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韓国
主要データ 国名〔英名〕 大韓民国〔Republic of Korea〕 面積(km2) 99,720 海岸線延長(km) 2,413 人口(百万人) 49.0 人口密度(人/km2) 491.8 GDP(十億 US$)4 1,221.80 一人当り GDP(US$) 24,328.98 主要鉱産物:鉱石 亜鉛、金、銀、タングステン 主要鉱産物:地金 亜鉛、銅、鉛 鉱業管轄官庁 産業通商資源部 鉱業関連政府機関 鉱業登録事務所、鉱山保安事務所、韓国地質資源研究院 鉱業法 鉱業法、鉱山保安法 ロイヤルティ なし 外資法 外資導入法、外国人投資促進法 環境規制法 (環境影響調査制度、 環境・排出基準の有無等) 山地管理法、環境影響評価法等 鉱業公社 韓国鉱物資源公社(KORES)、韓国鉱害管理公団(MIRECO) 近年の鉱業関連問題 (資源ナシ ョナリズム、労働争議、環境問題 等) - 2013 年のトピックス ・2014 年 1 月、韓国鉱物資源公社は 4 本部体制から 5 本部体制 に組織改編。 1.鉱業一般概況 朝鮮半島は鉱物資源が豊富であるが、そのメインは北部であり、北部には大規模なマグネサイト鉱 床が存在する。また、亜鉛・鉛の埋蔵量は、(社)南北交流協力支援協会の資料によれば世界的規模と 見られ、賦存のポテンシャルが高い。一方南部は、鉄、石炭及び非鉄金属などの鉱床が存在しており、 現在も操業中の鉱山があるものの、いずれも小規模のため、朝鮮半島南部に位置する韓国は、資源の ほとんどを輸入に頼っている状態である。 これまで、韓国は「第 4 次海外資源開発基本計画(2010 年~2019 年)」に基づき積極的な資源確保 戦略を進めてきた。しかし、2013 年 2 月に新たに就任した朴槿惠大統領は、海外鉱区の取得に慎重な 姿勢を見せている。本来、2013 年 12 月に成立予定だった「第 5 次海外資源開発基本計画」も未だ成立 していない。 また、朴大統領は北朝鮮との関係改善の一環として、北朝鮮の地下資源開発や環境対策に対する協 力を呼び掛けている。2014 年 8 月 15 日、朴大統領は演説で「北朝鮮の豊富な地下資源と労働力の活用 が、南北住民の生活向上のための新たな成長モデルとなる」と発言した。北朝鮮は、年間 19 億 US$(2013 年実績)の石炭やレアアースを中国や台湾に輸出しているが、韓国には輸出されていない。 また、2013 年以降、現地通貨のウォン相場が主要通貨に対して大幅に上昇した。2013 年末には 1 ド ル=1,100 ウォンを割り込み、翌年 6 月には 1,010 ウォン台まで上昇、6 年ぶりのウォン高水準となっ た。輸出依存度の高い韓国は、主力の自動車や電気製品産業はもちろん、世界有数の銅、鉛製錬所を 有する POSCO 及び KOREA ZINC でも減収減益となっており、韓国産業の減退懸念が高まっている。2
(1)韓国鉱物資源公社(Korea Resources Corporation:KORES、本社:ソウル)
KORES は、鉱物資源に関わる海外資源開発事業への投資、国内・海外探査支援、鉱山保安、北朝鮮資 源開発支援等を担う産業通商資源部傘下の国営企業である。2013 年 2 月に発足した朴政権の方針によ り、前李明博政権で展開された積極的な海外投資は、見直しを余儀なくされている。李政権時代には、 5 年間で 18 件もの海外資源開発事業への出資を決めたが、2013 年 3 月に海外案件 3 件、2014 年 3 月に さらに 6 件(海外案件 3 件、国内案件 3 件)を売却・整理対象にしたことが明らかになっている。 2013 年 6 月、政府は 2012 年の公共機関業績評価結果を発表し、KORES は石炭公社、石油公社と並び 最下級の評価を受けた。また、その後国会で与党であるセヌリ党の資料で KORES が担う 38 件の海外投 資事業のうち 20 件が事業性が低くリスクが高いことが報告され、2014 年 6 月に KORES を含む経営不振 の国営企業 8 社に対し、経営実績に対する評価を厳しくするとともに、経営不振に対する処分として、 成果給が支給停止あるいは半減されることとなった。