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電子商取引の動向とビジネス展開 -ハイブリッド・コマースから戦略ポジショニングへ-

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Academic year: 2021

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(1)情報システムと社会環境 82−4 (2002. 11. 22). 電子商取引の動向とビジネス展開 −ハイブリッド・コマースから戦略ポジショニングへ−. Current Status and Business Trends of EC - From Hybrid Commerce Toward Strategic Positioning 荒川 一彦 電子商取引実証推進協議会 Kazuhiko Arakawa Electronic Commerce Promotion Council of Japan(Ecom) 【概要】. 電子商取引推進協議会のビジネスモデル WG は、経年で「EC 事業者アンケート調査」を 行い、日米 EC 事業者のビジネスモデルと成功要因の抽出を行ってきた。 平成 13 年度は、こうした調査を BtoB 分野にまで本格的に拡大し、日米の BtoC・BtoB 両分野において、事業者調査を実施した。本 WG の調査・検討活動は、①EC 概観・トレン ド調査、②アンケートによる国内事業者調査、③内外の個別事例調査、④収集データの詳 細分析・事例深耕分析、と多岐にわたる。以下では、ハイブリッド・コマースへと展開し た電子商取引(EC)の現状を調査データに基づき紹介するとともに、さらに EC がビジネ スの日常チャンネルとなる中での、その活用への視座を問題提起する。 The Business Models Working Group of Ecom has conducted a questionnaire research of EC enterprises and has identified the business models and key success factors of EC businesses in Japan and the United States. In FY2001, the working group’s survey was expanded to cover businesses engaged in either BtoC and/or BtoB commerce in the two countries. The group’s survey and review activities covered a wide range of areas, including: (1) an overview of and trends in EC; (2) a questionnaire research on domestic EC business; (3) case studies; and (4) in-depth analysis of data. In this paper, we introduce a current status of EC in hybrid commerce stage and business trends toward strategic positioning. 1.問題意識. 大で劇的な変化を経験した。それはインタ. 21 世紀をむかえた現在、インターネット の急速な展開・普及を通じて、我々は情報. ーネットの爆発的普及と情報のデジタル化 を基礎としているといえよう。. 化とIT化の大きな流れの中にいる。その. 80 年代米国では、積極的なIT投資にも. 底流は既に 1980 年代後半以来のIT投資. かかわらず、その生産性効果が見られない. 拡大とコンピュータのネットワーク化の進. とする議論、所謂「生産性のパラドクス」. 展を背景として進行してきた。一方、人類. が展開された。その後、90 年代に入り、旧. の情報環境は、20 世紀最後の 5 年間に世界. 来の「労働生産性」指標には表れない「ネ. −25−.

