農業環境政策の経済分析 65
農業環境政策の経済分析
―滋賀県の環境農業直接支払制度を対象として―
藤
栄
剛
!.はじめに 農政における環境政策の位置づけは年々高まりつつある。2006年3月に公表 された食料・農業・農村基本計画では,わが国の農業生産全体のあり方を生産 主体の環境保全的行動を重視する方向へと転換することが重要課題の一つとし て指摘されている。また,2006年1月に決定された経営所得安定対策等大綱の 中で,品目横断的政策と両立する政策として,「農地・水・環境保全向上対策」 が2007年度より実施されることとなった。 一方,滋賀県ではこうした国の動きに先駆けて,2004年度から農業環境政策 として環境農業直接支払制度を開始しており,その取組は全国的に注目を集め ている。そして,これまで滋賀県で実施されてきた環境農業直接支払制度につ いて,その概要や事実の整理がいくつかの文献によって行われてきた1)。しか しながら,こうした概要や事実を普遍的に検討するための経済学的モデルや実 証分析を行うためのフレームワークはこれまで提示されておらず,経済学的な フレームワークを用いて,滋賀県で実施されている環境農業直接支払制度の含 意を検討した研究はほとんどない2)。 無農薬栽培をはじめとする環境保全型農業は,一般に慣行栽培よりも収量変 動が大きく,リスクが大きい一方で,農法に関する経験を蓄積することにより, 1)たとえば,宋〔27〕。 2)滋賀県における環境農業直接支払制度を定量的に検討した数少ない研究の一つとして, 佐々木〔24〕がある。佐々木〔24〕は共分散構造モデルを用いて,滋賀県民の環境支払政 策に対する意識構造と政策パッケージに対する評価を明らかにしている。しかし,経済学 的なフレームワークを用いた環境農業直接支払制度の分析は行われていない。66 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 円滑な営農実施に結び付く特徴を備えている3)。また,ヨーロッパを対象とし た先行研究では,有機農業や環境保全的な農業を行う農家は,慣行栽培を行う 農家よりも危険愛好的であることが明らかにされている(Gardebroek〔6〕)。 しかしながら,環境保全型農業が有する特徴やそれに取り組む農家のリスク態 度を織り込んだ農家行動モデルを用いて,農業環境政策が農家行動に及ぼす影 響を検討した研究はほとんどない。 そこで,本稿では農業環境政策の一例として,滋賀県における環境農業直接 支払制度を対象として,その展開状況を整理し,整理された事実を基に,農家 行動と環境農業直接支払制度の関係に関する経済学的なモデルを構築し,環境 農業直接支払制度が農家行動に及ぼす影響を考察する。また,政策実施が環境 便益に及ぼす影響や環境農業直接支払制度の政策効果についてもあわせて検討 する。 本稿の構成は以下のとおりである。次節では,滋賀県の環境農業直接支払制 度の概要を整理するとともに,環境農業直接支払制度に参加する農家の特徴を 明らかにする。第Ⅲ節では,前節で明らかにされた特徴をもとに,環境農業直 接支払制度参加農家の作付行動モデルを構築・提示し,収量リスクや直接支払 が環境保全型農業の取組に及ぼす影響を検討する。さらに,第Ⅳ節では,簡単 な計量分析を通じて,環境農業直接支払制度による環境保全型農業の取組促進 効果を検討する。最後に,第Ⅴ節で結論と今後の課題を述べる。 !.環境農業直接支払制度の概要と参加農家の特徴 (1)環境農業直接支払制度導入の経緯 まず,滋賀県の環境農業直接支払制度が導入されるまでの経緯について簡潔 に述べる4)。 滋賀県では,琵琶湖の水質保全を目的として,1980年代より化学合成農薬や 3)たとえば,藤栄他〔4〕,胡〔11〕。 4)本項の記述については,主に森野〔15〕〔16〕,滋賀県〔25〕,宋〔27〕,富岡〔28〕〔29〕, 富岡他〔30〕にその多くを依拠している。
農業環境政策の経済分析 67 化学肥料使用の節減を目的とした農業を推進するための技術開発や施策が展開 されてきた。こうしたなか,滋賀県は2001年3月に「しがの農林水産ビジョン」 を制定し,1998年基準で2010年に化学合成農薬・化学肥料の使用量を20%削減 する目標を設定するとともに,その達成に向けた施策の展開を開始した。また, 同年4月には「環境こだわり農産物認証制度」を開始した。本制度は,化学合 成農薬および化学肥料の使用量を慣行の5割以下に削減することに加えて,琵 琶湖および周辺環境への負荷を削減する技術で栽培された農産物を滋賀県が 「環境こだわり農産物」として認証するものである(森野〔15〕)。認証された 農産物には県の認証マークが貼付され,出荷・販売される。 農産物認証制度の展開や近年の食品安全性に対する意識の高まりに伴い,県 民の間に食品の安全性向上に対するニーズが高まり,環境保全的な農業推進の 必要性が強く認識されるようになった。こうしたことから,滋賀県は「環境こ だわり農業」と称する環境保全的な農業形態を普及・展開するための施策の検 討を進め,2003年3月に「滋賀県環境こだわり農業推進条例」が施行されるに 至った。そして,本条例に基づき,「滋賀県環境こだわり農業推進基本計画」 の決定,環境こだわり農業実施のための認証・実施協定の施行(2004年1月), それに引き続き,2004年度より「環境農業直接支払制度」が開始された。