育 苗 指 針
昭和59年3月
育苗指針改訂にあたって
育苗指針は,昭和43年に策定し,昭和48年には新しい除草剤の開発や農薬の規制強化等に対応す るため,内容を一部改定し,今日に至っています。 その間,この指針は,苗木生産の手引きとして定着しましたが,このたび,昭和59年度の苗木から, 山行苗木の規格を中国地区5県で統一することになり,広島県では山行苗木及び幼苗の規格を改正する ことにしました。新規格では,大きさのほか,従来の大と中の区分を改め,苗齢による区分を新しく設 けることになりました。 この規格改定に伴い,幼名の大きさ,施肥内容,床替間隔等の生産方式をある程度変更することが必 要になりました。また,長年にわたって積上げた育苗技術の研究成果や林木育種事業の成果等を活用す るため,すぎ,ひのきのさし木苗木養成技術,育苗のための新技術及び薬剤の利用法等を掲載すること にしました。 この育苗指針が苗木生産の指導手引きとして,大いに活用されるとともに,さらに技術の向上が図ら れ,これまで以上に,健全で優良な苗木が生産されることを念願するものであります。 昭和59年3月 広島県林務部長 木 原 一 博目 次
育苗指針改訂にあたって 第1 良い苗木づくり ………1 1.良い苗木とは ………1 2.広島県の苗木の規格 ………2 (1) 山行苗木の規格 ………2 (2) 幼苗(1年生)の規格 ………2 第2 苗畑の選び方と土づくり ………3 1.苗畑の選び方 ………3 2.施肥 ………3 (1) 施肥の基本的な考え方 ………3 (2) 酸度(PH)の調整 ………4 (3) 施肥基準 ………5 3.床づくり ………5 (1) 耕うん ………5 (2) 施肥(基肥) ………5 (3) 床の作り方 ………6 (4) 土壌消毒 ………6 第3 幼苗のつくり方 ………7 1.まきつけ準備 ………7 (1) 種子の取扱い ………7 (2) 発芽促進 ………7 (3) 種子消毒 ………7 2.まきつけ ………8 (1) まきつけ床 ………8 (2) 時期 ………8 (3) まきつけ量 ………8 (4) 方法 ………8 3.まきつけ後の管理 ………9 (1) 敷わらの除去 ………9 (2) 日覆い ………9 (3) かん水 ………9 (4) 病虫害等の防除 ………10 (5) 除草 ………10 (6) 追肥 ………12 (7) 間引き ………12 (8) 根切り ………13(9) 越冬準備 ………14 第4 山行苗木(2年生,3年生)のつくり方 ………14 1.生産目標 ………15 2.苗木の選別 ………15 3.床替(植付け)………15 (1) 時期 ………15 (2) 仕立本数 ………15 (3) 植付け ………16 4.床替後の管理 ………17 (1) 病虫害等の防除 ………17 (2) かん水 ………17 (3) 除草 ………17 (4) 追肥 ………17 (5) 根切り ………17 第5 堀取り,選苗,仮植 ………18 1.堀取り ………18 2.選苗 ………18 3.仮植 ………18 (1) 短期仮植 ………18 (2) 越冬仮植 ………18 4.梱包,輸送 ………19 (1) 梱包 ………19 (2) 輸送 ………20 第6 さし木苗のつくり方 ………21 1.採穂園の造成と管理 ………21 (1) 造成 ………21 (2) 管理 ………23 2.さし木 ………23 (1) さし木床 ………23 (2) 時期 ………24 (3) 採穂と穂づくり ………24 (4) 発根促進処理 ………24 (5) さしつけの方法 ………24 3.さしつけ後の管理 ………25 (1) 日覆い ………25 (2) かん水 ………25 (3) 虫害の防除 ………25 (4) 選苗 ………26
別表―1 広島県における林業用苗畑の施肥基準 ………28 1.畑地土壌 ………28 2.黒ぼく土壌(黒色火山灰土) ………30 3.水田土壌 ………32 別表―2 主な肥料の性質と施用法 ………34 別表―3 林業用苗畑の除草剤使用法 ………38 別表―4 林業用苗畑の主要病虫害等と防除法 ………40 別表―5 林業用主要農薬の使用法 ………44 別表―6 ボルドー液のつくり方 ………50 別表―7 苗畑作業年間行事表 ………52
第1 良い苗木づくり
1.良い苗木とは 昔から作柄を左右するという意味に「苗半作」という言葉がよく使われる。これは,林業においては, 優良苗木の重要性を説いたものといえる。 苗木は,苗畑では最終生産物であるが,造林という長期にわたる事業の中で見ると原材料であり,山 に植えても良く活着し,その後の生育が良く,病虫害や気象外に対して強い,しかも材質の優れたもの でなければならない。 良い苗木とは,次の諸条件を備えていることが必要である。 ① 品種系統が良いこと。 ② 発育が良く,組織が充実していること。 ③ 下枝がよく張り,根元直径が太く,ガッチリした形であること。 ④ 徒長していないこと。 ⑤ 値が良く発達し,地上部と地下部のつり合いがよく取れていること。 ⑥ 病虫害にかかっていないこと。 ⑦ 着花結実していないこと。 苗木の生産にあたっては,これらの条件を備え,かつ,広島県が定める規格にあった苗木を,生産の 目標としなければならない。2.広島県の苗木の規格 (1) 山行苗木の規格 表―1 山行苗木の規格 規 格 樹 種 苗 齢 苗高㎝ 根元径㎜ 摘 要 2 35∼60 6.0上 実 生 3 35∼70 9.0上 す ぎ さし木 2 35∼65 6.5上 2 35∼60 5.0上 ひ の き 3 35∼70 6.0上 あかまつ 2 20∼50 5.0上 くろまつ 2 20∼50 6.0上 本表の苗木は,次の条件を備えたものとする。 ① 品種系統の明らかなもの(確認されたもの。) ② 苗木の根部は正常で,根張りが良く,T/R 率が2.0∼4.0のもの。 ③ 無病,無傷で,組織が充実し,下枝がよく張 り,奇形でないもの。 ④ 苗高は地上部の長さ,根元径は第1支根の上 方約2.0㎝の箇所の幹の直径とする。 ⑤ すぎ,ひのきについては,根切りを実施した もの。 (注) この規格は,昭和59年度産の苗木から適用する。 参考 T/R率:苗木の地上部と地下部の重量比(地上部生重g/地下部生重g)をいう。この値が 小さいほど,根系がよく発達していることを意味している。 (2) 幼苗(1年生苗)の規格 表―2 幼苗(1年生苗)の規格 樹 種 苗齢 呼称 苗高㎝ 摘 要 中 8∼12 す ぎ 実 生 1 大 12∼20 中 8∼12 ひ の き 1 大 12∼20 あ か ま つ 1 10上 く ろ ま つ 1 10上 本表の苗木は,次の条件を備えたものとする。 ① 品種系統の明らかなもの(確認されたもの)。 ② 根の発達が良く,細根の多いもの。 ③ 枝の本数が適度にあり,枝張りが良いもの。 ④ 頂芽の損傷なく,病害虫にかかっていないも の。 ⑤ 苗高は,地上部の長さとする。 ⑥ すぎ,ひのきについては,根切りを実施した もの。 ⑦ あかまつ,くろまつは,本葉がついているも の。
第2 苗畑の選び方と土づくり
