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ユニット式氷蓄熱冷暖房システム

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Academic year: 2021

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小特集

ビル施設と;総合管理

∪・D・C.る97.97:〔る21.577:る21.582〕

ユニット式氷蓄熱冷暖房システム

UnitTYPelceStorageSYStemSforBuildingAirconditioning

電力需要の増大に伴って,電力負荷の昼夜間格差は年々拡大の傾向にある。都市 部での電力需給平準化対策として有効な蓄熱式空調システムの開発は,電力会社及び 需要家双方に経済的メリ、ソトをもたらすものとして一最近重要な技術課題となっている。 本稿では,従来の水の顕熱を利用した方法では適用の困難な中小ビル向け蓄熱式 空調システムとして開発したユニット式水苔熱冷暖房システムについて紹介する。 本システムは空冷ヒートポンプ式チラーユニットをベースに,直膨方式の製氷サイ クルによって,補機動力不要のコンパクトなシステムとなっている。プロトタイプ の試験では製氷率37%(体積比)を実現し,従来の水蓄熱式に比べ蓄熱槽の大きさを -を程度とすることができた。 l】

言 ビル空調設備で要求される熱エネルギーは,季節・日・時 刻別のいずれの場合でも,大きな変動をもつものである。こ のため,建物のピーク負荷をまかなうのに十分な答呈の熱†増設 備や電源設備を設ける必要のある通常システムでは,多くの 時間帯で低負荷運転となる。特に,負荷の発生が少ない夜間 は,需要家側だけでなく,電力会社も設備の低稼動率を強い られることとなる。 それに対して,蓄熱式空調システムを導入した場合,需要 家にとっては,熱源設惜春量をおおむね半i成させることが可 能となり,合わせて受電設備容量も減少できるので,設備費 はもちろん,契約電力料金の低減にもつながる。また,蓄熱 特約などの電力料金割引制度の適用も可能となり,経済効果 を上げることができる。更に電力会社にとっては,電力負荷 の熱源容量に見合う部分を,深夜電力時間帯に移行できるの で,電力供給設備の稼動率向上が期待できる。 従来用いられている蓄熱式空調システムは,水の顕熟を利 用する方法がほとんどである。これは,蓄熱媒体が具備すべ き物性・安全性・信根性・経済性などの条件で,まだ水をし のぐものがないためである。しかし,水の最頁熱を利用する方 法の場合,蓄熱槽の容積が大きくなるため,通常のビルでは, 地下二重スラブが利用できるケースに限られてしまい,蓄熱 式空調システムが一般化するには至っていない。 以上のような背景から,蓄熱材として優れた性能をもつ水 を媒体とし,そのi替熱を利用して蓄熱槽を大幅に′ト形化でき る水苔熱冷暖房システムが,最近注目を集めている1)・2)。 本稿では,中小ビルを対象とし,量産形を指向して開発し たユニット式水苔熱冷暖房システムについて紹介する。 臣l

開発思想及びシステムの特長

近年,中小ビルでは,冷暖房に空冷ヒートポンプ式チラー ユニットを導入するケースが増大している。空冷ヒートポン プ式チラーユニットは,冷却水や燃料系統を必要とせず,シ ンプルな熱源設傭を構成できる点が大きな魅力となっており, その特長を生かしながら水苔熟冷暖房システムを形成するこ とが,開発のポイントの一つであった。 本開発システムは,標準の空冷ヒートポンプ式チラーユニ

柳原隆司*

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坪田祐二*

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小栗正裕**

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多賀明義***

d的oぶんg r岬 坂本 亮**** 〟αた0舌o Sα鬼α仇Ofo 、ソトの冷i束サイクルに,直月影方式の製氷用熱交換器を付加し (図1参照),この熱交換器をSMC紫〉製のパネルタンク内に浸 i責させる方式である。 システムの特長は,次のとおりである。

(1)蓄熱槽もチラーユニットと同様,屋上設置が基本となる

ので,機械室などか不要である。

(2)1台のチラーユニットで,水苔熱・冷水発生・温水蓄熱・

?且水発生の四つのモードの運転が可能である。

(3)水苔熱運転は,直膨方式を採用しているため,プライン

方式のような中間熱交換器が不要であり,またプラインポン プなどの補機動力を必要としないため,高い成績係数が得ら れる。 田

氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニット

本システムに用いるチラーユニットは,(1)昼間に冷温水を

作る水側熱交換器,(2)夜間に氷(夏季)又は温水(冬季)を作る

蓄熱槽内の製氷用熱交換器,(3)外気と熱の授受を行なう空気

側熱交換器の三つの熱交換器と受液器,アキュムレータ,圧縮 機などにより構成される。この場合,蓄熱槽内の製氷用熱交 換器の冷媒側内容積が,他の二つの熱交換器に比較して6∼ 7倍になるため,運転モードの切替えによる冷媒量の差を吸 収できるように,標準の空冷ヒートポンプ式チラーユニット よりも容量の大きな′受液器,及びアキュムレータが必要とな る。更に,これら容積差の大きい熱交換器を切り替えて運転 するため,次の事項を達成しなくてはならない。

