ステレオ視による光の反射特性を考慮した書籍画像の合成
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(2) いう制限がある.また,紙面で鏡面反射が生じ. 枚の画像間での明るさ・色合いの違いを考慮し. ない,ページ中には白色の余白領域が必ず存在. ていないため,本来は一致するはずの合成境界. する等,対象をごく一般的な書籍に限定する条. 部分の明るさ・色合いが一致しないという問題. 件が含まれており,カラーのカタログ等,上の. が あ る .ま た ,陰 影 の 考 慮 等 ,[7]と 同 様 の 問 題. 条件に当てはまらない書籍を対象とすることが. 点も残っている.. できない.. 上記の様に多くの書籍画像処理手法が存在. 上に挙げたようなスキャナを用いる手法だ. するが,本研究ではステレオ計測の,1 台のカ. けでなく,最近ではカメラを用いた文字認識・. メラのみを用いる手法に比べて多くの画像情報. 文 書 画 像 解 析 も 重 要 視 さ れ て い る [4].. を得ることができるというメリットに着目し,. Shape from Shading に よ り 書 籍 形 状 を 復 元 し. ステレオ計測を用いることとする.ステレオ計. て歪み等を補正する手法において,カメラを用. 測により書籍形状を取得し,書籍画像の歪み補. い た 手 法 も 提 案 さ れ て い る [5].こ の 手 法 で は 書. 正を行う.また,カメラと紙面との位置関係を. 籍を見開いた状態で配置し,上方に設置したカ. 考慮し,2 枚の画像の内,どちらの画像を用い. メラにより画像を取得する.スキャナとは異な. ればより高精細に見えるかを場所毎に判断して,. る非接触型の画像取得方式であるため,撮影時. 高精細に見える部分同士の合成を行う.更に,. の書籍の傷みが軽減され,更にカメラによる撮. 紙面に鏡面反射が生じるか否かの判定を行い,. 影のため綴じ目付近での明るさの低下等の問題. 鏡面反射が生じる場合には,照明方向を変化さ. が生じにくい.しかし,歪み補正には陰影情報. せた複数画像を合成することにより,鏡面反射. を用いるため,照明条件や反射特性の基準デー. を除いた合成画像を作成する.その後,光の反. タが必要となる.. 射特性を考慮した画像の陰影補正を行い,ステ. 上記の方法に対し,書籍形状を小型のレーザ レンジファインダを用いて直接的に計測する手. レオ画像間で画像の明るさ・色合いが異なる問 題を解決する.. 法 が 提 案 さ れ て い る [6].こ の 手 法 は 陰 影 情 報 を 用いる場合に必要となる多くの基準データを必 要としないという利点を有するが,レーザとカ. 2. 処 理 概 要 本研究で使用する装置の概略を図 1 に示す.. メラという 2 種類の装置が必要であり,例えば ステレオカメラのように 2 台ともに計測および. 左カメラ. 画像取得の両方に使える装置と比較すると,効 率が良くない.更に,撮影した画像と計測した. 右カメラ. 左光源. 右光源. 形状の対応関係を求める必要もある. 陰影情報やレーザを用いることなく,1 台の カメラにより取得した画像のみから書籍の歪み を 補 正 す る 手 法 も 提 案 さ れ て い る [7][8]. こ れ らの手法は撮影システムのパラメータと撮影画. 書籍. Z Y. 像とを関連付けて 3 次元形状を算出し,書籍の. X. 3 次元形状モデルを作成して歪み補正を行う.. 図 1. 装置の概略. し か し ,[7]の 手 法 は 陰 影 の 考 慮 や 補 正 画 像 中 の 欠 損 部 の 補 間 等 ,解 決 す べ き 問 題 が 残 っ て お り ,. 見開いた状態の書籍上方にステレオカメラ. [8]の 手 法 は モ デ ル 化 す る 円 柱 の 母 線 が 画 像 面. を配置し,書籍を撮影する.光源は左右に配置. に平行でなくてはならないという拘束条件を持. されている.座標系は図 1 に示すように,書籍. つ.. を 配 置 す る 面 を X-Y 平 面 と し , 書 籍 の 高 さ 方 向. これら 1 台のカメラを用いる手法に対し,ス. を Z 軸とする.. テレオカメラを用いる手法が提案されている. 本研究においては,カメラおよび照明光の位. [9].こ の 手 法 で は ス テ レ オ 計 測 に よ り 書 籍 形 状. 置関係は既知であるとする.光は照明光のみを. を計測・復元し,歪み補正を行う.また,ステ. 考え,実験装置・環境を工夫することにより環. レオ画像の組み合わせにより高精細な合成画像. 境光がない条件下で撮影を行う.また,相互反. を作成することもできる.しかし,合成時に 2. −30−.
