生ごみ減量化ハンドブック
岡山市の家庭から出されるごみの量は年間16万t(平成20年度)にもなり、そのうち約4割 (約7万t)を生ごみ(食品廃棄物)が占めています。生ごみは水分が多くにおいもあるため、家 庭の中からゴミステーション、収集作業、焼却処理でも多くの問題があります。 しかし、生ごみ は「優良な資源」
です。 汚い臭いと思っていた生ごみをちょっとひと手間かけて素晴らしい堆肥にし、安心安全な野菜の 出来る家庭菜園や美しいガーデニングに利用したり、減量化することによっていつものゴミ出しが 楽になると思います。 このハンドブックでは、さまざまな生活環境でも処理出来るように工夫された方法を紹介してい ます。皆さんのご家庭に合った方法を選んでチャレンジしてみてください。岡山市エコ技術研究会
生ごみの減量化・資源化方法
このハンドブックでは、次の5つの方法を紹介します。
1. 段ボール箱コンポスト
2. ミミズコンポスト
3. 紙製米袋発酵コンポスト
4. エコちゃんコンポスト
5. 電気式生ごみ処理機
1∼4のコンポストタイプは電気を使わない自然に優しい方式です。同様の方式で「ペール缶で 仕込む方式」や「ドンゴロスの袋を使って、吊るして熟成させる方式」などがあります。どれも仕 込み材は段ボール式と大差がありません。皆さんで工夫してみて下さい。 これらの方式によれば、自然界に存在する微生物=発酵菌=バクテリヤなどをうまく活用して、 腐敗しやすい生ごみを分解して有効な堆肥を作ることが出来ます。生ごみは極力新鮮なものを出来 るだけ小さく切断しておけば、それだけ分解も速く進行します1.段ボール箱コンポスト
安くて簡単に手に入る素材だけででき、処理に時間・手間・エネルギーがかからない自家製堆肥 が出来るコンポストです。また、段ボール箱が壊れて廃棄処分する際にも処分費用もかからず環境 に負荷をかけません。(1)用意するもの
ダンボール箱(使用済みでも可) 腐葉土(ピートモス、もみ殻薫炭、古い枯葉など) 新聞紙1∼2日分 その他有効なもの…米ぬか、廃てんぷら油 ふたの部分を立て ガムテープで止める 木台やブロックの上に置 いて通気性を良くする(3) 基材の調合
段ボール箱の8割程度になるように腐葉土を容器に入れる(米ぬかなどを適宜混ぜても良い)。(4) 生ごみの投入
①初日は 1 回 500∼700 ㌘(三角コーナーで一杯程度)の生ごみを箱の中央部に穴を掘り埋め込む。 ※ 生ごみは細かくした方が早く分解します。 横から見たところ ②上から土をかぶせて生ごみの間に土が入り込むように園芸用スコップでしっかりつつく。 ③次の日からは中央部に投入せず 4 隅に生ごみを埋め込んでよく混ぜます。 ※微生物にとって最高のえさになる廃てんぷら油や米ぬかですが 廃てんぷら油を投入する際は、よく冷まして混ぜながら適量をゆっくり入れてください。 米ぬかを投入する際は、生ごみに2∼3つかみをよく混ぜて入れてください。(5) 熟成と取り出し
生ごみを埋め込むのが3∼4順しますと、生ごみは箱の中で適度に温度が上昇しながら分解さ れます。生ごみの投入を止めて、1∼2 ケ月寝かせ(熟成)ますと堆肥が出来上がっています。 そのまま基材ごと堆肥として使います。(6) コメントとアドバイス
