• 検索結果がありません。

所得移転による援助か,国際公共財による貢献か : 国際間(地域間)の公平と効率(両頭正明教授退官記念論文集)

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "所得移転による援助か,国際公共財による貢献か : 国際間(地域間)の公平と効率(両頭正明教授退官記念論文集)"

Copied!
24
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

血 ︵ 正 平 田 F I I I I I I I

所得移転による援助 か,

国際公共財による貢献か

一 国際間 (地域間)の 公平 と効率 一-1)

I rよ じめに 小論 は,国 際間の援助,あ るいは地域 間での所得再分配政策は常 に有効であ るか どうか,ま た所得移転 による援助 と国際公共財の負担のかたちでの貢献 と は,そ れぞれ どの ような効果 をもつのか,▼ヽずれが効果的かについて考察する ことを目的 としている。 この課題 に接近する意義は次のようである。第 1は , 援助が再分配上望 ま しい ものである とい う判断の もとに行 われる ものであって も,援 助国 (または地域)の 行動様式のいかんによって,ま た被援助国 (被援 助地域)の 行動 により,援 助の効果が どう異 なって くるかをみる必要があるこ とである。第 2に ,こ こでは国際間での援助,あ るいは地域間での援助 につい ての先駆的な業績 を要約 し検討 しているが,そ れ らの分析 を,補 助金 を巡 る国 と地方の関係 に適用することがで きると考 えられることである。第 3は 国際問, 地域 間の援助 は必ず しも所得の移転 (あるいは価格補助)だ けでな く,国 際間 での波及効果が特 に大 きいサービスの方が有効 な場合 には,前 者のかたちをと る援助 を後者のかたちでの援助 に変更 してい く必要があることか ら,ど のよう な条件の もとで どの形態の援助が望 ましいかを検討する必要があることである。 そ こで,拙 稿 ではまず,第 2節 で所得移転 による従来型の援助 に関 して, Pedersen(1996)を 用いて,援 助 国の行動 の タイプによってその効果が異 な 1 ) 拙稿 の作成 にあた り, 能 勢哲也教授 ( 大阪国際大学) , 舟 場正富教授 ( 神戸商科大学) を始め, 神 戸商科大学財政学研究会のメンバーの先生方 と討論の機会 を得 たことを記 して 感 謝 したい。 また, 千 本木修一助教授 (滋賀大学),矢 根員二助教授 (桃山学院大学)と の討論 も有益 であった。諸先生方か ら頂 いたコメン トを十分 には反映で きなかったこと, お よび, あ り得べ き誤 りは筆者の責任である。

(2)

4 6 両 頭正明教授退官記念論文集 ( 第3 2 3 号)

ることをみる。ここでは,援 助を行う国が シ ュタッケルベルグの ① 受動的

な (passive)リ

ーダーとして行動する場合,② 能動的な (active)リ

ーダーと

して行動する場合,お よび③シュタッケルベルグの追随者 (fonOwers)と

て行動する場合,の 3つの行動パターンのそれぞれについて援助の経済効果が

どう異なるかをみる。第3節ではIhori(1996a),井

堀(1996b)な

どにみられる公

共財 の 自発的供給モデルを用いて,国 際間 (地域 間)で 公共サー ビスの価格が 異 なる場合 には,所 得が高 く公共サービスの供給 コス トが低い地域か ら,所 得 が低 くサービスの供給 コス トが高い地域への所得移転 は,そ の移転 を享受する 地域の厚生 を高めるのではな く低めて しまうこと,さ らに,移 転 を行 なう地域 の厚生が改善 される場合 もあること (いわゆる トランスファー ・パ ラ ドックス) を紹介 して検討する。そ して,第 4節 では,コ ルム三角形の図を用いて,ナ ッ シュ均衡 とシュタッケルベルグ均衡 との関係 ,中 立性定理 (命題),井 堀モデ ル と図 との関係 を説明する。最後 に第 5節 で,上 での先駆的な分析 を,補 助金 を巡 る国 と地方の関係 に適用 しようとすればどの ように考 えられるかについて, 若子の展望 を示す。 また,地 域 による公共財 の価格差 に関 して,わ れわれ自身 の見解 を示 したい。 H 援 助国の行動のタイプと援助の経済効果 ここでは,Pedersen(1996)の モデル を用 いて,援 助 を行 う国が どうい う 行動様式 をとるかによって援助の効果が異なることを示す。この 2期 間モデル によって,シ ュタッケルベルグ均衡の枠組みのなかで,援 助国の行動いかんに よって,援 助が貯蓄 ・投資,将 来消費 にお よぼす影響が異 なって くることが分 析 されている点が興味深い。 まず,援 助がない場合のモデル設定はつ ぎの ようである。現在 (1期 の)消 費 を,ol将 来 (第2期 )の 消費 をc2,時 間選好率 をρとして,被 援助国の効 用関数が次のかたちで表 されるもの とする。 y=ln Cl+ρ lno2 (1) 投資 をr,貯 蓄 をS,海 外 か らの借 り入れを妃で表す と

(3)

所得移転 による援助 か,国 際公共財 による貢献か 47 r=S十 妃 ( 2 ) である。 ここで, る とれ をそれぞれ被援助国で投資が行われなかった場合の 所得 とすると,第 1期 と第 2期 の消費はそれぞれ次の ように表す ことがで きる。 σl=h― S,C2=ろ 十ηr一月(1+γ ) ( 3 ) ただ し,η は投資の生産性 を表 し,ま た rは 支払い利子率 を表す もの とする。 そ うす る と,(2),(3)を 条件 と して (1)を 極大化すれば,貯 蓄,投 資, 第 1 期 と第 2 期 の消費 は,そ れぞれ次の ようになる。 伴 五t l 万l ρL ― 剃 戸 と 妃 十キ トh ― ル

=丁

:石

IL十

剃 ,a=洗IL十

2 ) 本文では

S=札lρ

る律十

瑚∽

α

とな って い る。 ( 4 )

