追 悼 の 辞
蜷木實先生は本年1月14日午前3時26分,肝不全のため入院先の彦根市立病 院で逝去されました。享年55歳。生者必滅は世の常とは言え,余りにも若くし て世を去られたことを残念に思います。 先生は昭和11年9月11日,大阪市にお生まれになり,昭和35年3月に兵庫県 立神戸商科大学商経学部をご卒業になりました。在学中は経営学博士 故阪本 安一教授の膝下で会計学を学ばれ,昭和37年3月置は神戸大学大学院経営学研 究科修士課程をご修了になりました。在学中は経営学博士 故山下勝治教授の 下で会計学を研鎭されました。因みに山下勝治先生は元彦根高商教授であられ ました。 大学院終了後直ちに帝国人造絹糸株式会社に入社され,主として経理部の業 務に就いておられましたが,学問への志尚捨て難く,昭和47年4月に滋賀大学 経済短期大学部に会計学の専任講師として着任され,「簿記原理」,「財務諸表 論」,「会計学」,「専門演習」,などを担当され,学生の教育と研究に専念されま した。昭和51年4月に滋賀大学経済学部に助教授として配置換になり,平成2 年11月に教授に昇任されました。 先生は経済学部の会計学科「国際会計」講座の教授として研究・教育に尽さ れましたが,肝硬変に続き静脈瘤破裂の大出血などの病魔に犯され,入退院を 幾度かなされた末,遂に帰らぬ入となられました。誠に無念の極みであります。 先生の在職中の教育面では,経済学部・大学院において,国際会計に関する 深い洞察をもととした「国際会計総論」の講義,「外書購読」,「教養演習」,「専 門演習」を担当され,幾多の逸材を世に送り出され,また研究面では「連結会 計」と「セグメント別財務報告」の二つの領:域で多くの業績をあげられ,それ はやがて先生の恩師の故阪本安一先生監修の著書となって結実する予定でありましたが,先生ご自身も無念でおありであったであろうとお察しする次第であ ります。1月13日にはご家族を枕元にお呼びになり,2時間もの間,人間の正 しい生き方を綿々とお諭しになられたと奥様からお聞きいたしました。先生の 誠実なお人柄がしのばれます。 滋賀大学経済学会は先生の生前のご功績にお報いするために,本号を蜷木實 教授の追悼号とし,先生のこ遺徳を偲びつつこの一一一uaをつつしんでご霊前に捧 げ,先生の御霊の安らかんことを願いつ・,ここにご冥福を哀心よりお祈りい たします。 平成4年8月