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子育て期早期の母親のやりたい子育ての実現

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*1新潟大学大学院保健学研究科(Graduate School of Health Sciences, Niigata University)

2013年6月12日受付 2014年5月23日採用

資  料

子育て期早期の母親のやりたい子育ての実現

Mother’s achievement of perceived desired childrearing

six to eleven months after childbirth

関 島 香代子(Kayoko SEKIJIMA)

* 抄  録 目 的  子育て期早期は妊娠・分娩の身体的変化からの回復時期であり,新しい子どもの子育てが加わる多重 役割状態への移行期でもある。「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」に向けて,主に子 育てを担う母親自身が身体的に良好な状態でやりたいと考える子育てに取り組めることが望ましい。  産褥期(産後6∼8週間)後の子育て期早期にある母親がやりたいと考える子育てができているのかを 明らかにし,その関連要因を検討する。 対象と方法  対象者は,生後6∼11ヶ月の子どもをもつ都市部の子育て期早期にある女性500名(無作為抽出)。無 記名自記式調査票を用いた郵送調査(配布・回収2010年10月∼11月,有効回収274名,54.8%)。調査票 には,やりたい子育ての実現状況と身体的健康状態として身体不調症状,蓄積疲労度(疲労蓄積度自己 診断チェックリスト),健康関連QOL SF-8,睡眠状態を含む26設問を含めた。 結 果  4.5(SD2.8)個の身体不調症状を抱え,SF-8の下位8項目とPCS,MCSの全てが50を下回った。疲労 蓄積度の自覚症状では「以前と比べて疲れやすい」「イライラする」が「よくある」か「時々ある」が7割以 上を占めた。夜間睡眠6.4(SD1.3)時間,途中授乳等での覚醒が2.7(SD1.4)回だった。睡眠による疲労 回復感は,「十分」は12.0%(33名)のみで,「まあまあ」51.1%(140名),「あまり」と「ほとんどとれていない」 を合わせ36.5%(100名)だった。  56.9%(156名)が「やりたい子育て」ができており,睡眠による疲労回復感が「まあまあ(オッズ比4.7, 95%信頼区間1.88-11.58)」か「十分に(6.9, 1.65-28.97)」あると,40歳以上(6.1, 1.14-32.60),祖父母の同居 (3.4, 1.06-11.09)と関連があった。 結 論  子育て期早期の女性は,身体不調症状をかかえ健康状態を悪く認識し蓄積した疲労症状があった。睡 眠による疲労回復感は良好ではなかった。約半数は自身のやりたい子育てができていると考えており, 睡眠による良好な疲労回復感と40歳以上,祖父母の同居が関連していた。 キーワード 母親,子育て早期,身体的健康,やりたい子育て

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Abstract Purpose

Mothers soon after childbirth are recovering physically and also taking on multiple roles. However, their physi-cal health has been relatively neglected both in research and practice. This article describes the general health status of mothers in early parenthood, degree of their perceived achievement of desired childrearing, and related factors.

Method

Participants were 500 women 6 to 11 months postpartum, selected by a random sampling of mothers from the Basic Resident Register, and resident in a ward in an ordinance-designated city. A questionnaire conducted by postal mail was composed of 26 items on topics such as physical symptoms, degree of accumulated fatigue, Short Form 8 Health Survey (SF-8) within the previous month, and sleep quality. The questionnaire culminated in the question "Do you think you have achieved your desired childrearing so far?"

Results

Respondents to the questionnaire were 274 mothers (response rate, 54.8%). Almost all mothers had experi-enced one or more physical symptoms, with a mean 4.5 (SD 2.8) symptoms per mother. All SF-8 scores fell below 50. Mothers reported a mean 6.4 (SD 1.3) hours of sleep and 2.7 (SD 1.4) interruptions per night. Perception of better recovery from exhaustion by sleeping was correlated with achievement of desired childrearing (p<0.01). Al-most half of the mothers (n = 156, 56.9%) responded that they had achieved their desired childrearing. Three factors associated with such achievement were: "reasonably enough" (odds ratio 4.7, 95% confidence interval 1.88-11.58) or "enough" (6.9, 1.65-28.97) perceived recovery from exhaustion by sleeping; being over 40 years of age (6.1, 1.14-32.60); and living with the child's grandparent(s) (3.4, 1.06-11.09).

Conclusions

Mothers self-rated their health as poor. The factors associated with achieving their desired childrearing in early parenthood were having enough sleep to recover from exhaustion, being over 40 years of age, and living with the child's grandparent (s).