なお, 「滋賀県環境こだわり農業推進条例」とは,より安全・安心な農産物を消費者 に供給するとともに,環境と調和した農業生産の確保を図り,滋賀県農業の健 全な発展と琵琶湖等の環境保全に資することを目的とし,環境こだわり農産物 認証制度を位置づけた条例である(宋〔27〕)。また,「滋賀県環境こだわり農 業推進基本計画」では,3つの基本方針,すなわち,「①自然環境と調和のと れた農業生産が滋賀県農業のスタンダードとなるように推進します。②環境こ だわり農産物を滋賀ブランドとして確立します。③生産者と消費者を結ぶ食の グリーン購入を展開し,県民みんなが支える環境こだわり農業を確立します。」 が掲げられ,これらの基本方針に基づき,個別の計画に数値目標が設定されて いる。計画の実施期間は2003年度から2007年度までの5年間である。つまり, これまでの行政サイドにおける環境保全政策実施経験の蓄積と近年の食品安全
68 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 性向上を求める県民のニーズの高まりを背景として,滋賀県の環境農業直接支 払制度は導入された。 (2)環境農業直接支払制度の概要 次に,環境農業直接支払制度の概要について述べる5)。環境農業直接支払制 度に参加する農家は, まず県知事との間で環 境こだわり農業実施協 定を結ぶ。協定の主な 内 容 は,(!)化 学 合 成農薬および化学肥料 の使用量を慣行の5割 以下に削減すること, (")堆肥・農業排水 の適正使用・管理,(#)協定期間は5年間であることなどである。協定を締 結し,県に提出した生産計画に定めた方法によって栽培を行うことで,農家は 環境こだわり農産物の認証を受けることができるとともに,第1表に示す助成 金を受給することができる。なお,助成金交付単価の算出根拠として,滋賀県 による「環境こだわり農産物経営収支調査結果」に基づき,慣行農法を行った ときに要する栽培費用と化学合成農薬・化学肥料を50%削減したときに要する 栽培費用の差額が用いられている。また,環境こだわり農産物の栽培に際して は,①化学合成農薬及び化学肥料使用量の基準値,②堆肥その他の有機質資材 の使用基準値,③琵琶湖・周辺環境への負荷削減技術の実施に関する要件の遵 守が必要とされる。 上記の内容のもとで,2004年度より開始された「環境農業直接支払制度」は 大きな広がりを示した。第2表に示すとおり,環境こだわり農産物の栽培面積 は,2006年時点で5,865ha で,当初の目標であった2007年度の目標値4,890ha 5)本項の記述は,滋賀県〔26〕にその多くを依拠している。 第1表 環境農業直接支払制度による交付金額
農業環境政策の経済分析 69 を上回るなど, 「滋賀県環境こ だわり農業推進 基本計画」で定 められた当初の 目標は,一部の 目標項目につい て,計画終了年度以前に達成された。また,本計画は,2003年度から2007年度 までの5年間を計画期間としていることから,現在,2008年度からの新計画案 が滋賀県より提示され,その策定に向けた検討が進められている。 (3)環境農業直接支払制度参加農家の特徴 次に,環境農業直接支払制度参加農家の特徴について検討する。まず,環境 こだわり農産物と慣行栽培 農産物の収量・販売価格を 第3表に示す。表では,水 稲の収量・販売価格を示し ている。 表をみると,環境こだわ り米の収量は慣行栽培米よ り約4%低下する一方,販売価格は環境こだわり米が慣行栽培米を約5%上 回っている。ただし,第3表で示されている数値は,少数のサンプルを整理し た結果に基づいており,その解釈には一定の留意が必要である。この点につい て,減農薬・減化学肥料栽培と慣行栽培の比較を行った胡〔9〕の研究では, 第3表と同様,減農薬・減化学肥料栽培米の収量は慣行栽培米よりも低く,価 格水準は逆に高くなることが明らかにされている。また,その他の先行研究に おいても第3表と同様の傾向が示されていることから6),サンプル数に問題は 6)他にも,環境保全型農法の一形態である合鴨稲作を対象とした藤栄他〔4〕でも同様の 第2表 滋賀県環境こだわり農業推進基本計画の目標値と実績値 ! 第3表 環境こだわり農産物と慣行栽培農産物の収量・ 販売価格の比較
70 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 残されるものの,第3表で示された傾向は一般的に観察される結果を示してい るといえるだろう。つまり,環境こだわり農産物の栽培によって,農産物の収 量は低下する一方で,減農薬等の表示によって価格にプレミアムが付されるこ とで,販売価格は高まる。 他方,農家の作付行動は生産リスクと深い関係を有することが多くの先行研 究によって指摘されている7)。ここで,生産リスクとは,天候変動などによる 収量不安定性に起因する経営上のリスクをさす。一般的に,環境保全型の農業 技術はいまだ確立過程にあり,慣行農法と比べ,収量の不安定性は大きい。こ うしたことから,環境こだわり農産物の生産農家にとって,収量不安定性に伴 う生産リスクはその作付行動に何らかの影響を及ぼすものと推察される。 