• 検索結果がありません。

新しい収益認識基準が収益以外に及ぼす影響

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "新しい収益認識基準が収益以外に及ぼす影響"

Copied!
8
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Applying IFRS

新しい収益認識基準が

収益以外に及ぼす影響

(2)

1. 概要 ... 3

2. 主な留意事項 ... 3

2.1. 非金融資産の売却 ... 3 2.2. 広告宣伝費... 4 2.3. サービス委譲契約 ... 4 2.3.1. 履行義務の識別 ... 4 2.3.2. 取引価格の算定及び配分 ... 5 2.3.3. 一定期間にわたる履行義務の充足 ... 5 2.3.4. 契約資産の表示 ... 6 2.4. 金融商品 ... 6 2.4.1. 手数料、利息及び配当 ... 6 2.4.2. 売上債権の当初認識 ... 6 2.4.3. 売上債権及び契約資産の減損 ... 6 2.4.4. 金融保証及びローン・コミットメント ... 7 2.5 不利な契約 ... 7 2.6. サービス提供者のサービスのコスト ... 8 2.7. 期中財務報告における開示 ... 8

重要ポイント

• IASB は、新しい収益認識基準と併せて、IFRS 第 15 号との関連について取り扱っ ている他のIFRS の修正も公表した。 • 修正された項目には、特定の • 非金融資産の売却、広告宣伝費、サービス委譲契約、不利な契約、ならびに手数 料、利息及び配当の会計処理が含まれる。 • 企業は、現行実務を変更する必要があるかどうかを理解するため、これらの修正 を慎重に検討しなければならない。

• IFRS 第 15 号の公表に伴う他の IFRS の修正は、その大半が IFRS 第 15 号の適

(3)

1. 概要

国際会計基準審議会(IASB)は、新しい収益認識基準である IFRS 第 15 号「顧客との契 約から生じる収益」の公表に伴い、IAS 第 11 号「工事契約」、IAS 第 18 号「収益」、 IFRIC 第 13 号「カスタマー・ロイヤルティ・プログラム」、IFRIC 第 15 号「不動産の建設に 関する契約」、IFRIC 第 18 号「顧客からの資産の移転」及び SIC 第 31 号「収益―宣伝 サービスを伴うバーター取引」を置き換えるとともに、他の国際財務報告基準(IFRS)の 修正を公表した。

これらの修正は、IFRS 第 15 号と他の IFRS との関係を取り扱ったものであるが、IFRS

第 15 号に置き換わる現行の収益基準で取り扱われている一部の項目に関し、会計処 理を変更する必要が生じる可能性がある。こうした変更は、IFRS 第 15 号の影響を最初 に検討する際に、見落とされている可能性がある。 本稿は、2015 年 4 月に公表され、新しい収益認識基準を詳しく解説した Applying IFRS(全般)(日本語版)を補足するものであり1IFRS 第 15 号の公表に伴う他の基準 書の修正のうち、主要なものについて説明している。