ただし, y O 茎 ろ十妃( η―( 1 + γ》であるものとする。

以下では援助 を行 う国が 3 つ の異なった行動様式 をとる場合 を想定 して, 各 ケースで援助の効果 に違いが生 じることをみる ( いずれ もシュタッケルベルグ 均衡で考 えられている。)ま ず, ① 援助国が受動的な (passive)リーダーとして行動する場合, 援助国は被援助国の投資には関与せず,被 援助国にとって援助 (ム)は 外生 的に与えられたものであることから,投 資は r = S 十 月 十九 (6) とな り,先 と同様 の最適化 に よ り,貯 蓄 夕投資 ,第 1期 と第 2期 の消費 は,そ れぞれ次 の ようになる。 S三 百キ花イρL― 仔 十1瑚 ,r=月 十キ ト 十仲 ― キ 瑚 湖

偽=キlh十

ガ十

1,α

=論lh十

1ガ十

1 0

r=況

七lρ

る律十

1瑚

(4)

4 8 両 頭正明教授退官記念論文集 ( 第3 2 3 号) 第 1 期 と第 2 期 の消費を表 した下の 〔図 1 - a 〕 で, こ こでの均衡点はb 点 で 示 されている ( 補助前の均衡点がa で ある) 。また, 上 より援助 と投資, お よ び第 2 期 の消費 との代替率 ( あるいは第 2 期 の消費のコス ト) は ,

緋 lι

=平

,桟

けι

=堺

0

のように表すことができ,援 助ムと投資rとの関係が 〔

図 1-b〕 のム(r)ダ

で示されている。また,援 助と第2期 の消費σ2との関係が[図2]のA(σ2)"で

示されている。

〔図 1-a〕 援助前、援助後の第 1期 と第2期 の消費 σl 挽 十月 十虫 Q 明 ば る

(5)

所得移転による援助か,国 際公共財による貢献か 援助 と投資 との関係

a rtt r

(6)

5 0 両 頭正 明教授退官記念論文集 ( 第3 2 3 号) つぎに,② 援助国が能動的な (active)リーダーとして行動する場合, 援助国 (または機関)は 積極的に被援助国の投資に介入することになる。 しか し,被 援助国がその援助 を受け入れることを承諾するためには次の参加条件 (participation constraint)が成立 しなければならない。 lnCl+ρ lnC2 」 持≧ 0 つ ま り,援 助 を受けた後の厚生水準が受け入れ前の厚生水準 と同等か,高 い ことが条件 になる。 (10)式 より援助ム と投資 rの限界的な関係 を得 るために 1 / σl ( あ4 - が )十ρ(ηが )/σ2 = 0 を 利用 し, ま た援助ム と第 2 期 の消費 との限 界 的 な関係 を求め るため に ( 1 0 ) 式 を微分 して, ( 1 / C l ) { 一( 1 / η) 冴σ2+あ 4} (10)

( 1 1 )

十 ρ( 】a ) / c 2 = 0 を 利 用 す る と,

緋lι

= 1 - ρ

η

号, →

│ [ = 択

l ρ

η

t )

が得 られる。これらが 〔図 1-b〕 でのム(r)a19ぉょび 〔図 2〕 での九(σ2)例 線で描かれている (最適点が σで示 されている)。すなわち,援 助 を行 う国が 能動的なリーダーとして行動する場合,受 動的なリーダーとして行動する場合 とは異なり,よ り効率的な投資が行われることになる。この場合,当 然,将 来 消費は大 きくなる。 さらに,③ 援助を行 う国がシユタッケルベルグの追随者として行動する場合, (援助が供与 される以前に計画される)投 資の大 きさrよ りも援助がない場合 の投資額r十の方が少ないことを条件 に援助が供与 されるため,被 援助国でそ の条件 と現実が合致する場合には,援 助を行 う国が受動的なリーダーとして行 動する場合 と同じ効果が もたらされることになる。 しか しながら,被 援助国で アよりもr十の方が大 きい場合には,援 助を受け入れるために,借 り入れ,貯 蓄, 援助 後 0)の 合計が月十S十 ム0≦rを 満たすように貯蓄が調整される。つま り,被 援助国では援助 を最大限に引 き出すことを計画 した投資の大 きさrが こ の場合の投資 とな り (F),こ の場合の貯蓄 Sは S=万 ―(月十AO),第 1期 と 第 2期 の消費は,そ れぞれσl=h十 月十五0-F,σ 2=ろ 十ゲ ー月(1+γ)と なる。以上の状況は下の 〔図 3-a〕 で果時点間の予算線上の点aか ら点θヘ

(7)

所得移転 による援助 か, 国 際公共財 による貢献か 5 1

〔図3-a〕 現在消費と将来消費,① の場合

〔図3-b〕 援助と投資の関係

(8)

5 2 両 頭正明教授退官記念論文集 (第323号) の移動で表されてお り,こ の場合,貯 蓄が阻害されて将来消費を減少 させるこ とになる。援助が与えられるとそれは全額投資に向かうわけであるから 〔 図3-a〕 および 〔図 3-b〕 での点/へ と移動することになる。貯蓄が調整される ことから援助 と投資の関係 は,〔図 3-b〕 においてム(r)ァで表 されている。 (ここでム(r)ナは援助が投資の増加 となり,将 来消費が増加する場合を示 して いる。また,ム (r)ァは援助が貯蓄の減少を招 き,投 資は以前 と同じ水準に止ま るために将来消費が減少 している状況を示 している。) つぎに,援 助国の厚生関数が次のようなかたちで表すことができるものとし て,援 助国と被援助国双方の厚生に対する影響をみる。すなわち,援 助国の厚 生 (7)は ,被 援助国の将来消費 (C2)の 増加関数ではあるがそれは低減的 であ り,か つ援助 (ム)を 行 うことにより自国の消費が減少 して逓増的に厚 生が減少するもの とする。 ″ = フンを( C 2 ) 弘( ムル )

彫必((比)>0, 彫 け(σ2)<0

吃 (ム

)>0, ル 安(ム)>0

まず,① 援助国がシユタッケルベルグの受動的なリーダーとして行動する場合,

援助は外生的であり第2期 の消費はC2={ρ/(1+ρ)}(比十(1/η

)‰十九)

で表される。(この場合の援助と第2期 の消費との関係は先の 〔

図2〕 のA

( 0 2 ) ダで示 されてい る。) こ れ よ り, ( 1 2 ) を 用いると, 援 助 についての最適 条件 は,

略( a ) ギ

一吃(ム

) = O Q D

のようになる。

つぎに,② 援助を行う国が能動的なリーダーとして行動する場合,

ラグ ラ ンジュ関数 ( L ) を あ 三 ン, 千θ( σ2 ) レ レ弘 ( ム) 十 九 [ l n ( る 一( 1 / η) ( C 2 y O ) 十 ム 十 ρl n C 2 」キ] と して, こ の極大化 を図ることにより, 最 適条件 は以下の 3 つ の式で表 される。 ( 1 2 )