そこで,次に減 農薬・減化学肥料 栽培と慣行栽培の 収量変動を比較し たのが第4表であ る。本来であれば, 環境こだわり農産物の生産に関するデータを用いることがのぞましいが,デー タが存在しないことから,ここでは九州地域で環境保全型稲作に取り組む農家 を対象とした胡〔9〕の研究をもとに,その特徴を検討する。 第4表をみると,慣行農法と比較して,環境保全型農法の全ての形態につい て,単収は慣行農法の503kg より低い一方で,変動係数は慣行農法の9.0より 高い値を示している。つまり,減農薬・減化学肥料栽培をはじめとする環境保 全型農法は慣行農法と比較して,低収量である反面,収量不安定性に起因する 生産リスクは高い。環境こだわり農業は減農薬・減化学肥料栽培の一形態であ ることから,環境こだわり農産物の生産においても,胡〔9〕が対象とした九 結果が示されている。また,胡〔9〕が対象とした九州地域の事例では,減農薬・減化学 肥料栽培米の販売価格は慣行栽培米と比べ約7%程度高く販売されている。
7)たとえば,川崎〔12〕,Moschini and Hennessy〔17〕や Newbery and Stiglitz〔18〕。また, これらの研究は,農業生産とリスク回避に関する優れたサーベイとしても有益である。
第4表 環境保全型稲作と慣行稲作の比較(九州地域)
農業環境政策の経済分析 71 州地域の事例と同様,取組農家は収量不安定性に起因する生産リスクに直面し ているものと推察される。 次に,環境保全型農法に取り組む稲作農家の作付構成に関する,農林水産省 の調査結果を整理したのが第5表である。この表をみると,全ての形態につい て,環境保全型農法による作付割合は37%から81%を示しており,多くの農家 は環境保全型農法による栽培と慣行栽培を同時に行っているものと推察され る。また,高度な栽培技術が必要とされる有機栽培や無農薬・無化学肥料栽培 ほど,その他の農法形態と比較して,作付割合が低い。つまり,生産リスクの 高い農法形態に取り組む農家ほど,生産リスクが相対的に低い慣行農法を同時 に行っていることが推察される。先行研究においても,たとえば藤栄他〔4〕 は,無農薬・無化学肥料栽培の一形態である合鴨稲作に取り組む農家が収量リ スクと収益率を考慮して,経営土地を慣行稲作と合鴨稲作に配分していること を明らかにしており,以上の推察は一定の妥当性を有すると考えられる。つま り,環境農業直接支払制度参加農家は,収量変動のリスクと販売価格・収益率 の水準を考慮して,慣行栽培と環境こだわり農産物の栽培に作付を配分してい るものと推察される。 (4)環境農業直接支払制度と多面的機能 先述のとおり,滋賀県環境こだわり農業推進基本計画のもとで,環境こだわ り農産物の生産や環境農業直接支払制度の実施を通じて,琵琶湖および周辺環 境への負荷を削減する技術による農業生産が推進されてきた。農薬・化学肥料 の削減による窒素・リン流出量の減少は,環境便益の向上につながる。こうし た農薬・化学肥料の削減によって発揮される環境便益は,一般に市場で評価さ 第5表 環境保全型稲作と慣行稲作の比較(府県)
72 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 れないが,農業生産活動が行われることによって,食料供給以外で,農業が提 供する機能とみなすことができる。このように,農業生産活動が行われること により生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能は,一 般に多面的機能と呼ばれ,農業生産以外の面で農業が果たす市場に評価されな い,農業の生産活動に伴う全ての外 部 効 果 と し て 理 解 さ れ て い る(OECD 〔20〕)8)。つまり,環境こだわり農産物の栽培面積の増加は,農薬・化学肥料 の削減を通じて環境便益の向上をもたらし,多面的機能の発揮水準を高める。 このとき,多面的機能 M は環境こだわり農産物の栽培面積 A の関数 M =M (A)ないしは作付比率 a の関数 M =M(a)と表せ,M は MA>0の性質を有す ると仮定できるだろう。また,環境こ だわり農産物の栽培面積 A の増加と ともに,限界環境便益は減少すると考 えられることから,ここでは MAA<0 とする仮定を課す。作付比率について も同様に,Ma>0,Maa<0の仮定を 課すことができる9)。以上で述べた, 環境こだわり農産物の栽培面積ないし は農家の作付比率と多面的機能との関 係を図示すると,第1図のように表すことができる。 以上,滋賀県における環境農業直接支払制度の導入経緯と概要を述べるとと もに,環境農業直接支払制度に参加する農家の特徴を検討した。さらに,環境 こだわり農産物の栽培面積や作付比率と多面的機能との関係を整理した。これ らは,次の①から④に要約できよう。 8)ただし,OECD〔20〕では「「多面的機能」という用語は,国やそれが議論される情況に 応じ,農政改革論議において異なった意味合いで用いられてきた。」とされており,①農 業に付随して複数の農産物および非農産物が一体的に生産されること,②これらの非農産 物の一部が外部性または公共財的な性格を具備していることにより,こうした非農産物に 対する市場が存在しないかまたは十分に機能しないことといった,暫定的な定義が与えら れているものの,明瞭な定義付けはなされていない。 9)こうした仮定を課すことのできる理由については,OECD〔21〕参照。 第1図 環境こだわり農産物の栽培面積・ 作付比率と多面的機能の関係
