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ITSの今後の展開方策に関する調査研究

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Academic year: 2021

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欧州と米国のITS動向

~協調型システム開発と先行実施スキーム(事例紹介)~

宮坂 幸子

Yukiko Miyasaka

ITS・新道路創生本部

欧米においては次世代型の交通管理を実現する有力な1つのツールとして協調型のシステム開 発が進められている。また、将来、この統合型システムのアプリケーションとの統合化や並行運 用が期待され、既に、先行的に実施され成功している ITS スキームがある。本稿では、これらを 紹介することで次世代型の交通管理のイメージを具体化する。 1.はじめに 欧米では、新しい次世代型の交通管理実現に向けた準備が整いつつある。これは、適切な収集 の下、十分で正確な交通データを使用する管理であり、各輸送交通を適切にバランス良く利用し て道路容量の最大活用を可能にするものである。これにより、道路利用者は、個々の目的やその 時々の交通状況に適切に対応した経路選択や輸送手段の選択を、情報を基に「スマートに選択」 することができる。実現には、協調型システムの通信ネットワークの整備と、リアルタイムで正 確な交通データに基づく適切な管理、ならびに、高信頼な情報提供がポイントである。 図-1に揶揄されるような現在の道路利用を改善するためには、ハード、ソフト両面の開発が 必要である。本紙では、協調型のシステム開発、ならびに、将来の統合化や並行運用が期待され、 既に、先行的に実施しているITS スキーム事例を幾つか紹介することで、次世代型の交通管理の イメージを明らかにする。 (出典 http://www.highways.gov.uk/knowledge/10931.htm) 図-1 現在の道路利用イメージ 2.協調型システム開発と実施スキーム 協調型システムは、道路の安全確保を主たる目標として、既に、10 余年前から研究開発が進め られており、事故ゼロ達成と環境保全には大きな期待が寄せられているが、システムの効率的な 運用には、道路ネットワークの整備も必要である。

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(1)協調型システム

協調型システムは、次世代型の交通管理を実現するための有力な1つのツールである。システ ムは、路側機と車載器で構成し、図-2 に示すとおり、無線でリンクして通信ネットワークを構 築する。道路状況データをリアルタイムに適切に収集し、加工、処理を施した上で、アプリケー ションに活用したり、道路管理者や利用者に対して適切な情報配信を可能にする。

(出典 Planning for intelligent transport system, Proposals for the introduction of intelligent transport systems into the 5.9GHz band in Australia October 2009)

図-2 路車間通信のネットワークイメージ

EC の欧州指令(Directive)と U.S. FCC が、道路安全を確保する通信として規定した DSRC 周波数帯域を図-3 に示す。現在のところ、DSRC を使用した小規模な協調型システムテストは 実施されたが、大規模実施についてはシステム開発が遅れている。道路側からのデータ収集、処

理、配信等の技術開発の遅れが1 つの理由とされている。

(出典 Planning for intelligent transport system, Proposals for the introduction of intelligent transport systems into the 5.9GHz band in Australia October 2009)

図-3 DSRC 周波数

① 開発状況

欧州の協調型システムは第6次プログラムにおいて、研究レベルの開発が、昨年、終了し、今

年3 月には、「オランダ協調型システム Demo」(図-4)において開発成果を公開した。さらに、

「Cooperative Urban Mobility」(協調型ハンドブック)を発表し、現在は第7次プログラムがス タートしている。

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(出典 Cooperative Mobility showcase 2010 CVIS Report)

図-4 オランダ協調型システム Demo

一方、米国は報告書「Achieving the Vision : from VII to IntelliDrive」、ならびに、POC シス テムアーキテクチャ試行テスト結果を公表して、図-5 に示すとおり、協調型システムが拡張性

を確保していることを示した。現在は、「VII」プログラムを「IntelliDrive」と名称を改め、研究

レベルのシステム開発からアプリケーション開発段階に移行したことを内外に示した。

( 出 典 Final Report, Vehicle Infrastructure integration, Proof of Concept. Technical description – Vehicle) 図-5 VII 拡張性確保の POC アーキテクチャ(部分) (2)欧米の開発協定 欧米両地域は標準車載器を明示し、昨年9 月に協調協定に調印して、今後は共同で研究開発を 推進することとした(図-6)。協調型アプリケーションは、位置情報への依存が高く、周波数と レイテンシの確認、OS によるマルチタスク化、稼動優先、利用者インタフェースとドライバーの 注意力低下等の課題、相互操作性と接続性確保などの諸課題に共同で取組み、図-7 にイメージ として示す協調型システムの実現に向けた開発を推進することになる。 米国 VII は POC レベルの拡張性を実施したが、大規模実展開での有効性やアプローチについ ても検討する必要がある。

