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数値地形データを用いた「微地形図」の作成方法

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Academic year: 2021

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数値地形データを用いた「微地形図」の作成方法

―目次-

1.はじめに 2.方法 2.1 微地形図作成の基本方針 2.2 微地形図の作成方法 (1) ArcView へデータをインポート (2) ラスタへ変換 (3) 標高レイヤの作成 (4) 傾斜レイヤの作成 (5) 曲率レイヤの作成 a.平滑化 b.曲率計算 (6) 立体図の作成 (7) 曲率図の作成 (8) 等高線の作成 (9) 微地形図の完成 3.おわりに

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1. はじめに 山地災害による被害を減らすためには、適切な森林管理を行ったうえで、必 要に応じて治山施設等を設置することが効果的です。しかし、広大な森林の中 から土砂災害が発生する危険地を予測するのは困難な作業です。 従来、危険地予測の方法は、地形図や航空写真などを用いて地形判読する手 法がとられてきましたが、この手法では地形判読者に経験と高度な技術が要求 されます。また、既存の地形図には表現されていない微地形が存在することも あります。一方、近年の航空レーザ測量技術の発達により、上空から樹木の下 の詳細な地表の形状を高精度に測量することが可能になりました。航空レーザ 測量は、国や都道府県をはじめとする様々な機関により、全国各地で実施され ており、測量成果は、発注機関に申請することで容易に入手することができま す。 そこで、航空レーザ測量により得られた高精度の数値地形データ(以下 DEM: Digital Elevation Model)を加工し、危険地を予測するために有効な微地形図 の開発を試みました。 2. 方法 2.1 微地形図作成の基本方針 微地形図の開発に当たっては、以下の3点に留意しました。 ① 地形判読が容易であること。 危険地予測のための微地形図の開発であるため、地形判読しやすいとい う点が最も重要であると考え、地形の凹凸が強調される表現方法としまし た。また、DEM を用いた既存の地形表現方法として陰影起伏図や鳥瞰図等が ありますが、これらの図法では光源や視点の位置を変えることによって、 見え方が変わってしまうという欠点があります。開発する図法では、光源 や視点の位置に影響されない図法としました。 ② 立体的に見えること。 地形を把握するためには、立体的に見えるということも重要な要素です。 3Dモニターなどの特殊な装置を使用せず、紙に印刷した状態で立体的に 見えることを心掛けました。 ③ 誰でも容易に作成できること。 開発した手法が広く活用されるように、汎用の GIS ソフトを使用するこ ととしました。微地形図の作成には、(米)ESRI 社製 ArcView10 Spatial Analyst(以下 SA)を使用しました。

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2.2 微地形図の作成方法 下図は微地形図作成手順を流れ図です。次ページ以降に各工程の解説と ArcView10 上でのコマンドを記したので、実務で活用してください。 航空レーザ測量データ (x,y,z形式 1mグリッド DEM) (1)ArcViewへインポート (2)ラスタへ変換 ラスタデータ (1mメッシュ) (1) ArcView へデータをインポート (「ファイル」-「データの追加」-「XY データ追加」) 航空レーザ測量による DEM の多くは、東西1m間隔に並んだ x、y、z 形式の 点群の標高値で入手できます。この DEM を ArcView10 にインポートします。ファ イル形式、座標系などは発注時の仕様により異なるため、データ作成元等に確 認する必要があります。 国土交通省等で行われている河川レーザ測量では、「番号,x,y,z,フラグ」 の順に並んだテキストデータで入手できます。テキストエディタ等で、先頭行 に「FID,x,y,z,f」と付加すると ArcView10 にインポートが可能になります。 傾斜角計算 a.平滑化処理 b.曲率計算 コンター計算 (3)標高レイヤ (4) 傾斜レイヤ (5)曲率レイヤ (6)立 体 図 (7)曲率図 (9)微 地 形 図 (8)等 高 線 (a)青赤、透過率0% (b)白黒、透過率50% (ア)白黒、透過率0% (ウ)白紺、透過率50% (イ)白茶、透過率50%

(i)透過率0% (ii)透過率50% (iii)透過率0%

(ア)+(イ)+(ウ)= (a)+(b)=

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先頭行に、このように付け加える。 「XY データ追加」ウィンドウでは、イ ンポートするファイル名、X、Y、Z座 標のフィールド、座標系の指定をします。 河川レーザのデータの座標系は日本測 地系(Tokyo) 平面直角座標系 第8 系(長野県)です。

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(2) ラスタへ変換 (「変換ツール」-「ラスタへ変換」-「ポイント→ラスタ」) ポイント形式のデータを、計算処理が容易なラスタ形式に変換します。 ArcToolbox の「変換ツール」-「ラスタへ変換」-「ポイント→ラスタ」により 変換します。セルサイズは1(DEM のメッシュ幅)とします。 微地形図を作成したい範囲が複数の図郭にまたがる場合は、ラスタ形式に変 換した後にファイルを結合します。( 「SA」-「データ管理ツール」-「ラスタ」-「ラスタデータセット」-「新規ラスタにモザイク」) ピクセルタイプは 32_BIT_FLOAT を選択します。

