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1. はじめに 近年 日本の ETF(Exchange Traded Funds 上場投資信託) 市場が急速に拡大している ETF は 日本株 外国株 REIT などの指数に連動する広く分散されたポートフォリオを 低コストで取引所で売買できる投資手段である したがって 個人投資家の長期的な資産運用を

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シェア "1. はじめに 近年 日本の ETF(Exchange Traded Funds 上場投資信託) 市場が急速に拡大している ETF は 日本株 外国株 REIT などの指数に連動する広く分散されたポートフォリオを 低コストで取引所で売買できる投資手段である したがって 個人投資家の長期的な資産運用を"

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(1)

ETF

が個別株式の株価水準に与える影響」

2018

8

芹田

敏夫(青山学院大学経済学部)

1

花枝

英樹(一橋大学名誉教授)

要旨 要旨 要旨 要旨

日本において、2001年以降にETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)市場が 急成長している。本論文では、日本におけるETFの拡大が、ETFを構成する個別株式にミ スバリュエーション、とくに過大評価をもたらすのかどうかを実証的に検証する。株価の 過大評価については、Rhodes–Kropf et al.[2005]の手法を用いて、3種類の過大評価尺度を 推定する。東証一部全上場企業のデータを用いて、採用銘柄に大きな保有割合を占める日 経平均ETFが個別の採用銘柄の株価水準に与える影響を分析する。また、2010年12月か らスタートした日本銀行のETF買入れの影響についても検証する。主な結果として、日経 平均ETFの保有比率あるいは日銀の日経ETF 保有比率が高いほど、日経平均採用銘柄の 株価において、過大評価が拡大することが明らかになった。 1 連絡先:serita@cc.aoyama.ac.jp。 本研究は、野村財団からの「金融・証券のフロンティ アを拓く研究助成」の研究成果の一部である。

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1

1.はじめに

1.はじめに

1.はじめに

1.はじめに

近年、日本のETF(Exchange Traded Funds、上場投資信託)市場が急速に拡大してい る。ETF は、日本株、外国株、REIT などの指数に連動する広く分散されたポートフォリ オを、低コストで取引所で売買できる投資手段である。したがって、個人投資家の長期的 な資産運用を助けるための重要な役割が期待されている。図表1は、日本におけるETFの 上場数の推移を示している。最初のETFが登場したのは1995年であるが、2001年7月に TOPIX 及び日経平均に連動する ETF が登場してから本格的な拡大が始まった。その後 2008年以降に急拡大し、2018年7月現在、223本に達している。また、ETF全体の規模 も急拡大をしている。図表2は、ETFの規模を表す時価総額について、日本株ETFと日経 平均に連動するETF(以下、日経平均ETFと略す)の時価総額の推移が示されている。日 本株ETFの時価総額は、2001年7月以降に順調に拡大して2007年には5兆円に達したが、 2008年以降数年間縮小した。しかし、2012年以降急拡大し、2018年7月末には、32.8兆 円に達した。日経平均に連動するETF(日経平均ETFと略す)の時価総額も日本株ETF 全体の半分程度で推移して、2018年7月末には13.6兆円に達している。 2012年以降の日本株ETFの急拡大は、2010年12月に始まった日銀による大規模なETF 買入れが大きな役割を果たしている。2010 年12 月に始まった後、現在まで規模を拡大さ せつつ継続している。2010年12月には、日銀による大規模なETF買入れが始まり、現在 まで継続している。図表3は、日銀による ETF買入れの年次統計を示している。2010年 12月の開始から年々買入れ額が増大し、2017年の1年間に5.9兆円、2017年末までの累 計で17.4兆円に達している。図表4は、日銀買入れのうち、日経平均ETF の保有額(後 述する著者による推定値)の推移を示している。日経平均ETFの時価総額の増加の大部分 を日銀買入れ分が占めていることがわかる。2017年末において79.6%(推定値)が日銀保 有分である。 このような日本株 ETF の拡大は、構成する個別銘柄への需要増となる。日本株ETFの 拡大、特に日銀によるETFの買入れの拡大は、個別銘柄の株価評価にさまざまな影響を与 える可能性が考えられる。本論文の目的は、様々な影響のうち、拡大する日本株ETFが構 成する個別銘柄の株価水準に与える影響、すなわちETF拡大による構成銘柄への需要増加 が過大評価をもたらすかに限定して、実証的に検証することである。また、2010 年12 月 から始まった日本銀行によるETF買入れの影響も合わせて検証する。日銀によるETF買 入れが株式市場に与える影響を実証的に明らかにすることは、その政策の評価を行う上で 重要であると考えられる。

(3)

2 株式市場における株価評価が常に効率的に決まっているのであれば、ETF の拡大や、日 銀による大規模なETFの買入れが行われても、過大評価や過小評価のようなミスバリュエ ーションは生じないはずである。株価が過大評価であるとは、現実の株価が真の株式価値 よりも高いことを意味する。そこで、ETF の拡大が個別株式の過大評価をもたらすかどう かを検証するには、真の株式価値についてのモデルを前提として、現実の株価と真の株式 価値との差を過大評価として算出する必要がある。本論文でも用いるミスバリュエーショ ン(misvaluation、過大評価及び過小評価)の推定方法は、Rhodes–Kropf, M., D.T. Robinson, S.Viswanathan[2005](以下、RRV と略す)に基づく。東証一部全上場企業を対象に、個 別銘柄のミスバリュエーションを年ごとに推定し、それがETFの規模(時価総額)拡大に よって過大評価(正の誤評価)をもたらしたかどうかを検証する。本論文では、株価水準 が一時的に効率的な水準から乖離することを前提として、後述する2つの仮説を検証する。

次に、本論文に関連する先行研究について述べる。過大評価を算出するための真の株式 価値の推定には、残余利益モデル(Residual Income Model, RIM)を用いることが一般的で あり、多くの実証研究が行われている。しかし残余利益モデルは推定が複雑で、真の株式 価値の推定には将来利益の予測値が不可欠である。この問題を回避したシンプルな真の株 式価値の推定と過大評価尺度として、Rhodes–Kropf et al.[2005](RRV)の提案した手法が近 年注目されている。RRV は、M&A において、株価が過大評価の時ほど買収者とターゲッ ト企業となる可能性が高まることを示すために独自の過大評価尺度を開発した。M&Aが株 価の過大評価と深い関係があることを実証的に示すために必要な分析手法である。RRVが 開発した過大評価尺度を利用した実証分析は、主にM&Aの分析において近年多く行われて いる。Fu et al.[2013]は、M&Aにおいて、株価が過大評価された買収企業は、ターゲット 企業により多く支払い、シナジー利益をもたらさないことを示した。 Hertzel-Li[2010] は、RRVが開発した尺度をSEO(公募増資)に応用し、ミスバリュエーションと成長オプ ションに分解し、公募増資企業は、市内企業に比べて過大評価され、成長オプションが大 きいことを示した。また、Chang et al.[2013]は、RRVが開発した尺度に基づいてミスバリ ュエーション・ファクターを作成し、Fama-Frenchの3ファクターモデルでは説明できな いアノマリーの一部を説明できることを示した。 また、近年拡大を続けるETFが株価形成に与える影響を調べた研究もいくつか現れてい る。Ben-David et al.[2014]は、ETFが与える株式のプライシングに与える影響のうち、株 価の過大評価ではなく、ETFの拡大(ETFの保有比率の上昇)がボラティリティに与える 影響を分析したものである。主な結果として、ETFを構成する個別銘柄において、ETFの 保有比率が高まるとボラティリティが高まることを示した。Hanaeda-Serita[2017]も、日