(9)

所得移転 による援助 か,国 際公共財 による貢献か 53 ( 1 4 ) ( 1 5 ) (18)

ρ     十

抑 

r経W

プ = o

上より,(彦V】 θ2)例=(1/η)(1-ηρσ1/σ2)となり,先 の 〔図2〕 で,こ こ

での厚生関数 (比ι)と ,将 来消費 1単位あたりの費用を表すム(C2)例との接

点σが最適点であることが示されている。

そ して,③ 援 助 を行 う国がシユタッケルベルグの追随者 として行動する場 合,援 助国は,援 助が投資に向かい,第 2期 の消費 θ2が σ2=ろ 十η(S十貴十 九)一月(1+γ)となることを想定 して援助 を行 う。このとき,厚 生関数の極大 化条件 を求めると, ″を( α) η―吃 ( ム) = 0 ( 1 6 ) が得 られる。この (16)式 を全微分 して援助の配分関数を求めると,そ れは, ム(s+1/ηyO,η) (17) で表すことができる。一方,被 援助国の政府は,(17)式 を所与 として,ま た, 01=L― S, C2=yO十 η(S十ム(S十(1/η)yO, 77) として,援 助国の政府が上記の (1)式 の厚生関数を極大化するものとすると,

次の最適条件が得られる。

例y / 溺s = - 1 / C l + ρ (1/σ

2 ) η

( 1 + ム

と( ・

) = 0

このとき,σ2/Q=ρ η(1+ムと(・

))となり,0<(1+ム を(.))<1であるので,

この比率は援助がない場合の比率 (ρη)に 比 して,ま た援助を行う国が能動

的なリーダーとして行動する場合のその比率 {―ρ(η

が)/(泌一が)}よりも小

さくなる。(これが 〔

図2〕 の点冴で示されている。

)

以上 に示 されているように,援 助 を行 う国が どの タイプの行動様式 をとるか によって援助の効果が異 なることがわかる。援助国は被援助国の反応 をみなが ら自身の目的関数 を極大化す るかたちで援助の範囲 と大 きさを決定すると考 え られるので, 3つ の行動様式のうち援助国はシュタッケルベルグの能動的なリー

(10)

5 4 両 頭正明教授退官記念論文集 (第323号) ダー として分析す ることが妥当であると″思われる。 また,被 援助国の側か らみ れば,援 助国の反応 をみなが ら極力多 くの援助 を受けて自身の 目的関数 を極大 化す る とい うことが合理的であるので,こ の側面か らの接近 も必要であろう。 上の設走 とは異 な り,従 来型の補助金 による援助 (あるいは地域間の補助) でな く,国 際公共財 (あるいは純粋公共財)の 負担 を通 じる貢献の方が より効 率的な援助 となる可能性があることが指摘 されているので,次 節ではこれを紹 介 した後,検 討 したい。 亜 公 共財の私的供給モデルにおける トランスファー ・パラ ドックス

Warr(1982)(1983), BergstrOm,Blume,and Varian(1986), Boadway,

P e s t i e a u a n d W i l d a s i n ( 1 9 8 9 ) などの公共財 の私的 (自発 的)供 給モデルに おいて,ナ ッシュ均衡の下での地域間での所得の移転 は公共財の供給 に影響 し ない ことを明 らかに している。 これは中立性定理,あ るいは中立命題 と呼ばれ 働 ている。 また,Ihori(1996a),井 堀 (1996b)はナ ッシュ均衡 に基づ く (純粋) 公共財の 自発 的供給モデルを用いて,地 域間で公共サービスの価格が異 なる場 合,所 得が高 く,か つ公共サービスの供給 コス トも低い地域か ら,所 得が低 く, かつサー ビスの供給 コス トが高い地域への所得移転は,移 転 を享受する地域の 厚生 を高めるのではな く,返 って低めて しまうこと,さ らに,移 転 を行 う地域 の厚生が改善 される場合 もあることなど (いわゆる トランスファー ・パ ラ ドッ 4 ) クス)を 分析 している。 これは,国 際間の援助や地域間の所得の再分配政策 に とって極めて重要な課題であると思われるので,以 下ではこれを紹介 し,検 討 す る。Ihori(1996),井堀 (1996)モデルの骨格 は次の ようである。 まず,公 共財 を含む国際間の (あるいは地域間の)モ デルで,各 国 (各地域) は効用水準 を所与 と して (晩 =」 ),支 出関数 『? = c ヶ十pづC ( 1 9 ) H a y a s h i ( 1 9 9 7 ) でな さ 3)人 口を考慮 した中立性定理の簡潔で厳密な証明がBoadway and れてお り,こ れを付録で紹介 した。 4 ) B u c h h o l t z a n d K o n r a d ( 1 9 9 5 ) でも国際間での生産 コス トの違 う場合 に定額補助が効 率 を高め るこ と, お よび貿易論 での 「特化」 との関係 な どが論 じられている。

(11)

所得移転による援助か,国 際公共財による貢献か を極小 化す る もの とす る。 こ こで,支 出関数 は

( E / 1 , 効

) = 托

p ギ

55 ( 2 0 ) ろで, 2地域でのナッシュ均衡は以下の 2つ の式で表すことができる。 p 2 βl ( y l , p l ) 十p l ゴ2 ( t / ‐2 , p 2 ) = p 2 h 十 p l ろ 十p l p 2 C ( 2 1 ) C=Cl(」 1,pl)=C2(y2,p2), (22) い ま,地 域 1で は地域 2と 比較 して相対 的 に所得が低 く,か つ公共財 の生産 効 率 も低 い こ とを想定す る。つ ま り,L<め ,pl>p2が 成立 してい る。 上 の (21)と (22)を 全微 分 す る こ とよ り,次 の式が得 られ る。 l 名夕 空彫 ‖協 】 = F 2 石 免 1 鈍 ( 2 3 ) ただ し,上 では地域 2か ら地域 1へ の所得の再分配 を想定 していることか ら, 】L=― 溺れ であ り,ま たβ切=∂β/∂y<0, C街 =∂ θ/∂物>0,∂ ゴケ/∂pぢ =Cを である。 (9)よ り,次 式 を得 る。