(3) 射光については考慮しないものとする.更に紙. 籍表面形状の正確な復元を行う.しかし,綴じ. 面の反射率等の反射特性については,紙面上の. 目や折れ目といった変曲部では滑らかな曲面に. 全領域において一定であるとする.. はならないため,あらかじめ変曲部を検出して. 本研究の処理の流れを図 2 に示す.まずステ レオ計測により書籍形状を計測・復元し,書籍. おく必要がある.変曲部は対象表面の傾きの変 化を調べることで検出する.. 形状を考慮した書籍画像の歪み補正を行う.次 に,カメラと紙面の位置関係を考慮し,ステレ. 3.2.1. 変 局 部 の 検 出. オ画像の組み合わせにより高精細な合成画像を. 変曲部では,図 3 に示すように傾きの変化 θ. 作成する.その際鏡面反射の検出も行い,鏡面. の絶対値が大きくなる.そこで,書籍表面の各. 反射領域が存在する場合には,合成により鏡面. 場所毎に傾きの変化 θ を算出し,θ の絶対値が. 反射除去画像を作成する.最後に陰影補正と合 成境界の補正を行い,ステレオ画像間の明るさ. 大きい部分を変曲部とする.. の不一致による違和感をなくす.. Z. 形状復元・歪み補正 画像合成 陰影補正・合成境界補正 図 2. O. 処理の流れ 図 3. 3. 形 状 復 元 ・ 歪 み 補 正 ステレオ計測により書籍形状を計測する.そ の後,計測結果を基に書籍形状を復元し,復元 した形状に基づいて歪み補正を行う.. θ. X. 変曲部の検出. 画 像 上 の 位 置 (u,v)で の 3 次 元 座 標 値 が (x,y,z) であったとする.この時,書籍表面の傾きの変 化 θ は , (u,v)の 近 傍 の 2 点 (u’,v), (u”,v)の 3 次 元 座 標 値 (x’,y’,z’),(x”,y”,z”)か ら (1)式 を 用 い て. 3.1. 形 状 計 測 本研究ではステレオ計測を用いて書籍形状 を計測する.その際,輻輳ステレオで撮影を行 うことにより左右のカメラでの見え方に差をつ ける.これにより,片方の画像では大きく歪ん でいる部分でも,もう片方の画像では歪みが小 さくなるため,書籍全体について良好なテクス. 算出できる. z − z" z '− z − tan −1 x ' x − x − x" . θ = tan −1 . (1). こ こ で x”<x<x’で あ る . 変曲部の検出後,書籍の綴じ目を検出する. θ が正となる変曲部は綴じ目である可能性があ る . そ こ で , θ が 正 と な る 変 曲 部 の 点 群 を X-Y. チャを得ることができるようになる. ステレオ計測の際には左右画像の対応点を. 平 面 上 に 投 影 し た も の に 対 し て Hough 変 換 に よ. 検出する必要がある.本研究では書籍を対象と. る 直 線 検 出 を 行 い , 綴 じ 目 を 検 出 す る . Hough. しており,書籍画像には陰影が生じることが多. 変換を用いることで,綴じ目以外の点が検出結. いため,明るさの変化に強いとされる正規化相. 果に与える影響を抑えることができる.. 互相関によるテンプレートマッチングを用いて 対応点検出を行う.. 3.2.2. NURBS 曲 面 に よ る 近 似. 3.2. 形 状 復 元. ン基底関数の次数,制御点とその重み,ノット. NURBS 曲 面 を 生 成 す る た め に は ,B ス プ ラ イ ステレオ計測により求めた 3 次元形状に基づ. ベクトルを決定する必要がある.. いて書籍形状を復元する.本研究では表現度の. 本研究では 3 次の B スプライン基底関数を用. 高 い NURBS 曲 面 に よ り 書 籍 形 状 を 近 似 し , 書. いる.また,制御点は対応点の 3 次元座標値を. −31−.