(4)

3 経 平 均 ETF の 拡 大 が 個 別 銘 柄 の ボ ラ テ ィ リ テ ィ 与 え る 影 響 を 分 析 し 、Ben-David et al.[2014]と同様の結果を得ている。井出・竹原[2017]は、日中のティックデータを用い、日 銀のETF買入れが価格発見過程に与える影響を分析している。 本論文は、過大評価の推定手法にRRVの過大評価尺度を用いて、ETFの保有比率あるい は日銀によるETFの保有比率の上昇が、ETF構成銘柄の過大評価をもたらしたかどうかを 検証することが目的であり、この点で先行研究とは異なる。ETFの保有比率の上昇が、ETF を構成する個別銘柄の株価水準に影響を与えるかどうかの実証分析はこれまでになく、こ れを行った点が本論文の主な貢献である。 本論文の構成は以下のとおりである。次節で、ETF が個別銘柄の株価水準に与える影響 と検証すべき仮説を説明する。3節では分析方法を提示し、4節では分析結果、5節では結 論と今後の課題を示す。

2.

2.

2.

2.

ETF

ETF

ETF

ETF

が個別銘柄

個別銘柄

個別銘柄の

個別銘柄

の 株価

株価

株価

株価 水準

水準

水準

水準に与える影響と

に与える影響と

に与える影響と

に与える影響と検証すべき仮説

検証すべき仮説

検証すべき仮説

検証すべき仮説

2 2 2

2....1111 ETFETFETFETFがが個別銘柄がが個別銘柄の個別銘柄個別銘柄のの株価の株価株価水準株価水準水準水準に与える影響に与える影響に与える影響に与える影響

ETFが現物株式市場に与える影響を考察するために、まずETFのメカニズムと現物株式 市場との関係を説明する。ここで分析の対象とするETFは、日本株 ETFを含む現物(バ スケット)拠出型 ETF である。ETF には現物株式と同様に発行市場と流通市場がある。 ETFの発行市場は、指定参加者とETF運用会社の間での取引が行われる市場である。指定 参加者が基準を満たした株式バスケットを現物市場で調達してETF運用会社へ持ち込むこ とを「設定」と呼び、見返りに運用会社が受益証券を発行して指定参加者に交付すること で受益証券の口数が増加する。指定参加者はこの受益証券を流通市場で投資家へ売却でき る。一方、指定参加者がETFの受益証券を運用会社へ持ち込むことを「交換」と呼び、運 用会社がETF受益証券と引き換えに、要件を満たした株式バスケットを指定参加者に渡す。 その結果、受益証券の口数が減少する。このように、ETF の発行市場では、現物株式の発 行済み株式数にあたる受益権口数が、指定参加者とETF運用会社の間の取引によって弾力 的に変化する点に大きな特徴がある。近年における日本株ETFの拡大は、ETFの「設定」 が大幅に増えたことを意味する。「設定」を通じて、指定業者は個別株式を現物株式市場か ら調達することになるので、ETFの拡大は、「設定」の増大を通じて、個別株式を購入する ことになる。 取引所に上場されたETFが不特定多数の投資家によって売買される場が流通市場である。 流通市場において、でETFは個別株式と同様にリアルタイムで市場価格がつき、取引され

(5)

4 ている。ETF の価格には市場価格と別に、その日の引け値に基づいて1日に1回算出され る保有株式バスケットの価値(純資産額(Net Asset Value, NAV))を口数で割った、1口 当たりの価値を表す基準価額がある。市場価格と基準価額は本来同じ値になるはずである が、乖離が生じることがある。大きな乖離が生じた場合には、裁定が行われ、乖離が縮小 する力が働く。ETFにおいて裁定を行うのは、基準価額での現物バスケットとETF受益証 券を設定・交換できる指定参加者と、市場でマーケットメイクを行う海外のHFT(高頻度 取引)業者などである。市場価格>基準価額の時には、指定参加者は株式を買って、買っ た株式を用いてETFを設定し(=ETF口数の増加)、得たETF受益証券を流通市場で売却 する。逆に、市場価格<基準価額の時には、指定参加者はETFを買って、ETFを交換し(ETF 口数の減少)、株式バスケットを受け取る。このような裁定が十分に働けば、市場価格≒基 準価額となり乖離は小さくなる。 以上のように、ETF とそれを構成する個別銘柄の市場は、裁定により一体化している。 したがって、ETF の拡大は、個別銘柄の株価水準に影響を及ぼしうる。注意すべき点は、 ETF の売買は、個別銘柄のファンダメンタルズには基づかず、対象指数に対する予想や、 個人投資家のポートフォリオの組み替え等で生じることである。個別銘柄のファンダメン タルズに基づかないETF への需要増加によってもたらされたETF価格の上昇は、構成す る個別銘柄の株価を上昇させる。個別銘柄間で裁定が働ない状況では、ETF 拡大による需 要増が、構成する個別銘柄の株価に過大評価をもたらす可能性があるのである。一方、ETF の拡大は、Merton[1987]などで示された、ETFが小口の個人投資家を中心とした投資家ベ ース(investor base)の拡大をもたらす影響も考えられる。Merton[1987]が示したように、 投資家ベースの拡大により、資本コストの低下、流動性向上などを通じて企業価値の増大 (真の株式価値の増大)をもたらすこともありうる。この場合には、ETF の拡大が個別銘 柄の株価水準の上昇をもたらしたとしても過大評価ではない。 2 2 2

2....222 2 日銀による日銀による日銀による日銀によるETFETFETFETF買入れ買入れ買入れ買入れ

日本におけるETFの拡大が、構成する個別株価に与える影響を考えるうえで無視できな いのは、日本銀行によるETFの買入れである。中央銀行による大規模な株式の購入は先進 国では例がない。2 2010 年12月から始まった日銀による ETF買入れの概要は以下のと おりである。日本銀行「資産買入等の基金運営基本要領」(2013 年4月 4日廃止)によれ 2 他には、政府による大規模な買入れとして、1998年のアジア通貨危機の際に香港政府に よって行われたものがあるくらいである。この時の買い入れの規模は、香港証券取引所の 時価総額の6%と規模は大きかったが、買入れの期間は2週間(8月14日~28日)と短か った。