(2) ットワーク効果」とも考えられる生産性効. 情報(或いは情報媒体)のもつ特性に劇的. 果が指摘されるようになった。これはコン. な変化をもたらし、既存社会・経済制度に. ピュータの装備率を超えたアウトプットに. 変更を迫る可能性をもっている。デジタル. よるものであり、 「連結の経済」と呼ばれる. 財と呼ばれる情報商品は、アナログによる. 効果である。1. 情報蓄積・伝達とは異なり、ほとんど劣化. IT は、90 年代中葉までに、ネットワーク. することなく無限に複製可能であり、発達. 化、オープンシステム、ダウンサイジング、. したネットワークを利用して、距離と時間. マルチメディア化を特徴として発達し、ま. を超えて、無限数の対象に瞬時に配布可能. た旧来の専用端末・専用線ネットワークを. である。こうしたデジタル財の特性は、市. 特徴とする大型基幹系システムから、現場. 場経済に対応した近代の所有権制度(具体. の利用者端末を中心としたエンドユーザコ. 的には、特許、著作権等により保護された. ンピューティング、へと展開した。. 情報財)の根幹を揺るがしかねない性格を. 特に 1995 年以降のインターネットの爆. 持っている。同時に商取引において、これ. 発的普及は、旧来の計算機としてのコンピ. まで実現不可能であったマーケティングの. ュータをコミュニケーション手段へと転換. 可能性を提供している。. し、我々の組織・人間行動の様式を決定的. 本稿では、1)インターネットのもたら. に変革しつつある。それは旧来の個々の事. すビジネス、特に商取引における優位性に. 業プロセスの変更という段階すら超えて、. 注目しつつわが国の電子商取引の現状を紹. 企業の組織構成・事業構造自体を決定しか. 介し、2)個別事例の紹介を通じてその成. ねない要因として、経営戦略上、不可欠の. 功要因を探るとともに、3)事業或いは企. 要素となっている。. 業経営全体の視点からするインターネット. インターネットの普及は、企業の情報シ. 時代のビジネスモデル或いは戦略ポジショ ニングについての視座を紹介する。2. ステムを、それまでの階層型のクライアン ト・サーバー型大型システムから自律分散. 2.電子商取引の現状. 型ネットワーク・システムへと転換し、そ れと同期して組織構造のフラット化、現場. ビジネスモデル WG は、経年で「EC 事. への権限委譲、変化に柔軟な組織構造とし. 業者アンケート調査」及び「事例調査」を. ての自律分散的チームへの期待等の組織構. 行い、日米 EC 事業者のビジネスモデルと. 造上の変化をもたらした。同時に、大量の. 成功要因の抽出を行ってきた。平成 13 年度. 情報の流通と検索処理の必要から、中間管. は、こうした調査を BtoB 分野にまで本格. 理職の役割変化など旧来の権威体系に変化. 的に拡大し、日米の BtoC・BtoB 両分野に. をもたらすと共に、情報の発信・受容主体. おいて、事業者調査を実施した。以下では、. 間の関係調整・流通経路の調整といったコ. その活動結果の一端を紹介する。. ーディネート機能の重要性を増している。 また、情報のデジタル化は、これまでの 1. 2本報告の主要データは「平成. 13 年度 EC 事業者 のビジネスモデル分析」(電子商取引推進協議会 2002 年 3 月)に基づく。. 「ゴールドカラー研究」CCCI 報告書 1998. −26−.

(3) 67.3%、個人 32.7%。昨年に比べ法人の比. 3.国内 BtoC・EC事業者の動向と成功分析 経済産業省、ECOM、(株)NTT データ経. 率が低下し、企業の EC 進出が一段落したこと. 営研究所が共同で行った「平成 13 年度電子. を裏付けている。最も売れている商品/サー. 商取引市場規模・実態調査」によると、平成 13. ビスは、食料品、衣料品、趣味・娯楽関連商品。. 年度、わが国 BtoC・EC 市場は 1 兆 4840 億. 美容・健康・医薬・医療関連品等の割合が高. 円、前年比 80%増と着実な定着と拡大を示し. い点が昨年とは異なる。. た。携帯端末を含むインターネットの個人利用. ビジネスモデルの検討には、アクターの特. 12.0%3と倍増弱を. 定と商流、物流、金流の明確化を旨として整理. 示し、ネットの日常化、EC 消費者の倍増、デ. し、最終消費者に対する提供物/サービスと. バイスの多様化が見られた。. その提供形態に注目して6つのビジネスモデ. 率は 56.6%、EC 経験率も. 「EC 事業者実態調査」(国内 EC サイト事業. ルを定式化している。アンケート調査では、こう. 者 5200 件に対する Web アンケート調査)を見. した6モデルに「複数モデル提供モデル(「複. る と 、 本 年 度 わ が 国 EC 事 業 者 は 、 法 人. 数モデル」)」を加えた7モデルにて調査した。. 図1 ECショップのビジネスモデル. 同様に商品・サービス販売. 佐野屋 佐野屋. ¥ 入金. 凡 例 物流. 代金. クレジットカード. 配達依頼 注文  ホームページ   電子メール  FAX. 仲介業者・機能. ¥. 配送. ジネスモデルは、ほぼ定着.  サイト名. (事業者名). 注文. ヤマト運輸 日本通運. 店頭渡し. ル 18%程度と、BtoC のビ. 金流  ¥.  (  (佐野屋酒店 佐野屋酒店) ). 商品情報. モデル 63.3%、複数モデ. 商流・情報流.     