Key words: mothers, early parenthood, physical health, desired childrearing

Ⅰ.緒   言

 低い合計特殊出生率(厚生労働統計協会,2012, p. 48)から母親になる約半数が初めて子育てに取り組ん でいる。核家族化(厚生労働省,2012),都市化により 身近な助言や支援を受けにくい状況と相まって,適時 の支援が受けにくく子育てを試行錯誤する状況が推測 される。  子育て期早期は,妊娠・出産の劇的な身体変化を遂 げた後の回復時期であり新しく迎えた子どもの世話が 加わる多重役割への移行期である。覚醒期の身体活動 などで消耗した身体機能を修復・回復するには睡眠が 必要である(井深,2009, pp. 13-19)が,産褥期は新生 児期の頻回な哺乳等に応じるために昼夜を問わず母親 の睡眠・休息は分断される(堀内,1994;堀内・西原, 1996;堀内・江藤・西原他,2002)。出産年齢の上昇 (厚生労働省,2010)・生殖補助技術の広がり(厚生労 働省,2003)は,身体への負担を相対的に増加させて いる可能性も考えられる。  産褥期以降も発展的に継続する子育てにおいて,母 親は望ましくない生活習慣に変化させている(西村・ 竹森・山本,2008)。母親の身体状態は良好ではない (関島,2012)が,体調不良を自覚する時も子どもの世 話の代行者がなく(関島,2012)子どもの定期的な健康 診査に保健医療機関に連れ立ちながらも受療行動がと りにくい状況が考えられる。さらに身体状態を不良と 自認する母親は自身の子どもへの対応に虐待意識を抱 きやすい(横山・岡崎・杉本他,2011)という指摘もあ る。  しかしながら,妊娠出産は病気や障害ではなく生理 的現象とされ,産科学では産褥期(産後6∼8週間)後 の子育て期は対象とならず,産後うつ等の精神疾患と 比べ身体状態の検討は十分ではないとされる(Cheng, Li, 2008)。また,出産前に行われる出産後の子どもを 中心とした生活への転換への準備に関する支援は,母 親の身体疲労や妊娠期からの全身回復,役割獲得の 促進等にむけた十分なものにはなっていない(Martin, Horowitz, Balbierz et al. 2013)。

 そこで,子育て施策「健やか親子21」の主要課題「子 どもの心の安らかな発達の促進と育児不安の軽減」

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(厚生労働省,2006)のさらなる実現として,子どもの 成長とともに変化していく子育てを実際に担う中で, 母親がやりたいと考える子育てを実現できることが望 ましいと考える。  本研究では,妊娠・出産からの回復と乳児の子育て のために睡眠が分断される子育て期早期において,母 親がやりたいと考える子育てができているかを明らか にし,その実現に関連する要因を検討する。

Ⅱ.研 究 方 法

1.対象者  A県の都市部に居住する生後6∼11か月の子どもを もつ女性500名。住民基本台帳法により自治体の定め る閲覧のための手続きに則り,住民基本台帳を閲覧し 無作為に抽出し,個人情報保護に関する条例に従い所 定の手続きを進めた。調査実施に関して得た個人情報 (住民基本台帳閲覧内容,回収調査票等)の取り扱いは, 指針を作成し厳重に行った。 2.用語の操作的定義 子育て期早期:産科学の対象となる産褥期の後で,末 子が乳児から幼児の時期を子育て期と捉え,その早 期にあたる生後6∼11か月の児と共に生活している 時期。 やりたい子育て:実際に子育てを担う中で自分がやり たいと考える子育て。 身体的健康状態:妊娠期から産褥期に注目されやすい 生殖器,乳房に限定しない,全体的な身体的な健康 状態。 3.方法  自作の無記名自記式調査票調査を用い,郵送法にて 2010年10月∼11月に配布・回収をした。配布後約1 か月経過した時点で,対象者全員に,調査票の回収を 継続中である旨と自由意思による参加であり不参加の 場合もいかなる不利益はない点の説明した書面を1度 発送した。 4.変数  調査票(26設問)には,やりたい子育ての実現状況 と対象者の背景・子育てに関する変数,睡眠状態,身 体的健康状態を含めた。 1 ) 対象者の背景,子育てに関する変数  対象者の背景には,母親の年齢,対象児の月齢,子 どもの人数,同居家族等を,子育てに関する変数には, 夫の育児・家事参加状況,家庭外からの支援獲得状況 を含めた。 2 ) 睡眠状態  平均的な睡眠時間,授乳等で一晩に起きる回数,睡 眠による疲労回復感(「十分にとれている」∼「ほとん どとれていない」の4件法)を尋ねた。 3 ) 主観的身体状態 (1)自覚する身体不調症状  最近1か月において自覚した身体不調症状を複数回 答で尋ねた。選択肢は,出産後女性の身体的健康に 関する先行研究(Gjerdingen, Froberg, Chaloner et al., 1993; Thompson, Roberts, Currie et al., 2002; McGor-vern, Dowd, Gjerdingen et al., 2006)を参考に「頭痛」 「肛門部痛や痔核」等22項目を設定した。そのうち「そ の他」には,設定した選択肢以外の症状がある場合に 記述してもらった。該当した症状の個数を身体不調症 状数とした。 (2)蓄積疲労度  子育ては子どもの成長と共にあり継続し積み重なる 労働であり,子育てに伴う疲労はそれに伴って生じる 蓄積疲労と捉え,蓄積疲労感の程度を把握するために 「疲労蓄積度自己診断チェックリスト」の「自覚症状」 13項目を採用した(中央労働災害防止協会,2004)。こ れは過重労働による健康障害防止のために厚生労働省 (労働基準局長通達)が作成したもので,「自覚症状(13 項目)」と「勤務の状況(7項目)」で構成され,信頼性, 妥当性が確認されている。「イライラする」「以前とく らべて,疲れやすい」等の13項目に対し「よくある」, 「時々ある」,「ほとんどない」で回答してもらい,それ ぞれを3,1,0として加算する(範囲0-39,疲労が強い ほど高値)。この定められた方法で算出した値を用い て,母親が感じている蓄積した疲労の程度を評価した。 (3)健康関連QOL SF-8  健康状態を測定する可能な包括的調査尺度(8項目) である。先行して開発されたSF-36における8つの領 域(全体的健康感(GH),身体機能(PF),日常役割機 能(身体)(RP),身体の痛み(BP),活力(VT),社会 生活機能(SF),心の健康(MH),日常役割機能(精神) (RE))をそれぞれ1つの設問で測定する。国民標準値 に基づく決められた方法で算出する8項目のスコアリ ング値と身体的サマリースコア(PCS-8)・精神的サマ