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5 ば、日銀によるETFを含めた資産買入れ目的は、各種資産のリスクプレミアムの低下を促 すことである。この表現にはいくつかの解釈がありうるが、その1つは株価の変動リスク (ボラティリティ)を低下させることによってリスクプレミアムを低め、その結果生じる 資産価格を上昇させることにあると考えられる。 2010年11月5日の金融政策決定会合の決定を踏まえて、日銀は2010年12月5日にETF を初めて142億円購入した。当初の買入枠は4,500 億円で、その後、買入枠は段階的に増 額され、2016年7月29日には年間買入枠を6兆円に増額した。2017年8月末時点までの 買入額は累計15.6兆円に達している。また、ETFの買入れ対象は2010年12月の開始以 降若干の変更がある。開始当初は、TOPIX あるいは日経平均に連動する ETF に限定され ていたが、2014年12月2日以降は新たにJPX日経400指数に連動するETFが追加され、 2016年4月4日以降はさらに「設備・人材投資に積極的な企業の株式を組み入れるETF」 が追加された。また、2016年10月1日以降は、買入れに占めるTOPIX連動型ETFの割 合を高めるように変更した。3 これは、日経平均ETFへの買入割合が高いことによる日経 平均採用銘柄の株価に与える影響を弱める狙いがあると考えられる。 日次の買入日と買入総額は公表されているが、日銀買入れのうち、どのETFをどのくら い買入れたかについての銘柄別の取引情報はない。しかし、日本銀行が公表している「指 数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」において、各ETFの買入限度額について、 3指数(TOPIX、日経平均、JPX日経400)に連動するETFでは、銘柄毎の時価総額に概 ね比例するように買入れるとしている。このルールに基づいて、われわれは日銀によるETF の保有総額および日経平均ETFの保有額を推定を行った。 2 2 2 2....3333 検証検証検証検証すすべすすべべべきききき仮説仮説仮説仮説 前述の日本株ETFが現物市場に与える影響と日銀によるETF買入れの経緯を踏まえて、 株価水準が一時的に効率的な水準から乖離しうることを前提として、本論文ではETFがそ の構成する個別銘柄の株価水準に与える影響に限定して、2つの仮説を提示し、それを検証 する。 仮説1は、ETF全般が構成銘柄の株価水準に与える影響に関するもので、ETFの拡大に より過大評価が生じるというものである。ETFの拡大を示す尺度として、ETFによる構成 3 より詳しく述べると、日銀は年間購入額5.7兆円(設備投資などに積極的な企業を組み 入れる新型ETF除く)のうち3兆円分は従来通り日経平均、TOPIX、JPX日経インデック ス400の3指数に連動するETFを、銘柄ごとの時価総額におおむね比例するよう買い入れ る。残る2.7兆円はTOPIX連動型のみ買い入れる。その結果、東証1部上場銘柄の時価総 額を指数化した東証株価指数(TOPIX)型が全体の3分の2程度になる。

(7)

6 銘柄の保有割合(ETF による保有株数/発行済株式数)を考える。すなわち、仮説1は以 下のようにまとめられる。 仮説1 仮説1 仮説1

仮説1 ETFETFETFETFによる保有比率が高まると、による保有比率が高まると、による保有比率が高まると、による保有比率が高まると、ETFETFETFETFに組み入れられている個別に組み入れられている個別銘柄の過大評価に組み入れられている個別に組み入れられている個別銘柄の過大評価銘柄の過大評価銘柄の過大評価 が大きくなる。 が大きくなる。 が大きくなる。 が大きくなる。 仮説2は、日銀によるETF買入れの個別株価に与える影響に関するもので、日銀による ETF 買入れにより過大評価がもたらされるというものである。ただし、日銀買入れは、日 銀の狙いが実現されれば、リスクプレミアムの低下を通じて株価上昇が期待される。これ は、前述のように、真の株式価値の増大であって、過大評価ではないことに注意すべきで ある。すなわち、仮説2は以下のようにまとめられる。 仮説 仮説 仮説

仮説2222 日銀による日銀による日銀による日銀によるETFETFETFETF保有比率が高まると、保有比率が高まると、保有比率が高まると、保有比率が高まると、ETFETFETFETFに組み入れられている個別採用銘柄のに組み入れられている個別採用銘柄のに組み入れられている個別採用銘柄のに組み入れられている個別採用銘柄の 過大評価が大きくなる。 過大評価が大きくなる。 過大評価が大きくなる。 過大評価が大きくなる。

3 .分析方法

.分析方法

.分析方法

.分析方法

3.1 3.1 3.1 3.1 RRVRRVRRVRRVにににに基基基基づづづづくくくく3333つつつつのののの過大評価尺度過大評価尺度過大評価尺度過大評価尺度 本論文における個別銘柄のRRVの過大評価の推定には、Rhodes–Kropf et al.[2005]の方 法を採用する。まず、この推定方法の概略を説明する。株式の時価総額/自己資本簿価比 率(M/B)は、観察できない真の株式価値Vを用いると、以下のように、株式時価総額・真の 株式価値比率と真の株式価値・簿価比率に分解される。 (1)

M

M

V

B

=

V

×

B

M:株式時価総額、V:真の株式価値、B:自己資本簿価 (1)式の両辺の対数を取ると、 (2)

m b

− =

(

m v

− + −

) (

v b

)

小文字は、それぞれ対数値を表す。 観察できない真の株式価値Vの推定には、Dong et al.[2006]などで使われている残余利 益モデルを用いることが一般的であるが、推定が複雑であり、将来利益の予想データが不 可欠である。それに対して、RRVは、残余利益モデルの仮定を緩めて、時点 tにおける業

(8)

7 種jに属する企業iの真の株式価値(対数)はシンプルな線形モデルを用いて表されると仮 定した。これにより、企業の将来利益の予想値は不要となる。真の株式価値に影響を与え る変数は、簿価純資産、当期純利益、負債比率の 3 変数で、当期純利益は正の純利益と負 の純利益とで影響が異なることを想定している(RRVのModel 34)。この定式化は、以下 のように表される。 (3)

m

it

=

α

0jt

+

α

1jt it

b

+

α

2jt

ln |

NI

it

|

+

α

2jt

I

( 0)<

ln

NI

it

+

α

4jt

LEV

it

+

ε

it 時点t、業種jにおいて m:株式時価総額の対数、b:簿価純資産の対数、NI:当期純利益 I:NI<0の時に1、それ以外の時に0を取るインジケーター LEV:負債比率(負債総額/総資産) また、(3)式の線形モデルのパラメーターα0, α1, α2, α3, α4は、業種間、異なる時点間 で異なることを想定している。したがって、(4)式は、時点t、業種jにおいて成立する関係 を表している。εit は誤差項で、観察される市場価値と真の株式価値との差を示しており、 これがRRVに基づく第一の過大評価尺度(本論文では過大評価尺度①と呼ぶ)である。(3) 式を各年、各業種ごとにクロスセクション回帰で推定することにより、時点t、業種jのパ ラメーターαjtを推定することができる。先行研究のFu et al.[2013]やChang et al.[2013] において過大評価尺度として採用しているのはこの過大評価尺度①である。そこで、本稿 でも過大評価尺度①を最も重要な過大評価尺度と考える。 RRVは、株式の時価簿価比率の対数値を、以下の3タイプのミスバリュエーションに分 解されると考え、過大評価尺度として3種類を提示した。 (4)

m

it

− =

b

it

{

m

it

v

(

θ α

it

;

jt

)} { (

+

v

θ α

it

;

jt

)

v

(

θ α

it

;

j

)} { (

+

v

θ α

it

;

j

)

b

it

}

ただし、αitは、時点t、業種jのサンプルで推定されたパラメーター αjは、各時点で推定されたパラメーターαitの時系列平均 過大評価尺度①

(

;

)

it it jt

m

v

θ α

:企業固有の誤差(firm-specific error) 過大評価尺度②

(

;

)

(

;

)

it jt it j

v

θ α

v

θ α

:時系列の業種誤差(time-series sector error) 過大評価尺度③

(

;

)

it j it

v

θ α

b

:長期の株式価値・簿価比率(long-run value to book)

(

it

;

it

)

v

θ α

:時点tにおける業種jに属する企業iの真の価値の推定値

(

it

;

j

)

v

θ α

:企業iが属する業種j内企業の長期平均の真の価値の推定値 4 RRVの過大評価尺度を推定するための真の価格のモデルには、Model 1~Model 3の3つ がある。RRVの過大評価尺度を用いた先行研究(Chan et al.[2013], Fu et al.[2013]など) で最も多く用いられているModel 3を本論文でも採用した。