】J1/冴h=C稼 (pl―p2)/△ (24)

ただし, △ = ―p 2 β

' C 塚 p l ゴ

縁θ, < 0 で ある。同様に,

αy2/】h=θ 法(pl―p2)/△ (25)

が得 られる。 したが って,pl>p2の 場合 には,(24)式 は負 にな り,所 得 の高い第 2国 (地域 2)か ら所得の低 い第 1国 (地域 1)へ の再分配は,地 域 1の 厚生水準 を低下 させ ることが導かれる (弱い意味でのパ ラ ドックス とよばれている)。 これが生 じる理由は次の理由によるもの と考えられる。つ まり,相 対的に所得 が高い第 2国 (地域 2)か ら所得の低い地域 (第1国 )へ の再分配 (】る )は , まず再分配 を行 う地域 2の 所得 を低下 させ ((25)式 が負 となる),公 共財供

中 で あ る 。

< た だ し ,

(12)

56 両 頭正明教授退官記念論文集 (第323号) 給 は減少する。勿論 ,再 分配 を受 ける地域 1で は所得が増加す るために公共財 の量 も増 え,そ れは地域 2の 厚生 にもプラスの効果 を及ぼす ことになる。 しか し,地 域 1で の公共財生産の効率は低 く,上 の効果 よ りも所得が高い地域での 公共財の減少効果のほうが より大 きく作用するために,両 国 (両地域)で 厚生 水準が低下す ることになるわけである。強い意味でのパ ラ ドックス も同様 のメ カニズムで説明 される。つ ま り,生 産効率の悪い地域 1よ り効率の高い地域 2 への価格補助のかたちでの トランスファーにより,所 得移転 を行 う地域 1の 所 得 は減 る ものの,地 域 2で は (より多い私的財 と共 に)公 共財が よ り多 く供給 されることか ら,む しろ地域 1の 厚生が改善 される場合が生 じるわけである。 そ こで,低 所得 ・高 コス ト地域 1か ら高所得 ・低 コス ト地域 2へ の公共財 に 対す る価格補助のかたちでの所得移転が低所得地域の厚生 に及ぼす効果 をみる。 (この移転 によつて高所得地域 2の 厚生が低下す るばか りでな く,移 転 を行 う 低所得地域 1の 厚生が高 くなる場合 に,強 い意味でのパ ラ ドックスが成 り立つ といわれる。) い ま,地 域 2の 初期の公共財価格 に定率の価格補助 s2が給付 される場合 を 想定する と,p2=炉 2(1 S2)であ り,地 域 1の 所得 は初期所得か ら補助負担額

を減 じたる =孔 一s292炉

2となる。(孔は地域 1での初期所得,ま た先と同様,

92炉2は地域 2で の公共財価額を表す。

)し たがって,p2と るの変化分は,仰 2

= 炉 2溺S2,】L= 炉 292溺

S2で表すことができ,こ れより。2J/p2=溺

るが成

り立つ。 これを用いて先の (21)お よび (22)を 全微分すると,

1哲

'空

彫│1解

P2∽

2 p践

p2ギ

│の

2

が 得 られ る (aメ /9p,三 Cづ を用 い た )。 こ れ よ り, α」1/軌助=[― θ2(p2 pl)θ 縁―pl近瑠C縁一plp2解 C']/△ 溺y 2 / J / p 2 = [ p 2 位場 p l C 法) 解 ― C ' ( p 2 p l ) θ2 ] / △ 5 ) が成立す る。 ( 2 7 ) 式 で, い まp l > p 2 で あ り, 先 にみたように△ は負 であ り, ( 2 6 ) ( 2 7 ) ( 2 8 )

ど, < 0 ,

(13)

■ 開 卜 r i r r i l i l l l l l l l l l l l l l l l l 所得移転 による援助 か, 国 際公共財 による貢献か 5 7

C,>0,甥 <0であることを考慮すると,(27)式は負になることが導かれ

る。これは低所得で公共サービスの供給 コス トが高い地域か ら高所得で公共サー ビスの供給 コス トが低 い地域への移転 によって,移 転 を行 う低所得地域の厚生 が上がることを意味 している。これは逆説的である。(解 が十分に大 きい場合, 上 と同様 の条件 を用いると,(28)式 は正 になる。価格補助が与えられる第 2 国 (地域)で その厚生が低下する。) 下で以上のモデルでの設定 と帰結 について,若 干の検討 を加えたい。上のモ デル においては所得が低 い地域 1で 公共財 の価格が高 く (生産効率が低 く), 所得が高い地域 2で は公共財の価格が低い (生産効率が高い)こ とが設定 され, その下では所得の高い国 2(地 域)か ら低い国 1(地 域)へ の所得の移転は, 低所得地域の厚生 を低めて しまうこと,お よび地域 1か ら地域 2へ の価格補助 のかたちでの補助金が,援 助する地域 1の 厚生 を高めることが示 されてお り, 通常 とは逆の再分配が望 ましい場合が生 じることにな り,理 論的に興味深い も のである。そこでは価格差,い いかえれば公共財の生産効率の差異が決定的に 重要な要因 となってお り,初 期の分配状態が どうであれ,公 共財の生産効率の 高い国に資源 を多 く配分することによって被援助国 (地域)の 厚生は高 ま り, また純粋公共財 の性格 によ り援助地域 も (そのことによる便益が コス トを上回 ることになるために)厚 生水準が上昇するとの結論が得 られるわけである。そ の ことと中立性定理 とはどの ように関係するであろうか。それは,国 際間 (地 域 間)で 公共財 の生産効率 に差異がみ られるときには,「ナ ッシュ均衡の下で の地域間での所得の移転は公共財の供給 に影響 しない」 という中立性定理が成 立 しないことを意味 している。 5 ) I h o r i ( 1 9 9 6 a ) p . 1 4 7 では, 次 の式が書かれている。す なわち,上 の (26)に 対応す る もの として,1髭 劣イ 空浮 ‖ 鰐 サ│=│ 』 務 yll勉 吻 十 1管 lαL ( 2 7 ) に 対応す る もの と して, αJ1/効92=[ θ2(p2 pl)c稼一plβttC稼]1基 ( 2 8 ) 式に対応するものとして,