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リースコア(MCS-8)は,平均50点,健康状態が良好 なほど高値で,信頼性・妥当性が認められかつ先行開 発されたSF-36スコア値と比較可能な得点が算出でき る(福原・鈴鴨,2004, pp. 7-43)。8項目中1項目以上の 欠損があった場合はスコアリングから除外した。 4 ) やりたい子育ての実現状況  「あなたがやりたいと思う子育てができていますか」 の設問を4件法で尋ね,「ほぼできている」と「どちら かといえばできている」の回答を「できている」,「どち らかといえばできていない」と「できていない」を「で きていない」とした。「できている」回答者にはその内 容を,「できていない」場合にはその理由を自由記載し てもらい,内容別に分類した。 5.分析方法  各変数の記述統計,対象者背景を独立変数とし主観 的身体状態・睡眠状態を従属変数とした平均値の差の 検定にはt検定あるいは分散分析,主観的身体状態と 睡眠状態との関連の検討はスピアマンの順位相関係数, 対象者背景を独立変数としやりたい子育て状況を従属 変数とした検定はχ2検定あるいはスピアマンの順位 相関係数を用いた。やりたい子育て状況の関連要因の 検討には,ロジスティック回帰分析を行った。独立変 数としてモデルに投入する対象者背景,子育て状況の 変数間には,子育て状況の実状によりある程度の相関 関係が存在すると予想された。そのため,多重共線性 による影響の有無やモデルの頑健性を確認する目的で, 投入する独立変数間の相関係数が0.9を越えない(Katz, 2006/ 2008, pp. 72-74)ことを確認した上で,調整する 要因を段階的に投入するモデルを構築して分析し適切 な解釈に努めた(モデル1は背景と出産・子育て状況 変数のみ,モデル2は身体状態変数を追加,モデル3 ではさらに睡眠状態を追加)。  統計処理にはIBM SPSS Statistics 20.0統計パッケー ジを用いた(有意水準5%)。 6.倫理的配慮  対象者には,調査票とともに説明文書を同封し,調 査への協力を依頼した。説明文書には,調査対象者の 選定法,調査目的と意義,対象者選定方法,調査方法, 時期,所要時間,回収方法,調査の結果を目的以外に は使わないこと,協力をしなくても不利益はないこと, データは統計的にのみ扱いプライバシーは厳守される こと,データの管理と処理の方法等を説明した。調査 協力に対する同意は回答をもって判断した。SF-8の項 目の利用について,SF-8使用登録に関する手続きをと った。新潟大学医学部倫理委員会の承認を受けて実施 した(承認番号1119)。

Ⅲ.結   果

 調査票の回答は275名(回収率55.0%)から得たが, 分析対象は調査時国外で子育てをしていた1名を除い た274名(54.8%)とした。 1.母親が考える「やりたい子育て」  「や り た い 子 育 て 」が「ほ ぼ で き て い る 」(37名 13.5%)と「ど ち ら か と い え ば で き て い る 」(119名 43.4%)を加えて約半数が実現していると回答してい た。「どちらかといえばできていない」99名(36.1%), 「できていない」13名(4.7%)をあわせた約4割は否定 的にとらえ,6名(2.2%)が無回答だった。  「やりたい子育て」内容(表1)は,できている・でき ていないに共通して「子どもの世話のし方」「子どもへ の関わり方」「子どもに向かうときの気持ちのゆとり」 「困らない暮らし向き」であった。できている内容に は「手間をかけた子どもの世話(離乳食,布おむつ)」 「子どもと向きあう時間をもつ」「気持ちのゆとりを持 って向きあう」が,できていない理由として「家事育 児で精いっぱい」「家事育児に追われ子どもと向きあ えない」「疲れていらいらしてしまう」があげられてい た。 2.対象者の背景,出産・子育ての状況  平均年齢32.7(SD4.78, range 18-44)歳,子ども1人 が147名(53.6%)だった(表2)。子どもの月齢は平均 9.05(SD1.63)か月で,6-8か月121名(44.2%),9-11か 月140名(51.1%),夫婦と子どものみの核家族が234 名(85.4%)を占め,36名(13.1%)は祖父母の少なく とも一人と同居であった。調査時現在,就労中42名 (15.3%),育児休暇中75名(27.4%)で,夫もしくは子 どもの父親として生活しているパートナー(以下,夫) と別居しているあるいはいない対象者が4名(1.5%), 無回答(2名)で,268名(97.8%)が夫との同居が判明 した。「やっと暮らしている」「食べるのに精いっぱい」 が約1割(26名,9.5%)だった。  夫が「自分と同じくらい」あるいは「自分以上」に育 児に参加していたのは125名(45.6%,同居の夫あり 268名中46.6%),家事は75名(同27.4%,28.0%),「ほ