2. 主な留意事項

2.1. 非金融資産の売却

IFRS 第 15 号の公表に伴い、IAS 第 16 号「有形固定資産」、IAS 第 38 号「無形資産」

及びIAS 第 40 号「投資不動産」が修正され、企業の通常の活動から生じるアウトプット ではない非金融資産の売却から生じる利得及び損失の認識と測定に関し、IFRS 第 15 号の規定を適用しなければならなくなった。 企業は、非金融資産の認識をいつ中止するか(すなわち、支配がいつ移転するか)を判 断するにあたり、IFRS 第 15 号の支配モデルを参照することが求められる。企業は、取 引価格の算定に係るIFRS 第 15 号の規定に従って利得又は損失を測定するため、対 価を見積ることになる。見積対価の事後的な変動も、IFRS 第 15 号の規定に従って会計 処理される。こうした修正を反映して測定される利得又は損失は、IAS 第 18 号の規定に 基づいて測定された利得又は損失と異なる場合がある。 米国では、新しい収益認識基準の公表に伴う修正の一環として、米国財務会計基準審 議会(FASB)が実質的な非金融資産の概念を導入した。その結果、US GAAP を適用す る企業は、実質的に非金融資産となる子会社(又は資産グループ)の移転(例:単一の 投資不動産を所有する企業(corporate wrapper)の株式の売却)に新しい収益認識基 準の測定及び認識原則に係る規定を適用しなければならなくなる。しかしながら、実質 的な非金融資産ではなく、事業である子会社(又は資産グループ)の移転については、 引き続きUS GAAP の現行の認識中止規定に従って会計処理されることになる。 IFRS には、実質的な非金融資産という概念はなく、IFRS 第 15 号でも導入されていない。 IFRS 第 10 号「連結財務諸表」2には、事業ではない子会社の認識中止に係る部分的な 利得の会計処理が定められている。そのため、非金融資産自体が移転される場合と、 子会社に含まれて移転される場合とで、会計処理が異なると考えられる(前者の場合は IAS 第 16 号、IAS 第 38 号又は IAS 第 40 号が適宜適用され、後者の場合は IFRS 第 10 号が適用される)。

企業は、一部の非金融

資産の処分を会計処理

するにあたり、IFRS 第

15 号に従わなければ

ならない。

(4)

2.2. 広告宣伝費

たとえばお互いのウェブサイトに広告を掲載する権利を交換する契約を締結する企業 は、現金を一切支払うことなく、あるいは互いにほぼ同額の現金を支払って交換取引を 行うことがしばしばある。SIC 第 31 号では、バーター取引から生じる収益は、受領したサ ービスに基づき信頼性をもって測定することはできないと述べられている。その代わり、 売手は、下記の要件すべてを満たす非バーター取引を参照することにより、バーター取 引で提供する広告宣伝サービスの公正価値で収益を信頼性をもって測定できる。3 • バーター取引における宣伝と類似の宣伝を伴う • 頻繁に発生する • バーター取引における宣伝と類似する宣伝を提供するすべての取引の(取引件数 及び取引金額の両面からみて)大部分を占める • 現金及び/又は信頼性をもって測定可能な公正価値を有するその他の形式の対価 (たとえば、市場性のある有価証券や、非貨幣性資産及びその他サービス)を伴う • そのバーター取引と同じ相手方が関係していない

SIC 第 31 号は IFRS 第 15 号に置き換えられるが、IFRS 第 15 号ではこのような取引を

具体的に取り扱っていない。しかしながら、IFRS 第 15 号では、顧客との契約とみなされ るためには、取決めに経済的実質がなければならないとされている。また、経済的実質 は、「契約の結果として、企業の将来キャッシュ・フローのリスク、時期又は金額が変動 すると見込まれる」場合と定義されている。4そのため、宣伝に係るバーター取引を会計 処理し、当該取引が経済的実質の要件を満たすかどうかを評価する際には、具体的な 事実及び状況に関して相当な判断が求められる。

2.3. サービス委譲契約

2.3.1. 履行義務の識別

サービス委譲契約に係る収益の認識に関しては、現在、IFRIC 第 12 号「サービス委譲

契約」では、IAS 第 18 号及び IAS 第 11 号の規定を参照している。IFRS 第 15 号の公

表に伴う修正により、IFRIC 第 12 号は IFRS 第 15 号を参照することになる。IFRIC 第

12 号には、運営サービス、及び建設又は改修サービスの会計処理に係る個別規定が 定められている。現在IFRIC 第 12 号は、営業者が単一の契約又は取決めに基づき、 複数のサービス(例:建設又は改修サービスと運営サービス)を提供する場合で、金額 が個別に識別可能な場合には、受け取った又は受け取る対価は、提供したサービスの 公正価値の比率を参照して配分しなければならないと定めている。5 この規定は、IFRIC 第 12 号への修正の一環として削除された。そのため、企業は、個別 に識別可能なサービスを決定するのではなく、IFRS 第 15 号の規定に従って各契約に おける履行義務を識別しなければならなくなる。 そのためには、約定した財又はサービス(あるいは、財及びサービスの組合せ)が区別 できるか否かを評価するために次の2 段階アプローチを適用しなければならない。 3 SIC 第 31 号 5 項 4 IFRS 第 15 号 9 項(d) 5 IFRIC 第 12 号 13 項