今後は、より無駄を省いた事業実績重視の資源 開発が進められると思われ、今後当分の間、海外への新規資源開発出資は停滞するものと思われる。 一方、KORES は 2014 年 4 月に「GO!KORES 2020」という新たなキャッチフレーズを発表し、2020 年 代のうちにグローバルオペレーターとして、資源メジャーの仲間入りをするとの目標を掲げるなど、 積極的に海外進出を図りたい姿勢を見せている。 Ⅰ 予算 表 1-1:KORES 予算額(韓国政府出資額) (単位:100 万ウォン) 事業名 2012 決算 2013 予算(a) 2014 予算案(b) 増減(b-a) KORES 出資 220,000 180,000 260,000 80,000 海外資源開発調査 8,570 8,390 7,543 -847 海外資源開発融資 44,000 30,000 20,600 -9,400 鉱物備蓄事業出資 40,000 45,000 40,000 -5,000 鉱物備蓄資産管理補助 1,010 1,460 1,457 -3 一般鉱業育成支援 13,354 13,754 15,967 2,213 鉱山安全施設 3,321 3,487 3,487 0 計 330,255 282,091 349,054 66,963 (出典:国会予算政策処「2014 年度公共機関政府支援予算案評価」) 上に掲げる表は、政府から KORES への予算額である。実際の予算は、これに加えて KORES の独自収 益や財産売却、社債発行などによる収入が加わる。これを見ると、朴政権に変わり 2013 年は予算が減 額されたものの、2014 年予算は海外資源事業関連予算を除き、概ね回復した。KORES 出資事業は、特 に大きく増額し、過去最高となっている。KORES 出資事業は、国内産業で重要な役割を果たす鉱物資源 の安定確保のための事業である。KORES は、2014 年に既存事業に 7,740 億ウォン、新規事業に 860 億 ウォン、計 8,600 億ウォンを KORES 出資として予算要求したが、政府はこれの 3 割の計 2,600 億ウォ ンを予算案に計上した。 一方で、海外資源開発調査費は 2012 年度と比較して 12%の減額、海外資源開発融資費に至っては半 分以下まで減額しており、政府が海外投資に消極的であることが見て取れる。KORES の業績が低く評価 されたことやこれまでの海外投資事業の多くが経済性を満たしていなかったことが要因となり、2013 年予算に増して新規の海外資源開発への投資及び資金運用が制限されることとなった。 また、朴大統領は北朝鮮の資源開発に積極的であり、2013 年には予算が与えられなかった北朝鮮資 源開発事業に対して、2014 年には 1.6 億ウォンの予算がつけられた。北朝鮮資源開発事業は 2006 年 6 月に「南北軽工業及び地下資源開発協力に関する合意」が政府間でなされた後、3 つの北朝鮮の鉱山で 実地調査が行われたが、李明博政権下(2008~2013 年)では活動は中断されていた。
3 Ⅱ 組織体制 KORES は、2014 年 1 月に、人材発掘・育成の強化に向け、これまでの 4 本部体制を 5 本部体制に組 織改編を行った。また、マダガスカル・Ambatovy ニッケルプロジェクトに集中するため、Ambatovy 事 業課が資源開発本部傘下に新設されたほか、戦略探査室も拡大された。なお、KORES の組織拡充に関し ては、2013 年 1 月に新規海外資源開発事業の発掘を強化することを目的に 3 本部体制を 4 本部体制に 改編したばかりだったが、今回の改編はこれまでの投資案件を見直し、より経済性の高いプロジェク トへ投資を集中させたい意向と思われる。 図 1-1:KORES 組織図 Ⅲ 最近の状況
KORES において注目される案件として、マダガスカルの Ambatovy ニッケルプロジェクトと KORES が オペレーターとして鉱山・精錬所を操業するメキシコの El Boleo 銅プロジェクトがある。しかし、国 会予算政策処(National Assembly Budget Office)の予算案の審議報告書では、Ambatovy ニッケルプ ロジェクトへの過度な資金投下と経済性の悪化、及び El boleo 銅プロジェクトでの人材不足を指摘さ