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表1 やりたい子育てができている内容,できていない理由の自由記載内容 できている内容 できている156名中,115名記載(73.7%) できていない112名中,106名記載(94.6%)できていない理由 手間をかける(離乳食,布おむつ) 母乳で育てる スキンシップをもつ 自分が育てる,一緒にいる ;3歳・幼稚園入園前までは,休暇中は 子どもの世話のし方 家事育児で精いっぱい 家事に手間をかけられない 子どもと向きあう時間をもつ 子どもの目線で遊ぶ 個性を尊重する,のびのびさせる 刺激を与える ;人と接する,自然と触れあう,音楽に触れる, 体を動かす 親子で成長 事故予防 子どもへの関わり方 家事育児に追われ,子どもと向きあえない ゆっくり向きあえない 仕事のため子どもと向き合えない 遊び場がない,外で遊ばせられない 他の子どもとの関わり・習い事ができない 気持ちのゆとりを持って向きあう 笑顔で子育て,子育てを楽しむ 子どもが笑顔でいてくれる 子どもへ向かうときの 気持ちのゆとり 疲れて,いらいらしてしまういらいらしてあたってしまう,しかってしまう 困らない暮らしでの子育て 暮らし向き 経済的に余裕がなく働かざるを得ない 自分のペースの子育てができている 時間のつかい方 思うようなペースでできていない 自分の時間がほしい 夫婦で協力して子育てをする 家族内の協力体制 父親不在の子育て 夫婦・祖父母との育児観の違い 孤立しないようにする,母親同士の交流 子育て仲間,悩みの対処 子育てに悩む,だめな母親だと思う 意識していない 考えていない どんな子育てをしたいか考えられない 表2 やりたい子育てができている・できていない別 対象者背景(N=274) やりたい子育てが 全体 N=274 できているn=156 できていないn=112 n mean(SD) n mean(SD) n mean(SD)

母親の年齢(歳) 対象児の月齢(ヶ月) 子どもの人数(名) 273 261 268 32.70(4.8) 9.05(1.6) 1.61(0.8) 155 150 153 32.82(5.1) 9.04(1.6) 1.51(0.8) 112 106 110 32.63(4.2) 9.05(1.6) 1.74(0.8) p=0.75 p=0.97 p=0.02 n(%) n(%) n(%) 母親の年齢(再掲)  30歳未満  30∼34歳  35∼39歳  40歳以上  無回答 71(25.9) 102(37.2) 81(29.6) 19( 6.9) 1( 0.4) 38(24.4) 58(37.2) 44(28.2) 15( 9.6) 1( 0.6) 31(27.7) 43(38.4) 34(30.4) 4( 3.6) 0( 0.0) p=0.31 祖父母の同居  あり  なし  無回答 36(13.1) 235(85.8) 3( 1.1) 24(15.4) 130(83.3) 2( 1.3) 12(10.7) 99(88.4) 1( 0.9) p=0.26 母親の就労  就労中  育休中  就労していない  無回答 42(15.3) 75(27.4) 157(57.3) 0( 0.0) 26(16.7) 45(28.8) 85(54.5) 0( 0.0) 15(13.4) 27(24.1) 70(62.5) 0( 0.9) p=0.22 夫・パートナー(以下,夫)あり  無回答 268 6(97.8)( 2.2) 152 4(97.4)( 2.6) 111 1(99.1)( 0.9) p=0.23 暮らし向き  暮らしに必要なものやまとまったものも,だいたいは買える  食べるほうの心配はないがまとまったものは買えない  食べるのに精一杯,やっと暮らしている  無回答 180(65.7) 67(24.5) 26( 9.5) 1( 0.4) 106(68.4) 40(25.8) 9( 5.8) 1( 0.6) 71(63.4) 25(22.3) 16(14.3) 0( 0.0) p=0.22 連続変数の検定にはt検定,カテゴリ変数の検定にはχ2検定あるいはスピアマンの順位相関係数を用いた。 平均値は無回答を除いて集計,それ以外は無回答を含めて%を算出。