JIZAKE.COM     JIZAKE.COM. 郵 便 局 ・ コンビニ振 込み、 SMASH. ¥ 決裁. ビジネスモデルは、昨年. しつつある。また「成功法.   関連事業者. (仕入先、提携先等). 人サイト」においては、主に. 商品配送. 旅行関連に該当する予約. 出荷. 代金引換. ¥. 型仲介サービスモデルが. 卸販社・問屋   地方蔵元.  . 比較的多く見られた。売上. 商品配達. 金額では、「成功 100 サイ. 注)本モデル図は平成12年度時点でEcomが独自に評価したものである。. BtoC成功サイト調査から. 2001年. 500 万円以上の事業者が. 図1:国内BtoCビジネスモデル 図2:国内BtoCビジネスモデル. 40%近くに達し、特に法人. 有料型仲介サービスモデル 無料型仲介サービスモデル 2.0% 3.0%. 予約型仲介サービスモデル 5.0% 無料型情報提供モデル 3.0%. 成功サイトで月商1億円以 複数モデル(マルチモデル) 0. 5. 製品販売モデル 63.0%. 有料型仲介サ ービスモデル. スとして定着してきているこ とを伺わせた。経年比較分 析から、売上、サイト人員と. 1. も全体的には減少傾向に. 3. 5. 無料型仲介サ ービスモデル. その他. 上が 5.5%と、EC がビジネ. 8. 無料型情報提供モデル. 予約型仲介サ ービスモデル. 20. 16. 有料型情報提供モデル. 複数モデル 18.0%. (件). 10. 商品・サービス販売モデル. 有料型情報提供モデル 3.0%. ト」において、平均月商が. 3. 無記入3.0% 3. 「情報機器やサービスの利用に関するアンケー 出所) 「2001年度マクロECサイト事業者調査」, ECOM 2001.10 ト」2001 年 11 月 野村総合研究所. −27−. ある一方、損益状況は改 善し、黒字事業者が赤字を 上回った。今後の売上見.

(4) 通しも強気が多い。. こうしたインターネットの特性は、データ. 成功要因については、昨年と異なり「分かり. ベース・マーケティング、ワン・ツー・ワ. 易い商品・サービスの説明」が最も多く、続い. ン・マーケティングとして活用されている. て「素早い顧客対応」「品揃え・メニューの豊富. が、特に電子商取引における成功企業のマ. さ」が重視されている。EC 消費者の拡充に伴. ーケティング戦略を見ると、豊富な情報を. って、”集客”から”実売”へと成功要因が変化. 活用して自社の優良顧客に対し適切なタイ. してきている。. ミングで適切な手段で提供している。さら に昨年より明らかになりつつある点は、成. 4.BtoC・EC事業者の成功事例. 功企業の多くがインターネットの情報リッ. 事例調査・分析では、成功事業者を含む. チ/リーチを有効活用しつつ、店舗等の他. 5 社の調査・分析を行った。ありそうでな. のリアルのチャンネルを活用しつつ、マル. かった市場を EC により創造した「旅の窓. チチャンネルでの販売・マーケティングを. 口」、通販事業者の既存インフラを効果的. 行い、優良顧客を育成しているという点で. に活用して EC との相乗効果をあげるベル. ある。. メゾン、PC ヘビーユーザーへの効果的. たとえば国内パソコン販売のソフマップ. CRM と店舗連動により成功を収めるソフ. では、インターネットショップでの即時. マップ、等を取り上げている。こうした事. 性・個別対応機能等を活用しつつ、既存店. 業者は、EC のもつ情報リッチと顧客へのリ. 舗とのそれぞれの利点を効果的に組み合わ. ーチという利点を、自社のビジネスに有効. せ、所謂「クリック&モルタル」において、. に結び付け、自社の優位性を創造又は強化. 顧客囲い込み、買い替え促進、優良顧客の. している。. 育成等を推進して成功している。. インターネットの登場は、商取引におけ. これらの基礎になっているのが、全社的. る販売者―顧客間の関係における情報流通. CRM(顧客管理一元化)と顧客データによる. の伝統的なトレードオフを解消したと言わ. データマイニングである。特に「ソフマッ. れる。これまで、顧客に大量・詳細な情報. プ・ドットコム」の戦略は、 「ソフマップカ. を提供すること(情報リッチ)と、大量の 図3. 顧客に一時に情報を提供すること(情報リ. クリック&モルタルの効果. ーチ)は、伝達手段の物理的限界から両立 しにくい状況にあり、伝統的にトレードオ フの関係にあった。 ところがデジタル情報を瞬時に広範囲 に配送するインターネットの登場は、これ らトレードオフを解消し、時間と空間を超 えて瞬時に大量の顧客に対してパーソナ ライズド(個別化)された詳細情報を、低. 出 所 )ソ フ マ ッ プ ホ ー ム ペ ー ジ か ら の 抜 粋. コストで送信することを可能にしている。. −28−.

