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【資 料】

“看護学生プレトレーニング”を使用した学習効果の検証

釜屋洋子、段ノ上秀雄

Verification of learning effect by text “nursing student pre training”

Yoko KAMAYA,Hideo DANNOUE

要旨  A大学看護学部看護学科では、入学後の学習に対する不安を少しでも軽減できればと考え、推薦入試、 AO入試、一般入試(A日程)による入学予定者に対し、入学前の課題として、“看護学生プレトレーニング” (メヂカルフレンド社)に取り組むことを勧めた。“看護学生プレトレーニング”は、「計算と数字」、「看 護に生かす理科」、「言葉と文章」の 3 つで構成された入学予定者用のテキストである。簡単な演算から濃 度や速度の計算、理科では咳嗽(せき)や喀痰(たん)などの簡単な専門用語を使ったり、物理が看護に 応用されることなどを理解し看護師の目線で学習できる。また、敬語や言葉遣い、文章を書くときのルー ルなど基礎知識として必要な項目が充実しており、看護を学習していくうえで効果を体感できる教材であ ると思われた。  平成30年度の入学者のうち90名が取り組み、学習後は解説書を使って自己採点し復習をした。入学後 にアンケートを行った結果、ほとんどの学生が、課題の量、内容、テキスト代が“ちょうどよい”と答え ていた。また、学習効果についてもほとんどの学生が“役立つと思う”と答えており、今回の学習により 看護学科入学前の基礎知識を補う効果はあったのではないかと推察できた。今回の調査では、対象者の背 景については詳細な調査をおこなっていないため、今後は対象者の学習履歴や推薦入試、AO入試と一般 入学者との比較、入学予定者全体を視野に入れた入学前学習課題についても検討していきたい。 キーワード: 看護大学生、推薦入試・AO入試、入学前課題学習、学習効果 Ⅰ はじめに 文部科学省が公表した“平成27年度学校基本調査(確定値)”1)によると、小学校から高等学校までの在 学者数は減少しているが、大学(学部)の在学者数は前年度より上昇している。高等学校卒業者の大学(学 部)進学率(現役)が48.9%、大学(学部)進学率(過年度卒含む)が51.5%で過去最高であった。入試 形態もアドミッションオフィス入試(以下、AO入試)の導入など多様化が進み、多くの大学では基礎学 力の向上と実践的な教養の習得を支援するためのプログラムを導入している。 大学の入試形態のうち、推薦入試、AO入試による入学予定者は、大学入学までの 3 ~ 5 か月間の学習 時間が入試前にくらべて短くなるといわれており、林らの調査では、早期入学決定者の60.1%が、入学決 定から入学までの期間の学習時間が減少したと述べている2)。大学入学までの期間に高等学校までの学習 を見直し、大学での学習につながるよう基礎学力を身につけておくことは重要である。A大学では、全学 和洋女子大学 看護学部 看護学科