1.苗畑の選び方 苗畑の適否は,育苗成績に著しく影響を与えるので,良い苗木をつくるためには,次の点に十分注 意し苗畑を選定することが大切である。 ① 地力が十分にあること。 ② 排水が良好で雨水が停滞しないこと。 ③ 土壌中に礫が少なく,土壌が重粘でないこと。 ④ 土壌が深く,腐植に富む壌土ないし埴壌土が良い。 (あかまつ,くろまつは壌土,すぎ,ひのきは壌土ないし埴壌土が良い) ⑤ 水の便が良いこと。 ⑥ 地形が,平坦であるか3∼4°以下の緩傾斜で,斉一であること。 ⑦ 谷間,凹地,盆地,風当たりの強いところは避けること。 ⑧ 過去に病虫害が発生していないこと。 ⑨ 輪作や苗畑の休閑を講じ連作しないこと。 ⑩ 水田を利用する場合は,排水,通気性のよいところを選び,湿田は避けること。 2.施肥 (1)施肥の基本的な考え方 ① 土づくりの基本は,有機質肥料の施用にあるといってよい。 堆肥,きゅう肥などの有機質肥料は,地力の維持向上に効果があるので,できるだけ多く施用 すること。 ② 施用設計は,あらかじめ土壌検定を行い,肥料の適正な使用量を決めること。 ③ 施肥を行う場合は,肥料の性質をよく知って効果的に行う。 ④ 窒素質肥料は,全量の2/3を基肥にし,残りの1/3は苗木の生育状況をみて追肥するこ と。追肥は8∼9月の遅い時期に施すと,秋伸びし,徒長の原因となりやすい。 ⑤ 加里質肥料は,全量の1/2を基肥にし,残りは追肥にすること。 ⑥ 燐酸質肥料は,生育の初期に必要なため,基肥に全量施すが,燐酸吸収力の高い土壌では, 堆肥と一緒にふるなど施肥の仕方を工夫すること。 ⑦ 鶏糞は,よく乾燥し細かく砕いたものを使用すること。なお,種子に直接ふれると発芽を害 することがある。 ⑧ 水田苗畑では,窒素質肥料をひかえて,徒長苗とならないようにすること。 ⑨ 土壌くん蒸剤で土壌消毒を行った場合は,窒素質肥料を20%程度減らすこと。(2)酸度(PH)の調整 ア 土壌の酸度 施肥の計画をたてる前に,苗畑の土壌の酸度(PH)を調べ,表―3の主要樹種の好適P Hより酸性が強い場合は,炭酸石灰(炭カル)などを施し,PHを調整する必要がある。 表―3 主要樹種の好適PH 樹 種 す ぎ ひ の き あかまつ 好適PH 5.4∼6.2 5.0∼5.6 4.8∼5.6 (注)①水(H2O)浸出法による数値である。 ②PHは,7.0を中性として,それより小さくなると酸性,大きくなるとアルカリ 性を表わす。 イ 所要石灰量 PHを調整するための所要石灰量は,表―4を参考にして計算する。 表―4 面積10a,深さ10㎝の土壌のPHの数値を 1だけ調整するために必要な炭酸石灰量 砂が多い 粘土が多い 土壌の種類 砂 土 砂 壌 土 壌 土 埴 壌 土 埴 土 (㎏) 必要炭酸石灰量 56 112 169 225 281 (注)消石灰,生石灰を使用する場合は,表の数値に,それぞれ0.74,0.56をかけて 換算する。 参考 計算例 PH4.5の土壌(壌土)を,PH5.0に調整する場合は, 169㎏×(5.0−4.5)=84.5㎏ となる。 従って,10a 当たり炭酸石灰を85㎏施せばよい。 なお,消石灰を使用する場合は, 169㎏×0.74×(5.0−4.5)=62.53㎏ となる。
ウ 石灰施用上の注意 ① 炭酸石灰の施用量が10a 当たり100㎏以上となる場合は,一旦100㎏を施して,残 量は苗木の育成状況をみながら,次の作付の時施用する。 ② 石灰を散布したら,直ちに深さ10㎝程度までよく混じるようすき込む。 (3)施肥基準 広島県における林業用苗畑の施肥基準は,別表―1(28ページ)のとおりである。 これは,土壌等の種類により,一つの基準を示したものであり,従来からの慣行施肥量と, 苗木の生育状況等により修正し,適切な施肥内容とする必要がある。 3.床づくり (1)耕うん ア 時 期 冬季(12∼2月)に荒起しをし,春先の作業開始前に,基肥のすき込みを兼ねて耕う んする。 イ 方 法 耕うんは,トラクター,耕うん機等を使用してできるだけ深くたがやし,丁寧に砕土す る。 (2)施肥(基肥) 基肥(堆肥,鶏糞,化学肥料等)は,苗畑全体に均一にふり,深さ10∼15㎝にすき込む。 なお,堆肥は完熟したものを使用する。 (3)床のつくり方 耕うんした畑は,一定間隔に溝を切って畝たてを行い,表面をレーキ等で整地し,床づくりを する。 ① 大きさ:幅1m,長さ20m,床間隔40㎝くらいが作業に便利である。 ② 方向:地形によって異なるが,東西にした方が日除けや霜除けをするのに便利である。 ③ 高さ:苗畑の条件によって決めるが,降水量や積雪量の多いところ及び水田等の排水不良や 湿潤なところでは,床を高目(10∼20㎝)とする。 (4)土壌消毒 根切り虫,土壌線虫(ネマトーダ),立枯病等の病虫害の発生を要望するために,薬剤による 土壌消毒を行った方がよい。 土壌消毒の方法は,別表―4林業苗畑の主要病虫害と防除法(40ページ)及び別表―5林業 用主要農薬の使用法(44ページ)のとおりである。 なお,土壌くん蒸剤を使用する場合は,劇物で危険性が高いものもあり,林業改良指導員の指導 及び注意事項をよく守って使用する。
第3 幼苗のつくり方
1.まきつけ準備 (1)種子の取扱い 種子は,温度と湿度の影響を受けやすいので,取扱いに十分注意する。特に,貯蔵種子は,温 度,湿度に敏感なので,あらかじめ床づくりを済ませてから,貯蔵庫の種子を取り出し,発芽促 進等のまきつけ準備にはいることが好ましい。 なお,貯蔵庫から種子を取り出してまきつけ準備にはいるまで時間がかかる場合は,気温が低 く,外気の影響を受けにくい場所で保管する。 また,種子の取扱いに当たっては,産地別,品種別の区別をはっきりして,混合しないように 注意する。 (2)発芽促進 まきつけた種子を一斉に発芽させるために,前年秋採種の種子は1∼2昼夜,貯蔵種子は約1 週間きれいな流水につける。その際,種子がよく水につかるように,種子を大きな種もみ用浸漬 ネットに入れ,浮き上がらないように重しをする。 (3)種子消毒 種子消毒には,粉衣法浸漬法があり,表―5の薬剤を用いる。 ア 粉衣法 発芽促進処理をした種子の水を切り,陰干しして生乾きのとき,適当な容器(缶や広口び ん等)に定量の種子と薬剤を入れ,よく振ってまぶしてまきつける。 イ 浸漬法 発芽促進処理した種子をそのまま薬剤液に浸漬し,水洗いしないで水切りをしてまきつ ける。 表―5 種子消毒用薬剤 薬 剤 使用時期 使用量及び使用法 チラウム水和液 チ ラ ウ ム 8 0 チラウミン水和剤 まきつけ前 粉衣:種子1㎏当たり2∼5g (すぎ,ひのき)※まつには使わない チウラムチオファネートメチル 水和剤 (ホーマイ水和剤) 〃 浸漬:200倍液に30分間浸漬する。 粉衣:種子重量の1%(すぎ,ひのき)2.まきつけ (1)まきつけ床 まきつけ床は,新しい畑を選び,連作を避けた方がよい。また,病虫害の予防のために土壌消 毒を行う。 ① 床の大きさ,方向等は,床づくり(6ページ)に準じてつくる。 ② 床の中央部を少し高くして,排水を良くする。 ③ ローラー等を使用して,床固めを行い,発芽ムラ,床地の崩れ,霜柱の発生を防止する。 (2)時 期 まきつけは,最高気温が20℃を超す日が続くようになる時期が良い。(植物気候でハナズオ ウ,モクレンの花が満開の頃)。早過ぎると適温になるまでに種子が腐ったり,発芽しても晩霜 の被害を受けるおそれがある。また,早過ぎると水分管理に手間がかかったり,生育期間も短く なる。 (3)まきつけ量 種子の産地(採取地)ごとに発芽検定をして,まきつけ量を決めるが,乾燥重量で決めてある ので,発芽促進処理をする前に秤量することが大切である。 表−6 種子の標準まきつけ量(1㎡当たり) (単位:g) 発芽率% 樹種 10以上 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0 9 0 9 5 す ぎ 76 3 8 2 2 1 6 12 − − − − − ひ の き 63 2 7 1 6 1 2 9 − − − − − あかまつ・くろまつ − − − − − 1 6 1 3 1 2 1 0 9 (4)方 法 ア まきつけ まきつけは,曇りで無風の時を選び,床面に1㎡当たり10㍑の水をかん水してから,種 子の重なりがなく,ムラのないように注意しながら行う。この場合,床ごとに種子を分け,そ の2/3 を最初にまきつけ,残りの 1/3 で手直しをするとよい。 発芽率が高くて,まきつけ量の少ない種子をまくときは,砂と混ぜてまくとムラなくまく ことができる。