(5) ード」により実現したインターネットショ. ムに取引が発生しないといった EMP も存在し、. ップを含む全店舗一元化された膨大な顧客. 業界構造への配慮と顧客メリットの提供といっ. 情報により成り立っているという。こうし. たビジネスモデルの原点が問われたように思. た収集データは同時に、各戦略の効果を的. われる。その一方で、競争環境は厳しさを増し. 確に把握することも可能にしている。. つつも MRO は堅調に業績を伸ばしている。. ソフマップでは、この顧客情報を、顧客. BtoB 実態調査は、回収サンプル 75 件と少. 窓口業務の効率化や品質の向上を目的とし. 数であった。しかし、こうした客観調査は他に. たオペレーショナルなCRMへの活用だけで. 類を見ない。その結果を見ると、不特定多数に. はなく、データマイニングを活用して顧客. 取引機会を公開する”オープン BtoB 事業者”. 特性の解析を行ない、優良顧客の発見・維. は、52.9%がリアル兼業、29.4%がネット専業. 持・育成で成果をあげている。同社では、. であった。新規参入は BtoC と比較するとおよ. こうした顧客特性の解析により、 「クリック. そ 2 年遅い。. &モルタル」型顧客という優良顧客を特定. 最も販売されている財・サービスでは、回答. し、優良顧客をセグメント別けして、その. 企業の業種分布を反映して情報サービスが多. 嗜好性を他の購買傾向が類似する顧客向け. い。物販では、電子・通信機器やその部品等. のレコメンデーションサービスに応用し、. とオフィス事務用品の占める割合が比較的高. 優良顧客を育成することに成功している。. かった。4. 「クリック&モルタル」型顧客とは、既. ビジネスモデルを見ると、複数モデルが. 存店舗とインターネットショップの両方を. 40%弱と BtoC よりも多く、その中ではサービ. 利用する顧客のことで、ソフマップでは購. ス提供モデルの割合が高い。一方、取引パタ. 入頻度・購入金額とも、既存店舗だけを利. ーンでは、1:N型の販売サイトが 54.4%、. 用する「モルタル」型顧客やインターネッ. EMP が 32.4%。また、継続取引 51.5%程度. トショップだけを利用する「クリック」型. に対し、スポット取引は 39.7%となっており、今. 顧客よりも、非常に高くなっている。ソフ. 後の定着を注視する必要がある。尚、BtoB で. マップでは、 「クリック&モルタル」型顧客. はリアル営業活動を行っているケースが 50%. は、金額・回数とも、 「クリック」型顧客の. 以上である。EC 売上では月商 1,000 万円以. 3∼4倍、 「モルタル」型顧客の2倍以上と. 上の事業者が約 10%存在しており、今後の見. 報告している。. 通しでは強気なところが目立つものの、損益状 況では苦戦している事業者が多い。 EC サイト設立の目的では、認知度・知名度. 6.国内 BtoB・EC事業者の特徴と成功分析 一方、平成 13 年度の BtoB・EC は、市場規. の向上が最も多く、BtoC と異なり必ずしも売. 模 34 兆円、前年比 60%増と着実な拡大を示. 上・アクセス数では成功を測ることはできない。. したが、前年の e マーケットプレイス(eMP)ブ. 顧客満足度・ロイヤリティの向上も実現効果の. ームで立ちあがった約 120 件の中での明暗も 明確になった。リアルな営業努力で市場創造 する eMP が躍進する一方で、大規模なシステ. 4市場シェアで多くを占める自動車、電子情報関. 連の大型 eMP(JNX 等)は、定義及び無作為抽 出手法から今回調査では補足されていない。. −29−.