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和洋女子大学紀要 第60集 144 教育センターが主体となって、おもに推薦入試、AO入試による入学予定者に対し、高校教育から大学教 育への学習を滞りなく進めていくための支援として、文章表現や英語などの学習教材を使用した通信教育 を推奨している。林らは、AO入学者では入学前プログラムの感想で、「大学での学習についていけるか不 安になった」と答えた者が多かったとも述べている2)。A大学では平成30年度看護学科が開設となったが、 オープンキャンパス等で個別相談に訪れる受験生や保護者からは、大学の授業についていけるかと心配す る声が多く聞かれている。 そこで、A大学看護学科では、看護学生として歩み始めることになった平成30年度入学予定者のうち、 推薦入試、AO入試、一般入試(A日程)により12月中に入学予定となった者に対し、入学後の学習に対 する不安を少しでも軽減できればと考え入学前学習課題を検討した。平成29年 9 月時点での着任教員が 少数ということもあり、提出課題の指導体制が整っていない点を考慮し、入学前学習として“看護学生プ レトレーニング”(メヂカルフレンド社)を勧めることとした。 Ⅱ 目的 本研究の目的は、推薦入試、AO入試、一般入試(A日程)による入学予定者に対し、看護学科入学前の 基礎知識を補うために取り入れた“看護学生プレトレーニング”への取り組みと学習の効果を調査するこ とにより、次年度以降の入学生への適切な入学前学習課題の検討材料とすることである。 Ⅲ 方法 1.対象者 平成30年度、A大学看護学科に推薦入試、AO入試、一般入試(A日程・B日程・C日程のうちのA日程) による入学予定であった者のうち、“看護学生プレトレーニング”に取り組み、A大学看護学科に入学し た者。 2.研究方法 研究者が独自に作成した、入学予定者の入試形態や“看護学生プレトレーニング”への取り組み方と、 学習状況と学習効果について入学直後に質問紙調査を実施し、結果をexcelにより項目別に単純集計し内 容を検討した。 3.倫理的配慮 本研究は、和洋女子大学の人を対象とする研究審査を受け承認された(承認番号1740)。調査にあたり、 質問紙は無記名とし、同意を得た者だけに回答してもらった。質問紙のデータは本人が特定できないよう に番号化して入力し、USBに保存した。また、USBは研究実施責任者が研究室内の施錠できる机で厳重に 保管し、質問紙はデータ入力後にシュレッダーにかけて廃棄処分とした。電子データは、2年間保存し論 文発表後に消去する予定である。 Ⅳ 結果および考察 “看護学生プレトレーニング”は、「計算と数字」、「看護に生かす理科」、「言葉と文章」の 3 つで構成さ れた入学予定者用のテキストで、全85ページ、別冊解答つきで価格は税込972円である。推薦入試、AO 入試、一般入試(A日程)による入学予定者94名のうち90名が購入し自己学習した。 1.対象者の属性(図1~4) 回答数は90名で全員女性であった。高等学校卒業については 8 割以上が新卒であった。入試形態は、

