J.Jpn.Acad.Mid.,Vol.17,No.1,PP.35-46,2003.6
原
著
3歳 に な る第1子
を気 遣 い な が ら
4人 家 族 を形 成 す るプ ロ セ ス
The
formation
of a family
of four
while
considering
the
development
of the
firstborn
child
山 崎 あ け み(AkemiYAMAZAKI)* 要 約 目 的 親 子3人 の生 殖 家 族 に,新 しい成 員 で あ る第2子 誕 生 に よ り生 じ る フ ァ ミ リー ダ イ ナ ミク ス に つ い て,女 性 が表 現 した こ と を記 述 し,4人 家 族 の形 成 過 程 を探 究 す る こ とで あ る。 対 象 と方 法 本 研 究 はField Researchの 手 法 に よ る帰 納 法 的 ・質 的 因 子探 索 型 研 究 で あ る。 第1子 月 齢30か 月 か ら36か 月 まで で,第2子 を迎 え よ う と して い る7人 の女 性 に家 庭 訪 問 し,半 構 成 型 イ ン タ ビ ュー を妊 娠 末 期 ・産 後2か 月 ・産 後6か 月 に実施 した。1単 位 と して の家 族,家 族 内部 で の相 互 作 用,家 族 外 部 と の相 互 作 用 に つ い て,家 族 生活 の記 述 を試 み た。 結 果 「3歳 に な る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す るプ ロセ ス」 が話 題 の 中心 で あ った。 妊 娠 末 期 に は,も う4人 家 族 で は あ るが,胎 児 よ り第1子 を気 が か りに思 っ て い た。 産 後2か 月 に は,母 子3人 ・ 夫 婦 間 で,機 能 的 で は ない 家族 内部 の相 互 作 用 が表 現 され た。 しか し,産 後3か 月 ご ろか ら,第1子 は 兄 ・姉 ら し く,男 性 は よ り父親 ら し くな り,産 後6か 月 に は,4人 家 族 の生 活 が軌 道 にの った 様 子 が 表 現 され た。1単 位 で あ る4人 家族 は,家 族 の外 と も境 界 を通 じて交 流 し,女 性 が,気 兼 ね を しな くて よ い単 位 と して 日常 を見 つ め られ る よ うに な っ て安 定 を迎 え た。 結 論 第2子 の 出産 期 の 家族 ケ ア を行 う にあ た って,4人 家族 へ の再 編 成 と は,家 族 内 部 が 関 係 し合 い な が ら変 化 し,家 族 外 部 と も交 流 しつ つ,1単 位 と して安 定 を迎 え るプ ロセ ス で あ る とい う示 唆 を得 た。 キ ー ワ ー ド 形 成 期 の 家族 ケ ア,家 族 の 形成 過 程,フ ィー ル ド調査,第2子 を迎 え る家 族 Abstract Purpose
This research aims to describe what woman in families of procreation had to say about
*カ リフォル ニ ア大 学 サ ン フラ ン シス コ校 看 護学 部 博士 課程 修 了生 (University of California, San Francisco School of Nursing, Department of Family Health Care Nursing)
2003年1月9日 受 付2003年6月3日 採 用
3歳 に な る第1子 を気遣 いな が ら4人 家 族 を形成 す る プ ロセ ス
the changes in family dynamics as the result of the birth of a second child, in order to explore the formation of a family of four.
Method
This is a prospective exploratory descriptive study based on field research. Seven women, each with a child aged 30-36 months and expecting a second child, were interviewed in the survey. Semi-structured interviews were conducted at their homes on three separate occa-sions : towards the end of pregnancy, and at two and six months' postpartum. This research is an attempt to describe their family lives while highlighting three aspects : 1) the family as a unit ; 2) the interrelationship in family members ; and 3) the interrelationship between the family and the external world.
Results
The central theme was 'the formation of a family of four while considering the develop-ment of the first child'. The interviewees said that towards the end of their pregnancy, they spent their lives worrying about their firstborn rather than about the baby in the womb, despite already being a family of four. Two months following childbirth, complaints were ex-pressed about the dysfunction in interrelationship in family members : mother-and-children, and husband-and-wife. However, the women later reported that, at about three months after the birth of the second child, their firstborn had begun to act more like an older sibling, and the husband more like a father. Six months' postpartum, the family life of the four started to establish itself and the new family unit commenced communication with the outside world. At this stage, the families entered into a stable situation in which the women were able to view day-to-day life without stress.