(9)

8

過大評価尺度①は、既に述べたように時点tにおける時価総額と企業の真の価値との差 を示しているため、RRVは企業固有の誤差(firm-specific error)と名付けた。過大評価尺 度②は、時点tにおける真の価値と、各年のパラメーターの時系列平均を用いて推定した 真の価値(長期平均の真の価値)との差を示しているので、時点tが平年に比べて割高かど うかを表す時系列の業種誤差(time-series sector error)と呼ばれる。過大評価尺度③は、 長期平均の真の株式価値と簿価との差を示しているので、長期における株式価値・簿価比 率(long-run value to book)と呼ばれる。

真の株式価値を定式化した(3)式に基づいて(4)式で定義された3種類の過大評価を表すと、 以下のようになる。 過大評価尺度①(企業固有誤差)は、業種jに属する企業iのt年における推定値であり、 各年・各業種ごとに推定された(3)式の残差項である。すなわち、 (5) 過大評価尺度①=

(

;

)

it it it

m

v

θ α

0 1 2 3 ( 0) 4

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

ˆ

=

m

it

α

jt

α

jt it

b

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jt

ln |

NI

it

|

α

jt

I

<

ln

NI

it

α

jt

LEV

it 過大評価②(時系列の業種誤差)は、業種内の長期評価を上回るその年の過大評価であり、 (4)式にある mitの推定値

(

;

)

it it

v

θ α

と業種 j 内での長期平均の推定値

(

;

)

it j

v

θ α

との差であ る。すなわち、 (6) 過大評価尺度②=

(

;

)

(

;

)

it jt it j

v

θ α

v

θ α

0 1 2 3 ( 0) 4 0 1 2 3 ( 0) 4

ˆ

ˆ

ˆ

ln |

|

ˆ

ln

ˆ

ln |

|

ln

jt jt it jt it jt it jt it jt jt it jt it jt it jt it

b

NI

I

NI

LEV

b

NI

I

NI

LEV

α

α

α

α

α

α

α

α

α

α

< <

=

+

+

+

+

0 0 1 1 2 2 3 3 4 4 1 1 1 1 1 ˆ , ˆ , ˆ , ˆ , ˆ , j jt j jt j jt j jt j jt t t t t t T T T T T α =

α α =

α α =

α α =

α α =

α 過大評価③(長期の時価・簿価比率)は、所属業種j内における長期平均時価の推定値と 簿価との差である。すなわち、 (7) 過大評価③=

(

;

)

it j it

v

θ α

b

=

α

0jt

+

α

1jt it

b

+

α

2jt

ln |

NI

it

|

+

α

3jt

I

( 0)<

ln

NI

it

+

α

4jt

LEV

it

b

it 本論文では、以上に述べた過大評価①を最重視しつつも、個別銘柄の過大評価尺度とし て過大評価尺度①~③を用いる。 3.2 3.2 3.2

3.2 ETFETFETFETF保有比率の推定方法保有比率の推定方法保有比率の推定方法保有比率の推定方法

(10)

9 を算出する必要がある。日本株 ETFは、TOPIX と日経平均に連動するものが圧倒的であ る。この2種類のETFだけで、2018年7月時点の時価総額は30.5兆円で、日本株ETF に占めるシェアは93.1%に達している。 TOPIXのウェイトは時価総額加重(浮動株調整付き)である。本論文では、TOPIX連動 ETF の保有比率は、浮動株調整済みでの時価総額が大きいほど、ウェイトが高い。時系列 的には、浮動株の調整以外では、時系列でETFの保有比率は、ETFの時価総額によって決 まり、銘柄間のウェイトの変化は無い。もし、浮動株調整がなければ5、ETFのトヨタ自動 車の保有比率=TOPIX 連動 ETF の時価総額/東証一部の時価総額となる。TOPIX 連動 ETF への資金の流出入のみでトヨタの保有比率は変化する。他の銘柄も同様である。資金 流出入がなければ、ETF の保有比率はほとんど変化しない。変化要因は、銘柄入替等で TOPIXの保有割合に与える影響はごく小さい。 一方、日経平均ETFのウェイトは、日経平均が株価加重である。よって、算定に用いら れる株価が大きい銘柄ほどウェイトが大きくなる。ウェイトが大きい銘柄ほど、日経平均 ETF の保有比率が高くなる。また、日経平均のウェイトが銘柄間で大きく異なるため、銘 柄間で日経平均ETFの保有比率に大きな違いが生じる。 本論文では、TOPIX における浮動株比率データが利用できなかったため、日本株 ETF 全 体 の 保 有 比 率 の 算 出 に お い て 、 日 経 平 均 ETF の 保 有 比 率 の み を 用 い る こ と に し て 、 TOPIX連動ETFやその他の日本株ETFの保有比率をゼロと考えた。TOPIX連動ETFの 保有比率を用いる方が望ましいのはもちろんであるが、TOPIX 連動 ETFの保有比率の銘 柄間の違いはわずかであるのに対して、日経平均ETFの保有比率の違いは大きいため、日 経平均ETFの保有比率だけでもその個別銘柄に与える影響を捉えることは可能と考えられ る。 日経ETF保有比率は、以下のように推定した。日経平均ETFは、日経平均株価と連動 するように現物ポートフォリオを保有している。本論文では、日経平均ETFが保有する現 物株式のポートフォリオは常に日経平均株価と全く同じ投資比率をとる、すなわち日経平 均ETFは完全法によって常に運用されていると仮定する。日経平均ETF の各構成銘柄の 投資比率は、日本経済新聞(「日経平均株価 算出要領」)により以下のように算出した。 (8)

(

)

× × = ) 50 ( j ) 50 ( S i wi,NKj it みなし額面 の株価 銘柄 みなし額面 の株価 銘柄 本論文で用いた日経平均ポートフォリオに占める各構成銘柄の保有比率の日次時系列デ 5 厳密には、東証一部への新規上場や上場廃止の影響も受けるが、その影響はごくわずかで ある。

(11)

10 ータは、各時点で採用されていた日経平均構成銘柄の株価を用い、サンプル期間中の入替 (除去、新規採用)、日経平均構成銘柄のみなし額面変更をすべて反映させて算出した。 この日経平均ポートフォリオに占める割合と、各時点の日経平均ETFの時価総額合計を 用いれば、日経平均ETFが各時点において保有する銘柄iの保有割合 ETF j i