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“看護学生プレトレーニング”を使用した学習効果の検証(釜屋 他) 145 一般入試と推薦・AO入試等がおよそ半々であった。今年度受験した学校数は、A大学も含めて 1 校のみ、 2 校、 3 校以上がそれぞれ 3 割程度でばらつきがあったが、 5 校以上と回答した者が 5 名いた。A大学の 全学教育センターが推奨する通信教育プログラムコースのうち、「看護・医療総合テキスト」コースを受 講した者は 4 割で、申し込まなかった者は約 6 割であった。 タ�ト��要��キー�ー����(図�、��、��一�等を含�)全 12 �以内 3 回答数は90 名で全員女性であった。高等学校卒業については 8 割以上が新卒であった。入試形態は、 一般入試と推薦・AO 入試等がおよそ半々であった。今年度受験した学校数は、A 大学も含めて1 校のみ、 2 校、3 校以上がそれぞれ 3 割程度でばらつきがあったが、5 校以上と回答した者が 5 名いた。A 大学の 全学教育センターが推奨する通信教育プログラムコースのうち、「看護・医療総合テキスト」コースを受講 した者は4 割で、申し込まなかった者は約6 割であった。 5 87% 12% 1% 図1 高等学校卒業区分(N=90) 新卒 既卒 無回答 16% 3% 3% 29% 49% 図2 入試形態(N=90) 推薦・指定校 推薦・公募 併設(専願) AOⅠ・Ⅱ 一般A 31% 31% 18% 14% 6% 図3 今年度に受験した学校の数 (A大学も含む)(N=90) 1校 2校 3校 4校 5校以上 40% 0% 58% 2% 図4 A大学推奨の入学前学習プログラム について(N=90) 「看護・医療総 合テキスト」 コース 「看護・医療総 合テキスト」 コース以外の コース 申し込まな かった 無回答 2.“看護学生プレトレーニング”に対する取り組みについて 10 1)「いつから始めましたか」について(図5) 全体の7 割弱が購入して 2 週間以内に取り組んだと回答したが、「2 週間以上経ってから」の回答も 2 割以上あり、対象者の興味・関心や、入学までに終えればよいなど、対象者の判断に差があったものと考 える。また、高等学校在学中の場合には、学校の課題や部活動の有無も影響したと考える。 2)「始めてから終えるまでにどのくらいの期間がかかりましたか」について(図6) 15   図1 高等学校卒業区分(N=90)    図2 入試形態(N=90)   タイトル/要旨/キーワード/本文(図表、写真、文献一覧等を含む)全 12 枚以内 3 回答数は90 名で全員女性であった。高等学校卒業については 8 割以上が新卒であった。入試形態は、 一般入試と推薦・AO 入試等がおよそ半々であった。今年度受験した学校数は、A 大学も含めて1 校のみ、 2 校、3 校以上がそれぞれ 3 割程度でばらつきがあったが、5 校以上と回答した者が 5 名いた。A 大学の 全学教育センターが推奨する通信教育プログラムコースのうち、「看護・医療総合テキスト」コースを受講 した者は4 割で、申し込まなかった者は約6 割であった。 5 87% 12% 1% 図1 高等学校卒業区分(N=90) 新卒 既卒 無回答 16% 3% 3% 29% 49% 図2 入試形態(N=90) 推薦・指定校 推薦・公募 併設(専願) AOⅠ・Ⅱ 一般A センター利用 31% 31% 18% 14% 6% 図3 今年度に受験した学校の数 (A大学も含む)(N=90) 1校 2校 3校 4校 5校以上 40% 0% 58% 2% 図4 A大学推奨の入学前学習プログラム について(N=90) 「看護・医療総 合テキスト」 コース 「看護・医療総 合テキスト」 コース以外の コース 申し込まな かった 無回答 2.“看護学生プレトレーニング”に対する取り組みについて 10 1)「いつから始めましたか」について(図5) 全体の7 割弱が購入して 2 週間以内に取り組んだと回答したが、「2 週間以上経ってから」の回答も 2 割以上あり、対象者の興味・関心や、入学までに終えればよいなど、対象者の判断に差があったものと考 える。また、高等学校在学中の場合には、学校の課題や部活動の有無も影響したと考える。 2)「始めてから終えるまでにどのくらいの期間がかかりましたか」について(図6) 15 「2 週間以内」と「1 か月以内」の回答を合わせると7 割近くを占めた。“看護学生プレトレーニング”   図3 今年度に受験した学校の数    (A大学も含む)(N=90)    図4  A大学推奨の入学前学習プログラムについて(N=90) 2.“看護学生プレトレーニング”に対する取り組みについて 1)「いつから始めましたか」について(図5) 全体の 7 割弱が購入して 2 週間以内に取り組んだと回答したが、「 2 週間以上経ってから」の回答も2 割以上あり、対象者の興味・関心や、入学までに終えればよいなど、対象者の判断に差があったものと考 える。また、高等学校在学中の場合には、学校の課題や部活動の有無も影響したと考える。 2)「始めてから終えるまでにどのくらいの期間がかかりましたか」について(図6) 「 2 週間以内」と「 1 か月以内」の回答を合わせると 7 割近くを占めた。“看護学生プレトレーニング” には学習計画表がついており、自身でスケジュールを立てて進めるようになっている。難解な問題はなく 実質73ページで、短期間で終えることも可能な分量であったと考える。しかし、少数ながら「 2 か月以上」 や「まだ終わっていない」という回答もあり、自身の学習方法が確立していないものもいたと考える。澤 田は、受験時代の学習時間について、授業時間以外の勉強時間では学科内の個人差が大きい傾向があった

