算と は独立したラインで作成されている。 1 (4)資源配分がリスクベースで行われる。 3 小計(満点:4項目×4=16) 9(56.3%)②リソース(Resources)に係るコントロール 実務上の留意点 ①贈賄防止態勢を実効性あるものにするために十分な予算を確保しているか。その活動を支え る法務又はコンプライアンス部門の人的資源を十分に確保しているか ②子会社の贈賄防止態勢の整備・運用に関して子会社が自ら防止態勢を整備・運用することが 原則であるが、子会社のリソースが十分ではない場合、親会社からの支援が適切に行われてい るか
腐敗防止のコントロール③
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。 28 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ③リスク評価 Risk Assessment (1)組織体の規模や複雑性に適合性している。 3 (2)腐敗リスクのすべての誘因が含まれてい る。 3 (3)少なくとも年1回は実施されている。 4 (4)外国における業務も含まれている。 3 (5)評価の従事者にトレーニングが要求され る。 2 (6)リスクの高い国やプロセスからの評価の 従事者も含まれている。 1 小計(満点:6項目×4=24) 16(66.7%)③リスク評価(Risk Assessment)に係るコントロール 実務上の留意点
UKBA指針によれば、贈賄リスクを検討する際、次の5つのリスクを特定・評価すべきである とある。
①カントリーリスク(地域含む)
Corruption Perception Index (CPI),Bribe Payers Index, Global Corruption Barometer等
②業界リスク エネルギー、テクノロジー、テレコム、医薬製薬業、金融業、製造業等は一般的にリスク が高いとされる。 ③取引リスク 許認可の取得や入検、政府関連の顧客への販売、贈答・接待、旅費の負担、寄附・政 治献金、スポンサー/後援、公務員関係者の採用等 ④事業提携リスク 事業提携している第三者が賄賂に関与している場合、責任を負わされる。 ⇒「第三者に対するデューデリジェンス」の項目参照。 ⑤案件リスク 高額な案件、多数の関係者が関わる案件、マーケット・プライスから乖離した案件、目 的が明確になっていない案件等
腐敗防止のコントロール④
注)表のなかの各評点は説明の都合上の仮の数値である。 30 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ④Policy Statements 方針の表明 (1)贈収賄/腐敗を容認しない厳格な基準(zero tolerance)を設定している。 1 (2)組織体全体にわたって役割と責任が明確化して いる。 2 (3)円滑化のための支払い(Facilitation Payment) を禁じている。 3 (4)関連するすべての言語に翻訳されている。 3 (5)すべての従業員が容易に閲覧できる状況にある。 4 (6)贈答・接待、慈善的寄付及び政治献金の取り扱 いを明確にしている。 3 (7)重要な第三者のビジネス・パートナーに伝達し、 その遵守を誓約させている。 4 (8)理解し、遵守しているかどうかの確認を求めて いる。 3 (9)問題を指摘した者への報復を禁じている。 3 小計(満点:9項目×4) 26(72.2%)④Policy Statement(方針の表明)に係るコントロール 実務上の留意点① ①経営トップの強いコミットメントにより、贈賄禁止の基本方針および社内規程を策定し、会社の方 針として贈賄防止コンプライアンスを徹底することを内外に表明しているか⇒コントロール④(1) なお、日本の公務員やみなし公務員に対する贈賄防止に関する社内規程とは別途に定める(準拠 する法令や指針が異なるため)。 ②従業員のみならず、重要な取引先にも遵守を求めることが望ましい。同意を得られた場合、誓約 書への署名を求めているか⇒コントロール④(7) ③方針・社内規程は、国内外の外国人従業員への周知のみならず、外国政府や取引相手の理解を 求める等の場面でも活用できるよう、必要な言語に翻訳されているか⇒コントロール④(4) ④寄付・政治献金等のルールが明確に規定されているか。寄付金等を装って、不正な利益供与が 行われることがある。寄付の振込先がどのような団体か確認しているか。 政党への寄付の場合、当該国に日本の政治資金規正法22条の5(外国人や外国法人からの政治 献金を制限)に類する法令がないか確認する。 また、スポンサー・後援で金銭を供与する場合も、内容を精査することが望ましい。 ⇒コントロール④(6) ⑤内部通報者に対する報復措置の禁止は、米国ではサーベンス・オクスリ―法およびドッド・フラン ク法に定めてあり、日本でも公益通報者保護法に規定されている⇒コントロール④(9)