冴び2 / の2 = [ p 2 ( 甥p l C , ) 呼

―G ' ( p 2 p l ) 。

2 ] / △

と記 されている。

(14)

5 8 両 頭正明教授退官記念論文集 ( 第3 2 3 号) しか しなが ら,上 の理論では純粋公共財が前提 とされてお り,あ る国 (地域) の公共財が他 の国 (地域)に 100%の 外部性 を与 える とい う状況 は想定 し難い とい う周知の問題がある。 しか し,被 援助国の負担率 (反応関数)を 所与 とし て 自国の厚生 を極大化することは十分考 えられることである。 したがって,国 際間 (地域 間)の 援助や再分配の課題 をナ ッシュ均衡の設定で分析す ることは 意味のあることであるが,援 助国の厚生の内容,換 言すれば援助 目的を明確 に す る必要がある。 上の井堀モデルに基づ き,地 域 1と 地域 2を 含む集権的政府がすでに存在 し ている (我が国の ような)ケ ース を想定す ると, どの ような帰結が得 られるで あろうか。ひとつは,両 地域 を含 む集権的政府の もとで公共財供給のパ レー ト 最適が可能であれば,サ ムエルソン条件が最適条件 とな り,そ の条件の もとで はナ ッシュ均衡 の もとでの公共財供給 よ りも公共財 の量 は多 くなることであ ると 第 2に ,セ カン ドベス トの政策 として 2つ の地域 を分離 して (つまり,分 権化 を行 った後 に),低 所得で公共サ ー ビスの価格が高 い地域か ら高所得で公 共サー ビスの価格が低い地域へ,価 格補助のかたちで再分配 を行 うことによっ て両地域 とも厚生が高 まるということが帰結 されるわけである。 しか しなが ら, 所得が低 い国 (地域)か ら所得が高い国 (地域)へ の移転 によつて効率 を高め る政策は再分配上,現 実的であるとはいい難い。 次節では,ナ ッシュ均衡 とシュタッケルベルグ均衡,あ るいは中立性定理, お よび上で紹介 した分析 をコルムの三角形 を使 って図で統一的に説明 したい。 I V コ ル ムの三 角形 による解釈 7 ) 以上 の論 点 をコルムの三角形 を使 って図で示す と次 の ようになる。

まず,〔図4〕ではナッシュ均衡とシュタッケルベルグ均衡が図示されている。

6 ) 次頁 〔図 4 〕 でのN の 上の斜線領域はN よ り 7 ) 以下の図は, 拙 稿の目的に合わせて, C u l l i s のである。 もパ レー ト改善 されることを表 している。 a n d 」o n e s ( 1 9 9 8 ) , p p . 6 1 - 6 4 を援用 した も

(15)

嵐 F ト ー ー ー ー ー ー ー ー ー 所得移転 による援助か,国 際公共財 による貢献か 〔図4〕ナッシュ均衡とシュタッケルベルグ均衡 上 の 〔図 4〕 で はナ ッシュ均 衡 が Nで 示 され てお り,シ ュ タ ッケルベ ル グ 均 衡 が Sで 示 されてい る。図で は初期所得 の高 い うが援助 国であ り,初 期所得 の低 い aが 被援助 国であ るこ とが想定 されている (以下の図で も同様 である)。 つ ま り,初 期 の所得分配が οa οb線 上 の C点 で あ る と き,a国 (地域 )の 所 得 , b国 (地域 )の 所得 はそ れぞ れ,οα σ,οb Cで表 されてお り,コ ルムの図の性 質 よ りa国 の私 的財 はィa,b国 の そ れ はれ で あ る。 そ して,a国 とb国 の反 応 関数 が それぞ れ月αと月bで 示 され る もの と して,そ れ らの交点がナ ッシュ均 衡 Nで あ る。 これ よ り出発 して,い ま援助 国 bが 自国の厚生 を極大化 す る もの

とするとN点 より左で (つまり,ナッシュ均衡でのbの無差別曲線rがよりも

高い無差別曲線rsで)反応関数妃aに接する均衡点がシュタッケルベルグ均衡

を表す S 点 である。 シュタッケルベルグ均衡では公共財 は C だ け供給 され, リー ダー b は a の 反応 関数妃aを所与 として自己の厚生の極大化 を図れること

から,ナ ッシュ均衡Nと 比較して援助国bの負担は少なくなっており,(Cが

>Gゴ),被援助国aの公共財の負担は多くなっている (Q「<cS)。

また,〔図5〕で,Warr(1983)に代表される中立性定理は次のように説明

(16)

両頭正明教授 退官記念論文集 (第323号 ) 〔図5〕 ナッ ムmin C βmin

できる。

図5〕で,初 期の所得分配がσ点で表されるとき,ナ ッシュ均衡の下では

公共財はCだ け供給される (私的財はれ ,れ である)。このとき,a国 はCが

だけ公共財の負担を行い,bは Cがだけの負担を行う。所得移転を行ってC点

よ り右の C'に 移動 させた として も (ただ し,【 が移動で きる範囲はAmhか ら βmhま でである),被 援助国 aと 援助国 bの 負担の割合 (および私的財の配分) が変わるだけで公共財 θの大 きさ自体 は変化 しない。つ ま り,a国 とb国 の厚 働 生 は変 わ らず , 中 立性定理 が成立す る。

次に公共財に対する価格補助が行われる場合の効果を示 したものが 〔

図6〕

である。

8)こ こで は所得移転 に よって私 的財 の量 は変化す る こ and Wildasin(1989)の枠組みでは,一 般補助金 によ り 変化 しない ことが示 されている。 とになるが, B o a d w a y , P e s t i e a u ( 援助 国 と被援助 国の) 私 的財 も シュ均衡 と中立性定理

(17)

所得移転 による援助 か, 国 際公共財 による貢献か 〔図6-1〕 公共財に対して価格補助が行われる場合の効果 ①bの厚生が減少するケース 〔図6-2〕 ②bの厚生が増加するケース

よ│ノ

N / / / /

(18)

6 2 両 頭正明教授退官記念論文集 ( 第3 2 3 号)