Conclusion
The results from the research have shown the process of restructuring a family of three into a family of four. It is a process in which family dynamics change and interact as exchanges start to take place between the family and the community and families of origin ; the family thus becomes transformed into a stable unit.
Key Words Childbearing Family Nursing, Family Formation Process, Field Research, Family Transition Expecting a Second Child
I緒 言 育 児 を経 験 す る女性 は,生 涯 で2つ の家 族 の 中 で生 活 を営 む。 自 らが 育 ち成 人 す る まで生 活 の 基 盤 とな る定 位 家 族 と,パ ー トナー と共 に子 産 み 子 育 て しな が ら形 成 して ゆ く生 殖 家 族 で あ る。 家 族 社 会 学 に お い て は,出 産 に よ り家 族 成 員 を増 や し て ゆ く時 期 に は,女 性 が 親 役 割 を獲 得 す る 自己 の 発 達 と,形 成 さ れ て ゆ く生 殖 家 族 そ の もの の発 達 とい う2つ の発 達 過 程 が 同 時 に進 行 して い る(正 岡,1995)と して お り,中 で も家 族 周 期 論 的 ア プ ロー チ で は,第1子 妊 娠 か ら生 後30か 月 まで を, 家 族 の 基 盤 を 形 成 し て ゆ く発 達 課 題 を 抱 え た 重 要 な 移 行 期 と位 置 づ け て い る(Duvall,1985)。 し か し第1子 を 迎 え る 時 期 は,女 性 は 親 に な る こ と が 焦 眉 の 発 達 課 題 な の で,親 役 割 獲 得 に 焦 点 が あ て ら れ る こ と が 多 い(Mercer,1986)。 そ れ に 比 較 し て,第2子 を 迎 え る 時 期 に は,家 族 そ の も の の 発 達 が 研 究 さ れ る よ う に な る 。 し か し そ れ ら の 先 行 研 究 の 大 半 は,女 性 と第1子 と の 関 係 性 の 変 容 ・第1子 の 行 動 特 徴 の み に 注 目 し て い た り(Abarbanel,1983;Gottlieb&Bail-lies,1995),妊 娠 期 に 限 ら れ た 記 述 で あ っ た り (Jenkins,1976;Richardson,1983),構 成 型 イ ン タ ビ ュ ー の 結 果 の 数 量 的 分 析 が 中 心 で(大 月& 36日 本 助 産学 会 誌 第17巻 第1号(2003.6)
3歳 に な る第1子 を気遣 いな が ら4人 家 族 を形 成 す るプ ロセ ス 森,2002;Stewart,1990),親 子3人 家 族 か ら 4人 家 族 へ どの よ う に移 り変 わ っ て ゆ くの か ナ ラ テ ィブ に述 べ られ る こ と は少 な い。 助 産 師 は,女 性 が 定位 家 族 か ら 自立 し,自 らの 生 殖 家 族 を形 成 して ゆ く過 程 の 家 族 ケ ア を担 っ て い る。 よっ て,新 し い成 員 で あ る第2子 誕 生 に よ り生 じ る フ ァ ミ リー ダ イ ナ ミ ク ス の 縦 断 的 記 述 は,4人 家 族 は どの よ うに形 成 さ れ て ゆ くのか 知 る指標 とな り,形 成 期 の家 族 ケ ア を担 う助 産 実 践 に貢献 で き る。 この研 究 の 目的 は,女 性 が 表 現 し た こ とか ら4人 家 族 の形 成 過 程 を探 究 す る こ とで あ る。 II本 研 究 に お け る 概 念 の 枠 組 み 家 族 の 発 達 段 階 に沿 っ て分 析 を試 み るた め,家 族 周 期 論 的 ア プ ロ ー チ を用 い た。 夫 婦 の婚 姻 に よ り家 族 は発 生 し,子 の誕 生 に よ り成 員 を増 や し発 達 して ゆ く とい う周 期 論 的 ア プ ロ ー チ は,形 成 期 の 家 族 発 達 を研 究 す る上 で 有 用 で あ る(DuvaII, 1985;正 岡,1995)。 しか し,規 範 的 な親 子3人 家 族 の 発 達 周 期 が 前 提 で あ り,本 研 究 の よ う に4 人 家 族 を形 成 す る プ ロ セ ス の 記 述 に は 限 界 が あ る。 よ っ て家 族 境 界 の定 義 を意 識 し,成 員 間 の 相 互 作 用 の 性 質 を重 視 して い る家 族 シス テム 論 的 ア プ ロー チ も併 用 した(Friedman,1998;野 々 山, 清 水,2001)。 これ らの ア プ ロ ー チ を併 用 して, 次 に述 べ る家 族 の定 義 ・研 究 方 法 を設 定 した 。 III家 族 の 定 義 本 研 究 で は,家 族 につ い て,次 の よ うな 定 義 を 行 っ た 。 1単 位 と して の 家族 形 成 期 の 生 殖 家 族,す な わ ち 女 性,パ ー トナ ー,第1子,そ して 第2子 を1単 位 として の 家族 の成 員 と定 義 し,各 時 期,そ れ らの 成 員 の 家族 生 活 を包 括 す るエ ピ ソー ドを探 究 した 。健 康 的 に機 能 して い る一 単 位 と して の 家 族 は,内 部 で の相 互 作 用 が 活 発 で,外 部 に対 して 開放 シス テ ム で あ る と され て お り(Friedman,1998),相 互 作 用 に 関 して 以 下 の2つ を定 義 した。 家 族 内部 で の相 互作 用 1単 位 と して の家 族 の成 員 で あ る4人 の 間 に 生 じる相 互 作 用 と した。 家 族 外 部 との 相 互 作 用 1単 位 と して の家 族 の外 部,す な わ ち親 世 代 や 育 児 に関 す る コ ミュ ニ テ ィ との相 互 作 用 と した。 IV研 究 方 法 1.デ ー タ収 集 方 法 本 研 究 はSchatzman&Strauss(1973)の Field Researchの 手 法 に よ る 帰 納 法 的 ・質 的 因 子 探 索 型 研 究 で あ る。 自然 な セ ッテ ィ ング で の 家 族 生 活 を記 述 す るた め,女 性 の家 庭 に訪 問 し,日 常 生 活 に近 い状 況 で の イ ン タ ビ ュ ー ・参 加 観 察 に よ りデ ー タ収 集 を行 う こ とに した。 