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(3) 標高レイヤの作成

(「レイヤプロパティ」-「シンボル」)

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(4) 傾斜レイヤの作成 (「SA」-「サーフェス」-「傾斜角」) ラスタデータを用いて傾斜角の計算を行います。入力ラスタは(3)で作成した ラスタファイル、出力ラスタは任意と、出力単位は DEGREE とします。 作成された傾斜レイヤは、「レイヤプロパティ」-「シンボル」で緩傾斜を白 く、急傾斜を茶に彩色します。

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(5) 曲率レイヤの作成 a.平滑化 (「SA」-「近傍解析」-「フォーカル統計」) 1m間隔のラスタデータを無処理のまま曲率計算すると、凹凸が細かすぎる ためにかえって地形を把握しにくくなります。尾根、谷や水の流れを把握しや すい図を作るためには、適当な範囲で平滑化を行います。(試行錯誤の結果、平 滑化の範囲を 10m程度に設定して良好な結果を得ています。) ・簡便な方法(単純平均) 最も簡便な平滑化の方法としては、中心のセルから近傍半径 10 セルの平均値 です。入力ラスタは(3)で作成したラスタファイル、出力ラスタは任意に、近傍 オプションは円形に指定し、半径 10 セル、統計情報の種類は MEAN とします。 ・より滑らかに行う方法(加重平均) 単純平均による簡便 な方法では、処理時間 は短いものの細かな地 形の凹凸が消えてしま う欠点があります。よ り滑らかに平滑化を行 いたい場合は、ガウス 関数等を用いて中心に 近いほどウェイトが高 くなるような重み付け ファイルを用意し、加 重平均を行います。近 傍オプションをウェイ トに指定し、予め用意 したカーネルファイル を指定します。

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Microsoft Excel の NORMDIST 関数(標準偏差 = 3.0)で作成したカーネルファ イルは下からダウンロードできます。 ダウンロード---> ガウス 2503.csv b.曲率計算 (「SA」-「サーフェス」-「曲率」) ArcView には曲率という計算コマンドが用意されています。曲率とは、中心の セルとその周辺の8つのセルで構成される面の凹凸を表し、傾斜角の傾斜角で す。面が凸ならプラス、凹ならマイナスとなり、平衡斜面では0となります。 曲面が鋭角なほど、曲率の絶対値は大きくなります。このコマンドを使用して、 平滑化済みのラスタデータにより曲率計算を行います。 入力ラスタは(5)aで作成したラスタファイル、出力ラスタは任意に、Z の倍率は1に指定します。 作成された曲率レイヤは、「レイヤプロパティ」-「シンボル」で凹地を紺色、 凸地に彩色します。

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(6) 立体図の作成 下位から順に、(ア)標高レイヤ(低い:黒⇔高い:白、透過率0%)、(イ) 曲率レイヤ(凹:紺⇔凸:白、透過率 50%)、(ウ)傾斜レイヤ(緩:白⇔急: 茶、透過率 50%)を重ねて立体図を作成します。立体図では、標高の低い場所 と凹地形の場所が暗く彩色され、急傾斜地が濃い茶色で彩色されているため、 目の錯覚により立体的に見える図となります。 (ウ)傾斜レイヤ (イ)曲率レイヤ (ア) 標高レイヤ 緩:白⇔急:茶 透過率 50% 凹:紺⇔凸:白 透過率 50% 低い:黒⇔高い:白 透過率0% 重ね合わせ 立体図

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(7) 曲率図の作成 上で使用した曲率レイヤと傾斜レイヤを複製し、(a)曲率レイヤ(凹:青⇔ 凸:赤、透過率0%)、(b)傾斜レイヤ(緩:白⇔急:黒、透過率 50%)とな るように彩色を変えて重ね合わせます。曲率図では、地形の凹凸を青赤で彩色 しているため、谷や尾根などの地形を判読しやすい図となりますが、立体感に は欠けます。 凹:青⇔凸:赤 透過率0% 緩:白 ⇔ 急:黒 透過率 50% 重ね合わせ 曲率図

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(8) 等高線の作成

(「SA」-「サーフェス」-「コンター」)

標高値のラスタデータから等高線を作成する。10m間隔(細線)と 100m間隔 (太線)の2種類を作成します。

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(9) 微地形図の完成

下位から順に、(i)立体図(透過率0%)、(ii)曲率図(透過率 50%)、(iii) 等高線(透過率0%)となるように重ねて微地形図の完成です。 立体図と曲率 図を重ねたことにより、立体的に見えて、かつ、地形を判読しやすい図となり ます。 (iii)等高線 (ii)曲率図 (i)立体図 透過率 0% 透過率 50% 透過率0% 重ね合わせ 微地形図(完成)

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3.おわりに 開発した微地形図を用いると、従来使用していた地形図や航空写真からは判 読が難しかった様々な地形の判読を容易に行うことが可能になり、崩壊危険地 予測の精度向上が期待できます。また、既設の治山施設の位置や、従来の地形 図には正確に記載されていない低規格路網の線形を把握することができるため、 森林整備における伐倒木の搬出作業計画や路網配置計画における活用も期待で きます。 その他、森林整備における様々な用途でご活用ください。

参照

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