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国内需要家の電力供給先選択に関する研究―満足度、選択行動、ロイヤルティの分析―

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Academic year: 2021

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主要な研究成果

背 景

日本では、電力小売りの部分自由化導入から 5 年以上経過し、電力購入について、国や地方自治体、スー パーなどを中心に数多くの競争入札や変更事例が報告されている。電力会社の営業戦略では、ややもすると購 入先変更に積極的な需要家や、短期的な価格競争に焦点が集まりがちである。そのため、電力会社と信頼関係 が強く供給先変更を意図しない、いわゆるロイヤルティ(信頼感)の強い需要家の非価格要因に対する評価を 下げるという戦略の失敗が生じる懸念もある。電力会社は、需要家全体のニーズを的確に把握し、その満足度 やロイヤルティを向上するための対策を的確に実現していく必要がある。

目 的

国内のさまざまな契約種別の需要家の満足度やニーズ、自由化への対応状況などを確認する。また、需要家 の電力供給先の変更行動に焦点をあて、料金値下げに対する反応や非価格要因の価値を定量的に計測するとと もに、ロイヤルティを構築、向上するための条件を明らかにする。

主な成果

2005 年 11 月、国内の一般家庭および事業所を対象に電力サービスに関するアンケート調査を実施し、4,647 件の回答があった。この調査結果にもとづく分析により、以下の知見を得た。 1.「現在利用の電力会社全体」に対し、一般家庭の 56 %、低圧事業所の 55 %、高圧事業所の 58 %、特別高 圧(以下、特高)事業所の 59 %が満足と回答している。いずれの需要家も「供給信頼度」への満足度が 高い一方、「価格」への満足度が低いのが現状である。「顧客サービス」に対しては、その認知度の低さ もあり、一般家庭で 38 %、低圧事業所で 33 %、高圧事業所で 42 %、特高事業所で 51 %の満足度にとど まっている(図 1)。 2.自由化について、一般家庭や低圧事業所の認知度が 2 割未満なのに対し、高圧事業所で 45 %、特高事業 所で 62 %が認知している。また、いずれの需要家も将来自由化が肯定的にはたらくと期待しており、こ の割合は特高や高圧事業所ほど大きくなる傾向が認められた。電力購入先を変更すると仮定した場合、 10 %の値下げで購入先を変更する割合は、一般家庭で 19.3 %、低圧事業所で 20.8 %、高圧事業所で 32.2 %、特高事業所で 37.5 %と推定された(図 2)。これらの価格差に見合う非価格要因を定量的に評価 するために、顧客サービスと企業イメージからなる「顧客価値係数」を考案して算出したところ、低圧 事業所や一般家庭で相対的に大きな値を持つことがわかった(図 3)。 3.自由化のもとで「すぐにでも電力会社を変更」や「自ら進んで変更先を探索」するのではなく、「いかな る条件であっても電力会社を変更せず」や「他社から申し出があっても恐らく変更せず」という意向が 強いほど、需要家の電力会社に対するロイヤルティが高いと判断した。このロイヤルティは、「現在利用 の電力会社全体」の満足度よりも、需要家の「属性」や「価格」「顧客サービス」に対する評価などから 構成されており、上記の顧客価値係数とも密接な関係が存在することが明らかになった(図 4)。 4.需要家の契約種別とニーズを踏まえたロイヤルティに関する要因分析により、例えば、高圧事業所には 「電力会社の情報紹介のパンフレットや郵便物」や「選択しやすい契約メニュー」など、特高事業所には 「季節別・時間帯別の割引料金」などが優先順位の高いサービスとなる。また、一般家庭のうち、電力会 社との接触や料金関連サービスに対するニーズの強い需要家には「広告や CM」「相談窓口としての専任 の担当者」など、顧客サービス全般に対するニーズの強い需要家には「TV ・ラジオ番組に対するスポ ンサー」などが重要なサービスとなることが判明した(表 1)。そこで、電力会社の需要家ロイヤルティ の構築では、支払い電気料金や契約種別の違いに加え、需要家側のニーズを反映したセグメンテーショ ンによる対応が得策である。

今後の展開

本研究で紹介したアンケート調査データにもとづき、需要家から見た供給信頼度の影響を定量的に評価する。 さらに、調査対象を自由化の面で先進的な欧州まで拡げ、需要家の電力供給者選択行動と満足度、ロイヤル ティの関連性などを解明する。 主担当者 社会経済研究所 電力・エネルギー経営領域 上席研究員 蟻生 俊夫 関連報告書 「国内需要家の満足度と電力供給先選択、ロイヤルティに関する研究」電力中央研究所報 告: Y05017(2006 年 4 月) 54

国内需要家の電力供給先選択に関する研究

―満足度、選択行動、ロイヤルティの分析―

(2)

1.経済・社会/経営戦略の支援

55 0 20 40 60 80 100 価 格 供給 信 頼 度 顧 客 サ ー ビ ス 企 業 イ メ ー ジ 現 在 利 用 の 電 力 会 社 全 体 (%) 一般家庭 低圧事業所 高圧事業所 特高事業所 図1 需要家別の満足度の現状 図3 需要家別の顧客価値係数の分析結果 図2 値下げ率に対する需要家の反応 表1 需要家別のロイヤルティ向上策 一 般 家 庭 低 圧 事 業 所 1 相談窓口としての専任の担当者 電力会社の情報紹介のパンフレットや郵便物 2 広告やCM 広告やCM 3 検針票・請求書における表示 停電・電圧不良等の原因、復旧の情報提供 4 TV・ラジオ番組に対するスポンサー 身近な営業所や支店があること 5 電力会社の情報紹介のパンフレットや郵便物 選択しやすい契約メニュー 高 圧 事 業 所 特 高 事 業 所 1 電力会社の情報紹介のパンフレットや郵便物 季節別、時間帯別の割引料金 2 選択しやすい契約メニュー 地域活動の共催・支援 3 TV・ラジオ番組に対するスポンサー 選択しやすい契約メニュー 4 検針票・請求書における表示 環境保全対策に関するアドバイス 5 温室効果ガスの削減 相談窓口としての専任の担当者 0 1 2 3 4 5 一 般 家 庭 低 圧 事 業 所 高 圧 事 業 所 特 高 事 業 所 (ヶ月 ) 0 20 40 60 80 100 値下げ率(%) 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 変 更 意 志 を 示 す 割 合 価格 (満足度) 顧客サービス (満足度) 供給信頼度 (満足度) 企業イメージ (満足度) 自由 化の認知 (特高) 現在利用の 電力会社全体 (満足度) 自由 化の認知 (高圧500kW∼) 自由 化の認知 (高圧50kW∼) 性別 年齢 自由化の影響 (将来) ロイヤルティ (変更意向) 顧客価値係数 電力供給先に依存 電力供給先に無関係 総合評価・選択行動 年収 生命保険会社 変更経験あり 固定電話会社 変更経験あり (注)「満足」と「やや満足」をあわせた回答割合を 集計した結果。 (注)顧客価値係数とは、他の電力供給先に変更 する需要家の行動に着目して既存の電力会社の 非価格要因に対する価値を計測したものであ り、1ヶ月の支払い料金に対する倍数として表 される。 一般家庭 低圧事業所 高圧事業所 特高事業所 図4 一般家庭のロイヤルティと満足度の関連性 (注)矢印の線が太いほど有意な関係が強いことを示す。 (注)それぞれの需要家の優先順位の高い5項目のみ掲載。

参照

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