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れた。実際に、Ambatovy ニッケルプロジェクトの当初の投資計画では、韓国 8 社計 27.5%の権益のう ち、KORES は 14.325%のみの予定であったが、実際にスタートしてみると参加企業は KORES 含め 4 社、 現在は 3 社まで減り、KORES は 22.5%と全体の 8 割以上を出資することになった経緯がある。
一方、El Boleo 銅プロジェクトについても、経済的な風当たりが強まっている。KORES は、パート ナーである Baja Mining 社が資金不足のため、2012 年 7 月に 2 億 5,000 万 US$を追加投資したことに 加え、2014 年 8 月に一時出資として 200 万 US$を支出したことを明らかにした。収益率は予定の 10% から 8%に低下し、政府内外から、過去「資源外交」の業績のため無理な出資が行われてきたのではな いか、との不満も出てきている様子も伺える。 Ⅰ.で提示したように、KORES は、石炭、ウラン、鉄、銅、亜鉛、ニッケルを戦略鉱種に定め、これ らの自主開発比率を 2020 年までに 42%にすることを目標に掲げている。また、前述のような組織改編 を通じ、将来的には資源メジャーとして世界 20 位以内の資源開発会社を目指す。しかしながら、既述 のように現政権下では KORES の運営に対し政策転換がなされているため、しばらくは新規投資先開拓 よりも、既存プロジェクトの採算性見直しと売却等を通して収益の改善が優先されることと思われる。 (2)POSCO Ltd.(本社:ソウル) POSCO は、韓国国内の鉄鋼市場の半分以上のシェアを占める世界的な鉄鋼企業である。しかし最近で は、欧州債務危機による韓国経済不況により、2012 年 POSCO は保有株式売却や事業の見直しを実施し た。非主力事業に係る子会社の売却や整理を行い、また社債を償還して財務健全性の維持に取り組ん でいるものの、借入金は急増しており、国内市場は現代製鉄や東部製鉄等にシェアを奪われ始めてい る。最近では、中国の廉価な鉄鋼材の輸出が拡大していること、円安で日本の製鉄会社の国際競争力 が向上していることも、POSCO の経営を危うくしている。2013 年は売上高が前年比 2.7%減の 61.8 兆ウ ォン、最終利益が同 43%減の 1.4 兆ウォンと、減収減益となった。 2014 年 3 月、POSCO の鄭俊陽会長が辞任し、新たに権五俊社長が会長に就任した。鄭会長は、株式 の売却や事業整理の他に、海外への投資を視野に入れて業務の拡張を模索していた。2012 年 5 月に丸 紅と豪州のハンコック鉱山へ共同出資を行い、その結果ハンコックプロスペクティングが 70%、丸紅 と POSCO がそれぞれ 12.5%、中国鋼鉄と STX がそれぞれ 2.5%と権益シェアを拡大した。2013 年 1 月 には中国鋼鉄と共同で、Arcelor Mittal Canada の鉄鉱石部門の株式 15%を約 11 億 US$で購入した。 2013 年末にはインドネシアの高炉一貫製鉄所建設が完工し、インドネシアの国営鉄鋼メーカーと合弁 企業「クラカタウポスコ」を発足させた。インドネシアの需要を取り込む計画だったが、2014 年初め にガス配管トラブルの事故が起き、2 か月間操業が止まったため、年内の黒字達成は困難となった。こ れらの多角化路線を権五俊会長は「失敗」と評価し、2014 年 7 月に非中核事業の系列 3 社(LNG 貯蔵、 セメント、林業分野)の株式売却を決めた。今後は、非核心事業の再編を進めていくものと見られる。 鉄鋼部門については、業績悪化に苦しむ POSCO だが、リチウム回収技術開発は順調に進んだ。リチウ ムについては、POSCO は、独自開発した塩水リチウムの高効率抽出技術を最終確認するための実験プラ ントをアルゼンチンに建設することを発表した。この技術を活用すれば最短 8 時間、長くても 1 か月 内に、化学反応によりリチウムを抽出することができ、回収率も従来の 30%から 80%以上と改善してい る。POSCO は、近年業績が落ち込んでいるとはいえ、技術や資金が潤沢な会社であることは間違いなく、 今後も韓国の資源開発における主導的な役割は変わらないだろう。 (3) LS Nikko Copper (本社:ソウル) LS Nikko Copper は、日韓共同製錬株式会社(日韓共同製錬㈱は、JX 日鉱日石金属 80%、三井金属鉱 山 10%、丸紅 10%の日本企業コンソーシアム)と LS Corp の合弁会社で、年間銅地金生産量は約 60 万 t。 2013 年 10 月、計 800 億ウォン強を投じて 2014 年半ばをめどに生産能力を拡大することが明らかに なった。アノード(陽極銅)生産能力を現行比 8%増の年 49 万 t に、電気銅の生産能力を同 13%増の年 68 万 t に高める予定で、韓国国内への供給の他、東南アジア向けに輸出を増やす。しかし、2014 年 5 月
5 表 1-2:LS Nikko Copper 過去 3 カ年売上高 (単位:100 万ウォン) 2011 年度 2012 年度 2013 年度 売上 9,184,538 9,211,325 7,627,401 営業利益 349,533 292,523 229,356 純利益 276,695 244,294 167,258 13 日、蔚山にある銅製錬所の製錬第 2 工場で爆発事故が発生し、8 名が負傷する事態となった。さら に同月 22 日、冷却タワーで火災が発生し、製錬第 1 工場内の 9 個中 8 個の溶鉱炉の稼働が停止した。 これを受けて、第 1 炉は 3 日間操業を休止し、第 2 炉は 6 月 5 日に生産を再開した。この事故の影響 を受け、今年度は生産量が減少する見込みである。 昨年に引き続き欧州債務危機の影響やウォン高により、韓国での銅需要も昨年同様、720 千 t と低迷 したことに加え、韓国需要家からの厳しい価格要求で 2013 年は収益が大幅減となった。これらは LS Nikko の海外案件にも影響がでている。LS Nikko Copper は、現在海外で 7 件(うち、探査事業 1 件) の資源開発事業を行っているが、権会長はこれまでの海外投資は過大であったと発言しており、今後 は慎重に展開するものと見られる。主な事業動向は以下の通りである。
* メキシコ El Boleo 開発事業
パートナーである Baja Mining 社の資金難もあり、2012 年 8 月の KORES による 9,000 万 US$の資金 供与(この際 Baja Mining 社のシェアは 70%→49%に低下)をきっかけに、2013 年 3 月に 3 億 4,100 万 US$(同 49%→26.2%に低下)、5 月に 3 億 8,400 万 US$(同 26.2%→15.7%に低下)の追加資金供 与を行った。ここまでの追加資金を出したのは KORES のみであり、LS Nikko 含む他韓国企業(Ls Nikko、 Hyundai Hysco、Sk Net Work、Iljin)は出資を見送った。
* パナマ Cobre Panama 開発事業
2013 年 4 月、同鉱山の 20%の権益を保持する Inmet Mining 社は、加 First Quantum 社の 51 億 C$の 敵対的買収オファー提案を受け入れた結果、First Quantam 社が 80%、Korea Panama Mining(が 20% LS Nikko 10%,KORES 10%)の株主構成になった。さらに 2014 年 5 月、KORES は所有する株式全てを、 First Quantum Minerals 社に売却する意向を示した。なお LS Nikko Copper は株式売却の計画はない 旨を明らかにした。現在、鉱山設備を建設中であり、操業開始後の 10 年間で 7 千万 t の銅生産を予定 している。2017 年下半期に商業生産開始が予定されている。 (4)Korea Zinc(本社:ソウル) 韓国最大の亜鉛・鉛製錬会社。1974 年創業。1975 年、日本の東邦亜鉛から電気亜鉛製造の技術供与 を受け、亜鉛、鉛、銅及び貴金属、レアメタルなど合計 18 種類の非鉄金属を生産し、グループ会社を 含めると全世界の非鉄金属市場シェアの 8%を占めている。 Korea Zinc も欧州危機やウォン高の影響で、2013 年度の業績は悪化した。しかし、現在も設備拡大 のため積極的に投資が行われており、2014 年、2015 年と生産能力は伸びる予定。