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和洋女子大学紀要 第60集 146 と述べている3)。今回の調査結果からも、A大学看護学科入学予定者の同一課題に対する進度にはかなり の個人差があるものと推察する。  3)「取り組む姿勢はいかがでしたか」について(図7) “看護学生プレトレーニング”の実施に当たり、対象者には計画的に進めるよう事前に説明してあった が、「計画を立てて学習した」と回答した者は 4 割に満たなかった。また、「休日だけ学習した」と「思い ついた時だけ学習した」の回答は合わせると半数以上であった。石山らは、推薦入学者には入学前までに 課題学習しか行わなかった者が47.2%いたと述べ、推薦入学者は入学前に課題学習を与えなければ約半数 の者は学習しなかった可能性があったと報告している4)。今回は、“看護学生プレトレーニング”以外の 課題に対する取り組み方については調査していないが、「計画を立てて学習した」と、「休日だけ学習し た」、「思いついた時だけ学習した」の回答を合わせるとおよそ 9 割であったことから、たとえ断続的な実 施であったとしても、ほぼ全員が大学入学までの期間を課題学習にあてることができていたと考える。 「提出期限が近くなってからまとめてやった」の回答が 1 割あったことは、短期間で終えることができ ると判断した者は大学入学間近まで実施していなかったことが考えられ、この場合は、課題学習の目的が 対象者に十分に理解されていなかったと考える。また、他の課題を優先し“看護学生プレトレーニング”が 後回しになった可能性も考えられた。 4)「課題の量はいかがでしたか」について(図8) 林らは、入学前プログラムにおける課題提供には、高校の学習に影響が及ばないように配慮する必要が あると述べている2)。本研究に取り組むにあたり、卒業までの出校日が少ない対象者もいたが、ほとんど が高等学校に在学中であることや、A大学が推奨する通信教育プログラムを受講している者がいることを ふまえ、課題選考については課題の量が入学予定者の負担にならないよう配慮した。調査の結果は、 8 割 以上の学生が「ちょうどよい量だった」と回答しており、課題の分量としては無理なく取り組めたものと 考える。      紀要原稿用紙(紀要様式2-1) ��ト��要��キー�ー����(図�、��、�����を��)全 12 ��内 5 37% 31% 9% 23% 0% 図5 「看護学生プレトレーニング」をいつから 始めましたか(N=90) 購入後すぐ に取り組ん だ 1週間後位 から 2週間後位 から 2週間以上 経ってから やっていな い 37% 32% 25% 3% 3% 図6 始めてから終えるまでにどのくらい期間 がかかりましたか(N=90) 2週間以内 1か月以内 2ヵ月以内 2か月以上 まだ終わっ ていない 37% 15% 36% 11% 1% 図7 取り組む姿勢について(N=90) 計画を立て て学習した 休日だけ学 習した 思いついた 時だけ学習 した 提出期限が 近くなって からまとめ てやった やる気がわ かず、まだ 終わってい ない 11% 81% 7% 1% 図8 課題の量について(N=90) 全然足りない と思う もう少し多くて もよかった ちょうどよい量 だった 少し負担だっ たが頑張れた 違う課題が良 かった 無回答 3.内容とテキスト代について(図9) 5 課題選定にあたり、“看護学生プレトレーニング”は看護を学ぶうえで必要となる基礎知識を再確認で き、全85 ページ、別冊解答つきでの税込 972 円は手ごろな価格と判断した。今回の調査結果では、全体 の8 割が「内容に合っていて丁度よい」と回答したが、16%が「この内容で¥972 は高すぎる」と回答し た。これは、A 大学が推奨する通信教育プログラムの受講費用に加えてのテキスト購入が、対象者にとっ て負担と感じた可能性が考えられた。今後は、看護学科教員による課題作成やプリント配布など、入学予 10 定者にとって金銭的負担とならないような方法も検討する必要がある。     図5 「看護学生プレトレーニング」を   いつから始めましたか(N=90)   図6 始めてから終えるまでにどのくらい期間がかかりましたか(N=90)   