上の 〔

図6-1〕 では所得の低い地域a(あ るいは被援助国)が 所得の高い

地域b(援助国)に 対して公共財の価格補助を行う場合のパラドックスが示さ

れている。いま,こ の価格補助を行うとき,bの 価格線はCDか らCどへと移

動して,公 共財の価格が低くなったことに伴ってbの反応曲線も貴bから妃どヘ

と移動するものとする。この新 しい反応曲線妃どとaの反応曲線況αとの交点

が新 しい均 衡 点 L と な る。均 衡 点 との下 で は, ナ ッシュ均 衡 N と 比 較 して公

共財は増加しており,aの 公共財負担はC力に減っており,bの 公共財負担は

(鶴十θンリ ヘと増えている (ただし,Cttbはaからbへの価格補助の大き

さを表す もの とす る)。この結果,価 格補助 を行 う国 (地域)の では私的財が 少 な くなるが公 共財 の負担 が減少す るため に,ナ ッシュ均衡での無差別 曲線 (rが)と 比べてよ り高い無差別 曲線 r身に移動することがで きて厚生が高 くなっ てお り,逆 に価格補助が与 え られた高所得の国 (地域)bで は,私 的財が相対 的 に減少 して公共財 の負担 が増加す るため に,ナ ッシュ均衡での無差別 曲線 (rが)と 比べ て よ り低 い無差別 曲線 rをに移動 して,そ の厚生 は減少す る。 こ れは強い意味での トランスファー ・パ ラ ドックス (第3節 の井堀モデルでの帰 結)が 生 じることを表 している。所得の低い被援助国 (地域)aか ら所得の高 い援助国 (地域)bへ の公共財の価格補助 は現実 には想定 し難いが,ナ ッシュ 均衡の もとではこの種 の移転 によ リパ ラ ドックスが生 じることに留意すべ きで ある。N点 と比べ てあ点で a国 とb国 の厚生が高 まるか低 くなるかは無差別 曲 線 の形状 と反応 関数の位置 に依存す る。a国 か らb国 へ の移転 によ り,b国 で の私的財,公 共財 とも増加す る場合, もしくは私的財の減少 による限界効用の 損失 を補 って余 りある公共財 による限界便益が得 られる場合には b国 での効用 も増加す るもの と考 えられる (〔図 6-2〕 を参照)。 V 補 助金 を巡 る国 と地方の関係 一一結びにかえて一 上では国際間での援助,あ るいは地域間での援助 についての先駆的な業績 を 要約,検 討 したが,そ れ らの分析 を,補 助金 (地方交付税お よび国庫支出金) を巡 る国 と地方の関係 に適用すれば どの ように考 えられるであろうか。

(19)

所得移転による援助か,国 際公共財による貢献か 63 まず,第 2節 で示 された援助国の 3つ の行動様式のうち,国 の行動 をシュタッ ケルベルグの能動的なリーダー として分析することが妥当であると思われると なぜ なら,国 庫支出金 (定率補助金)に ついて考えると,国 は地方団体 (被援 助 国)に 補助対象 と補助率のプランを提示 し,地 方団体の反応 をみなが ら自身 の 目的関数 を極大化するように補助 (援助)の 範囲 と大 きさを決定 ・変更 して い くもの と考えられるからである。また,長 期で見れば国は地方団体に対 して, 地方交付税 (所得移転)と 国が 自ら行 う事業 (第3節 での国際公共財)に よる 貢献 との組合せ を選択するもの と考 えられる。上で要約 された先駆的な分析 を 援用すれば,地 方公共財 の生産効率 において,国 と地方団体 との比較でその差 異がない場合 には,国 が 自身で地方公共サービスの供給 を促進 しようと,地 方 団体 に対 して地方交付税のかたちで配分 しようと,そ の効果は同等であること が帰結 される。 また,地 方公共財の生産効率 において国 と地方団体 とで差異が ある場合 には,生 産効率の低い機関か ら生産効率の高い機関へ と価格補助のか たちで (定率)補 助金 を交付すれば,国 と地方,双 方の厚生が改善 されること が結論付 け られる。第 4節 で図示 された ものか らも類推 されるように,上 の設 定のなかで再分配の後 に国際間 (地域間)で の公共財の負担率が どう変化する かは,無 差別 曲線 と反応関数の位置 と形状 に依存する。 シュタッケルベルグ均衡 を用いて国 と地方の関係 を分析することは残 された 課題であるが,ひ とまず次の ように考 えられる。 まず国が地方団体 に特定定率 補助金 の補助率 sを 提示す る と,地 方団体 はこのsを 所与 として,(民 間財, あるいは他 の地方公共財 との選択 で)最 適 なサー ビス量れ を決める。その と き,地 方団体の支出は(1-s)れ であ り,国 の支出は三地 になる。いま,国 の 支出額 を91,地 方団体の支出額 を92,国 と地方の合計 をcで 表す ことにすれ ば,91+92=Cで あ る。い まこの Cは 純粋公共財であ り,ナ ッシュ均衡の も とで考 えることにす ると,第 3節 で説明 された状況 となる。また,上 とは違っ 9 ) 地 方団体 ( 被援助国) に ついて も,国 (援助国)の 反応 をみなが ら極力多 くの補助金 を 受取 り, 自 身の 目的関数 を極大化する と考 えられるので,こ の側面か らの接近 も必要であ ろ う。

(20)

64 両 頭正明教授退官記念論文集 (第323号) て,国 は独 自にズ の最適量 ズキを決 め,補 助率 sで はその最適水準 が確 保 で き ない場合 (すなわち,地 方が選択す る最適量 れぅがズ中と_ 致 しない場合)に は, 当初 の補助 率 を調整 してその差 を減 じてい くとい うプロセスが考 え られ, こ の と き国 は (広義 の)シ ュ タ ッケ ルベ ル グの リー ダー,もし くは プ リンスパ ル = 1 0 ) エージェン トモデルでのプリンスパル として分析で きるもの と考えられる。 上 を形式化すれば次の ように考 えられる。い ま,ま ず国が地方団体 に定率補 助金 の補助率 sを 提示す る と,地 方団体 はこのsを 所与 として,(あ るいは民 間財 )と の選択 で最適 なサー ビス量れ を決める もの とす る。当該地方団体 の 効用関数 をコブ= ダ グラス型で表 し,地 方はこの極大化 を図るとすれば,