32
④Policy Statement(方針の表明)に係るコントロール 実務で役立つ視点②
“Facilitation Payment”=手続きの円滑化のための支払い
不正競争防止法・経産省の指針及び UKBA・その指針には、許容される ファシリテイション・ペイメントは明示 されていない=日本はOECDの勧告を 受けてFPの記述を指針から削除 <FCPA指針> 許容される少額のファシリテーション として、ビザの発給、警察による保護、 郵便サービス、電話・電気・水道等の 公共サービスの提供が明示されてい る。 裁量の余地のない日常的業務⇒コントロール④(3) (routine governmental action )
OECDは、ファシ リテーション・ペ イメントの廃絶 を求めている 実態的には 余り運用は変 わらないと考 えられる
④Policy Statement(方針の表明)に係るコントロール 実務上の留意点③ 贈答・接待 外国公務員に対する贈答・接待に関するルールが、FCPAや現地法等と整合し、かつ会社の実態に適合し ているか。また適切に運用されているかを確認する。その際以下の諸点に留意する⇒コントロール④(6) ①.FCPA指針では、接待・贈答が違反ではないことの指標として、(1)オープンかつ透明性をもって行われ、 (2)帳簿等にも正確に記帳され、(3)謝意や敬意を示すために行われ、(4)対象となる外国公務員が所属す る国の法令でも許容されていることが挙げられている。 FCPA指針では、接待・贈答の適正な金額基準がい くらか明示していない。 ②経産省HP掲載の「外国公務員贈賄罪Q&A」ー外国公務員等に対する贈答・接待の取り扱い 「純粋に一般的な社交や自社商品・サービスへの理解を深めるといった目的によるものであって、外国公務 員等の職務に関して、自社に対する優越的な取扱を求めるといった不当な目的もないのであれば、必ずし も「営業上の不正の利益」を目的とする贈賄行為と評価されるわけではありません」 以下の項目について、具体的な行為が例示されている。 (ⅰ)「営業上の不正の利益」を得るための支払と判断される可能性が大きいと考えられる行為 (例)外国公務員等への換金性のある商品券の贈答、入札直前の時期における贈答 (ⅱ)「営業上の不正の利益」を得るための支払とは必ずしも判断されない可能性がある行為 (例)業務上の会議における茶菓や簡素な飲食物の提供、現地社会慣習に基づく季節的な少額の贈 答品の提供 ③金額基準については、決裁者や現場の社員の判断を助けるので、決めておくことが望ましい。その際、贈 答・接待の各々1回当たりの上限金額だけでなく、各々の許容される1年間当たりの回数、1年間の合計金 額も合わせて規定する。外国における贈答・接待の場合、外国公務員の所属する国の法令や商慣行等を 考慮して金額を決める。 金額基準はあくまで目安であって、不正の利益の供与とみなされれば、上限金額を下回っても賄賂と認定 される可能性がある。上限金額に達しなければ問題ないという意識が現場にないか確認する。
腐敗防止のコントロール⑤
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。 34 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ⑤第三者のデュー・デ リジェンス Third-Party Due Diligence (1)PEPs(重要な公的地位を有する者:Politically Exposed Persons)か否かの調査 を行っている。 4 (2)過去の汚職や告発の調査を行っている。 3 (3)寄付金の妥当性の調査を行っている。 4 (4)M&Aの際、デュー・デリジェンスを調査に 含めている。 3 (5)デュー・デリジェンス活動を支援するため に、第三者の専門家を活用している。 3 (6)リスクの高い現場やプロセスに重要な手続 きを実施している。 3 小計(満点:6項目×4=24) 20(83.3%)