イ 覆 土 覆土は,雑草の種子や病菌などを含まず,粘り気の少ないまさ土や消毒した畑土を使用する。 覆土は,厚過ぎても薄過ぎても害があるので,3∼7㎜の細目のふるいにかけた土を,種子が 見え隠れする程度(種子の厚さの2倍程度)に均一にかける。 覆土の終った床は,種子を土に密着させるためと,種子や土が風で飛ばないように床面を押え 板で軽くたたいておく。 ウ 敷わら まきつけ床の乾燥を防ぐため,床面にわらを敷く。わらは1本並べにし,風で飛ばないように, わらと直角に2∼3本の縄をかけ,2∼3mごとにピンで止める。 わらを敷いた後,病気の発生を予防するため,ボルドー液を十分に散布しておく。 3.まきつけ後の管理 (1)敷わらの除去 敷わらは,種子が40∼50%発芽した頃に約半分,70∼80%発芽の頃に残りの全部を 取除く。取除きが遅れると,発芽した苗木はもやしのような弱い苗木になる。 (2)日覆い 敷わらを取除くと同時に日覆いをかける。晩霜のおそれのある場所では特に早めに行う。 日覆いの高さは,床面から50∼60㎝とし,遮光率は40∼50%(例えばクレモナ寒冷紗 600∼610番)のものがよい。 日覆いは,夜間,曇天,雨天の場合には取除くが,霜のおそれがある時は夜間もかけたままに しておく。 また,8月中旬頃から苗木に陽光を徐々に長く当てるようにし,遅くとも8月下旬までには取 りはずす。 なお,あかまつ,くろまつには日覆いの必要はない。 (3)かん水 苗畑土壌の水分が不足すると,種子の発芽や苗木の生長が止まったり,ひどいときには枯れた りするので,乾燥の激しいときは,かん水を行う。 かん水は,日中を避けて早朝か夕方にし,苗畑土壌の種類によって間隔を変えて行う(壌土,埴 壌土:7∼10日,砂質土:3∼5日)。 かん水する量は,表−7を参考にする。 表−7 浸透する深さとかん水量(1㎡) か ん 水 量 浸透する深さ 砂 質 土 壌土・埴壌土 10 ㎝ 約10㍑ 約20㍑ 20 ㎝ 約20㍑ 約40㍑
(4)病虫害等の防除 苗畑における病虫害等の被害には,次のようなものがある。これらの中には,一旦発生すると 苗木が全滅するおそれもあり,別表−4林業用苗畑の主要病虫害等の防除法(40ページ)及 び別表−5林業用苗畑の主要農薬の使用法(44ページ)を参考に,発生を防止するとともに, 発生した場合は速やかに適切な防除を行う。 ア 主な病虫害等 ① 虫 害:根切り虫,サビヒョウタンゾウムシ,夜盗虫,ハダニ,ケラ,カイガラムシ ② 病 害:針葉樹立枯病,すぎ赤枯病,ひのきのペスタロチア病,くもの巣病,灰色かび病, すぎ雪腐病,根腐線虫病 ③ 鳥獣害:すずめの害,もぐらの害 イ 主な予防,消毒 ① 床づくり前:壌土消毒(土壌くん蒸等により,病虫害を予防) ② 床づくり時:殺虫殺菌剤散布(病虫害予防) ③ まきつけ時:種子消毒(病害予防) ④ まきつけ,床替後:予防(ボルドー液等を月2回散布して,病害を予防) ⑤ 7∼8月:殺虫剤散布(根切り虫等の予防) ⑥ 仮植前:土壌消毒(土壌殺菌剤を仮植地に散布し,病害を予防) ⑦ 根雪前:予防(ボルドー液等を散布し,病害を予防) (5)除 草 ア 雑草の種類 除草に当たっては,雑草の種類をよく知っておくと便利である。 表−8 主な雑草の種類 区分 特 色 種 類 1 年 生 雑 草 発芽した年に開花, 結実して枯れる。 メヒシバ,エノコログサ(イネ科),カヤツリグサ(カヤツリ グサ科),ツユクサ(ツユクサ科),コニシキソウ(トウダイ グサ科),タデ(タデ科),スベリヒユ(スベリヒユ科),ザ クロソウ(ザクロソウ科)など。 越 年 生 雑 草 発 芽した年には開花 せず,越冬して翌年 に開花,結実して枯 れる。 スズメノテッポウ(イネ科),ハコベ(ナデシコ科),ヒメジヨ オン,ハハコグサ(キク科),ヤエムグラ(アカネ科),ナズ ナ(アブラナ科)など。 多 年 生 雑 草 地上部は枯れるが, 地下部が生きていて 毎年出芽して生長す る。 コウボウ(イネ科),ヨモギ,ジシバリ(キク科),カタバミ (カタバミ科),ハマスゲ(カヤツリグサ科),カラスビシャ ク(サトイモ科),スギナ(トクサ科)など。 イ 手取り除草 除草は,草が小さいうちに,苗畑が雨上がりなどで湿っているときに行う。 乾燥しているときは,地上部のみを摘み取るか,除草後に十分かん水する。
ウ 除草剤の使用 まきつけ床における除草剤の使用法は,別表−3林業用苗畑の除草剤使用法(38ページ) のとおりである。 除草剤使用上の注意点は次のとおりである。 ① 苗木に薬害が発生したら回復措置がないので慎重に使用する。 ② 初めて使用する薬剤は,林業改良指導員の指導によるか,小面積のテストをしてから拡大 していく。 ③ 法令による取扱い,薬剤に添付されている注意事項を守り,所定の面積に所定の薬量をき ちんと散布する。 ④ まきつけ床での第1回目散布は,種子をまきつけて覆土した後に行い,その後敷わらをす る。 なお,土壌消毒(土壌くん蒸)を行った場合は,1回目の散布は省略してもよい。 ⑤ 第2回目以降の散布は,散布前にあらかじめ手取除草をしてから行う。 ⑥ 散布はなるべくノズルを地表面に近づけて,薬剤が苗木にかからないように,また,ムラ が生じないように注意する。 ⑦ ひのきは,発芽して元葉がかなり出るまで(3枚以上)は,MO乳剤,ニップ乳剤により 薬害を生じやすいので散布しない。 (6) 追 肥 追肥は,苗木の育成状態をみて,土壌や気象条件などによって加減しながら,適時に適量の 肥料を施す。 窒素質肥料が育成後半になってきくようでは,寒害等の害を受けやすいので,時期と量には 特に注意しなければならない(生長旺盛期の6∼7月に施す)。 加里質肥料は根切りを終ってから(9月以降でもよい)やるとよい。 硫安,塩化加里などの科学肥料を施す場合は,肥料焼けを起こすことがあるので,次の点に 注意する。 ① 苗木から少し離してやる。 ② 葉にかからないようにし,かかったら払い落す。 ③ 朝露などで葉が濡れているときはやらない。 (7) 間引き 間引きの時期及び程度は,発芽後の成立本数,その後の生育の良否などによって決めるが, 表−9幼苗の成立本数を参考に行う。 間引きは,5月下旬頃から徐々に間引き始めて,8月上旬には秋季成立本数にまで減らし, 苗木の枝葉を十分に発達させる必要がある。 特に,生育後半に急な間引きを行っても,苗木の形質は悪く,不ぞろいになるので,適期に 適度な間引きを行うことが重要である。
間引きに当たっての注意事項は次のとおりである。 ① 第1回目の間引きは,苗木が混んでいる所を中心にし,できるだけ生えムラを少なくする。 ② 間引き苗木は,発育の悪いもの,特別に大きいもの,病害などにかかっているものを優先 する。 ③ 雨上がりに間引いたり,間引き後にかん水するなど,残る苗木を荒らさないように注意す る。 ④ 間引くときは,床面を片方の手で押さえて間引いたり,苗木を摘取るようにするのも一つ の方法である。 表−9 幼苗の成立本数(1㎡) 時 期 別 成 立 本 数 時期 樹種 間引き1回目 間引き2回目 (6月下旬∼ 7月中旬) 間引き3回目 (7月下旬∼ 8月上旬) 秋季最終 標準得苗率 す ぎ 1,400 本 1,000 本 600 本 600 本以内 90 % ひ の き 1,600 1,200 800 800 90 あかまつ・くろまつ 1,000 800 650 650 90 (注) ① 適正な間引きを行って秋季成立本数(最終仕立本数)にしても,現実には,それらが全部床替用 にはならない。 例 生育良好なひのきの場合で成立本数800本のとき,得苗率が90%と見込まれるので,得 苗本数は720本となる。 ② 1回目の間引きは,苗長が,すぎで3㎝,ひのき2∼3㎝,あかまつ,くろまつでは子葉が出そ ろったときを目安とする。 ③ 2回目の間引きは,すぎでは枝が2∼3本生じたとき,ひのきは本葉が少し混み始めたときを目安 とする。