第1子 ・第2子 の 月 齢 に よ り,家 族 生 活 は 異 な る様 相 が 予 測 で き るた め,Duvallの 家 族 周 期 論 的 アプ ロ ー チ よ り第2段 階 か ら第3段 階 へ の移 行期, す なわ ち第1子 が 月 齢30か 月 か ら3歳 に な る まで に,第2子 誕 生 を迎 え る家 族 を対 象 と し,妊 娠 末 期 ・産 後2か 月 ・産 後6か 月 の 生 活 を記 述 した。 デ ー タ収 集期 間 は,1997年3月 か ら1999年3月 まで で あ った 。研 究 計 画 を明 記 した パ ン フ レ ッ ト を育 児 サ ー クル ・育 児情 報 誌 に配 付 し,第2子 を 迎 え る女 性 を募 集 した 。 申 し 出 の あ っ た 女 性 に は,研 究 目的 ・内 容 ・イ ン タ ビ ュ ー の概 要 を返 信 用 はが き と共 に郵 送 し,連 絡 を受 け た。 2.倫 理 的 配慮 本研 究 は,以 下 の よ う な倫 理 的 配 慮 を行 い な が ら実施 した 。返 信 用 はが き に て女 性 か ら連 絡 を受 け,初 回 の訪 問 日 を設 定 した 。 初 回 に は,研 究 者 が す で に出版 して い る質 的 研 究 法 で の論 文 を提 示 しな が ら,デ ー タ が どの よ う な形 式 で公 表 され る か,ま た,イ ン タ ビ ュー の 遂 語 録 は毎 回女 性 に送 付 され るの で,デ ー タ と して の使 用 を差 し控 え る べ き箇 所 は,い つ で も申 し出 て い た だ け る こ と を 説 明 した 。2回 目 は,出 産 後,女 性 か ら連 絡 を も らい,1回 目の イ ン タ ビ ュ ー の逐 語 録,2回 目参 加 の 意 思 表 示 をす る返 信 用 はが きを送 付 し,2回 目参 加 に同 意 した 女 性 に は,再 び返 信 用 はが き に て連 絡 を得 た 。3回 目 も同 様 の手 続 き を と り,研 日本 助 産学 会誌 第17巻 第1号(2003.6)37
3歳 にな る第1子 を気遣 いな が ら4人 家族 を形 成 す る プ ロセ ス 究 者 か ら電 話 等 で連 絡 を す る こ と は差 し控 え た。 計3回 の デ ー タ収 集 で は,家 庭 訪 問 時 とイ ン タ ビ ュ ー を 開始 す る前 に,テ ー プ収 録 の 同 意,い か な る プ ラ イ バ シー も保 護 され る こ と,参 加 は今 で も 辞 退 可 能 な こ とを確 認 した。 3.デ ー タ分 析 お よ び そ の確 か ら しさの 確 保 デ ー タ分 析 のた め に,第1に,フ ィー ル ドノー トと イ ン タ ビュ ー の逐 語 録 を作 成 し た。 第2に, 本 研 究 にお け る家 族 の 定 義 につ い て女 性 た ち が ど の よ う に表 出 した の か カ テ ゴ リー の 抽 出 を行 っ た 。 第3に,第1子 の 時,あ る い は前 回 の イ ン タ ビ ュ ー の時 と比 較 しな が ら,4人 家 族 を形 成 す る プ ロ セ ス に つ い て抽 出 を行 っ た。 確 か ら し さの確 保 の た め は,第1に,先 に述 べ た デ ー タ収 集期 間 は,デ ー タ収 集 と分 析 をで き る か ぎ り同 時 に実 施 し,カ テ ゴ リー の比 較 検 討 を行 っ た。 第2に,計3回 の デ ー タ の逐 語 禄 と分 析 の 概 略 を対 象 者 に提 示 して意 見 を得 た 。 デ ー タ分 析 は,質 的 研 究 法 を実 践 して い る研 究 者 ・実 践 者 か ら助 言 を得 た 。 V結 果 対 象者 の背 景は,表1の とお りで ある。2人(B・ D)は,女 性 の希 望 に よ り,第1子 同 伴 に て3回 と も イ ン タ ビ ュ ー を実 施 し た。 一 方,他 の5人 は,第1子 が 同 伴 し て い る時 ・昼 寝 を し て い る 時 ・保 育 園 や幼 稚 園 に い る時 な ど時 期 に よ り異 な っ た。 各 家 庭 に 訪 問 した 最 初 の半 時 間 は,母 子 の 生 活 を妨 げ な い よ う に雑 談 を しな が ら観 察 を行 っ た。 そ の 後,イ ン タ ビ ュ ー は,「1単 位 と して の 家 族 」 「家 族 内部 で の相 互 作 用 」 「家族 外 部 との 相 互 作 用 」 の それ ぞれ に つ い て家 族 生活 で の 話 題 を 中心 に,テ ー プ録 音 しな が ら1時 間 半 か ら2時 間 半 実施 した 。 時 に は,イ ンタ ビ ュー が 終 了 した 後 に も,話 題 が 尽 き な い こ と もあ り,各 時 期,平 均 して 各 家庭 に3時 間 滞 在 した 。 そ の 結 果,図1に 示 す よ う に,「1単 位 と し て の 家 族 」 「家 族 内 部 で の 相 互 作 用 」 で は,妊 娠 末 期 ・産 後2か 月 ・産 後6か 月 に か け て4人 家 族 に 移 行 して ゆ くプ ロ セ スが 抽 出 され,「 家 族 外 部 と の 相 互 作 用 」 で は,各 期 を通 じ て共 通 す る2つ の カ テ ゴ リー が抽 出 され た。 1.妊 娠 期 1)1単 位 と して の 家 族 「も うす で に4人 家族 」 下の子 が も うい る と い う想 定 で会話 が 進 ん で しま うん で す。4人 家族 の 会話 に な っ で い ます。部 屋 を ど うい う風 に す るか,何 を置 ぐか とか,ど うい う風 に寝 るか とか,こ うい う もの を増 や そ う と話 を して いる時 に 「もう4人 家族 だ な」 っ て感 じ ます ね。 何 か あ る ご とに 自然 に 「この 子が 生 まれ た ら こ うしよ う」 とい うこ とばが出 ますね。(A) 妊 娠 末 期,も うす で に4人 家 族 に な って い た。 胎 児 は まだ 生 まれ て きて い な いだ け で,成 員 の意 識 の 中 に はい つ も存 在 し,こ の子 が生 まれ て きた ら とい う前 提 で 日常 会 話 を し て い た。 中 に は,自 分 で胎 児 に名 前 を つ け て い る第1子 もお り,親 子 3人 が そ の 名 で 胎 児 に話 しか け た り して いた 。 2)家 族 内 部 で の 相 互 作 用 ① 「1人 目ほ ど実 感 な い様 子 」 子 ど もが い な けれ ば手 抜 きで きるん です が,上 の 子 が いる と掃除 だ ご飯 の用 意 だ,ち ょ っ と手 伝 って ぐれ た ら と。 周 クの人 に は頼 め る こ と と頼 めな い こ とが あ ります け ど,.主人 に はな ん で も言 え ます よね 。 で も例 え ばふ ろ掃 除 とか,最 初 の 子の 時 に は 「お な か の子大 丈夫 か な」 とか,「 冷 え て流 れ た ク しな いか な」 とか す ご ぐ心配 しで。 