(5)

• ステップ1:財又はサービスが区別され得るか否かの評価 • ステップ 2:財又はサービスを、契約における他の約定から区別して識別できる(す なわち、財又はサービスが契約の観点から区別できる)か否かの評価 履行義務の識別の詳細については、Applying IFRS(全般)のセクション 4.2 を参照され たい。

弊社のコメント

我々は、ほとんどの場合、IFRS 第 15 号の下でも、運営サービスと建設又は改修サービ スが2 つの区別できるサービスであるという現行 IFRS と同様の結論にいたるものと予想 している。しかし、サービス委譲契約は契約に基づくものであり、国・地域によっても異な るため、常にそうであるとは限らない。

2.3.2. 取引価格の算定及び配分

IFRIC 第 12 号の下では、委譲者が営業者に提供する項目は、営業者が自身が望むよ うに保持又は処分できる場合、営業者の資産として認識される。これらの資産は、当初 認識時に公正価値で測定される。 営業者は、当該資産と交換で引き受けた未履行の債務に関して負債も認識する。しか し、IFRS 第 15 号の公表に伴う修正により、これらは IFRS 第 15 号で定義される取引価 格の一部として処理されることになるが、当該修正では、それ以上の説明は行われてい ない。そのため、取引価格に関するIFRS 第 15 号の特定の規定が適用されるのかどう かは明らかではない。 IFRS 第 15 号では、取引価格を独立販売価格の比率に基づき各履行義務に配分するこ とが求められている。独立販売価格とは、企業が契約の開始時点で財又はサービスを 単独で販売する場合の価格である。IFRS 第 15 号では、財又はサービスが個別に販売 される場合の客観的な価格が、独立販売価格の最善の証拠を提供するとされている。 しかし、多くの場合、客観的な独立販売価格は容易に入手可能ではない。そのため、企 業は独立販売価格を見積らなければならない。現在、IFRIC 第 12 号は、受け取った又 は受け取る対価を、提供したサービスの公正価値の比率に基づき配分することを求め ている。IFRIC 第 12 号の下で、出口価格に基づき評価された公正価値が、IFRS 第 15 号の下で算定される見積独立販売価格と同じであるかは明らかではない。企業は、新し い規定によって各履行義務に配分される金額が変わるかどうかを判断しなければなら ない。

2.3.3. 一定期間にわたる履行義務の充足

現行のIFRS の下では、進捗度に応じて一定期間にわたり認識される収益がある。建設 又は改修サービスはIAS 第 11 号6、運営サービスはIAS 第 18 号7に従い会計処理さ れる。IFRS 第 15 号の公表に伴い、これらいずれのサービスも IFRS 第 15 号の規定に 従い、一時点で認識される収益なのか、一定期間にわたり認識される収益なのかを評 価しなければならない。IFRS 第 15 号では、一定期間にわたり収益を認識するために満 たすべき要件が挙げられている。8当該要件が満たされない場合、収益は一時点で認識

サービス委譲契約を有

する企業は、提供した

サービスの公正価値で

はなく、見積独立販売

価格に基づき取引価格

を配分しなければなら

ない。

(6)