(8) 根切り すぎ,ひのきの健全な苗木をつくるには,発育の旺盛な時期に十分な養分と水分を吸収 させ,適期に根切りを行って,9∼10月には伸長生長を止めることが必要である。 ただし,あかまつ,くろまつは根切りをしない。 ア 時 期 幼苗は,8月下旬∼9月中旬頃までが適期であるが,苗木の生長状態その年の気候条件 等によって異なる。 早過ぎると,新しい根が伸びてくるので,もう一度根切りをしなければならないし,遅 過ぎると根切りの効果がないばかりでなく,白根が固まっていないので,掘取り,仮植 時に根を傷つけやすい。 イ 方 法 根切りは,8∼9月にかけて5∼7㎝の深さで切る。 根切り機で行う場合は,刃の通る深さが10㎝程度になるよう調整し,根切りの深さを 一定に保持する。 根切り後に乾燥が続くようであればかん水する。 なお,加湿地では,根切り後に根の再生が阻害されたり,切断部分が黒変することがあ るので,過湿にならないような床づくりをあらかじめしておく,特に,ひのきではこの ことに留意することが必要である。 (9) 越冬準備 寒さの害に耐え得るような充実した苗木を,施肥(窒素過多を避け,加里を追肥する。), 根切りなどの育苗技術によってつくることが第一であるが,さらに次のような方法を 講じる。 ① 早く初霜のあることもあるので気象予報に注意して,降霜前に日覆いと同じものをかけ る。 日中はこれを取って耐寒力をつけておく。 ② 霜柱の害は,土壌が水分を多く含む火山灰質土壌などでよく起こるので,もみがらや細 かく切ったわらなどを苗の間に敷く。 ③ 根雪期間が長い地域では,根雪前と雪どけ後に十分消毒(チウラム剤500倍液又はボ ルドー液4−4式)を行う。
第4 山行苗木(2年生,3年生)のつくり方
1. 生産目標の設定 すぎ,ひのきの実生苗木の生産に当たっては,1回床替(2年生)山行苗木又は2回床替 (3年生)山行苗木のいずれかに生産目標を定めて,それにより育苗操作を替えて生産する。 ① 生産目標は,育畑条件,各人の技術,需要者の意向等を考慮して定める。 ② 育苗操作は,生産目標に従って,幼苗か山行苗木まで一貫した考え方で行う。 ③ 山行苗木(特に3年生)は,原則として水田での育苗は好ましくない。 2. 苗木の選別 床替に当たっては,苗木の形状,形質等が良く,生産目標に添った選別を行うことはもち ろんであるが,畑ごとに苗木をそろえて植えることが,その後の管理等に便利なことから, 規格をさらに細分化して選別した方がよい。 3. 床 替(植付け) (1) 時 期 床替時期は,苗木の生長開始直前の春と生育期間の終わり頃の秋があるが,乾燥期は避 けた方がよい。 なお,秋に行ったものは,冬の雪害,霜柱の害にかかりやすいので,比較的早く行い, 冬までに活着させる。 表−10 床 替 時 期 樹 種 地 域 季 節 す ぎ・ひのき あかまつ・くろまつ 春 季 3月上旬 ∼ 3月下旬 2月中旬 ∼ 3月中旬 県南部 秋 期 10月上旬 ∼ 11月中旬 春 期 3月下旬 ∼ 4月下旬 3月中旬 ∼ 4月中旬 県北部 秋 期 9月下旬 ∼ 10月下旬 (2) 仕立本数 苗木の床替本数を決めるに当たって考慮しなければならない点は,次のとおりである。 ① 苗木の大きいものは疎,小さいものほど密に床替する。 ② 苗木の枝を横に広げる性質の樹種(すぎ・ひのき)は疎,広げない樹種(あかまつ・く ろまつ)は密に床替する。 ③ 気候温暖で地味の肥えた所は疎,これと反対の所は密に床替する。本県の床替本数の標準は,表−11のとおりである。 表−11 苗木の床替本数の標準 1 年 目 2 年 目 生産目標 樹 種 区分 植付苗木の大きさ 床替本数 植付苗木の大きさ 床替本数 す ぎ 12∼20㎝ 30∼36 本/㎡ ひ の き 12∼20 30∼42 1 床 (2年生) 山 行 あかまつ くろまつ 12上 49∼64 す ぎ 8∼12 36∼49 20∼25㎝ 20∼30本/㎡ 2 床 (3年生) 山 行 ひ の き 実 生 8∼12 42∼56 18∼30 20∼35 す ぎ 20∼30 20∼30 1 床 (2年生) 山 行 ひ の き さし木 20∼30 20∼35 (注) この表は,本県の実態からみて,望ましい範囲を示したものなので,地域差,経験,苗木の生育状況 等により加減する。 (3) 植付け ① すぎ,ひのきは,植付け前に植えやすいように,苗木の大きさに応じて適当な長さ(10㎝ 程度)に根を切る。この場合,根元の位置をよくそろえて切らないと短く切り過ぎることがある ので注意する。 ② 苗木を取扱うときは,根を傷めないようにし,特に根の乾燥には十分注意する。 植付けの際,赤土を泥状にしたものの中に根をつけて乾燥を防止する。 ③ 植付けは,植穴を十分大きくし,根を自然の状態にして,初めは深目に植え,軽く覆土してか ら少し引上げ,両手の指先で横からしっかり締めつける。 特に,根が鳥足状になったり,丸めて団子状にならないように注意する。 ④ ひのきのように枝葉をへん平に広げる性質のものは,枝が張りやすいように,間隔に注意する。 ⑤ 1回床替の場合は,土袴が付かないように,必要に応じて敷わら等をする。 ⑥ 植付後に床土が乾燥しているときは,かん水する。これは,根と土壌の接触を良くし,苗木の 衰弱を防ぐのに効果的である。
4. 床替後の管理 (1) 病虫害等の防除 まきつけ床(10ページ)に準じて行う。 (2) かん水 まきつけ床(9ページ)に準じて行う。 (3) 除 草 まきつけ床(10ページ)に準じて行うが,床替床での除草剤の散布は,第1回目を床替 後3∼7日たってから行う。 (4) 追 肥 まきつけ床(12ページ)に準じて行う。 (5) 根切り ア 時 期 まきつけ床(13ページ)に準じて行う。 イ 方 法 根切鞦又は根切りスコップを床の下方15㎝くらい押入れて直根を切ると同時に,土と根 を持ち上げるように根部を浮かす。 また,測根も切ることが必要なので,四方から行うとより良い。 根切機を使用する場合は,水平方向しか切れないので,注意が必要である。 ただし,あかまつ,くろまつは根切りをしない。
第5 根取り,選苗,仮植