⑤第三者のデュー・デリジェンス(Third-Party Due Diligence) に係るコントロール 実務上の留意点① ①第三者介在することによるリスク エージェント等の第三者を介して事業を行う際、第三者が賄賂をおくる場合があるので、第三者 に対するDDは重要である。当該第三者のバックグラウンド・チェックを行うとともに、第三者との 契約書の内容の確認が必要である。 第三者として、販売代理店、販売業者(ディストリビューター)、下請業者、通関業者、弁護士・会 計士、広告代理店、ビザ取扱代理店、コンサルタント等が考えられる。また合弁会社、ジョイント ベンチャー及びコンソーシアムに参画する場合のパート―ナーも対象となる。例えば、パート ナーに米国企業又は米国人が含まれていないか等確認する必要がある。 ②第三者のバックグラウンド・チェック(贈賄リスクのみ) 取引を開始する相手方(個人又は法人)のバックグラウンド・チェックを適切に行っているか。 例えば、適切なデータベースを備えたスクリーニング・サービスを利用する等。バックグラウンド とは、前科前歴があるか、PEPsに該当するか等 ⇒コントロール⑤(1)〈2〉 ③第三者との契約における腐敗防止条項の例 ・契約時点では贈賄行為を行っていないこと及び契約締結後も行わないことの表明保証 ・贈賄行為が発覚した場合の報告義務 ・上記の義務違反の場合の契約解除の権利及び損害賠償義務 ・上記の義務を遵守しているか確認するための監査の権利
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⑤第三者のデュー・デリジェンス(Third-Party Due Diligence) に係るコントロール 実務上の留意点② ④第三者が賄賂を支払った可能性を示すケース FCPA指針(P22~23)によると、第三者が外国公務員等に賄賂を支払った可能性が高いことを 示唆する状況として、以下の項目が挙げられている。 このようなケースを検知するしくみがあるか⇒コントロール⑤(6) (1)手数料が法外に高い場合 (2)ディストリビューターへ不合理なディスカウントが行われている場合 (3)コンサルティング契約に不明確なサービス内容しか記載されていない場合 (4)委託事項がコンサルタントの専門と異なる場合 (5)その第三者が外国公務員の親戚又は緊密な関係を有している場合 (6)外国公務員の要求により、第三者が取引の当事者に入ってきた場合 (7)第三者がオフショアの銀行口座に送金するよう求めてくる場合
⑤第三者のデュー・デリジェンス(Third-Party Due Diligence) に係るコントロール 実務上の留意点③ M&A M&Aを行う際、贈賄リスクが相当程度高い場合、当該リスクに焦点を当て、DDを行うことが望 ましい。買収前及び買収後のフェーズごとに行っているか、またそのような体制を整えている か⇒コントロール⑤(4) <買収前> DDの内容として、(1)買収先における贈賄防止態勢の整備運用状況(2)経営陣及び従業員 のコンプライアンス意識の高さ(3)事業の第三者への依存度(4)関連のない又は少ない国・地 域にある銀行口座への送金の状況(5)接待や贈答等、贈賄が懸念される費用を精査(6)許認 可、通関や入札等の前後に支払われた費用の精査(7)内部通報制度の整備と運用状況(8) 買収先及び経営陣の前科前歴行政処分の調査等が挙げられる。 <買収後> ①買収完了後に贈賄問題が発覚した場合の対策を立てているか。例えば、当局への通報、 関与社員の処分、又は再発防止策の策定のほか、買収契約書の表明保証条項(贈賄問題は 存在しない)や(義務違反の場合の)契約解除権や損害賠償請求権等を行使の検討等。 ②買収完了後、自社の贈賄防止に関する方針や社内規程を含む贈賄防止態勢を買収先に 速やかに適用しているか、またモニタリングを行っているか。
腐敗防止のコントロール⑥
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。