で もそ うい うこ と して も 実 際 は元 気 に生 まれ て きた わ け で,2人 目 は多 少 の ことが あ っ て も大丈 夫 だ と思 って る。(C) 女 性 た ち に は,男 性 は,2人 目 の妊 娠 に は1人 目 の と きほ ど実 感 が な く,妊 婦 で あ る女 性 も胎 児 を も気 遣 って い な い よ う に感 じ られ た 。 そ して, 他 の人 に は頼 め な い こ と も頼 め る存 在 な の で,言 わ な い うち か ら家 事 や育 児 を助 け て ほ しい こ とを 述 べ た 。 それ は,第1子 妊 娠 中 と比 較 に な らな い 量 の 家 事,休 日に第1子 を連 れ 出 して くれ る こ と な どで あ った 。 ② 「お な か の 子 よ り も上 の子」 1人 目の時 に は,自 分 の ペ ー ス で生 活 で き ま す け どね,2人 目 は なん か来 週 で臨 月 に は い るん で す け ど,全 然 そん な気 自分 で もな い し,ま わ り もな いみ た い な。動 き回 っ て い ます。 で もど っ ちか 言 うた ら その方 が気 が ま ぎれ る,活 気 づ いで る。(G) 妊 婦 で あ る女 性 た ち に とっ て も,2人 目 は妊 娠 して い る実 感 が な い 。 それ く らい に 第1子 の世 話 38日 本 助 産学 会 誌 第17巻 第1号(2003.6)
3歳 に な る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す るプ ロセ ス 表1対 象 者 の背景 A B C D E F G 注)対 象 者 は い ずれ も20代 後 半 か ら30代 前 半 の ご夫 婦 。 第2子 の 出 産 予定 日 に,第1子 は月齢30∼36か 月 で あ った。 日本 助 産学 会誌 第17巻 第1号(2003.6)39
3歳 に な る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す るプ ロセ ス
3歳 に な る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す る プロ セ ス に追 わ れ 忙 し い 日 々 で は あ る が,む し ろ1人 目 の 妊 娠 期 と比 較 す る と体 調 が よ い と 言 う 。 た だ,第 1子 が 病 気 の と き,自 分 が つ わ り ・切 迫 早 産 な ど の 体 調 不 良 の と き に は,家 族 の 世 話 も ま ま な ら ず,ま た 妊 娠 し て い る 自 分 の か ら だ も 十 分 に休 め る こ とが で き な い と訴 え た 。 ③ 「3つ 差 は駆 け 引 き 」 年 子 は,一 緒 に 育 て て い る感 覚 や か ら子 ど も は楽 。 お か あ さ ん は,あ か ち ゃ ん2人 い る よ う な もん や か ら,そ う い う面 で は た い へ ん 。 で も,変 に 上 の 子 に 知 恵 つ い て な い か ら。 や っ ぱ り,3つ 差 は,知 恵 つ い て き て る で し ょ う?子 ど もに 。 友 達 と遊 び た い 時 期 や し,外 に 出 た い 時 期 。 こ う した ら お か あ さ ん の 気 を ひ け る と か,わ か る か らね 。 で も,い い こ と も し て ぐれ る し わ り と駆 け 引 きが 多 い。(F) 第1子 は,妊 婦 検 診 に 同 伴 し て も,大 人 の 親 た ち ほ ど新 し い 命 に対 す る 実 感 は な い 。 周 囲 か ら の 「お 兄 ち ゃ ん に な る ん だ よ ね 」 と い っ た 言 葉 か け, 母 親 の か ら だ の 変 化 か ら,い つ の 間 に か な ん と な く理 解 す る とい う 。 そ し て,3歳 児 は ど の 子 も, 妊 婦 で あ る 女 性 を 気 遣 う 成 長 ぶ り を み せ た り,悪 戯 ・退 行 ・兄 弟 葛 藤 を して 困 らせ た り しな が ら兄 ・ 姉 に な っ て ゆ く。 女 性 た ち は,1日 も 早 く兄 ・姉 に 成 長 し て ほ し い と い う 自 分 の 思 い と,も っ と母 親 に 甘 え て い た い と い う 第1子 の 思 い と を駆 け 引 き し な が ら過 ご し て い る様 子 を表 出 し た 。 2.産 後2か 月 1)1単 位 と して の 家 族 「第1子 の 生 活 リ ズ ム は 家 族 の 時 計 」 上 の 子 が,保 育 園 に い くか ら遅 く て も朝8時 半 に は 起 き な い と い け な い の で,夜 の 授 乳 で 寝 られ へ ん の が つ ら い な。1人 目 の と き は,外 に も ま だ(あ か ち ゃ ん を)連 れ だ さ ん か っ た け ど,お 迎 え が 夕 方 や か ら一 緒 に ね,車 で,ま だ 下 の 子 は 小 さ い か ら車 の 中 で 待 っ て て も ら う と か。 で も ね お 兄 ち ゃ ん も す ぐに は家 へ 帰 っ て くれ な いん で す よ,「 外 で遊 ぶ」 っ て。 友 だ ち に は 感 謝 し て ま す,「 見 て た げ る」 っ て。 あ と,お ふ ろ。 主 人 が 早 か っ た ら い い け ど,夜11時 や か らね,お 兄 ち ゃ ん に は遅 い し,自 分 で2人 入 れ な い と い げな い か ら,も うた いへ ん 。(G) 第2子 誕 生 後 も,家 族 生 活 に お け る-起 床 ・外 出 ・食 事 ・入 浴 ・就 寝 な ど の タ イ ミ ン グ を 決 定 す る の は,第1子 で あ る 。 女 性 た ち は,妊 娠 期 か ら 願 っ て い た よ う に,第1子 の 生 活 リ ズ ム を 崩 さ な い た め に,夫 ・実 家 ・コ ミ ュ ニ テ ィ か ら さ ま ざ ま な 支 援 を活 用 し つ つ,自 ら も 産 後 早 々 に 活 動 し て い た 。 し か し,産 褥 早 期 は 体 調 も き つ く,授 乳 を は じ め と す る第2子 の 世 話 もペ ー ス が つ か め ず, 家 族 生 活 の 日 常 は 必 ず し も 機 能 的 で は な い 。 次 に 述 べ る よ う に,母 子3人 は 葛 藤 し,ま た 男 性 は, そ の よ う な 母 子 の 日常 と は 離 れ た 感 じ で 表 現 さ れ た 。 2)家 族 内 部 で の 相 互 作 用 ① 「主 人 は や っ ぱ りね … … 」 夜 中 の2時 ご ろ に 帰 っ て き て,「 お し っ こ し て る でノ っ て,お しめ か え て,自 分 は 上 に寝 に い き ま す。 も う,寝 て る の に 起 こ さ ん と っ て!も う,夜 中 に 寝 て る の に っ て。 期 待 で き な い っ て い うわ け じ ゃ な い ん や け ど,や っ ぱ ク,し ょ せ ん 男 な ん か な あ,み た い な。