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とんどしていない」が育児24名(同8.8%,9.0%),家 事76名(同27.7%,28.4%)であった(表3)。困ったと きの助けを親戚から受けていたのは221名(80.7%), 知人からは162名(59.1%)で,定期的に子どもを保育 園等に預けていたのは43名(15.7%)だった。  睡眠時間は平均6.4(SD1.3, range2-10)時間,9割近 くが授乳等で夜間覚醒があり(237名,86.5%),一晩 に起きる回数は2.7(SD1.4, range0-10)回だった(表3)。 睡眠による疲労回復感は「十分にとれている」が12.0% (33名)で,「あまりとれていない」(77名,28.1%)ある いは「ほとんどとれていない」(23名,8.4%)が約4割 を占めた。いずれも子どもの数による差はなかった。 3.母親の主観的な身体的健康状態 1 ) 身体不調症状  図1に示すように,ほぼ半数に「腰の痛み」138名 (50.4%),「咳・ 鼻 や の ど な ど の 症 状(風 邪 )」136名 (49.6%),「肩の痛み」135名(49.3%)があった。次い で「頭 痛 」115名(42.0%),「肌 荒 れ 」108名(39.4%)が 多く,3人に1人が「性欲減退」91名(33.2%)をあげて いた。30名(11.0%)に「37.5℃以上の発熱」があった。 妊娠・分娩に伴って劇的に変化した部位である「恥骨 や骨盤の痛み」22名(8.0%),「肛門部痛や痔核」16名 (5.8%),「外陰部痛」3名(1.1%)は1割未満だった。出 産後のケアとして注目されやすい「乳頭の痛みやト ラブル」42名(15.3%),「乳房の痛みやトラブル」25名 (9.1%)のみだった。  身体不調症状数は平均4.5(SD2.8, range 0-18)個で, 母親の年齢,子どもの数・月齢,就労の有無によるは 差なく,睡眠時間が長い,一晩に起きる回数が少ない 場合に少なかった(いずれもp<0.01)。 2 ) 蓄積疲労度  疲労蓄積度は平均8.86(SD6.82,range 0-39)で,母 親の年齢,子どもの人数・月齢,就労の有無による差 表3 やりたい子育てができている・できていない別 子育て状況(N=274) やりたい子育てが 全体 N=274 n(%) できている n=156 n(%) できていない n=112 n(%) 夫の育児参加  自分以上,ほぼ同じくらい  あまり参加していない  ほとんどしていない,いない  無回答 125(45.6) 111(40.5) 28(10.2) 10( 3.6) 84(53.8) 54(34.6) 11( 7.1) 7( 4.5) 39(34.8) 55(49.1) 16(14.3) 2( 1.8) p<0.01 夫の家事参加  自分以上,ほぼ同じくらい  あまり参加していない  ほとんどしていない,いない  無回答 75(27.4) 111(40.5) 80(29.2) 8( 2.9) 48(30.8) 65(41.7) 36(23.1) 7( 4.5) 25(22.3) 44(39.3) 42(37.5) 1( 0.9) p=0.01 困ったときに助けてくれる親戚がいる  いない  無回答 221(80.7) 53(19.3) 0( 0.0) 127(81.4) 29(18.6) 0( 0.0) 89(79.5) 23(20.5) 0( 0.0) p=0.69 困ったときに助けてくれる知人がいる  いない  無回答 162(59.1) 110(40.1) 2( 0.7) 104(66.7) 50(32.5) 2( 1.3) 54(48.2) 58(51.8) 0( 0.0) p<0.01 定期的に子どもを預けている  預けていない  無回答 43(15.7) 225(82.1) 6( 2.2) 19(12.2) 133(85.3) 4( 2.6) 19(17.0) 91(81.3) 2( 1.8) p=0.51 睡眠による疲労回復感  十分にとれている  まあまあとれている  あまりとれていない  ほとんどとれていない  無回答 33(12.0) 140(51.1) 77(28.1) 23( 8.4) 1( 0.4) 23(14.7) 99(63.5) 28(17.9) 5( 3.2) 1( 0.6) 8( 7.1) 38(33.9) 48(42.9) 18(16.1) 0( 0.0) p<0.01

mean(SD) n mean(SD) n mean(SD)

平均睡眠時間(時間)

一晩に起きる回数(回) n=237n=270 6.42.7(1.3)(1.4) 153156 2.26.5(1.2)(1.7) 111112 6.12.4(1.3)(1.5) p=0.01p=0.30 連続変数の検定にはt検定,カテゴリ変数の検定にはχ2検定あるいはスピアマンの順位相関係数を用いた。

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はなく,長い睡眠時間(p<0.01),夫の育児・家事参加 が多い場合(いずれもp=0.04)に低かった。 3 ) 健康関連QOL SF-8  全8項目のスコアリング平均値,2つのサマリースコ ア(PCS-8 47.3,SD6.1,MCS-8 47.8,SD6.7)とも国民 標準値の平均である50を下回った(表4)。両サマリー スコアとも,母親の年齢,子どもの人数・月齢,就労 の有無,夫の育児・家事参加による差はなく,睡眠に よる疲労回復感が良好(いずれもp<0.01)と正の関連 があった。加えて,PCS-8は睡眠時間が長い(p<0.01), 一晩に起きる回数が少ない(p=0.01)と良好だった。 4.母親が考える「やりたい子育て」実現の関連要因  「やりたい子育て」は,子どもの数が少ない(p=0.02), 夫の育児(p<0.01)・家事(p=0.01)参加が多い,知人か ら支援がある(p<0.01),睡眠時間が長い(p=0.01),睡 眠による疲労回復感が良好(p<0.01)と関連があった (表2,3)。また少ない不調症状数(p=0.01),低い疲労 蓄積度(p<0.01),良好なSF-8の下位7尺度(GH・VT ・MH・RE p<0.01,RP p=0.01,PF・BP p=0.04), 良 (%)60 50 40 30 20 10 0  乳房  性欲減退 の 痛みやトラ ブ ル  乳頭 の 痛みやトラ ブ ル 乳房 ・ 乳頭  外陰部痛  肛門部痛や痔核  性交時 の 痛みや違和感  尿失禁 尿路生殖器系  食欲不振  気分不快や嘔吐  胃部痛  下腹部痛  下痢  便秘 消化器系  肌荒れ 皮膚症状  恥骨や骨盤 の 痛み  手首 の 痛みや腱鞘炎  肩 の 痛み  腰 の 痛み 筋骨格系  発熱 ︵ 37.5 ℃ 以上 ︶  頭痛  咳 ・ 鼻や の ど の 症状 ︵ 風邪 ︶ 全身症状 図1 1ヶ月間の身体不調症状(%, N=274) 「その他」に記載があった症状の内訳;だるさ 膝や足の症状 手や指の症状 脱毛 外陰部痛 目の症状 歯痛 手 足のこり 常時の膣の痛み 中耳炎 蓄膿症 マイコプラズマ肺炎 貧血 血行不良 不正出血 不整脈 精神疾患 平均症状数4.5(SD2.8) 表4 やりたい子育てができている・できていない別 SF-8のスコアリング値(N=274) やりたい子育てが できている n=156 できていないn=112 n mean(SD) n mean(SD) n mean(SD)