① 装置は各家庭で出る生ゴミの量と、何日で熟成に入るかによって次の新しい装置にするか は変わってきます。ダンボールは再利用します。壊れたら新しく作って下さい。 ② 湿気の程度は「手で握ったら湿り気を感じる 60%程度」が良いようです。 ③ 発酵の進み具合を知るには温度計で測定します。40∼50℃になれば最高の出来です。 ④ 熟成中に時々底から混ぜ返すと、空気が程好く入って発酵が進みます。 ⑤ ダンボールの底に敷いた新聞紙が余分な水分を吸収し調整してくれます。槽内が「べとつ く(湿り気が多い)」ようであれば、腐葉土や枯葉などを混ぜて湿度を調整して下さい。 ⑥ 装置の上部はビニールやネットで囲っておくと、猫やハエが来るのを防ぎ効果的です。 ⑦ 置き場所は直接雨水のあたらないところに設置して下さい。 生ごみミ ミ ズ は 光 を 嫌 い ま す 。 透明素材は使用出来ません
2.ミミズコンポスト
昔から農家では「ミミズのいる土は最高の畑」と言われています。ミミズコンポストが出来る のは「シマミミズ」で、庭を掘ると出てくるような大きなミミズは有機物を食べません。「シマ ミミズ」の特性を利用して、生ごみを餌にミミズを飼育するとその排泄物が最高の肥料になりま す。ミミズは生き物です。愛情を持って育ててください。(1)用意するもの
● プラスチック製の深鉢(直径36㌢深さ38㌢程度) ● 新聞紙か麻の布(ミミズが逃げださないように鉢の内部の底に敷きます。) ● フタ…水盤のような形をしたプラスチック製の丸い皿か木製の板 ● パーム用土またはココナッツ繊維を水で戻したもの(容器の 2/3 程度の量、100 円ショップ やホームセンター、園芸店などで販売されています。) ● シマミミズ 200g(1000∼2000 円程度で釣具店にて販売。生きの良いものを求めて下さい。)(2)容器の作り方
①鉢の底に新聞紙又は麻の布を敷いておく。 ②パーム用土か水で戻したココナッツ繊維を入れる。 ③ミミズを中に入れる。 ④新聞紙をぬらして土の表面に掛け、その上に蓋をする。(3) 生ごみの投入・仕込み
生ゴミはミミズの食べ易いようにミキサーにかけて粉砕したものを与えるのが一番適してい ます。生ごみは穴を掘り埋め込みます。(4) 熟成と取り出し
① 生ごみは 3 日∼1 週間に一度投入します。 ② 投入時に底から混ぜ返すと空気が入り通気が良くなります。 ③ 温度は最高でも30℃、冬場は5℃以下にならないように注意してください。 ※ 温度が高くなった場合は、乾燥したパーム用土を補充します。 ※ 湿度が高くなった場合は、新聞紙を上にのせて調整します。 ④ 〈生ごみの投入量〉 ミミズは総体重の 1/2 程度を 1 日で食べます。 ※例えば最初のミミズの総重量が 200 ㌘の場合、1日のえさ(生ごみ量)は100gです。 3 日毎に与えるとすると 300 ㌘を投入します。 ⑤ 装置内が一杯になれば、半分ぐらい取り出しミミズを含んだまま堆肥として使って下さい。 残りの半分にパーム用土を追加して次の培養に使って下さい。家庭の生ゴミの排出量に応 じて装置の数と大きさを加減して下さい。(5) コメントとアドバイス
入れてはいけないもの ・ 玉ネギ・ネギ類 ・柑橘類(ミカンの皮等) ・大量の肉や魚(槽内が腐敗することがある) ・ 塩分の多いもの ・液体(コーヒー、スープ類)3.紙製米袋発酵コンポスト
この方式は割安で仕込みから完成までほとんど「手間や技術」を必要としません。 とても扱い易いタイプです。(1) 用意するもの
セット販売されています。 【内容】 分解菌フジバイオ4kg(内容はもみがらの薫炭・コーヒーのカス・発酵済米ぬかなどです) 発酵元液 500ml(好気性の菌と嫌気性の菌の混合溶液) 米袋2枚 クリップ(2) 事前の準備
袋の中にフジバイオを入れ「発酵元液」コップ 1/3、「水」コップ 1/2 をよくかき混ぜて袋に詰めます。(3) 生ごみの投入・仕込み