(E) 平 日 は 母 子3人 の 日常 と,男 性 の 生 活 に は 隔 た りが あ り,ど の 女 性 も男 性 か ら思 う よ う な 支 援 が 期 待 で き ず,「 や っ ぱ り ね 」 と 諦 め た よ う に 表 出 され た 。 男 性 は 夜 遅 く帰 宅 し た 時,ま た は 週 末 に, 母 子 の 生 活 に 近 づ く。 こ の 時 期 の 女 性 た ち は,忙 し い の が わ か っ て い る か ら今 の ま ま で し か た な い と考 え,実 家 ・育 児 仲 間 と 日常 の 大 半 を 過 ご し て い た 。 し か し,ど の 女 性 も男 性 の 父 親 と し て の あ り方 に 必 ず し も満 足 し て い る わ け で は な か っ た 。 ② 「私 が も う 一 人 い た ら な 」 産後 は 想 像 し て いた 以 上 に つ ら い。 あ れ も し な い と,こ れ も しな い と っ て と き に「 遊 ぼ ー」 っ て こ ら れ る と,今 ま で上 の 子 に そ ん な こ と 言 っ た こ と も な い の に っ て い う こ と 言 っ てね 。rど う し て,我 慢 で き な い の!!」 っ て ね。 そ ら お ね し ょ も した クす る や ろ う な っ て。 う え 一 っ て同 時 に 下 も泣 き 出 す と,な ん で こん な 時 に っ て。(C) ま だ2人 の 子 ど も の 育 児 が ま ま な ら ず,葛 藤 す る 日常 を あ る 女 性 は,自 分 が も う 一 人 い た ら と表 出 し た 。 産 後2か 月 は,女 性 の 体 調 が ま だ 回 復 せ ず,第2子 の 授 乳 の リ ズ ム も不 規 則 で,新 生 児 の 世 話 も楽 で は な い 。 第1子 は,今 ま で の 生 活 ど お り に は ゆ か ず,い く ら か の 我 慢 を 余 儀 な く さ れ, ス トレ ス 下 に 置 か れ る 。 育 児 そ の も の は 心 配 な い 女 性 た ち だ が,2人 の 子 ど も が 同 時 に 泣 き 出 す と 自 分 も泣 い て し ま う ほ ど つ ら い 様 子 を 述 べ た 。 日本 助産 学 会誌 第17巻 第1号(2003.6)41
3歳 に な る第1子 を気 遣 いな が ら4人 家 族 を形成 す るプ ロ セ ス 3.産 後6か 月 1)1単 位 と し て の 家 族 「気 兼 ね を し な く て よ い 単 位 」 私 が 「家 族 だ な あ」 と 実 感 す る と き は ね,休 日 に .主人 が 子 ど も た ち の 面 倒 を 家 で み て くれ て,そ の そ ば で私 が うた た 寝 を して い る と き。 他 の人 に 子 ど も を お 願 い し て も 「げ ん か し て な い か な,泣 い て へ ん か な」 と気 に し て る。 げ ど主 入 は家 族 だ し気 に し な く て い い。 で も私 も一 緒 に 遊 び の 輪 に 入 る と,家 族 の 時 間 だ げ ど も ち ょ っ と違 うな 。 安 心 し て 任 せ て そ の横 で う と う と うた た 寝 で き る,あ あ 私 の 家 族 だ な あ と。(D) 4人 家 族 に な っ て 半 年 過 ぎ た こ ろ,ど の 女 性 か ら も,1単 位 と し て の 家 族 生 活 を 包 括 す る エ ピ ソ ー ド と し て,食 事 ・睡 眠 ・入 浴 な ど4人 で 過 ご す さ さ い な 生 活 場 面 が 取 り上 げ ら れ た 。4人 家 族 に な り,兄 弟 の 相 互 作 用 が 生 ま れ,生 活 の 場 に 味 わ い が 増 した と い う。 女 性 た ち は 皆,何 気 な い 日 常 風 景 を 微 笑 ま し く眺 め る よ う に な り,家 族 は 気 兼 ね を し な く て よ い 単 位 と し て と ら え て い た 。 2)家 族 内 部 で の 相 互 作 用 ① 「自 分 中 心 か ら 家 族 中 心 へ 」 上 の 子 が で き た と き も,漠 然 と 「家 族 に な っ た な」 と は思 っ て た ん で す。 で も,主 人 も私 も ま だ,子 ど も を ど こ か に 預 け て2人 で遊 び に 行 き た い と か 考 え て た ん で す。 そ う い う面 で は上 の 子 は か わ い そ う で す け ど,2人目 が 生 ま れ てか ら は,い つ の 間 に か 自 然 に家 族 の こ と を い つ も考 え て い る し,家 族 の 物 を 買 い 物 し て い る し,家 族 で 外 出 で き る と こ ろ に 目 が ゆ き ま す ね 。(A) あ る 女 性 は,第1子 の 育 児 を し て い る 時 に は, 夫 婦 は お 互 い に1人 で 外 出 し た い とか,夫 婦 で 遊 び に ゆ き た い と い う 願 望 が あ っ た と回 想 し た 。 そ れ に 比 較 し て 今 は,我 慢 し て い る の で は な く,ご く 自 然 に,家 族4人 で 出 か け る と こ ろ,家 族 の た め の 買 い 物 な ど,自 分 の 日 常 が 家 族 中 心 に な っ て い っ た と述 べ た. ② 「お 父 さ ん ら し くな っ た 」 思 っ で い た よ り も,手 伝 っ て ぐれ る よ う に な っ た の が うれ しか った 。 全 然 期 待 し て な か っ た ん で す け ど,下 の 子 を 早 ぐか ら お ふ ろ に入 れ て ぐれ る よ う に な っ た し,あ る時12時 か ら3時 ま で 眠 れ な い こ と が 何 日 が 続 い て … … そ う した ら一 晩 中,寝 る ま で抱 い て い て くれ ま した ね 。(A) 2人 目 の 育 児 は,男 性 に と っ て も 初 め て の 時 と 比 較 して 不 安 は 少 な く,早 くか ら育 児 に参 加 す る よ うに な っ た とい う。 この 時 期 の 女 性 た ち は皆, 男 性 の こ とを第1子 の 時 よ り も 「お 父 さ ん ら し く な っ た 」 と述 べ た。 産 後2か 月 に は,父 親 と して の あ り方 に必 ず し も満 足 し て い な か っ た が,こ の時 期 の女 性 た ち は,第1子 の子 育 て と比較 して, よ り父親 ら し くな っ た 一 面 を強 調 した 。 あ る女 性 は,期 待 し て い な か っ た だ け に うれ し い とい う。 ③ 「下 の 子 が3か 月 に な る と楽 に な る」 私 よ ク少 し先 に生 ん だ 方 か ら 「下 の子 が3か 月 を 過 ぎ る と同 時 に,上 の 子 の状 態 が ち ょ っ とま しに な る よ」 と聞 いたん で す け ど,ほ ん と うに 下 の 子が3 か月 に入 った と同 時 に落 ち着 い て きた ん です。 