農業環境政策の経済分析 73 ①環境こだわり農産物の価格水準は,慣行栽培の農産物より平均的に高水準 である。 ②環境こだわり農産物の収量変動は,慣行農産物より大きく,環境こだわり 農産物の生産リスクは慣行栽培よりも大きい。 ③環境こだわり農産物の生産によって,環境農業直接支払制度参加農家は助 成金を受給し,受給金の算出根拠は,農法間の生産費格差に依拠している。 ④環境農業直接支払制度参加農家は,収量リスクと収益率を考慮して,慣行 農産物と環境こだわり農産物に作付をシェアしている。 ⑤環境こだわり農産物栽培の展開は多面的機能の向上に寄与する。 !.環境農業直接支払制度の経済分析 (1)環境農業直接支払制度参加農家の作付行動 これまでの整理から,環境農業直接支払制度参加農家(以下,参加農家)は, 相対的に高リスクの環境こだわり農産物栽培と相対的に低リスクの慣行栽培へ と作付をシェアしている。そして,参加農家は高リスクで高収益農法である環 境こだわり農産物栽培と低リスクで低収益農法の慣行栽培との選択問題に直面 している。そこで,本節ではこの両者の関係をポートフォリオ選択の概念を適 用することによって,藤栄他〔4〕のモデルを援用して,参加農家の作付行動 モデルを構築する10)。 ある参加農家を考える。参加農家は,一定の経営耕地 L を有し,環境こだ わり農産物の栽培(E)と慣行栽培(C)を行い,比率 a の農地に環境こだわ り農産物を,比率1−a の農地に慣行栽培による農産物を作付けする。参加農 家は危険回避的であり,期待収益からなる期待効用を最大にするよう,環境こ だわり農産物栽培の作付比率 a を決定すると仮定する。環境こだわり農産物 栽培と慣行栽培の期待収益率ならびにその分散をそれぞれµE,µC,σE2,σC2とす 10)同様にポートフォリオ選択の概念を用いて農家の作付行動を検討した研究として,たと えば Blank〔2〕,草苅〔14〕,Newbery and Stiglitz〔18〕,大江他〔22〕,Roche and McQuinn 〔23〕などがある。
74 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 ると,このとき,参加農家の期待収益率µ は,次のように表せる。 µ=aµE+(1−a)µC (1) つまり,参加農家の期待収益率µ は,環境こだわり農産物栽培と慣行栽培の 期待収益率の加重平均で表される。w を参加農家の収益率,環境こだわり農産 物栽培と慣行栽培の収益率をそれぞれ x,y とすると,w は w=ax+(1−a)y (2) で表せる。なお,x は平均がµE,分散がσE2の確率分布に,y は平均がµC,分 散がσC2の確率分布に従うものとする。そして,収益率の分散σ2は,(3)式 で表せる。
σ2=E(w−µ)2=E[ax+(1−a)y−aµ
E−(1−a)µC]2
=a2σE2+2 a(1−a)σEC+(1−a)2σC2 (3)
ここで,σEC(=E[(x−µE)(y−µC)])は,環境こだわり農産物栽培と慣行栽 培の収益率の共分散である。(1)式を(3)式に代入することによって,µ とσ2の実現可能な組み合わせの関係を表す,機会曲線(opportunity curve)を導出で きる。機会曲線は,(4)式のように表せる。 A2σ2=Dµ2−2µG +H (4) A,D,G,H はそれぞれ A=µE−µC,D=σE2+σC2,G=µCσE2+µEσC2,H=µC2σE2 +µE2σC2である。なお,(4)式の導出にあたって,σEC=0を仮定して数式の 展開を行った。 次に,参加農家の期待効用 EU が以下のような平均=分散モデル(mean-variance model)であると仮定する11)。 EU(µ σ2)=−exp
(
−λµ+λ 2σ2 2)
(5) このとき,参加農家の期待効用は,平均と分散からなる平均=分散モデルとし て表される。なお,λ は絶対的危険回避度で,一定である(0≦λ≦1)。平均= 11)ここでは,小糸〔13〕が用いたのと同一の期待効用関数を仮定する。なお,たとえば Roche and McQuinn〔23〕などで用いられている,より一般的な期待効用関数を用いた場合 も,以下の結論に定性的な差異は生じない。農業環境政策の経済分析 75 分散モデルを用いることで,リスクを伴う作付行動を平均と分散という2つの パラメータによって取り扱うことが可能となる。 参加農家は所与の経営耕地 L のもとで期待効用 EU を最大にするよう,作付 比率 a を決定することから,こうした参加農家の行動は,以下のように定式 化できる。 max EU(µ σ2) (6) s.t. A2σ2=Dµ2−2µG +H つまり,参加農家は機会曲線に接する点で期待効用を最大化し,このとき最適 な作付比率が決定される。上記の最大化問題はラグランジアンを とすると, =−exp
(
−λµ+λ2σ2 2)