max.びL=aそ lnズぁ十aをlng

である。ただし,a々,aちはそれぞれ地方公共財れ ,他の地方公共財βへの

支出比率を表している (a争

十aウエ1)。他方,地方団体の予算制約式は

s . t 。( 1 - s ) 施 十 β = r ― T ( 2 9 ) ( 3 0 ) ( 3 1 ) である。ただ し, r , T は それぞれ所得 と税収を表 してお り, 所 与であるもの とする。そうすれば, 地 方公共財れ についての最適化条件は, 施 王批 (アータ)/(1-s) である。他方,国 もサー ビスズ について国主体 の事業ズCを行 うもの として, 地方全体が行 うサー ビスズの量 と国主体の事業ヌCの合計 と,国 の他の国家公 共財 クとの選択 を図る もの とすると,国 は上 と同 じくコブ=ダ グラス型の厚生 関数 を極 大化 す る もの と して,

max.」C=atln(ズCtt Σ

ン宅)十a21nグ

である (attt a2=1)。

国の予算制約式は,

ズC tt s(正

ン宅)十グ=Σ 見

である。ただ し, Σ 乳 は税収総額 を表 してお り, 一 定であるもの とする。 この とき, 極 大条件 は, ∂y C / 砂r = 0 ょ り 10)以下での形式化 とは異なるが,ジ ャヤラマ ン=カ ンブール (1999)でも援助国をシュタッ ケルベルグの リー ダー として捕 らえ,従 来型援助 と国際公共財への貢献の選択 について簡 潔 に説明 し,中 立性定理が成立 しないケース を要約 している。 ( 3 2 ) ( 3 3 )

(21)

所得移転 による援助 か,国 際公共財 による貢献か 65

ズC=at[夕十(1-s)(Σ

え)]―

Σえ

が得 られる。 また,∂ yC/鉢 =oよ り,最 適補助率 sが 満たすべ き条件式は,

ギ 働 = 雰

( 3 4 ) ( 3 5 ) と表す ことがで きる。つ ま り,当 初設定 した補助率 5に 対 して,地 方団体 は Σ耗 だけのサー ビス水準 を供給 し,国 は最適 と考える水準 との乖離分率Cを供 給す る。補助率 を操作 してその乖離分 をな くするための補助率が上の最適補助 率 sで ある と解釈で きる。 最後 に,第 3節 で説明 された公共財の価格の違い (生産効率の差果)に 起因 す るパ ラ ドックス,す なわち公共財価格が高い国 (生産効率が低い地域)か ら 価格が低い国 (生産効率が高い地域)へ の価格補助かたちでの移転 によって双 方の厚生が改善 されるとい う命題 には注意 を要すると思われる。これについて, われわれは次の ように考える。すなわち,公 共財価格 (生産効率)に 差果が生 じる理由 として 2つ が考 えられる。ひとつは地理的条件 などによる自然的要因 に起因するもので,元 来非効率が避 けがたい ものである。今ひとつは,労 働や 労働 と資本の組合せ,組 織上の非効率,社 会 :人 口要因などの人為的な要因に 基メ ものであ り,非 効率 を改善することが可能なものである。われわれは, 前者 についてはむ しろその要因による地域 間の差異 を縮小するための補助金が 必要である と考 える。後者 については,第 3節 でみたように,生 産効率の低い 地域 か らそれが高い地域へ奨励的な補助金 をより多 く配分することによって効 率が高 まる もの と期待 される。 付 録

Boadway and Hayashi(1997)で は,各 国 (各地域)の 人口%けを明示的に 入れた公共財 の需要関数 Cを 用 いて中立性定理が簡潔 に証明 されてお り,以 下で これを紹介する。いま第 ぢ国の (第づ地域の)私 的財 を″ゎ 公共財 をc,

(22)

6 6   が 両頭正明教授退官記念論文集 (第323号 ) ″ け 十 θ / 物 ぢ= 切 , 十 G _ 1 / 物 ヶ≡ 〃 ガ ( た だ し , G ≧ G l で あ る 。) で表 され, 効 用関数が m a x 」 ( ″ゎ C ) で 与 えられるとき, 極 大化条件 は, ク ー ン= タ ッカー条件 を用いると,

物れを/ し

幹- 1 ≦ 0 , ( 物

れを/ し

鳴- 1 ) ( C ―C _ 1 ) = 0

となる。 この とき, 公 共財 の需要 関数 は,

C = 「( 物

, , M か

三θ l + 0 ( 切

ゎ% ヶ

, C l )

で表現 される。 これを物ガで微分すれば,∂「(物ヵ 比 )/a%け=釣 /∂切ヶとな り, これをClで 微分すれば,(1/物,)∂「(%ゎ 〃ヶ)/aИど=1+∂ g/∂θ lが得 られ る。 ここで,「 は比 の増加関数であるので比 は Cの 逆関数で与 え られ,比 =φ をしづ,C)と 表現で きる。つまり,第 づ国が Cの 負担 を行 う場合には,Cを 負担 を行 う国の集合である として, 物ヶ″,十 C=物 ガφ(物を,C)for づ ∈C (1) が成立す る。 ところで, C = 「 ( % ゎ φヶ( 物ゎ C ) ) であることか ら, ∂φを/ЭC=(∂ 「/らMi) 1=(θ θぢ/∂切ガ) 1 (2) が得 られる。 い まナ ッシュ均衡が達成 されている もの として, ( 1 ) 式 を, 負 担 を行 って いる国について合計すれば,

Σ物ぢ

物ヶ十( c - 1 ) σ

= Σ% ぢ

φ, ( 物

ゎσ) となり( た

だし, σはナッシュ均衡

の もとでの公 共財供給量 とす る),こ れ を,物 をとσについて微分す れば,

Σ物づ

切,=(Σ物づ

(a乃/∂

切ヶ

)1-c+1)】 σ

( 3 ) を得 る。 ここで,0<(釣 ぉ/ ∂切,)/物,<1と すれば,負 担 を行 う国の数 を表す o は 1 よ り大 きいので,括 弧内は正の値 をとる。 したが って,負 担 を行 う国の 間で所得の移転 を行 って も左辺の値 は負担 を行 う前の値 と同 じなので,】C= 0 と なる。す なわち,移 転 を行 って も公共財の水準 は変化せず,中 立性定理が 成立す る。 (負担 を行 わない国家間の移転 も,当 該国が負担 を行 う国に転 じる ことがなければ同様 の結果 を得 る。)

(23)

所得移転 による援助 か,国 際公共財 による貢献か 67 参 考 文 献

[ 1 ] 赤 井伸 郎 。( 1 9 9 9 ) , 『最 適 財 政 シス テ ムの経 済 分析 』神 戸 商 科 大 学研 究叢 書L X I , 第 3 章 . [2]BergstrOm,T.,L.Blume,and H.Varian。 (1986),“On the Private Provision of Public

Goods",」θ物物 aιてアPttbιιc βcθttOηttcs, Vol.29,pp.25-49.