しなければならない。このトピックの詳細に関しては、Applying IFRS(全般)のセクション 7.2 を参照されたい。 サービス委譲契約から生じる建設又は改修サービスに係る収益は、IFRS 第 15 号の下 では一般的に一定期間にわたり認識されると思われるが、企業は、これらの種類の取 決めから生じる収益が現行の IFRS に基づいた場合と必ずしも同じパターンで認識され ると考えてはならない。これは、サービス委譲契約が国や地域によって大きく異なるため である。IFRS 第 15 号が、サービス委譲契約のさまざまな状況にどのように適用される かは明らかではないため、これらの契約を新基準に照らして慎重に検討する必要があ る。

2.3.4. 契約資産の表示

IASB は、建設又は改修期間中に委譲者が営業者に支払う対価は、対価の種類にかか わらず、営業者の貸借対照表において契約資産として表示される(すなわち、金融資産 及び無形資産として受領した対価は、どちらも契約資産として表示される)ことを明確に した。IFRS 第 15 号では、「契約資産」という用語が定義されており、債権とは区別して 貸借対照表に表示することが求められている。 これらの規定は、IFRS 第 15 号による修正前は IFRIC 第 12 号に定められていなかった ため、契約資産の表示が現行実務から変わる可能性がある。

2.4. 金融商品

2.4.1. 手数料、利息及び配当

IAS 第 18 号には、配当収益の認識及び測定に係る会計上の取扱いが定められている。 IASB は、IFRS 第 15 号の公表に伴い、配当に関する規定を IFRS 第 15 号に含めるの

ではなく、IFRS 第 9 号「金融商品」(又は IAS 第 39 号「金融商品:認識及び測定」)に移

行した。

IAS 第 18 号は、利息収益に関し、金融商品に係る適切な基準(IFRS 第 9 号又は IAS

第39 号)に従って実効金利法を適用することとしている。しかし、IAS 第 18 号には、金 融商品の発行に不可欠であり、よって実効金利に含めるべき手数料に係る適用指針が 示されている。IFRS 第 15 号の公表に伴う修正により、この適用指針は IFRS 第 9 号(又 はIAS 第 39 号)に移行されている。 IAS 第 18 号は、配当及び利息収益に関して特定の開示を求めている。IAS 第 18 号が IFRS 第 15 号に置き換えられた結果、この開示も今後は要求されないことになる。その 代わり、企業は、個別の開示が必要かどうかを判断するためにIAS 第 1 号「財務諸表の 表示」等の他の基準書の規定を参照することになる。

2.4.2. 売上債権の当初認識

現行のIFRS 第 9 号及び IAS 第 39 号では、売上債権を公正価値で当初認識すること が求められている。IFRS 第 15 号の公表に伴う修正により、企業は、(IFRS 第 15 号に 基づき)重要な財務要素を含んでいないと判断された売上債権を、当初認識時に(IFRS 第15 号で定義される)取引価格で測定することが要求されることになる。

2.4.3. 売上債権及び契約資産の減損

重要な財務要素の有無にかかわらず、IFRS 第 15 号の下で生じる売上債権及び契約 資産に係る減損損失は、IFRS 第 9 号に基づいて会計処理され、IAS 第 1 号の規定に 従い表示され、IFRS 第 7 号「金融商品:開示」に従って開示される。しかし、IFRS 第 15 号では、そうした金額は他の契約から生じる減損損失とは区別して開示すべきことが明 確に定められている。

利息及び配当は

IFRS

15 号の適用対象か

ら除外され、IFRS 第 9

号(または

IAS 第 39

号)に従って会計処理さ

れることになる。

(7)

2.4.4. 金融保証及びローン・コミットメント

IFRS 第 15 号の公表に伴う IFRS 第 9 号及び IAS 第 39 号の修正により、金融保証及 びローン・コミットメントの当初認識後の会計処理に係る規定が変更となる。現行基準の 下で企業は、当初認識後、そうした金融商品に関して純損益に認識する時点及び金額