w

, は以下のように 推定できる。6 (9) NK i,j , ETF w i ETF i j w = × の集計時価総額 銘柄の時価総額 図表 5は、以上のような方法で推定された日経平均ETF保有割合の上位10銘柄の推移 を3時点で計測して示している。日銀買入れが始まる前から始まったばかりの2010年末ま では、ETF の保有比率に大きな変化は見られないが、トップ 10 の銘柄における日経平均 ETFの保有割合は、発行済み株式数の 2%を超えている。それに対して、日銀によるETF 買入れが急拡大し続けて2017年8月末には、アドバンテストでは21%に達するなど、どの 銘柄においても日経平均保有割合が急増していることがわかる。 次に、日経ETFを通じた日銀の保有比率の推定方法について説明する。日銀によるETF 買入れについては、日銀による日次のETF買入れ日と買入総額は公表されているが、日銀 買入れのうち、どのETFをどのくらい買入れたかについての銘柄別の取引情報はない。し かし、日本銀行が公表している「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」にお いて、各ETFの買入限度額について、「銘柄別の買入限度は、3 指数(TOPIX、日経 225、 JPX 日経 400)に連動するETF を対象に、銘柄毎の時価総額に概ね比例するように設定」 と定めている。このルールに基づいて、日銀による日経平均ETF買入額および、日経平均 ETFの保有額の日次系列を推定した。すなわち、ある日の日銀による日経平均ETFの推定 買入割合として、買い入れ対象のETFの時価総額合計に占める日経平均 ETFの時価総額 合計の割合と想定した。その割合に買入額を乗じて、その日の日経平均ETF買入額の推定 値とした。その日次時系列から日経平均ETFを通じた日銀の保有額の推定値の日次系列を 算出した。この推定方法は、Hanaeda-Serita[2017]と同様である。 3.3 3.3 3.3 3.3 パネルパネルデータパネルパネルデータデータデータ分析分析分析分析 次に、パネルデータを用いた分析の説明を行う。用いるデータセットは、個々の銘柄の 年次データを用いて推定された 3 種類の過大評価尺度および財務属性の年次パネルデータ 6 このことは、日経平均ETFが保有する現物ポートフォリオは、日々の終値の段階で、厳 密に日経平均ポートフォリオの投資比率を実現しているものと仮定することを意味する。 また、現実のETFの保有株数は1単元の整数倍しか取れないが、それを無視して細かく分 割して保有できるものとしている。

(12)

11 である。推定式は以下のとおりである。 (10)

OV

it

= +

b

0

b NKETFS

1 it

+

b LSIZE

2 it

+

業種ダミー+年ダミー+

ε

it 被説明変数OVは、先述のRRVの推定方法に基づいて推定された3種類の過大評価尺度 である。説明変数として、日経平均 ETF の保有比率 NKETFS、規模(時価総額の対数) LSIZE、業種ダミー(17業種)、年ダミーを用いた。 また、日銀による日経平均 ETF買入れの影響を調べるために、日経平均 ETFの保有比 率 NKETFS を 除 き 、先述 の 方 法で 推 定し た 、日経 平 均 ETF を 通 じた 日銀 の 保 有比 率 NKETFBOJを加えた推定を行った。NKETFSとNKETFBOJを同時に説明変数として用 いなかったのは、日経平均ETF全体に占める日銀保有比率が直近で 7割超と非常に高く、 多重共線性が深刻であるためである。 3.4 3.4 3.4 3.4 データデータデータデータ 個別銘柄の過大評価の推定に必要な個別株式の株価、財務データ、またETF関連データ はすべて日経FinancialQuestから取得した。分析のために構築したデータセットは、年次 パネルデータで、サンプル期間は、ETFが本格的に導入された2001年から直近の2017年 までの17年間である。 分析対象企業は、東証第一部全企業(2018年3月時点で東証第一部に上場している企業) の2,073社であり、全サンプル数は30,350企業・年である。また、対象となるETFは、 前述の理由により、日経平均ETF に限定している。日経平均ETFは全部で8本あり、そ れらのリストは、図表6のとおりである。時価総額および日経ETF保有比率は、それぞれ の銘柄の各年の決算期の 3 ヶ月後の値を各年の値とした。過大評価尺度の推定のために用 いた業種分類は、東証17業種(TOPIX-17)で、これは東証33業種を基に17業種に統 合した業種分類である。7

4 .分析結果

.分析結果

.分析結果

.分析結果

4.2 4.2 4.2 4.2 分析結果分析結果分析結果分析結果 7 先行研究では、Fama-Frenchの12業種を用いている。年毎のクロスセクション回帰を 行うために十分なサンプル数を確保するため、東証33業種ではなく、それらを統合した17 業種を採用した。

(13)

12

基本統計量は、図表7にある。A)は全サンプル(東証一部上場全銘柄)、B)は日経平均採 用銘柄のみ、である。3つの過大評価尺度はOV1、OV2、OV3で、それぞれ過大評価尺度 ①~③に対応している。A)全サンプルにおいて、過大評価尺度OV1とOV2の平均はほぼゼ ロである。OV3は0.14であり、時系列における業種平均パラメーターに基づく推定時価が 簿価を平均的に上回っていることを意味している。日経平均ダミーは、日経平均採用であ れば1、そうでない場合には0を取るダミー変数で、平均は0.10となっている。これは、 全サンプルのうち約10%が日経平均採用銘柄であることを示している。 B)の日経平均採用銘柄のみのサンプルでは、サンプル数は、3,467企業・年である。推定 された真の株式推定価値と時価総額との乖離を示す株式価値過大評価尺度OV1については、 A)の全サンプル平均ではほぼゼロであったのに対し、平均が0.12とゼロから大きく正の値 に偏っていることがわかる。ただし、この結果だけでは日経平均ETFにより過大評価が生 じたと判断することはできない。ETF 保有比率の上昇とは別に日経平均採用銘柄であると いうこと自体により過大評価が生じたかもしれないためである。一方、過大評価尺度 OV2 がほぼゼロで、OV3が0.14と0よりかなり大きい点は、A)の全サンプルと同じである。ま た、日経平均採用銘柄は、全体平均に比べて、規模(時価総額の対数 lmcap)が大きく、 レバレッジ比率(lev)が高いことがわかる。 日経 ETFの保有比率nketfs は、A)の全サンプルでは平均がほぼゼロ、B)の日経平均採 用銘柄でも平均は 0.02と小さい値である。それは、日経平均 ETFの規模がそれほど大き くなくて、急に大きくなってきたのは2010年12月から日銀によるETF買入れ意向である ことを示している。また、最大値に着目すると、0.21と発行済み株式数のうちの20%を超 えるが日経平均ETFに保有されている銘柄が誕生していることを示している。これは、先 に表5を用いて説明したように、日経平均という株価指数がTOPIXに比べて、特定の銘柄 への投資ウェイトが高くなっていることによる影響である。また、日銀による日経平均ETF の保有比率nketfbojは、日経平均ETFの保有比率よりかなり下回る値となっていることが わかる。 図表8は、3つの過大評価尺度をA)日経平均非採用銘柄、B)日経平均採用銘柄に分けて、 年ごとの平均を示したものである。過大評価尺度①OV1 では、すべての年で、日経平均非 採用銘柄で負であるのに対し、日経平均採用銘柄では正であることがわかる。日経平均採 用銘柄が正で全サンプルよりも大きい高いことは、各年ごとの平均においても同じ傾向が 見られるのである。一方、過大尺度②OV2 は時系列の長期平均から乖離を示すので、年ご との平均が変動している。日経平均採用・非採用銘柄とも、前半期では正の値を示す年が 多いのに対して、リーマンショックが発生した2008年には急激に低下し、負の値を示すこ

(14)