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“看護学生プレトレーニング”を使用した学習効果の検証(釜屋 他) 147 ��ト��要��キー�ー����(図�、��、�����を��)全 12 ��内 5 37% 31% 9% 23% 0% 図5 「看護学生プレトレーニング」をいつから 始めましたか(N=90) 購入後すぐ に取り組ん だ 1週間後位 から 2週間後位 から 2週間以上 経ってから やっていな い 37% 32% 25% 3% 3% 図6 始めてから終えるまでにどのくらい期間 がかかりましたか(N=90) 2週間以内 1か月以内 2ヵ月以内 2か月以上 まだ終わっ ていない 37% 15% 36% 11% 1% 図7 取り組む姿勢について(N=90) 計画を立て て学習した 休日だけ学 習した 思いついた 時だけ学習 した 提出期限が 近くなって からまとめ てやった やる気がわ かず、まだ 終わってい ない 11% 81% 7% 1% 図8 課題の量について(N=90) 全然足りない と思う もう少し多くて もよかった ちょうどよい量 だった 少し負担だっ たが頑張れた 違う課題が良 かった 無回答 3.内容とテキスト代について(図9) 5 課題選定にあたり、“看護学生プレトレーニング”は看護を学ぶうえで必要となる基礎知識を再確認で き、全85 ページ、別冊解答つきでの税込 972 円は手ごろな価格と判断した。今回の調査結果では、全体 の8 割が「内容に合っていて丁度よい」と回答したが、16%が「この内容で¥972 は高すぎる」と回答し た。これは、A 大学が推奨する通信教育プログラムの受講費用に加えてのテキスト購入が、対象者にとっ て負担と感じた可能性が考えられた。今後は、看護学科教員による課題作成やプリント配布など、入学予 10 定者にとって金銭的負担とならないような方法も検討する必要がある。 図7 取り組む姿勢について(N=90)   図8 課題の量について(N=90) 3.内容とテキスト代について(図9) 課題選定にあたり、“看護学生プレトレーニング”は看護を学ぶうえで必要となる基礎知識を再確認で き、全85ページ、別冊解答つきでの税込972円は手ごろな価格と判断した。今回の調査結果では、全体 の 8 割が「内容に合っていて丁度よい」と回答したが、16%が「この内容で¥972は高すぎる」と回答した。 これは、A大学が推奨する通信教育プログラムの受講費用に加えてのテキスト購入が、対象者にとって負 担と感じた可能性が考えられた。今後は、看護学科教員による課題作成やプリント配布など、入学予定者 にとって金銭的負担とならないような方法も検討する必要がある。 紀要原稿用紙(紀要様式2-1) ��ト��要���ー�ー����(�表、��、�����を��)全 12 ��� 6 16% 81% 1% 1% 1% 図9 テキスト代について(N=90) この内容で¥972 は高すぎる 内容に合ってい て丁度よい この内容で¥972 は安い お金を払ってまで 基礎学力を身に つけようとは思わ ない 無回答 4.“看護学生プレトレーニング”に対する学習状況と学習効果について 各項目に対する学習の状況は、「実施していない」を 0、「難しい」から「かなり簡単だった」を 1~5 とし、学習効果については、「役立たない」から「役立つと思う」を1~5 であらわした(表1)。 5 10 15 20 25 図9 テキスト代について(N=90)