を決定するにあたり、IAS 第 18 号の規定を考慮している。

IFRS 第 9 号及び IAS 第 39 号が修正された結果、企業は、上記の場合に IFRS 第 15 号の原則を考慮しなければならなくなる。企業結合で認識された偶発負債に関し、同様 の修正がIFRS 第 3 号「企業結合」と IAS 第 37 号「引当金、偶発負債及び偶発資産」 の設例に対しても行われている。 この修正によって実務が変更になる可能性があるかどうかはまだ明らかではない。たと えば、保証に関する修正では、保証の当初公正価値を期間配分基準により純損益に認 識する代わりに、IFRS 第 15 号の原則に従ってそれらが充足された時点で(又は充足さ れるに従い)当該金額を認識するとされている。その際に、保証に基づく履行義務の識 別、また、当該履行義務が一定期間にわたり充足されるのか(また、一定期間にわたり 充足されるのであれば適切な進捗度)、一時点で充足されるのかの判断に関して IFRS 第15 号の規定を適用することが要求されるのかどうかは明らかではない。

2.5 不利な契約

現行のIFRS の下では、企業は不利な契約に関して認識する負債を評価する際に考慮 すべき契約収益及びコストを決定しなければならない。その際、企業は契約コストの計 算にあたり、IAS 第 11 号又は IAS 第 37 号のいずれかを参照するだろう。

IAS 第 11 号は IFRS 第 15 号に置き換えられるが、IFRS 第 15 号には、顧客との契約 のうち不利なもの又は不利になったものを取り扱う具体的な規定は定められていない。 しかし、IFRS 第 15 号の公表に伴う修正により、そうした契約は IAS 第 37 号の適用範 囲に含められることになる。IAS 第 37 号において、不利な契約は「契約による義務を履 行するために不可避的なコストが、当該契約により受け取ると見込まれる経済的便益を 上回る契約」と定義されている。9 また、「契約による不可避的なコストは、契約から解放されるための最小の正味コストを 反映する。これは、契約履行のコストと契約不履行により発生する補償又は違約金のい ずれか小さい方である」とも述べられている。しかし、IAS 第 37 号は「契約履行のコスト」 の意味を定めていない。

弊社のコメント

IAS 第 11 号の下では、特定の契約に直接関係する又は契約活動に起因するすべての 契約コストが全部原価法により含められる。しかし、IFRS 第 15 号によって IAS 第 11 号 のすべての規定が置き換えられるため、このアプローチがIAS 第 37 号の下でも容認され るのかどうかは不明瞭である。 IAS 第 37 号の規定の適用によって、契約における義務を履行するための不可避的なコ スト(すなわち、契約履行のコスト)を算定する際の実務にばらつきが生じる可能性があ る。IASB が追加の適用指針を設けなければ、このばらつきは解消されない可能性が高 い。

(8)

EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory EYについて EYは、アシュアランス、税務、トランザクシ ョンおよびアドバイザリーなどの分野にお ける世界的なリーダーです。私たちの深い 洞察と高品質なサービスは、世界中の資 本市場や経済活動に信頼をもたらします。 私たちはさまざまなステークホルダーの期 待に応えるチームを率いるリーダーを生み 出していきます。そうすることで、構成員、 クライアント、そして地域社会のために、よ り良い社会の構築に貢献します。 EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・ リミテッドのグローバル・ネットワークであり、単 体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メ ンバーファームは法的に独立した組織です。アー ンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、 英国の保証有限責任会社であり、顧客サービス は提供していません。詳しくは、ey.comをご覧く ださい。 新日本有限責任監査法人について 新日本有限責任監査法人は、EYの日本 におけるメンバーファームです。監査およ び保証業務をはじめ、各種財務アドバイザ リーサービスを提供しています。詳しくは、 www.shinnihon.or.jp をご覧ください。 EYのIFRS(国際財務報告基準) グループについて 国際財務報告基準(IFRS)への移行は、財 務報告における唯一最も重要な取り組み であり、その影響は会計をはるかに超え、 財務報告の方法だけでなく、企業が下すす べての重要な判断にも及びます。私たち は、クライアントによりよいサービスを提供 するため、世界的なリソースであるEYの構 成員とナレッジの精錬に尽力しています。 さらに、さまざまな業種別セクターでの経 験、関連する主題に精通したナレッジ、そ して世界中で培った最先端の知見から得 られる利点を提供するよう努めています。 EYはこのようにしてプラスの変化をもたら すよう支援します。

© 2016 Ernst & Young ShinNihon LLC All Rights Reserved.