下位項目 全体的な身体状態 身体機能 日常役割機能(身体) 身体の痛み 活力 社会生活機能 心の健康 日常役割機能(精神) (GH) (PF) (RP) (BP) (VT) (SF) (MH) (RE) 271 271 271 271 270 273 273 274 47.5(6.6) 49.9(5.2) 48.5(5.9) 46.9(8.2) 49.8(6.0) 47.0(8.3) 48.0(7.0) 49.2(5.9) 154 154 154 154 153 155 155 156 48.5(6.8) 50.5(4.4) 49.3(5.4) 47.8(8.4) 51.3(5.6) 47.7(8.0) 50.1(6.2) 50.7(4.5) 111 111 111 111 111 112 112 112 45.9(5.9) 49.1(6.1) 47.5(6.2) 45.7(8.0) 48.1(6.1) 46.2(8.2) 45.1(7.2) 47.2(6.8) p<0.01 p=0.04 p=0.01 p=0.04 p<0.01 p=0.13 p<0.01 p<0.01 サマリースコア 身体的サマリースコア 精神的サマリースコア (MCS)(PCS) 269269 47.347.8(6.1)(6.7) 152152 49.847.7(6.2)(5.7) 111111 47.045.3(6.0)(7.2) p=0.34p<0.01 t検定

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好なMCS-8(p<0.01)と関連があった(表4)。  基本属性と子育て状況のみを投入したモデル1で は,年齢が40歳以上(オッズ比6.1,95%信頼区間1.37-27.60),子どもが少ない(0.5, 0.36-0.84)が,身体状態 を追加したモデル2では,年齢が40歳以上(5.3, 1.04-26.87),子どもが少ない(0.5, 0.31-0.83)に加え就労中 (4.0, 1.15-13.68),祖父母の同居あり(3.2, 1.05-9.75), 蓄積疲労度が低い(0.9, 0.83-0.97)と関連があった(表 5)。さらに身体状態と睡眠による疲労回復感を加えた モデル3では,疲労蓄積度との関連はなく睡眠による 疲労回復感が「まあまあ」(4.7, 1.88-11.58)か「とても」 (6.9, 1.65-28.97)あると,制御変数の年齢が40歳以上 (6.1, 1.14-32.60),祖父母の同居あり(3.4, 1.06-11.09) だ っ た(モ デ ルχ2乗 検 定p=0.03,Hosmer-Lemeshow 検定p=0.47,判別的中率74.4%)。 表5 やりたい子育てができているかの多変量ロジスティック回帰分析(N=274) 因子 オッズ比 95%信頼区間 p値 オッズ比 95%信頼区間 p値 オッズ比 95%信頼区間 p値モデル1 モデル2 モデル3 母親の年齢(歳) 30歳未満 1.0 30-34歳 1.2 0.59 2.53 0.59 1.3 0.57 2.95 0.53 1.5 0.65 3.71 0.33 35-39歳 1.3 0.58 3.00 0.50 1.5 0.59 3.82 0.40 1.9 0.70 5.36 0.20 40歳以上 6.1 1.37 27.60 0.02 5.3 1.04 26.87 0.05 6.1 1.14 32.60 0.03 母親の就労状態 就労していない 1.0 1.0 1.0 就労中 2.8 0.93 8.27 0.07 4.0 1.15 13.68 0.03 3.6 0.98 13.28 0.05 育休中 1.2 0.61 2.35 0.61 1.5 0.70 3.23 0.29 1.6 0.69 3.55 0.28 対象児の月齢(ヶ月) 1.0 0.86 1.24 0.73 1.1 0.92 1.37 0.26 1.1 0.89 1.36 0.38 子どもの数(人) 0.5 0.36 0.84 0.01 0.5 0.31 0.83 0.01 0.6 0.35 1.01 0.05 暮らし向き 暮らしに必要なものやまとまったものも,だ いたいは買える 1.0 1.0 1.0 食べるほうの心配はないがまとまったものは 買えない 1.2 0.63 2.46 0.53 1.7 0.81 3.74 0.16 2.3 0.98 5.31 0.06 食べるのに精一杯,やっと暮らしている 0.6 0.22 1.60 0.30 1.3 0.38 4.22 0.70 0.8 0.22 2.65 0.67 祖父母と同居 していない 1.0 同居している 2.0 0.78 5.02 0.15 3.2 1.05 9.75 0.04 3.4 1.06 11.09 0.04 夫の育児参加 ほとんどしていない,夫はいない 1.0 1.0 1.0 あまり参加していない 0.9 0.30 2.57 0.80 0.7 0.22 2.44 0.61 0.8 0.23 3.09 0.79 自分以上,ほぼ同じくらい 1.7 0.53 5.51 0.37 1.7 0.45 6.61 0.43 2.1 0.50 9.08 0.31 夫の家事参加 ほとんどしていない,夫はいない 1.0 1.0 1.0 あまり参加していない 1.5 0.68 3.19 0.32 2.0 0.79 4.88 0.15 2.0 0.74 5.36 0.17 自分以上,ほぼ同じくらい 1.6 0.61 3.98 0.35 1.3 0.45 4.00 0.61 1.0 0.30 3.24 0.97 困ったときに助けてくれる親戚 いない 1.0 1.0 1.0 いる 0.9 0.44 1.93 0.84 0.9 0.38 1.98 0.73 0.6 0.22 1.46 0.24 困ったときに助けてくれる知人 いない 1.0 1.0 1.0 いる 1.5 0.85 2.76 0.15 1.1 0.54 2.10 0.86 0.9 0.43 1.90 0.78 定期的に子どもを預けているか 預けていない 1.0 1.0 1.0 預けている 0.4 0.14 1.25 0.12 0.4 0.11 1.30 0.12 0.4 0.10 1.46 0.16 不調症状数(個) ­ 1.0 0.88 1.21 0.67 1.1 0.90 1.29 0.40 疲労蓄積度自覚症状スコア ­ 0.9 0.83 0.97 0.01 0.9 0.86 1.03 0.17 SF-8 PCS ­ 1.0 0.93 1.08 0.99 1.0 0.91 1.07 0.75 SF-8 MCS ­ 1.0 0.98 1.13 0.20 1.1 1.00 1.17 0.05 平均睡眠時間(時間) ­ ­ 1.1 0.79 1.49 0.61 一晩に起きる回数(回) ­ ­ 1.1 0.84 1.33 0.63 睡眠による疲労回復感 あまりとれていない,ほとんどとれていない ­ ­ 1.0 まあまあとれている ­ ­ 4.7 1.88 11.58 <0.01 十分にとれている ­ ­ 6.9 1.65 28.97 0.01 モデルχ2検定 0.02 0.02 0.03 Hosmer-Lemeshow検定 0.98 0.37 0.47 判別的中率 66.9% 73.1% 74.4%