+η[A 2σ2−Dµ2+2µG −H ] (7) とし, µ=0, σ2,=0, η=0 として解かれる。これより,期待効用を最大 にする最適作付比率 a*1 は(8)式の関数として表せる。 a*1 =µE−µC+λσ 2 C λ(σ 2 E+σ 2 C) (8) なお,前節での整理のと おり,環境こだわり農産 物栽培の収量変動は慣行 栽培のそれより大きく, 販売価格は慣行栽培のそ れより高いことから,µE >µC,σE2>σB2の関係を 有している12)。 以上の関係を図示した のが第2図である。図では機会曲線を F1として示している。 12)販売価格は必ずしも収益率と一致しない。しかし,胡〔11〕などでも明らかにされてい るとおり,一般に環境保全型農業は慣行農業に比して高い経済性を有している。こうした ことから,本稿では慣行栽培と比較し,高水準の販売価格であることをもって,環境こだ わり農産物栽培は慣行栽培よりも高い収益率を有しているとみなす。 第2図 参加農家の作付配分76 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 (2)環境農業直接支払が参加農家の作付行動に及ぼす影響 次に,環境農業直接支払が参加農家の作付行動に及ぼす影響を検討する。前 節での整理によれば,環境こだわり農産物の栽培によって,参加農家は助成金 を受給する。そこで,助成金受給による参加農家の環境こだわり農産物の収益 率の増分を m と表すと,参加農家が環境こだわり農産物の生産によって得る 収益率は,µE+m と表せる。このとき,前項と同様にして,参加農家の期待 収益率µ'は次のように表せる。 µ'=a(µE+m)+(1−a)µC (9) また,そのときの機会曲線は A'2σ2=Dµ'2−2µ'G +H (10) である。なお,A'=µE−µC+m である。そして,参加農家の期待効用 EU なら びにその行動は(5),(6)式と同様,次のように表せる。 EU(µ', σ2)=−exp
(
−λµ'+ λ 2σ2 2)
(11) max EU(µ', σ2) (12) s.t. A'2σ2=Dµ'2−2µ'G +H 上記の最大化問題を(7)式と同様,ラグランジアンを用いて解くと,環境農 業直接支払受給後の参加農家の最適作付比率 a2*が以下の通り得られる。 a2*=µE−µC+m+λσ 2 C λ(σ2 E+σ 2 C) (13) a2*は m の増加ととも に 高 ま る こ と が わ か る。つまり,環境農業 直接支払による収益率 の 増 分 m は 環 境 こ だ わり農産物の作付比率 を高める。この関係は 第3図として表すこと 第3図 環境農業直接支払が参加農家の作付行動に及ぼす影響農業環境政策の経済分析 77 ができる。なお,図中の F2は環境農業直接支払受給後の参加農家の機会曲線 を表す。 次に,環境農業直接支払受給後の作付比率 a2*と受給前の作付比率 a1*とを 比較するため,a2*と a1*の差を d とすると,d は次のように表せる。 d=a2*−a1*= m λ(σ2 E+σ 2 C) (14) このとき, ∂ d ∂ σ2 E < 0であることから,環境こだわり農産物の収量分散低下は d を高める。環境こだわり農産物の収量分散低下は,農業技術の進歩や農家の人 的資本蓄積によってもたらされる。ゆえに,環境保全型農法の技術進歩や農家 の経験蓄積は,直接支払による環境こだわり農産物の作付比率を高め,環境農 業直接支払制度の政策効果を高める。 さらに,上記では環境農業直接支払による収益率の増分 m を一定として扱っ ているが,m が高まるとともに,d は高まることが(14)式より明らかである。 つまり,助成金単価の上昇は環境農業直接支払制度の政策効果を高める方向に 作用する13)。また,絶対的危険回避度λ についても同様に,λ の上昇とともに, a2*は低下することがわかる。農家が危険回避的であるほど,環境こだわり農 産物の作付比率は低下する。つまり,農家のリスク態度の違いが環境こだわり 農産物の作付比率の寡多を通じて,環境農業直接支払制度の政策効果に影響を 及ぼすことがわかる。 (3)環境農業直接支払が多面的機能に及ぼす影響 次に,環境農業直接支払が多面的機能に及ぼす影響を検討する。第Ⅱ節での 整理ならびに第3図より,①環境こだわり農産物の作付比率が高まるほど,多 面的機能の発揮水準が高まり,②環境農業直接支払制度による助成金の支給は, 環境こだわり農産物の作付比率を高める。以上より,参加農家の環境こだわり 13)この点は,仮想状況評価法を用いて,環境直接支払の単価上昇が農家の参加面積拡大を 促すことを明らかにした野村・矢部〔19〕の結果と整合的である。