(4) も と に 決 定 す る . ま ず , X-Y 平 面 上 に 格 子 状 の. この処理を綴じ目方向全ての断面について行う. 領域を作成する.各格子領域において,格子内. ことで,歪みが補正された補正画像を生成する. に存在する書籍表面の Z 座標値の平均値を算出. ことができる.. し ,こ れ を ,そ の 格 子 に お け る Z 座 標 値 と す る . 各 格 子 の X, Y 座 標 値 は , 格 子 の 中 心 の 座 標 値 を 用 い る . そ し て , 各 格 子 で 算 出 さ れ た X, Y, Z 座標値を制御点とする.制御点の重みは,変 曲 部 を 格 子 内 に 含 む 制 御 点 で は 10,そ れ 以 外 で は 1 とする. ノットベクトルは最初と最後の制御点が曲. 4. 画 像 合 成 カメラと紙面の位置関係を考慮し,ステレオ 画像を組み合わせた高精細な合成画像を作成す る.また,鏡面反射の検出を行い,鏡面反射が 存在する場合には,照明方向を変化させた複数 画像の合成により補間する.. 面の両端と一致するように決定する.その為, ノットベクトルの両端に多重ノットを用いる. NURBS 曲 面 は B ス プ ラ イ ン 基 底 関 数 で 表 現 す. 4.1. 高 精 細 合 成 画 像 の 作 成 本研究では輻輳ステレオにより撮影を行う ため,カメラと紙面との位置関係によって,左. ることができる.. 右カメラのどちらの画像を用いるとより高精細 な テ ク ス チ ャ を 得 ら れ る か が 変 化 す る .そ こ で ,. 3.3. 歪 み 補 正 NURBS 曲 面 に よ り 復 元 し た 書 籍 形 状 を 基 に , 書 籍 画 像 の 歪 み を 補 正 す る .本 研 究 で は NURBS 曲面を平面に引き伸ばすことで書籍画像の歪み. 復元した書籍形状から紙面法線方向を算出して, カメラの視線と紙面の法線との角度差を計算し, 角度差が小さい方のカメラ画像を選択して組み 合わせることにより,高精細な合成画像を作成. 補正を行う. 図 4 に示すように,書籍の綴じ目方向に垂直. す る ( 図 5).. な 断 面 を 考 え る .曲 面 上 の 点 の 座 標 値 を (x i , z i ), (x i +1 , z i +1 )と す れ ば ,i,i+1 間 の 曲 面 上 の 長 さ L i. 左カメラ. 右カメラ. は , (2)式 で 求 ま る . Li =. (zi +1 − zi )2 + (xi +1 − xi )2. (2) 書籍 左画像 図 5. 右画像 ステレオ画像の組み合わせ. 4.2. 鏡 面 反 射 の 補 間 鏡面反射の概念図を図 6 に示す.鏡面反射の 反 射 方 向 ベ ク ト ル を R, 視 線 方 向 ベ ク ト ル を V とする.また,R と V のなす角度を ψ とする. 光源 図 4. 引き伸ばしによる歪み補正. ま た ,引 き 伸 ば す 前 の 位 置 が x i で あ る 点 の 引 き 伸 ば し 後 の 位 置 x i ’は ,(3)式 に よ り 求 め る こ と. ψ. ができる. i −1. xi ' = ∑ j =0. (z. j +1. − zj. ) + (x 2. j +1. − xj. ). 2. 視点. R. (3). 位 置 xi’ に 引 き 伸 ば す 前 の 取 得 画 像 の 画 素 値 を 当 て は め る こ と で ,引 き 伸 ば し た 画 像 を 得 る .. −32−. P(x,y,z) 図 6. 鏡面反射の概念図. V.