や っ と,下 の 子 を受 け入 れ られ る よ うに な っ て きた し, そ うい う生活 に慣 れ て きた。 それ か ら親 の 体 が楽 に な っ て,落 ち着 い て接 す る ことが で きる よ うに な っ た。 首が すわ っ て 下の 子 を抱 い て買物 で き るよ うに な った りした し。(C) 女 性 た ち は,2人 の 子 ど もの 育 児 が 軌 道 に の る 様 子 に つ い て,育 児 仲 間 か ら この よ う に ア ドバ イ ス され るの だ とい う。 産 後 の女 性 の か らだ が 回 復 し て くる と,第1子 も自然 に落 ち 着 き,き ょ うだ い と生 活 す る こ と に慣 れ,第2子 は母 親 一第1子 の 生 活 に あ わ せ て寝 起 きす る よ う に な っ て きた 。 第1子 を気 遣 っ て の 外 出 は,こ の 時 期 の女 性 に と っ て も よい 気 分転 換 に な り,2人 目の 育 児 は,い い 意 味 で手 抜 き をで き て楽 しめ る と表 現 した。 生 活 リズ ム の 中 心 は第1子,そ の リズ ム に女 性 と第 2子 が か み合 わ さ って ゆ く様 子 が 表 現 さ れ た 。 ④ 「お兄 ち ゃん ・お姉 ち ゃん に な っ た 」 な んか 雰 囲気 が ち ょ っ と変 わ っ た?う ん,な ん か ね幼稚 園 も楽 し くな っ たみ た い。 「お 母 さんが い な くて寂 しい」 って何度 とな く泣 いて いた そ うで すが。 あか ち ゃん に も今 は優 しい。 ち ょ っか い出 します け ど 「早 く遊 ぼ うよ」「早 く歩 い てよ」 って。 この 子 も ね,お 姉 ち ゃんが い る と機 嫌 が よ くっ てね,だ か ら 随分 と変 わ っ でき ま した よ。(B) 産 後6か 月 に は,ど の 女性 も第1子 が 「お 兄 ち ゃ ん ・お姉 ち ゃ ん に な っ た 」 と安 堵 して い た 。 そ れ は,女 性 が 妊 娠 中 か ら何 よ り も気 が か りに 思 い,気 遣 っ て い た 第2子 を迎 え る家 族 の 発 達 課 題 で あ る。 第1子 の 生 活 リズ ム を保 ち,成 長 を妨 げ る こ との な い よ う に,新 しい 家 族 成 員 を迎 え4人 家 族 を形 成 す る プ ロ セ ス は,第1子 が 家 族 の 中 の 42日 本 助 産 学 会 誌 第17巻 第1号(2003 .6)
3歳 にな る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す る プ ロセ ス 新 し い 役 割 を 担 い な が ら生 活 で き る よ う に な り, 一 段 落 し て い た。 4.各 期 を 通 じ て 1)家 族 外 部 と の 相 互 作 用 ① 「コ ミ ュ ニ テ ィ は 子 ど も と私 の 大 切 な 居 場 所 」 秋 ぐ ら いか な。 こ の 子(第1子)が8∼9か 月 の と き,ベ ビー カ ー で小 学 校 の そ ば を通 る と,そ う す る と じ っ と見 て 喜 ぶ ん で す 。 あ あ,や っ ぱ りな に か, あ る ん だ ろ うな 。 な に か,子 ど も同 士 の な に か が あ る ん だ ろ う な っ て。 そ れ か ら 子 ど も同 士 の つ な が り を もた せ た い な と。 こ の 子 が1歳 に な っ た と き,こ の ま ま じ ゃ 親 子 ス トレ ス た ま る と思 っ て,な ん か 生 活 の パ タ ー ン が ね,起 き て,遊 ん で,食 べ て っ て 単 調 に な っ て し ま う ん で,サ ー ク ル に 入 っ て,親 子 で 楽 し め る,他 の 子 と 一 緒 に 遊 べ る っ で う れ し い。(B) コ ミ ュ ニ テ ィ の 育 児 仲 間 は,イ ン タ ビ ュ ー の さ ま ざ ま な 時 期 に,す べ て の 女 性 か ら,貴 重 な ピ ア と し て 述 べ ら れ た 。 専 業 主 婦 の 女 性 た ち は,第1 子 の 妊 娠 か ら育 児 仲 間 に 出 会 え る ま で の 期 間 が, い か に 孤 独 で つ らか っ た か と一 様 に 訴 え た 。 女 性 に と っ て は 家 族 と異 な る 自 分 の 居 場 所,第1子 に と っ て も両 親 ・祖 父 母 か ら は 得 られ な い 子 ど も の 世 界 で あ る と い う。 た だ そ の 一 方 で,母 子 の 生 活 と父 親 の 日常 に 隔 た りが あ る よ う に,母 子 に と っ て 大 切 な 家 族 の 外 の 居 場 所 で の 出 来 事 は,パ ー トナ ー に 語 っ て も理 解 が 得 られ な い 。 あ る女 性 は,コ ミ ュ ニ テ ィ で の 育 児 仲 間 と の トラ ブ ル に つ い て,話 し た と き の 様 子 を 「状 況 の イ メ ー ジ が つ か な い の だ と 思 う 」 と 述 べ た 。 家 族 の 外 の 育 児 仲 間 と は,子 ど も と 女 性 の 大 切 な 居 場 所 で あ っ て,ど の 女 性 に と っ て も そ こ に は 父 親 の 存 在 は な か っ た 。 ② 「親 世 代 は 半 分 家 族 」 上 の 子 が 小 さ い 時 は,(舅 ・姑 に)来 ら れ て(子 ど も を)連 れ 回 され た ク さ れ る と,も う子 ど も も ぐ っ た ク状 態 に な る こ と もあ っ て,(主 人 に)お 願 い だ か ら,会 い に来 て も家 の 中 で過 ご す とか お 願 い し て ほ し い と ず っ と 言 い続 け て て。 で も 「そ ん な ん 言 う て も し ょ うが な い や ろ(夫)」 っ て,お か あ さん に は 頭 が 上 が ら な い み た い で な か な か 言 っ て も ら え な くて。 で も2人 目 に な る と私 も遠 慮 せ ず に 言 え る よ う に な っ た し,主 人 も 「お ふ くろ,そ ん な こ と す る な よ」 とか,変 わ っ て き ま した ね(C) 姑 と同 居 して い る女 性 は,自 分 に とっ て の家 族 は 親子4人 だ け れ ど も,第1子 に と っ て は,姑 も 含 め てか も しれ な い と表 現 した 。 また,別 の女 性 は,実 家 は近 所 な の で毎 日行 き来 が あ る親 密 性 を 述 べ る 一方 で,第2子 は,祖 父 母 と自分 た ち家 族 とを 区別 して い る と述 べ た。 つ ま り実 家 の 祖 父 母 は,他 人 よ り近 い けれ ど 「半分 家 族 」 と表 現 した。 イ ンタ ビュ ー の さ まざ まな 時 期 に,ど の 女 性 か ら も,親 世 代 と自 分 た ち 夫 婦 との 関 係 の 変 化 が 表 出 さ れ た。 あ る女 性 は,実 家 や 姑 ・舅 の あ りが た み を実 感 した と述 べ た 。 