[ 3 ] B o a d w a y , R . a n d M . H a y a s h i 。 ( 1 9 9 7 ) , “C o u n t r y S i z e a n d t h e V o l u n t a r y P r o v i s i o n o f lnternational Public Goodsル, 何ヮヶ物 0, Queen's University and San、va Research lnstitute

Corporation.

[ 4 ] B o a d w a y , R . , P . P e s t i e a u a n d D , W i d a s i n 。( 1 9 8 9 ) , “T a x ―T r a l s f e r P 0 1 i c i e s a n d t h e Voluntary Provision of Public Goods'',」 θ切竹れa↓(アPttbιぢC ECOttθ7カCtt

Vol.39,pp.157-176.

[ 5 ] B u c h h o l z , W . a n d K . A . K o n r a d 。 ( 1 9 9 5 ) , “S t r a t e g i c T r a n s f e r s a n d P r i v a t e P r o v i s i o n

of Public Goods",」 θ切?物 aι てア P軸 例 をC Ecθ ttO竹冴ctt Vol.57,pp.489-505.

[6] Cullis,」.and P.Jones。 (1998),PttbιあcPぢ物αttcθ attα PttbιあcCん ぢca 2nd,Oxford U.P., ch,3.

[ 7 ] 堀 場勇夫。( 1 9 9 9 ) , 『地方分権 の経済分析』束洋経済新報社.

[8]Ihori.T。 (1醐 か,“International Public Goods and Contrbution Productivity Dittrencials",

Jθ 切物 aι てア Pttbι あC Ecο %θ l物あctt Vol.61,pp.139-154.

[9]井 堀利宏。(1996b),「国 と地方 の分担 システム :理論 的分析」フイナンシャル ・″どユー, 第40巻 ,9月 号 ,pp.1-19.

[10]Kunizaki,NI。 (1994),“Local Public Goods and lnterregional Tax Policy",Dttcそがsづ0物 p∽ θγ 94.12,The University of Western Australia.

[11] Pedersen,K.R。 (1996), “Aid,Investrllent and lncentives"がCattαを物aυta%」 θ物?物a↓ ゲ E C ο物0 物づC う V o l , 9 8 G ) , p p . 4 2 3 - 4 3 8 .

[ 1 2 ] ラ ジシユ リ ・ジ ヤヤ ラマ ン= ラ ビ ・カンブール.(1999),「国際公共財 と援助 の正当化」 ( インゲ ・カール,イ ザベル ・グル ンベルグ,マ Tク ・A・ ス ター ン(編)『地球公共財

― グローバル時代の新 しい課題 ―一』 日本経済新聞社,第 9章 .)

[13] Shibata,H。 (1971), “A Bargining Wiodel of Pure Theory of Public Expenditure",

JO切 ?物 aι てア POι づけぢcaι β cο%ο 物 グ, V01・ 79,pp。 1-29.

[ 1 4 ] W a r r , P , G 。 ( 1 9 8 2 ) , “P a r e t o O p t i m a l R e d i s t r i b u t i o n a n d P r i v a t e C h a r i t y " ) 」ο物? 物o ι

のF Pttbιづc『 cOttOI物 ウCtt Vol.19,pp.131-138.

[15] ヽ Varr,P.G。 (1983), ``′「he Private Provision of a Public Good is lndependent of the Distrivution of lncome",Ecottο 竹みあc Lθけけθγtt Vol.13, pp.207-11.

(24)

68 両 頭正 明教授退官記念論文集 (第323号 )

Income Transfer or lnternational iPublic Goods?:

Equity and Ettciency between cOuntries(Regions)

Masanori Tahira

The purpose of this paper is to consider which policy is efficient, direct income transfer or the production of international pubhc goods to assist less developing countries(or reglons). This paper reviews the Pedersen's

m o d e l ( 1 9 9 6 ) a n d l h o r i ' s m o d e l ( 1 9 9 6 ) , a n d e x a m i n e s t h e k e y f e a t u r e s o f their analysis as well as the pohcy ilmplications of their models. We

concluded that the Stackelberg model is very useful for analyzing the class of problems these other models address. It is reasonable to regard the donar country as a Stackelberg active leader who decides the method and the amount of grants after investigating the behavior of recipient countries. Mloreover, we think this approach can be applied to analyZing central grants to local governments。 (General grants and matching grants is quite large in」 apan.)Ihori's model is quite useful,in that it analyses thettransfer paradox' when there are price differences(the difference of production efficiency)for public goods prodeced by different countries(or regions). However, we conclude that the price or production differences arise from two elements. One is due to regional characteristics: this difference is natural one and can not be avoided. the other element is fronl inefficiency of labor or organization(institutional constraints),or demOgraphic element, all of which are avoidable. We think the formar situation justiies subsidiza― tion, to offset comparative disadvantages. As for the latter, grants should be allocated to more efficient regions.In thelong― run, institutional reforms lnight counteract some of the region_specific constraints.

参照

関連したドキュメント

運営、環境、経済、財務評価などの面から、途上国の

 本研究所は、いくつかの出版活動を行っている。「Publications of RIMS」

船舶の航行に伴う生物の越境移動による海洋環境への影響を抑制するための国際的規則に関して

また、学内の専門スタッフである SC や養護教諭が外部の専門機関に援助を求める際、依頼後もその支援にか かわる対象校が

を体現する世界市民の育成」の下、国連・国際機関職員、外交官、国際 NGO 職員等、

かつ、第三国に所在する者 によりインボイスが発行 される場合には、産品が締 約国に輸入される際に発

 国によると、日本で1年間に発生し た食品ロスは約 643 万トン(平成 28 年度)と推計されており、この量は 国連世界食糧計画( WFP )による食 糧援助量(約

○ また、 障害者総合支援法の改正により、 平成 30 年度から、 障害のある人の 重度化・高齢化に対応できる共同生活援助