(5) Phong の 反 射 モ デ ル に よ り ,点 P(x,y,z)に お け る鏡面反射光のうち R 方向から角度 ψ をなす方 向 へ の 鏡 面 反 射 光 強 度 I h (x,y,z)は , (4)式 で 表 す ことができる.. I ( x, y , z ) = k d I q. ∫. L 0. cosθ cos φ dl r2. (5). 上 式 に お い て k d は 紙 面 の 拡 散 反 射 率 ,I q は 線 光源の単位長さ当たりの光度,L は線光源の長. I h ( x, y, z ) = I in ( x, y, z ) ⋅ k s ⋅ cos n ψ. (4). さ , dl は 線 光 源 を 分 割 し た 微 小 長 さ , θ は 線 光 源に垂直な方向と光線方向とのなす角,r は光. 上 式 に お い て , I i n (x,y,z) は 点 P へ の 入 射 光 の. 源と点 P との距離,φ は紙面法線と光線方向と. 強 度 , ks は 紙 面 の 鏡 面 反 射 率 , n は ハ イ ラ イ ト. のなす角である.1 枚の画像中では対象物およ. 特 性 を 表 す 数 で あ る . ks お よ び n は 反 射 面 の 材. び 光 源 は 同 じ も の を 用 い て い る た め ,(5) 式 に お. 質により決定される.. い て kd, Iq は 一 定 で あ り , 積 分 部 が 書 籍 の 位 置. Phong の 反 射 モ デ ル で は , 角 度 ψ が 大 き く な るにつれて鏡面反射光強度が減少する.そこで. や形状により異なる.この積分部の値の変動に より反射光強度が変化し,陰影が生じる.. あ る 閾 値 角 度 ψ 0 を 定 め , ψ<ψ 0 と な る 領 域 を , 鏡面反射光強度が十分に大きい鏡面反射領域と 定 め る . 書 籍 中 の 各 場 所 で R, V を 計 算 し , 角. L. θ. 度 ψ を 算 出 し て ψ<ψ 0 の 条 件 式 に 当 て は め る こ. r. とで鏡面反射領域を検出する. 鏡面反射領域検出後,照明方向を変化させた 複数画像を用いて鏡面反射領域を補間する.例. 書籍面. えば図 7 のように,左光源のみを点灯させた状 態の左画像と右光源のみを点灯させた状態の左. 図 8. 線光源. φ. P(x,y,z) 反射光のモデル. 画像を利用して,鏡面反射領域を補間した左画 像を得ることができる.. また,書籍面上には光が当たらない影領域が ある.陰影補正時には影領域についても考慮す る必要がある. 鏡面反射領域. 補間. ここでは説明を簡潔にするために光源を点 光源とする.線・面光源を用いる場合は,各光. 補間. 源を点光源の集合とし,点光源の場合の手法を 光源上の全ての位置で繰り返し計算することに. 鏡面反射領域. よって対応する.. (a). 左光源のみ点灯 図 7. (b). 右光源のみ点灯. 鏡面反射領域の補間. 書籍面上の影は,書籍自身が遮蔽物となり光 線が遮られるために生じる.影の判定法につい て は ,光 線 方 向 の 書 籍 断 面 を 考 え( 図 9 ),任 意 点 P に向かう光線が書籍により遮られるとき,. 5. 陰 影 補 正 ・ 合 成 境 界 補 正 光の反射特性に基づき,書籍画像の陰影補正. 点 P は影領域であるとする.. を 行 う .更 に ,画 像 合 成 時 に 合 成 境 界 の 明 る さ・ 色合い補正を行い,境界における色合いの不一. 点光源. 致を補正する.. 5.1. 陰 影 補 正. ○. 書籍は場所により光の当たり具合が異なる. 光が当たる. …. ○. 光が当たらない. …. ×. ○ ×. 書籍. ×. ため,陰影が生じる.線光源で照射される場合 ( 図 8 ),拡 散 反 射 の み を 考 え る と ,書 籍 面 上 の. 図 9. 光線方向の書籍断面による影の判定. 点 P(x, y, z) に お け る 反 射 光 強 度 I(x, y, z) は , (5) 影 領 域 を 考 慮 し つ つ ,(5) 式 を 用 い て 書 籍 面 に. 式で表される.. おける反射光強度を求め,陰影補正を行う.ま ず , 書 籍 画 像 の 各 画 素 (i, j) 毎 に 反 射 光 強 度. −33−.