① 初めにしつかり水切りした生ごみ 500∼700 ㌘をその袋の中に投入し、袋ごとよく振って混ぜます。 袋の口は2回折り返しクリップで閉じる。 ② 2 日目からはしっかり水切りをした生ゴミを入れて混ぜます。 3∼5 日で温かくなります。40℃程度が最適です。 途中、熱が出なくなったら「発酵元液」コップ 1/3 を追加してよく振って混ぜます。(4) 熟成と取り出し
①最後の仕込みから約 1 ヵ月寝かせると取出しが可能です。 肥料(ぬか状態)になっていますから袋の中身の半分を堆肥として活用下さい。 その残り半分を次の仕込みに使います。 ②必要に応じて別売りの分解菌フジバイオを補充してください。 ③分解途中のものでも粗い堆肥として畑土に混ぜて使用して下さい。(5) コメントとアドバイス
①袋は紙ですから雨水の掛からない所に吊り下げて管理するのがよいでしょう。 ②生ごみは細かいほど早く分解します。 ③重たくなって振れなくなった場合、クリアケース(衣装保管箱)などに袋の中身を出し、生ごみを 混ぜて再度袋の中に戻します。 ④米袋が古くなった場合は新しい米袋と交換してください。4.エコちゃんコンポスト
このシステムは木製キャビネットなので丈夫で長期間使用出来ます。装置は各自の手作りで, メンテナンスの費用もかかりません。(1) 用意するもの
①木製のキャビネット(高さ 70 ㌢横幅 70 ㌢奥行 40 ㌢)を作ります。市販はされていませんので、 エコちゃん推進本部にて材料費 1 万円程度で各自組み立てて帰ります。 その時仕込み・熟成・取り出しなどのノウハウを学びます。 ②米ぬか ③粗い堆肥(初回分は提供)(2) 生ごみの投入・仕込み
※生ゴミは多少水分が多くても構いません。庭木の剪定の葉(枝は木質ですから適しません)庭の雑草・ 菜園の野菜屑をなるべく小さく切り刻んで投入すると分解が速く仕上がります。 ① 1 順目は 3 槽一括で仕込みます。槽ごとに「生ゴミ 2 ㎏・粗い堆肥 2 ㎏・米ぬか 2 ㎏」をよくかき混ぜ て投入します。(3 槽とも全部同時に仕込む) ② 1 順目は槽に菌が居ないため約 3 週間(20 日ぐらい)熟成させます。 ③ 発酵は槽内温度に比例します。毎日各槽ごとに温度の測定をして管理表に記録します。(
3) 熟成と取り出し
① 1 順目の取り出しは 3 週間後 1 槽ごとに取り出します。同時に 2 順目の仕込を槽ごとに行ないます。 取り出したものは「フルイ(篩)」の大き目のもので選別します。完成品(粉に近い粒子状)と半製 品(粗い堆肥)に分けます。この粗い堆肥が次に仕込む際に重要な役割を果たします。 ② 2 順目の仕込みは 1 順目と同じく槽ごとに「生ゴミ 2 ㎏・粗い堆肥 2 ㎏・米糠 2 ㎏」を一 括に仕込みます。取り出しは、今度は 2 週間後、フルイにかけて選別します。生ゴミの発 生量により日時を空けたりしながら2槽目、3槽目と順次仕込んで行きます。 ③ 3 順目になりますと槽内に菌が棲みつくようになりますから、仕込の仕方は「槽一括」で なくても構いません。発生した生ゴミをその都度仕込んで下さい。槽が一杯になった日か ら 2 週間後に取り出します。 ※ 粗い堆肥は堆肥になる前の半製品ですが、好気性の菌を多く含んでいますし、ある程度乾燥し ているので生ゴミ(水分 80∼90%)と混ぜると程好い湿気(60%)になる重要な役目があります。 ヌカは米の栄養を多く含んでいます。発酵させることで質の良い堆肥になります。(4)コメントとアドバイス
① 水分調整を失敗すると、発酵ではなく腐敗⇒悪臭⇒虫発生の原因となります。挫折する最大 の理由がこれに起因します。 ② 装置の組立作業を通して実物を見ながら体験してからスタートします。開始後の色々な不安 を取り除く為に、ポイントなど何でも相談しましょう。 エコちゃんこんな生ごみ処理機も!!