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Ⅳ.考   察

 一般的に生理的な過程とされる妊娠・出産を終え て6∼11か月経過した時点で,平均4.5個もの身体不 調症状を自覚していた。約半数が訴える主要な症状 であった「腰痛」「肩の痛み」は,妊娠期に分娩に備え て関節を支持する筋が弛緩しその後緩やかに回復す る(Schauberger, Rooney, Goldsmith et al., 1996; Mar-nach, Ramin, Ramsey et al., 2003)過程において,月齢 を重ね体重や活動量を増している子どもの世話に関わ る関節への負担の増加により許容量を超過しているこ とが考えられる。次いで,体調不良時に自覚する「風 邪症状」「頭痛」が多かった。全体として身体状態は良 好とはいえないことが推察できる。3割以上に「性欲 減退」の自覚があったが,これは子育て期に重要な夫 婦間のパートナーシップや次子希望・妊娠に関わる 可能性があり,さらなる検討が求められる。健康関 連QOLSF-8の下位8項目,2つのサマリースコアの全 てが50を下回り,対象者の年齢層が該当する18-29歳, 30歳代,40歳代女性のいずれのSF-8日本国民標準値 (福原・鈴鴨,2004, pp. 59-60)と比べて低く,一般住 民より健康状態を悪く評価していた。不調症状が多い 場合には健康状態を悪く自覚する(川田・鈴木・竹内 他,1995)ため,母親が特有の関節の不調・体調不良 を自覚していることが,主観的健康状態を不良に認識 させる要因になっている可能性がある。さらには体調 不良の認識は虐待意識との関連もあり(横山・岡崎・ 杉本他,2011),必要な専門的治療等につなげられる 支援体制が望まれる。  「やりたい子育て」ができている母親は約半数で, できていないと無回答を合わせると4割以上になる。 背景要因と子育て状態に自覚する健康状態を投入した 多変量解析では,蓄積した疲労が少ないことと,さら に睡眠状態を加えたモデルでは疲労度の関連はなく睡 眠によって疲労を回復できていると感じられること がやりたい子育て実現の要因であった。制御変数では, 年齢40歳以上と祖父母の同居があった。やりたい子 育てといった主体的な子育ての実現を認識できるには, 疲労が回復できていると感じられるような効果的な睡 眠・休息を得られることの重要性が示唆された。  睡眠状態の投入前(モデル1,2)には,子どもが少な い方がやりたい子育てを実現しやすいという関連があ った。妊娠前有職者の約6割が結婚や妊娠を機に退職 する状況(厚生労働省,2012)では,母親が無職の場合 は子育てに対する自負が,有職者では就労先への気兼 ねや子どもに対する自責が生じやすいと考えられ,い ずれの場合にもやりたいと考える「手間をかけた子ど もの世話」「気持ちのゆとりを持って子どもに接する」 (表1)ことを目指して,多忙な子育てにおいて試行錯 誤を繰り返す中で,子育ての主体を子ども中心に変化 させているという指摘(品田,2004, pp. 50-86)のよう に母親が自身の睡眠・休息を削っている可能性がある。 主体的に母親が子育てへ取り組むことが,身体の回復 に必要な睡眠・休息の獲得を困難にし,むしろやりた いような子育ての実現しにくくするという循環が生じ ている可能性もある。  産褥期の母親の睡眠に関するこれまでの検討で は,子どもの概日睡眠覚醒リズムの形成過程ととも に 変 化 し(Nishihara, Horiuchi, Eto, et al., 2002), 夜 間覚醒回数は産後3週か9週後から12週に渡って徐々 に減少して1回程度になる(Horiuchi, Nishihara, 1999; Nishihara, Horiuchi, Eto, et al., 2000)点や,分断睡眠 であっても睡眠段階2が減少することで徐波睡眠は増 減なし/増加傾向で妊娠期と産褥期ではREM睡眠や 徐波睡眠の量に変化はない(堀内,1994)点が示されて いる。身体機能の回復に携わる成長ホルモンが睡眠時 の入眠直後,とくに徐波睡眠時に血中濃度の上昇があ ることから,効果的な睡眠パターンに変化している (海老澤,2009, p. 196;西原,2009, pp. 386-390)といわ れる。しかしながら,出産後6か月以上経過した母親 の覚醒回数は自覚としては2.7(SD1.41)回ある。今後 客観的な指標を用いた測定が求められるが,産褥期と 同程度かそれ以上の分断状態にあることになる。既に 妊娠期から睡眠上の問題を抱えている割合が高く(鈴 木・大井田・曽根他,2003),特有の睡眠状態が相対 的に長期に及んだ子育て期早期における睡眠パターン や疲労回復状態をさらに解明していく必要がある。  睡眠状態を加えたモデル3では,背景要因のうち就 労状態や子どもの数とは関連せず,年齢が40歳以上, 祖父母の同居に関連を認めた。母親の年齢が高いと相 対的に身体負担が増す可能性や祖父母の存在がネガテ ィブサポートとなる(Ohsuka, Chino, Nakagaki, et al., 2009)可能性が考えられるが,むしろやりたいと考え る子育てを実現しやすい要因であった。初産年齢が 高いと子育て資源を活用しやすい(林・萱間・近藤他, 2005)点や身近に祖父母がいて手段的に情緒的に子育 てをシェアできる点が母親の負担軽減につながる支援 となって,やりたいと考える子育ての実現に支援的に