1. 堀取り 曇天,無風,朝夕の陽ざしの弱い天候条件や,土壌が適度に湿っているときに行い,堀取った 苗木は直ちに,こも,むしろなどをかけて保護し,できるだけ早く選苗場所に運ぶ。 2. 選 苗 選苗は,風の当たらない日陰や屋内で苗木が乾燥しないように迅速に行う。 選苗に当たっては,規格を厳守して行うが,苗高と根本径のバランスがとれていることが必要 なので,山行苗木については,比較苗高が80以上のものは除外することが望ましい。 参 考 比較苗高:苗高と根本径の比で,H/D比ともいい,苗高㎝/根本径㎜×10で表す。 この値の小さいもの程,苗木が頑健で,根系の発達も良好であることを示す。 80以上になると枯損の危険が高い。 3. 仮 植 (1) 短期仮植 根取り後,すぐ出荷できない時は短期仮植を行い,決して梱包のまま放置しない。 出荷時期が不確定の場合は,必ず条件のよい場所にていねいに仮植する。 ア 仮植場所 風が当たらないところで,排水が良く,適度の水分を保持する日陰の畑が良い。 イ 植え方 根が適度に重ならないようにするとともに,根の深さをそろえ,できるだけ根と土が密着 するように,かるく踏みつける。 なお,束仮植は絶対に避け,苗木を一本並べ(バラ仮植)にして植える。 (2) 越冬仮植 仮植のまま越冬する場合,根傷み,雪腐れ,寒害の危険性が高いので,次の点に注意して 冬まで十分根づかせておくことが大事である。仮植に当たっての注意点は次のとおりである。 ① 仮植地は,雪どけが早い東∼南向きのやや傾斜のある畑で,風当たりが弱く,排水の良い 場所を選ぶ。 なお,仮植地の周りには,必ず排水溝を設ける。 ② 束仮植は絶対に避け,一本並べ(バラ仮植)にして植える。 ③ 根を曲げて仮植すると鳥足状の苗木になるので,まっすぐにして仮植する。 ④ 下枝の部分まで深く土をかけ過ぎると,その部分の下枝が腐るので注意する。 ⑤ 雪腐病の防除のため,根雪前にチウラム剤(500倍液)かボルドー液(4−4式)を苗 木に散布する。 ⑥ 根雪期間が長引いたときには,春に消雪促進のため,木炭粉,黒土等をかける。 4. 梱包・輸送 (1) 梱 包 ① あらかじめ植栽地と連絡をとり出荷直前に梱包する。 梱包作業は,風の当たらない日陰か屋内で行う。 ② 濡れた苗木を梱包するとむれる原因となるので,降雨直後,朝露のある時は避ける。 苗木を乾燥とむれから守ることが大切である。 ③ 半腐れのわらか濡らした水ごけ又は山ごけで根を包む。 わらを使用する場合は,少なくとも1ヶ月以上水に浸漬して半腐れ状になったものを使用 する。 ④ 梱包材料は,一般的にはこもを使用しているが,幼苗にはCTMダンボール箱,山行苗木 用にはライフパック等の梱包材料も有効である。 ⑤ 梱包した苗木には,1梱包ごとに必ず表示票を添付する。 参 考 CTMダンボール箱 ピリン系の解熱作用をもつ植物性漢方薬から抽出した薬品を特殊加工のダンボール箱の内 側にスプレイして乾かしたもので,苗木を箱詰して,ビニールテープで完全密封することに より苗木の呼吸作用と蒸散作用を抑制する。 ライフパック ポリエチレン,クロスシート(2m×2m)に特殊加工紙(蒸散作用,呼吸作用を抑制する ための薬剤塗布)を貼付したもので密封することにより,苗木の呼吸作用,蒸散作用を抑制す る。 (2) 輸 送 輸送は,トラック輸送が便利であるが,次の点に注意する必要がある。 ① 直接,日光や風が当たらないようにシートをかける。 ② できるだけ早く目的地に到着させる。 ③ 車のエンジン部分や荷台の底は,むれたり,傷つきやすい。
第6 さし木苗のつくり方
さし木苗木をつくるには,品種系統の確かなものでなければならない。 広島県では,推奨品種として次のものを指定している。 す ぎ:精英樹……比婆2号,山県1号,山県3号,高田1号,府中1号,庄原1号 在来品種…カワイダニスギ,ヤマモトオキノヤマスギ,ハチロウスギ ひのき:精英樹採種園産種子による実生系統 1. 採穂園の造成と管理 (1)造 成 採穂台木用苗木の植栽地(採穂園)は,土壌が肥沃で排水が良く,しかも管理作業や穂木の運 搬等を考えて,平坦地又は緩傾斜地で交通の便の良いところを選ぶ。 なお,寒気の停滞や霜穴となるところは避ける。 台木の配植後は,品種の配植台帳をつくるとともに,現場へも品種の表示板をたて,速やか に採取源指定を受ける。 ア すぎ採穂台木(高台変則主幹型)のつくり方 ① 台木の配植は,列方向へ1.5m,列間2mとし,10a当たり300本の植栽を目安と する。 ② 台切り剪定は,定植後1年目以降順次図−1のように行い,1.8m程度の高さに誘導す る。 図−1 高台変則主幹型(すぎ)③ 剪定に当たっては,台切り直下の主枝を2本程度残し,その他の主枝は幹から2∼3㎝ のところで剪定して,枝の基部近くからさし穂となる萌芽枝を発生させる。 ④ 台切り及び不良枝の剪定時期は4月上旬から中旬がよい。 ⑤ 採穂できる萌芽枝の本数は,80∼100本程度である。 イ ひのき採穂台木(超低台型)のつくり方 ① ひのきのさし木は,親木の樹齢が高いと発根しにくいので,実生苗木を採穂台木とする。 ② 台木の植栽は,床幅1m,床間隔30∼50㎝,1㎡当たり9∼16本配植する。 ③ 台切り剪定は,苗木が活着したら,下枝を2∼3本残して,地上15∼20㎝の高さで 幹を切る。 ④ 台切りの翌年には,切断した切口近くから,萌芽枝や切残した枝が立上がってくるので, これを採穂する。 以後,この作業をくり返し,萌芽枝のつけ根から剪定して,台木の高さを初めの切断位置 に維持する。 このとき,従長した不良枝の除去もあわせて行う。 ⑤ 萌芽枝は,台木1本当たり,2∼3年目で10∼12本,5年目以降は50本程度である。 ⑥ 超低台型の場合は,すぎについても応用できる。 図−2 超低台型(ひのき,すぎ)
(2) 管 理 ア 肥培管理 苗木の定植時から3∼4年目までは台木の骨格づくりのための施肥を行い,本格的に採穂 ができるようになると採穂等で失われた養分を補給するとともに,さし穂の発根性を高め るために施肥を行う。 施肥時期は,基肥は11月下旬から翌年の2月下旬とし,追肥は8月中旬から9月中旬と するが,生育状況により施肥量は適宜加減する。 表−12 施 肥 量 台 木 区 分 基 肥 追 肥 台木育成期 複合肥料(20:10:10) 40∼50g 高 台 採 穂 期 〃 80∼100g 尿素 20∼25g 熔燐 80∼100g 台木育成期 〃 30∼40g 低 台 採 穂 期 〃 60∼80g 尿素 10∼15g 熔燥 60∼80g (注) 施肥量は,高台は1本当たり,低台は1㎡当たりとする。 イ 病虫害防除 採穂台木は,赤枯病等の防除のために5月下旬から9月中旬まで1∼2か月に1回ボルドー 液(4−4式)を散布する。 すぎではこのほかにスギハダニの防除として5∼6月,8∼9月に各1回殺虫剤(別表− 4(40ページ)及び別表−5(44ページ)を参照)を散布する。 2. さし木 (1) さし木床 ア さし木床の土壌 さし木床の土壌は保水,排水性が高く,また通気性の優れたものが最適であるが,これら いずれか一方に片寄り過ぎたものは好ましくない。 ミスト等のかん水装置のあるところでは排水性の高い,キビ土,まさ土,川砂が適し,か ん水装置のない露地では保水性の高い黒ぼく(黒色火山灰土)が適している。 イ 床づくり 床づくりは,まきつけや床替の場合と同様に床を耕し,地ならしする。 できればさしつけの1∼2か月前病虫害防除のため土壌消毒を床づくりの土壌消毒(6ぺ ージ)に準じて行うことが望ましい。 さし木床は通常上げ床とし畝幅は1m,歩道は0.3∼0.5mとする。 畝の崩れやすい土壌では板等で枠をつくる。 かん水装置のない露地では,さしつけ前にさし木床の黒ぼく土壌に十分に水を入れ,レー キ等でかきならして泥状とした後さしつけをする(ねりざし)。