2013 年の同社の亜鉛 生産量は 55 万 t だが、現在進行中の電解工場の増設工事が 2014 年 9 月に完成する見込みで、2014 年 3 月に拡張した鉛精錬工場を合わせると、2015 年の年間の生産能力は亜鉛 85 万 t、鉛 46 万 t になる。 さらに、2015 年 12 月完成予定の第 2 非鉄工場団地も現在建設中で、鉛・銀の製錬を増強予定である。 Korea Zinc は、1997 年豪州に Sun Metal Corp.(SMC)を設立しており、約 20 万 t/y の亜鉛製錬を 行っている。現在は国内への投資の他、SMC 子会社の KZMH 社が保有するペルー・ICM Pachapaqui 亜鉛 鉱山で海外資源開発を行っており、安定供給のための上流権益確保も行っている。同鉱山には、生産 能力 2 万 t/y の設備があり、現在は開発段階のため稼働率が 6%であるが、今後の成長が期待できる。
6 表 1-3:Korea Zinc 過去 3 カ年売上高 (単位:10 億ウォン) 2011 年度 2012 年度 2013 年度 売上 5,556 5,498 4,818 営業利益 963 758 599 純利益 714 568 453 2.鉱業政策の主な動き 韓国は鉱物資源の多くを輸入に頼らざるを得ず、韓国政府は積極的に海外探鉱や鉱物資源開発を推 し進め、資源国との協力体制を築かねばならない状況である。 これまで、韓国は「第 4 次海外資源開発基本計画(2010 年~2019 年)」に基づいた資源確保戦略を 進めてきた。具体的には、積極的な資源外交を進め、海外権益の取得を通し、6 鉱種の戦略鉱物を対象 として自主開発比率を伸ばすことを目標とする。しかし、2013 年 2 月に発足した朴槿惠新政権は資源 確保政策を見直し、海外鉱区の取得に消極的な様子を見せている。本来、2013 年 12 月に成立予定だっ た「第 5 次海外資源開発基本計画」も未だ完成しておらず、朴政権が資源政策に慎重になっている様 子が窺える。2014 年 1 月に発表された産業通商資源部の業務計画書では、資源開発の“量的”成長で はなく、“質的”改善を進めることが強調され、技術開発やプラント受注、非伝統的エネルギー開発の 拡大について言及した。 下表は「第 4 次海外資源開発基本計画」に記載されている自主開発比率目標及び 2012 年実績である。 表 2-1. 自主開発比率目標 鉱種 2012 年※ 2012 年実績 2016 年 2019 年 一般炭 47% 57.7% 50% 50% ウラン 12% 8.1% 24% 30% 鉄鉱石 17% 11.4% 3% 35% 銅 15% 14.5% 33% 38% 亜鉛 34% 19.9% 40% 42% ニッケル 29% 31.9% 34% 40% ※「第 4 次海外資源開発基本計画」(2010 年 12 月時点)での目標 一般炭がすでに目標値を超えているのは、2001 年に 97.4%あった使用エネルギー源における原油依 存度を、2011 年までに 45%まで低下させるという方針により、代替として石炭需要が高まり、開発が 促進されたことに起因する。 ウランについては、政府は 2014 年 1 月「第 2 次国家エネルギー基本計画」にて 2035 年までに原子 力発電比率を現在の 26%から 29%に高めるために、さらなる原子炉を建設する意向を示していることか ら、今後積極的に進むものと思われる。実際に、2014 年 6 月には朴大統領はウラン生産世界第 2 位の カザフスタンを訪問し、エネルギー・資源開発分野で共同プロジェクトを持続・拡大について共同声 明を採択した。韓国国内には、6 つの原子力発電所、23 の原子炉があるが、現在新たに 1 つの原子力 発電所・全部で 5 つの原子炉を建設中である。一方、2013 年に原子力発電所に仕様を満たさない部品 が数年に亘って納品されてきたこと、それが組織的に隠ぺいされてきたことが明らかになり、該当部 品を使用していた発電所の稼働一時中断及び建設中の発電所の稼働延期となる事態となった。以降、 韓国国内で原発に対する不安が高まっている。 鉄鉱石、ニッケルについては、POSCO が牽引し自主開発比率を高めているが、銅と亜鉛はまだ不十分 な状況である。特に、KORES の海外資源開発事業見直しにより処分を決めたプロジェクトのうち、明ら