(10)

作用していることが考えられる。子どもの世話等の多 忙さによらず負担量に応じた疲労回復感が得られる睡 眠がとれることが重要といえる。  夫の育児/家事参加は,2変数間では関連があった が,その他の変数を制御した解析では関連がなかっ た。睡眠は極めてプライベートな活動ゆえに家庭外か らの支援は届きにくく,現状に則した支援検討が必要 とされる(Hunter・Rychnovsky・Yount, 2009)。本研 究の対象者のうち85%以上が核家族であり,身近に いて支援が必要となった場合に柔軟に対応できる家族 内支援提供者はほぼ夫に限られる。しかしながら,日 本の夫の子育て参加は先進諸外国と比べて短く(薦田, 2009, pp. 115-131),夫の育児や家事への参加状況は, 主として子どもの世話や家事を負う母親の過重状態の 解消や身体回復には十分ではないのではないか。母親 自身が身体状態や睡眠・休息の必要性を的確に把握で き,効果的な夫婦間の支援関係を築いていけることが 望まれる。  やりたい子育ての認識が健康関連QOL SF-8で測定 した精神的健康度MCS-8と2変数間の関連があったこ とは,うつ状態になると認識が悲観的・否定的に歪む こととの関連が考えられる。出産後は独特のホルモン 動態にあり,子育てに関わって心身が疲労することで, 産後うつなど気分障害が生じやすい。精神状態を捉え る客観的な指標を用いた検討が望まれる。  「健やか親子21」以降,就労時などの子どもの世話 の代行サービス・支援は浸透してきているが,地域や 家族が出産・育児を担う母親への支援環境を充実させ る必要性の指摘(島田・杉本・縣他,2006)もなされて いた。「子どもの心の安らかな発達の促進と育児不安 の軽減」の実現にむけて,主として子育てを担う女性 が健やかに主体的に子育てを担えるよう,母親自身の 健康への関心を高め,必要な睡眠や休息が得られる柔 軟な家庭内外からの支援体制を実現する方略を明らか にしていく必要がある。  本調査は無作為抽出法によって対象者を選定し,半 数を超える対象者の状況を把握できたが,約4割の対 象者の状況は捉えられていない。より現状を捉えられ るよう客観的指標を含めた縦断的アプローチが求めら れる。

Ⅴ.結   論

 子育て期早期の女性は,身体不調症状をかかえ健康 状態を悪く認識し蓄積した疲労症状があった。睡眠に よる疲労回復感は良好ではなかった。約半数が「やり たい子育て」ができており,睡眠による良好な疲労回 復感と40歳以上,祖父母の同居が関連していた。  本研究は,新潟大学男女共同参画推進室より研究補 助者の配置を受けて実施した。一部は第25回日本助 産学会学術集会で発表した。 引用文献

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