日中 に第1子 を連 れ 出 し て くれ る こ と,買 い 出 し を手 伝 って くれ る こ と, 日常 の細 々 した もの を 送 って くれ る こ とで あ る。 里 帰 りした 女性 は,決 して 否 定 的 な意 味 合 い で は な く,も う実家 は 自分 の 居 場 所 で はな く,早 く自 分 の 家 に帰 り4人 家 族 で 生 活 した い と感 じた と述 べ た 。 また あ る女性 は,男 性 が 親 世 代 に意 見 す る よ う にな り,舅 ・姑 も受 け入 れ る よ うに な っ た と い う。 これ らの 関 係 の 変 化 は,女 性 た ちが 形 成 し て い る生 殖 家 族 の 成 熟 して ゆ く過 程 を表 す と考 え られ る。 VI考 察 1980年 代 に,Stainton(1985,1989)が,妊 娠 末 期 の胎 児 は,家 族 に とっ て す で に成 員 の 一人 で あ る と報 告 し て い る よ う に,本 研 究 の 女 性 た ち も,妊 娠 中 か ら 「も うす で に4人 家族 」 と表 現 し て い た。 しか し胎 児 は た しか にす で に家 族 の一 員 で は あ る けれ ど も,ど ち らか と言 え ば 「お な か の 子 よ り も上 の 子 」 を気遣 い生 活 し て い た。 また第 2子 が 誕 生 して か ら も,「 第1子 の 生 活 リズ ム は 家 族 の 時 計 」 として語 られ て い る よ うに,本 研 究 の 女性 に とって,3歳 に な る第1子 を気 遣 い な が ら,4人 家族 を形 成 して ゆ くプ ロ セ ス が話 題 の 中 心 で あ った 。 第2子 を迎 え る家 族 の 形 成 過 程 で は,女 性 の 妊 娠 ・出産 ・育 児 そ の もの は大 きな課 題 で は な く, 4人 家 族 へ の シ ス テ ム再 構 築 が課 題 で あ り,第1 子 一母 親 サ ブ シ ス テ ム を通 じて 問 題 が 表 出 され る こ とが 多 い(山 崎,1997)。 本 研 究 で も,妊 娠 期 の 女 性 た ち は,兄 ・姉 に 早 く成 長 し て ほ しい とい う 自分 の思 い と,も う少 し母 親 に甘 え て い た い とい 日本助 産 学 会誌 第17巻 第1号(2003.6)43
3歳 に な る第1子 を気 遣 い なが ら4人 家 族 を形 成 す るプ ロセ ス う3歳 に な る第1子 の 思 い との 間 で 「駆 け 引 き」 しな が ら過 ご して い た 。 さ ら に産 褥 早 期,生 活 の 再 編 成 に お け る課 題 と して,女 性 と2人 の子 ど も との 相 互 作 用 の場 面 が鮮 明 に表 出 され た。 第1子 の 育 児 ・新 生 児 の 世話 そ れ ぞ れ は な ん の問 題 もな い女 性 た ち も,2人 の 子 ど もに1人 で対 応 す る こ とが 日々難 し く,「私 が も う一 人 い た ら な」 と表 現 した 。 つ ま り,産 褥 早 期 の 女 性 の 疲 労 が,子 ど もた ち それ ぞ れ に余 裕 を も って 接 す る こ とを難 し くし, ま す ます悪 循 環 し,涙 を流 す ほ どの体 験 と して 何 人 か の女 性 か ら語 られ た 。Jenkins(1976)の 事 例 研 究 で も,2人 の 子 ど も を同 じ よ うに愛 す る こ と,同 時 に世 話 をす る こ とが 困 難 で,2人 目 の 子 ど もの産 褥 早 期 に は葛 藤 の 種 に な る とい う報 告 と 同様 で あ る。 これ ら よ り,女 性 と2人 の子 ど もが 機 能 的 に相 互 作 用 す る こ と は,第2子 を迎 え る家 族 の重 要 な発 達 課 題 と して 考 え られ る。 女 性 た ち は,先 に 述 べ た 母 子 の 相 互 作 用 で表 出 さ れ る家 族 の 発 達 課 題 につ い て,少 しで もパ ー ト ナ ー と協 力 しなが ら4人 家族 を形 成 した いの だ が, 現 実 に は母 子 とパー トナ ー の 日常 とは隔 た りを も っ て表 出 され た 。 女性 た ち は,母 子 の 日常 を鮮 明 か つ詳 細 に表 現 す るの に対 し て,パ ー トナ ー に 関 して は,第1子 の妊 娠 期 に比 較 し て 「1人 目ほ ど 実 感 な い様 子 」 と表 現 し,産 後2か 月 に は 「主 人 は や っ ぱ りね … … 」 と諦 め た よ う に言 い,多 くを 語 る こ とは な い 。 女 性 た ち はパ ー トナ ー に は期 待 せ ず,コ ミ ュニ テ ィの 育 児 仲 間 か ら経 験 上 「下 の 子 が3か 月 に な る と楽 に な る」 と励 ま さ れ,こ の 時 期 を乗 り切 っ て い た 。 森 岡(1993)は,日 本 の 家 族 形 成 過 程 に つ い て,欧 米 は夫 婦 を中 心 とす る夫 婦 家 族 制 で あ るの に対 して,日 本 は夫 婦 が 家 族 関 係 の 中軸 で は な く 母 親 中心 的 で あ る こ とが 特 徴 と指 摘 して い る 。 さ らに家 族 は,社 会 と境 界 を通 じて相 互 作 用 を繰 り 返 し な が ら形 成 さ れ て ゆ くの で(Friedman, 1998),4人 家 族 の 形 成 過 程 を 取 り巻 く社 会 的 ・ 文 化 的 文 脈 の影 響 も否 め ない 。 日本 の父親 は,仕 事 に費 や す時 間が 長 く,家 事 ・ 育 児 な ど家 族 との 生 活 時 間 が 諸 外 国 に比 較 して 少 な い こ とは90年 代 に 指 摘 され,そ の調 査 結 果 は し ば しば引 用 され る(NHK放 送 文 化 研 究 所 世 論 調 査 部,1995)。 しか し,仕 事 中 心 の 社 会 的 ・文 化 的 文 脈 を彼 らが 変 え る こ と はで き ず,そ の 中 で 生 き て ゆ か ね ば な ら な い こ と は,男 性 に は逃 れ る こ との で きな い 現 実 で あ る。 また 初 め て の子 ど も を 迎 え る妊 娠 期 の 夫 婦 で も,妊 婦 で あ る女 性 と は異 な り,男 性 に は その期 間 の長 短 に個 人 差 は あ るが, 妊 娠 か ら心 理 的 に距 離 を お く特 徴 的 な時 期 が あ る と古 くか ら指 摘 され て い る(May,1982)。 これ ら よ り,本 研 究 の女 性 た ち か ら表 出 され た 男 性 の父 親 と して の あ り方 は,日 本 の 家 族 形 成 過 程 の特 性 ・男性 を取 り巻 く社 会 的 ・文 化 的 文 脈 ・ 父 親 と母 親 の心 理 的 特 徴 の違 い を考 慮 しな けれ ば な ら な い と言 え る。 4人 家 族 へ の 生 活 の 再 編 成 の た め に 生 じた 家 族 内 部 で の相 互 作 用 の 課 題 も,産 後6か 月 に は,女 性 か ら異 な るか た ち で 表 出 さ れ た。 