13 とがわかる。また、過大評価尺度③は、日経平均採用・非採用銘柄とも、すべての年で正 の値を示している。 図表9は、A)全サンプルとB)日経平均採用銘柄に分けて、変数間の相関係数を示してい る。3つの過大評価尺度OV1~OV3の相関はゼロに近く、それぞれ 3つ過大評価尺度が、 別々の観点から過大評価を推定している点がわかる。これらの評価尺度は、この後に説明 するパネルデータを用いた回帰分析で被説明変数として用いているが、説明変数として用 いている変数nketfsやlmcapとは高い相関は見られない。なお、先述したように、日経平 均ETFの保有割合nketfsと日銀による日経平均ETFの保有割合nketfbojとは、0.92と高 い相関を示している。 図表10は、パネルデータを用いた回帰分析(10)式の結果を示している。ここで注意した いのは、このパネルデータの分析において用いたサンプルは、日経平均採用銘柄のみであ る点である。全銘柄を用いて推定を行うと、日経平均採用銘柄に特有の影響と日経平均ETF の保有比率の影響が混在してしまい、ETF保有比率固有の影響を調べることが困難となる。 そのため、日経平均ETF保有比率固有の影響を調べるために、日経平均採用銘柄のみのサ ンプルで推定を行ったのである。本論文の中心的な分析内容である、A)では日経平均 ETF の保有比率ETFS、B)では日経平均ETFを通じた日銀の保有比率NKETFBOJが過大評価 尺度に与える影響を調べている。コントロール変数として、規模lmcap, 業種ダミー、年ダ ミーを用いている。8 A)では、3種類の過大評価尺度OV1~OV3それぞれについて、説明変数に日経平均ETF 保有比率のみを入れた推定式と他のコントロール変数を入れた推定式の 2 種類の推定を行 っている。日経平均 ETF 保有比率の係数は、OV2 についての推定式(3)を除いてすべての ケースで正で有意となっている。これらは、日経平均ETF保有比率が高まると過大評価が 拡大するという仮説1と整合的な結果である。OV2を用いた推定式(3)において、NKETFS の係数が負で有意となっているのは、過大評価尺度②は、長期平均からの乖離部分で、コ ントロール変数として年ダミーを入れていないためと考えられる。年ダミーを入れて各年 ごとの長期平均からの乖離部分をコントロールした推定式(4)では、係数は正で有意となっ ている。 B)の説明変数として日銀によるETF保有比率を用いた推定では、A)の日経平均ETF 保 有比率を用いた場合とほぼ同じ結果となっている。すなわち、日銀による日経平均ETF保 有比率の係数は、推定式(3)を除いてすべてのケースで正で有意となっている。これは、日 8 個別銘柄ダミーを入れた推定(固定効果モデル)は行っていない。その理由は、日経平均 ETF保有比率nketfsの性質上、個別銘柄ダミーが高い相関を持ってしまうためである。

(15)

14

銀による日経平均ETF保有比率が高まると過大評価が拡大するという仮説2と整合的な結 果である。ただし、NKETFS とNKETFBOJ の間に高い相関があるため、日経平均ETF 全体の増加の影響か、日銀の保有率の増大による区別はできない。 5.お 5.お 5.お 5.おわりに.わりに.わりに.わりに. 本論文では、ETFの拡大が、ETFを構成する個別株式にミスバリュエーション、とくに 過大評価をもたらすのかどうかを実証的に検証した。株価の過大評価については、Rhodes –Kropf et al.[2005]の手法を用いて、3種類の過大評価尺度を推定した。東証一部全上場企 業のデータを用いて、採用銘柄に大きな保有割合を占める日経平均ETFが個別の採用銘柄 の株価水準に与える影響を分析した。また、2010年12月からスタートした日本銀行のETF 買入れの影響についても検証を行った。 主な結果として、日経平均 ETFの保有比率あるいは日銀の日経 ETF保有比率が高いほ ど、日経平均採用銘柄の個別株価において、過大評価が拡大することが明らかになった。 すなわち、近年の日本におけるETFの拡大が、個別株価水準に過大評価という形で影響を 与えることが明らかになった。これは、Hanaeda-Serita[2017]で示された、ETFの拡大が 構 成 す る 個 別 銘 柄 の ボ ラテ ィ リ テ ィ を 高 め る と いう 事 実 と は 別 に 新 た に 明ら か に な っ た ETFが現物市場に与える影響の1つである。 本研究は、日経平均 ETFと日経平均採用銘柄に限定した結果であるため、TOPIX に連 動するETFなど他の日本株 ETFの保有比率を入れるなど、多くの追加の分析が必要とな っている。

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15 参考文献

参考文献 参考文献 参考文献

Ben-David, I., F. Franzoni, and R. Moussawi[2014] "Do ETFs Increase Volatility?" NBER Working Paper, No. 20071

Chang, E.C.,Y. Luo, and J.Ren[2013] "Pricing deviation, misvaluation comovement, and macroeconomic conditions" Journal of Banking and Finance, 37, 5285-5299.

Dong, M., Hirshleifer, D., Richardson, S., Teoh, S.[2006] "Does investor misvaluation drive the takeover market?" Journal of Finance 61, 725–762.

Fu,F. L.Lin, M.S. Officer[2013] "Acquisitions driven by stock overvaluation: Are they good deals? " Journal of Financial Economics, 109, 24-39.

Hanaeda,H. and S.Serita[2017] " Effects of Nikkei 225 ETFs on stock markets: Impacts of purchases by Bank of Japan."

Working paper, https://papers.ssrn.com/sol3/papers.cfm?abstract_id=3019769. Hertzel, M., Li, Z.[2010] "Behavioral and rational explanations of stock price

performance around SEOs: evidence from a decomposition of market-to-book ratios." Journal of Financial and Quantitative Analysis, 45, 935–958.

Merton,R.[1987] "A simple model capital market equilibrium with incomplete information." Journal of Finance, 42, 483-510.

Rhodes–Kropf, M., D.T. Robinson, S.Viswanathan[2005] "Valuation waves and merger activity: The empirical evidence" Journal of Financial Economics 77, 561–603. 井出真吾・竹原均[2017] 「日本銀行によるETF買い入れが株価発見に与えた影響: 個別銘柄ティックデータを用いた分析」 2017年度日本経営財務学会大会報告論文. 芹田敏夫・花枝英樹[2017] 「ETFが現物市場に与える影響」 月刊資本市場2017年11月号(No.387), 28-37. 日本銀行「指数連動型上場投資信託受益権等買入等基本要領」 日本銀行ウェブサイト https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo85.htm/ 日本経済新聞社「日経平均株価 算出要領」 日本経済新聞ウェブサイトhttps://indexes.nikkei.co.jp/nkave/index/profile?idx=nk225

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16 図表1 日本におけるETFの上場数の推移 0 50 100 150 200 250 1 9 9 5 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 2 0 1 6 2 0 1 7 全ETF 日本株指数 図表2 日本株ETF・日経平均ETFの時価総額の推移 2001年7月~2017年8月 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 2 0 0 1 /0 7 2 0 0 2 /0 5 2 0 0 3 /0 3 2 0 0 4 /0 1 2 0 0 4 /1 1 2 0 0 5 /0 9 2 0 0 6 /0 7 2 0 0 7 /0 5 2 0 0 8 /0 3 2 0 0 9 /0 1 2 0 0 9 /1 1 2 0 1 0 /0 9 2 0 1 1 /0 7 2 0 1 2 /0 5 2 0 1 3 /0 3 2 0 1 4 /0 1 2 0 1 4 /1 1 2 0 1 5 /0 9 2 0 1 6 /0 7 2 0 1 7 /0 5 日本株ETF 日経平均ETF 図表3 日銀によるETF買入れ額の推移(単位:億円) 買入日数 買入額 累計 1 日平均 買入額 2 0 1 0 年 2 2 8 4 2 8 4 1 4 2 .0 2 0 1 1 年 4 1 8 ,0 0 3 8 ,2 8 7 1 9 5 .2 2 0 1 2 年 2 2 6 ,3 9 7 1 4 ,6 8 4 2 9 0 .8 2 0 1 3 年 5 7 1 0 ,9 5 3 2 5 ,6 3 7 1 9 2 .2 2 0 1 4 年 7 4 1 2 ,8 4 5 3 8 ,4 8 2 1 7 3 .6 2 0 1 5 年 8 8 3 0 ,6 9 4 6 9 ,1 7 6 3 4 8 .8 2 0 1 6 年 2 0 3 4 6 ,0 1 6 1 1 5 ,1 9 2 2 2 6 .7 2 0 1 7 年 2 4 7 5 9 ,0 3 3 1 7 4 ,2 2 5 2 3 9 .0