(2) 時 期 さし木は通常春ざしとするが,生長を開始した後では針葉からの水分の蒸散が活発で,穂 づくりの際の芽の傷みが多い。 このため,すぎでは生長開始直前から新芽が米粒大となるまでがさし木の適期となる。 ひのきではすぎほどの厳密さはなく,少し生長し始めた時期まで可能である。 すぎの適期:4月上旬∼4月中旬 ひのきの〃:4月上旬∼5月上旬 (3) 採穂と穂づくり さし穂となる萌芽枝は,すぎでは萌芽後2∼3年経過し,長さ50㎝程度ひのきでは25 ∼30㎝程度のいずれも節間が詰り,充実したもの,特にひのきでは芯のはっきりしてい るものを採穂する。 採穂した荒穂は,日陰で流水につけ,順次穂づくりをする。 さし穂は,すぎで25㎝,ひのきで20㎝の長さとし,下3分の1の針葉を除去する。 穂づくり後のさし穂は切口が乾燥しないように水につけておき,1日以内にさしつける。 (4) 発根促進処理 ひのきは,無処理でも90%以上の高い発根率となり,発根促進処理を必要としない。 すぎについては,無処理で60%以上の発根率となるが,より確実に発根させるために, オキシベロン(β−インドール酪酸)処理をする。 これにより70∼90%の発根率となるとともに,根の量の増加や木質化が進む。 オキシベロン処理の方法は,次のとおりである。 ① オキシベロン粉剤処理:さしつけ直前にオキシベロン1%粉剤をさし穂 の切口につけ,余分についた粉は軽くふり落し,さしつける。 薬剤10gでさし穂(切口の太さが4∼6㎜)200∼300本のさしつけができる。 ② オキシベロン液剤処理:液剤の希釈は40倍(水1 ㍑に25㏄の薬量)とし,24時間穂 木の切口を浸漬してさしつける。 この溶液は4∼5回くり返し使用できる。 (5) さしつけの方法 ア さしつけ方 さしつけ方には,案内棒ざしと直ざしとがある。 ① 案内棒ざし:あらかじめ,案内棒でさし木床に,さし穂の挿入の深さよりやや浅めに軽く 穴をあけ,これに穂木を挿入し,土壌と穂木の間にすき間がないように軽く押さえる。 ② 直ざし:この方法は前述の「ねりざし」で行うが,これには,案内棒の必要はなく,その ままさしつける。 ねりざしは,土壌が泥状になっているので,水が引くと穂木と土壌がよく密着する。 イ さしつけ本数 さしつけ密度は穂木の大きさによって決めるが,穂長25㎝では6㎝×5㎝間隔で1㎡当 たり500本が標準のさしつけ本数である。
3. さしつけ後の管理 (1) 日覆い さしつけ後直ちに日覆いをする。日覆いの遮光率は,40∼50%(例えばクレモナ寒冷 紗600∼610番)が適している。 日覆いの高さは,穂上40㎝前後とし,9月上旬には取除く。 (2) かん水 さしつけ当初は2∼3日おきにかん水し,3∼4週間後からはさし木床の地表面が乾かな い程度に適宜加減する。 (3) 虫害の防除 8月に入ると根切り虫の食害による枯損が発生することがあるので,殺虫剤を散布する。 (例えば,バイジット乳剤1,000倍液を1㎡あたり2∼3㍑土壌中へ良く浸透するよう にジョーロ等で散布する。) (4) 選 苗 11月上旬から下旬にかけて掘取を行い,根の本数が多く,さらに十分木質化したものを 翌年の1回床替用(2年生山行苗木用)として仮植する。 根の本数が著しく少ないものは,床替しても良い生長は望めないので廃棄する。
別表−1 広島県における林業用苗畑の施肥基準 1.畑 地 土 壌 (単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき あかまつ 摘 要 堆 肥 2,200 2,200 2,200 新規開墾地(土壌のよくない所) は20%増とする。 鶏 糞 50 50 50 硫 安(21.0%) 35 27 30 過燐酸石灰(16.5%) 55 45 50 土にふれないよう,堆肥とまぜて 施す。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) (4) 5 (4) 5 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 15 13 15 ま き つ け 床 ︵ 幼 苗 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) 5 (4) 5 (4) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,200 2,200 2,200 新規開墾地(土壌のよくない所) は20%増とする。 鶏 糞 100 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 53 (24) (21) 47 (23) 50 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) 80 (92) 65 (75) 70 (81) 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素のと きは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 (8) 10 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 27 (12) 23 (11) 25 (11) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 床 ︵ 2 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 (8) 10 〃 ()内は塩加の量。
(単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき 摘 要 堆 肥 2,200 2,200 新規開墾地(土壌のよくない所) は20%増とする。 鶏 糞 50 50 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 27 (12) 24 (11) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) 40 (46) 33 (37) 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素の ときは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) 5 (4) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 14 (6) 12 (6) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) (4) 5 〃 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,200 2,200 新規開墾地(土壌のよくない所) は20%増とする。 鶏 糞 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 53 (24) 47 (21) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) 80 (92) 65 (75) 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素の ときは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) 10 (8) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 27 (12) 23 (11) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 2 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 〃 ()内は塩加の量。 (注) 1回床替床(3年生山行苗木用)は,生産目標を2回床替(3年生)山行苗木とした場合であり, 2回床替(3年生)での大きくなり過ぎを防ぐため,1回床替床での生育を抑えるよう施肥量を 少なくする。