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和洋女子大学紀要 第60集 148 4.“看護学生プレトレーニング”に対する学習状況と学習効果について  各項目に対する学習の状況は、「実施していない」を 0 、「難しい」から「かなり簡単だった」を 1 ~ 5 とし、学習効果については、「役立たない」から「役立つと思う」を1 ~ 5 であらわした(表1)。 1)学習の状況について(図10) 「計算と数字」では、A計算・数字の基礎知識から始まり、B割合、C比、D濃度の計算、E速度の計算へ と進む。A計算・数字の基礎知識では 3 割が「かなり簡単だった」と回答し、「まあまあ出来たとかなり 簡単だったの間」と「まあまあ出来た」を合わせると 9 割以上を占めた。しかし、学習が進んでいくにつ れ、「かなり簡単だった」と回答した者は減少し、「計算と数字」全体を見ると「難しい」と「簡単」の回 答にばらつきがみられた。なかでも、D濃度の計算とE速度の計算で「かなり簡単だった」と回答した者 が他の項目と比較して少なく約 1 割にとどまった。両者には、文章を読んで問題を解く形式が共通してお り、対象者の文章読解力が影響していたと考える。また、D濃度の計算は、「難しい」と「難しいとまあ まあ出来たの間」の回答を合わせるとおよそ 4 割で、他の項目と比較して圧倒的に多かった。これは、濃 度については日常生活で実際に計算する機会が少なく、溶液と溶質の関係や濃度計算そのものについて忘 表1 学習の状況と学習の効果の調査票 紀要原稿用紙(紀要様式2-1) ���ル�要���ー�ー���文(図表、��、文�一��を�む)全 12 �以� 7 表1 学習の状況と学習の効果の調査票 学習の状況 学習の効果 理由・その他 実 施 し て い な い 難 し い ま あ ま あ 出 来 た か な り 簡 単 だ っ た 役 立 た な い わ か ら な い 役 立 つ と 思 う (自由に記載 してください) 計 算 と 数 字 A 計算・数学の基礎知識 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 B 割合 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 C 比 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 D 濃度の計算 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 E 速度の計算 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 看 護 に 生 か す 理 科 A 人体を構成する細胞・組 織・器官・器官系 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 B 人体のはたらきを知るため の科学の知識 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 C 安全・安楽に生かす物理の 知識 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 言 葉 と 文 章 A 漢字・語句 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 B 敬語と言葉づかい 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 C 文章のルール 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 D 文章解読 0 ――――――――― 5 1 ――――――― 5 1) 学習の状況について(図10) 「計算と数字」では、A 計算・数字の基礎知識から始まり、B 割合、C 比、D 濃度の計算、E 速度の計 算へと進む。A 計算・数字の基礎知識では 3 割が「かなり簡単だった」と回答し、「まあまあ出来たとか 5 なり簡単だったの間」と「まあまあ出来た」を合わせると9 割以上を占めた。しかし、学習が進んでいく につれ、「かなり簡単だった」と回答した者は減少し、「計算と数字」全体を見ると「難しい」と「簡単」 の回答にばらつきがみられた。なかでも、D 濃度の計算とE 速度の計算で「かなり簡単だった」と回答し た者が他の項目と比較して少なく約1 割にとどまった。両者には、文章を読んで問題を解く形式が共通し ており、対象者の文章読解力が影響していたと考える。また、D 濃度の計算は、「難しい」と「難しいと 10 まあまあ出来たの間」の回答を合わせるとおよそ4 割で、他の項目と比較して圧倒的に多かった。これは、 濃度については日常生活で実際に計算する機会が少なく、溶液と溶質の関係や濃度計算そのものについて 忘れてしまっていることが考えられた。 「看護に生かす理科」では、A 人体を構成する細胞・組織・器官・器官系、B 人体のはたらきを知るた めの科学の知識、C 安全・安楽に生かす物理の知識のすべての項目で「かなり簡単だった」と回答した者 15 は1 割に届かなかった。一方で、「難しい」と「難しいとまあまあ出来たの間」の回答を合わせると 2 割