(6) 図4. 国内BtoBビジネスモデル. 主な取引パターン <全体68サイト>. 迷する中でのこう. 主なEC取引 <全体68サイト>. した発展は、会員か. N:Nのマーケット プレース 32.4%. スポット的な取 引形態 39.7%. 提供側の複数企 業のポータル (紹介)サイト 4.4%. 1:N(不特定多 数の企業に物・ サービスを提供) 54.4%. たサイト展開を行 その他 4.4%. ビジネスモデルの分布 (全体75サイト). 無記入 4.4%. N:M(e−MP) 29.3%. 1:N(販売) 49.3%. 取り、現実(リアル) の商取引を見据え. 継続的な取引 形態 51.5%. その他 5.9% 無記入 2.9%. らのニーズの汲み. ったことが成功要 因と言えよう。サイ トにおける利便性. その他 9.3% 無記入 2.7% N:1(調達) 9.3%. の工夫はもちろん. 出所) 「2001年度マクロECサイト事業者調査」, ECOM 2001.10. 面から評価されており、66%の BtoB 事業者が EC の効果をプラスに評価している。成功要因 や差別化のポイントに関しては、「説明の分か り易さ」等が多く挙げられ、全般的に顧客優先 の姿勢が強く見られた。. のこと、調達(提供. 商品)・物流・決済等のあらゆる局面で顧 客の利便性と利益向上をはかり、それを広 報している。リアルでの集客(地道なセミ ナー・説明会)、会員保有の企業・団体と のビジネスマッチング、関連Webサイト とのリンク、商社 食品事業の既存顧客の取. 7.BtoB・EC事業者の成功事例 事例調査・分析では、個性的な成功を収め る BtoB 事業者 5 社を調査・分析した。食材に 関する生産者と最終ユーザーを直結して成功 を収めるフーズインフォマート、アパレル中心 に在庫品処分を効果的に行うオンライン激安 問屋、国際間取引の情報仲介に成功するイン ファ、等である。こうした BtoB 成功事業者の特 徴は、顧客ニーズに遡及し、リアル営業とコン サルティング/サポートで優良顧客を育成す る、顧客とともに栄えるモデルである。 一例として、食材 e マーケットプレイス (EMP)の「フーズインフォマート」は、 1998 年 6 月の運営開始から会員数の増加を 続け、2002 年 3 月現在 4,800 社を超えて国 内有数の EMP に成長している。「会員加 入社数の伸び率」は、2001 年 5 月以降伸張 し約 200∼250 社/月の登録があり、また 「会員の継続率」は、2001 年 10 月時点で 75%を保っている。国内の大手 EMP が低. 込みなど、クリック&モルタルのチャンネ ル・ミックスにより成功している販売サイ トのモデルを、EMP サイト(M:N)にお いて実現した例と言える。 8.次世代モデルへの視座 21 世紀初頭の現在、社会経済は世界大で の大きな構造変動をとげつつある。その要 因であり結果であるところの IT 化は、表層 で語られる PC や通信ネットワークの普及 といったハード面でのインフラ整備を超え て、既存の社会・組織構造に根本的な変化 をもたらしていると言う点で、極めて重要 である。特にこうした根本的変化は、前世 紀の個別プロセス改善中心の IT 活用から、 デジタル化を伴う IT 化が、その性格故に組 織構造・産業編成の急激な変動と再編成を 迫るがゆえ、企業経営にとってその戦略的 活用が死活的に重要な要素となりつつある。. −30−.