78 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 農産物の作付決定と多面的機 能との関係は第4図のように 表すことができる。図より, 環境農業直接支払受給前の農 家の機会曲線,最適作付比率 はそれぞれ F1,a1*,そのと きの多面的機能は M1として 表される。一方,環境農業直 接支払受給後の農家の機会曲 線,最適作付比率はそれぞれ F2,a2*,そのときの多面的 機能は M2として表される。 つまり,環境農業直接支払制度の実施は,農家の環境こだわり農産物の作付比 率の上昇を通じて,多面的機能の増進に寄与している。 !.環境農業直接支払制度の政策効果 (1)政策効果の把握方法 滋賀県は全国に先駆けて,2004年に環境農業直接支払制度を導入した。一方, 環境農業直接支払制度が実施されていない他の都道府県においても,環境保全 型農業に取り組む農家は増加傾向にあり,環境保全型農業実施農家の増加は全 国的に共通する現象である。農林水産省『農業センサス』によれば,調査年度 間で定義に違いはあるものの,環境保全型農業に取り組む農家数は2000年の約 50万戸から2005年には約93万戸に増加した14)。こうした環境保全型農業実施 農家の全国的な増加トレンドや環境農業直接支払制度の導入等によって,滋賀 県では,環境保全型農業に取り組む農家は約7千戸から約1.5万戸に増加した。 14)なお,『農業センサス』における環境保全型農業の定義は,「地域の慣行に比べて化学肥 料や農薬の使用量を減らすことや,堆肥による土づくりのうち,少なくともいずれかの取 組を行っている農家」であり,有機農業等の無農薬・無化学肥料栽培と比較して,広範な 農業形態を含む点に留意を要する。 第4図 環境農業直接支払が多面的機能に及ぼす影響
農業環境政策の経済分析 79 しかし,全国的な環境保全型農業実施農家の増加傾向と環境農業直接支払制度 の導入効果を峻別し,滋賀県による環境農業直接支払制度の導入が環境保全型 農業の取組をどの程度促進したのかを定量的に検討した研究はない。そこで本 節では,滋賀県の環境農業直接支払制度の政策効果を分析するために,簡単な 計量分析を行うことによって,当該制度による環境保全型農業の取組促進効果 を検討する。 検討にあたっては,まず,アド・ホックではあるが,環境保全型農業の取 組農家割合は以下のように決定されると仮定する。 ln Rt=α+βlnRt―1+γZ+ε (15) なお,Rt , Rt―1はそれぞれ t 期ならびに t―1期における各都府県の環境保全型農 業の取組農家割合を,Z は各都府県の様々な属性ベクトルを,ε は攪乱項を, α, β, γ はそれぞれ推定パラメータを表す。つまり,t 期の環境保全型農業の 取組農家割合は,t―1期における環境保全型農業の取組農家割合ならびにその 他の外生的な要因によって決定されるとみなす15)。分析に際しては,Rtとして 2005年の各都府県における環境保全型農業の取組農家割合を,Rt―1として2000 年の各都府県における環境保全型農業の取組農家割合を用いる。また,Z とし 15)胡〔10〕は類似のアプローチを用いて,環境保全型農業関連事業の政策効果を検討して いる。 第6表 候補説明変数とその記述統計量
80 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 て第6表に候補として用いた説明変数を示す。説明変数のデータ系列はその外 生性を考慮して,2000年のデータを用いる。また,2000年以降,環境保全型農 業の普及に関連する主な施策として,食料・農業・農村基本計画,改正 JAS 法やエコファーマー制度などが実施された。本稿では,これら施策は滋賀県に 特異的な影響を及ぼすものではなく,全国的に同一の影響をもたらしたと仮定 する。 上記の仮定のもと,まず,農業条件が他の都府県と大きく異なる北海道,沖 縄県ならびに分析対象とする滋賀県を除いた44の都府県を対象として,(15) 式を推定する。次に,推定された(15)式に滋賀県のデータを外挿し,環境保 全型農業の取組農家割合の予測値Rˆtを得る。得られた予測値Rˆtを実測値 Rtと比 較することによって,他の都府県にも影響を及ぼしている政府の政策の影響を 除去した,滋賀県のみに生じたRˆtと Rtの差,つまり,滋賀県における環境農 業直接支払制度による環境保全型農業の取組促進効果を把握することが可能と なる。 (2)推定結果 第7表に(15)式の推定結果を示す。 推定には OLS を用い,t 値の低い候補説
明変数を順に削除し,AIC(Akaike's
Infor-mation Criterion)が最小となるよう定式 化を施した。また,多重共線性が生じな いよう,説明変数間の相関の強いものに ついては,それを取り除いた上で推定を 行った。推定に際しては,農林水産省『農 業センサス』の2000年ならびに2005年の 都府県データ(北海道,沖縄県ならびに 滋賀県を除く)を用いた。 推定結果をみると,まず,t―1期の環 第7表 推定結果
農業環境政策の経済分析 81 境保全型農業の取組農家割合(Rt―1)の対数値を表す LN_R_ENV00の有意性は 高く,また,その係数値は他の説明変数の係数値に比して大きい。すなわち, 環境保全型農業の取組は,各地域における過去の取組の蓄積に大きく依存して いる。この点は胡〔10〕の指摘と整合的である。 次に,複合経営農家率の対数値を表す LN_MULTI や中山間農業地域の農家 割合の対数値を表す LN_MOUNTAIN は正で統計的に有意である。複合経営農 家や中山間地域に立地する農家が高い割合で存在する都府県では,環境保全型 農業の取組農家割合が高い。多くの複合経営農家は家畜飼養を行っていること から,家畜飼養によって排出される糞尿や有機堆肥を経営耕地に循環利用する ことによって,環境保全型農業への取組が促進されているものと推察される。 