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17 図表4 日銀によるETF買入れのうち、日経平均ETFの保有額(推定値) 2001年7月~2017年12月 0 2 4 6 8 10 12 14 2 0 0 1 年 7 月 2 0 0 2 年 9 月 2 0 0 3 年 1 1 月 2 0 0 5 年 1 月 2 0 0 6 年 3 月 2 0 0 7 年 5 月 2 0 0 8 年 7 月 2 0 0 9 年 9 月 2 0 1 0 年 1 1 月 2 0 1 2 年 1 月 2 0 1 3 年 3 月 2 0 1 4 年 5 月 2 0 1 5 年 7 月 2 0 1 6 年 9 月 2 0 1 7 年 1 1 月 日銀保有分 日経平均ETF 図表5 日経平均ETF保有割合における上位10銘柄の推移 2 0 0 5 年1 2 月末 2 0 1 0 年1 2 月末 2 0 1 7 年8 月末

順位 企業名 ETF 保有割合順位 企業名 ETF 保有割合順位企業名 ETF 保有割合

1 ミツミ電機 5 .0 4 % 1ミツミ電機 5 .0 2 % 1アド バンテスト 2 1 .0 7 % 2 CSK 4 .7 5 % 2アド バンテスト 4 .4 0 % 2ファーストリテイ リング 1 9 .8 2 % 3 アドバンテスト 3 .6 7 % 3ファーストリテイ リング 4 .1 4 % 3太陽誘電 1 7 .4 5 % 4 ファーストリテイ リング 3 .4 5 % 4太陽誘電 3 .6 5 % 4ユニー・ファミリーマートホール 1 6 .5 9 % 5 平和不動産 3 .1 1 % 5CSK 3 .4 9 % 5TDK 1 6 .2 2 % 6 太陽誘電 3 .0 4 % 6TDK 3 .3 9 % 6東邦亜鉛 1 5 .4 7 % 7 東邦亜鉛 2 .9 1 % 7東邦亜鉛 3 .2 4 % 7トレンド マイクロ 1 4 .9 8 % 8 TDK 2 .7 5 % 8トレンド マイ クロ 3 .1 3 % 8コムシスホールディ ングス 1 4 .9 1 % 9 トレンド マイ クロ 2 .6 8 % 9コナ ミホールディ ングス 3 .0 6 % 9コナ ミホールディ ングス 1 4 .6 5 % 1 0コナミホールディングス 2 .6 2 % 1 0コムシスホールディ ングス 3 .0 1 % 1 0日産化学工業 1 3 .9 2 % 図表6 日経平均ETFの銘柄リスト 上場日 証券コード名称 運用会社 1 3 2 0ダイワ上場投信-日経225 大和証券投信委託 1 3 2 1日経225連動型上場投資信託 野村アセットマネジメント 1 3 3 0上場インデックス ファンド225 日興アセットマネジメント 2 0 0 1 / 9 / 5 1 3 2 9iシェアーズ日経225 ETF ブラックロック・ ジャパン 2 0 0 9 / 2 / 2 5 1 3 4 6MAXIS 日経225上場投信 三菱UFJ国際投信 2 0 1 3 / 3 / 2 5 1 5 7 8上場インデックス ファンド日経225( ミニ) 日興アセットマネジメント 2 0 1 5 / 1 / 1 5 1 3 6 9One ETF 日経225 アセットマ ネジメントOn e 2 0 1 5 / 3 / 2 5 1 3 9 7SMAM 日経225上場投信 三井住友アセットマ ネジメント 2 0 0 1 / 7 / 1 3

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18 図表7 基本統計量

A)全サンプル

Variable O bs Me an Std. De v. Min Max O V1 3 0 ,3 5 0 0 .0 0 0 .5 0 - 2 .5 2 3 .2 9 O V2 3 0 ,3 5 0 0 .0 0 0 .2 6 - 2 .5 5 2 .3 9 O V3 3 2 ,1 8 4 0 .1 4 0 .4 7 - 2 .2 4 3 .7 5 n kdu m 3 6 ,3 4 6 0 .1 0 0 .2 9 0 .0 0 1 .0 0 n ke tf s 3 6 ,3 4 6 0 .0 0 0 .0 1 0 .0 0 0 .2 1 n ke tf bo j 3 6 ,3 4 6 0 .0 0 0 .0 1 0 .0 0 0 .1 6 lmc ap 3 0 ,8 3 2 2 4 .5 0 1 .6 3 1 9 .4 7 3 0 .9 7 bm 3 0 ,7 8 5 - 0 .1 2 0 .7 1 - 7 .3 3 2 .3 5 le v 3 2 ,6 7 8 0 .5 3 0 .2 2 0 .0 0 2 .9 4 B)日経平均採用銘柄のみ

Variable O bs Me an Std. De v. Min Max O V1 3 ,4 6 7 0 .1 2 0 .3 8 - 2 .0 8 2 .2 7 O V2 3 ,4 6 7 0 .0 0 0 .2 5 - 0 .9 5 1 .2 0 O V3 3 ,4 6 7 0 .1 4 0 .3 5 - 1 .4 2 1 .5 0 n kdu m 3 ,4 7 0 1 .0 0 0 .0 0 1 .0 0 1 .0 0 n ke tf s 3 ,4 7 0 0 .0 2 0 .0 2 0 .0 0 0 .2 1 n ke tf bo j 3 ,4 7 0 0 .0 1 0 .0 2 0 .0 0 0 .1 6 lmc ap 3 ,4 7 0 2 7 .0 5 1 .2 5 2 2 .8 3 3 0 .9 7 bm 3 ,4 6 7 - 0 .2 7 0 .5 2 - 3 .6 0 1 .4 0 le v 3 ,4 7 0 0 .6 1 0 .2 0 0 .0 7 1 .4 7

OV1:過大評価尺度① OV2:過大評価尺度③ OV3:過大評価尺度③ nkdum:日経平均ダミー nketfs:日経平均ETFの保有比率

nketfboj:日銀による日経平均ETFの保有比率

lmcap:時価総額の対数 bm:自己資本の簿価時価比率 lev:負債比率(=負債総額/総資産)

(20)