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れてしまっていることが考えられた。 「看護に生かす理科」では、A人体を構成する細胞・組織・器官・器官系、B人体のはたらきを知るため の科学の知識、C安全・安楽に生かす物理の知識のすべての項目で「かなり簡単だった」と回答した者は 1 割に届かなかった。一方で、「難しい」と「難しいとまあまあ出来たの間」の回答を合わせると 2 割以上で、 「看護に生かす理科」は、全体的に難しい印象であったと考える。澤田は、看護学科では役に立った受験 科目について生物Ⅰを挙げた者が最も多かったと述べている3)。“看護学生プレトレーニング”はおもに 人体についての理解を深める内容であるため、生物Ⅰを履修していたとしても対象者には「難しい」と感 じたことが考えられた。今回の課題学習を通して、高等学校までの知識の再確認に加え、身体の各器官に ついての専門的知識を学習する機会にもなったと考える。 「文章と言葉」では、A漢字・語句、B敬語と言葉づかいの項目で約 2 割が「かなり簡単だった」と回答 した。また、「まあまあ出来たとかなり簡単だった」も含めるとA漢字・語句、B敬語と言葉づかい、C文 章のルール、D文章読解すべての項目で 8 割以上となった。対象者にとっては全体的に簡単な印象であっ たと考える。しかしながら、D文章読解の項目では「難しい」の回答が他に比較してやや多く、結果的に は対象者の日常の読書量による個人差も影響したことが考えられた。看護師国家試験の状況設定問題では、 文章を読んだ後に 3 つの設問があるため、文章読解力が低い場合設問に正答できない可能性がある。大学 卒業までには文章読解力を高めておく必要があると考える。 図10 学習の状況(N=90) 2)学習の効果について(図11) “看護学生プレトレーニング”は、テキスト内容が「看護を学ぶ前に知っておきたい知識」であるとし てその効果と理由を説明しており、今回対象者はそれを理解して課題学習に臨んだものと考える。 「計算と数字」では、A計算・数字の基礎知識、B割合、C比、D濃度の計算、E速度の計算のすべての項目で「役

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和洋女子大学紀要 第60集 150 立つと思う」の回答が半数以上であった。中でもD濃度の計算では 6 割以上が「役立つと思う」と回答した。 どの項目も「わからないと役立つと思うの間」を含めると 8 割以上であったが、 2 割弱の者は「わからな い」と回答した。これは、計算して答が出たとしても実際にどう看護の現場で役に立つのかがまだイメー ジできていないためと推察する。とくにD濃度の計算は、「簡単」ではなかったが「役立つと思う」とい う結果が出ており、実際に必要な場面で活用できるよう知識として確かなものにしておく必要があると考 える。 「看護に生かす理科」では、A人体を構成する細胞・組織・器官・器官系、B人体のはたらきを知るため の科学の知識、C安全・安楽に生かす物理の知識のすべての項目において、「役立つと思う」の回答が 7 割以上で、「わからないと役立つと思うの間」を合わせると 9 割以上を占めた。しかしながら、学習の状 況の調査結果は「かなり簡単だった」の回答が 1 割に届かず、「計算と数字」や「文章と言葉」と比較し て著しく少なかった。澤田は、役に立った受験科目について、看護学科では生物Ⅰを挙げた者が最も多かっ たと述べ、入学後でも 2 年生で“生物学”の選択履修者が多かったと報告している3)。A大学看護学科入 学者においても、“役に立つとは思うが簡単ではなかった科目”については、学生自身で対処方法を考え ていくものと思われる。また、C安全・安楽に生かす物理の知識のように、看護技術を題材にした内容の 場合には、対象者は入学後の授業と直結していることが認識できたものと考える。 「文章と言葉」では、A漢字・語句、B敬語と言葉づかい、C文章のルール、D文章読解のすべての項目に おいて、約半数が「役立つと思う」と回答し、「わからないと役立つと思うの間」を合わせると 8 割以上であっ た。また、項目ごとの割合にもばらつきは見られなかった。学習の状況の調査結果で、「実施していない」 と回答した者が数名いたが、それらの対象者については実際の学習の効果は不明である。 図11 学習の効果(N=90)