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 米国運輸省の中期計画 (USDOT Strategic Plan) (出展 Newsletter for European ITS Related Research Projects January 2010)    ~ 米国ITS戦略計画におけるインテリドライブ推進のための6大項目~ 1. 国際協調 (3レベルの組織を設定)  国際協調の経緯と今後 ・ ハイレベルミーティング ・ ステアリング・コミッティ・ミーティング  2009年1月: EUとUSは「Implementataion Agreement」に合意、署名 ・ ITS技術ジョイント・タスクフォース <タスクフォースの協調分野>  使用すべき標準を決定  アプリケーションを開発  テストを実施 ECのITS用DSRC周波数帯域の上下に各20MHz追加⇒米国との協調を指 図-6 欧米協定に基づく中期計画概要

( 出 典 CVIS Cooperative Urban Mobility, Exploring the possibilities offered by next generation infrastructure-vehicle communications in tackling urban transport challenges)

図-7 協調型の将来イメージ (2)スキーム事例 将来、協調型との統合や並行実施が期待され、既に先行的に実施されているITS スキーム事例 を3 例紹介する。 ①可変速度制限 英国M25 号線で実施するスキームは、渋滞時のノロノロ運転や停車状況を回避する目的で、可 変速度制限を導入している。渋滞時には制限速度を下げることにより、一定交通流を維持する対 策である。走行速度を適切に変化させることでスループット拡大と排ガス低減を実現する(図-8)。 向  ドライバー注意力低下対策に取組  ターミノロジーを共有化 ノーマディックシステムを車両ベースシステムに統合することを指向 2009年5月: 米国V2I POC技術書 (Final version) 公表 2. V2V 2009年末: ECはPOC ITSコミュニケーション・アーキテクチャDoc.V3.0公表 (プロトタイプ作製) 将来目標 ・ 緊急ブレーキライト警報 ・ 衝突防止 ・ 前方衝突警報 ・ 交差点事故防止 ・ 死角と車線変更警報 ・ 歩行者事故防止  今後の計画 ・ Do not pass 警報 ・ 自転車事故防止 ・ 制御ロス警報 短期(2010年)目標: 「国際標準に関する協力タスクフォース」を設置 3. V2I ・ 交差点事故 ・ 車線逸脱事故 ・ 速度に関係する事故 ・ 商用車事故 4. ヒューマンファククター ・ ドライバーの注意力低下の課題 5.環境 6.政策と制度  NHTSA は、2013年までに、安全技術開発ならびにアプリケーション開発を促 進するための法令施行の是非を判断 中期目標: 欧米両地域の協調に向けた共通作業を規定。具体的には、 優先(準拠)使用すべき標準リストを作成

ECとRITAは「Joint statement of intent」を発表、更に、日本、アジア太平洋 地域の参加歓迎を表明

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(出典 DfT HA, M25 Variable Speed Limit Scheme Effect on Vehicle Exhaust Emission)

図-8 英国 M25 号線の可変速度制限スキーム

②公共交通の整備

公共交通を整備して道路容量の拡大と排ガス低減に成功した事例としては南米ボゴタ市の「ト ランスミレニオ」がある(図-9)。公共交通バスは、急行運行と各駅運行を基幹交通として並列

整備し、フィーダーとしてDRT(demand responsive transport)の無料サービスを導入した。

週平均利用者数は、130 万に達し、乗客の約 50%はフィーダーバスから基幹バス(スマートカー ドで料金支払い)に乗継ぐシステム運行が実現している。 (出典 http://www.elespectador.com/noticias/bogota/articulo-208694-buses-de-transmilenio- atropellaron-220-personas-tres-anos) 図-9 トランスミレニオ ③総合開発事業 米国コロラド州のT-Rex プロジェクトは、交通や経済など様々なデータ解析を基に実施した、 図-10 に示すような大規模な再開発事業である。工事開始から ITS を導入して建設効率化を確保 したプロジェクトである。低所得層の住宅地域と経済地区を結ぶライトレールを整備して地域経 済を活性化、パーク&ライド導入による渋滞緩和、排ガス低減、さらに、地域住民の輸送需要に 対応するタウンセンターの整備など、交通利用や地域特性に対応するための情報提供、輸送サー ビス等を整備した。

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(出典 Colorado T-REX Project (TRansportation EXpansion) - Wikipedia, the free encyclopedia.mht) 図-10 T-Rex プロジェクト 3.将来の交通管理と課題 現在、世界各地で稼動するITS スキームの多くは、主として、スタンドアロンや自立型システ ムとして稼動する中、上記の事例は、ITS システム統合の成功事例である。将来、協調型システ ムが実現すると通信ネットワークにリンクしたシステムやアプリケーションの統合化や並行稼動 が可能になり、道路管理者や事業者による次世代型の交通管理の実現が期待できる(図-11)。

(出典 U.S. DOT ITS strategic Research Plan 2010-2014)

図-11 将来の管理イメージ 道路利用者は、個々の目的、その時々の交通状況等、それぞれに適切に対応して、経路選択や 輸送手段を、情報を基にして「スマートに選択」することができる。将来、交通事故ゼロを達成 し、渋滞や排ガスが「過去の課題」となるような輸送システム構築の実現に近づくと期待される。 上記のとおり欧米で進められている取組みは注目に値するものであり、今後は、さらにレベル アップした情報の収集と分析を継続的に行うことですることが有用でありわが国の将来の施策に 大いに参考になり得ると考える。

参照

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