19 図表8 過大評価尺度の年別平均値 A)日経平均非採用銘柄 B)日経平均採用銘柄 ye ar O V1 O V2 O V3 2 0 0 1 - 0 .0 2 2 0 .0 5 5 0 .1 1 5 2 0 0 2 - 0 .0 2 2 - 0 .0 3 4 0 .0 6 0 2 0 0 3 - 0 .0 2 0 0 .0 4 0 0 .0 8 9 2 0 0 4 - 0 .0 1 9 0 .2 4 8 0 .1 6 7 2 0 0 5 - 0 .0 1 6 0 .2 8 8 0 .1 9 0 2 0 0 6 - 0 .0 1 4 0 .3 0 2 0 .1 9 3 2 0 0 7 - 0 .0 1 2 0 .1 6 2 0 .1 8 2 2 0 0 8 - 0 .0 1 1 - 0 .1 5 0 0 .1 4 8 2 0 0 9 - 0 .0 1 7 - 0 .1 2 3 0 .0 6 9 2 0 1 0 - 0 .0 1 4 - 0 .2 1 5 0 .0 6 6 2 0 1 1 - 0 .0 1 6 - 0 .2 2 9 0 .0 9 8 2 0 1 2 - 0 .0 1 6 - 0 .2 6 7 0 .1 2 6 2 0 1 3 - 0 .0 1 6 - 0 .0 6 7 0 .1 6 2 2 0 1 4 - 0 .0 1 5 - 0 .0 1 1 0 .1 9 6 2 0 1 5 - 0 .0 1 3 0 .0 7 9 0 .1 9 0 2 0 1 6 - 0 .0 1 3 - 0 .0 7 0 0 .1 9 0 2 0 1 7 - 0 .0 1 2 0 .1 3 6 0 .2 0 0 To tal - 0 .0 1 5 0 .0 0 3 0 .1 4 5 ye ar O V1 OV2 OV3 2 0 0 1 0 .1 6 1 0 .2 2 8 0 .1 1 1 2 0 0 2 0 .1 5 9 0 .0 9 1 0 .0 1 3 2 0 0 3 0 .1 4 5 0 .0 6 2 0 .0 5 8 2 0 0 4 0 .1 4 1 0 .1 7 0 0 .1 5 7 2 0 0 5 0 .1 1 9 0 .1 0 6 0 .2 2 4 2 0 0 6 0 .1 0 7 0 .2 7 3 0 .2 2 9 2 0 0 7 0 .0 9 8 0 .3 0 8 0 .2 3 9 2 0 0 8 0 .0 8 9 0 .0 2 8 0 .2 1 3 2 0 0 9 0 .1 3 2 - 0 .0 1 1 0 .0 6 4 2 0 1 0 0 .1 1 3 - 0 .1 0 2 0 .0 2 8 2 0 1 1 0 .1 2 4 - 0 .2 0 0 0 .1 2 5 2 0 1 2 0 .1 2 4 - 0 .2 8 5 0 .0 7 0 2 0 1 3 0 .1 2 4 - 0 .0 9 6 0 .1 2 3 2 0 1 4 0 .1 1 7 - 0 .0 8 6 0 .1 6 6 2 0 1 5 0 .1 0 1 0 .0 0 2 0 .1 8 0 2 0 1 6 0 .1 0 8 - 0 .2 3 0 0 .1 9 1 2 0 1 7 0 .0 9 7 - 0 .0 3 8 0 .2 1 1 Total 0 .1 2 0 0 .0 0 4 0 .1 4 3 図表9 相関係数行列 A)全サンプル

OV1 OV2 OV3 n kdu m n ke tf s n ke tf bo j lmc ap bm le v O V1 1.0 0 O V2 0.0 0 1.0 0 O V3 0.0 0 - 0.0 4 1.0 0 n kdu m 0.0 9 0.0 0 0.0 2 1.0 0 n ke tf s 0.0 7 - 0.0 2 0.0 3 0.5 8 1 .0 0 n ke tf bo j 0.0 5 - 0.0 3 0.0 3 0.3 9 0 .9 2 1 .0 0 lmc ap 0.3 1 0.1 4 0.0 5 0.5 7 0 .2 9 0 .2 1 1 .0 0 bm - 0.7 1 - 0.3 4 - 0.6 1 - 0.0 7 -0 .0 6 -0 .0 4 -0 .3 0 1 .0 0 le v 0.0 0 0.0 0 - 0.0 6 0.1 5 0 .0 0 -0 .0 1 0 .0 6 0 .0 3 1 .0 0 B)日経平均採用銘柄のみ

OV1 OV2 OV3 n kdu m n ke tf s n ke tf bo j lmc ap bm le v O V1 1.0 0 O V2 - 0.0 5 1.0 0 O V3 - 0.1 2 - 0.0 8 1.0 0 n kdu m . . . . n ke tf s 0.1 2 - 0.0 9 0.1 0. 1 .0 0 n ke tf bo j 0.0 8 - 0.1 1 0.0 9. 0 .9 2 1 .0 0 lmc ap 0.1 5 0.0 7 0.2 3. -0 .1 8 -0 .0 5 1 .0 0 bm - 0.6 2 - 0.3 9 - 0.5 4. -0 .1 1 -0 .0 7 -0 .3 0 1 .0 0 le v - 0.0 8 0.0 3 - 0.1 4. -0 .3 5 -0 .2 4 -0 .1 1 0 .1 3 1 .0 0

(21)

20

図表10 パネル分析結果 サンプル:日経平均採用銘柄、推定期間:2001年~2017年 A)日経平均ETFの保有比率nketfsの影響

被説明変数:3種類の過大評価尺度OV1~OV3

(1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 )

Variable O V1 OV1 OV2 OV2 OV3 OV3

n ke tfs 2 .0 0 1 4 .7 5 5 - 0 .9 8 2 1 .6 1 9 1 .5 7 0 .95 6 .8 9 3 *** 1 3 .0 9 *** - 5 .0 7 8 *** 8 .6 1 8 *** 5 .8 8 6 *** 3 .4 3 6 *** lmc ap 0 .0 8 4 0 .0 2 5 0 .0 5 9 1 4 .5 0 3 *** 8 .3 8 3 *** 1 3 .4 1 9 *** _ c o n s 0 .0 8 7 - 1 .9 4 3 0 .02 1 - 0 .4 4 8 0 .1 1 7 - 1 .5 2 1 1 0 .8 1 5 *** - 1 1 .9 4 4 *** 3 .89 1 *** - 5 .3 2 3 *** 1 5 .8 3 9 *** - 1 2 .2 8 4 *** 業種ダミー No Ye s No Yes No Ye s 年ダミー No Ye s No Yes No Ye s N 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,46 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 R2 0 .0 1 4 0 .1 2 4 0 .00 7 0 .4 6 9 0 .0 1 0 0 .3 9 7 B)日銀による日経平均ETFの保有比率nketfbojの影響 被説明変数:3種類の過大評価尺度OV1~OV3 ( 1 ) (2 ) ( 3 ) (4 ) (5 ) ( 6 ) Variable O V1 O V1 O V2 O V2 O V3 O V3 n ke tfboj 1 .9 5 5 .0 9 9 - 1 .8 2 4 2 .7 1 7 2 .0 5 5 1 .3 4 8 4 .8 1 4 *** 9 .3 6 1 *** - 6 .8 0 7 *** 9 .7 9 *** 5 .5 3 7 *** 3 .2 8 8 *** lmc ap 0 .0 6 9 0 .0 2 2 0 .0 5 7 1 2 .2 6 8 *** 7 .5 2 4 *** 1 3 .3 3 1 *** _c o n s 0 .1 0 6 - 1 .5 4 8 0 .0 1 7 - 0 .3 5 4 0 .1 2 8 - 1 .4 5 5 1 5 .1 8 3 *** - 9 .7 1 1 *** 3 .7 0 6 *** - 4 .3 5 6 *** 2 0 .0 0 4 *** - 1 2 .1 3 7 *** 業種ダミー N o Ye s N o Ye s N o Ye s 年ダミー N o Ye s N o Ye s N o Ye s N 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 3 ,4 6 7 R2 0 .0 0 7 0 .1 0 3 0 .0 1 3 0 .4 7 2 0 .0 0 9 0 .3 9 7

図表 10 パネル分析結果  サンプル:日経平均採用銘柄、推定期間: 2001 年 ~2017 年 A )日経平均 ETF の保有比率 nketfs の影響

参照

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