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3)自由記載について 学習の状況と学習の効果について、回答の理由や意見を自由に記載してもらった。「計算と数字」、「看 護に生かす理科」について記述があり、表2に示した通りである。“看護学生プレトレーニング”は、問 題の解き方を確認してから例題を解いたり、説明を読みながら演習問題を解いてみるという形式になって いる。記述内容は少数のみであったが、率直な意見が述べられており、対象者にとって「簡単」や「難し い」など受け止め方に差はあったものの、課題に取り組みながら自身の知識の再確認をすることができた と考える。 表2 自由記載(原文) 計算と数字  ・濃度がわかりやすい説明で良かった。  ・計算は今後も使うから(役立つと思う)。  ・できるところとできないところがすぐにわかった。 看護に生かす理科  ・人体の仕組みについてかなり勉強になったと思った。  ・生物、化学 頑張りたいです。  ・看護に関する知識は必要だから。  ・生物は簡単だった。  ・理科の内容が思ってたより難しかったです。 5.研究の限界と今後の課題 本研究では、調査時期を入学直後とした。課題学習の記憶が薄れない時期であったため、対象者の率直 な意見や感想が得られたことから、信ぴょう性のあるデータを得ることができたと考える。しかしなが ら、対象者の予備校や高等学校における学習状況や選択科目については調査していない。したがって、“看 護学生プレトレーニング”に対する理解度や取り組み時間にも差があったことが考えられた。また、調査 対象は推薦入試、AO入試、一般入試(A日程)による入学予定者であり、一般入試(B日程)と一般入試 (C日程)による入学予定者については調査していないため、推薦入試、AO入試と一般入試による入学予 定者についての比較はできなかった。石山らは、看護学科において推薦入学者が実施する入学前課題学習 には学習への動機づけを向上する効果はないものの、学習への動機づけを維持する作用があると述べてい る5)。A大学看護学科では、卒業までに他学科より多い128単位以上修得する必要がある。また、次の学 年に進級するためには、専門教育科目の必修科目単位を全て修得しなければならないなどの条件がある6) 入学前学習課題を提出したら終わるのではなく、入学後も気を緩めることなくその姿勢を保ち続ける必要 がある。今後は、対象者の学習履歴や推薦入試、AO入試と一般入学者との比較、入学予定者全体を視野 に入れた入学前学習課題についても検討し、入学予定者に対する学習支援を継続していきたい。 謝辞  本研究にご協力いただきました対象者の皆様に心から感謝申し上げます。

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和洋女子大学紀要 第60集 152 文献 1)学校基本調査-平成27年度(確定値)結果の概要-, http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1365622.htm (参照2018‒8‒6) . 2)林世津子,富岡晶子,島田祥子ほか.東京医療保健大学医療保健学部看護学科における入学前教育プログラムの効果.東京医 療保健大学紀要.2015,1,p23-28. 3)澤田忠幸.愛媛県立医療技術大学における“入学前後における学生の学習状況”調査:リメディアル教育改善への示唆に向けて. 愛媛県立医療技術大学紀要.8(1),p43-50. 4)石山香織,新谷惠子,渋谷優子ほか.看護学科における推薦入学者の大学入学前課題学習6 ヶ月後の学習への動機づけ―一般 入学者との比較検討―.新潟医福誌.8(2),p10-15. 5)石山香織,新谷惠子,渋谷優子ほか.看護学科における推薦入学者の大学入学前課題学習前後の学習への動機づけの変化およ び一般入学者との比較.新潟医福誌.8(2),p22-28. 6)和洋女子大学 和洋女子大学大学院.履修ガイド2018,平成30年度. 釜屋 洋子(和洋女子大学 看護学部 看護学科 准教授) 段ノ上秀雄(和洋女子大学 看護学部 看護学科 講師)  (2018年10月12日受付)

参照

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