(1)運転モード切替え時に,確実な移行が行なえること。

(2)告白勺とするモードの運転が安定して行なえること。

(3)運転中,モードの違いにより休止状態となる部分にトラ

ブルが発生しないこと〔例えば,蓄冷(製氷)運転中の水側熱 ■交換器のi東結など〕。

(4)更に,全体として高性能の運転が確保されること。

※)SMC:Sheet Molding Compoundの略語である。FRP(ガラス繊維

強化プラスチック)製品の一種で,ガラス繊維に寸封脂を含浸させシート状 にしたものを,型によって加熱成形する製品を指す。

*東京電プJ株式会社技術開発研究所 **日立製作所機電車業本部 ***日-、二製作所清水工場 ****日立化成工業株式会社結城工場

(2)

416 日立評論 VOL.66 No.6(1984-6) 氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニット 受 漆 器 圧縮機

送風機 キャピラリ チューブ

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四方弁 空気側熱交換器 ストレーナ ドライヤ アキュムレータ 「丁 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄1 蓄熱槽

二「

水側熱+父換器 逆止め弁

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冷凍サイクル図 水苔熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニットは, 標準チラーのサイクルに製氷用熱交換器系統が付加されたサイクルとなっている。 以上を満足させるため,図1に示す冷;東サイクルを才采用した。 この冷i束サイクルによる各運転モードの動作を図2に示す。 実機の設計に際しては,既に量産されている標準の空冷ヒー トポンプ式チラーユニットの構造,機能をできるだけ踏襲し, 部品の共通化を図っている。製作したプロトタイプの3.75kW チラーユニットの外観を図3に,構造を図4に示す。 【】

氷蓄熱槽

前章の3.75kWチラーユニットに接続される氷蓄熱槽の外観 を図5に,構造を図6に示す。内部に組み込まれる製氷用熱 交換器は,この大きさのものを基本的な最′トモジュールとして いる。より大形の蓄熱槽へ適用する場合は,この製氷用熱交 換器モジュールをディストリビュータを介して複数台接続す るわけである。 槽材料には,熱伝導率が′トさく,耐候性に優れ,設計の自 由度が高く,かつ施工の容易なSMCを用い,パネル組立式と している。特に蓄熱槽内の水温が,夏季の水苔熱時(最低-10 ℃)と冬季のf且水蓄熱時(最高60℃)の熱サイクルを′受けるたれ 十分な強度が確保できるように,耐水用SMCを才采用している。 断熱材としては,断熱性能に優れたウレタンフォーム30mmを 採用し,槽本体の耐水用SMCと外装用の汎用SMCグ)間にサ ンドイッチ形斗犬に形成させることとした。これにより、パネ ル組卜立式の施工性を確保しながら,しかも外気i温度350c,槽内

横 柄 庄

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横 キャピラリ チューブ ム升 方 四 空気側熱交換器 アキュムレータ

ストレーナ ドライヤ

冷房運転

(∋

〔 蓄熱槽 逆止め弁 膨脹弁

⑦電磁弁

水側熱交換器 機 紹 庄

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送 キャビラリ チューブ ム升 方 四 空気側熱交換器 アキュムレータ 受 液 器 ストレーナ ドライヤ

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蓄冷・除霜運転

蓄熱槽 逆止め弁 膨脹弁

(∋電磁弁

水側執仙+父換器 穂 綿 庄

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機 キャピラり チューブ (抄 弁 方 四 空気側熱交換器 アキュムレータ

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∈=\ 水側執‖+父換器 受 漆 器 ストレーナ ドライヤ

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暖房・蓄熱運転 蓄熱槽 逆止め弁 膨脹弁

①電磁弁

電磁弁の開閉 注:○印は,開を示す。 図2 運転モード説明図 氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニットのサイクルは,電磁弁の開閉によって,冷房運転,蓄冷・除霜運転及び暖房・蓄熱運 転の各モードに切り替えられる。 18

(3)

ユニット式氷蓄熱冷暖房システム 417

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図3 氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニットの外観 3.75kWプロトタイ70の外観を示す。 1,225

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全密閉形圧縮機(3,75kW)

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アキュムレータ

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四方弁

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空気側熱交換器

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受7夜器

冷媒ガス接続口

膨脹弁(j令房用)

冷温水入口

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膨脹弁(蓄冷用)

冷温水出口

キャピラリチューブ(暖房用)

空気吸込ロ

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水側熱交換器

空気吹出ロ 図4 氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニットの構造 3.75kWプロトタイプの内部構造を示す。 水温0℃の場合でも,外表面の結露開始相対湿度を80%以上 とすることが可能である。 製氷用熱交換器は,冷媒の不均一分布による性能低下を極 力小さくするため,2パス形の蛇管形とし,圧力手貞夫をでき るだけ小さく抑え,かつ循環冷媒に含まれる冷i束機才由の戻り を考慮して冷媒流速を一定値以上確保するように,熱交換器 の下部(製氷時冷媒上流側)から管外径を4段階に漸次拡大し 「け群、W 図5 氷蓄熱槽の外観 3m3氷蓄熱槽の外観を示す。 3 1,502