(6) I(x,y,z) を 計 算 す る .(i, j) と (x, y, z) の 対 応 関 係 は , ステレオ計測の際に求めるため既知である.次. s ( x) =. 1 3 3 3 1 w x − wx + 4 4 2. (7). に ,反 射 光 強 度 I(i, j) の 最 大 値 I max を 求 め ,各 画. (7) 式 に お い て , w[pixel] は 合 成 境 界 か ら 重 な. 素 (i, j) 毎 に 反 射 光 強 度 の 比 I(i, j) / I max を 計 算 し. り領域の端までの幅であり,重なり領域は合成. て陰影の度合いを求める.その後,陰影を補正. 境 界 の 左 右 に 幅 w ず つ 存 在 し て い る . x[pixel]. す る た め に 各 画 素 の 画 素 値 C k (i, j) ( k=1 : 赤 ,. は注目画素から合成境界までの距離を表し,境. k=2 : 緑 , k=3 : 青 ) を そ れ ぞ れ I max / I(i, j) 倍 に. 界 上 で x=0 , 右 側 の 重 な り 領 域 で は 0 < x ≦ w ,. する.これにより,書籍中で反射光強度が小さ. 左 側 の 重 な り 領 域 で は - w≦ x< 0 の 間 の 値 を と. い場所,すなわち陰影部分を明るく補正するこ. る .重 な り 領 域 内 で は ,(7) 式 に 基 づ い て 左 右 の. とができる.. 合成割合が 3 次関数的に滑らかに変化しており,. 5.2. 合 成 境 界 の 補 正. 右画像に近い領域では右画像を多く,左画像に. 陰影補正のみによって合成境界の違和感を. 近い領域では左画像を多く用いることにより,. なくすことができれば良いが,例えば光の強度. 合成境界が目立たないような補正を行うことが. に対する左右カメラの感度の個差等が原因で,. できる.. 反射特性を考慮しただけでは合成境界の違和感 を補正しきれない場合もある.そのため,画像 合成時に合成境界の明るさ・色合い補正を行う. 6. 実 験 市販のデジタルカメラを用いて書籍のステ レ オ 画 像 を 取 得 し た .取 得 し た 左 右 画 像 を 図 11. 必要がある. 境界補正には,左右画像で同じものが写って いる領域(以降,重なり領域と呼ぶ)の色情報. に 示 す . 画 素 数 は 左 右 と も 2048 × 1536pixels で ある.. を 用 い る .図 10 の 例 で は ,矩 形 枠 内 が 重 な り 領 域である.この重なり領域の明るさ・色合いを 一致させる必要がある.. (a). (a). 左画像 図 10. (b). 図 11. 右画像. (b). 左画像. 右画像. 書籍のステレオ画像. 左右画像の重なり領域 対 象 書 籍 の ス テ レ オ 計 測 結 果 を 図 12 に 示 す .. 補正は重なり領域の各画素の赤,緑,青成分. 図 12 は ,ス テ レ オ 計 測 に よ り 3 次 元 座 標 が 求 め. 毎に考える.まず,左右画像の重なり領域内に. られた点を描画した点群データである.余白部. おいて,赤,緑,青各成分の画素値の平均を求. 等,ステレオ計測により 3 次元座標を求められ. め,左右の平均の差から左右画像の明るさの違. ない部分の形状データが抜け落ちてしまってい. いを推定し,その差分だけ左右画像全体の画素. るが,全体的には書籍の紙面形状を正確に計測. 値を補正する.. することができている.. 合成境界における明るさ・色合い補正を更に 細かく行うために,もう 1 段階処理を加える. 重なり領域において,出力する合成画像の画素 値 C k (i, j) を ,(6) 式 の よ う に 左 右 の 画 素 値 の ブ レ ンド値とする.. C k (i , j ) = s × Cl , k (i , j ) + (1 − s ) × C r , k (i , j ). (6). s は左右画像のブレンド割合であり,本研究 で は (7) 式 で 与 え る こ と と す る .. 図 12. −34−. ステレオ計測結果.