また,中山間農業地域では,大規模な農業経営の展開が困難なことから,農産 物の高付加価値化を図る取組の一環として環境保全型農業に取り組むケースが 多いものと推察される。こうした複合農業と環境保全型農業の親和性や中山間 地域における取組の展開は先行研究においても指摘されており16),推定結果 はこうした先行研究の結果が支持されることを示している。 一方,農家以外の販売目的の農業事業体数の対数値を表す LN_FIRM は,負 で統計的に有意である。農家以外の販売目的の農業事業体,具体的には農事組 合法人や会社法人等の農業法人は,労働生産性の高い作物や栽培形態を選択す る傾向にあることから,環境保全型農業を選択せず,環境保全型農業の取組農 家割合を低下させる要因となっているのかもしれない。 (3)環境農業直接支払制度の政策効果 次に,以上の推定結果を用いて,滋賀県の環境保全型農業取組農家割合の予 測値Rˆtと2005年農業センサスから得られる実測値 Rtを比較したのが第5図で ある。図をみると,2005年の環境保全型農業取組農家割合の予測値Rˆtが40.7% であるのに対し,実測値 Rtは45.1%となっている 17) 。つまり,都府県に共通 する政策やその他の経済ショックの影響を除去してもなお,実測値と予測値の 16)たとえば,藤栄〔5〕,合田〔7〕。
82 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月 間には4.4%の乖離が 観 察される。一方,滋賀県 を除く都府県における乖 離値(実測値と予測値の 差)の 平 均 は0.055%で あ り,滋 賀 県 の 乖 離 値 (4.4%)は 突 出 し て い る。こうしたことから, 滋賀県の環境農業直接支 払制度は,他の都府県に な い 独 自 の 影 響 を 及 ぼ し,制度開始後約2年間で環境保全型農業の取組農家割合を数%程度上昇させ る効果をもたらしたといえるだろう。つまり,第4図と照らし合わせると,環 境農業直接支払制度の政策効果は環境保全型農業に取り組む農家の増加をもた らしたと同時に,多面的機能の増進に寄与したと評価することができるだろう。 !.おわりに 本稿では,農業環境政策の一例として,滋賀県が政府に先駆けて取組を開始 した環境農業直接支払制度を対象とした経済分析を行った。まず,滋賀県の環 境農業直接支払制度の概要を整理し,その特徴を明らかにした。次に,明らか にされた特徴を基に,経済学的なモデルを構築・提示し,収量リスクや直接支 払が環境保全型農業の取組に及ぼす影響を検討するとともに,それらが多面的 機能の発揮水準に及ぼす影響についてもあわせて検討した。さらに,簡単な計 量分析を行うことによって,滋賀県の環境農業直接支払制度による環境保全型 農業の取組促進効果を検討した。その結果,次の点が明らかになった。 ①環境農業直接支払制度参加農家は,収量リスクと収益率・販売価格を考慮 17)ただし,算出された予測値は,推定に用いる関数型や定式化に応じて若干変動する可能 性がある点に留意する必要がある。 第5図 環境農業直接支払制度による環境保全型農業の 取組促進効果
農業環境政策の経済分析 83 して,慣行栽培と環境こだわり農産物栽培の作付をシェアしている。 ②直接支払の助成金単価の上昇は,環境こだわり農産物の作付比率を高める 方向に作用する。また,農家のリスク態度は環境農業直接支払制度の政策効果 に影響を及ぼす。 ③環境農業直接支払制度の実施は,環境こだわり農産物の作付比率の上昇と いった農家の作付行動の変化を通じて,多面的機能の増進に寄与している。 ④滋賀県の環境農業直接支払制度は,環境保全型農業の取組農家割合を数% 程度上昇させる政策効果をもたらすとともに,多面的機能の増進に寄与したと 評価することができる。 最後に,残された課題について述べる。本稿では,行政資料等を基に,環境 農業直接支払制度参加農家の作付行動を検討した。しかし,利用可能な資料に 制約があることから,厳密なクロス集計や計量分析を行っておらず,実証的根 拠に欠ける面がある。今後は,環境農業直接支払制度参加の有無や参加農家に 関する,詳細なマイクロデータを用いた実証分析が不可欠であろう。また,農 家のリスク態度の違いが政策効果に影響を及ぼすことを明らかにしたものの, リスク態度の形成過程やその性質を明らかにすることはできなかった。農家の リスク態度について,Binswanger〔1〕や Finkelshtain and Feinerman〔3〕は 実験的な手法を用いて,農家の危険回避行動を検討している。また,畫間・池 田〔8〕は危険回避度や時間割引率を同定し,それらを用いて,負債保有行動 や食料の消費行動といった現実の経済行動を説明することを試みている。今後 は,近年展開されつつあるこうした行動経済学的なアプローチや実験的手法を 用いて,農家のリスク態度やその性質が農家行動に及ぼす影響を検討すること が必要とされよう。 引用文献
〔1〕Binswanger,H.P. “Attitude Toward Risk: Experimental Measurement in Rural India.”
Ameri-can Journal of Agricultural Economics, Vol.62(3),1980, pp.395∼407.