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1 l 5 8 〔) の N N 2-M

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12(り

熱交換器ベ一大/ 282 固定ペース 固定用クランフ ボルトナット 282 938 (2箇所 No. 称 No. 名 称

(1)

槽本体

(6)

冷温水戻り

せ)

熱交換器

ヒ)

冷温水i去り

(少

冷媒入口

(可

冷温水入口

¢)

冷媒出口

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)令温水出口

(5)

給水入口

¢¢

ドレーンロ 図6 氷蓄熱槽の構造 3m3氷蓄熱槽の内部構造を示す。 てゆく形状としている。熱交換管は,製氷完了時に着氷厚み 約40mm,かつ氷表面の間隔が5mm程度となるように,ピッチ 108mmの正三角形配置とした。なお,管径が異なる箇所などの ろう付部分は,槽パネルー面を外すことによって,容易に保 守できるように片側にまとめ,メンテナンス性を向上させて いる。 製作された水苔熱槽での着氷状態を図7に示す。 19

(4)

418 日立評論 VOL.66 No.6=984-6) 図7 氷蓄熱槽の着氷〕犬態 3m3氷蓄熱槽での着氷状態を示す。 氷蓄熱槽 氷又は温水 冷媒 水側熱交換器

∩呂

L_ 冷温水ポンプ 空気調和磯 フアンコイルユニット 冷水又は温水 氷蓄熱用空冷ヒートポンプ式チラーユニット 屋上設置 各階設置 図8 ユニット式氷蓄熱冷暖房システムの系統図 空気調和軌フ ァンコイルユニットなど負荷との接続は.標準の空冷ヒートポンプ式チラーユ ニットの場合と大きな変更はない。 B

ユニット式氷蓄熱冷暖房システムの運用と性能

システム全体の概略系統図を図8に,夏季運転パターンの 例を図9に示す。ここで斜線部分の負荷を水苔熱槽から取り 出し,ピークカット及びピークシフトを行なう。図8の系統 では,冷房時空気調和機からのう量水を水側熱交換器→水苔熱 槽と直列に通すことによって,水側熱交換器の蒸発温度を高 く とり,効率を向上させている。 20 最大負荷 チラー 冷水最大 出力

注:匹ヨは,氷使用部分を示す。

ト一着氷一一一{ 8 13 15 18 22 8 時間 冷 房 運 転 蓄冷(製氷)運転 図9 夏季運転パターン 夜間製氷運転によって氷蓄熱槽に蓄えられた 熱王が.昼間の斜線部分で放出される。 8 6 (岩【Y 4 (野ニ 2 0 醐鴬爬 只出 0 8

f上下

5 243 (N喜\豊世へ-土 (工≧ご 只脚昧蟹 (UD)粥鴬 2 V OC 2925) HZ気 〇.十 5カノ 着氷量 高圧圧力 低圧圧力 槽内水温・-・底面付近 0-。下 部 △---‥ム中位部 ×・---叫上 部 槽内水温 積算電力 2 3 4 5 6 7 8 9 10 運転時間(h) 匡110 水苔熱性能試∈挨結果 した運転となる。 11 13 着氷後の低圧圧力の変化は,小さく一定 製作された3.75kWプロトタイプによる水苔熱性能試験結果 を図10に示す。標準の空冷ヒートポンプ式チラーユニットの 性能表示を行なう場合,JIS外気i且度条件35℃で冷却運転の 試験を行なうが,水苔熱運転は夜間であるため,25℃外気一見 度条件で測定した。この結果,呼称容量3m3蓄熱槽内の実水 量2,044kgのうち700kgを氷とすることができ,容積比37%(重 量比34%)の製氷率を実現し.た。 ▲;′ 【司

言 産業形態や生活様式の変化に伴って,電力需要に占める民 生用需要は年々比率を高めている。ビル空調用の動力需要も 大きなウエートを占める現在,電力会社にとって都市部での 電力負荷の平準化対策は,将来に向かっての重要な技術課題 といえる。従来の水の顕熱を利用した蓄熱式空調システムに とどまらず,中小ビルへの蓄熱システムの適用拡大を目的と したユニット式水苔熱冷暖房システムの開発は,大きな意義 をもつものと考える。 今後は,更に需要家サイドの経済効果を高めるように,い っそうの性能向上及び低価格化への施策に努力を傾ける考え である。 参考文献 1)射場本:潜熱蓄熱技術について,第15回建築設備技術会議 SESSION5,5-3-1(昭58-3) 2)射場本,外:大ナ7■土建物を対象とした水苔熱方式の研究,空気 調和・衛生工学全学術論 ̄文集,309(昭58-10)

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