本書は一般的な参考情報の提供のみを目的に 作成されており、会計、税務及びその他の専門 的なアドバイスを行うものではありません。新日 本有限責任監査法人及び他のEYメンバーファー ムは、皆様が本書を利用したことにより被ったい かなる損害についても、一切の責任を負いませ ん。具体的なアドバイスが必要な場合は、個別に 専門家にご相談ください。 本資料はEYG no.AU2881の翻訳版です。 ED:None

2.6. サービス提供者のサービスのコスト

現在IAS 第 2 号「棚卸資産」では、サービス提供者に関し、棚卸資産には企業がまだ 収益を認識していないサービスのコストが含まれると定められている。10これは、 IFRS 第 15 号の公表に伴う修正で削除されている。その結果、棚卸資産には以下の みが含まれることとなる。 • 再販売目的で購入、保有されている財(たとえば、小売業者が購入して再販売用 に保有している商品や再販売用に保有する土地又はその他固定資産) • 企業が生産した完成品又は仕掛品、ならびに生産過程で今後使用される原材料 及び貯蔵品 サービス提供者に生じるサービスのコストが棚卸資産の改訂後の定義を満たさない 場合、それらのコストは顧客との契約を履行するために生じるコストとしてIFRS 第 15 号に基づき会計処理しなければならない。IFRS 第 15 号の下では、契約履行コストが、 (i)契約に直接関係し、(ii)契約における履行義務の充足に使用される資源を創出す るか又は増価し、かつ(iii)回収が見込まれる場合にのみ当該コストを資産計上する。 コストが資産化の要件を満たすか否かを判断するにあたり、企業は、個別の事実及 び状況を考慮しなければならない。コストが「回収されると見込まれる」という要件を 満たすためには、返還されることが契約上明記されているか、契約から得られるマー ジンを通じて間接的に回収できなければならない。 また、これらのコストを契約コスト資産として表示することは、それらを棚卸資産として 認識する現行の実務と異なる。

弊社のコメント

我々は、現行のIFRS の規定に基づき棚卸資産として資産化されているサービスの コストは、ほとんどの場合IFRS 第 15 号の下でも資産化されると見込んでいる。し かし、IFRS 第 15 号の資産化要件は現行の規定と異なるため、それらのコストが当 然に資産化されるものと考えるべきではない。

2.7. 期中財務報告における開示

IASB は IAS 第 34 号「期中財務報告」についても改訂し、収益の明細情報を要求し ている。しかし、年次財務諸表で求められる収益に関するその他の開示は、期中財 務諸表では求められない。

弊社のコメント

期中財務諸表に関して要求されている開示を初めて作成する際には、これまで以上 の労力が必要になると考えられる。特に、多くの異なる製品ラインを有する複数のセ グメントで事業を行っている企業においては、必要な情報を継続的に収集し、開示を 行う上で適切なシステム、内部統制、方針及び手続が整備されているかどうかを確 認する必要がある。 10 IAS 2.8

参照

関連したドキュメント

また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号

調整項目(収益及び費用)はのれんの減損損失、リストラクチャリング収益及び費用等です。また、為替一定ベースの調整後営業利益も追

 食品事業では、「収益認識に関する会計基準」等の適用に伴い、代理人として行われる取引について売上高を純

繰延税金資産は、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26

収益認識会計基準等を適用したため、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」に表示してい

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」とい

会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号

 「事業活動収支計算書」は、当該年度の活動に対応する事業活動収入および事業活動支出の内容を明らか