84 彦根論叢 第370号 平成20(2008)年1月
Composition and Land Use.” Review of Agricultural Economics, Vol.23,2001, pp.404∼422. 〔3〕Finkelshtain,I. and E.Feinerman. “Framing the Allais Paradox as A Daily Farm Decision
Prob-lem: Tests and Explanations.” Agricultural Economics, Vol.15(3),1997, pp.155∼167. 〔4〕藤栄剛・井上憲一・岸田芳朗「合鴨稲作農家の作付行動―危険回避と経験効果―」『農
業経営研究』第43巻第1号,2005,pp.1∼11.
〔5〕藤栄剛「環境保全型農業実践農家の展開と特徴」橋詰登・千葉修編『日本農業の構造 変化と展開方向―2000年センサス分析―』農山漁村文化協会,2003,pp.271∼301. 〔6〕Gardebroek.C. “Comparing Risk Attitudes of Organic and Non-organic Farmers with A
Baye-sian Random Coefficient Model.” European Review of Agricultural Economics,2006, Vol.33 (4), pp.485∼510. 〔7〕合田素行「日本における環境保全型農業の現状とその可能性」『農業経済研究』第68 巻第2号,1996,pp.88∼96. 〔8〕畫間文彦・池田新介「経済実験とアンケート調査に基づく時間割引率の研究」『金融 経済研究』第25号,2007,pp.14∼33. 〔9〕胡柏「環境保全型稲作の収益形成力と形成条件分析―九州地域を事例として―」『農 業経済研究』第73巻第1号,2001,pp.1∼15. 〔10〕胡柏「環境保全型農業関連事業の政策効果分析」『農業経済研究』第77巻第4号,2006, pp.177∼187. 〔11〕胡柏『環境保全型農業の成立条件』農林統計協会,2007. 〔12〕川崎賢太郎『品目横断政策の経済分析』東京大学博士論文,2006. 〔13〕小糸健太郎「良質米導入と農業共済」長谷部正・吉井邦恒編『農業共済の経済分析』 農林統計協会,2001,pp.88∼100. 〔14〕草苅仁「生産不確実性と北海道稲作―BC 技術の貢献と農家の危険回避的選好―」『農 経論叢』第42集,1985,pp.55∼74. 〔15〕森野真「滋賀県における環境こだわり農業への取り組みと課題」『地域農林経済学会 近畿支部第24回研究大会報告資料集』,2006,pp.6∼24. 〔16〕森野真「滋賀県にみる全国初の環境支払制度」『農業と経済』第72巻1号,2006,pp.75 ∼77.
〔17〕Moschini,G. and D.A.Hennessy. “Uncertainty, Risk Aversion, and Risk Management for Agri-cultural Producers.” Handbook of AgriAgri-cultural Economics, Vol.1A, Elsevier Science,2001, pp. 87∼153.
〔18〕Newbery, D.M.G. and J.E.Stiglitz. The Theory of Commodity Price Stabilization: A Study in
農業環境政策の経済分析 85
〔19〕野村久子・矢部光保「日本型環境支払に対する農家の受容行動―環境保全型農法に対 する参加意向と参加面積率の決定要因の分析―」『農業経営研究』第45巻第2号,2007, pp.1∼11.
〔20〕OECD. Multifunctionality: Towards An Analytical Framework, 2001(『OECD レポート 農 業の多面的機能』空閑信憲他訳,食料・農業政策研究センター,2001.).
〔21〕OECD. Multifunctionality: The Policy Implications, 2003(『OECD レポート 農業の多面的 機能−政策形成に向けて』荘林幹太郎訳,家の光協会,2004.).
〔22〕大江靖雄・佐々木東一・金岡正樹「畑作農家の小麦品種選択とリスク回避行動―畑作 限界地におけるその経営的要因―」『北海道農業経済研究』第3巻第1号,1993,pp.68 ∼80.
〔23〕Roche, M.J. and K.McQuinn. “Riskier Product Portfolio under Decoupled Payments.”
Euro-pean Review of Agricultural Economics, Vol.31(2),2004, pp.111∼123.
〔24〕佐々木宏樹「滋賀県環境農業直接支払い政策における意識構造分析:WTP を含んだ 共分散構造モデルの適用」『農村計画学会誌』第23巻第4号,2005,pp.275∼284. 〔25〕滋賀県農政水産部農政課『しがの農林水産ビジョン』,2001. 〔26〕滋賀県『環境こだわり農産物認証制度および環境こだわり農業実施協定のあらまし』, 2006. 〔27〕宋丹瑛「環境こだわり農産物認証制度の特徴と地域農業」『農』,No.284,2006,pp.2 ∼64. 〔28〕富岡昌雄「琵琶湖水質保全と農業排水」戦後日本農業の食料・農業・農村編集委員会 編『農業と環境』農林統計協会,2005,pp.381∼394. 〔29〕富岡昌雄「滋賀県における環境こだわり農業の推進」『有機農業研究年報』,Vol.5, 2005,pp.85∼95. 〔30〕富岡昌雄・増田佳昭・須戸幹「環境こだわり農産物と環境農業直接支払い制度の創設 のとりくみ」『滋賀県立大学環境科学部年報』第10号,2006,pp.27∼31. 〔付記〕本稿は,科学研究費補助金基盤研究(C)(課題番号:19580271)「経済実験による 環境保全型農業経営の行動解明:リスク態度を中心として」ならびに滋賀大学環境総 合研究センタープロジェクト研究「農業環境政策の制度設計」による研究成果の一部 である。