つ ま り,女 性 は,男 性 が1人 目の 育 児 に比 較 して,2人 目 は早 くか ら慣 れ て きて,「 お父 さん ら し くな っ た 」 と 思 え る よ う に な り,第1子 に 対 して も,「 お 兄 ち ゃん ・お姉 ち ゃ ん に な っ た」 と感 じ る よ うに な る。 また 産 後6か 月,4人 家 族 へ の再 編 成 が 安 定 期 を 迎 え る ころ,女 性 は,家 族 を 「気 兼 ね を しな くて よ い単 位 」 と感 じ,日 常 生 活 を ゆ と り もっ て 見 つ め る よ うに な っ た 。 産 後3か 月 に は,兄 ・姉 らし くな り成 長 し始 め る時 期 と報 告 さ れ て い る(大 月&森,2002)よ う に,第1子 は,第2子 を迎 え る に あ た り葛 藤 ・嫉 妬 な どを乗 り越 えて 兄 ・姉 に成 長 して ゆ き,い つ ま で も否 定 的 な 反 応 で は な い。 小 島 ら(2001) は,第1子 が42か 月齢 未 満 の場 合,精 神 的 に不 安 定 な振 る舞 い を す る頻 度 と母 親 を い た わ る頻 度 の い ず れ も高 い と指摘 し なが ら も,自 分 の こ とを母 親 が 第2子 に話 題 にす る と,第1子 は依 存 や 攻 撃 な どの行 動 を示 し に くい と報 告 して い る。 以 上 よ り,女 性 た ち の話 題 の 中 心 と して抽 出 され た,3 歳 に な る第1子 は,兄 ・姉 と して 成 長 で き る よ う 気 遣 わ れ て い る事 実 を,第1子 に 伝 え なが ら4人 家 族 の形 成 過 程 を過 ご す こ とは 意 味 の あ る こ とだ と考 え られ る。 最 後 に,健 康 的 に機 能 して い る1単 位 の家 族 は, 境 界 を通 じて 開 きす ぎ ず 閉 じす ぎず,ほ ど よ く家 族 外 部 と相 互 作 用 す る もの で あ る(Friedman, 1998)。 本 研 究 の 女 性 た ち か ら,第2子 を迎 え る 44日 本 助産 学 会誌 第17巻 第1号(2003.6>
3歳 にな る第1子 を気遣 いな が ら4人 家族 を形成 す るプ ロセ ス 家 族 に とっ て以 下 の2つ の示 唆 を得 た 。 第1に,母 子 は,1人 目の育 児 期 とは異 な り, 「コ ミュ ニ テ ィ は子 ど も と私 の 大 切 な居 場 所 」 と とら え,第1子 の生 活 リズ ム を崩 さな いた め に, どん な に育 児 仲 間 か ら助 け られ た か を表 出 した 。 これ は,山 崎(1998,2002)の 報 告 で も同 様 で あ り,1人 目の育 児 期 と異 な り,2人 目以 降 は,コ ミュ ニ テ ィ と交 流 が 活 発 に な り,そ の こ とは母 子 に と って 大 切 な家 族 外 部 との相 互 作 用 の1つ だ と 言 え る。 第2に は,定 位 家 族 との関 係 の変 化 で あ る。2 人 目の 育 児 を通 じて,女 性 とパ ー トナ ー は,自 ら の 生 殖 家 族 の生 活 が 中 心 に な り,「 自分 中 心 か ら 家 族 中 心 へ」 な り,定 位 家 族 か ら は,「 親 世 代 は 半 分 家 族 」 とし て 自立 して ゆ く過 程 を表 現 して い る。 親 世 代 との境 界 は,同 居 ・別 居 の事 実 とは 関 係 な く,ま たす べ て の家 族 成 員 が常 に共 通 認 識 を もつわ け で もな く,そ れ ぞ れ の成 員 に よ って,ま た 話 題 に よ っ て,時 と共 に流 動 的 で あ った。 しか し,1人 目の時 と比 較 して,2人 目の 育児 期 には, 定 位 家 族 か ら支 援 ・意 見 を受 け入 れ る時 と,自 ら で意 思 決 定 す る時 に つ い て,家 族 境界 を通 じて 選 別 して い る様 子 が述 べ られ た 。 『VII形 成 期 の 家 族 ケ ア へ の 示 唆 本 研 究 よ り,第2子 を迎 え る形 成期 の 家族 ケ ア を行 うに あ た っ て,4人 家 族 は どの よ うに 形成 さ れ て ゆ くの か を知 る3つ の 示 唆 を得 た 。 1)女 性 に とっ て は,第2子 の妊 娠 ・出産 ・育 児 そ の もの よ り も,家 族 生 活 の再 編 成 が 課 題 で あ る。 な か で も,「3歳 に な る第1子 を 気 遣 い な が ら4人 家 族 を形 成 す る プ ロセ ス」 が,女 性た ち の話 題 の 中心 で あ る。 2)産 後2か 月 か ら3か 月 は,家 族 内部 で の 相 互 作 用 に お け る課 題 が最 も表 出 され る。 しか し い つ まで も続 くわ け で は な く,産 後3か 月 を過 ぎ た ころか ら,第1子 は兄 ・姉 ら し く,男 性 は よ り父 親 ら し くな り,産 後6か 月 に は,女 性 が, 気 兼 ね を しな くて よい単 位 と して4人 家 族 の 日 常 を見 つ め られ る よ うに な り,安 定 期 を迎 え る。 3)4人 家 族 へ の形 成 過 程 で は,母 子 に と って コ ミュニ テ ィで の 育 児 仲 間 との相 互 作 用 は,家 族 の外 の大 切 な居 場 所 で あ る。 ま た,夫 婦 の 親 世 代 との相 互 作 用 の変 化 は,形 成 期 の生 殖 家 族 が 自立 して ゆ く過 程 と も考 え られ る。 VIII結 論 親 子3人 の生 殖 家 族 に,新 し い成 員 で あ る第2 子 誕 生 に よ り生 じる フ ァ ミリー ダイ ナ ミク ス に つ い て,女 性 が表 現 した こ とか ら,4人 家 族 の形 成 過 程 を記 述 した。 「1単 位 と して の家 族 」 「家 族 内 部 で の相 互 作 用 」 は,妊 娠 末期 ・産 後2か 月 ・産 後6か 月 に か け て4人 家 族 に移 行 し て ゆ くプ ロ セ ス が抽 出 さ れ,「 家 族 外 部 との 相 互 作 用 」 で は, 各 時期 を通 じて共 通 す る2つ の カテ ゴ リー が 抽 出 され た。 第2子 を迎 え る形 成期 の家 族 ケ ア を行 う に あ た っ て,4人 家 族 を形 成 す る プ ロセ ス を知 る 3つ の示 唆 を得 た。 IX研 究 の 限 界 と今 後 の 課 題 本 研 究 は,第2子 を迎 え る 出 産 期 の 家 族 の う ち,家 族 成 員 の1人 で あ る女性 か らの み の デ ー タ で あ る。 今 後 は,他 の 家族 成 員,夫 婦 ・母 子 ・父 子 サ ブ シス テ ム,さ ら に家族 全体 の イ ン タ ビ ュ ー の 結果 も加 えて,4人 家 族 を形 成 す る プ ロ セ ス の 記 述 を洗 練 して ゆ くこ とが課 題 で あ る。 引用文献
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