(7) 2 0 0 1 年 B to C /B t o B. 図 4 :E C サ イ ト の 効 果. 図 5: ECサ イ ト の 効 果 ECサ イ トの 効 果 (複 数 回答 ). E Cサ イ ト の 効 果 (複 数 回 答 ). < BtoC   成 功 100 サ イ ト >. < Bt oB   68 サ イ ト > (件 ). 0. 1 0. 2 0. 3 0. 4 0. 5 0. 情 報 収 集 ・マ ー ケ テ ィ ン グ 力 の ア ッ プ. 6 0. 7 0. 5. 10. 15. 20. 情 報 収集 ・マー ケ ティング力の アップ. 50. 顧 客 満 足 度・ロ イヤリ ティの 向 上. 0. 8 0. 40. (件 ) 45. 19. 39. 7 6. 売 上 や 手 数 料収 入 の 拡 大 売上 や 手 数料 収 入 の拡大. 27. 6 6. グ ロ ー バ ル取 引 の 実 現 業 務 処 理 コス トの 低 減. 15. 2 5. 業 務処理 コストの低減 業 務 処 理 プロ セ ス の改 善. 11. 2 4. 業 務 処 理 プロ セ ス の 改 善 ビ ジ ネス モ デ ル の 刷 新 ・変 革. 13. 3 3. ビジネ スモデルの 刷 新・変革. 認 知 度 ・知 名 度 の 向 上. 28. 53. 認 知 度 ・知名 度 の 向 上. 実 験 的な運用. その他. 35. 新 規顧 客 の 開 拓. 新規 顧 客の開拓. 無記入. 3 0. 28. 顧 客 満足 度 ・ロイヤリティの 向 上. 4 8. 25. 3 3. 31. 実験 的 な 運用 その他. 7. 無記入. 1 9. 15. 4. 12. 出 所 ) 「 2 0 0 1 年 度 マ ク ロ E C サ イ ト 事 業 者 調 査 」 , E C O M 2 0 0 1 .1 0. All Rig hts Reserve d, C opyr igh t ECOM 2002. こうした IT のもたらす変化は、組織・機. 時間軸、市場特性、業種・業界構造等を考. 能の、1)アンバンドル化(解体) 、2)モ. 慮した、相対化が求められている。その際、. ジュール化(標準化と汎用化)、そして、ア. 変化する経営環境に柔軟に適応していく戦. ンバンドル化された部分組織・機能のコー. 略的視点、特に自社の戦略ポジショニング. ディネーション(淘汰・選択)を通じた3). の重要性が高まっていると言えよう。その. リバンドル化、といったプロセスとして現. 検討は紙幅の関係から別の機会に譲りたい。. われている。5 IT 化、特に 1995 年以来のインターネッ. <参考文献>. トの爆発的普及は、流通への大きな影響を. 國領二郎「ネットワーク時代における協働の. もたらし、中間業者の排除(中抜き)が進. 組織化について 」2000.10. 展するとの議論が活発に行なわれた。しか. 根来龍之、桑山卓三「ポスト CRM の顧客関係」. し、オンライン専業企業、所謂、ドットコ. Discussion Paper 2001.3. ム企業のブームの終了後に明らかになりつ. 根来龍之、蓑輪哲彦. つあることは、情報の氾濫は、市場に完全. スモデルの関係」経営情報学会誌 2001.12. 情報をもたらすとの幻想とは裏腹に、大量. 松島克守「21 世紀製造業のビジネスモデル」. の無意味又は悪意の誤謬情報の氾濫は、信. 経営工学会誌 2001. 頼しうる情報・取引主体の発見・確認を支. 奥野正寛・池田信夫他「情報化と経済システムの. 援し、不確定な取引条件の中でそのリスク. 転換」東洋経済 2000. ヘッジを代行する新しい仲介業者の必要を. 電子商取引推進協議会「平成 13 年度 EC サ. もたらしている。. イト事業者のビジネスモデル分析」 2002.3. 「産業モデルとビジネ. また、BTO に代表されるサプライチェー. 電子商取引推進協議会「生産・調達・運用支. ン・マネジメント(SCM)モデルや情報ハ. 援統合情報システムに関する研究」 2001.3. ブとしてのコーディネータ企業の役割も、. 他. 5. 「情報化と経済システムの転換」奥野正寛・池田 信夫 他著 東洋経済 他. −31−.

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