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構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注)
⑥コントロールとモニタリング (Controls and Monitoring)
(1)財務システムのなかに取引ごとの承認 や職務分離が含まれている。 3 (2)新規の顧客やベンダーとの取引開始を 制限している。 2 (3)リスクの高い、又は通常ではない取引 を常時監視している。 3 (4)例外レポートが作成されたのち、短期 間にレビューされ、解決されている。 3 (5)帳簿に記載されない取引は存在しない ことを確認する手続きが行われている。 2 (6)外国銀行に口座開設する際のコントロー ルが存在する。 3 小計(満点:6項目×4=24) 16(66.7%)
⑥コントロールとモニタリング(Controls and Monitoring) 実務上の留意点
①米国で上場等している日本の企業は、FCPAの会計・内部統制条項(Books and records provision, Internal controls provision)の遵守が求められているが、適切に対応しているか。 贈賄防止体制が適切に整備、運用されていると評価されれば、違反を摘発されても、処罰 が軽減され、場合によっては免除される可能性がある⇒コントロール⑥(1) ②リスクの高い又は通常でない取引としては、高額な取引、多数の関係者が関わる取引、 マーケット・プライスから乖離した取引、目的が明確になっていない取引等が考えられ、そ のような取引を検知するしくみを備えているか⇒コントロール⑥(3) ③広告宣伝費、寄付金。手数料、割り引き、コンサルタント料、業務委託費、交際費等の勘 定科目には特に注意を払い、組織体の状況に見合った方法でチェックを行っているか。 このような勘定科目で賄賂が支払われる場合があるため。 ④当事者間で関連する国以外の第三国の銀行口座への送金は正当な理由がない限り認 めないルールになっており、そのように運用されているか(cf. パナマ白書) ⇒コントロール⑥(6) ⑤内部監査により、社内規定の遵守を含め防止態勢が実際に機能しているか確認してい るか。 ⑥社内相談窓口及び通報窓口の設置等が適切になされているか
腐敗防止のコントロール⑦
注)表のなかの各評点は説明のための仮の数値である。 40 構成要素 腐敗防止のコントロール 評点(注) ⑦トレーニング Training (1)すべての従業員、取締役会のメンバー及び重要なビジ ネス・パートナーに対して行われている。 3 (2)すべての関連する言語に翻訳して実施されている。 0 (3)定期的に補強されている。 3 (4)コンプライアンス・プログラムの理解度を確認するた めのテストが行われている。 4 (5)贈答、接待、慈善的寄付及び政治献金を取り扱ってい る。 4 (6)組織体にとって注意すべき事例も取り上げている。 3 (7)円滑化のための支払い(Facilitation Payment)及び 取引に伴う賄賂を取り扱っている。 4 小計(満点:7項目×4=28) 21 (75.0%)⑦トレーニング〈Training)に係るコントロール 実務上の留意点 ①法令、ガイドラインや社内規程の内容のみならず、過去の贈答や接待の事例を踏まえて、 現地で賄賂を要求された場合等の対処法を具体的に従業員が留意すべき点をついて教育を おこなっているか⇒コントロール⑦(6) ②研修は海外の社員にも行うべきであるが、日本での研修をそのまま現地語又は英語に翻 訳して行うのではなく、現地の贈賄防止法令、商慣習や現地における事業活動に適用される 可能性のあるFCPA又はUKBA等を踏まえ、研修を受けた社員が、現地において適切な行動 をとれるような内容になっているか⇒コントロール⑦(2) ③研修の内容と実施状況、出席者等については記録を残しているか。また研修を受けた役員、 従業員(場合によっては取引先)に対して、必要に応じて、贈賄行為は行わないよう誓約書を 提出させているか。 ④研修に当たって、WEBを使った講義や確認のためのテスト等、組織体の実態に適合した有 効な方法を採用しているか⇒コントロール⑦(4) ⑤贈賄行為又は社内規程違反行為を行った役職員に対しては、人事上の制裁が課される ルールがあり、実際処罰されているか。