7 かになっているものだけでも 4 件が銅・亜鉛の案件であり、今後新規海外投資が縮小されると予想さ れる中で、主要案件の一つであるメキシコの El Boleo 銅プロジェクトの重要性がさらに高まるであろ う。亜鉛については Korea Zinc が主体となって資源開発を行っているが、ウォン高の影響で販売量は 減少しており、今後 Korea Zinc も海外へ生産拠点を移していくことなると思われる。 OECD 加盟国の平均エネルギー自給率は 77%であるのに対し、韓国は 18%である。(なお、日本は原 発停止の影響で震災前の 20%から現在は 6%に落ち込んでいる。)韓国は、資源を輸入に依存している 一方、膨大なエネルギー消費国でもあり加工貿易国でもある。金属鉱物・エネルギー資源の安定供給 確保の問題は、国家安全保障の根幹に係る問題であり、経済の持続的な成長、国家繁栄のために最高 の優先順位を持つ問題でもある。韓国は鉱物資源に恵まれず、経済成長を続けるためには資源確保が 重要な命題であるため、海外資源開発から完全に撤退するという選択肢は現実的ではない。その取り 組みとして、これまでのような拡大一辺倒ではなく、いかに効率的に経済運営をしながら安全保障上 の問題をクリアするかが朴政権の命題といえよう。 3.主要鉱産物の生産・輸入・消費・輸出動向 (1)主要金属鉱石生産量 表 3-1.金属鉱石生産量 鉱種 2011 年(t) 2012 年(t) 2013 年(t) 対前年増減 比(%) 世界シェア (%) ランク チタン 103.8 55 50 -9.09 1.0% 13
(出典:World Metal Statistics Yearbook 2014)
(2)主要金属地金生産量 表 3-2.金属地金生産量 鉱種 2011 年 (千 t) 2012 年 (千 t) 2013 年 (千 t) 対前年増減 比(%) 世界シェア (%) ランク カドミウム 3.9 3.9 3.9 0.00 17.3% 2 銅 593.5 586.0 585.8 -0.03 2.7% 10 鉛 423.0 460.0 427.7 -7.02 4.2% 4 ニッケル 19.3 24.4 28.1 15.16 1.4% 14 亜鉛 828.2 881.1 1,044.3 18.52 7.9% 2
(出典:World Metal Statistics Yearbook 2014)
(3)主要金属地金消費量 表 3-3.金属地金消費量 鉱種 2011 年 (千 t) 2012 年 (千 t) 2013 年 (千 t) 対前年増減比(%) アルミニウム 1,233.3 1,278.5 1,241.1 -2.92 カドミウム 0.1 0.1 0.1 0.00 銅 784.1 717.3 704.1 -1.85 鉛 426.6 429.3 456.0 6.23 錫 14.4 16.2 14.5 -10.70 亜鉛 544.4 556.8 727.6 30.68
8 (4)主要金属輸出量 表 3-4.地金等輸出量(マテリアル量) 鉱種 2011 年(千 t) 2012 年(千 t) 2013 年(千 t) 対前年増減比 (%) 銅 地金 156.8 170.3 179.9 5.6 鉛 地金 136.6 141.0 144.8 2.7 ニッケル 地金 0.4 0.5 0.5 -2.0 亜鉛 地金 375.7 409.8 394.0 -3.9 錫 地金 0.1 0.4 0.6 53.8
(出典:World Metal Statistics Yearbook 2014)
(5)主要金属輸入量 表 3-5.精鉱・地金等輸入量(マテリアル量) 鉱種 2011 年(千 t) 2012 年(千 t) 2013 年(千 t) 対前年増減比 (%) 銅 鉱石 地金 433.2 347.4 420.7 301.7 421.9 298.1 0.3 -1.2 鉛 地金 140.2 110.3 173.1 57.0 亜鉛 地金 91.9 85.5 77.4 -9.5 ニッケル 地金 25.9 18.9 21.0 11.2 フェロニッケル 117.9 160.8 122.7 -23.7 錫 地金 14.5 16.6 15.1 -9.2
(出典:World Metal Statistics Yearbook 2014)