2.黒ぼく土壌(黒色火山灰土) (単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき あかまつ 摘 要 堆 肥 2,500 2,500 2,500 鶏 糞 50 50 50 硫 安(21.0%) 30 24 26 過燐酸石灰(16.5%) 60 50 55 土にふれないよう,堆肥とまぜて 施す。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) 5 (4) 5 (4) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 15 12 13 ま き つ け 床 ︵ 幼 苗 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) 5 (4) 5 (4) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,500 2,500 2,500 鶏 糞 100 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 50 (23) 40 (18) 43 (20) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 90 70 80 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) 10 (8) 10 (8) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 25 (9) (9) 20 (10) 22 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 ︵ 2 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 (8) 10 〃 ()内は塩加の量。
(単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき 摘 要 堆 肥 2,500 2,500 鶏 糞 50 50 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 25 (12) 20 (9) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 45 35 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) 5 (4) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 13 (6) 10 (5) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) (4) 5 〃 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,500 2,500 鶏 糞 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 53 (24) 40 (18) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 90 70 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) 10 (8) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 25 (11) 20 (9) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 2 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 〃 ()内は塩加の量。
3.水 田 土 壌 (単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき あかまつ 摘 要 堆 肥 2,000 2,000 2,000 鶏 糞 50 50 50 硫 安(21.0%) 30 24 26 過燐酸石灰(16.5%) 50 40 45 土にふれないよう,堆肥とまぜて 施す。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) 5 (4) 5 (4) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 15 12 13 ま き つ け 床 ︵ 幼 苗 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 6 (5) 5 (4) 5 (4) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,000 2,000 2,000 鶏 糞 100 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 25 (11) 20 (9) 21 (10) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) 70 (81) (63) 55 (69) 60 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素のときは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) 10 (8) 10 (8) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 25 (11) (9) 20 (10) 22 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 床 ︵ 2 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 (8) 10 〃 ()内は塩加の量。
(単位 ㎏/10a) 樹 種 別 施 肥 量 床 種 別 基 肥 ・ 追 肥 肥 料 の 種 類 す ぎ ひのき 摘 要 堆 肥 1,600 1,600 鶏 糞 50 50 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 20 (9) 15 (7) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) (35) 30 (23) 20 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素の ときは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) 5 (4) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 13 (6) 10 (5) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 1 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 8 (6) (4) 5 〃 ()内は塩加の量。 堆 肥 2,000 2,000 鶏 糞 100 100 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 35 (16) 30 (14) 土壌の酸性が強い場合尿素を用い る。()内は尿素の量。 熔 燐(19.0%) 又は過燐酸石灰(16.5%) 70 (81) 55 (63) 窒素肥料が硫安のときは過石,尿素の ときは熔燐を用いる。()は過石の量。 基 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) 10 (8) 硫加,塩加どちらでも良い。 ()内は塩加の量。 硫 安(21.0%) 又は尿 素(46.0%) 20 (9) 10 (5) 基肥と同じ肥料を使う。 ()内は尿素の量。 2 回 床 替 床 ︵ 3 年 生 山 行 苗 木 用 ︶ 追 肥 硫酸加里(50.0%) 又は塩化加里(60.0%) 15 (12) (8) 10 〃 ()内は塩加の量。