(7) 次に,計測した書籍形状に基づいて書籍画像. は,認識文字数を総文字数で除することにより. の 歪 み 補 正 を 行 っ た . 補 正 結 果 を 図 13 に 示 す .. 求めたものである.ステレオ画像の組み合わせ. 曲面形状の紙面を平面に引き伸ばすことにより,. により認識率の高い画像が得られることが表 1. 曲面上の歪んだ文字列を直線状に補正すること. からも読み取れる.. ができる. 表 1. 画像組み合わせによる認識率の向上 総 文 字 数 認 識 文 字 数 認 識 率 [%] 88 67 76.1 図 14(a) 88 80 90.9 図 14(b). (a). ま た ,照 明 方 向 を 変 化 さ せ た 複 数 画 像( 図 15 ). 引き伸ばし前. を用いて鏡面反射領域の補間を行った.鏡面反 射領域検出結果および鏡面反射領域補間結果を 図 16 に 示 す . 図 16(a) 中 央 付 近 の 帯 状 領 域 が 検. (b). 出した鏡面反射領域であり,この領域をもう一. 引き伸ばし後. 図 13. 方 の 画 像 を 用 い て 補 間 す る こ と に よ り 図 16(b) の補間画像が得られる.この段階では明るさ・. 歪み補正結果. 色合い補正が行われていないため合成境界に違. 歪み補正後,ステレオ画像の組み合わせによ り高精細な合成画像を作成した.綴じ目付近の 文字は歪みが著しく,引き伸ばすだけで歪みを. 和感があるが,以降に示す陰影補正・合成境界 補正を行うことにより,違和感のない合成画像 を得ることができる.. 完 全 に 補 正 す る こ と は 難 し い が ( 図 14(a) ), ス テレオ画像の組み合わせにより歪みが大きい場 所を補間し合うことで,高精細な画像を得るこ と が で き る ( 図 14(b) ).. (a). 左画像. 図 14. 左光源のみ点灯. (b). 右光源のみ点灯. 歪み補正画像. 図 15. (b). (a). 照明方向を変化させた複数画像. 右画像. ステレオ合成画像. ステレオ画像の組み合わせ. (a). 鏡面反射検出結果. (b). 鏡面反射補間結果. 歪 み 補 正 の み の 画 像( 図 14(a) )と ス テ レ オ 組 み 合 わ せ 画 像 ( 図 14(b) ) に 対 し て OCR に よ る 文字認識を行った.結果を表 1 に示す.表 1 に おいて,総文字数は画像中の文字数を人間が数 え た 数 で あ り ,認 識 文 字 数 は OCR に よ り 正 確 に 読み取ることのできた文字の数である.認識率. −35−. 図 16. 鏡面反射領域の補間.