4.鉱山・製錬所状況 表 4-1.製錬・精錬所生産状況 会社名 製錬所 所有者 鉱種 生産量(千 t) 生産能力 (千 t) 2012 年 2013 年 LS Nikko Copper Onsan(温山) LS Cable50.1%, 日韓共同精錬 49.9% 電気銅 594 - 660 Changhang(長項) 電気銅 40 - 60
Korea Zinc Onsan(温山) Korea Zinc 亜鉛地金
鉛地金 525 280 550 273 550 330
9 5.探鉱状況 韓国は、石灰石や珪石などの非金属資源については豊富に賦存しているため、国内生産で国内供給 の 7 割程度を賄っているものの、金属資源の海外依存度は 99%を超える。一方で、海外での資源確保に 資金的限界があるため、国内鉱山の活用も行ってきており、2008 年より産業通商資源部(当時、知識 経済部)は「国内金属鉱再開発計画」を進めてきた。KORES も国内探査にも投資を行っており、現在、 Uljin(蔚珍)郡のモリブデン鉱床、Chungju(忠州)市の滑石鉱山、Yangyang(襄陽)郡の磁鉄鉱鉱 山の開発プロジェクトに出資している。この鉄鉱山は平均 Fe 品位 58%の鉄鉱石が生産される予定であ り、生産された鉄鉱石は POSCO と現代製鉄に供給される見通しである。韓国政府の進める国内鉱山開 発は、すでに採算が合わずに休廃止した鉱山を対象としており、現代の技術力で生産性を上げること で再開発を目指している。 図 5-1. 鉱山・プロジェクト位置図
10 6.我が国との関係 (1)日本への輸出 表 6-1.日本への精鉱・地金輸出量(マテリアル量) 鉱種 2011 年(t) 2012 年(t) 2013 年(t) 対前年増減比(%) 金 地金 1.16 0.58 1.40 143.68 銀 地金 1,248.0 1,208.8 1,510.5 24.96 銅 地金 5499.0 101.2 967.8 856.22 亜鉛 地金 15,950.5 409.5 61.1 -85.08 鉛 地金 179.1 297.3 457.5 53.89 タングステン 地金 4.9 4.1 5.1 26.32 コバルト 地金 9.0 6.0 6.7 11.84 モリブデン 鉱石 化合物 フェロモリブデン 174.1 8.5 32.0 267.9 1.0 20.2 157.1 3.0 27.1 -41.36 200.00 34.15 マンガン フェロマンガン 4,175.400 7,950.109 5,969.877 -24.91 シリコン フェロシリコン 1,147.700 1,595.947 1,279.108 -19.85 バナジウム 化合物 フェロバナジウム 20.200 87.900 37.825 86.505 24.000 37.278 -36.55 -56.91 アンチモン 化合物 25.700 4.000 2.000 -50.00 希土類 希土類原料・製品 32.500 4.756 0.133 -97.21 インジウム 地金 20.500 9.306 7.709 -17.16 (出典:財務省貿易統計) (2)日本企業による投資状況 近年は、ウォン高により、生産拠点としての日本から韓国への投資機運は弱まっており、2013 年の 日本からの投資額は 26 億 9,000 万ドルで、前年比で 4 割以上減少した。2013 年韓国の対日直接投資は 6.9 億ドルである。
11 7.その他トピックス 韓国の対外投資は、主要産業である製造業や建設業、不動産業等は増加したものの、2013 年は電気 ガス水道、科学技術、鉱業等の大部分の分野で投資減となった。特に、資源開発・鉱業分野は前年比 38.6%減の 12.1 億 US$、うちエネルギー公的企業(石油公社、ガス公社、鉱業公社(KORES)等)の投 資は 47%減の 7.1 億 US$に留まった。2008 年~2011 年は、海外資源開発支援政策に伴うエネルギー公 的企業による対外投資促進で、鉱業投資が増加していたものの、2012 年以降は 2 年連続で減少してい る。朴政権はより経済性のある海外投資を求めていることから、今後しばらくは、海外投資が増える 見込みは低く、鉱業分野での対外投資についても、当分の間は量的拡充よりも質的拡充に重点が置か れるものと思われる。 (2014.9.1 調査部金属資源調査課 畝井杏菜)