別表−2 主な肥料の性質と施用法 1.窒素質肥料 肥料名 区 分 硫酸アンモニア (硫安) 塩酸アンモニア (塩安) 石灰窒素 尿 素 1. 窒素の形態 アンモニア態 アンモニア態+硝酸 態 シアナミド態窒素 尿 素 態 2. 窒素含量% 20∼21 24∼25 20∼22 45∼46 3. 色及び形状 白色結晶状 白色結晶状 暗灰色のやや重い 粉状 淡褐色の粉状又は 結晶状 4. 肥効の遅速 速 速 やや速 やや速 5. 反 応 中性,生理的酸性 中性,生理的酸性 塩基性 弱塩基性 6.性質及び施用法 ① 製法により灰 色,灰褐色の場合が あるが,窒素含有量 には関係ない。 ② 水によく溶解す るが,吸湿性ではな いから取扱及び貯蔵 に便利。 ③ 土壌によく吸収 され,基肥,追肥と もに適す。 基肥は全量の1/2∼ 1/3 程度とし多過ぎ ないこと。 ④ 追肥には液肥と して施用するのがよ い。 ⑤ 多く施用すると 有害で1,000 ㎡当た り15∼30 ㎏に止め, 他は有機質肥料で補 う。 ⑥ 濃厚液が直接種 子や苗木に触れると 枯れるので苗木の上 から散布しないこ と,施用後は水で葉 を洗うこと。 ⑦ 酸性土壌はあら かじめ石灰できょう 正しておき,多量の 堆肥とともに施用す ること。 ① 硫安同様アンモ ニア態窒素を有する ので土壌によく吸収 される。 ② 副成分に塩素を 有するので吸湿性 で,土性を悪変させ る点は硫安に劣り, また配合肥料には不 適である。 ③ 堆肥に併用する と肥効を高める。 ④ 施用法は硫安に 準ずるが多量に施用 しない方が安全であ る。 ① カーバイトに窒 素を作用させたもの で一種特有の臭気が ある。 ② 主成分はシアナ ミド石灰で,シアナ ミドは植物に有害で あるが土壌に施すと 容易に分解してアン モニアに変じ肥効が ある。また土壌の消 毒にも効果がある。 ③ 基肥として使用 の7∼10 日前に施用 し,施用に際しては 土壌とよく混ぜる。 ④ 追肥には不適 で,砂質土壌や通気 性の不良な土壌には 肥効が劣る。 ⑤ 塩基性であるか ら酸性土壌に適す。 ⑥ 石灰窒素のみで 全窒素量を施用する ことは不可で多くと も1/2 内外にとどめ ること。 ⑦ 空気中に放置す ると炭酸ガスを吸収 して成分に変化をき たし,またアンモニ アも揮発するので空 気をしゃ断して貯蔵 すること。 ⑧ 粉末は飛散しや すくかつ人体に有害 であるから施肥の際 は鼻口を覆い風上に 立って行う。 ① 窒素の含有量最 も高く,土壌中に有 害な成分を残さず, また土壌を酸性化し ない。 ② 吸湿性強く,特 に温度が上昇すると 急激に強くなる。 ③ 土壌に吸収され にくく水で流れやす い。 ④ 使用された尿素 は夏季では3∼4 日, 冬季では7 日くらい で炭酸アンモニア, さらに分解してアン モニアと炭酸ガスに なり,土壌によく吸 収されるようにな る。 ⑤ 濃過ぎると害を 起こしやすいので乾 土や砂などと混ぜて 容積を増すか,水に 溶かして溶肥として 用いるとよい。 ⑥ 葉面施肥が可 能。 ⑦ 配合には不適。
2. 燐酸質肥料 肥料名 区分 過燐酸石灰 トーマス燐肥 熔 成 燐 肥 (熔成苦土燐肥) 1. 燐酸の形態 水 溶 性 拘 溶 成 拘 溶 成 2. 燐酸の含有率% 16∼18 15∼16 16∼18 3. 色及び形状 灰 色 粉 状 暗灰色粉状 灰 色 粉 状 4. 肥効の遅速 速 遅 遅 5. 反 応 酸性,生理的中性 塩 基 性 塩 基 性 6. 性質及び施用法 ① 主成分は燐酸1石灰 で水溶性,この他に約60% の硫酸石灰を含み間接的 効果をあらわす。 ② 酸性で濃厚なものは 種子の発芽又は稚苗を損 するから,直接触れないよ うにすること。 ③ 基肥として施用する のが普通であるが,砂質土 壌では分施する。 追肥には2∼3 倍の土砂を 混ぜて用いる。 ④ 有機質肥料と配合す ると不溶解性に変じるこ とを防ぎ肥効が増す。 ① 銑鉄から鋼鉄を製造 するときの副産物。 ② 主成分は燐酸4石灰 で弱酸には溶けるが水に は不溶性であるから,基肥 として用いる。 ③ 塩基性であるから特 に酸性土壌,石灰欠乏土壌 腐植土壌に適す。 ④ 酸性土壌には堆肥や 石灰,草木灰と併用する。 (ただし石灰を含むもの と直接混ぜぬこと) ⑤ 種子及び苗木に直接 触れないよう施用後その 上に薄く覆土するか,まき つけ,植付けの2∼3日前 に施用すること。 ⑥ 過燐酸石灰より肥効 は劣るが肥効に永続性あ り,また水に流されること が少ないので砂質土壌に も適する。 ⑦ 施肥量は普通,過燐酸 石灰の倍量とする。 ① 熔成燐肥には熔成苦 土燐肥と熔成石灰燐肥と 熔成3石灰燐肥とあるが, 最も普通のものは熔成苦 土燐肥である。 ② 酸性土壌や開墾地土 壌,マグネシウムの欠乏土 壌,燐酸の吸収力の大きい 土壌に適する。 ③ 副成分として,CaO 25∼30%,MgO17∼ 20%などを含むので同量 の炭酸カルシウムや苦土 石灰を施した場合と同程 度の土壌酸性きょう正力 を示す。 ④ 水溶性でないので必 ず基肥とし,苗木の根に近 く施すこと。 ⑤ 施肥溝を掘ってその 底に施し,覆土し,その上 に窒素肥料や加里肥料を 配合して施し,まきつけす ること。
3. 加里質肥料 肥料名 区分 硫 酸 加 里 塩 化 加 里 草 木 灰 1. 加里の含有量% 48∼50 50∼60 4∼10 2. 色及び形状 淡灰色結晶状 白色結晶状 灰色粉状 3. 肥効の遅速 速 速 やや速 4. 反 応 中性,生理的酸性 中性,生理的酸性 塩 基 性 5. 性質及び施用法 ① 吸湿性がないので貯 蔵配合に適す。 ② 水溶性速効肥料で土 壌によく吸収されるので 基肥に用いられる。 ③ 基肥は液肥とする。 ④ 加燐酸石灰,緑肥など 酸性肥料と併用するとき は,あらかじめ石灰を施用 すること。 ① 硫酸加里より濃厚肥 料で吸湿性が強い。また肥 効は変わらないが作物に よってはこれを嫌うもの もある。 ② 連用すると石灰を流 亡させ,土壌を悪化させ る。 ③ 流亡しやすい肥料で あるので砂土などには一 時に多量を施さず,秋の基 肥には使用しない方がよ い。 ④ 硫安,加燐酸石灰と配 合しておくと溶解固結す る性質があるから注意が 必要である。 ① 基肥,追肥いずれにも 適す。 ② 強塩基性であるから 酸性土壌に施して肥効が ある。中性土壌では酸性肥 料と併用する。 ③ 油粕,魚肥,骨粉など 油肥を含む肥料と配合す ると,これら肥料の分解を 促進し肥効を増す。 ④ 重粘土に用いると固 結して土性を悪化させる ので多量に施さないこと。