(8) 次に,左右の光源のうち左側のみを点灯させ. にステレオ画像の組み合わせにより低解像度領. た状態で撮影した陰影画像に対し,陰影補正を. 域や鏡面反射領域を補間する手法を提案した.. 行 っ た . 結 果 を 図 17 に 示 す . (a) は 補 正 前 の 陰. また,光の反射特性を考慮して書籍表面の陰影. 影 が あ る 状 態 の 画 像 ,(b) は 陰 影 補 正 画 像 で あ る .. 補正をする手法を提案した.. 陰影補正により画像全体を均一な明るさに補正 することができている.. 今後の課題として,現在は無視している環境 光・相 互 反 射 光 を 考 慮 す る こ と 等 が 挙 げ ら れ る .. 謝辞 本研究の一部は,文部科学省科学研究費補助 金 若 手 研 究 ( B ) 17700182 の 援 助 を 受 け た .. (a). (b) 図 17. 文. 陰影補正前. 陰影補正後 陰影補正結果. ま た , 境 界 補 正 の 実 験 結 果 を 図 18 に 示 す . 単純に繋ぎ合わせただけでは合成境界における 明るさの不一致が目立つが,補正を行うことに より違和感のない合成画像を得ることができる.. 左画像 右画像. (a) 図 18. 境界補正前. (b). 境界補正後. 合成時の明るさ・色合い補正結果. 以上の実験結果から,書籍画像に対し,歪み 補 正 ,低 解 像 度 領 域 お よ び 鏡 面 反 射 領 域 の 補 間 , 陰影補正,合成境界補正といった各種の処理が 有効に働くことが確認できた.これらの処理を 統合することにより,ステレオカメラで撮影し た書籍画像を基に,歪み・陰影を補正し更に鏡 面反射を除去した 1 枚の高精細な書籍画像を得 ることが可能となる.. 7. む す び 本研究では,ステレオ計測により書籍形状を 計測・復元して書籍画像の歪み補正を行い,更. −36−. 献. [1] 樫 村 雅 章 : “ 歴 史 的 に 貴 重 な 本 の デ ジ タ ル ア ー カ イ ブ ”, O plus E, Vol.27, No.10, pp.1134-1141, 2005. [2] 和 田 俊 和 , 浮 田 浩 行 , 松 山 隆 司 : “ イ メ ー ジ スキャナを用いた書籍表面の 3 次元形状復 元 (II) - 相 互 反 射 を 考 慮 し た 近 接 光 源 下 の Shape from Shading - ”, 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 D-II, Vol.J78-D-II, No.2, pp.311-320, 1995. [3] Zheng Zhang, Chew Lim Tan, Liying Fan: “Estimation of 3D Shape of Warped Document Surface for Image Restoration”, Proceedings of the 17th International Conference on Pattern Recognition, Vol.1, pp.486-489, 2004. [4] 黄 瀬 浩 一 , 大 町 真 一 郎 , 内 田 誠 一 , 岩 村 雅 一 : “カ メ ラ を 用 い た 文 字 認 識 ・ 文 書 画 像 解 析 の 現 状 と 課 題 ”, 電 子 情 報 通 信 学 会 技 術 報 告 ( PRMU2004-246 ) , Vol.104, No.742, pp.85-90, 2005. [5] Seong Ik Cho, Hideo Saito and Ozawa Shinji: “Shape Recovery of Book Surface Using Two Shade Images Under Perspective Condition”, 電 気 学 会 論 文 誌 C, Vol.117-C, No.10, pp.1384-1390, 1997. [6] 天 野 敏 之 , 安 部 勉 , 西 川 修 , 伊 與 田 哲 男 , 佐 藤 幸 男 : “ア イ ス キ ャ ナ に よ る 湾 曲 ド キ ュ メ ン ト 撮 影 ”, 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 D-II , Vol.J86-D-II, No.3, pp.409-417, 2003. [7] Michael S. Brown and W. Brent Seales: “Image Restoration of Arbitrarily Warped Documents”, IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence, Vol.26, No.10, pp.1295-1306, 2004. [8] Huaigu Cao, Xiaoqing Ding and Changsong Liu: “A Cylindrical Surface Model to Rectify the Bound Document Image”, Proceedings of 9th IEEE International Conference on Computer Vision, pp.228-233, 2003. [9] Atsushi Yamashita, Atsushi Kawarago, Toru Kaneko, and Kenjiro T. Miura: “Shape Reconstruction and Image Restoration for Non-Flat Surfaces of Documents with a Stereo Vision System”, Proceedings of the 17th International Conference on Pattern Recognition, Vol.1, pp.482-485, 2004..
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